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( ^ω^)週刊少年エターナルのようです
906
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:25:41 ID:XXnU39DY0
\パチッ/
\パチッ/
▼;・ェ・▼ しっかし、南は南で、結構コワいとこですネ…
从 ゚∀从 どれが出ても打点が上がる待ちって、
从 ゚∀从 裏を返せば、どれを切ってもリスクがあるッてことですからね
从 ゚∀从 マ、あれだ
从 ゚∀从 もしここまでして南単騎とか言ってたら、
从 ゚∀从 せっかくのチンイツがただのバカホン、二翻のみです
从 ゚∀从 カンドラが乗ったのは、ついさっきですから。 考えにくい
▼・ェ・▼ 流石プロも、それを理解して南を選んだのでしょう
从 ゚∀从 南三連打で、流局
从 ゚∀从 あとは引くかどうかの勝負ですね
.
907
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:26:01 ID:XXnU39DY0
\ジャラ…/
\パチッ/
▼;・ェ・▼ 4種11枚といっても、
▼;・ェ・▼ その実に半分が押さえられています、鬱田プロ
▼;・ェ・▼ なんとか引いてくることはできるのでしょうか!
\パチッ/
从 ゚∀从 とかなんとか言ってる間にラスヅモですよ
▼・ェ・▼ アガれば4000オール、これはでかいが果たしてッ
('A`)っ”
/|
M/ .|/|_
┌─┐ /
│⑦│
│筒│
└─┘
.
908
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:26:26 ID:XXnU39DY0
▼;・ェ・▼ 〜〜〜ッ! 逃した!
从 ゚∀从 これは無念
(´<_` ) - 3
/|
M/ .|/|_
┌─┐ /
│ │
│南│
└─┘
▼・ェ・▼ はい、海底は無難にオリて流局〜
('A`) テンパイ
(´<_` ) ノーテン \パタッ…/
/ ,' 3 ノーテン
\パタ…/
<ヽ`∀´> ノーテン
.
909
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:26:53 ID:XXnU39DY0
▼;・ェ・▼ いや〜…
▼;・ェ・▼ なかなか見応えのある局でしたね
从 ゚∀从 ちょっと、言っといてくださいよ
从 ゚∀从 配信なんだから、即打ちはやめろって
▼・ェ・▼ それもう言われてるそうですよww
从 ゚∀从 wwwww
▼・ェ・▼ しっかし本局、他3人も見事でしたよ
▼・ェ・▼ 降りきった新井田プロに、しっかり当たりを止めた荒巻先生と流石プロ…
从 ゚∀从 親満を逃したとは言え、ひとり聴牌で連荘です
从 ゚∀从 鬱田サンの作戦勝ちとも取れそうです
.
910
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:27:22 ID:XXnU39DY0
▼・ェ・▼ あの白落としはなかなか勇気がいる選択…
▼ ・ェ・▼ なんで白を落とせたか、あとで聞いてみますか
从 ゚∀从 ッスネ
\ジャラジャラ…/
\ジャラジャラ/
'_
(´<_` )、
(´<_` ) 鬱田さん
('A`) ハッ ハイ
(´<_` ) 九索ずっと残してたっぽいですけど、これ結局いらなかったんじゃ?
.
911
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:27:51 ID:XXnU39DY0
('A`) エッ ナンデスカ
(´<_` ) だって、元はこの形だったんでしょ?
\カチャカチャ…/
┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐
│.2 │.2 │.2 │.3 │.4 │.5 │.6 │.6 │.7 │.7 │
│索│索│索│索│索│索│索│索│索│索│
└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘
/ ,' 3 ゴクゴク
っц
(´<_` ) 白対子より後に切ってましたが、
(´<_` ) 九索を浮かせたまま向聴戻ししたのかな?って思って
('A`) これはですね白対子を落とす際のケアとなりましてあの時はこんな牌姿だったと思うんですがカチャカチャ
.
912
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:28:13 ID:XXnU39DY0
┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ ┌─┐
│ │ │.2 │.2 │.5 │.6 │.6 │.7 │.7 │.9 │ │.4 │
│白│白│索│索│索│索│索│索│索│索│ │索│
└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ └─┘
('A`) まず四索ツモを見てこれはチンイツのほうが広くなると判断しましたがなぜかというとペラペラ
('A`) 八索を拾うことでウッパーに受けるのもそうですがこの九索は重ねることで受け入れがペチャクチャ
('A`) そもそもこの時点でどの牌を引いても非常に広い受けに構えることができウンヌン
(´<_` ) ほう
う φ メモメモ
('A`) あまり受け入れが伸びない五索ツモカリテンも実は嬉しくて索子ならどれを引いてもドウノコウノ
▼;・ェ・▼ ………ところで、次の局はまだでしょうか??
从 ゚∀从 何やってんだよあの人らwwww
.
913
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:28:37 ID:XXnU39DY0
★☆プロ雀士ちょこっと名鑑
(´<_` )流石プロ
防御力を重視する。
そのうち入る好機の手を最大限生かす。 東風プロのライバル。
★☆ブーン系でわかる麻雀プロリーグ
.
914
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:28:59 ID:XXnU39DY0
( ・∀・)探偵モララーの事件譚のようです
>>2-99
(第1回)
>>531-662
(第2回)
●><●>)><)漫才グランプリで優勝するようです
>>106-176
(第1回)
>>789-858
(第2回)
(,,゚Д゚)脱獄するようです
>>182-286
(第1回)
o川*゚ー゚)oキュートはゴキブリ女のようです
>>292-403
(第1回)
向日葵
>>410-521
(第1回)
('A`)ドクオがプロデュースするようです
>>669-748
(第1回)
ブーン系でわかる麻雀プロリーグ
>>752-786
(第1回)
>>862-913
(第2回)
915
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:35:25 ID:XXnU39DY0
→('A`)ドクオがプロデュースするようです
.
916
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:35:46 ID:XXnU39DY0
(;'A`)] はい! 現在向かっている途中です!
(*゚ο゚) ……。
(;'A`)] えっと、何分? えっとですね……
('A`;) すみません、あとどれくらいでつきます!?
タクシーの運ちゃんは、うーんと言って、二十分はかかるねえ、と言った。
のんびりしやがって。 車、かっ飛ばしてくれ、安全運転で。
(;'A`)] に、二十分くらいです!
(;'A`)] そんな、いえ、決して! 決してお手間は!
(;'A`)] え! ………待ってください! しかし、ウチの子は……
プツン、と音が切れた。
そして十秒くらい、俺は、呆然とした。
タクシーが道路を走る重低音をぼうっと聞いていると、安心できた。
というか、いつまでもこの音を聞いていたい気分になっていた。
え、キャンセル?
これは……どうしたらいいんだ?
タクシー代、どうなるんだ?
.
917
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:37:16 ID:XXnU39DY0
(*゚-゚) ぷ…プロデューサー?
(;'A`)]
(*゚ο゚) プロデューサーっ!
'_
(;'A`)] 、
しぃさんの声で、俺はようやく、重低音以外の音を聞き入れることができた。
ふだん明るいしぃさんは、ちょこんと座って、きゅっと握った両手をももの上にのせていた。
(*゚-゚) えっと……
(*゚-゚) おシゴト………どうなったんですか?
おシゴト、 おシゴトか。
どうなったんだろうなあ。
(*゚-゚) ……キャンセル、ですか?
(;'A`) ………
(*゚-゚) ……ぷ…プロデューサー?
.
918
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:38:25 ID:XXnU39DY0
俺が呆然としている間も、タクシーは稽古場のスタジオへと向かっている。
しぃさんも異変に気づいたようで、声が、弱っていた。
(;'A`)
(;'∀`) は……ハハ
笑え。
ピンチのときほど、うざったらしく。
ぼーっと、フロントガラスの向こうを見据える。
……あ。 ファミレスあるじゃん。
(;'A`) すみません、そこのファミレスで停めてください
いいの?って聞かれた。
いいのいいの。
(*゚-゚) ………
(;'∀`) ご……ごめんなあ
(;'∀`) 俺が、不甲斐ねえせいで……
いいんです。
しぃさんは、力のない笑顔を浮かべた。
.
919
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:38:46 ID:XXnU39DY0
ファミレスの禁煙席に案内され、俺としぃさんは向かい合って座った。
平日の昼間、人はそこまで多くないが、きている主婦連中やリーマンは楽しげに談笑していた。
こっちはお通夜だっての。
(*゚ー゚) えへへ……ファミレス、久々です
(;'∀`) だろ? しぃさん、忙しいもんな
(*゚ー゚) なに食べてもいいんですか?
(;'∀`) ああ、食べなさい、食べなさい
そのお代は、俺持ち? 事務所持ち?
胃がきゅうううと締まる。
事の発端は、だ。
来月に、遊園地でちょっとした劇が催されることになっていた。
そのオーディションに、しぃさんがみごとクリアした。
といっても、冒頭の通りすがりの女子高生Bだけど。
まあ、遊園地で繰り広げられるヒーローアクション、という設定で、
その遊園地を訪れた女子高生グループ、ということで、ちゃんとセリフも振り付けもある役だった。
ちゃんと、二週間みっちりと稽古を積んだうえでのショーだ。
駆け出しのしぃさんには、経験を積む上でぴったりのシゴトだったと言える。
.
920
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:39:22 ID:XXnU39DY0
(;'A`) えっと、朝10時入り、ね
(;'A`) じゃあ、9時半入りを想定して、その15分前ってことで……
(*゚ー゚) ちょっと早すぎません?
(;'A`) 早すぎるくらいがいいんだよ。 元リーマンとしての経験だがね
しぃさんは稽古の一週間、学校を休む。
そして事務所からの交通手段と、念のため、彼女の自宅からの交通手段もチェック。
なるほど、アクセスは悪くない。
乗り換えは一度だけだし、電車の本数もかなり多い。
(゚、゚トソン 初日はいつですか?
(;'A`) ア? 明日です
(゚、゚トソン じゃあ、
都村事務員が壁にかかっている時計を見た。
もう午後九時半ば。
しぃさんの通勤時間を考えると、もう帰宅させるべき時間である。
わかりました。
俺はうなずいて、しぃにも目配せした。
.
921
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:39:42 ID:XXnU39DY0
(*゚ー゚) じゃ! とりあえず明日、8時すぎにでもここに来ればいいですね?
(;'A`) あ、ああ、上出来だ。 頼んだよ、ゆっくり休んでね
(*^ー^) はい!
その日最後の彼女の笑顔は、敬礼とともに送られた。
事務所でも元気いっぱいで、一番アイドルアイドルしてる女の子である。
階段を駆け下りる音が聞こえなくなったあたりで、都村事務員が口を開いた。
コーヒーの入ったマグカップを、俺によこしながら。
(゚、゚トソン ……がんばってくださいね
('A`) へ? あ、ありがとございます…
(゚、゚トソン 当然のことではありますが、現場は初日がすべてです
(゚、゚トソン あなたも同伴するので大丈夫でしょうけど、向こうの人には、初日でその人の八割が見られます
(゚、゚トソン 初日のうちに、なるべくしぃちゃんの能力を引き出してもらいたいんです
しぃさんの能力、か。
俺、まだウチのアイドルのこと、ぜーんぜんわかってないんだけどな。
(;'∀`) ま、まあ……少なくとも、遅刻はさせませんよ
.
922
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:40:31 ID:XXnU39DY0
しちまったんだよなあ、コレが。
原因は、簡単。
ダブルブッキング……ってほどではないが、用事が、かぶったんだ。
誰のって? 俺の。
俺は事務所のソファーで寝て、朝を迎えた。
アラームの音、朝六時。
起きて、ケトルでお湯を沸かす。
朝は、とにかく苦いコーヒーを飲まないと目が覚めないのだ。
事務所だと、ヤニ吸えないし。
( 'A) 屋上でだったら……吸っていいかな?
事務所に置いてあった替えのシャツに着替える。
大丈夫だと思うけど、念のため、消臭スプレーをかけておく。
ヤニが知られないように、スプレーは常備しているのである。
すると、電話がけたたましい着信音を鳴らした。
( 'A`) うへ
、 、
研修を終えた俺は、それ以来、電話をすることが多くなった。
通話代がばかにならねえから、慌てて定額制に変えたわけだが。
.
923
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:41:08 ID:XXnU39DY0
通話先から、応答と同時にけたたましい声が聞こえてきた。
ξ#゚⊿゚)ξ 『もしもし! アンタ、今どこ!』
ツンさんだった。
中学二年生の、スギウラプロ最年少。
そして、気の強さも、事務所イチ……正直、コワい。
(;'A`)] な、なんだよ急に。 オハヨウ
ξ#゚⊿゚)ξ 『昨日言ってた台本、まだ届いてないんだけど!』
(;'A`)] ……台本?
台本、って……
ξ#゚⊿゚)ξ 『アキバの街角でやるやつ! ほら、ウンタラカンタラってやつ!』
ウンタラカンタラってなんですか。
それはさておき。
(;'A`)] ………ッ!!
あ。
あああああああああああああああああああああ?????
.
924
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:41:57 ID:XXnU39DY0
俺は文字通りガバッと、振り返って二段ロッカーの上を見た。
あったんだよ。
台本。
昨日かおとといか、速達で出しておく約束をしていた台本。
昨日の昼、ツンさんが帰る時に持って帰るはずだったのだけど、
ちょうど、台本に変更点があった、という連絡を向こうさんから聞いていた。
ξ゚-゚)ξ それ、どうすればいいのよ
( 'A) ああ、ちゃんと郵送しておくよ
ξ゚-゚)ξ 郵送? 大丈夫なの? 遅れないの?
( 'A) ちゃあんと、速達で出しておく
( 'A) 心配すんな、速達は、速いんだ
ほんとなの? まあいいケド。
そう言い残してツンさんは帰り、俺はその後、台本に言われたとおりの調整を施した。
そして、ものの見事に忘れていた。
というのも、退勤する時に速達出すつもりだったんだよ。
でも予想外に残務が残っていたから、結果、こうして事務所で寝ることになっちまった。
ξ#゚⊿゚)ξ 『今日から稽古がはじまるのよ!』
あれがないと、あたし、何もできないじゃない!
.
925
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:42:30 ID:XXnU39DY0
俺は、パニックになりつつあった。
ッてか、なってた。
(;'A`)] すッ、すまん!
ξ#゚⊿゚)ξ 『謝る前に、台本届けてよ!』
(;'A`)] 今すぐ、届ける! 今、どこにいる!?
ξ#゚⊿゚)ξ 『駅に向かってるとこ!』
(;'A`)] こっちに来るのか?
ξ#゚⊿゚)ξ 『稽古場に向かってるのよ!』
たしか、ツンさんの家から見ると、その稽古場と事務所は真逆の位置にあったな。
そして、現場入りは八時。
早め早めを意識するとなると、確かにこっちに来るのはあまり望ましくない。
しかし、台本を待たずに現場入りとは……。
現場入りを優先させることを褒めるべきか、無鉄砲と呼ぶべきか。
(;'A`)] わかった
ξ#゚-゚)ξ 『何がわかったの!?』
(;'A`)] 今すぐ、俺が、そっちに向かう
.
926
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:43:08 ID:XXnU39DY0
ξ゚-゚)ξ 『 へ?』
(;'A`)] でも、俺にも任務はあるから、現場までは行けそうにない……
(;'A`)] だから、その……キミが乗り換える駅で合流ってことにさせてくれ!
ξ゚-゚)ξ 『と、届けるって……今から?』
(;'A`)] 今、俺は事務所にいる。 快速に乗ったら、多少ラグはあっても、たぶん間に合いはするだろ!
俺は右肩で電話を支えながら、事務所に備えられてある路線図を開いた。
スギウラプロの最寄り駅……からでは、間に合わない。
しかし、少し離れた大きな駅からなら、合流する駅まで、一本で繋がってある。
途中まで快速に乗って、途中で準急に乗り換える。 これが、最速だな。
ツンさんが、電話の向こうで、少し言葉を詰まらせた。
ってか、今、走りながら電話してるんだよな……。
そう思うと、罪悪感が膨れ上がってきた。
罪悪感と、正義感。
俺はかばんに台本と路線図を入れて、事務所から飛び出した。
(;'A`)] 駅に着いたらラインくれ! 俺も送るから!
ξ;゚-゚)ξ 『わ、かった。 じゃっ!』
じゃっ!
同時に通話を切って、俺も走り出した。
.
927
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:43:35 ID:XXnU39DY0
しっかし、なあ。
世の中、そううまいこといかねえんだなあ。
('A`)
('A`) 快速、三十分後?
今、二分後に準急が来る。
一本二本なら見送っても、快速に乗ったほうが速いだろう。
でも、え、三十分後?
ちょっと待って、今、六時半ですよ。
七時に乗ってたら、今度はしぃさんのほうが間に合わないじゃん。
慌てて乗り換え案内アプリを開く。
ここから合流地点まで、準急で向かうと……四十分!?
準急が線路の向こうのほうからやってきた。
次、三本送った後の急行で計算。
待つ十八分を計算にいれて、向こうまで二十八分で……
アナウンスが、準急の到着を告げる。
俺の足は、無意識のうちにその準急に飛び乗った。
.
928
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:44:21 ID:XXnU39DY0
これを逃したら、それだけで八分のロスで、そこでくるのは各停。
というか、これを逃したら次は三本後の急行です。
しかたねえよな?
('A`)
('A`) アッ
俺は、全身が冷えゆくのを感じた。
このままだと、向こうに着くのが七時十分頃。
ごたごたも含めて、ツンさんに台本を渡すの、だいたい五分と計算しよう。
、、 、 、 、
それらを含めて、俺は帰りの電車を検索した。
('A`)
(;'A`)
各停を除くと、最初に乗れるのが七時二十二分の準急。
つまり、駅に着くのが八時ごろ。
、 、 、 、 、、 、 、、 、 、 、 、 、 、 、
そこから事務所に戻るまでの三十分がかかる。
.
929
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:44:54 ID:XXnU39DY0
(;'A`) う
落ち着け落ち着け。
事務所に八時半だ。
八時半に事務所にいれば、まだじゅうぶん間に合う。
ただ、俺がしんどいだけだ。
しぃさんに、ラインを送る。
>すまん。 俺の手違いで事務所には八時半ごろに着く。
>だから出発する準備を整えておいてくれ。
しぃさんから、すぐにラインが返ってきた。
早いな。 さすがに緊張で早起きしていたか。
>りょりょです*^^*
>がんばってください!プロデューサーさんb
(;'A`)
(;'A`) ふう〜〜〜〜〜〜〜〜
扉にもたれかかって、うなだれた。
なんとか、首の皮一枚つながったか。
十五分くらいして、ポケットにしまっていたスマホを開いた。
開くのが、遅かった。
しぃさんからラインが返ってきた後数分後、ラインが来ていたのだ。
ツンさんから。
.
930
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:45:59 ID:XXnU39DY0
>乗る電車まちがえた
(;'A`)
(;'A`) ………え
なんだって。
乗る電車まちがえた。
まちがえたって?
>まちがえたって?
コメントすると、すぐに既読がついた。
>なんか
>××駅行きに乗った
××駅……?
俺は持っていた路線図を開いて、××駅を探す。
( 'A)
( ;'A) ちょ……
ちょっと待て………。
完ッ全に別の方向じゃねーか!
.
931
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:46:28 ID:XXnU39DY0
途中までは、本来乗るはずだった路線と一緒なんだけど、
××行きだと、途中で本来行く路線とはまるで違う方向に向かうことになっている。
>いま何駅だ!
すぐに既読がついた。
>わからない
わからないって。
>今すぐ降りて、引き返すんだ
というか、どうして、気づいた時に、すぐ引き返そうとしなかったんだ。
既読は、すぐについた。
でも、返信は、なかった。
( ;'A) まじで言ってんのか……?
思わず小声が漏れる。
何駅かがわからないが……少なくとも、ツンさんは十五分前には既に乗り違えに気づいていた。
それを加味して、引き返す時間と、そこから合流できるまでを計算すると……。
俺は目を丸くした。
まあ待て、この期に及んでまともに合流地点まで向かう必要はない。
××行きが俺の乗ってる路線から分かれる直前の駅、ここで合流すればいい。
それで、再検索……。
.
932
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:47:00 ID:XXnU39DY0
( ;'A)
オーケー、まだ間に合う。
本来四十分かかっていたところが、二十五分ほどで俺は新たな合流地点に着く。
俺視点で言えば、まだ大丈夫、なのだが……。
画面上に、タブがにゅっと現れた。
いやーな文字が見えた。
>これ快速
快速?
>次の駅に着くまでだいぶかかるらしい
だいぶ?
>今△△って駅が見えて次に停まるのが□□駅らしい
ん?
路線図を見る。
現在地は、まあ△△駅としよう。
次に着くのが□□駅ということは……
何駅あるんですか、コレ。
というか、その駅から合流地点まで、十五駅近くあったぞ。
.
933
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:47:22 ID:XXnU39DY0
落ち着いて再検索をします。
ざっと………………
('A`) 八時二分
八時二分。
ツンさんがとりうる最速の行動で検索しなおすと、そうなった。
八時二分。
待て待て待て待て?
('A`)
ツンさんの現場入りが、八時。
あれ?
(;'A`) ちょっ
俺は、新たな合流地点で降りた。
そしてすぐに、電話をかけた。
ツンさんの仕事先の関係者さんに。
.
934
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:47:54 ID:XXnU39DY0
(;'A`)] ほんっとーーーーに!!!もうしわけありません!!!
たぶん、前の職場ではここまで心をこめて謝ったことないぞ。
俺は、心の底から、自分に責任を感じた。
だいたい、台本のことを失念しなけりゃ、こうなることはなかったんだ。
ツンさんはたぶん、台本のことで、かなり焦っていた。
というか、実際、焦っていた。
ツンさんは、歳のわりにしっかりしていると聞いていた。
実際、ツンツンしてるけど(ツンさんだけに)、歳不相応のしっかり者だろう。
でも、台本がないというトラブルが、彼女を急かした。
そして、彼女を、別方向への、それも快速の電車に乗せてしまった。
なんで引き返さなかった!
と思ったのが、あまりにも無責任のように思えてきた。
(;'A`)] はいっ! はいっ! 半には、必ず間に合わせます!
関係者さんは温和な人で、八時半までに間に合えば大丈夫だ、と言ってくれた。
それで少しは救われた気がした。
まあ、気がしただけなんだろうけど。
俺がほっとしたって関係ないんだからな???
.
935
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:48:42 ID:XXnU39DY0
ベンチに腰を下ろす。
そしてこれからツンさんを待つのだが、どうにも落ち着かない。
貧乏ゆすりが止まらん。
あちこちをきょろきょろして、ラインもひっきりなしに確認して。
だいぶ待ったなあ、と思ったら、まだ五分しか経ってなかった。
(;'A`) ………
俺はふと、駅構内にあるコンビニが目についた。
そういや、朝からまだ、何も食べてない。
結局、飲もうと思ってたコーヒーも飲んでないし。
(;'A`) 栄養剤でも……買ってくかな?
立ち上がって、コンビニに向かう。
なんか、足取りがおぼつかない。
ふらふらする。
気疲れ?
(;'A`) あ〜〜〜……
これがムダな出費ってやつだよな……?
はあ。 まだ、給料もらってないのに。
経費で落としてくれねえかな?
.
936
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:49:09 ID:XXnU39DY0
弁当コーナーをすみずみまで見て、一番安くて量が多そうなのを選ぶ。
既に栄養ドリンクは確保した。
大阪風焼きそば弁当?
320円、これだな。
焼きそばとごはんにから揚げが2ヶ。
欲を言うとこれにおにぎりを買い足したいが、さすがに良心の呵責が。
スカウト……研修の時点で、既に散々経費を使ってるんだ。
それに、これが経費で落とされると決まったわけでもないし。
マネーだいじに。
あたためますか?
( 'A) はい。 ………オッ
ふと、レジの向こう側に目が行く。
ああ……そういや、ここ数日、吸ってなかったな、ヤニ。
( 'A`) えっと……
財布のなかを見る。
帰りの電車賃も考慮して……
.
937
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:49:29 ID:XXnU39DY0
(;'A`)y-~~
はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ハイライトを、1ヶ。
銘柄変えてミリ数を落とすことは考えたが、
こないだ試しに1ミリを吸ったら、一日でひと箱が消えた。
やっぱり17ミリ。
一度あげたら落とせない。
うんめえなァ〜?
( 'A`) ン………
( 'A`) 案外イケるな……
弁当を平らげると、十分が経過していた。
まだ七時二十分。
俺は食後の一本をくわえた。
( 'A`)y-~~
( 'A`)y-~~ おっ
.
938
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:49:50 ID:XXnU39DY0
しぃさんから、ラインが飛んできた。
>着いたら、何してたらいいですか!
( 'A`)y-~~ まじめだなー……
たしかに八時ごろに来る、とは言っていた。
本来なら、俺と打ち合わせしたり、何気ない談笑を交えたりして、
彼女のプレッシャーをほぐしておくつもりだったんだが。
(;'A`)y-~~ はあ〜〜〜〜………申しわけねえ
ほんとだよ。
>発声練習とか?
すぐに返信が来た。
>わかりました!
そして、グッと親指を向けているスタンプが届いた。
俺は頭を下げている顔文字を送っておいた。
苦手なんだよ、スタンプ。m(__)m
( ')-~~
想定外にツンさんが早く来るかもしれない。
そう思うと、自然とヤニを吸うスピードも速まる。
結果、別に彼女が早く着くこともなかったわけだが。
日を重ねるごとに、ヤニを吸うスピードが速くなっている気がする。
よろしくない。
.
939
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:50:49 ID:XXnU39DY0
しかし。
結果として、八時二分の電車から、ツンさんは降りてこなかった。
計算、まちがえたか?
>いま、どこ?
ラインを飛ばす。
既読は、またコメントした瞬間についた。
しかし、すぐに返信はこなかった。
書く内容を考えているのか、いま何駅かを見ているのか。
一分ほどして、返事がきた。
>□□駅
□□駅。
□□駅?
( 'A`)
( 'A`) え?
ちょっと待て。
それって、例の快速を降りた駅じゃなかった?
.
940
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:51:36 ID:XXnU39DY0
>快速がない
( 'A`)
( 'A`) え?
いや、そんなまさか。
俺が検索した時は確か、降りてすぐに乗り換えれば、今頃は……
(;'A`) ! しまった!
、 、 、 、、 、、 、 、
八時二分に到着するのは、すぐに乗り換えれば、だ!
乗り換えようと思ったら、反対側のホームまで行く必要があるが……
もし、それに間一髪、間に合わなかったら?
、 、 、 、
アプリを起動、その場合を検索する。
快速急行は、しばらくやってこなかった。
汗が頬を伝う。
すると、唐突にスマホが震えた。
ツンさんからだった。
(;'A`)] もしもし! まだ□□駅なのか!
返事はなかった。
荒い息遣いが、喧騒をバックグラウンドに聞こえてきた。
.
941
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:51:56 ID:XXnU39DY0
(;'A`)] 急行が何本かあったはず! あれに乗れば、まだなんとか……
ツンさんが何かをしゃべろうとしたから、俺は黙った。
しかし、言葉は、こなかった。
いや、言葉を出しあぐねているのだ。
(;'A`)] ええと、次に来る電車で、準急以上のがあったら、それに乗れ!
準急だと、いったいどれくらいかかるのか。
しかし、それでも乗らないよりは当然いい。
準急にでも、急行にでも乗って。
俺がその間に最速ルートを検索して、次発の快速に乗り換えられる駅を知らせる。
そうすれば、遅刻確定にこそなるが、被害は最小限に食い止められる……ハズ。
しかし、ツンさん、ようやくしゃべったかと思えば、
ちいさく、無理よ、と言っただけだった。
(;'A`)] ……! どういうことだ!
俺の叫びは、しかし向こうのサイレンの音にかき消された。
電車きたから、乗るね。
騒がしいなか放たれた声は、たしか、そんなふうに聞こえた。
.
942
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:54:40 ID:XXnU39DY0
八時四十二分。
電車から降りてくる人影のなかに、巻き髪が見えた。
俺は、慌てて彼女のほうに駆け寄った。
(;'A`) ツンさん!
ξ゚-゚)ξ ……!
(;'A`) よかった……なんとか、着いたようだな
ξ;゚-゚)ξ な、なんで、あんた……!
ツンさんも、俺のほうに駆け寄ってきた。
その顔に、いつもの覇気はなかった。
(;'A`) そうか……準急に乗ったのか。 遅すぎるわけだ
ξ;゚-゚)ξ えっと………
ツンさんが、問いあぐねている。
(;'A`)ゝ 安心してくれ。 向こうさんには、ちゃんと話をつけておいた
(;'A`) 昼の部から、ということだそうだ。 ちゃんと、お礼言っとけよ
ξ;゚-゚)ξ そう、じゃなくって……
.
943
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:55:33 ID:XXnU39DY0
ξ;゚-゚)ξ しぃのほうは……大丈夫なの?
言われて、俺は心臓を一刺しされたような気になった。
たしかに、ツンさんのほうが一件落着したから、彼女はもう彼女にまかせて、
俺は、すぐにでも、事務所に戻るべきだった。
ただ……なんだろうなあ……
ここで彼女にまかせてこの場を去ることが、俺にはできなかった。
いや、ただの言い訳、ってのはわかるんだけど……
とりあえず、しぃさんに先に行ってくれ、とだけ言っておいた。
(;'A`) キミをほったらかして、帰れなかったんだよ……
ξ;゚-゚)ξ ……ハ? ばっかじゃないの?
(;'A`) あ、ちょっと!
ツンさんは、俺が片手に持っていた台本を奪い取った。
(;'A`) ど、どうするんだ?
ξ゚-゚)ξ 今から、現場に行くに決まってるじゃない
(;'A`) え……昼からってことになってるけど
.
944
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:56:26 ID:XXnU39DY0
ξ゚-゚)ξ それだと反省が示せないでしょ
ξ゚-゚)ξ 先に行って、見学もかねて、謝ってくるわ。 あんたの分も含めて
俺、もう何度も謝ったけどな。
('A`) そ……そうか
ξ゚-゚)ξ じゃ
('A`) え? ちょ
ツンさんは、そのまま、向かいの電車に乗り込んでいった。
声をかけようにも、その前にツンさんは車両の奥のほうに進んでいった。
(;'A`) あら……
ツンさんは……行ってしまったか。
今から、しぃさんと合流するか。
もう、事務所出てるか?
しぃさんにそうラインを飛ばそうとしたところで、彼女からラインがきていたことに気づいた。
>あの、いつ帰ってきますか?
え?
いや、その、先に行ってて、って……。
.
945
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:56:48 ID:XXnU39DY0
(;'A`) ハッ!
いや〜〜な予感がして、俺はかばんの中身を漁った。
すると、そのなかに、彼女に必要な資料が眠っていたのを見つけた。
その日その日の進行を事細かに記した紙。
これがないと、しぃさんは、現場に行ったところで向こうさんのお荷物になるだけだ。
(;'A`) ………あ!
あああああああああああああああああ!!!
あの子を先に送り出したって、意味、ねーじゃん!!!
今、何時だ?
八時四十七分。
しぃさんの現場入りは?
十時入り。
しかし、新人アイドルのくせにいきなり十時入りだと?
論外。
最低、九時半入り。
事務所から現場まで、何分?
ざっと、二、三十分。
しぃさんは、間に合う。
しかし、ここからだと?
.
946
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:57:50 ID:XXnU39DY0
駅まで準急二十分程度。
そこから現場までの二、三十分。
間に合う?
間に合わない。
あの駅から、事務所の最寄り駅まで走っていかなければならない。
はい、それを検索条件に踏まえて再検索。
(;'A`)] もしもし!
(*゚ο゚) 『も、もしもし……プロデューサー?』
(;'A`)] すまんが、俺がそっちに着くの、遅れそうなんだ!
(*゚-゚) 『え……え? そっちって、事務所?』
(*゚ー゚) 『別に、事務所にこなくても、直接現場に行けば……』
(;'A`)] 違う! 現場に着くのが、遅れそうなんだ!
(;*゚ο゚) 『……えっ!? じゃあ、資料は……』
(;'A`)] 今からタクシーを拾ってそっちに行く! そうしたら、まだ早く着くハズ……だから!
.
947
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:58:12 ID:XXnU39DY0
電話をしながら、俺は駅から出た。
路線図で確認すると、戻って現場に向かうコースはコの字になっていて、ロスが発生する。
(;*゚-゚) 『私は、どうしていたら……』
(;'A`)] あとで、ラインで待ち合わせ場所を教えるから……そこで待っててくれ!
現在地から現場までをつないで、その中間地点にしぃさんを待機させる。
そこをタクシーで拾いにかかって、そのまま現場まで直行。
これが最短ルートのはず。
……だよな?
(;*゚-゚) 『わ……わかりました!』
(;'A`)] ゴタゴタしててすまん! じゃあ、頼んだぞ!
はい!
しぃさんの力強い返事に救われて、俺は電話を切った。
(;'A`) タクシー乗り場は……こっちか
俺は、案内板を頼りに、全速力で乗り場に向かった。
.
948
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:58:39 ID:XXnU39DY0
そして、どうなったのか。
察しがいいやつなら、わかると思うんだがなあ。
渋滞だよ。
はあ〜〜って感じだ。
いや。
それどころじゃないんだよ。
はあ〜〜どころじゃない。
はあああああああああああ!!! って感じだ。
結局、向こうさんにはいいよ、って言われたしな。
何がいいんだろう。
しぃさんの分の欠員、どうするつもりだ。 代わりでもいるのか?
いるんだろうなあ。
だって、無名のアイドルなんて、星の数ほどいるんだから。
星には手が届かないって?
お前ら、伸ばしたら届く手を振り払って星をどっかにやってるだけなんじゃねえの?
(*゚ー゚) じゃ………いただきます
(;'A`) どうぞ、どうぞ
.
949
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:59:02 ID:XXnU39DY0
いたたまれない気分がぬぐえなかった。
しぃさんは、きっと、今回の仕事、喜んでいたんだ。
というか、実際、俺の目に見える範囲だけで言っても、喜んでたんだ。
しかも、しぃさんのような、これから売り出すようなアイドル、
自分が必要とされることに、何よりの喜びを感じるはずなんだ。
それを、蹴られた時の気持ち。
……知りたく、ないなあ。
(;'A`) ………
(*゚ー゚) …… カチャカチャ
しぃさんは、ハンバーグを、不器用な手つきでクチに運ぶ。
顔は……笑ってるんだよ。
笑ってるんだけど……その……
(*゚ο゚) ん…… モグモグ
完ッ全に、泣いてますよ、コレ。
中身。
完ッ全に、泣いてますよ、中身。
.
950
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:59:31 ID:XXnU39DY0
(;'A`) ………その
かける言葉が、見当たらなかった。
まだ働き始めて一ヶ月くらい?
そんな新米のプロデューサー、つまりはほぼ一般人。
そして、そのふたを開ければ、女心のひとつ汲めないダメ男にすぎない。
しぃさんは、明るい子である。
そして、抱え込むタイプでもあるんだよなあ、とは感じている。
まだ事務所でもある程度しか彼女と接していないが、弱い部分を見たことがない。
きっと、仕事、といっても、しょぼいものだろう。
ただ、このさい、規模なんて関係なくて。
しぃさんは、しょぼいはしょぼいなりに、
自分が必要とされる現場を想像して、わくわくしていたに違いない。
それを、度重なる俺の不手際で、ゼロに……
むしろ、マイナスにしてしまったに違いない。
無名アイドルの粗相。
芸能界は、ひとつのミスがどこまでも尾ひれを引く業界らしい。
俺の、今回の何気ない不手際、
ひょっとすると、彼女のこれからのアイドル人生を、ふいにしたのか?
そう思うと、何も話すことができなかった。
.
951
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 02:59:55 ID:XXnU39DY0
(;'A`) その……ごめんな
(*゚ー゚) へ!
カチャ!
手元が狂ったような音がした。
(;'A`) キミの、せっかくの仕事を、台無しにしちゃって……
(*゚ー゚) またですか
ナイフとフォークを置いて、口元を紙ナプキンで拭いた。
(*゚ー゚) いいんですよ! 次、がんばればいいんです!
(*゚-゚) そりゃあ、おシゴトがなくなったのは残念ですケド……
プロデューサーひとりの責任じゃありません!
そう言ったように聞こえたが、耳に膜ができたような感じがして、明瞭には聞こえてこなかった。
(;'A`) ………ごめんな
スラックスの膝の部分を、両手で握り締める。
自然と、涙腺がゆるんだ。
.
952
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:00:16 ID:XXnU39DY0
(*゚ー゚) でも、ツンちゃんのほうはうまく行ったんでしょ?
(*゚ー゚) そっちがうまくいっただけでも、プロデューサーはがんばりましたよ!
(;'A`) ………すまん
最後にひと言、ぽろっ、と謝った。
語彙力、ねえな〜?
他に言うべきことは、あるはずなのにな〜?
(;'A`) ………あ
無意識のうちに、かばんのほうに手が伸びた。
なにをトチ狂ったのか、俺は煙草を吸おうとしていた。
あっぶね。
はあ。
人間のクズ感満載だなあ?
(;'A`) …………むう
しかし。
こういう時にこそ、吸いたくなるんだよ、煙草。
ふとしぃさんのほうに視線を向けると、しぃさんもそれに気づいた。
.
953
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:00:45 ID:XXnU39DY0
(*゚ー゚) どうしました?
(;'A`) へ! あ、イヤ……なんでもない
(*゚-゚) ……そうですか
ムズムズしてきた。
ふと想像してみる。
シガレットをとんとんして葉を詰め、少し余った紙に火を点し、
それを吸って、ひと口目特有のよい喉越しを味わう。
深く息を吐き出して、二酸化炭素混じりの紫煙を景色に溶け込ませる。
そして、ひと息。
続けてもう一口を、パチパチと小気味のよい音を聞きながら吸い込む。
クールスモーキング、クールスモーキング、と心中で唱えながらも、深く吸い込む。
舌の上、喉の奥を焼き付ける辛みが、たまらん。
しかし、そこで甘いカフェオレを呷るわけ。
はあ〜〜〜〜〜〜〜たまらん。
(;'A`) ……んん……
(*゚ο゚) ………。
.
954
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:01:33 ID:XXnU39DY0
しぃさんは、ふと 「プロデューサー!」 と言った。
(;'A`) へ。 なに、
(*゚ー゚) はい!
しぃさんは、一口分に切り分けたハンバーグを俺のクチに押し付けてきた。
(;゚A`) ふげ!!!
意図せぬ攻撃に、俺は思わずたじろいだ。
別にいいのに!
しっかし、一度クチに触れちまったハンバーグを、しぃさんに返すわけには行かん。
しぃさんもそれをわかっているのか、悪魔的な笑顔を浮かべている。
クッソ……可愛いなあ!?
エヘじゃないよ〜!
(;'A`) ……… モグモグ
(*゚ー゚) プロデューサー、また私のことで背負い込んでたんでしょ
'_
(;'A`) 、
.
955
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:01:53 ID:XXnU39DY0
あごを、肘をついた両手で支え、にひひと笑っている。
(*゚ー゚) 今回のおシゴトだって、プロデューサーがいなきゃできなかったんだから
(*゚ー゚) そんな逆恨みみたいなこと、私はしないデス
そのですって言い方、くぁわいいな。
です!って言い切るんじゃなくて、
ちょっと声を濁らせる感じで、あひるグチで、しないデス↓
(;'A`) ……そうかあ?
(*゚ー゚) まだまだこれからなんですから!
(*^ワ^) そのうち、素敵なステージに立たせてくれる!って……
(*゚ー゚) ………信じてますから
だから、そのからって言い方、くぁわいい。
今度は、ぼそっと、ふっと言い切る感じで、首をかしげながら、信じてますから↓
('A`) ……
(*゚ー゚) 冷めちゃう前に、はやく食べなきゃ
( 'A) しぃさん、ちょっと席はずすよ
'_
(*゚ー゚) 、
.
956
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:02:24 ID:XXnU39DY0
俺はコソっと煙草を隠し持って、席をたった。
(*゚ー゚) トイレですか?
( 'A`) アイドルがトイレなんて言っちゃイケマセン
しぃさんも、俺が電話なりなんなりすると思ったんだろう、
特にそれ以上深くを聞いてくることもなかった。
( 'A`)y-~~
( 'A`)y-~~ はあ………
駐車場の奥のほう、しぃさんに見えないところでヤニをともした。
ガマンにガマンを重ねたハイライトの味はひとしおだった。
( 'A`)y-~~
紫煙でぼやける光景を見つめながら、これからのことを考えていた。
消臭スプレーなしでも感づかれないか、とか。
社長にはどう謝ろう、とか。
次向こうで仕事をとる時、どうしようか、とか。
ほんとうは、しぃさん、傷ついてるんじゃねーの、とか。
.
957
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:02:47 ID:XXnU39DY0
( 'A`)y-~~
前任のプロデューサーは、どうしてたんだろう。
当時は今よりもけっこう多かったそうだし、アイドル。
、 、
スギウラプロにきて、けっこう話は聞くんだよ、前任の。
別に無能ってわけではないんだろうけど、
どちらかというと、その多忙さに着眼点がおかれていた。
そして、そのたびに俺は 「辞表 書き方」 と並べる。
( 'A`)y-~~
……まあ、実際に女の子たちを担当するようになってからは、
もうそんなこと、考えることすらなくなったわけだけど。
( 'A`)y-~~
俺が思っていた以上に、無名アイドルってのは、人間味であふれてるんだ。
、、、 、、 、
シゴトだからプロデュースしなければならない
じゃなくて、
、 、 、、 、、 、 、 、、 、
俺はプロデュースしたい
ってな感じに思うようになってきた。
.
958
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:03:09 ID:XXnU39DY0
( 'A`)y~~
( 'A`)y~~ あっ
もう一本目が燃え尽きた。
はえ〜なァ。
携帯灰皿がないから、クソマナー勢になるけど、アスファルトに落としてげしげしした。
途中で 「アッ 革靴」 って思ったけど、まあ、もういいよね。
( 'A`) ……ふぅ
さて。
( 'A`) ゴソゴソ
もう一本くらい……イイよね?
ふところに手を突っ込んで、箱は出さないように一本を取り出す。
しっかし、ライターも箱のなかに入れてたわ。
はァ〜二度手間。
('A`)y- ……へ
クチにくわえて、さあ、と思うと、電話が鳴った。
無機質な音で、俺を現世へと連れ戻してきやがった。
.
959
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:03:40 ID:XXnU39DY0
( 'A`)] はい、ドクオ……
(゚、゚トソン 『もしもし』
オッ。
都村事務員。
( 'A`)] あ、都村さん……お疲れッス
瞬間、俺は逃げきれたと思っていたはずの現実に肩をたたかれた。
(゚、゚トソン 『しぃちゃんのことが気になったので、電話をかけてみたのですが』
(゚、゚トソン 『………あったのですか? 何か』
( 'A`)] ……ああ
やっぱり、わかっちゃうか。
この人、人を見透かすの、ゼッタイうまいよな。
( 'A`)] ………えっと。
どうせ、通話代は俺にはかからないんだ。
俺はここで、(しぃさんもいないことだし)起こった一部始終をぜんぶ話した。
.
960
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:04:36 ID:XXnU39DY0
(゚、゚トソン 『………』
この人、決して悪気があって沈黙してるんじゃないんだとはわかってんだけど、
やっぱりコワい。
( 'A`)] 以上です
(゚、゚トソン 『……ツンちゃんの下りは、あの子から聞いてましたが……』
聞いてたんかい。
( 'A`)] やっぱり、俺……こんなンで大丈夫なんですかね?
甘える。
今は、誰かに甘えてたい。
甘ったれだし。
(゚、゚トソン 『私にはわかりかねます。 ぜんぶ、社長次第ですから』
アッ 甘えさせてもらえない。
( 'A`)] 今は、とりあえず通ったファミレスで、休憩してるところです
(゚、゚トソン 『ファミレス、ですか』
怒られるかな。
.
961
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:05:04 ID:XXnU39DY0
(゚、゚トソン 『ちょっと気になったんですが』
へ?
(゚、゚トソン 『ツンちゃんは、遅れても、遅れたから昼からでいいよって言われても、』
(゚、゚トソン 『無視して、遅れたは遅れたなりに朝のうちに出勤したんですよね?』
え?
あ、ああ。 うん。
(゚、゚トソン 『ドクオさんは、』
うん?
(゚、゚トソン 『ツンちゃんみたいに、しぃちゃんを現場に送らないんですか?』
(゚、゚トソン 『それこそ、遅れてでも、遅れたなりに』
うん。
………。
うん?
.
962
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:06:03 ID:XXnU39DY0
(;'A`) しぃさんッ!
'_
(*゚ο゚) 、
しぃさんは、鉄板の上にあったハンバーグから野菜まで、ぜんぶ食べていた。
クチを紙ナプキンで拭い、まるめたそれはわきに置いてある。
慌てて戻ってきては声をかけてきた俺を見て、なにごとだ、といった顔をした。
俺は、席においてあったかばんを持って、しぃさんの手をひいた。
(;'A`) 予定変更だ! いまからでも、現場にいくぞ!
(;*゚-゚) へ? でも、おシゴト、なくなったんじゃ……
、 、 、 、
(;'A`) だから予定変更だ!
しぃさんは困った顔を浮かべて俺に引かれるがままついてきた。
レジで札と伝票をたたきつける。
釣りは募金しといて!
(;'A`) ええと、タクシーは……
(;*゚ο゚) ちょっと、プロデューサー! 予定変更って?
グッタイミン。
タクシーが道路のわきに止まった!
.
963
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:06:32 ID:XXnU39DY0
(;*゚ー゚) ……ア。 やっぱり、遅刻が許された、トカ……
(;'A`) このまま引き下がるのは、やっぱりダメだ!
(;'A`) 俺は意地でも、キミを現場に入れさせる!
(;*゚ο゚) ………ハア?
ハア?
正しい反応だね。
そうだ、合ってるよ。 「ハア?」
慌てて現場のほうに行くように告げる。
渋滞はなくなってきたようで、十分ちょっとあれば着くだろうとのことだ。
(;'A`) ………新人は三十分前だ、とか
(;'A`) そんな礼儀はわかってても
(;'A`) 遅刻した時の対応ができなきゃ、いっちょ前の社会人、名乗れねーなァ……?
(*゚ο゚) ……プロデューサー?
(;'A`) 運転手さん! 安全運転で、急いでネ!
.
964
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:06:53 ID:XXnU39DY0
稽古場に到着。
本日早くも二度目の釣りはいらねえよ!
扉を開けると、中にいた関係者や役者のみんながこっちを見た。
( ・∀・) ン?
(;'A`) す、スギウラプロのもんです! 遅れましたッ!!
( ・∀・) え? ああ、スギプロさんね。 電話でも言うたケド、
(;'A`) ほんッとうに、申しわけありませんッ!!
( ・∀・) え
俺は思いっきり土下座した。
額も床にバチコーンとぶつけた。
( ;・∀・) 待て待て! なんや急に……ア、 さっき言った役取りで台本見といてー!
制作……つまりショーのプロデューサーみたいな人、
畢竟おエラいさんであるモララーさんが、見かねて駆け寄ってきた。
スギプロとは遠からず近からずな関係らしい。
.
965
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:07:16 ID:XXnU39DY0
( ;・∀・) なんや、顔あげや!
このモララーという人、大阪のほうじゃけっこうな有名人らしい。
プロデューサーとして、テレビや舞台のほうでなかなかな活躍をしてるとかしてないとか。
(;'A`) ウチのアイドルが遅れたのは、完全に自分の責任です!
( ;・∀・) ええねんて、そーゆークサい責任はいらんから……
(;'A`) ウチとしては決して見逃せない問題であります!
( ;・∀・) こっちで大声出されるほうがヨケー迷惑やっての!
(;*゚-゚) ………ぷ……プロデューサー。
クソ……前の職場で鍛えた社畜スキルがまるで効かない。
大阪人って、ほんとうに見慣れてるんだな、土下座とか、そーゆーの。
(;'A`) いや……そうじゃないんです
( ;・∀・) 何がや
もう、こうなったらヤケだ!?
.
966
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:07:44 ID:XXnU39DY0
(;'A`) このたびのお仕事……ウチのしぃなら、カンペキにこなせる
(;'A`) そう確信した上で、しぃを送り出したつもりでありました
(;'A`) その根拠だってあります!
( ;・∀・) …ン?
話が見えないぞ?
そんな顔をされた。
、、 、 、、 、、 、 、 、、、 、 、 、 、、 、 、、 、 、、
(;'A`) だというのに、満を持してウチのアイドルを送り出せなかったこと……
、 、
(;'A`) そのことに、ワタシは責任、感じてるんです……!
( ;・∀・) わ、わかった、わかったから……
まず、恥を惜しまない土下座と大声謝罪。
それが通じなかったら、具体性。
、 、、 、、 、 、 、 、 、 、、 、 、、 、、 、 、
いましてる謝罪が正当なものでありますよ、ってことを、証明する。
社畜スキル、まだまだあるぞ!
この程度じゃねえぞ!
見たいか!
( ;・∀・) ………わかった、から
.
967
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:08:05 ID:XXnU39DY0
モララーさんの声色が変わった。
( ;・∀・) なーんや、杉浦サンも……
( ;・∀・) 新しいプロデューサー入ったァゆうからどんなンか思たら
まだ、顔はあげない。
( ;・∀・) わかった、許したる、
許したる。 で言い切られていない。
まだ、顔はあげない。
( ;・∀・) ……とは、言えんのや。 もう、代役立てて進めとうからな
(;*゚-゚) わ、私、は………
まだ、顔はあげない。
( ;・∀・) ………
( ;・∀・) でも、や
( ;・∀・) 稽古につきあわせたるンは……かまへん、カナ?
.
968
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:08:38 ID:XXnU39DY0
(;'A`) !
ここだ!
顔を、あげた。
( ・∀・) 代役、ちゅーても
( ・∀・) あくまで、オーディションの順位を繰り上げて採用した子やけどやな
( ・∀・) マ……もとはおたくの子が入る予定やったんやし……
神経が研ぎ澄まされ、あたりの雑音が聞こえなくなった。
( ・∀・) 稽古見てて、やっぱそれでもおたくの子のほうがええな、
( ・∀・) って思えたら……やっぱりおたくの子、採用させていただきますわ
(;'A`) ………!
モララーさんの声は、大阪人なだけあって、トゲは、残っている。
残っている、けど。
イイ、声だ。
.
969
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:09:12 ID:XXnU39DY0
( ;・∀・) イヤ……実を言うたらね?
( ;・∀・) ちょっとさっき、イライラしとりましたんよ
('A`) イライラ?
相手が自分のことを語りだしたら、親身になって聞く。
これは、社畜スタイル基本中の基本、基礎の基礎。
( ・∀・) ほかにもネ、初日やってのに遅刻かます新人がおってねえ
( ・∀・) ほいで、今度はスギプロや。 しかも、モブってわけやない
( ・∀・) ちゃんと、小規模でもオーディションを通ってきはった、アイドルはんでっせ
( ;・∀・) ……ちょーーーーっと、キッツい物言いやったカナ? とは思うとったんや
(;'A`) たいへん、失礼なマネを……
ちゃんと、話題の矛先が非のあるこちらに向かった時は即謝罪。
反省を忘れてませんよアピール。
( ・∀・) いや、ええねんて。 来んな!言うても、来たんやんか
( ・∀・) キライちゃうよ。 そーゆー、クッサい責任
.
970
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:09:40 ID:XXnU39DY0
( 'A`) ………。
( ・∀・) ……でもなァ
( ・∀・) もーーーちょい、考えて入ってきてほしかったな?
('A` ) へ?
改めて稽古場を見ると、みんな、台本を読んではいるものの、
みんな雑談してるし、その話題は十割、俺らのことだった。
( ・∀・) さすがにこれは、稽古のジャマにしかならへんかったわ
モララーさんが、笑いながら言う。
でも、俺はマズった!と思った。
(;'A`) すッ……すいません!!!
( ・∀・) いや、わかったから。 ……で、キミも
(;*゚-゚) はッ! はい! スギウラプロのしぃです!
しぃさんが、早口になりながら深く、ふか〜くお辞儀した。
稽古場の奥のほうにいた、年かさの増した数人がそれに応えていた。
……ベテラン、だなァ〜
.
971
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:11:10 ID:XXnU39DY0
爪゚ー゚) しぃさん!
(*゚ワ゚) あ! じぃちゃん!
こっちのオトナの話がひと段落ついたのを見計らったのか、
別のプロダクションのアイドルが、知り合いであるしぃさんのところに駆け寄ってきた。
どうやら、しぃさんと同じく女子高生の役として、ショーの最初に出てくるひとりらしい。
俺は面識がないが、しぃさんとは親しい仲らしいな。
弱小プロダクションは、弱小プロダクションなりに弱小プロダクションとの付き合いが深いのだ。
……えっと、ミリタリーキャップをかぶっているほうが後輩なのかしら?
まず、その軍服、なんですか? キャラ???
爪゚ワ゚) しぃさんとおシゴトできないって聞いた時、寂しかったんですよ!
(*゚ー゚) え〜! でも、よかったよ!
( ・∀・) はい、はい
モララーさんが手をたたきながら立ち上がって、
他の役者や関係者のみんなにささやかな喝を飛ばす。
.
972
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:11:30 ID:XXnU39DY0
( ・∀・) ジャ、とりあえず全体通して本読みしていきましょう!
(*゚ー゚) あの、私は……!
( ・∀・) キミはあとで打ち合わせってことで、とりあえずは見学しといてもらえますか〜?
(*゚ー゚) ! ハイ、ヨロシクお願いします!
( 'A`) ………
いっちょ前に恥はかいたが……
マ、よかったよかった……
よかった、んだよな?
あれ?
大丈夫なのか?
稽古ジャマして大声張り上げて、
土下座するわ騒ぎ出すわのてんてこ舞い。
大丈夫なのか?
(;'A`) ………う〜〜ん?
考えてもしかたないです。
とりあえず、俺は時間が許す限り、現場を見学するしぃさんを見届けることにした。
その目は、どこか輝いて見えた。
.
973
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:11:54 ID:XXnU39DY0
(゚、゚トソン 『そうですか。 許していただけましたか』
(;'A`)] 一時はどうなるかと……いやマジで……
帰りに、俺は思い出したかのように都村事務員に電話で報告した。
というのも、ツンさんからの 「うまくいった?」 といったラインを見て思い出したのだ。
俺の報告を静かに聞き届けた都村事務員は、そう言った。
優しくとも、あたたかくもない、抑揚のない声だったが。
(゚、゚トソン 『モララーさんのことだから、なんだかんだで許していただけるとは思ってましたが』
(;'A`)] へ……そうなんですか?
(゚、゚トソン 『いちおう、付き合いは短くはないので』
長い、とは言わないのね。
しかし、たしかに、悪い人ではない、って感じがした。
第一、東京でやってけてる時点で、少なくとも悪い人であるはずはなかったわ。
大阪人て、東京だと毛嫌いされるのに。
(゚、゚トソン 『とりあえず、あとは無事に帰ってきてください』
(゚、゚トソン 『あなたも、しぃちゃんも』
(;'A`)] へ……俺も?
.
974
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:12:25 ID:XXnU39DY0
(゚、゚トソン 『あなたが相当無茶をしていたのは、ツンちゃんから聞いてるし、』
(゚、゚トソン 『少なくとも、今回の話を聞くだけでも、容易に想像がつきます』
そうですか。 ヘヘッ。
(゚、゚トソン 『我がスギウラプロのホープなんですから』
(゚、゚トソン 『背負うものも大きいでしょうが、背負ったまま走るようにお願いします』
(゚、゚トソン 『速く走りすぎると、背負ってるものが転がり落ちていきますから』
ン……。
それって、今回のミスのことを言ってる?
(゚、゚トソン 『っと……』
(゚、゚トソン 『すみません。 では切ります』
え?
ああ、ハイ。 お疲れ様です………っと。
……はあ。
俺、うまいことやれてねえのかな???
.
975
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:12:46 ID:XXnU39DY0
(;'A`) さて、と……
稽古場の外。
電話も終わって、次の仕事に向かおうとした。
ひとつ仕事をとって安心できる業界じゃない。
ひとつ仕事をとったら、すぐに次の仕事をとる必要がある。
疲れるなあ、と思って稽古場をたとうとした時。
というか、電話をポケットにしまった時、背中をたたかれた。
(;'A`) はい?
っと。
しぃさんが、両手を後ろに、ちょっぴり前かがみになって俺に
(*゚ー゚) プロデューサー!
さっきも見せた、大きなお辞儀を、しかし屈託のない笑顔で見せてくれた。
(*^ワ^) ……ありがとうございます!
(;'A`) ………
(;'∀`) ……へ、へへ……
.
976
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:13:11 ID:XXnU39DY0
これも、悪くねえもんですな。
頭をなでようかと思ったが、さすがにそんな度胸はなかった。
ただ、がんばれよ、とちいさく言って、照れ隠しに走ってその場を去った。
.
977
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 03:13:32 ID:XXnU39DY0
( ・∀・)探偵モララーの事件譚のようです
>>2-99
(第1回)
>>531-662
(第2回)
●><●>)><)漫才グランプリで優勝するようです
>>106-176
(第1回)
>>789-858
(第2回)
(,,゚Д゚)脱獄するようです
>>182-286
(第1回)
o川*゚ー゚)oキュートはゴキブリ女のようです
>>292-403
(第1回)
向日葵
>>410-521
(第1回)
('A`)ドクオがプロデュースするようです
>>669-748
(第1回)
>>915-976
(第2回)
ブーン系でわかる麻雀プロリーグ
>>752-786
(第1回)
>>862-913
(第2回)
978
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 12:56:21 ID:1ZlL4H9A0
これ好きだわ
979
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 14:09:09 ID:Oeh6x5xg0
ぼくもしゅき
980
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 14:10:22 ID:bj1AzH4I0
乙
クーがどうなったか気になってしまうな
981
:
名無しさん
:2018/07/18(水) 18:10:15 ID:P7nZuMuA0
おっつ
982
:
名無しさん
:2018/07/19(木) 00:41:59 ID:8xSnHaoQ0
( ^ω^)週刊少年エターナルのようです vol.2
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1531928485/
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