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艦娘がいない鎮守府のようです

1 ◆HS4z8y6JHc:2016/04/03(日) 15:31:48 ID:62pQqJ3.0



―――貴方の手で、彼女達に幸せを与えて欲しい―――



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2 ◆HS4z8y6JHc:2016/04/03(日) 15:32:20 ID:62pQqJ3.0





原作『艦隊これくしょん〜艦これ〜』





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3 ◆HS4z8y6JHc:2016/04/03(日) 15:34:34 ID:62pQqJ3.0
「……」


文章の最後を締めくくる『。』を付け、エンターキーを叩いて処理を済ませる
テキストファイルをUSBメモリーに保存し、PCの電源を落として抜き取った


「往かれるのですか?」


既に人が出払ったこの場所で、女の子の声が聞こえた
神出鬼没の、私の友人だ。両手に白猫を携え、帽子の初心者マークとおさげが特徴的な少女


「ああ、手筈通りに頼む」


メモリーを彼女に渡し、デスクの横に立てかけていた『矛』を手にする
これを振るうのも、今夜が最後だ。恐らくは、私は海の底に沈む


「……逃げるという選択肢も、あるはずですが」


その言葉を聞いて、軽く笑った。普段は無機質な性格である彼女が、人を案じたのだ


「アンタ、言ったよな?『奴ら』を一匹残らずぶち殺さないと、この戦争は終わらないと……ゴホッ」


咳を手で抑える。青白い蛍光色の『血』が付着しているのを見て、顔を顰めた
私は徐々に『人間』では無くなっている。徐々に、奴らの『眷属』となっている


「なら、俺もその内の一匹だ。バケモノに成り果てる前に、人として死にてえ」

「……あいつらには、嫌な想いをさせちまうがな」

4 ◆HS4z8y6JHc:2016/04/03(日) 15:35:12 ID:62pQqJ3.0




『大ブン動会!〜2016年紅白〜』



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5 ◆HS4z8y6JHc:2016/04/03(日) 15:36:13 ID:62pQqJ3.0
心残りは、家族にも等しい『人ならざる娘達』
別れ際、涙でグチャグチャになった顔で私に抱きつき、放そうとしなかった『あいつら』が目に浮かぶ


「呆れた人です。貴方は」

「人類を救うために現れた彼女達の為に、自らの身を犠牲にして救うだなんて」

「本末転倒も良いとこですよ」


人類にとって、彼女達は救世主だ。その存在を救うなど、おこがましいとでも言いたいのだろうか
だが、救世主である以上に、人と変わらぬ心を持つ『生物』なのだ


「ヒーローを救うバケモンがいてもいいだろ?」


冗談めかしてこう返した。自分のことを『人間』とは言わなかった
万が一死に損なった場合、私は人類、そして彼女達にとって最も凶悪な敵に成り得るかもしれないからだ


「だから……後はあいつらと、アンタに託す」


先に倒れた私の戦友や、その家族
戦火によって犠牲となった民衆
志半ばで死に逝く私の、『悲願』


「『平和な海』って奴を」


そして、叶うのならば


「あいつらの幸せを」


言葉にするのは簡単だ。だが、為しえるには余りにも厳しく、困難な道を通らねばならない
並の信念では、押し通せない願いである

6 ◆HS4z8y6JHc:2016/04/03(日) 15:36:49 ID:62pQqJ3.0



原案『( ^ω^)ひたすら嘘予告をしていくようです』から

『艦隊これくしょん〜漢これ〜のようです』
『('A`)提督だけど艦娘がいない鎮守府に配属されたようです』
『艦隊これくしょん 〜仮面ライダー青葉〜 のようです』



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7 ◆HS4z8y6JHc:2016/04/03(日) 15:37:43 ID:62pQqJ3.0
「この二つを成し遂げられる『男』に、そのメモリーを渡してくれ」


今一度、念を押して伝える


「難しいご注文を」


ため息混じりに呟いた彼女に、笑いかけながら『そう思うよ』と同意する
いつ現れるのかも、どこにいるのかもわからない。だが


「男は本来、戦う生き物だ。平和な時代がそれを忘れさせたが」

「思い出す奴もいる筈だ。かつての『俺達』がそうだったように」

「『自らが矢面に立つ』事を厭わない、『漢』が」


話を締めくくるかのように、警報が鳴り響く
どうやら、終わりの時間が訪れたようだ


「残念です、とても。貴方は良き話相手であり、良き友人でした」

「貴方こそがこの戦争を終わらせてくれると、楽しみにしていたのですが」


矛を肩に担ぎ、女の子の頭を軽く二度叩く
出会った頃は人の身など微塵も案じない、AIのような彼女だったが、変わったものだ


「ああ、それは次の世代に任せる」

「……世話になったな」


短い別れの挨拶を済ませ、ドアノブに手を掛けた

8 ◆HS4z8y6JHc:2016/04/03(日) 15:38:21 ID:62pQqJ3.0
「さよなら、『提督』」




「じゃあな、『エラーさん』」





これが、私が交わした最後の会話となった

9 ◆HS4z8y6JHc:2016/04/03(日) 15:38:57 ID:62pQqJ3.0




『艦隊これくしょん三周年記念作品』



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