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( ^ω^)運命と戦う仮面ライダーのようです part2
553
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:08:30 ID:QzhOKDJ.0
『ブオオオオォォォオッッ!!』
( <::V::>)『以前は取り逃がしたが、今度は逃がさん!』
左手に召喚するカリスアロー。
両手を広げ、イノシシのアンデッドに向け一直線に突き進む。
アンデッドによるアンデッド狩りが始まった。
十分な加速の乗った状態で、カリスは前へと跳躍。
敵のもとへ着地するのは計算済みで、着地間際にカリスアローで斬りつける。
すかさず振り向きながら、素早い斬撃をもう一発。
『グウウゥゥッ…!』
一度カリスの攻撃に嵌まれば、抜け出すことは容易ではない。
カリスアローの隙のない連撃が、着実に命をすり減らしていく。
《-♥3 CHOP-》
後ろ回し蹴りを腹部に叩き込む。
怯んだところに詰め寄り、ラウズしたカードの力を得た右手刀をアンデッドの腹部に叩き込んだ。
( <::V::>)『ふっ!』
『グオオォオッ!?』
554
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:08:53 ID:QzhOKDJ.0
( <::V::>)『終わりだ』
腰のケースよりカードを三枚引き抜く。
勝敗はもう決した。
これ以上の攻めを加えずとも、この一撃で倒せる自信がある。
カリスアローに装着されたカリスラウザーに、カードをラウズしようとした時だった。
( <::V::>)『……もう一体来たか』
手が止まった。
目の前で倒れるイノシシのアンデッドとは別に、もう一体のアンデッドが近付いている。
それは地上からでも、空中からでもない。
足元からだ。
両足をつけた地の下から、その気配は伝わってきた。
足の裏に地響きのような振動を感じる。
地震が起きているわけではない。
ただ、足元から、何かが掘り進んできている。
………………。
…………。
( <::V::>)『そこだッ!!』
555
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:09:15 ID:QzhOKDJ.0
背後から、地面が突き破られた。
崩れる轟音鳴り響きながら、気配を感じ取っていたそのアンデッドが姿を見せる。
カリスは振り返った瞬間、地面に向け構えたカリスアローから光の矢を射出。
矢はアスファルトの地面を抉り現れたアンデッドに被弾し、出鼻を挫いた。
『ゴオオオォッ!?』
地面より現れたアンデッドは、矢を受け地に放り出された。
異常なまでに発達した右手の爪。左手には腕を覆うようにして装備された盾が。
顔面には、両目と口に位置する三つのドリル。
全身には鋼鉄の鎧を装備し、しっかりと身を守っている。
一見、何の生物の祖かは判断出来ない外見だ。
地面を潜り現れる……強いて言うなら、"モグラ"だろうか。
『グルルルルル……!』
出鼻こそ挫いたが、イノシシのアンデッドとの間に挟まれ数的不利な状況となった。
( <::V::>)『二対一か……面白い!』
556
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:09:37 ID:QzhOKDJ.0
ここ数日間、血が滾るような戦いはなかった。
何かと邪魔が入ったり、レンゲルの妨害を受けることもあった。
レンゲルに完敗を喫してからというもの、自らの存在をアンデッドだと強く思い込むようになったカリス。
あの時、カテゴリーAに浴びせられた屈辱的な言葉が忘れられない。
その怒りや悔しさは、未だ晴れてはいない。
全てを、戦いでぶつける。
( <::V::>)(二度とあんなことは言わせない…私はアンデッドとして全てを倒す!)
( <::V::>)『はああぁッッ!!』
襲い来る二体のアンデッド。
片方を飛び蹴りで迎撃しつつ、蹴りを入れたアンデッドを踏み台に背後のアンデッドを斬りつける。
前後より繰り出されるアンデッド達の攻撃を、身体を翻しつつ次々と躱し、隙をついては斬撃を与え続けた。
そこに、アンデッドの反応を辿り駆けつけたモララーが到着。
同時にクーの後を追ってきたドクオも合流した。
( ・∀・)「二体のアンデッド…!」
('A`)「本当に二体いる…あの人何者なんだ!?」
( ・∀・)「ドクオ…?何故君がいるんだ!」
557
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:10:06 ID:QzhOKDJ.0
( ・∀・)「変身!」
【 -♦TURN UP- 】
バイクから降り、戦いの中に向け走りながらの変身。
前面に射出されるゲートを瞬時に纏い、ギャレンに変身した。
カリスへの攻撃に夢中で気付かないイノシシのアンデッド。
ギャレンラウザーを引き抜き、その背中に銃撃を見舞った。
『グギャアアァウッ!?!?』
( <::V::>)『ッ…!?邪魔をするな、こいつらは私の獲物だ!』
( OMO)「そんなこと言ってる場合か!?アンデッドを封印するのが俺の役目だ!」
( <::V::>)『なら貴様も相手にしてやろうか!?』
( OMO)「やめろ!俺は無駄な戦いを…ッ!するつもりはない!」
数的には対等になった。
だが、カリスの滾る闘志は敵味方の区別をつけようとはしない。
迫り来る者すべてが敵。ギャレンに関しては、その意識が尚更強くなる。
当のギャレンは、もはやそんな戦いには興味を持ってはいない。
しかし、一触即発な状態。いつカリスがギャレンに襲い掛かってもおかしくはない。
558
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:10:31 ID:QzhOKDJ.0
('A`)「………」
戦いを見つめるドクオ。
レンゲルバックルを手に握り締めたまま、動こうとしない。
頭の中に響く声に耳を傾けていた。
それはドクオに言い聞かせるように、歪な声は何度も何度も呼びかける。
――戦え、目の前のすべてを倒せ。お前はその力を持っている。
( A )「………」
――戦え。全てがお前の敵だ。
( A )「………」
――戦え…戦え!!
559
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:11:03 ID:QzhOKDJ.0
♪勇壮たるレンゲル -
https://www.youtube.com/watch?v=QqNaFe0UPpw
(# A )「………う」
(#'A`)「うああああああああああああ――」
(#'A`)『――あああああああぁぁぁッッ!!!!』
( OMO)「!?」
途中、雄叫びをあげるドクオの声が、歪な声へと変貌したのを聞き逃さなかった。
カードを装填したレンゲルバックルを腰に装着し、変身の構えを取る。
('A`/)「変身!!」
―
【 -♣OPEN UP- 】
開いたバックル部分より射出されるゲート。
近付くゲートに身体を覆われ、レンゲルへの変身を果たした。
( OMO)「ドクオ…!」
( OHO)「……うおおおおおッ!!!」
ゆらりと身体を動かし、徐々に走り出す。
右手に握ったレンゲルラウザーを振るい両手に持ち直し、尖端でモグラのアンデッドの顔面を殴打した。
『グオオォウフッ…!』
560
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:11:36 ID:QzhOKDJ.0
( #<::V::>)『どいつもこいつも、何度も邪魔をしてくれる……!!』
ギャレンとレンゲルの乱入に、カリスの怒りは増幅するばかり。
手に持った三枚のカードは本来アンデッドに向けて使用するつもり、だった。
しかし、目の前にいる者全てが、今の自分にとっては敵だ。
すべてに向けてこの攻撃を与えんと、カードを再びラウズしようとした時。
「――…す……て……」
( <::V::>)『――はっ…!』
声が聞こえる。
その声に、カリスの手は止まった。
ぼんやりと聞こえた声はやがて明確に聞こえ始め、その声の主も分かった。
「――たす…けて…!」
( <::V::>)『でぃちゃん…!?』
( <::V::>)『……行かないと……!』
561
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:12:12 ID:QzhOKDJ.0
その声がでぃのものと判断した途端、カリスの怒りは突如収まり始める。
そして、助けを求めるでぃに何が起きているかを感知することが出来た。
目の前のアンデッド達より一際強い気配。
間違いなく、上級アンデッド。
でぃに…いや、ブーン達にも何かが起きている
でぃちゃんが助けを求めている。
でぃちゃんのもとへ行かねば。
目の前の敵より、自分の怒りより、守ることを優先して。
( <::V::>)『ここは譲ってやる!』
カリスの脳波を受け、無人走行するシャドーチェイサーが出現。
すかさず飛び乗ると、進路を邪魔するレンゲルを側面から容赦なく跳ね飛ばした。
( <::V::>)『どけ!!』
( ; OHO)「ぐはあっ!?」
( OMO)「何だアイツ…どうしたんだ!?」
自分の獲物だと言い張り敵意を見せていたにも関わらず、呆気なく去ってしまったカリスに戸惑いを覚えずにはいられない。
だが、呑気に背中を見送っている状況ではない。
目の前には二体のアンデッド。ここで封印しなければ、また人が襲われてしまう。
( OHO)「チィッ…!アンデッド、俺が残らず封印してやる!!」
シャドーチェイサーの衝突を受け吹き飛ばされながらも、レンゲルはぴんぴんしていた。
レンゲルラウザーを構え、モグラのアンデッドに向け突っ走り始める。
562
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:12:36 ID:QzhOKDJ.0
( OMO)「ドクオ…カテゴリーAに操られているわけではないのか!?」
イノシシのアンデッドを相手にしながら、ギャレンは横目でレンゲルを見た。
レンゲルに変身前、確かにドクオの声が変化したのを耳にした。
しかし、今のレンゲルはドクオ自身の意志で動いているように見える。
( OHO)「貴様らを封印して俺の力にする!!」
一度伸長したシャフトを縮め、棍棒状態に戻したレンゲルラウザーを軽々と振るう。
短くなった分身軽に扱え、アンデッドの大きな腕を振るった攻撃をラウザーで防ぎつつ、蹴りや一枚刃にまとまった尖端で斬りつける。
『ゴオオォゥウッ…!?』
( OHO)「うおぉおらあぁッ!!」
アンデッドが怯んだ瞬間、ラウザーのシャフトを再び伸長。
長柄特有のリーチを活かしながら三枚刃に展開された尖端・後端で攻め続ける。
強引に押し込むような攻め。
戦い方こそ粗さが目立つが、それでもアンデッドに善戦していた。
( OMO)(いつの間にあんなに戦えるようになったんだ…?)
モグラのアンデッドに対して、まったくの素人であるはずのレンゲルが引けを取っていない。
ブレイドになりたてのブーンの時より、まともに渡り合っている。
もとある秘めた才能なのか、それとも自主的な鍛錬を積んだのか。
何にせよ、思わず感心すらしてしまいそうなレンゲルの姿。
563
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:13:23 ID:QzhOKDJ.0
( OHO)(力を感じる…戦い方が分かる!)
( OHO)(カテゴリーAが、俺に戦い方を示してくれてるんだ…!)
( OHO)「戦える…俺は戦える!!」
漲る自信。自然と声にも力が入った。
レンゲルラウザーを逆手に持ち、腰にあるカードケースを開く。
一枚のカードを引き抜き、後端のラウザー部分にラウズした。
《-♣2 STAB-》
"♣2のSTAB"。このカードは、レンゲルラウザーの刺突・貫通力を強化するカード。
♠や♦の2と同じく、武器の威力を強化するカードだ。
ラウザー全体に光が纏い始める。
力を得たレンゲルラウザーを、持てる力全てでモグラのアンデッドに向け振り下ろした。
( OHO)「どりゃあああああッッ!!!」
『ゴオオオオッ!!』
( OHO)「なにっ!?」
だが、レンゲルラウザーはただ虚空を斬っただけだった。
振り下ろした先……確かにいたはずのモグラのアンデッドがいない。
煙幕が発生している下に視線を向けると、そこには穴が形成されていた。
アンデッドは、レンゲルの攻撃を地面に潜り身体を隠す事で回避したのだ。
( OHO)「クソッ…!出て来い!!」
レンゲルの声は届かない。
モグラのアンデッドは、地面に潜ったまま逃亡してしまった。
当然、地面に潜った相手の追跡など出来もしない。
564
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:13:51 ID:QzhOKDJ.0
一方、イノシシのアンデッドと対峙していたギャレン。
こちらも優勢に戦いを進め、ギャレンの勝利は目前。
( OMO)「はあッ!!」
『グゴ…ッ!!』
得意の足刀蹴りがイノシシのアンデッドの顎を捉え、アンデッドはぐったりと倒れる。
この隙にギャレンラウザーのトレイを展開し、必殺技を発生させるための三枚のカードを選択。
《-♦5 DROP-》 《-♦6 FIRE-》 《-♦9 GEMINI-》
ラウザーにカードを順にラウズし、ホルスターに収めた。
両足を広げ、構えた左手でギュッと拳を握り締める。
《-♦BURNING DIVIDE-》
瞬時にそろえた両足。
地面を蹴り、宙に高々と跳躍。
空中で分身すると、両足に紅蓮の炎を纏った二人のギャレンが身体を翻し、アンデッドに向け落下。
( OMO)「でいやああぁッッ!!!」
『グオオオオオオオオオォォォォッ!!』
炎が残像を描きながら、四つの蹴りがイノシシのアンデッドの身体を抉る。
背を向けながら着地するギャレンの背後で、イノシシのアンデッドは炎に身体を焼きながら、抉れた部分から緑血を噴出。
断末魔の叫びをあげながら、力無く地に倒れた。
565
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:14:26 ID:QzhOKDJ.0
倒れたアンデッドに対し、ギャレンは静かにカードを投擲。
身体に突き刺さったカードがアンデッドの封印を終えると、ギャレンの掌中に帰還した。
元々はブレイドが所持していたカード。♠3のTACKLE。
レンゲルによって解放されてから、年が明けてようやく封印に至った。
( OMO)「……助けられなかったか、クソ…!」
アンデッドによって捕食され、無残に捨てられた残骸である服を見つめる。
人を助けられなかったことに、ギャレンはひどく胸を痛めた。
変身を解こうとベルトに手を掛ける。
……だが、近付く足音でその手はすぐに離された。
( OHO)「うおおおおおおおッ!!」
( OMO)「!?」
ギャレンに目掛け振り下ろされるレンゲルラウザー。
瞬時に受け身を取る事で回避は出来たが、あまりにも唐突な襲撃に驚きは隠せない。
( OMO)「ッ…何の真似だ!?お前、自分の意志で動いてるんじゃないのか!?」
( #OHO)「そのアンデッドは俺の獲物だった、横取りしやがって…!」
( OMO)「お前まで何を言ってるんだ!?」
( #OHO)「そいつをよこせ…俺の力をよこせ!!」
( OMO)「なんだと……?正気か!?」
( #OHO)「うおおおああああああああッッ!!!」
566
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:14:57 ID:QzhOKDJ.0
―――――
.
567
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:15:22 ID:QzhOKDJ.0
_
( ; ゚∀゚)「はっ…はっ…、クソッ!でぃちゃんもブーンのカーチャンもどこだ!?」
ブーンに頼まれてから、必死で園内を走り回っているジョルジュ。
しかし、探せど探せど何処にも見当たらない。
もう園内隅々まで探したはずなのに、らしき影すら見れない。
_
( ; ゚∀゚)「こんなことになっちまうなんて…やべぇよ、早く見つけないと!」
ミセ*゚ー゚)リ「ジョルジュさん!」
_
( ゚∀゚)「ミセリさん!」
二手に分かれて探していたミセリと、温室外で偶然遭遇した。
ミセリも走り続けていたからだろうか、ジョルジュ同様呼吸を荒くしている。
ミセ;゚ー゚)リ「はぁ…はぁ…」
_
( ; ゚∀゚)「ミセリさん、大変なんだ!今この園内に最近ニュースとかでやってる化け物がいる!」
ミセ;゚ー゚)リ「やっぱり、本当にいたんだ…!」
_
( ; ゚∀゚)「えっ…どういうこと?」
ミセ;゚ー゚)リ「見つけました、でぃちゃんって子…その子が言ってたんです!」
_
( ゚∀゚)「へっ??」
568
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:16:06 ID:QzhOKDJ.0
ミセ;゚ー゚)リ「化け物が居て、怖いから隠れてたって…本当にいたら危ないから、まだ隠れてもらってます」
_
( ゚∀゚)「そっそうか!いたか!よかった……案内してくれ!」
ミセ;゚ー゚)リ「はっ、はい!急ぎましょう!」
息を切らしながらも、でぃが隠れているという場所へ二人は急いだ。
ことは一刻を争う。
もし化け物に見つかったりなどすれば……何をされるか分からない。
_
( ; ゚∀゚)「ミセリさんがいなかったら今頃マジで危ないことになってました…!」
ミセ;゚ー゚)リ「いえ…っ、はっ…はっ…もとはと言えば私の責任ですから…!」
_
( ; ゚∀゚)「もし化け物が襲い掛かってきたら、でぃちゃんを連れて逃げてください!」
_
( ; ゚∀゚)「俺が囮になって二人を逃がしますから!」
ミセ;゚ー゚)リ「そんな…!そんなことできませんよ…!」
_
( ; ゚∀゚)「万が一はそれしか手はねぇんだ!大丈夫だって、俺逃げ足は速いから!!」
ミセ;゚ー゚)リ「っ…そんなことにならないように、ちゃんと逃げます!一緒に!」
_
( ゚∀゚)「……っへへ、よっしゃ!!」
569
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:16:36 ID:QzhOKDJ.0
、、
@*゚皿゚)@『よっ、とぉ!!』
( OwO)「チィッ!ちょこまかと鬱陶しいお…!」
つーと対峙しているブレイドは、トリッキーな動きに翻弄されていた。
軽快なステップで、ブレイドの攻撃を容易に躱すつー。
、、
@*゚皿゚)@『アヒャヒャヒャ!当ててごら〜ん???』
( OwO)「このォ…ッ!!」
ブレイドの蹴りを側転で避け、両足で着地した瞬間に地面を蹴り上げ跳躍。
綺麗にそろえた両足を伸ばし、ブレイドの顔面に打点の高いドロップキックを叩き込んだ。
、、
@*゚皿゚)@『フンッ!』
( ; OwO)「のわあぁっ!?」
顔面を押し込まれ、地面に転がる。
すぐさま起き上がりブレイラウザーを引き抜き、再び立ち向かった。
( OwO)「うおおおおっ!!」
、、
@*゚皿゚)@『悪いけどさァ、そこらの雑魚と一緒にしてもらったら困るんだよねェ!』
、、
@*゚皿゚)@『そんな攻撃アタシに当たるわけないでしょうよ!! ッはああぁ!!!』
( ; OwO)「ぐああぁっ!!」
剣撃を躱しながら三日月を描くように高々と後転。
後ろへ回転しながらも、つーは口より青白い衝撃波を吐き出す。
衝撃波はブレイドに直撃し、吹き飛ばされた。
570
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:17:02 ID:QzhOKDJ.0
( ; OwO)「ううっ…!」
、、
@*゚皿゚)@『まだまだ終わらないよ〜??そォれッ!!』
右手に召喚してブーメラン型の刃。
それを宙に投げ捨てた途端、刃は水を得た魚のように空中を自由に泳ぎ始める。
、、
@*゚皿゚)@『さぁさぁ、もっと遊ぼうよブレイド…!!』
、、
@*゚皿゚)@『アヒャヒャヒャヒャヒャァ!!!!』
( ; OwO)「クソォ……!」
この刃の攻撃は一度見たことがある。
故に、思い立って行動に移すことが出来ない。
きっと、つーにとって都合の悪い動きはあの刃によって妨害されるに違いない。
だとすると、動こうとすれば自分が無駄なダメージを負うだけ。
ゆっくりと身体を起こしながら、仮面の下でつーを睨み付ける。
、、
@*゚皿゚)@『分かるよ〜…今アタシのこと睨んでるでしょ?いいねェその目!そそるわぁ…!』
( ; OwO)「こんなとこで、僕が負けるわけにはいかないんだお…!」
、、
@*゚皿゚)@『一応聞いてみるけど、なんで〜?』
( ; OwO)「僕がお前を倒さない限り、ここにいる人たちに被害が――」
、、
@*゚皿゚)@『はいお終い』
( ; OwO)「うああっ!?」
答えている途中で、宙を舞う刃がブレイドの身体を斬りつけた。
、、
@*゚皿゚)@『正義の勇者ごっこは見てて虫唾が走るんだよ…!』
( ; OwO)「ぐぐッ……!」
571
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:17:52 ID:QzhOKDJ.0
ミセ*゚ー゚)リ「こっちです!もうすぐ!」
_
( ゚∀゚)「ああ!」
もうすぐ辿り着く。
でぃを見つけた後は、すぐにブーンのカーチャンを探さなくてはならない。
協力してくれるミセリも、早く安全な場所に避難させなければ。
ジョルジュは、責任感と使命感を強く感じていた。
本当なら、自分もライダーとしてアンデッドと戦いたい。
戦って、人を守りたい。
けど、自分はライダーになることは出来ない。
今はそれを受け入れ、自分の出来る事で人を守りたいと思うようになった。
その思いが今、一際強くなっている。
ミセリの後を追っていて気付いた。
_
( ゚∀゚)「ここ、ブーンのとこに戻ってきてねぇか…?」
_
( ゚∀゚)「こんな近くにいたってのかよ…!早くしないとでぃちゃんが危ない!」
ミセ*゚ー゚)リ「はい、急ぎましょう!」
572
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:18:17 ID:QzhOKDJ.0
――――――
――――
――
ミセ*゚ー゚)リ「着きました…!この辺です……!!」
でぃが隠れているという場所に到着した二人。
だが、二人がそこで目にしたのは……。
、、
@*゚皿゚)@『アヒャヒャヒャァッ!!』
( ; OwO)「うわあああぁっ!!」
つーと戦うブレイドの姿。
ジョルジュの思った通り、最初の位置に戻って来ていたのだ。
_
( ゚∀゚)「やっぱり戻って来てる…!」
ミセ;゚ー゚)リ「もしかして…あれが化け物ですか…!?」
_
( ゚∀゚)「そうだ、あれがアンデッドだ…!」
ミセ;゚ー゚)リ「……あれは、仮面ライダー?」
_
( ゚∀゚)「ああ、アンデッドを倒すことの出来る唯一の希望だ…早く探さないと!」
ミセ;゚ー゚)リ「………ッ」
_
( ゚∀゚)「ミセリさんはここにいてくれ!」
573
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:18:46 ID:QzhOKDJ.0
ミセ;゚ー゚)リ「……はい、ここにいます」
ミセ;゚ー゚)リ「でも……」
_
( ゚∀゚)「俺は大丈夫だ!安心してくれ!」
ミセ;゚ー゚)リ「……ごめんなさい」
_
( ゚∀゚)「へっ?」
その時――ジョルジュの両足に、何かが巻きつかれた。
_
( ゚∀゚)「っ!?なんだこれ!?」
足元に視線を向ける。
そこにあったのは……トゲの生えたツタ。
ジョルジュの両足を巻きつくのは、トゲの生えたツタだった。
ミセ; - )リ「ごめんなさい、ジョルジュさん…」
ただ謝りながら俯くミセリ。
徐々に顔を上げるその顔に……一輪の笑顔。
ミセ* ー )リ「でも、私……」
ミセ*゚ ヮ゚)リ「あなたを騙したこと……後悔してないわ!!」
574
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:19:29 ID:QzhOKDJ.0
_
( ゚∀゚)「へっ……?」
ミセ*゚ー゚)リ「ウフフ……ジョルジュさんって素敵なのね、あなたが人間じゃなかったらきっと惚れてたわ…!」
_
( ; ゚∀゚)「……ッ、どういうこと――うわあっ!?」
再びツタが伸び、今度はジョルジュの首と胴体に巻きついた。
きつく締め上げられ、痛みと苦しさが同時に襲いか掛かる。
ジョルジュの声に反応し、ようやくブレイドは二人の存在に気付いた。
( OwO)「ジョルジュ…!?」
、、
@*゚皿゚)@『あらら〜?余計なことしてくれちゃってェ…』
ミセ*゚ー゚)リ「あなたがモタモタしてるのが悪いわ」
_
( ; ゚∀゚)「うぐううぅッ…!ミセリさん……これは……!?」
ミセ*゚ー゚)リ「ジョルジュさん、まだ分からないの…?あなたは私に利用されたのよ?」
_
( ; ゚∀゚)「っ…!?!?」
ミセ*゚ー゚)リ「まだ信用しきれないみたいね……じゃあこれならどう!?」
ミセリの身体が、無数の花びらに包まれる。
花びらが作り上げるシルエットは、ミセリの人の形から膨張し、異形のものへと変化していく。
やがて花びらは風に乗るかのように去っていき……ミセリは、その姿を露にした。
575
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:20:03 ID:QzhOKDJ.0
( ; OwO)「なに…!?」
_
( ; ゚∀゚)「………そんな………」
女性らしい顔とシルエットを残す真っ赤な身体、その左肩や左腕に身につけている鋼の装甲。
頭部には髪のように広がる花びら。後頭部には、白く塗られたもう一つの顔が存在している。
花びらは右腕全体をも覆い、人並以上に腕の長さは発達。
花びらから覗く爪の伸びた大きな右手は、化け物らしさを物語っている。
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『これで分かったでしょう?私はカテゴリーQのアンデッド』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『あなたを利用して、最初からこうするのが目的だったのよ…!』
_
( ; ゚∀゚)「うっ……ぐう……!」
( OwO)「やめろ!!」
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『動くな!この男の命がなくなってもいいのかしら?』
( ; OwO)「ぐっ…!」
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『それに、私が捕まえてるのはこの男だけじゃないのよ…!』
( ; OwO)「何…!?」
人の手の形をした左手で、パチン!と指を鳴らす。
すると……頭上から吊り下げられるようにして、二人の人間が姿を現す。
その姿を見た瞬間、ブレイドとジョルジュの動きは完全に止まった。
_
( ; ゚∀゚)「……!!!」
( ; OwO)「でぃちゃんに……カーチャン……!?」
576
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:20:35 ID:QzhOKDJ.0
(#; - )「ううっ……」
J( ー )し
ツタに吊り下げられたでぃからは、うめく声が小さく聞こえる。
だが、カーチャンからは何の反応もない。気を失っているようだ。
_
( ; ゚∀゚)「……最初から、あんたが二人を……?」
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『そうよ?私がこの人間二人を捕まえたの。あなたが必死に探してたときにはもう……フフフフ』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『そして今、あなたもその一人になったの。ブレイドが動けないようにするための囮としてね!
でも平気よね?あなた、囮になるってさっき言ったもの…!』
、、
@*゚皿゚)@『アヒャヒャヒャヒャ!!ほんとーにこの女恐ろしいよなァ…!』
_
( ; ゚∀゚)「………」
( OwO)「………」
言葉が出ない。
自分が一目惚れしてしまった相手が、アンデッドだった。
そして……自分の甘さのせいで、でぃを、そしてブーンのカーチャンを危険な目に合わせてしまった。
今まさに自分自身も危険な状態。
だが、それ以上に責任を強く感じてしまっていた。
577
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:21:02 ID:QzhOKDJ.0
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『さぁブレイド、変身を解きなさい』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『さもないと…分かってるでしょう?あなたの大事なお友達が真っ先に殺されてしまうの。
あなたなら必ずその剣を置くわ、それがあなたの優しさだから!』
( #OwO)「この卑怯者……!!」
_
( ; ゚∀゚)「ッ……ブーン、俺のことは気にするな!二人のことだけを気にしろ!」
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『黙れ!』
_
( ; ゚∀゚)「ううううぅぅッ……!!」
ジョルジュの身体に巻きつくツタが、更に強く締め付ける。
胴体、首に深くツタがめり込み、ジョルジュの呼吸をより苦しくさせる。
このままもっと締め付けられてしまえば……死に至るのはそう難しくはない。
( ; OwO)「ジョルジュ!!………分かった!」
武器を捨てれば、間違いなく自分が狙われるだろう。
抵抗することも同じだ。
だが……仲間や、ましてや母親の命に代えることは、到底出来るはずもなかった。
バックルに手を掛け、ハンドルを引きゲートを射出する。
変身を解除し、バックルを地に投げ捨てると、両手をあげ無抵抗の意思を示した。
( ^ω^)「これでいいだろ…!?」
_
( ; ゚∀゚)「なっ…!なんでだよブーン!!俺のことなんか気にするなよ…!」
578
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:21:27 ID:QzhOKDJ.0
、、
@*゚皿゚)@『おお〜?マジで変身解いちゃったよ……自分が死ぬだけなのにさァ!』
( ; ^ω^)「ぐふっ…!」
腹部に強烈な拳が叩き込まれ、うずくまった背中を何度も何度も拳や肘で叩かれる。
ライダーの装甲を纏っているならともかく、生身の姿で受けるアンデッドの打撃は倍の痛みを身体中に走らせた。
すぐに立ち上がることも出来ず、痛みに身体を抑えることしか出来ない。
( ; ^ω^)「うううっ…!」
、、
@*゚皿゚)@『健気だねぇ、仲間想いってヤツ?』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『いい人よねぇ、ブレイドって。でもその優しさが命取りになるのよね……お前もな!』
_
( ; ゚∀゚)「ッ……ブーン……お前が死んじまう!!やめてくれよ!!」
( ; ^ω^)「がはっ……心配すんなお、僕は…ッ死なないお……」
、、
@*゚皿゚)@『フォオオオウッ!!』
( ;メ ω )「があっ…!」
_
( ; ゚∀゚)「ブーン…!!」
後ろ首を掴まれ強引に上げられると、つーの鋭利な右手がブーンの顔面に直撃。
頬に赤い切り傷が形成され、力無く地面に倒れた。
579
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:21:57 ID:QzhOKDJ.0
( ;メ ω )「死んで……たまるかってんだお……僕は……こんな奴らに、負けてられない……!」
( ;メ ω )「それに……お前は、僕の大事な仲間だ…!仲間を引き換えになんて、僕には出来ない…!」
( ;メ ω )「でぃちゃんも、カーチャンも…お前も…ッ僕が守る……!!」
口の中が切れ、唇の間から血が覗く。
今まで何度も味わってきた痛みだが、これを受け続ければジョルジュの言う通り死んでしまうだろう。
ミセリの目的が最初からこれだとすれば……本当に死を受け入れなければならないかもしれない。
_
( ; ∀ )「……バカヤロウ…!!」
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『まだ喋れる元気があるみたいよ?少し手を抜きすぎなんじゃないかしら?』
、、
@*゚皿゚)@『はい?そもそもこんなの頼んでないんだケド?アタシの自由にやらせてよ』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『フン、まぁいいわ……安心しなさいブレイド。
あなたを殺したあとに…このお友達も、あなたの母親も、すぐに送ってあげるから!』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『フフフフフ……アハハハハハハハ!!』
( ;メ ω )「ぐううッ……!!!!」
ミセリの残酷な高笑いが、園内に響く。
身体中ボロボロで、立ち上がろうとするにもあちこちが痛みに悲鳴を上げる。
ただ、ミセリの無慈悲な言葉だけが何も出来ないブーンの耳に届く。
悔しさに歯を食いしばり、拳を強く握り締めた。
580
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:22:36 ID:QzhOKDJ.0
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『ちょっと…いつまで遊んでるつもり!?早く殺しなさいよ!』
、、
@*゚皿゚)@『ッさいなぁ、もともとアタシの獲物なんだけど?』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『せっかく私が最高の舞台を用意したっていうのに……もういいわ、私が殺るから』
、、
@*゚皿゚)@『……お前調子に乗るなよ?確かに勝ち残るために手を組むとは言ったよ。
けどお前の指示に従うと言った覚えはないなァ…!』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『なんですって…?』
、、
@*゚皿゚)@『大体アンタが最初から手を貸せば、こんなヤツらとっくの昔に全部殺してたのによ…!』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『このメス山羊が…!!』
( ;メ ω )「ッ……く、う……」
今しかない。
内輪揉めしている間に、投げ捨てたブレイバックルを拾うには。
そうすれば、まだチャンスはある。
地面を這いつくばりながら、目の前のブレイバックルに懸命に手を伸ばす。
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『何をしてるの?人間如きが!!』
( ;メ ω )「ああ゙あ゙あ゙あ゙ぁ…ッ!!」
気付かれてしまった。
ミセリの足がブーンの伸ばす手を踏みつけ、グリグリと踏み潰すように体重をかけられる。
581
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:23:24 ID:QzhOKDJ.0
_
( ; ゚∀゚)「ブーン……!!」
(#;゚ -゚)「もうやめて……!死んじゃうよぉ!」
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『あらでぃちゃん、死んじゃっていいのよ?だって……殺すんだから!」
( ;メ゚ω゚)「うあああああッ!!!」
ブーンの背中を、全体重を乗せストンピングする。
アンデッドの体重は人間の倍以上だ。
それほど重たいものが思い切り圧し掛かれば、痛みも苦しさも凄まじい。
_
( ; ∀ )「クソッ…!クソォ……!!」
(#; - )「なんでそんなことするの!?許さない……モスにひどいことしたお前も、ブーンさんを痛めつけるお前も許さない!!」
、、
@*゚皿゚)@『アヒャヒャ…まだ根に持ってるのかぁ。そんなにあのアンデッドのところに逝きたいのかなァ」
、、
@*゚皿゚)@『なら……逝かせてやるよ!!』
(#;゚ -゚)「ひゃあっ!?」
宙を舞うブーメラン型の刃が、吊り下げられたでぃのツタを切り裂く。
そのまま地面に落下し、受け身も取れずでぃは叩き付けられた。
(#;゚ -゚)「ううっ…!」
、、
@*゚皿゚)@『じゃーな……でぃちゃん!!!』
ブーメラン型の刃を持った右手が、でぃに向け振り上げられる。
(#; - )(助けて……クーさん)
(#; - )(助けて……!モス!!)
582
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:24:07 ID:QzhOKDJ.0
《-♥8 REFRECT-》
583
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:24:30 ID:QzhOKDJ.0
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『!?』
どこからか響く音声。
音声が響いた直後、でぃの周囲に発生する鱗粉。
この鱗粉は、どこかで見たことがある。
、、
@*゚皿゚)@『死ねやああァァッ!!』
(#;>-<)「ッ!!」
子供に向け放つ言葉こそ、まさに区別もない残虐性を感じられる。
つーが腕を思い切り振り下ろした。
狙うは、幼いでぃの脳天一直線。
だが……、
、、
@*゚皿゚)@『うわっ!?なんだ!?』
(# >-゚)「ッ……??」
、、
@*゚皿゚)@『跳ね返された…!?なんだコイツ!このッ!!』
つーが確かに振り下ろしたはずの刃は、鱗粉によって明らかに跳ね返された。
何度も何度も刃を振るも、鱗粉がでぃを守る鉄壁の盾となって、一切の攻撃を通すことを許さない。
、、
@*゚皿゚)@『この鱗粉……まさか……!』
(#゚ -゚)「――モス……?」
584
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:25:00 ID:QzhOKDJ.0
( <::V::>)『はあああああああぁッ!!!』
*∧Λ*
∠*;゚`ー´)ゝ『なっ…うあぁっ!?』
吹き荒ぶ竜巻を纏ったシャドーチェイサー。
上空を飛翔しながら現れ、勢いのままミセリに突進。
突然の出現に対応できず、ミセリは遠くへ吹き飛ばされた。
着地し、アクセルターンさせながら停まる。
シャドーチェイサーから降りたカリスは、召喚したカリスアローでつーに向け光の矢を射出。
、、
@*゚皿゚)@『ちょいちょいちょい…ッ!』
でぃから距離を取ったことを確認すると、今度は吊り下げられたツタに向け矢を放った。
矢は、カーチャンが下げられたツタに的確に命中。
ツタは切れ、支えを失ったカーチャンはそのまま下に落下を始める。
( <::V::>)『ふっ!』
疾走するカリス。落下するカーチャンを両腕で受け止め、抱えこんだ。
ゆっくりと地にカーチャンを寝かせると、今度はジョルジュを縛り上げるツタの根元すべてに向け矢を放つ。
_
( ゚∀゚)「うおっ…!」
カリス一人で、捕まったすべての人が救出された。
うずくまるでぃのもとへ近付き、怯える肩にそっと手を添えた。
585
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:25:30 ID:QzhOKDJ.0
( <::V::>)『ケガはない?』
(#゚ -゚)「クーさん…?」
( <::V::>)『もう安心して、大丈夫だから。走れるね?』
(#゚ -゚)「……うん」
_
( ゚∀゚)「あ…あんた……」
( <::V::>)『突っ立ってる暇があるなら急いで二人を避難させろ!』
_
( ; ゚∀゚)「はっ、はい!」
催促を受け、我に返ったジョルジュは急いででぃとカーチャンのもとへ駆け寄る。
( <::V::>)『勘違いするな、別に貴様の命などどうでもよかった。二人の命を確保するのに貴様が必要だっただけだ』
_
( ゚∀゚)「わ、分かってるよ…!」
( ;メ^ω^)「はは……よかった、みんな、無事で……」
( <::V::>)『立て』
( ;メ^ω^)「はいお……しかし、今のはさすがに、マジでやばかったお……!」
倒れたままのブーンに手も貸さず、不器用に声を掛ける。
身体中を蝕むひどい痛みに耐えながら、ブーンも懸命に起き上がった。
足元はフラフラで、どこもかしこもボロボロだ。
だが、ブーンはカリスを見ながら笑ってみせた。
586
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:26:07 ID:QzhOKDJ.0
、、
@*゚皿゚)@『アヒャヒャヒャ!アンタも来たのかァ、こりゃ面白くなりそうだ…!』
*∧Λ*
∠*#゚`ー´)ゝ『クッ……カリス……!!!』
( <::V::>)『山羊は譲ってやる、お前が封印してみせろ』
( <::V::>)『貴様の相手は私がしてやる!』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『チッ……面倒なのが来たわね……!』
カリスはミセリに向け矢を発射させながら接近。
矢を右手で弾き落としながら、ミセリはどこかへ誘うように後退。
恐れることなく、カリスは後を追って行った。
、、
@*゚皿゚)@『あああ…!だから余計なことすんなっつったんだよ、あのバカ!!』
_
( ゚∀゚)「ブーン!!」
この隙に、ジョルジュは拾い上げたブレイバックルをブーンに向け投げ渡す。
_
( ゚∀゚)「二人は俺に任せろ!そいつを頼むぜ!」
( メ^ω^)「そっちは頼んだ、こっちは任せろ!」
_
( ゚∀゚)゙「おう!」
( メ^ω^)゙「おう!」
ジョルジュがカーチャンを背中に背負い、でぃを連れて植物園の外へと避難していくのを見届ける。
そして、目の前のつーと真正面から睨み合った。
587
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:26:56 ID:QzhOKDJ.0
♪華麗なるブレイド -
https://www.youtube.com/watch?v=3XSRSJjGU-0
、、
@*゚皿゚)@『ハッ、まぁこれで邪魔がいなくなってせいせいしたわァ…!』
(#メ ω )「ああ…そうだな」
身体中の痛みなど気にならないほどに、ブーンの中に激しい怒りが渦巻く。
仲間を傷付けられ、幼い心を弄び、大事な母親を人質に取られた。
沸々と湧き上がっていたブーンの怒りが、最頂点に達する。
(#メ^ω^)「覚悟しろ…!!アンデッド!!!」
カードを装填したバックルを腰に装着。
鋭い目で眼前の敵を捉えながら、ブーンは声を張り上げた。
(#メ^ω^)ψ「変身ッ!!!」
/
【 -♠TURN UP- 】
( #OwO)「うおおおおおおおおおおおッッ!!!」
つーに向け駆けながら引き抜くブレイラウザー。
最初の一太刀は躱されるが、避けた先に向け放った蹴りがつーに命中。
怯んだところに、すかさずブレイラウザーを振り下ろした。
( OwO)「ッふん!はあッ!!」
、、
@*;゚皿゚)@『うぐっ…!…へぇ、良い気迫してんじゃん…!!』
588
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:27:28 ID:QzhOKDJ.0
ミセリを追ったカリスは、広場に誘い込まれる。
逃げ続けたミセリだが、この広場で遂にカリスに向き合った。
( <::V::>)『観念しろ、蘭女!』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『ええいっ…!あなたの相手は望んでないわ!』
( <::V::>)『黙れ!貴様の罪は深い!!』
カリスアローを振るい、ミセリを着実に攻め込む。
払い除けこそする一面もあるが、カリスの素早い動きにすべての行動が追いつかない。
防ぐ腕には大量の切り傷が形成され、右腕の花びらは幾つも裂かれている。
*∧Λ*
∠*;゚`ー´)ゝ『くうっ…!』
怯むミセリを見て、カリスは武器にカリスラウザーを装着。
一気に攻め込み、終わらせようという考えだ。
かなりの強行手段だが、一撃で仕留めることは可能。
腰のカードケースに手を伸ばした
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『ふんっ、あなたの相手はここまでよ!』
その時、ミセリの顔が反転し後頭部の顔と入れ替わった。
次の瞬間、入れ替わった顔の口から大量の花びらが噴射。
( <::V::>)『くっ!逃げるのか…!』
花びらはカリスを覆うようにして集まり、視界を遮る。
その間に、ミセリ自身も身体を花びらに包み込んだ。
そして、風に乗る花びらと一緒に、ミセリも忽然と姿を消した。
589
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:28:54 ID:QzhOKDJ.0
♪Rebirth -
https://www.youtube.com/watch?v=SgXC5Z4R3-c
( OwO)「うおおああああぁっ!!」
、、
@*;゚皿゚)@『うあぁッ!?……チィッ!!』
右腕にすべての力を込め、一撃一撃の重い剣撃を浴びせる。
それまで不規則な動きで翻弄していたはずのつーを、思い通りに動かさない。
避ける先が目に見えて分かる。そこに剣を振り、すべての攻撃を当て続けた。
( #OwO)「お前達を絶対に許さない…!」
( #OwO)「でぃちゃんの心を弄んで、ひどく傷つけた!モスの気持ちを踏みにじった!」
、、
@*;゚皿゚)@『うぐっ…!うあぁっ!?』
( #OwO)「大切な仲間の…ジョルジュの気持ちを利用しやがって!!」
( #OwO)「カーチャンにすら手を出した貴様らを!!僕は絶対に許さない!!!」
( #OwO)「はあッ!!」
、、
@*;゚皿゚)@『ッッ!!あぐぁッッ…!!』
身体を回転させながら斬りつけ、剣先による刺突で胸を貫く。
突き破られた背中から、剣先に押しやられるように緑血が噴き出る。
突き刺したままブレイラウザーのトレイを展開し、一枚のカードを抜きラウズさせた。
《-♠3 BEAT-》
590
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:29:25 ID:QzhOKDJ.0
"♠3のBEAT"。ライオンのアンデッドが封印されているカード。
このカードの使用した者の腕力を強化する効果を持つ。
ブレイドの右腕から拳にかけて、光が纏い始めた。
、、
@*;゚皿゚)@『ぐうっ…図に乗りやがってェ!!』
宙を舞うブーメラン型の刃を操り、ブレイドに向け飛翔させるつー。
だが、背後から迫り来る刃を、決して見逃さない。
( OwO)「ふっ!」
、、
@*゚皿゚)@『ううッ…!』
ラウザーを引き抜きつつ、回し蹴りで刃を迎撃。一寸の狂いなく足で刃を蹴り落とす。
そして、回転の勢いそのままに強化された強烈な拳を、つーの顔面に叩き込んだ。
( OwO)「食らえッ!!」
、、
@*;゚皿゚)@『うあああぁッッ!!!』
角をも砕く拳が顔面にヒットした衝撃で吹き飛ばされ、地面を転がりやがて草花の中に埋もれる。
591
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:29:48 ID:QzhOKDJ.0
、
@*;゚皿゚)@『何だコイツ…!あれだけ傷付いたはずなのに、まだこんな力を残してたのか…!?』
先刻とは打って変わった気迫、力を前に圧倒されてしまう。
ブレイドに対して、ここまでの力も迫力も感じて来なかった。
しかし、今感じているのは……レンゲルのそれをも上回るような――。
( OwO)「終わりだ!」
もう一度トレイを展開し、今度は三枚のカードを選択。
慄くつーを前にして、ブレイドはカードをラウズした。
《-♠5 KICK-》 《-♠6 THUNDER-》 《-♠9 MACH-》
《-♠LIGHTNING SONIC-》
、
@*;゚皿゚)@『負けてたまるか…アタシは、この戦いを勝ち残るんだから…!』
、
@*;゚皿゚)@『前は生き残れずに負けちゃったこの戦い…!今度こそ、どんな手を使っても勝つって決めたんだよ!!』
( #OwO)「そのために人を犠牲にしたお前達を、僕は倒すッ!!」
突如、驚異的な速度で疾走するブレイド。
一秒も経たぬ間に吹き飛ばしたつーのもとに接近し、片膝をついたつーを左足で上空に蹴りあげる。
、
@*;゚皿゚)@『ぐぅッ…!?速い…!!』
( OwO)「はぁッ!!」
592
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:31:12 ID:QzhOKDJ.0
目にもとまらぬ速さで距離を取り、両足をそろえ高々と跳躍。
空中で青白い雷を纏った右足を伸ばし、放たれる弓矢が如く速度で宙に浮くつーに向け接近。
、
@*;゚皿゚)@『ひっ……!!』
( #OwO)「うぇえええええええええええいィッッ!!!」
、
@*;゚皿゚)@『ギャアアアアアアアアアアァァァァッッッ!!!!』
一瞬の閃光。
つーの身体に強烈な蹴りが炸裂した瞬間、全身に感電する雷。
必殺技の強大な威力に耐え切れず、蹴りの勢いに吹き飛び地面に叩きつけられる。
そして、不愉快な悲鳴と共に、大きな爆発を引き起こした。
( OwO)「ッはぁ……はぁ……!」
、
@*;゚皿゚)@『……う、あぁ……』
上級アンデッドの黄金に輝くバックルが左右に展開し、"♠ Q"と彫られた文字が露呈される。
着地したブレイド。すぐにカードを一枚取り、倒れたつーに向けカードを投擲。
カードが身体に突き刺さり、つーは緑色に発光を始める。
、
@*; 皿 )@『クソッ……許さない…仮面、ライダー……!』
、
@*; 皿 )@『アタシ達の戦いを……邪魔しやがっ……てェ……―――』
捨て台詞を残したつーは封印され、カードはブレイドの掌中に帰還。
カードには二頭の山羊が対をなすように描かれ、"♠Q ABSORB"と記された。
593
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:31:52 ID:QzhOKDJ.0
( OwO)「はぁ…はぁ…、上級アンデッド……倒した……!」
遂に自らの手で上級アンデッドを倒せた。
きっとジョルジュ達の存在なくしては倒せなかっただろう。
仲間を想う気持ちが怒りとなり、ブレイドの力をより良く引き出すことが出来た。
バックルに手を掛けハンドルを引き、変身を解除する。
ブーンの姿へとなった途端に、全身の力がふっ、と抜けてしまった。
_
( ゚∀゚)「ブーン!!」
( メ^ω^)「ジョルジュ……無事でよかった、ケガはないかお…?」
_
( ゚∀゚)「……ったく、こんな時まで人の心配かよお前は。自分のこと心配しろ!」
_
( ゚∀゚)「お前達のおかげで、俺達も生きてるよ…!」
( メ ω )「ならよかった……お」
足元から崩れ落ち、ブーンの意識が途絶えた。
力が抜けてしまい、必死に保ってた意識を自分から手放したのだろう。
_
( ゚∀゚)「おい、おい?ブーン!どうしたんだよ!?おい!!」
そこに、車椅子に乗ったカーチャンがクーに押され現れる。
倒れたブーンを見つめ、どこか悟ったような表情を浮かべた。
J('ー`)し「……ホライゾン……あんた、こんなことしてたんだね……」
594
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:33:43 ID:QzhOKDJ.0
――――――
――――
――
植物園での戦いが終結を迎えた頃。
カリスの手から逃れたミセリは、ある場所へ来ていた。
ミセ* ー )リ「……ふふ、封印されちゃったみたいね。あの山羊女」
つーがブレイドに倒された事を、風の便りが報せてくれる。
協力関係にあったものの、結局はアンデッド同士。もとは敵だ。
つーが封印されたところで、微塵の悲しみも感じない。
「何の用ですか?」
そこに、スーツ着た一人の男が現れる。
耳にはピアスをし、腕には鷲のブレスレットを着け、更には指に輝く指輪も。
身に着けたアクセサリーが多く見られる。
( ゚д゚ )「俺に何か話があると聞きましたが」
現れたのは、以前上級アンデッドの集会に現れたうちの一人の男性。
彼もまた、上級アンデッドであることが伺える。
ミセ*゚ー゚)リ「あなたに伝えたいことがあるの」
ミセ*゚ー゚)リ「……カリス、のことなんだけど」
( ゚д゚ )「!?カリスの…?カリスがどうかしたのか!?」
ミセ*゚ー゚)リ「それはね……フフフフ……」
また一つ、他者を利用した新たな企みが生まれようとしている……。
595
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:34:28 ID:QzhOKDJ.0
【 第22話 〜甘い花の罠〜 】 終
.
596
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:34:54 ID:QzhOKDJ.0
==========
【 次回予告 】
https://www.youtube.com/watch?v=Yyh12l21WkA
( OHO)「ふうっ!!うおああぁッ!!!」
( OMO)「おい…ッ!ドクオやめろ!」
( #OHO)「俺の力だ!俺の力をよこせェッ!!」
ギャレンの封印したアンデッドの力を求め、理性をなくし暴れ出すレンゲル。
( #OHO)「ぬぅおおおあァッ!!」
( ; OMO)「ぐあっ!?」
( ; OMO)「ッドクオ…!」
( #OHO)「さぁ、早く俺によこせ……そのアンデッドの力を!」
597
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:35:17 ID:QzhOKDJ.0
( ゚д゚ )「俺のために酒を運んでくれる日が来るとは、夢にも思いませんでしたよ」
( ゚д゚ )「久しぶりですね、カリス。逢いたかった」
川 ゚ -゚)「……アンデッドか」
また新たな上級アンデッドが動き始める。
( ゚д゚ )「…カリス、あの日交わした約束、今度こそ共に果たそう」
川 ゚ -゚)「約束……?」
( ゚д゚ )「ええ、一万年前の約束ですよ」
クーとアンデッドとの間に交わされた約束とは一体?
598
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:36:19 ID:QzhOKDJ.0
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『何!?』
( <::V::>)『……?』
( ^ω^)「なんだ…!?」
。
ミミ/ ゚王゚)『おおおおおおおおッッッ!!』
自らカリスに襲い掛かったミセリ。
その手を阻み、カリスを守るようにして現れた新たな上級アンデッド。
。
ミミ/ ゚王゚)『カリスに手を出すな!!』
*∧Λ*
∠*;゚`ー´)ゝ『クッ、どういうつもり…!?』
( ^ω^)「どうなってんだお…?アンデッドがカリスを助けた!?」
599
:
22話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:36:58 ID:QzhOKDJ.0
( OwO)「仮面ライダーとしての使命、お前にも背負えるようになったみたいだな!」
('A`)「どうかな……まだ俺にもわからない。でもこれだけは言える…!」
('A`)「俺は、仮面ライダーとしてみんなの笑顔を守りたい!!」
そして、アンデッドとの戦いに自らの意志で身を投じようとするドクオ。
その心に秘めた想いは、正義か、悪か。
('A`)「けど……今なら俺は自分の名を堂々と言える!」
('A`)「俺は、三葉ドクオ!そして……仮面ライダー……」
(#'A`)「仮面ライダー、レンゲルだ!!!」
【 -♣OPEN UP- 】
( #OHO)「うおおおおおおおおおおおおッッ!!!」
レンゲルに変身し、果敢に立ち向かうドクオ。
果たして、正義のために戦うことが出来るのか!?
次回、【 第23話 〜輝く勇気〜 】
――今、その力が全開する!
==========
600
:
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/14(日) 11:39:46 ID:QzhOKDJ.0
しおり
>>9
第15話
>>84
第16話
>>152
第17話
>>234
第18話
>>308
第19話
>>372
第20話
>>454
第21話
>>530
第22話
またそのうち
601
:
名無しさん
:2018/01/14(日) 18:26:21 ID:LSdCCzbg0
乙
602
:
名無しさん
:2018/01/14(日) 22:14:08 ID:eSZ.mNCs0
おお、ジョルジュもかっけぇ。騙されてたけど
乙
603
:
名無しさん
:2018/01/16(火) 17:55:39 ID:POqxCq.U0
おぉ乙!
加速して入り乱れてきたねぇ
モスやんのカード使ってでぃちゃん守るの熱いわぁ
604
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 12:19:06 ID:x8qsNRlI0
乙
最近ブーンに味方が出来てきてなにより
序盤はモララーブレブレだわクーにゃんは襲ってくるわギコは裏切るわでろくなことなかったからなぁ…
605
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:38:32 ID:iHA3g/GI0
【 第23話 〜輝く勇気〜 】
.
606
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:39:12 ID:iHA3g/GI0
( OHO)「ふうっ!!うおああぁッ!!!」
( OMO)「おい…ッ!ドクオやめろ!」
( #OHO)「俺の力だ!俺の力をよこせェッ!!」
ギャレンが封印したアンデッドのカードを求め、暴徒と化すレンゲル。
力への執着を露骨に見せ、相手が敵でもないギャレンであろうと構わず襲い掛かる。
レンゲルラウザーによる攻撃を防ぎ、躱しながら制止の声を掛け続ける。
しかし、その声は届かない。
( #OHO)「ぬぅおおおあァッ!!」
( ; OMO)「ぐあっ!?」
"♣2のSTAB"の力を保有したままのラウザーの尖端が、とうとうギャレンの胸部を突いた。
弾き飛ばされながらも、受け身を取りすぐに体勢を立て直す。
( ; OMO)「ッドクオ…!」
( #OHO)「さぁ、早く俺によこせ……そのアンデッドの力を!」
尖端をギャレンに向けながら、ゆっくりと近付く。
だが、すぐにレンゲルラウザーはギャレンから逸れた。
こちらに近付く、一人の男の存在によって。
607
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:39:44 ID:iHA3g/GI0
(-_-)「もういいだろ、その辺にしとけよ」
( OHO)「……ほう、あんた直々に来てくれるとは話が早いな」
この状況を察して、ヒッキー自らが駆け付けて来た。
正体をカテゴリーKだと見破り、その力を一番に欲するレンゲルは、当然その来着を喜んだ。
レンゲルラウザーを構え、ギャレンを捨てヒッキーに向け走り出す。
( ; OMO)「おい…何をするつもりだドクオ!?彼は人間だぞ!?」
( #OHO)「お前の力が一番欲しいんだよ、俺もカテゴリーAもなァ!!」
( ; OMO)「よせ!!やめろドクオ!!」
( #OHO)「ああああああああああッッ!!!!」
狂ったように声を張り上げながら、構えたレンゲルラウザーをヒッキーの脳天目掛け一気に振り下ろす。
だが、眼前まで接近するレンゲルを見ても尚、ヒッキーは引き下がろうとしない。
(-_-)「……チッ、本意じゃないが仕方ねぇ」
(-_-)「わがまま坊やには少しお灸を据えてやらなきゃならないみたいだな…!」
( OHO)「なにッ!?」
左腕を頭上に翳し、振り下ろされるレンゲルラウザーの尖端を受け止める。
よく見ると、生身のヒッキーの左腕を覆うようにして風が纏っている。
そして、攻撃を受け止めたままのヒッキーの姿が、一瞬にして異形の姿へと変貌を遂げた。
608
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:40:45 ID:iHA3g/GI0
( ; OMO)「何だと……!?彼もアンデッドだったのか!?」
( OHO)「それがお前の本当の姿だな…!」
。
< \゚皿゚/>『ああ、だが俺はお前と戦うつもりはない』
( ; OHO)「ぐふっ!」
レンゲルラウザーを払い、異常なまでに発達した右腕から伸びる爪でレンゲルの顔を殴打する。
遂にアンデッドとしての姿を露にしたヒッキー。
スパイダーアンデッドを彷彿とさせるような、それに近い姿。
紫色の身体に、橙色の左腕。
スパイダーアンデッド同様、橙色のフードが顔を隠している。
肩に生えた、蜘蛛の足を象った触角。その太さは、まるでタランチュラの如く。
( OHO)「この野郎…ッ!!」
殴られた頬を抑え、もう一度襲い掛かる。
ヒュンヒュン、と振るいレンゲルラウザーを構え直し、今度は跳躍しながらの攻撃。
。
< \゚皿゚/>『はっ!』
( ; OHO)「うっ!?」
宙に飛ぶレンゲルに向け伸長する左腕から、ヒッキーは蜘蛛の糸を射出。
蜘蛛の糸が全身を絡め取るように拘束し、身動きが取れなくなったレンゲルはそのまま落下。
ヒッキーが放った蜘蛛の糸は、拘束を目的としたただの粘着質な糸ではない。
毒の成分を含み、これに触れた者の身体を麻痺させる効果を持つ。
609
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:41:28 ID:iHA3g/GI0
( ; OHO)「ぐっ…!か…身体がァ…ッ!」
。
< \゚皿゚/>『ちょっと苦しいかもしれないが、そのまま大人しくしてろ』
倒れるレンゲルを見下ろしながら、ヒッキーは人間の姿へと戻る。
レンゲルは身体が麻痺し、強引に糸をぶち破ろうにも力が入らない。
苦しむレンゲルをそのままに、ヒッキーは呆然としたギャレンに近付く。
アンデッドとしての姿を見た以上、ギャレンも警戒心は持ったようで、すぐに立ち上がりヒッキーとの距離を取った。
(-_-)「おいおいやめてくれよ、俺はそういうの嫌いなんだ」
( OMO)「どういうつもりだ、何故人間社会に潜んでいる?」
(-_-)「はぁ……俺は戦いとかしたくないから。争うのも嫌だし、アンデッド同士の戦いなんて昔っから御免なんだよ」
( OMO)「なんだと?」
(-_-)「俺みたいなのは、こうやって平和に過ごす方が性に合ってるってことだ」
( OMO)「……剣藤は知ってるのか?」
(-_-)「知るわけないっしょ。あんたにしろ他の連中にしろ、俺の正体知ったらどうせ警戒するくせに」
(-_-)「俺だってな、一応人との絆は大事にしたいんだよ。
自分の姿が原因で、せっかく作った関係を崩すのは……嫌なんだよ」
( OMO)「………」
今ここで全てを否定することが出来なかった。
ヒッキーのように、人との生活に溶け込んでいるアンデッドを、もう一人知っているから。
610
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:42:48 ID:iHA3g/GI0
(-_-)「まぁ…信じる信じないは任せる、アンデッドを全て倒すのがあんたらの役目だろうしな」
(-_-)「でもひとつだけ忠告だ」
( OMO)「…なんだ」
(-_-)「そこの坊やには注意しとけ、そいつはカテゴリーAの意志にまんまと乗せられてる。
そいつがそれを乗り越えるには、そいつ自身の心を強くする必要がある」
(-_-)「そいつの心の闇に光を差してやれ。無理に闇を消す必要はない。
両方抱えるってことを、あんたらが教えてやれよ」
( OMO)「……何故そこまでドクオを気にかける?」
(-_-)「決まってんだろ?こっちは平和に暮らしたいのに、そいつのせいでそれが脅かされてんだ。
しっかり管理してくれないと俺が困るんだよ」
(-_-)「じゃ、俺そろそろ仕事戻るから」
言って、ヒッキーは軽く手を振りながら店に戻って行った。
ヒッキーの背中を見届けると、ギャレンは変身を解除。
モララーの姿に戻り、倒れたままのレンゲルに近付く。
( ・∀・)「……ドクオ」
( OHO)「………こんなんじゃ、俺はライダーとしてやってけない」
レンゲルの身体を拘束していた蜘蛛の糸は、溶けるように消滅。
上体を起こし、バックルのシャッターを閉じレンゲルの変身を解除する。
611
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:43:29 ID:iHA3g/GI0
変身を解除したドクオの顔は、どこか思いつめた表情をしていた。
('A`)「俺は……確かにあいつの言う通り、どこかで正義のために…人を守るために戦いたいって思ってるところがある」
( A )「でも……今の俺は弱い、そのためには力が必要だろ!?
カテゴリーAが戦い方を示してくれるけど、それだけじゃ駄目なのは俺だって分かるよ!」
( A )「俺にも良く分からないんだよ…!さっきみたいに、力を欲しがるあまり我を忘れるんだ!
目の前が真っ暗になるみたいに何も見えなくなる!
でも今は、それが我を忘れてたんだって理解出来る……」
( A )「俺は昔から、何度も人を助けようと思っても行動に移せなかった。自信がないんだ…。
どうせ何か言われるとか、俺みたいなのに何が出来るんだとか思うと……」
( ・∀・)「……そうか」
('A`)「……けど、どこかでこうも思ってる自分がいる」
('A`)「過去に俺を寄って集って殴り、いたぶり、蔑んだ奴らを許せない…って。
奴らを見つけ出して、俺が受けたいじめと同じことを…いや、それ以上の報復をしてやりたいって」
('A`)「もう過ぎたことだから…なんて済ませられる程、俺にとっては簡単なことじゃない。
今目の前に現れて謝られても……許せない自信がある」
('A`)「そんな俺の心に抱えた闇の部分に、カテゴリーAが触れてくるんだ。
そうすると、許せないって思いが強くなって、強くなり続けて……力を求めて動き出したくなる。
自分を抑えられなくなって、無性に戦いたいって最近思うようになった……」
( ・∀・)「………」
ドクオの口から語られる真実。
カテゴリーAがドクオに及ぼす影響は、やはり悪い方向にしか進んでいないことは確かだ。
モララーが想像していた以上に、ドクオの問題は深刻だ。
612
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:45:04 ID:iHA3g/GI0
だが、決心は着いた。
これで、きちんとドクオと向き合えるかもしれない。
( ・∀・)「ドクオ」
('A`)「…はい」
( ・∀・)「正義のために、人の為に戦いたい……そう言った君が俺は嫌いじゃない」
( ・∀・)「けど、君はまずライダーとして強くなろうとする前に、人として強くなるべきだ。
人を救いたいのなら、まず自分の抱える弱さに左右されない精神を持たなきゃならない。
自分に迷いのある人間が、他の人を救うことなんて出来ないぞ」
( A )「……じゃあどうすればいいんだ!」
( ・∀・)「俺が君に戦い方を教えてやる」
('A`)「え……?」
( ・∀・)「剣藤にもこう言って、結局あいつには何も教えなかったな……。
でも、あいつは戦いの中で自分の戦い方を身に着けた。君にも出来るはずだ」
( ・∀・)「自分が強くなれば、自分自身の迷いも打ち消せるはず。
だからまずは君が強くなれ、ライダーの力云々ではない。君自身が強くなるんだ」
('A`)「……出来るのかな、俺に……」
( ・∀・)「やる前から弱音を吐くな!やりもしないで変わることなんて何もないぞ!」
('A`)「……!」
( ・∀・)「どうした、やるのかやらないのか。答えは待たない、今すぐ決めろ」
613
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:45:45 ID:iHA3g/GI0
('A`)「………やります」
( ・∀・)「聞こえないぞ?」
一筋の光を見出した。
未だ身体は痺れるが、それでも強引に起き上がりモララーの前に立つ。
その真剣な眼差しで、モララーを見つめた。
('A`)「ッ…やります、俺はやる!俺は変わりたい、強くなりたい!
どんな辛いことにも耐える、耐えて耐えて…そして生まれ変わりたい!!」
('A`)「俺に、戦い方を教えてください!モララーさん!!」
両手を腿につけ、指先を伸ばし頭を深々と下げる。
それまでドクオを厳しい目付きで見ていたモララーだったが、ドクオの肩を叩きようやく笑顔を見せた。
( ・∀・)「……その言葉を待ってた」
( ・∀・)「焦らなくて良い、ゆっくりでいいんだ。君が強くなってカテゴリーAを押さえ込め」
('A`)「モタモタしてたらまた誰かがアンデッドに襲われる…ゆっくりなんてしてられません!」
( ・∀・)「……そうだな、君の言う通りだ。剣藤達と共に戦うライダーとして、一日でも早く成長しよう。
俺も君と一緒に、もう一度鍛錬を積むつもりで臨もう!」
( ・∀・)「お前なら、出来る!」
かつて、尊敬する先輩や頼もしい仲間、愛する者から言われた言葉。
今度は、自分がこの言葉を託す番。
('A`)「はい、お願いします!」
614
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:46:12 ID:iHA3g/GI0
―――――
.
615
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:46:35 ID:iHA3g/GI0
――翌日。
とうとう迎えた母親の再入院日。
ツンとジョルジュを連れ、見慣れた病室へとやってきた。
昨日の植物園は、再入院を控える母親との思い出作りにとって最悪な惨事となってしまった。
もはやゆっくりと観覧することも出来ず、すぐに家に引き返しブーンはケガの治療に努めた。
でぃは、あの後クーと一緒に別の花屋で、モスに手向ける花を買ったらしい。
J('ー`)し「みんな、荷物まで持たせちゃって悪いわねぇ」
_
( ゚∀゚)「いいんですってば、まったくお母さんは気ィ遣いだなぁ」
ξ゚⊿゚)ξ「あっという間でしたけど、たくさんお話出来て楽しかったです。
これからは私達もお見舞いに来ていいですか?」
J('ー`)し「もちろん、来てもらえるだけでありがたいわ」
ξ゚⊿゚)ξ「よかった!何か欲しいものとかあったら遠慮なく言ってくださいね?」
J('ー`)し「ありがとね、ツンちゃん。ジョルジュくん」
( ^ω^)「本当助かるお、僕も来れるときは来るつもりだけど…」
J('ー`)し「……ねぇ、ちょっと息子と二人で話してもいいかしら?」
ξ゚⊿゚)ξ「あっ、はい。じゃあ私達は表で待ってるね」
( ^ω^)「ん?おお」
616
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:47:10 ID:iHA3g/GI0
自分の息子が仮面ライダーであることを打ち明けない理由は知っている。
心配を掛けまいと、あえて言わないのだ。
自分が育ててきただけあって、考えてることが手に取るように分かる。
だからこそ、こちらから解いてやるべきだと考えた。
J('ー`)し「ホライゾン」
( ^ω^)「なんだお?」
J('ー`)し「あんた、カーチャンに隠してあんな危ないことしてたんだね?」
( ; ^ω^)「え……何がだお?」
昨日の戦いのあとでも、ブーンはあえてカーチャンに言わなかった。
自分がライダーであることを。
聞かれもしなかったからか、きっとバレてない。勝手にそう思い込んでいたようだ。
J('ー`)し「カーチャンを前にして嘘をつくのはやめな、あんたは嘘はつけないんだから」
( ; ^ω^)「………」
J('ー`)し「あんたが何で隠してたかは分かるさ、心配掛けたくなかったからだろう?
でもね…あんたが心配なのはいつもの事だよ」
J('ー`)し「さぁ、全部カーチャンに話しなさい」
( ^ω^)「………実は」
617
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:47:42 ID:iHA3g/GI0
すべてを話した。
仮面ライダーになったきっかけ、ツンやジョルジュ達との本当の関係。
ニュース等で報道される化け物がアンデッドだということ。
そして……父親であり、カーチャンの元夫であるロマネスクが、仮面ライダーの開発をしていたこと。
J('ー`)し「……そうなんだね、あの人が……」
( ^ω^)「父ちゃんの事もあったから余計言いにくかったんだお」
( ^ω^)「今まで黙っててごめんお…」
J('ー`)し「話してくれたんだから、いいんだよ」
( ^ω^)「……僕は今でも父ちゃんを許せないって思う。周りに止められたけど、きっと殴ってもおかしくなかった」
( ^ω^)「カーチャンは、父ちゃんのこと今はどう思ってるんだお…?」
J('ー`)し「そうねぇ……あの人が何かのために一生懸命になってるのは知ってたよ。
でも、それと私達の両立が出来なかったのかもしれないね。
あの人も器用な方ではないから……カーチャン達のことを想って出て行ってしまったのかもね」
J('ー`)し「カーチャンは、今ではなんとも思ってないよ」
( ^ω^)「そっか……」
J('ー`)し「今度はカーチャンが聞く番ね。
あんたは、仮面ライダーっていうのやってて自分でどう感じてるんだい?」
618
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:48:41 ID:iHA3g/GI0
( ^ω^)「僕は……仮面ライダーをやって、よかったって思ってるお」
J('ー`)し「……そんなにボロボロになってもかい?自分が死ぬかもしれないんだよ?」
( ^ω^)「大丈夫だお、僕は死なない。それに……」
( ^ω^)「仮面ライダーって、みんながみんななれる訳じゃないんだお。
僕がその仮面ライダーになれたのは、偶然なんかじゃなくて"運命"だと思ってる」
( ^ω^)「最初はそりゃあ怖かったお……アンデッドだって怖かったし、剣を握るのだって怖かった」
( ^ω^)「でも怖がってる暇なんてなかった。僕が怖がってる間に、目の前の人が傷つき、殺されてしまう……。
僕達が人間を守らないと、アンデッドによって次々と人が殺されてしまう。
そんなのは、絶対に見過ごせないって思ったお」
( ^ω^)「だから、ライダーになった僕は人を守らなきゃならない。僕にはその使命があると思ってる。
どれだけ傷付いても、苦しいこと悲しいことがあっても、全部乗り越えたい」
( ^ω^)「……けど、そんな自分に矛盾してることがあるんだお」
J('ー`)し「なんだい?」
( ^ω^)「カーチャンだから言うお。……クーさんって人、あの人は人間じゃないんだ」
J('ー`)し「え……?」
( ^ω^)「あの人はアンデッドなんだお。人間の姿を借りたアンデッド…僕達が倒さなきゃならない相手なんだお」
( ^ω^)「アンデッドは人間の敵なのに……僕は、クーさんがショボンさん達に抱いてる愛情を信じてしまってる。
一度は信じることをやめようとして、衝突したこともあった。けど……無理だったお」
( ^ω^)「どうしたらいいのかな……僕は、クーさんを倒したくない。
でも、アンデッドはいつか必ず倒さなきゃならない……全てのアンデッドを封印するのが僕達の仕事だから」
619
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:49:15 ID:iHA3g/GI0
J('ー`)し「……まったく、そんなことかい?」
( ^ω^)「そんなこと、って……真面目に悩んでるんだお!」
J('ー`)し「要するに、クーさんはアンデッドでも人間になろうとしてるってことじゃないのかい?」
( ^ω^)「……!」
J('ー`)し「人間だってそうだろう?本当に大事に思ってるものっていうのは、どんな理由があろうと手放せないものだよ。
アンデッドっていうのがどんなものか知らないけどねぇ…カーチャンは感じたよ」
J('ー`)し「クーさんは無口で自分の感情を表現するのが上手じゃないけど、本当は優しい心の持ち主だ。ってね」
J('ー`)し「仕事とか使命とか、そんなものを考えるから駄目なんじゃないか。
あんたはクーさんをどうしたいんだい?その答えは、もうとっくに自分で見つけてるはずだよ」
( ^ω^)「………」
J('ー`)し「いいかい?自分が本当に信じたいものを信じなさい。
形だけに捉われたら、本当に大事なものも見えないよ」
J('ー`)し「自分が本当に後悔しない道を選びなさい」
( ^ω^)「本当に大事なもの……後悔しない道……」
仮面ライダーであることの使命、それに反する許されない想いに挟まれ、どうしていいか分からなかった。
けれど、カーチャンの言葉でどこかふっ切れたような、そんな気持ちになった。
曇っていた心が、晴れた気がする。
620
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:49:44 ID:iHA3g/GI0
J('ー`)し「あんたがボロボロになりながら戦う姿、カーチャンは誇らしいよ。
けどね、自分の子が痛い思いをするのはどんな親でも心配するものだよ」
J('ー`)し「だから……無茶だけはしないでおくれよ」
( ^ω^)「……うん、分かってる」
( ^ω^)「僕は一人じゃない。ツンやジョルジュ、モララーさんもいる。何より……僕にはカーチャンがいるお」
( ^ω^)「みんなを守るのが僕の仕事だお、だから…僕は絶対に死なない」
J('ー`)し「うん、ならいいよ」
( ^ω^)「……きっと、父ちゃんとも力を合わせることになると思う」
J('ー`)し「いいじゃないか。あんたももう、過去を引きずらないで前を向きなさい。
いつまでもあの人に当たり強くしたってしょうがないことだよ」
( ^ω^)「……出来るかなぁ、そんなこと」
J('ー`)し「人を守るため、でしょう?」
( ^ω^)「うっ……痛いとこ突かれたお」
J('ー`)し「ふふふ」
こうして、カーチャンは再び家を離れ、病院に戻った。
ライダーとしての戦いに明け暮れ、まともに時間を作れなかったブーンにとって、とても充実した時間となった。
抱えていた悩みも……これで全部ふっ切れた。
また心を新たに、戦いに臨むことになるだろう。
621
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:50:11 ID:iHA3g/GI0
―――――
.
622
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:50:38 ID:iHA3g/GI0
その日の夜。
営業中のバーボンハウスは、いつものように静かに賑わっていた。
誰も喧しく騒がず、皆が心地良く居られる空間。
カウンターには、注文を受けた酒をグラスに注ぐショボンの姿が。
渡辺は客席で注文を伺っている。
姿の見当たらないクーは、でぃの買い物に付き添い外出中だった。
ベルを鳴らしながらドアが開かれる。
ちょうど、買い物に出ていたクー達が帰ってきた。
(#゚ -゚)「ただいま〜」
川 ゚ -゚)「戻りました」
(´・ω・`)「あっ、クーちょっと来て」
川 ゚ -゚)「はい」
(´・ω・`)「帰って来て早々悪いんだけど、あちらのお客様にこのお酒運んでもらっていいかな?」
川 ゚ -゚)「分かりました」
ショボンの頼みを聞き入れ、用意されたトレーにグラスを置き、指示された客席のもとへと運ぶ。
その客は、奥の方に一人で座っている。
背中を向けていて分からないが、ぱっと見た印象では、スーツを着た男性のようだ。
川 ゚ -゚)「お待たせ致しました」
トレーの上のグラスを手に取り、客の前にそっと置く。
「ありがとうございます、カリス」
川 ゚ -゚)「……え?」
623
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:52:32 ID:iHA3g/GI0
( ゚д゚ )「俺のために酒を運んでくれる日が来るとは、夢にも思いませんでしたよ」
( ゚д゚ )「久しぶりですね、カリス。逢いたかった」
川 ゚ -゚)「……アンデッドか」
カリスの名を強調するこの男……。
上級アンデッドの集会にも現れ、ミセリと話をしていた男だ。
クーの顔を見つめると、少しだけ笑ってみせた。
( ゚д゚ )「もちろん、俺達は人間じゃない」
川 ゚ -゚)「私と戦いたいのなら姑息な真似はするな。いつでもやってやる」
( ゚д゚ )「まさか…俺はあの女のような卑怯な真似は嫌いだ。
誰かを人質に取った平等ではない戦いなど恥ずべきもの。俺達は誇り高き戦士であるべきなのだから」
川 ゚ -゚)「分かっているならいい」
( ゚д゚ )「…カリス、俺があなたの前に現れたのは他でもない
( ゚д゚ )「あの日交わした約束、今度こそ共に果たそう」
川 ゚ -゚)「約束……?」
( ゚д゚ )「ええ、一万年前の約束ですよ」
川 ゚ -゚)「何のことだかさっぱり分からないな」
624
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:53:41 ID:iHA3g/GI0
そこに、渡し忘れたお通しを持ったショボンが近付く。
(´・ω・`)「クーごめん、お客様にお通し出すの忘れ――」
( ゚д゚ )「カリス……何を言っているんですか!?俺達は確かに一万年前、約束したはずだ!」
川 ゚ -゚)「知らないと言っている、私は一万年前に他のアンデッドと馴れた覚えは無い」
(´・ω・`)「っ……!」
だが、ショボンは反射的に足を止める。
そして、自分の存在がバレないように、物陰に隠れた。
(´・ω・`)(……何を話してるんだ?)
話している内容が、普通の会話ではないことは理解出来た。
言い争っているというよりは、何かについて話している。
内容からしても、二人はお互いに顔見知りだと察する。
( ゚д゚ )「……忘れてしまったというのですか。
俺達は友であり、互いに認め合う好敵手だったはず…思い出してください」
川 ゚ -゚)「お前の妄想に付き合うつもりはない。……相手ならいつでもしてやるが、また今度にしてくれ」
( ゚д゚ )「そうだ…あなたは何故人間などと暮らしているのですか?こんな下等生物共と…」
川 ゚ -゚)「酒を飲んだら帰れ」
625
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:54:35 ID:iHA3g/GI0
それ以上の言葉を無視して、クーは早足で立ち去った。
男はクーの背中を見つめると、差し出された酒を一気に飲み干す。
( ゚д゚ )「……ふん、確かに美味い。人間の食い物、そして酒は……」
( ゚д゚ )「カリス…何故だ、何故あのように変わってしまった?
人間など、この地球に生きとし生ける命を無駄にするろくでもない種族ではないか…!」
( ゚д゚ )「あの女の言葉など信用するつもりはないが……」
(´・ω・`)(どういうことだ……一万年前の約束?好敵手?)
二人の会話は、ただ謎を深めるだけだった。
だが、同時にクーへ隠し持っていた疑念が、更に増幅する。
柱に隠れるのをやめ、改めてお通しを男の席へと運び出す。
(´・ω・`)「お客様、こちらお通しになります。遅くなってしまい大変申し訳ございません」
( ゚д゚ )「いえ、急用を思い出したので…私はこれで失礼します。お気遣いいただき感謝します」
(´・ω・`)「あ……いえ」
男は席を立ち、会計へと向かう。
あわよくばクーのことを聞こうと身構えたあまり、反応が遅れてしまった。
疑問を抱きつつも、触れてはいけないと思っていたはずなのに。
クーが何者なのか…その答えを、求めてしまいそうになる自分がいた。
626
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:55:37 ID:iHA3g/GI0
――――――
――――
――
( ^ω^)「こんな時間から?」
( ・∀・)「うん、ドクオの希望だからね」
戦い方を教える。ドクオとそう約束したモララーは、ジャージを着込み夜の訓練に出る準備をしていた。
時刻は既に21時を回っていて、もちろん他の三人は心配した。
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫なの?」
( ・∀・)「大丈夫かどうかを考えるのは後にするよ、今は自分の出来ることに最善を尽くす。それしか考えてない」
( ^ω^)「ドクオのやつ、本当にやる気なのかお」
( ・∀・)「俺に強く願い出たあいつの心を、俺は信じたいと思ってるよ」
_
( ゚∀゚)「んだよ、モララーさん急に立派になりやがって」
( ・∀・)「はは、だろ?甘えてばかりだった分、今度は俺が動かないとな」
( ^ω^)「無理しないでくださいお、夜は冷え込むし…アンデッドもいつ現れるか分からないし。
モララーさんいないと僕一人じゃ大変なんですから」
( ・∀・)「分かってるって、心配するな。一応ベルトとサーチャーは持ってくけど、何かあったら連絡してくれ」
ξ゚⊿゚)ξ「気を付けてね!」
荷物を纏め上着を羽織ると、言ってモララーは外に出て行った。
627
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:56:26 ID:iHA3g/GI0
_
( ゚∀゚)「本当に大丈夫か?ドクオの奴」
( ^ω^)「さぁ……でも、自分でやりたいって目標が見つかったんなら良いことだお」
ξ゚⊿゚)ξ「後はドクオさんの気持ちの問題ね、投げ出したりしなければいいけど」
( ^ω^)「まぁ、モララーさんに任せるお。僕は戦い方とか訓練とかそういうの教えられないし……」
そう話しながら、ブーンは冷蔵庫の前に移動。
扉を開け、中から白い箱を取り出すと自分の顔の前にかざし、にやけた。
( *^ω^)「モララーさんには悪いけど、僕はこの間にケーキ食っちゃうお」
_
( ゚∀゚)「……そうだな」
ブーンに乗り気になるわけでもなく、静かにそう呟く。
ξ゚⊿゚)ξ「あんた昨日から元気ないけど…まだアンデッドの女のこと引きずってるの?」
_
( ゚∀゚)「そんなんじゃ……あるよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あるんじゃん」
_
( ゚∀゚)「だってよ…!一目惚れした女がアンデッドだったなんて、ショックだろ……」
_
( ゚∀゚)「それに俺のせいで大事になっちまったんだ……」
628
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:57:24 ID:iHA3g/GI0
( ^ω^)「あの女は僕も許せないお。弱みを握ろうとして人を騙して…山羊のアンデッドより残忍な奴だったお」
( ^ω^)「見つけ出したら必ず封印してやるから、ケーキでも食って元気出せお。ほら」
白い箱からショートケーキを三枚の皿に一個ずつ乗せ、ツンとジョルジュの前に配る。
椅子に座ると、ふんわりとしたケーキにフォークを通し、一足先に頬張る。
_
( ゚∀゚)「はぁぁ……あれだけ俺を嫌ってたクーさんにも助けられるしよ、マジで立場がねぇよ……」
ξ゚⊿゚)ξ「はいはい、でもよかったじゃない」
_
( ゚∀゚)「何がだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「クーさん、何だかんだ言ったってあんたも助けてくれたんでしょ?言うほど嫌ってないのかもよ」
_
( ゚∀゚)「俺を助けたほうが都合が良かったって言ってたぜ……」
ξ゚⊿゚)ξ「それはそれよ、助けられたのは事実でしょ」
_
( ゚∀゚)「そうだけどよぉ……」
( ^ω^)「もういつまでもウジウジしてんなお、お前のケーキ食っちゃうお」
_
( ゚∀゚)「ッふざけんな!これは俺のだろ!」
( ^ω^)「じゃあとっとと食って忘れるんだお、男らしくないぞ」
_
( ゚∀゚)「………ああクソ!」
自棄になりながらフォークを持ち、ケーキのど真ん中に突き刺す。
大きな口を開けると、一口で無理矢理ケーキを押し込んだ。
629
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:59:01 ID:iHA3g/GI0
一方、ドクオとの特訓をするため待ち合わせ場所に向かったモララー。
到着すると、そこには既にドクオが待機していた。
( ・∀・)「悪いな、待たせて」
('A`)「いえ、こんな時間なのにありがとうございます」
( ・∀・)「剣藤も言ってたよ、応援してるって」
('A`)「そうですか…よかった、俺のこと嫌いになったかと思ってたから」
( ・∀・)「みんなお前を応援してる。その気持ちにも応えてやらないとな」
('A`)「はい!」
( ・∀・)「さて、早速だけど行きたい場所がある。着いてきてくれ」
何の変哲もない場所。
特徴をあげるなら、目の前に何かしらの建物の裏口らしきドアがあるくらいだ。
すると、モララーがそのドアの前に立つ。
ポケットから何やらパスのようなものを取り出すと、ドア上部に張られた"立入り禁止"の張り紙にパスをかざした。
パスを読み込んだのか、ピー、という機械音が鳴ると、鍵の開く音がした。
ドアノブに手を掛け、その扉を開ける。
( ・∀・)「行くぞ」
('A`)「は……はい」
630
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 10:59:33 ID:iHA3g/GI0
中に入ると、まず目に飛び込んできたのはひとつのエレベーター。
ドクオは戸惑いながらも、モララーに導かれるままにエレベーターに乗り込む。
パネルには、一階と地下一階を指すボタンのみ。
現在地は一階、地下に行くのだろう。
('A`)「あの……どこに行くんですか?」
( ・∀・)「今の君に全てを明かすことは出来ない。けど、君が鍛えるための場所ということだけは言える」
より不安が募る。
一体、何が待ち受けているのか。
地下に到着し、エレベーターのドアが開く。
落ち着かぬまま、ドクオは先にエレベーターから降りた。
そして、目の前に広がる光景に驚愕することになる。
('A`)「うわ……なんだここ……!」
灰色の壁に覆われた、広々とした地下施設。
スポーツジムなどでよく備えられている、身体を鍛えるための器具が立ち並び、剣や槍を模した棒がいくつもある。
マットや、バッティングセンターのような設備まであるこの空間。
ドクオには、とても異端な光景に見えた。
( ・∀・)「ここは、俺が前にいた組織がつくった施設だ。鍛える場所でもあり、訓練を行う場所でもある。
特別に使用許可をいただいた。君にはここで己を鍛えてもらう」
('A`)「すげぇ……」
( ・∀・)「厳しいものになるぞ、覚悟は決めたか?」
('A`)「…はい、やります!」
631
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:00:29 ID:iHA3g/GI0
――――――
――――
――
モララーがドクオを案内したのは、バッティングの設備。
しかし、手にはグローブを着けている。
( ・∀・)「動体視力…俺がギャレンになるために積んだ基礎訓練のひとつだ」
('A`)「動体視力…?バッティングでですか?」
( ・∀・)「見てろ」
球を投球する機械が稼動を始める。
先端に球を乗せたアームがゆっくりと上昇し、一気に振りかぶった。
豪速球の球が、モララーに向け猛突進していく。
モララーは動かない。
100km以上は必ず出ているであろう速度で迫る球。だが、彼にはとてもスローに見えている。
( ・∀・)「―――3!」
言って、グローブで球をキャッチした。
('A`)「…??」
何をしているのかさっぱり分からず、困惑すら覚える。
しかし、モララーがキャッチした球をドクオに向けた瞬間、ドクオは絶句した。
632
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:01:09 ID:iHA3g/GI0
(;'A`)「!?」
( ・∀・)「分かったか?」
(;'A`)「あんだけ速い球に書いてある数字を……読んだのか……!?」
見せられている球には、確かに数字の"3"と書かれている。
モララーが何をしたのかを理解し、驚きが隠せない。
そして、今からこれを自分がやると考えた途端、諦めの心が生じてしまった。
( ・∀・)「150kmの速球だ。投げられる球に書かれた数字を読み取れ」
(;'A`)「……は、はい……」
困惑しながらも、渋々手にグローブを装着。
モララーの立っていた場所にドクオが立ち、今から投げられるであろう豪速球に怯えながら、その時を待つ。
球が投げられた。
向かい合うにはとても恐ろしい速度の球が、ドクオにあっという間に迫った。
(;'A`)「ごっ、5!!」
( ・∀・)「7!」
(;'A`)「うわっ!!」
球をキャッチせず、恐怖に耐えかね避けてしまった。
後ろのネットに跳ね転げ落ちた球をモララーが拾い、ドクオに見せ付けた。
633
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:02:13 ID:iHA3g/GI0
( ・∀・)「でたらめを言うな。その目でちゃんと視認出来るまで答えるな」
モララーは、ドクオの後ろで投げられた球の数字を答えていた。
球に書かれた数字は……"7"。
(;'A`)「ちょ、ちょっと待ってください…!いきなりこれはさすがに無理ですよ!」
( ・∀・)「諦めるのか?出来ないことをすぐに無理と決め付け、簡単に諦めてしまう。それがお前の弱点だ」
(;'A`)「でも……!」
( ・∀・)「でも?だって?ちょっと?そんなことを言うために来たのか?その弱い心がカテゴリーAにつけ込まれるんだ!」
(;'A`)「っ………」
( ・∀・)「最初から出来ることなんて何もない、出来ないから出来るようにするんだ。
一日も早く成長したいと望むのであれば、このくらいのことやり遂げてみせろ!」
( ・∀・)「でなければ、君はずっと辛い思いをしたままだぞ」
('A`)「………やります」
('A`)「俺は変わりたい……こんな弱い自分と、決別したい!」
( ・∀・)「そうだ、変わりたいという心を持ち続けろ。これは自分との戦いだ、自分の弱い心に抗い続けろ!」
('A`)「はい……!」
634
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:02:58 ID:iHA3g/GI0
その日から、ドクオは毎日毎日欠かさず懸命に特訓に励んだ。
( ・∀・)「終わりか?」
(;'A`)「ッ……まだだ!!」
( ・∀・)「ふっ!」 バシィッ!
(;'A`)「うあっ!」
( ・∀・)「立て、まだ棒は俺が持ってるぞ。奪ってみせろ」
(;'A`)「うっ……クソ……」
( ・∀・)「どうした、そんな弱腰で本当に自分の力でアンデッドと戦えると思うのか!?」
(;'A`)「ぐうううう……!!!」
( ・∀・)「行くぞ!」
(;'A`)「ううっ!ああっ…!」
汗をかき、時には血を流し、悔しさや辛さで涙を流すこともあった。
モララーの付き添いのもと、厳しい言葉を浴びせられながら。
それでも、諦めてしまいそうになる心に鞭を打ち続けた。
変わりたい……そう強く願い、己の心を鍛え続けた。
635
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:03:39 ID:iHA3g/GI0
――――――
――――
――
一週間以上が経ち、ドクオは自らバッティングに再び立つ。
グローブを手に装着し、両足をしっかりと地に着け目の前を見据える。
('A`)(来い…!)
豪速球を生むアームが、球を投げた。
真っ直ぐドクオに接近する球。
以前までは、この球にすら怯えて避けてしまっていた。
しかし、ドクオに避ける様子はない。
そして……
('A`)「8!」
パシンッ!と音を放ちながら球をキャッチした。
球を手に取り、書かれた数字を確認する
('A`)「………」
('∀`)「……よし!」
球には確かに、"8"と書かれていた。
当てずっぽうでも、感覚でもなんでもない。ドクオの目に、確かに"8"の字が見えた。
636
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:04:16 ID:iHA3g/GI0
今度は棒術の訓練。
モララーが棒を持ち、再びドクオに襲い掛かる。
以前までは、一方的に殴打されまったく歯が立たなかった。
( ・∀・)「はっ!」
('A`)「――ッ!」
顔に向け突きつけられた棒先。
ドクオには見える。モララーが振るう棒の動きが。
首と身体を瞬時に傾け、突き攻撃を躱す。
続いて振り下ろされる棒を軽々と避け続け、横薙いだ棒は頭を下げ回避。
今度は胸部を狙った突き攻撃。
ドクオはそれを避けつつ……その棒を掴んだ。
( ・∀・)「!!」
('A`)「ふっ!」
掴んだ棒でモララーを振り払い、返しながら的確に頬を殴打した。
( ・∀・)「うっ…!」
('A`)「見えた……!確かに見えた!」
637
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:04:50 ID:iHA3g/GI0
( ・∀・)「いいぞドクオ、一週間程度でそこまで身につけるのは素質があるよ」
('A`)「……そ、そうですかね?」
( ・∀・)「もっと素直に喜べ、やっぱり君はやれば出来るんだから。
君は毎日、長い時間自ら進んで特訓に励んだ。その強い姿勢が…努力が実を結んだんだ」
('A`)「………」
奪い取った棒を見つめる。
ドクオには、この棒がレンゲルラウザーに重なって見えていた。
('A`)「俺、自分の力で戦えるかな……」
( ・∀・)「そのために今はひたすら努力をするんだ。そうすれば、必ず自分の意志で戦える」
( ・∀・)「だが、まだまだ特訓は終わらないぞ。特訓を続けて、その感覚を磨くんだ」
('A`)「はい!」
( ・∀・)「さて、次は―――」
次の訓練に臨もうとした時、モララーの荷物から音が鳴り響く。
ロマネスクより送られた、小型のアンデッドサーチャーだ。
いち早く音に気付き、荷物の置かれた場所まで走り、サーチャーを確認。
( ・∀・)「アンデッド…!」
('A`)「アンデッド?現れたんですか!?」
638
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:05:11 ID:iHA3g/GI0
( ・∀・)「ああ、ここからだと近い…君はここで待ってろ!」
('A`)「ッ…俺も行きます!」
( ・∀・)「まだ駄目だ!君は自分を鍛えるのが先だ!いいな!?」
('A`)「でも…!」
逸るドクオを強引に押さえつけ、モララーは急いでエレベーターへと向かった。
単身残されたドクオは、荷物よりレンゲルバックルを取り出す。
手に持ったままの棒とバックルを交互に見つめ、唇を噛み締めた。
('A`)「……そうだな、焦るな。一日でも早く成長するために、今は自分を鍛えるんだ」
アンデッドと戦いたい……不思議と心に湧き上がる戦意。
それがカテゴリーAによる影響だと、理性を持って察することが出来ただけでも大きな成長だ。
自分にそう言い聞かせ、戦いたい欲望を押さえ込む。
ドクオは一人、並べられた器具のもとへと移動を始めた。
639
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:05:33 ID:iHA3g/GI0
―――――
.
640
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:06:42 ID:iHA3g/GI0
モララーがキャッチした反応とは別の場所でも、アンデッドによる争いが展開されようとしていた。
それは、クーがセルフガソリンスタンドにて、バイクにガソリンを給油している時に起きた。
川 ゚ -゚)「………」
相変わらずの無表情だが、少しだけ不機嫌さが伝わる。
ガソリン特有の不愉快な臭いが鼻につき、自然と眉間に皺を寄せていた。
「随分器用なのね、人間の暮らしにすっかり馴染んじゃって」
川 ゚ -゚)「……逃げた分際でおめおめと私の前に現れたのか」
クーにかけられる女性の声。
振り返らずとも、あえて発してきている気配で誰なのかは分かった。
その瞬間、僅かに不機嫌そうだった顔が、露骨に不機嫌な表情へと変わる。
ミセ*゚ー゚)リ「そんな言い方しなくてもいいじゃない。今日はあなたと話がしたくて来たの」
川 ゚ -゚)「私にはお前とする話はない」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇ……私と手を組まない?」
川 ゚ -゚)「……答える価値も無いな」
ミセ*゚ー゚)リ「そうかしら。あなたと私が手を組めば…他のアンデッドなんて全員…人間だって簡単に滅ぼせるわ」
川 ゚ -゚)「断る」
641
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:08:03 ID:iHA3g/GI0
給油を終えキャップを閉じ、一度もミセリを見ることなくバイクに乗るクー。
ハンドルにかけたヘルメットに手を伸ばした瞬間……、
ミセ*゚ー゚)リ「まったく強情ね……知ってたけど!」
川 ゚ -゚)「!!」
植物による触手が、クーの手首に巻きついた。
触手はバイクに乗ったクーを引き摺り下ろそうと力を込め、強引に牽引を始める。
されるがままに引き摺り下ろされ、硬い地面に受け身を取りながら落下。
すぐに腰にカリスラウザーを召喚し、バックルにカードをスライドさせた。
川 ゚ -゚)「変身!」
っ□
【 -♥CHANGE- 】
ミセ*゚ー゚)リ「やっぱりあなたとの交渉は無理みたいね……ならせめて――」
「――!?うわああぁっ!!」
全身に花びらを纏い、アンデッドの姿に変化。
周囲にいた人々がミセリの姿を目にした途端、悲鳴をあげながら一目散に退散。
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『あなたの持つそのカードだけでもいただくわ…!』
( <::V::>)『話だけではないなら最初から言え……すぐにでも封印してやる!』
642
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:08:40 ID:iHA3g/GI0
そこに、サーチャーの反応を駆け付けたブーンが現れる。
たまたま近くに居合わせ、すぐに到着することが出来たようだ。
カリスと戦っているのは……植物園でジョルジュ達を人質に取ろうとした、ミセリ。
( ^ω^)「あの蘭アンデッド……!」
目に入れただけで怒りが沸々と湧き上がってくる。
バイクから降り、ポーチからバックルを取り出す。
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『さぁ、お前の持つカードをよこせ!!」
( <::V::>)『っく…!』
( ^ω^)「クーさん…!今行くお!」
ミセリの後頭部にある色白な不気味の顔と入れ替わり、口から無数の花びらを吐き出す。
接近したタイミングで視界を眩ませられ、カリスは思わず顔を覆った。
そして、ミセリはゆっくりと近付く。
危機を感じたブーンは、カードを装填しながらカリスのもとへと駆け出した。
――だが、別の何かが、カリスへの障害を取り除いた。
643
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:09:14 ID:iHA3g/GI0
突如、上空より吹き荒ぶ風。
ミセリが吐き出す花びらを容易に吹き返し、カリスを覆っていた花びらは瞬時に消え失せた。
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『何!?』
( <::V::>)『……?』
( ^ω^)「なんだ…!?」
上空を見上げる一同。
そこに見えたのは、カリス達に向け飛翔する別の存在……アンデッドだ。
骨と化した翼を広げ、猛スピードで接近している。
。
ミミ/ ゚王゚)『おおおおおおおおッッッ!!』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『お前は……!ああっ!?!?』
カリス達の頭上まで接近し、両手でミセリの肩を掴み持ち上げる。
そのまま再び上空へ飛翔すると、地に向け一直線に落下を開始。
隕石が如く急降下するアンデッドは、地上に衝突する寸前で手放し、脳天からミセリを突き刺した。
*∧Λ*
∠*;゚`ー´)ゝ『ううっ……!!』
。
ミミ/ ゚王゚)『カリスに手を出すな!!』
*∧Λ*
∠*;゚`ー´)ゝ『クッ、うう……っどういうつもり…!?』
。
ミミ/ ゚王゚)『やはりお前の言うことなど信用しなくてよかった、俺に隠れてカリスを襲おうとは…!』
( ^ω^)「どうなってんだお…?アンデッドがカリスを助けた!?」
644
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:09:58 ID:iHA3g/GI0
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『ふん、お前も使えない……!』
伸ばした右手から、数本の触手を伸長。
カリスを守ったアンデッドに、蠢く触手が襲い掛かる。
。
ミミ/ ゚王゚)『フンッ!』
だが、アンデッドは腕に装着した鋭く長い鈎爪にて迎撃。
軽やかな身のこなしで、すべての触手を払い落とした。
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『チッ……そう上手くいかないものね……』
*∧Λ*
∠*゚`ー´)ゝ『けど忘れないほうがいいわ、私の言った事は事実よ!』
。
ミミ/ ゚王゚)『黙れ!お前は俺が必ず倒してやる!』
アンデッドの背後に浮遊しながら現れるいくつもの羽根。
府坂が得意とした羽根の投擲刃を彷彿とさせるその羽根。
違う点と言えば、投擲刃というよりは手裏剣に近い大きさであること。
羽根手裏剣が一斉に射出され、敵であるミセリに襲い掛かる。
対するミセリは、身体を無数の花びらで覆うことで己の身を防御。
羽根手裏剣が花びらの防御に当たり全て落ち、花びらが風に乗り飛んで行くと同時にミセリも姿を消した。
姿が消えたことを確認したアンデッドは、呆然と見ていたカリスに近寄る。
。
ミミ/ ゚王゚)『カリス……ようやくその姿に出逢えた』
645
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:11:03 ID:iHA3g/GI0
手や足の形、頭の形や嘴を象る仮面から、鳥であることが伺える。
両腕に装備している長い鈎爪は、戦士として戦うべく作られたもの。
骨と化した翼を背に広げ、鋭い目やその出で立ちから気高さを感じる。
まるで、凛々しい鷲のようなアンデッドだ。
。
ミミ/ ゚王゚)『思い出してください、一万年前の約束を。今度こそ果たす時が来たのです』
( <::V::>)『お前は、この間の……』
。
ミミ/ ゚王゚)『俺はミルナという名でこの世界に潜り込んでいます。また何かあれば――』
( ^ω^)「おい!!」
不可解な状況に、ブーンは思わず動いた。
ミルナと名乗るそのアンデッドは、ブーンに気付くと上空に飛び立ち、カリスのもとから離れた。
。
ミミ/ ゚王゚)『チッ…約束だぞ、カリス!また逢おう!』
地上のカリスを見下ろしながら、交わしたという約束を強調する。
身体を翻し、自在に宙を舞いながらどこかへと飛び去って行った。
( ^ω^)「今の上級アンデッドだよな?何でクーさんを守ったんだお?」
( <::V::>)『………』
《-♥2 SPIRIT-》
川 ゚ -゚)「………」
( ^ω^)「……前々から思ってたけど、そのカードはなんだ?なんで人の姿に戻るのにカードが必要なんだお?」
646
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:12:03 ID:iHA3g/GI0
( ^ω^)「それに…約束ってなんだお?あのアンデッドとどういう関係なんだお??」
川 ゚ -゚)「………」
川 ゚ -゚)(何なんだ、あのアンデッドと交わした約束とは……)
何も語らず、クーはガソリンスタンドに置いたままのバイクへと向かう。
約束という問いに関しては、本当に答えられなかった。
ミルナの存在は把握していたにしても、一万年前にミルナと向き合った覚えはない。
( ^ω^)「はぁ……だんまりかお」
相変わらずの無愛想を貫いた態度。
分かりながらも、その背中を見つめながら溜息を吐いてしまった。
ブルースペイダーのもとへと戻ろうとした時、ポケットのスマホが着信を報せる。
( ^ω^)ロ 「ツン、モララーさんの方はどうだお?」
ξ;゚⊿゚)ξロ [それが……]
スマホ越しに聞こえるツンの声に、不安の色が帯びているのが分かる。
ξ;゚⊿゚)ξロ [ギャレンの反応がなくなったと同時に……アンデッドの反応も消えたの]
( ^ω^)ロ 「え……!?」
ξ;゚⊿゚)ξロ [倒したとしても、こんな反応の消え方はありえないわ……何かあったのかもしれない……!]
( ^ω^)ロ 「急いで行く!引き続き反応を確認してくれお!」
647
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:12:36 ID:iHA3g/GI0
ξ;゚⊿゚)ξロ [それだけじゃないの!アンデッドが出現した場所、どうやらデパートの中みたいなの。
さっきまでギャレンと通信してたけど、建物の中は崩壊したまま人の救助が出来てないみたい!]
( ^ω^)ロ 「なんだって…!?建物の中じゃ、アンデッドと戦いながらの救助は難しいお…!」
( ^ω^)ロ 「……分かったお、何とかする!」
返事を待たずして電話を切った。
デパートの中…崩壊状況は把握出来ぬものの、内部は決して広くはない。
ましてや、崩壊したとするなら明かりもないだろう。
そんな状況下で、アンデッドと戦いつつ人命救助は厳しい。
消防隊を呼ぶ事態にはなるだろうが、来着するまでの救助が肝心。
ツンとの電話を切り、すぐに他の人物に発信するブーン。
彼は思いついた。
ギャレンの消息が絶たれ、ブレイドしかいない今……レンゲルの手が必要だと。
648
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:13:24 ID:iHA3g/GI0
その発信は、己を鍛えている途中のドクオのスマホに入った。
着信音に反応したドクオが、汗を拭いながら急いで荷物の置かれた場所まで走り、スマホを取る。
発信者は、ブーン。
あれからブーンとのコンタクトを取っていないドクオは、どこが気が重く感じていた。
('A`)ロ 「……よぉ、ブーン」
( ^ω^)ロ [ドクオ、今すぐモララーさんのところへ行け!]
('A`)ロ 「え…?」
( ^ω^)ロ [モララーさんが、ギャレンがアンデッドとどこかに消えたかもしれない!]
('A`)ロ 「なんだって!?」
( ^ω^)ロ [場所は創作デパート、中はアンデッドが暴れたせいで相当荒れてるらしい。
脱出出来ずにいる人がたくさんいるかもしれないんだお!
頼む……お前の手が必要だお!]
(;'A`)ロ 「お……俺に人助けをしろってのか!?無理だよ!それに俺はモララーさんに待機してろって言われてんだ」
(;'A`)ロ 「……だいいち、俺に人助けなんて……出来やしない」
磨いたはずの心に、再び影が差した。
一週間とは言え、自分の弱さを押し殺して鍛えることに臨んできた。
先程のように、戦いたいという衝動を抑えることが出来るようになったのは確かだ。
ドクオに足りないものは、経験。
今こうして人助けを求めらたことで、経験の無さがドクオの不安を煽ってしまっていた。
人のために戦いたいと、強く願ったはずなのに。
('A`)ロ 「俺は……どうせ誰も助けられない、人の命なんて救えない……」
('A`)ロ 「俺が助けようとしたって、その人達は――」
649
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:14:05 ID:iHA3g/GI0
( #^ω^)ロ [いつまで甘ったれてんだお前!!!]
(;'A`)ロ 「ッ……!」
( ^ω^)ロ [お前は人のために戦いたかったんじゃないのか?そのために今自分を磨いてるんじゃないのかお!?]
( ^ω^)ロ [モララーさんはお前を信じた。誰よりも一番、お前が生まれ変われると信じた!
そんなモララーさんの気持ちをお前は無駄にするのか!?]
( ^ω^)ロ [お前が背負っているのは、自分だけのことじゃないんだ!
人の命、人の幸せや、人の想い……お前がなりたがってる仮面ライダーってのは、それを守るのが仕事だ!]
( ^ω^)ロ [目の前に救える命があるのに、お前はそれでいいのか!?今やらなくていつやるんだ!?いつ変わろうとするんだ!!]
('A`)ロ 「………」
( ^ω^)ロ [ドクオ、お前の本当の気持ちに正直になれ。お前なら出来る!モララーさんがお前を信じたように僕達も信じてる!]
( A )ロ 「………俺………」
( ^ω^)ロ [頼むドクオ!僕達に力を貸してくれ!]
( ^ω^)ロ [レンゲルの力じゃない……お前が胸に秘めたその想いの力を、僕達に貸してくれ!]
( A )ロ 「…………」
モララーの想いに目覚めさせられ、ブーンの言葉に気付かされた。
ドクオの中に渦巻く不安や恐怖は、すべて拭えたわけじゃない。
しかし今、心の中に広がる闇に――光が差した。
('A`)ロ 「……行くよ、俺。モララーさんのところへ!」
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:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:14:51 ID:iHA3g/GI0
( ^ω^)ロ [……その言葉待ってたお!]
('A`)ロ 「創作デパートって言ったよな?今すぐ行ってみる…!」
( ^ω^)ロ [僕も後から向かう!先に行ってみんなを助けるんだお!]
('A`)ロ 「分かった…!」
覚悟を決めた。
荷物の中から覗くレンゲルバックルを取り出し、カードを見つめた。
蜘蛛の声が聞こえる。
"――お前は戦うだけの存在であるべきだ。" と。
( A )「うるせぇ……!」
( A )「もうお前の邪悪な力は借りない……お前の指示にも従わない!」
(#'A`)「俺は、自分で変わらなきゃならないんだ!!」
自分の意志で、心に語りかけてくるカテゴリーAの声を振り切った。
バックルとカードを持つと、ドクオはエレベーターへと乗り込み、急いだ。
自分の助けを必要としている人々のもとへ。
651
:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:15:46 ID:iHA3g/GI0
―――――
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:
23話
◆7MnOV.oq7w
:2018/01/28(日) 11:16:45 ID:iHA3g/GI0
訓練所を出て到着した創作デパート。
建物自体を外から見る限りでは、何の問題もないように見える。
だが、建物の中より逃げ出したと思わしき多くの人々が、デパートをただ見つめている光景は異常だった。
人込みを掻き分け、ドクオは建物の前にグリンクローバーを停める。
そこには、モララーが乗っていたであろうレッドランバスも停めてあった。
('A`)「モララーさん…!」
ヘルメットを外し、人々の注目を余所に一人デパートの中に入っていく。
風除室の時点で、既に電気は消えていた。
その奥に見える店内も、当然真っ暗。
何も見えないわけではないが、不安が煽られる暗さだ。
ましてや、この中にアンデッドがいるかもしれない。
(;'A`)「ッ……どこにいるんだよ……!」
(;'A`)「モララーさん!モララーさん!!」
暗闇の中、大声でモララーの名を叫ぶ。
「……クオ……!」
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