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『スウィート・メモリーズ』ロールスレッド

1J ◆4J0Z/LKX/o:2016/09/10(土) 22:14:51 ID:???
遠い昔の話だ。劣等と優越は互いに惹かれあい、
しかし相容れぬ性質は互いにそれを狂わせた。

狂った優越は劣等を捨て、
狂った劣等は優越を求めて心を病んだ。

優越を追えば世界という壁が二人を阻み、
そして劣等は世界を敵に回す事を心に決めたのだ。

境界が形を失い世界が解放されるその時、
”世界の境界線”を巡る決戦が幕を開ける。

甘い記憶を呼び起こし、
心を重ね、解けよ。

亡きものたちを想え。
彼等を偲べ。

2序章『鈍色の血』:2016/09/10(土) 22:17:31 ID:???
「六乃虚刀(りくのことう)…ッ!?」
「まさか、こんな所で目にするなんて…”初代勇者”の技…っ」

タェンティースに付き従うように現れた六振りの虚刀(イヴィア)。それを眼にしたハイプリエステスは眼の色を変えた。
過去に”次世代型無零機人”と称してオメガ・インフェリオリティの手で半人へとインストールされた一時的なファンクション。
それを元に半人が自力で編み出し、魔法で再現したものだ。されどハイプリエステスは、その紀元を知っていた。
今の彼女らには到底、知り得ない事ではあったが。

『もう見えている!、あれは”セフィロト”だな…!?』
『何故先に連絡を寄越さなかった…!?お前達の目の前に居る相手は、俺の予想を遥かに超えたとんでもない存在だ…!』

ソーマタージからの無線連絡を受けるよりも先に、エルミス達は既に戦闘を中断し、こちらへと向かっていた。
先程の閃光と、峡谷が崩れ落ちる程の大破壊を眼にしたのだろう、駆け付けた雀蜂の羽音が響く。援護は近い。
4人の能力者の猛攻を捌き、防ぎ、それら全てを一手に請け負っていたハイプリエステスの顔にも、やがて焦りの色が見え始めていた。
彼女一人の戦闘能力は一越境者のそれを遥かに超越している。4対1でようやく勝機が見える程に彼女は強い。
しかし彼女もまた人間である。大型兵器と殺り合うには、この状況では少し分が悪いか。

「マズい…でっかいのが近くに居る…それに虚刀が出るなんて…」
「逃げるが勝ちっ…!」

越境者達に背を向け、透明化して逃げようとするハイプリエステス。彼女の脚元から大量の羽根が舞い上がった。
しかしそれを塞ぐように、樹海の木々の稜線を越え、暴風とともに雀蜂が顕現する。鋼鉄の猛蜂、吹き荒れる暴風。
ふとましい幹を持った木々がまるで草原の稲穂のように揺らぐ。ハイプリエステスの頬がヒクついた。

『…ホーネット1-1、どうだ』
『ホーネットからエージェントシックス、ハイプリエステスを鮮明に捉えています』

対峙する雀蜂と女教皇。対面は刹那であったが、彼女にとっては永遠にも感じられるほど長いものだっただろう。
プラズマジェットエンジンの排熱は地面にまで届く。じりじりと肌を焦がし、思わず眼を覆ってしまう程の高熱。
ディスプレイ越しにハイプリエステスを鮮明に捉え、一度ロックオンすれば逃がすことは無い。
蜂は一度狙った獲物は絶対に逃さず、またその毒針と大顎によって死ぬまで追い回し絶命たらしめるのだ。

『頃合いか……よし、今だ…撃て!!』

エルミスの合図と共に、搭載された二基の重機関銃がハイプリエステスへと”毒針”を放つ。
爆音とマズルフラッシュがそらを埋め尽くし、熱された薬莢がばら撒かれる。さながら鉄の雨か、破壊の嵐か。

「鬱陶しいなぁ……いっちいち私の邪魔ばっかしやがって…」
「墜としてやる…ッ」

木陰と木陰を縫うようにしてそれをなんとか躱すハイプリエステス。
しかしケープを一瞬にしてボロきれへと変貌させられれば、迫る銃弾をすべて躱すことは不可能に近いと察知。
体温を感知し、自らの居場所を暴露する機構が在る事は対テクノロジー戦術の一環として心得ていた。さればどうする、こうする。

3序章『鈍色の血』:2016/09/10(土) 22:30:43 ID:???
『…何だこれは…まさか!』
『目標が多数の熱源を放出!繰り返す、フレアを炊いてます!』
『クソッ…何も見えない!』

両手を広げたハイプリエステスの背から発せられるのは高熱の火球、紅く煙を引いて何度も、何度も。
無数に放たれた火球の煙の描く軌跡は、まるで天使の翼じみて神々しく輝く。
それはフレアの役割を果たす、IRセンサーを欺く効果を持つものだ。
射撃の精度が一気に落ちたことを確認すればこれは有用な戦術だと、今度は無数の火球をホーネットへと向けて放つ。
ばちばちと火花がキャノピーへと当たり、IRセンサーは高熱に暴露されたことにより麻痺する。

『シックス了解。ホーネット、ストロボを避けて制圧射撃に切り替えろ』
『ホーネット了解、SCRAMBLER出力を75%にセーブ』

エルミスはホーネットへと指示を継続。IRセンサーに頼らず光学オプティクス越しでの射撃。
視認性は劣るが攪乱されたIRよりはマシだ。ガンナーはパイロットから指示を受け、重機関銃とHEロケット弾での制圧射撃を継続。
ハイプリエステスの姿は爆炎にかき消されて見えなくなる。彼女の生存はおろか痕跡の発見すら困難になるであろう猛攻。
”眼”の殆どは蜂によって狩り尽くされ、それも頷ける天災めいた圧倒的火力。

『制圧継続中、このまま索敵を…うわッ!?』

ロケットポッドの再装填中にも機関銃で射撃を継続しながら、ハイプリエステスを探すガンナー。
されど煌々と燃える森から突如放たれた光の矢が、ホーネットのエンジンへと衝突すれば声を荒げる。
それは紛れもなくハイプリエステスの”セフィロト”だ。しかし一撃で警告を崩壊させた先ほどとは異なり、蜂は墜ちるどころか煙すら噴いていない。
右側後方のエンジンカバーが僅かに歪んだだけだ。まるで軽くいなすかのようなその防御性能は、純粋に装甲が厚いだけでは説明がつかない。

『被弾した、被弾した!標的からのエネルギー投射だ!クソッ…SCRAMBLERがなきゃ即死だったぞ!』
『ホーネット1-1、一時退避します!』

そう、それはホーネットに搭載された異能攪乱装置によるもの。射程に入ったセフィロトは急激にその威力を失い、それでも蜂へと届くだけマシか。
反撃を受けたホーネットは念のために距離を置き、そこから再びロケットによる斉射。

『制圧射撃終了、損傷軽微。フューエル・ビンゴ。ホーネット1-1、帰投します』

全弾撃ち尽くせば燃料も帰還分以外すべてを使い果たした所だ。
補給基地へと回頭すれば、プラズマエンジンの羽音を響かせて去る。
その際にエルミスがようやく現場へと飛び降りたのだろう、ランディングモジュールを外し一行へと合流した。

『効果はあったようだな…あの折れた木を見ろ、…血が滴っている』
『死体が無いという事はまだ息の根は止まっていない…総員警戒を緩めるな』
『IRNVばかりに頼るなよ、このまま山狩りを継続しろ』

無残に破壊された森の、近くの木々にまだ新しい血が付着している。
この辺りの野生動物はすべて逃げ出してしまっている筈だ。その血がハイプリエステスのモノである可能性は極めて高い
血の跡を辿れば、彼女の下へと辿り着けるはずだ。

4タェンティース・イルム E.赤刃.ヘルメスの靴:2016/09/10(土) 22:43:10 ID:???
「……」

無意識に、舌打ちを口の中で転がしている自分に気が付いた
それはホーネットの火力を見ての事であろう、単純に兵器として生み出されたその暴力的蹂躙力
親指一つで捲き起こる虐殺の旋風
半人はそれを嫌っていた
ひとのいのちを奪うのはひとの手であるべきだと、そう確信しているからだ

無言で歩を進め、焼け焦げ足場の悪くなった山を歩く
既に道はない、破壊痕跡以外は何もない
点々とした血痕を追跡し、途中途中で対異能センサーや魔力探知を起動させる
視界以外にも頼る力が必要だと判断したのだ

5又ジ ◆.zilz3o6.U:2016/09/10(土) 22:44:03 ID:???
>>3
本気か?一旦体勢整えるとか、もっと増援呼ぶとか、超兵器を貸してくれるとかないのかよ!
俺のために死ねとまでは言わねえがな、実際に目の前に出て命張ってるんだぞ俺達は!リスペクトはどこにいった?
【思わず素っ頓狂な声を上げ、抗議するソーマタージ】
【大口径拳銃の弾薬は尽き、双剣を突き立てられた胸と噛み切った舌先からは血がまだ垂れている。地面に落ちた薬莢が白い血に染められつつある】
【しかしここまで騒げる辺り、重傷には程遠い。それがなんとなく腹立つ】

まあどうせダメなんだろうな……クソ、どうして傭兵には労働組合が無いんだ
【引き裂いたコートの裾で傷口を縛り、装備を整えなおす。掌に収まるサイズの小さな拳銃、自作のドラッグカクテルが詰まった注射器が少々の安心感を与えてくれた】
ナパームでよ、森ごと焼き払うってのはどうよ。…言っただけだ、そんな目で見るな


それじゃ行こうぜ?テロリストをブチ殺しによ。これぞ正義だ
【両腕を大きく広げ、芝居のかかった動きで一行を促すと、ソーマタージは歩き出した】
【手に持った刀を振り回し、行く手を遮る草木を刈りながら血を追う。猟犬の如く、卑しい屍肉喰らいの獣の如く】

6ロイ・ゴールドマン>500-501 ◆eZKgukyN3c:2016/09/10(土) 22:46:01 ID:???
>>2-3
「これ時間をかければ俺ら必要ないんじゃねと思って来たよ」
戦闘が始まって以来 投石しかしてこなかった男が 辺りの惨状を見て呟く
鉄の蜂による一斉射 これを喰らってどうにかなる連中が自分たちでどうにかなるかと疑問に持ち始めていた

「やれと言われたんだ やるかね トラッキングはそこそこできると自負している その・・・IR何とかはほかの誰かに任せた」
己の知識と経験を総動員し 地面に這いつくばるように姿勢を低くして辺りを見回し

血痕はもとより 足跡すらも見分けんとしながら 追跡を開始する

7氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/10(土) 22:46:30 ID:???
焦る女教皇。だが、その原因は初は知らない。
敵が慢心をする余裕がなくなった、と解釈するが――

「チィ……右腕がこれじゃあな」

忌々し気に右手をにらみ、舌打ち。
そう、あの“セフィロト”に右腕を半ばから持っていかれたのだ。
幸い、肘は無事だし初の“氷結”を使えば槍としては機能する。だが、やりづらい。

そして訪れる援護。無線機が何やら喚いている。
しかし、重要なのは――
あいつが、逃げようとしていること。

暴風。鋼鉄の嵐。そして、小さき太陽。
一部の流れ弾を避けながら、その現代兵器の蹂躙に教皇が死なぬを確認する。
しぶとい、しぶとすぎる。
そして、極光。自身の右腕を奪ったものだ。
これで二度目。チャージが必要なものなら少しは出し惜しみしだすだろうが――……

ホーネットは、退いた。
降りてくるエージェントに意を介さず、自身の本能に従い歩き出す。
吸血鬼。血を求めてやまぬ穢れた種族の本能に従って。

「ボクは吸血鬼だ。血臭には人一倍鋭い。
大丈夫、逃がしはしないよ」

8α-12【ディープメイカー ver.α】>>487:2016/09/10(土) 22:53:26 ID:???
【戦況が進展したところで、カノッサの次なる一手。提携関係にあるカノッサ・テクノロジー社からの出向戦力である】

≪了解しまシタ。想定フェイズへの移行を確認。これよりC.T.S.S.クローントルーパー行動を開始シマス≫

 黒塗りの兵士運搬車両の格納ハッチが展開し、ガスマスク姿のクローントルーパー達が降車する。
 今回、HEXAに予備兵力として提供された兵器ユニットである。

「α-12、ランナー達と共同戦線に移行シマス」

 そして、ユニットの一体、α-12は特殊戦兵装によるアンカーショットにより、
 巧みに立体起動を行い、越境者達の所にあっという間に飛来。

>>4-7

「ドーモ、C.T.S.S.クローントルーパーα-12デス」

 シュタっと降り立った黒尽くめ+ガスマスクというアヤシイそのものな兵士は、
 己の所属(C.T.S.S.=カノッサ・テクノロジー社・セキュリティ・サービス)と認証番号を告げて、追撃戦に合流と相成った。
 予備兵力…言い換えればこの局面でダメージを負っていないユニットの投入は合理ではあろうが、
 些か、心情的には反発心を覚える可能性もあるやもしれない。

9序章『鈍色の血』:2016/09/10(土) 23:03:33 ID:???
>>4 >>6
『…兵器が境界を渡る今、俺達はもはや越境者の必要のない時代へと片足を踏み入れつつあるのかもしれん』

圧倒的なホーネットの戦力は、小さな軍隊程度であれば蹴散らせるほどの大きなものだ。
そこに人間の付け入る隙などなく、それはもはや人間の必要のない時代の到来を感じさせるものであった。

>>5 >>7
『猟犬の準備は万端か、…飢えているな、お前達』

エルミスはあまり闘争を好む性格ではないが、それでも戦いに対するプロ意識や拘りの様なものは持つ。
されどこの二人に対しては、彼自身理解しかねるほどの熱い何かを感じずにはいられなかった。

>>8
『もう少し早く来て貰えれば助かったんだがな』
『うちのインファントリーの損耗はなるべく避けたい。クローンであれば育成にコストもかかるまい』

カノッサテクノロジーからの増援の到来は、闘いのカタがあらかた付いてからであった
もうすこし脚を速めれば楽に事が進んだだろうに、とその辺の下っ端クローンに毒づくエルミス。

>>ALL
「…や…ぁ…おかげで…目が、覚めたよ…」
「泣きっ面に…蜂?あはは……」

山狩りを開始して暫し、ようやくハイプリエステスが見つかったのは山を狩り尽くし崖際まで捜索が移行した頃だ。
されど時間としては30分程も経ってはいないか、地獄めいた環境ではやけに時間が長く、辛く感じる。
ハイプリエステスはケープとクロークを失い、白のシャツにチャコールのベストとパンツ、という女性らしさのない格好であった。
左肩を血に濡らし、腹部にも一撃貰っているようで、シャツは余すところなく血に染まっていた。
されど治癒魔法の心得があるのか、満身創痍ではあれどこれ以上の出血は無いし、肩も動くには動く。

「……それじゃ、やろっか」

もはや眼も見えていないのだろうか、両目を閉じたまま腰に提げた鞘から双剣を抜き放ち構える。
血塗られた顔はまるで戦化粧じみて紅く華やかな、されど命の終わりを感じさせる哀し気なものだ。
眼前にオスクロを構えれば、それは大剣サイズまで燃え上って魔力を帯びる。血を思わせる赤黒い炎だ。

10α-12【ディープメイカー ver.α】>>487:2016/09/10(土) 23:16:20 ID:???
>>9

「我々αクローンユニットは十分な訓練とコストを持って製造されています。
 ただの量産型の粗製と一緒にされるのは心外ですね」

 エルミスの言にその場に待機していたα-03はそのような応対であった。
 協力関係とはいえ、HEXAの戦いに無闇に戦力消耗する気は毛頭ない。ということ。
 心情を別とすればビジネスライクであり、有効性を証明しつつも無機質な効率重視という姿勢が見て取れた。

 ------

「ドーモ、C.T.S.S.クローントルーパーα-12デス」

 満身創痍のハイプリエステスを発見し、レッドアイズを光らせながらアイサツ。
 アイサツ、そう、状況がここまで進んでようやくの戦力投入。如何にもカノッサ的な。

「アナタを始末し、提携関係の有用性を証明しにキマシタ」

 両の手に超高波ブレード。さらにディープメイカーを展開し、4つの触腕にサブマシンガンを保持させる。
 クローンユニット、戦闘工業品、兵士として製造された兵士。

「―――ファイア!」

 BATATATATATATATATA!!四丁のサブマシンガンより、高速で重金属弾が次々と吐き出される。
 ただ一人にして、分隊規模の弾幕を形勢。これは白兵主体の越境者の接近を支援する意図の射撃に他ならない。

11ロイ・ゴールドマン>500-501 ◆eZKgukyN3c:2016/09/10(土) 23:17:02 ID:???
>>8
「よぅ 真面目に働いたら 甘味の手土産持たせてやんよ」
やってきた元気いっぱいのαにそういって奮起を促した

>>9
その言葉には 溜息とも憤慨とも取れぬ鼻息をフンと吐き出すのみ
人間であり 歩兵であり 越境者である自分の存在価値をまとめて否定されたようにしか聞こえなかった

何はともあれ仕事である 少ない手がかりを着実にたどり たどり着いた先にいたのは手傷を負ったハイプリエステス

「あぁ 第二ラウンドだ」
短く言い放ち ハルバートを手に
両手で構え突撃 ハイプリエステスの中心線をめがけ真っ直ぐ穂先を突き出す者である

12ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/10(土) 23:17:30 ID:???
>>9
無様なものだな?殴るのは好きだがここまでは趣味じゃあないな
【血塗れのハイブリエステスに肩を竦め、辺りを見回す。敵がいないかを探っているのだ】

人は変われると思うか?どんな不道徳なクズでもやり直せるチャンスはあると思うか?俺はあると思う
なあ、ここまでやった目的を俺らだけに教えて、後はもう降参してみなよ
ひょっとしたら別の世界線、ここではないどこかでなら俺たちは仲良しこよしだったかもしれないだろ?そのよしみで…
【口では甘言を言いながらも、油断なく刀を構え、ジリジリとハイブリエステスへ近づく】
【高周波が空気を斬る、奇妙な音が響き渡った】


どうせその傷だ。もし武器を下ろして、大人しく投降してくれるなら…その、なんだ。俺の仕事も楽になる
【赤黒い炎に眼を細める。虫の息でもこれ程の力。俺達は何を敵に回したのか】
なあ兄弟、いや姉妹か?どっちでもいい
武器を下せ。俺に楽をさせてくれ

【手負いの獣ほど危険なもの。あの場で殺せなかったこの女は、恐らく相当厄介な事になっているだろう】
【攻撃を放たれても、即座に対処できるような姿勢のまま、ソーマタージは固まった。ハイブリエステスとの距離畳二枚分】

13タェンティース・イルム E.赤刃.ヘルメスの靴:2016/09/10(土) 23:18:22 ID:???
>>8-9
「こんにちは、お久しぶりですね」

カノッサの増強部隊である彼女に軽く、頭を下げる
成る程徹底した狩りの戦術だ、理にかなっている
無論それに対して思うところがない訳はないが、それを口にする程、無意味な事をする程賢くなくはないはずだと自覚して留める


「……」

通信機をミュートに変えた
越境とは、何だろう
世界間の境界線とは戦術的な、国境的な線引きに過ぎないのだろうか?
否であるはずだ、否で無ければならない
半人は越境を通じて多くを学び成長出来たし、そして何より出逢いを重ねた
それらを無下にし、戦事(いくさごと)のみの展開を語る軍人の言葉を、半人は否定した


「……」

そして『敵』と再びの邂逅を果たした時にも、半人は言葉を発する事はなかった
まるでその為の器官を何処かに忘れてしまったように

「……宿り木同盟への一時的な亡命を提案致します」

ようやく口を開いた
同時に赤刃を構えてもいる
確かに彼女は多くを殺した、だがそれがなんだという?
等しく血塗られている手を持つ半人はそう考える
何も死ぬ事はない、そうとも矢張り

14氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/10(土) 23:24:29 ID:???
>>9
「餓えている?ああ、そうだね。ボクはいつだって餓えているさ。
血に、闘いに、そして『人間』に」

血臭を嗅ぎ、猟犬の如く女教皇の行く先を探りながら答える。

「バケモノには成長の余地はほとんどない。だが、『人間』はバケモノに追いすがり、あの蜂や彼女の光のようなものを『人間』のまま生み出す。
ボクはそんな『人間』にいつだって魅せられている。そして、彼らに殺されたい。」

長きを生き過ぎ、強大な力を手に戦える怪物が最後に抱く願望はなんだろうか?
それはきっと、“倒されたい”。『人間』に、“倒される”こと。

ただの人ならば理解はできない願望だろう。だからこそ、初は理解されないことを望む。
だって、初はどこまでも『人間』が好きなのだから。

―――――

「いくら戦いに生きる者であっても、自身を着飾ることは忘れない方がいい。
着飾る“余裕”すら持てないのは、侮られるということだ」

ようやく、ようやくだ。
ようやく見つけた。傷は治しているらしい。
だが、目は奪われているらしい。自分には右腕がないから、対等か。

「そうだね」

短く応える。
ロイの突撃、援軍の銃声。
タェンティースとソーマは戸惑いがあるらしい。
だが、二人が攻撃しているなら都合がいい。

地面をしっかりとつかむ。足を縮め、力を貯める。
右腕の代わりの槍を向ける。静かに、狙いを定める。
そして――開放
夜のように、双剣の女教皇へと氷の槍は飛び出した。
空気に削られ、その穂先はさらに鋭さを増しながらに。

15序章『鈍色の血』:2016/09/10(土) 23:37:06 ID:???
>>ALL
「ほら…おいで」

両目を閉じたまま優し気に微笑むその顔はまるで慈母めいて、
されど対照的にその顔は血に濡れており、その手のひらには命を奪う剣が握られている。
ゆるやかに両手を広げて促せば、まず初めに飛びかかるのはロイだ。

ぱきんと軽い音、されど短剣ソーンブラによって確実に穂先を流す。
技量では同格か少し上回る程度だろうか、されど筋力と体格差は覆せない。
身体を即座に反転させ、身体を捻ってロイに蹴りを入れ、その反動で飛ぶ。
それを追うようにα-12による斉射、軌道を正確無比に先読み、避ける事は叶わない。

「んっ…いい反応…」

双剣による剣戟で飛び交う銃弾を弾く。
それだけでも人間業ではないが、しかし更に致命に至る弾丸のみを選び弾き落としている。
動きには一切の無駄が無く、それを為すだけの技量と、人外めいた動体視力を兼ね合わせているのだろうか、
否、彼女は眼を閉じている。考えられるならば、何かセンサーの様なものを張り巡らせているのだろう。
例えば濃度の薄い魔力の層、表面張力めいてハイプリエステスにまとわりつき、厚みを増やせば何かの接近を知らせる皮膜となる。

しかしそれもやはり万全の状態には劣るか、いくらか弾き損ねて貰い、その度に動きが悪くなってゆく。
そして初から放たれた氷の槍を弾き炎の剣で焼き切ったその刹那。
銃弾を腹に貰い、片膝をついてうずくまる。

>>12 >>13
「…ふふ…あはは…っ」
「あはははっ!!はははははっ!!」

「あっはは…はーおかしい…」
「敵に…敵にそんな事言っちゃうんだね、私はジョシュアを殺そうとしたのに…」

うずくまったハイプリエステス。ソーマタージとタェンティースから掛けられた言葉に戸惑いの色を一瞬浮かべるもしかし、
まるで溢れる感情を無理矢理押し殺すかのような高笑い、撃たれた腹を文字通り抱えて。

「…ホントに優しいよね」
「でも今はダメ。ホントの事を言っちゃうと、あなたたちは強くなる必要があるの」

「少なくとも…私が歯が立たなかった大きな脅威を倒すために」
「だから…ね?」

しかし告げられた答えは停戦拒否。
もはやこの世に生きる意味などない。ハイプリエステスの開かれた眼はそう語っていた。
光の宿らぬ暗い瞳孔、血が目潰しとなりもはや何も見えていないようだが、視力自体はまだ残っているか。
彼女はまだ戦う気でいるし、逃がせば再び越境者達を付け狙い、カノッサへと仇を為すだろう。

「私の最後のお願い…聞いてよ、タェンティース、ソーマ」

取り落とした剣を拾い上げ、再び炎を纏わせる。
今度は淀んだ鈍色。消えかけの煤火のような。

16ロイ・ゴールドマン>500-501 ◆eZKgukyN3c:2016/09/10(土) 23:44:33 ID:???
>>15
ソーマタージとタェンティースの動きが悪い だがαの援護がもらえるのならそれで十分

穂先を逸らされ蹴りが放たれた 重心を落とし その一撃を革鎧の部分で受け止める
衝撃に負けない様踏ん張りハイプリエステスを見やれば αの斉射が行われた

その間に体制を整え 片膝をついたその瞬間 しっかりと地を踏みしめた両足の 両膝の力を抜く

――――瞬間的な其の動作
地に立つ躰を支える膝の力が抜けた事で 支えを失った躰は一刹那――極短時間極短距離――地に向けて自由落下を開始する
自由落下する上躰。足場に掛る体重は果てしなく零に近い

――――質量は重力下でも無重力下でも変わらない。然し重量は完全な無重量下では零になる
上体が堕ちる其の一刹那、彼の躰は無重力下と同様に 重量が零になっていた

――――其の一刹那を逃がさない
足裏を地に添わせる様につけて滑らない様に摩擦して足場を掴み己の躰を前へと引きずり出す
重量を零にした体重を、重力に逆らう事無く前に進む縮地の究極 膝抜き

加速を無視した最高速 その隙を見逃さんとハルバートを構え ランスチャージを仕掛けた

17ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/10(土) 23:47:46 ID:???
>>15
そうかい、正直雇い主がムカつくからちょっぴり同情してたんだがな……
【俯き、表情がフードの奥に隠れる】
【再びその顔を晒した時には、その両の目は赤黒い色に染まっていた】
お前は、過激な方を望むんだな?
【金属製の牙が、酸素供給機が歪み、嗤った様に見えたのは気のせいだろうか】

イヤーッ!!
【相手がその気なら仕方がない。刀を立てる様に構え、踏み込む】
【間合いに入ると同時に、ハイブリエステスの血塗れの胴を更に斬り裂こうと神速の疾さで振り下ろされる刀】
【「蜻蛉」と呼ばれる、必殺の一撃を見舞おうとする】


正直言うと仲良くなれると思ってたんだぜ?何か改善してやれば、お前は少なくとも俺にケンカを売ることはなくなるだろうってな
安い笑いか、リンゴをかじり合う恋人か、気を許せる友人が、或いは誰かの首級か……そこまでは知るかよ

いいぜ、話してみなよ。気が向いたし聞いてやらんでもない
最期の望みを聞いてやるのもなんかヒーローっぽくて良い

18タェンティース・イルム E.赤刃.ヘルメスの靴:2016/09/10(土) 23:50:36 ID:???
>>15
「敵?」
「……ふむ」

思えばそう、彼我の合間の敵味方の区別を成したのは何だ
彼女の手でジョシュアが瀕死の目に遭っている、それは理解る
半人がこの手で討ち果たしたいのは彼の仇なのだろうか、いやそうではない
何方かが殴る手を止める事をしなければ、何時まで経っても殴り合いは終わらない事を知っている
だから半人が剣を振るうのは、いのちを奪うのは状況に流されての事ではせめて無くしているつもりなのだ

「思えば、貴女の事をよく知りませんでした」
「……いや、知ればこの鈍く燻る萌え火の感覚は余計わたしを曇らせるかもしれない」
「……これで、いいのかな……?」

剣を持たぬ右の手の人差し指を曲げて唇に当てる
半人が深く思考する際の癖みたいなモノだ


「……わたしは強くはありません、いつだって」

ただ、と区切る

「わたし『達』は強い」

右手をタクトめいて振るえば半人の背後、宙に漂い規則的に舞う六刃の虚刀

「少し……ほんの少しだけ……」
「……貴女の目的や、もしくはそれを果たす為に通らねばならない道筋」
「それがもっと、もうちょっと……」
「我々が、それを知れたら」
「貴女が、それを知らせられたら」
「……何処でズレたんでしょうね、それともこれが正解?」

六刃の内のひとつを手に取る
りん、と響く澄み切った音色

「……分かりました、貴女を殺します」

静かに頷いた
直後金色の粒子となり半人の姿は消える
違う、全身の排熱パネルから放射された魔力粒子、それだけを残して超速機動したのだ
振るうはロイとソーマタージの描く軌跡とは別、ナナメ上からの大上段一閃!

19氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/10(土) 23:52:47 ID:???
>>15
「つまりキミは、自身を舞台装置だと言うのかい?
同時にボクらを、演者と言うのかい?」

右の氷の槍がはじかれ、焼き切られながらに言葉を発する。
ソーマとタェンティースと、ハイプリエステスのやり取りから何かを汲み取って。

「キミが倒されることでボクらはキミより強くなる。そして、その脅威とやらにボクらが勝てる可能性を作る。
そして、キミが望まぬ結末を回避する」

左手も氷結させる。
余裕がないため、槍を鋭く伸ばすことはできない。杭程度のサイズが限界だ。

「すべては、キミの書いたシナリオのままに。
まったく、気に食わない」

ああ、気に食わない。気に食わない。
だから―――

「だから、ボクはこの闘争を“愉しませて”もらおう。」

左の腕を、突き出す。
右の槍が弾かれた勢いも乗せて。

これは間を繋ぐ一撃。右の槍は徐々にその形を取り戻しつつある。
相手に間を与えるな。さもなくば―――

極光に、切り裂かれる

20α-12【ディープメイカー ver.α】>>487:2016/09/10(土) 23:54:07 ID:???
>>15

「中々に厄介な感覚デス…しかし…」

 様子からも察せられる。負傷と疲労の色濃く、万全とは程遠いコンディション。
 狩るならば絶好の好機以外の何物でもない。ヒロイックな感傷は出来の悪い姉に任せて、
 こちらは任務を継続する。任務こそが全てだ。

「そうまでなってまだ≪我々≫に逆らう気デスか」

 ディープメイカーによる斉射を続けながら、後ろ腰の特殊戦装備より圧縮空気を噴射。
 一気に接敵を図るα-12。手数が多いということはこのような芸当すら可能とする。

「しかし、すぐに分かりマス。≪貴方達≫が如何に無力でアルカ」

 この言葉はα-12の言葉であり、同時にその背後に居る者達の言葉でもある。
 それを告げながら、α-12は両手のブレードをハイプリエステスに振るう。

(…冗談じゃあありまセンね。姉様を惑わす…その舌ごと切り裂いてやりマス)

 鋭いブレードはハイプリエステスの喉首、そして、口中を狙う突きを同時に放つ!
 速やかに抹殺するためだけの攻撃。越境者に吹き込もうとする虚言そのものを断たねばならぬ!

21序章『鈍色の血』:2016/09/11(日) 00:21:24 ID:???
>>ALL
「えへへ…嬉しいなぁ」
「私が皆とこんなに戦えてるなんて…信じられない」

思わず笑みが零れた、越境者の中でも選りすぐりの戦士たちである彼らと同じ舞台に立ち、
そして自分が彼らと同じ土俵で十分に戦ってゆくだけの力を得たことを自覚する。
それだけで自分の努力は、全てを捨ててまで得た力は無価値なものではなかったとの証明となる。

タェンティースの虚刀に呼応するように、ハイプリエステスもまた虚刀を呼び起こす。
現れるそれはタェンティースと同じ、されど異なる、剣の数は二振りだ。彼女にはそれで限界。これ以上の顕現は不可能だ。
虚刀を二振り、さらに振り絞って生み出したセフィロトを従え、最後の戦いへと向かう。

それぞれ虚刀をタェンティースとソーマタージの迎撃へと向かわせ、初の一撃をセフィロトで打ち消さんと。
されどそれらは、既に限界を迎えた状態で更なる負荷をかけて生み出された、無理が無理を生んだような代物である、
不意にセフィロトが形を崩して押し負け、初の槍が左腕を吹き飛ばした途端に虚刀も形を崩して消える、
後は言うまでもない。鮮血が飛び散り、短い悲鳴が響いた。

決着、胸に斜め十字の切り傷を負い、ロイのハルバートによって腹部を貫かれたハイプリエステス。
ずぶりと音を立てながら、突き刺さった矛先を抜かれれば、がくりとその場に膝をつく。
剣を取り落とし。もはやそれらを拾い上げる体力も残されていない。ハイプリエステスは徐に口を開き、語る。

「これは…試練…これからあなた達を…大きな影が覆う…」
「でも、それでも…私を一人で倒せるくらい強くなれたら…勝てる、かなぁ?」

「……ありがとう」
「たの…しかったよ、いままで」

「……あぁ、でも、最期は…あなたに、」
「看取って…ほしかった、なぁ………ア――」

続く言葉はそこまで。α-12によってブレードが振るわれ、それはハイプリエステスの喉元を貫いた。
入りは浅いが、確実にその声帯を切り裂き、彼女の声を奪い去る。女教皇は声を失い、従たちを失った。
そして今度は、彼女自身の命の火種までもを失うのだろう。そのままハイプリエステスは仰向けに倒れ、崖下へと堕ちてゆく。
崖は高濃度の毒ガスで、満たされ、微生物すら存在する事は難しい。加えてあの傷であれば助かる見込みはないだろう。
ハイプリエステスは死んだ。たった今、カノッサに仇為す越境テロリストは根絶されたのだ。

『…ご苦労だった、死体を回収し次第、この世界から撤収する』
『ところでお前達、聞いてくれ…ハイプリエステスだが、俺は…ヤツの正体を、オル……おっと』

静まり渡った戦場で、無粋にも言葉を挟むのはエルミスだ。
しかし彼が語り終えるよりも先、エルミスの首筋にはめらめらと燃え上がる大剣が付きつけられていた。
紛れもないハイプリエステスのオスクロ、その持ち主にして元の主は、エリュシオンの女教皇、ガブリエラであった。

22ロイ・ゴールドマン>500-501 ◆eZKgukyN3c:2016/09/11(日) 00:29:26 ID:???
>>21
越境者たちと ハイプリエステスが交錯し ハイプリエステスは死んだ

「さらば戦士よ 遥か高きあの世へは 霊峰グングリットを目印に登って行け」
最後まで勇敢な戦士であったに手向けの言葉を送り 仕事は終わった

だがエルミスは通信の途中でエシュリオンの女帝に殺されてしまう

「・・・・・・・・」
まずは無言 この後どう展開するかが見えぬ間は余計な言葉は挟まない

23氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/11(日) 00:34:17 ID:???
>>21
「――……ッ!」

自身へと向かってくる光。見覚えのある光。
“セフィロト”だ。この右腕を奪った光だ。
奪われたからこそ、最も警戒していた攻撃だった――
が、衰えているだろうという予測もしていた。
現に、やや光が弱まっている。

――砕けるか?

――――砕くしかない。そうだろう?

振るわれた左腕は突き進む。槍は、正面から光と対峙する。
そして――貫いた
極光を、打ち破った。
そして、左腕へと槍は刺さる。
鮮血、悲鳴。そうして、結末を迎える。
五つの刃に貫かれた女教皇は遂に、終焉を迎えた。
彼女にかける言葉は、唯一つ。

「ボクもたのしかった
ありがとう。そして、さようならだ」

刃は引き抜かれ、ハイプリエステスは奈落へ。
吸血鬼の口元には、笑み。
ありがとう。ハイプリエステス。
キミは間違いなく――『人間』だった。

「―――何の用かい?
ボクはキミのことをよく知らない。けど、闘いの余韻を破るのは感心できないな」

エルミスへと見覚えのある剣を突き付ける未知に露骨に苛立ちを込めた言葉を投げる。
何のつもりだ。もう、終わった――
いや、違う。
終わったのは、“序章”にすぎない。

24α-12【ディープメイカー ver.α】>>487:2016/09/11(日) 00:35:06 ID:???
>>21

「黙りなサイ。ただのトレーター」

 女教皇の喉を貫き、そのまま崖下に堕ちてゆく姿を睥睨した。
 任務完了、なにやら越境者達に吹き込もうとしていたようだが、ただの戯言として処理すればよい。
 妙な運命にトモダチと出来の悪い姉を引き込むような真似は看過できないのだ。

「あーエルミス=サン?アナタの舌も引っこ抜いたほうが???」

 通信の途中でなにやらノイズ。何かあったかもしれないが…知った事ではないか。

【二三度、ブレードを振り回して鞘におさめる。切れ味はいいがすぐに刃がダメになるな…とも思いながら】

 --------

>>22

「金男=サン!α-12はとってもとっても頑張ったので甘いモノを食べたいデス!」

 先程までの剣呑な雰囲気はM78星雲の彼方にでもぶっ飛んだのか、
 シュタっと手を上げて、ロイの戦闘前の言質をリピートするクローントルーパーである。

「α-12は最近、お財布やらお菓子が欠乏DIEピンチなのデス。むふふふふ…何を食べましょうカ」

 なお、トンチキにやりすぎで減給やらオシオキやらくらっているようである。哀れ。

25タェンティース・イルム E.赤刃.ヘルメスの靴:2016/09/11(日) 00:36:11 ID:???
>>21
「……」
「もし、わたしがその方に逢えたとしたら」
「生き様を伝えましょう、貴女という人間の、新月の夜の星のような輝きを」

彼女が最期に思い浮かべた相手が誰なのかは知り得ない
だがそれをもし、奇跡が起こり知る事が出来たとしたら
右手を振るえば虚刀はりんと鳴いて消えた、赤刃を納める

「……」

通信が入ったようだが、半人にはそれは届かない
あらゆる思考の邪魔であると断じ機能を停止させているからだ
だから、今この瞬間
半人には考える時間があった

(試練に、影)
(眼と言ったか、彼等の存在はこの為だけに?)

「滅びる為に存在するだなんて」
「……もしそうだとしたらそれを美徳だと思えるのが不思議……」
「でも、彼女はそれを受け入れていた」

くぐもった声は指で口が隠されているから

「ひとの意志力は、目的の為ならいのちを棄てる事を非としない?」
「その反面、誰かのいのちを救う様な事をしてみせる」

覚えがあった
かつての怨敵との戦いの時に、自身も己の存在より優先すべきタスクに大切なモノ達を入れた記憶と記録があった

(あの時の判断は、わたしの有機的な面がそうさせたのかな……?)

「んっ……」
「難しい、分からない事だからけだ……」

そこまで考えて頭を掻いた
苦笑、難解な事を思考するのに今は少なくとも向いていない
とにかく疲れた、傷付いた体を休めたい
手近な岩に腰掛けて一息、そらを仰いだ

26ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/11(日) 00:39:25 ID:???
>>21
女を打ちのめす方法はいくらでもある。殴るなり、気色悪いことするなり、いくらでもな
それはお前の『試練』とやらも同じだ。バラバラにして埋めてやる

アーッ!そうだ、あいつなんかジョシュアの知り合いっぽかったじゃん
惜しいことしたな…あいつの脳ミソから記憶読み取る機械とかないの?
【崖下に落ちていくハイブリエステスの死体を見送り、思い出した様に大声を上げる】
【咄嗟に崖下を覗き込むが、時既に遅し。拾いに行くのは機械の身体でも無理だ】
全く…誰だ彼女を殺したのは

おっと……今そんな状況じゃない?取り敢えず武器を捨てて手を取り合おうぜ、野蛮で無礼な人
【雇い主の喉元に刃を突きつける見知らぬ女。噂程度に聞いた女教皇か】
【刀は納めてはいるが、いつでも抜けるよう身構える】

27序章『鈍色の血』:2016/09/15(木) 20:59:44 ID:???
『……二度とこの世界に近づくなと言った筈だ、カノッサよ』
『この世界で…とりわけ私の治める領土で随分と好き放題してくれたようだな。またあの”惨劇”を繰り返すつもりか?』

オスクロの大剣をエルミスの首筋に突きつけるガブリエラ。その光景は越境者達より20m程離れた場所、
目視はできども即座に対応できる程の距離にはない。会話も耳を澄ませば断片的に聞き取れる程度か。
憎悪を隠さぬその表情、ガブリエラと会ったことのある者が居れば、その態度の変貌ぶりにきっと驚いたことだろう。

現に驚愕の表情を浮かべているのは、ガブリエラに随伴していた親衛隊であるミスカと、エドモンドだ。
エルミスはそのまま動じず、振り向くこと無く片手を挙げてミスカ達を追い払うように振る。
ガブリエラも何かを察したのか、剣の切先を反らせてエンチャントを解けば、エルミスは振り向いた。

振り向いたエルミスの、その顔を見て意外そうな表情を浮かべたガブリエラ。
二人は暫し話し込み。まるで先程までの張り詰めた空気が嘘であるかのように頷き合った。
互いに知る顔であったのか、この場はなんとか丸く収まったようだ、エルミスの腕をガブリエラが思い切り抓るのが見えたのなら、それがよく分かる筈。
ガブリエラはエルミスの腕を越境者達に見えぬよう抓りながら、高らかに声を挙げた。
それは普段通りの、尊厳ある優し気な教皇の声色であり、

『…………』
『越境者達よ、退きなさい。貴方達には一度この世界を救って貰った身…今回の一件は不問としましょう……ですが』
『カノッサにはもう金輪際関わらぬように。貴方達が守り抜いた未来を…その手で再び曇らせてはなりません』

だがそれですべてが片付いたわけではない。渓谷は破壊され、死者も多数出た事実は変わらない。
ミスカは訝しげな顔で越境者達へと視線を向けていた。何故この人達はエリュシオンでカノッサの手先となっていたのだろう。
一体誰を殺すために、ここまで多くの自然を破壊できたのだろうと。ガブリエラはそんなミスカの顔を抱き寄せて、越境者達から引き離す。

カノッサ、とりわけHEXAに対する不信感を抱いたまま、ミスカはその場を後にするのだった。

-Rewards-
物語を進め、以下の機能が利用できるようになりました

◇メダルを獲得…”背教”ハイプリエステスを倒した証
◇VESPAの新機能が解放…”会話ログ”で物語の真実を知る

28第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 21:50:12 ID:???
『ジョシュア……あたまいたい……』
『おなかいたい…だるい…さむけする…つらい……』

始まりは唐突であった。
ある朝、目を覚ましたジョシュアの……というより、眠るジョシュアにのしかかって鼻を摘まみ、呼吸を阻害して起こしたジョシュアの上に跨るニュクス。
顔色を赤青緑と変えながら、ぐるぐると目を回しそのままぼてんとジョシュアに倒れ込み、ベッドから落ちて動かなくなってしまったのだ。

『うー、……うーん……』

「……よォ、まさか……コイツが病気になるなんてな」
「グリードは疾病とは無縁だって思ってたが……そりゃただの思い込みだな」

ここはジョシュアの病室。退院して間もなく、古傷を開かせて再入院したジョシュアの見舞いに来た越境者達。
見慣れた病室。されど今日はどこか雰囲気もがらりと変わり、ジョシュアの隣で佇むミスカもどこか居心地が悪そうだ。
近くまで寄ればいつも隣の椅子に腰掛けている筈のニュクスが、ジョシュアの隣に併設されたベッドで眠っていることに気が付くだろう。
病室の空気も物々しく、監視カメラは勿論、見張りとしてヘキサエージェントが常駐させられている。
今日の担当はエージェントシックス、何時も通りのストライプスーツのエルミスだ。病室の外の武装警備員の数は二倍以上。

『………まま……いかないで……』

悪い夢を見ているのだろうか、きらりと光る涙の筋一つ。
ナノマシン群体であるが故にバイタルを測り切る事が出来ないのが正確な健康状態の把握の邪魔となるが、されどどう見ても健康な状態ではない。
苦しそうに身じろぎ、唸り声を上げて体表ををしきりにざわざわと波立たせるニュクスを落ち着けるように、ジョシュアはベッドから手を伸ばしてその額に触れるのだが。

29ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2016/09/15(木) 22:00:22 ID:???
>>28
「うぅーん……」

と、唸るニアは所在なさげに落ち着きなく、病室の彼方此方に視線を泳がせていた
それは勿論眠り姫の容態に不安があるからであり、更に言えばナノマシンという存在の仔細を知らぬ事も手伝っているのだ
ニアの体内に知らずの合間に取り込まれ、そしてその中で変容を果たした『マウト・フトゥーロ』
それすらも朧げで、便利な力だとしか認識してないが故の、漠然とした不安

「……むむぅ、困りましたってんですねぇ……」

『アユル』の所にいるアラズァヘッド『ノイン』の変形型ディープメイカーは、その体液に治癒の力を持っている
しかしニアのそれには無論無く、今はただする事は、出来る事はなく沈痛に身を沈めるだけだ

30アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2016/09/15(木) 22:00:25 ID:???
>>28
「おいおいおいおいジョッシュ 一体何があったんだ」
―――ギィ!!

いつものようにジョシュアの見舞いに来ていたアキレスが その尋常でない状態に驚くやら心配するやらで病室にやってきて
寝込むニュクスを診て更に心配する

「アレか? また前みたいにガラスでも飲み込んだか? またベティの抜け殻をプレゼントすればいいのか? よしベティ今すぐ脱げ!!」
―――ギィ!?

ベティの抜け殻はニュクスの好物の一つらしいが さすがに今すぐ脱皮しろと言われても無理な話 驚くようにハサミを振り上げた

31氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/15(木) 22:00:49 ID:???
>>28
ハイプリエステスの討伐を終え、ふと思い出したことがあった。
そういえば、あのとき傷を開かせたジョシュアの見舞いに行っていなかった、と。
謝るぐらいは、せねば。そう思ってやってきてみれば――

「グリードが何かは知らないが、人外の類だろう?
病気にだってかかるし、死ぬときには死ぬさ」

ジョシュアが預かっているという子供、ニュクスがベッドにて眠っていた。
初はというと、右腕がないままだ。こいつもとなりのベッドに叩き込むべきだろう。
傷口は相変わらず凍らせて凌いでいる。

戦闘後の一件。それで不信感を抱かせたであろうミスカとはできるだけ目を合わせない。合わせられない。
優しそうな少女であった。きっとあの破壊に心を痛めているのだろう。
だからこそ、このバケモノは彼女に話す言葉を持てなかったのだ。

32ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/15(木) 22:01:41 ID:???
>>28
それが、その噂のグリードってのかい?よく知らないけど
すげー、信号みたいに変わってんじゃん。目がチカチカして吐き気と痙攣の症状が襲ってきた
【お見舞いの品だろう、籠に盛られたフルーツを勝手にモリモリ食べながら、ニュクスの目の前に人差し指を伸ばしてクルクル】
【トンボを捕まえる時にやるアレだ】

…難儀なものだな、あからさまに体調悪そうなのに健康測れないんだって?
こわーい連中がいつもの二倍三倍五倍増しだもんな。ピリピリきてストレスヤバいんじゃない?

全く、何を守るつもりなんだか…。お前か?俺らか?あるいは自分たちか?
【新たな果物を掴んで口に運び、わざと聞こえるように嫌味を吐いてチラチラと警備に視線を向けるソーマタージ】
【以前の戦闘での扱いから、不信感が未だ拭えずにいるのだ】
【目を離していたので、自分が掴んだものが観賞用のススキだと気付かずに口に運ぶ】

33アグラーヤ >>336:2016/09/15(木) 22:07:55 ID:???
>>28
「あらぁ、入院したって聞いたからお見舞いに来てみたのだけどぉ……本人は意外と元気そうじゃない。お花持ってきてあげたのに無駄だったわぁ」

アグラーヤが室内のテーブルによいしょと置いたのは菊の花の鉢植えである。お見舞いの生花、アグラーヤの気持ちのこもった一品。
それなりに元気そうなジョシュアを見れば、意地悪い笑いと舌打ちを漏らし、代わりにベッドを使う少女に視線を移した。

「この子、ニュクスって言ったかしらぁ? あは、保護者も大変ねぇ」

ニュクスの性質を深く理解していない為、アグラーヤは事の重大さがわからない。体調を崩したニュクス、それをジョシュアが保護者として看病し付き添っている以上の光景には見えようはずもない。
もっとも、院内の物々しい警備に何か勘繰らない事もなかったが。

34第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 22:23:42 ID:???
>>ALL
「今の俺達に出来る事なんてねェさ、今は……ゆっくり眠らせてやってくれ」
「ガラスを喰った程度でここまで弱るコトなんてない……死ぬ、なんてこたァねェだろうが…」

不器用な氷結鬼はジョシュアに謝るどころか不安を煽るようなことを口走り、ジョシュア彼女をでこピンの刑に処す。
ニアの持ってきたフルーツ盛り合わせを次々口に運び、その勢いでススキまで咀嚼したソーマタージに尿瓶(空)を投げつけようと。
このまま放っておけばアグラーヤの持ってきた花も、多分ソーマタージに喰われるだろうから。

『…なに、してるの………?』
『だめだよ、そんなことしたら……こわれちゃう』

ぽつぽつと零れるニュクスの、呻き声にも似たうわごとは逐次記録されている。
一人の人間ではなく、研究観察の対象として捕獲された実験動物の、なんと哀しいことか。
朝から続くそれを聞き流していたジョシュアとエルミスであったが、ある単語を耳にして、不意に眉を顰めた。

「……”壊れる”……?」
『やめて……こわさないで、ままを……みんなをこわさないで……』

『……待て、様子がおかしい』
「エルミス……ヤバいぞ、どんどん激しくなって…」

眼をぎゅっと瞑ったまま苦しそうに胸を抑え、ぞわぞわと体表を波立たせるニュクス。その反応が段々と強くなっていることにジョシュアは気が付いた。
エルミスもその異変に気が付き、ニュクスのうわごとに耳を澄ませる。内容はどれも破壊、若しくは死を連想させるものばかりである。

反応はじきに抑えが効かぬ程に強いものとなり、ニュクスは身体を弓なりに反らせて歯を食いしばっている。
肌は完全に黒く染まり、紅い波が胸を中心に全身へと脈動するように広がる。ニュクスは本気で苦痛を感じているのだろう。
少なくとも人間への擬態をやめ、グリードとしての本来あるべき性質を晒す程の。それはまるで過去のジョシュアだ。

『やめ…やめろ………ままを、きずつけないで……』

『くそっ…ドクを呼べっ!!』
「おい!誰でもいいから早く――」
「アラートだ!アラートを鳴ら………!」

『いやだぁああああぁああああっ!!』

一刻も早く本部への連絡を、現状、自分達では対処の方法がないと悟ったジョシュアは端末を手に取った。
破壊し尽くされ、グリードに覆われた都市が鮮明に浮かぶ。それはかつてグリードが地球まで達し青い星を完全に喰らい尽くさんとした時だ。
あれを繰り返してはならない。必要とあってはニュクスを始末する為に、ジョシュアが銃へと手を掛けようとした瞬間。
一瞬にして全員の視界が闇に包まれ、全ての光、音、外界からの刺激がシャットアウトされた。

「………どうなってやがる」

『くっ……全員無事か……?』
『ジョシュアさん…エルミスさん、これは……』

互いの姿も、何も見えずに声を張り上げて互いの位置を探るジョシュア達。
やがて少しずつ視界の靄が晴れ、周囲の様子が明らかとなっていった。
そこは全面が鏡に包まれた部屋のような、あらゆる角度のあらゆる場所に自分達が映し出されている。
まるで四次元超立方体(テッセラクト)。自分たちの周りに映し出される景色は、やがてランダムに変化してゆき、
そこには各々に覚えのある、様々な記憶の場面が映し出されているだろう。まるでそれは記憶の博覧会だ。

35ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2016/09/15(木) 22:31:50 ID:???
>>34
「あぁっ!?」

と、自身の持ってきたススキがソーマタージの口に運ばれれば驚愕
怒りとかそう言うのよりもただ驚いただけだ、だってススキだし
ともあれそれに関してはジョシュアが咎めたのだから良しとしよう、ススキならまた摘んで来ればいいのだから

「……?」
「ちっ、ちょっとぉ……」
「大丈夫だってんで……きゃぁっ!?」

ブラックアウト、後に全てを囲まれた空間
目を白黒させて一先ず剣柄を握り締め、動揺したこころに凪を取り戻す

「無事っ……だと思うんだってんですけどっ……」

ここは、と息を呑んだ
ランダムに映される記憶、何かが起ころうとしている

36アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2016/09/15(木) 22:34:52 ID:???
>>34
「s・・・そうか ベティ脱がなくていいぞ」
―――ギィ!!

やや狼狽しながらもベティに言い ベティは出来るわけないだろうと言わんばかりにハサミを振り上げる
しかし中々にショッキングな夢を見ているのだろう

―――ギッ・・・
ベティも心配そうにハサミを振り上げている

だがその動悸(?)が激しくなると完全に狼狽し あたふたするアキレス
そしてジョシュアが銃を取ろうとして それを反射的に止めようとして

真っ暗な闇に包まれる

「・・・・・・・」
無言 目をパチクリさせながら辺りを見回す
なんかよくわからない部屋の中 様々なジョシュアの姿が映っている

とりあえず今のところ実害はなさそうなので

「・・・・・・」
おめめパチクリな状態で某リンゴ社製スマホを取り出し カメラを起動する

じょうほうのきろくってだいじだよね(棒)

37ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/15(木) 22:37:35 ID:???
>>34
ゲェッ、雑草!マッズ!グワーッ!
【飲み込んだところで自分が手に持つものの正体に気付き、ブーッと吐き捨てる】
【丁度投げられた尿瓶が頭頂部に当たって砕け、悶絶】

オイオイオイオイ、ヤバいぞ。鎮痛剤なら結構イイから持ってたはず…
【正体が何であれ無害そうな子供が苦しむのはあまり好きじゃない。慌てて懐から注射器を取り出そうとすると、感覚が奪われた】


この隙に変な事する気でしょ!俺自身そう考えてるもん
【すわ停電か?とも思ったがどうもそうではないらしい。ふざけている内に次第に視力が戻っていく】
【頭痛がしそうな謎の空間。これならこわーい連中に囲まれてる方がマシだ。舌打ちが漏れる】

うーん、斜め前から見た俺って素敵。だがこのソーマタージは気に入らない
気に入らないと言えばこの空間も気に入らない。みんな生きてるー?アローハー、アッハローハー?
【軽口を叩きながらも、始まる映像に思わず目を背ける。他人のものでも記憶を見ると自分の事を思い出してキツい】

38氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/15(木) 22:38:56 ID:???
>>34
「イテッ……ふっ、ふふふっ。この様子だとキミは元気そうだ。
心配して損したよ」

クリティカル!吸血鬼に3ダメージ!
しかしまあ、こちらは元気そうでなによりだ。
こちらは、だが。

「壊れる……?何が起きてるんだ?彼女の中で?」

こちらは、様子がおかしかった。
破壊、死。おそらく病人が口走る言葉ではない。
言葉から始まった異変は、外見にまで現れている。
人に寄り添う人外。それが昨日までの彼女だった。
だが、たった今評価が改められた。
同族殺しの拳銃に手を伸ばす。
――最悪になる前に、カタを付けよう。
そして、闇に呑まれた。

「……なんだ?どうなっている?
おそらく、ニュクスのせいだろうが、これは……」

気付けば、何も見えなかった。
声だけが聞こえる。
さらなる変化が、起こる。

「これは……ボクらの過去か?
ニュクス……キミはボクらに何を見せたい?」

この現象の原因がニュクスにあると推察している初。
だが、これは不可思議過ぎた。
このような現象は数多の人外を殺した初も知らない。
これから、何が起こるのだろう?
無知はどうしようもなく吸血鬼を不安にさせた。

39アグラーヤ >>336:2016/09/15(木) 22:43:01 ID:???
>>34
「ちょっと、コレまずいんじゃないのぉ……?」

尋常でないニュクスの様子にさしものアグラーヤも身構える。そしてベッドに駆け寄ろうとした瞬間、何の予兆もなくアグラーヤの視覚と聴覚は塗り潰されたように機能しなくなった。
内心湧き上がる感情は焦りだ。しかしそれを精神力で抑え冷静に状況の把握に努める。もしこれが何者かによる攻撃か何かであれば、ここで感情の暴走させることは美味しくないのだから。

「……とりあえず、無事よぉ。誰かこの状況、説明できる……?」

ジョシュアの呼び掛けに答えつつ、答えのわかりきった質問を投げかける。その問いに対し満足するものも得られぬまま状況は進展。
再び光を得た視界を埋め尽くすのは自らを映す鏡であった。

「なによこれぇ……? ちょっと、やめなさいよ……! っ……!? やめろっ!!」

やがて映し出されるのは自らの記憶だろうか。
それは遡り――燃え盛る街の中、死体の山の上に佇む少女が映し出されれば目の前の鏡に電撃を飛ばした。

40第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 22:49:05 ID:???
「全員生きてんな……引っ付いて離れんな、コイツは……マズい」

ジョシュアは咄嗟に一番近くにいた越境者の袖を引っ張って近くへと寄せて抱く。どうやらエルミスだったようだ、殴られた。
ミスカも同じようにしてエルミスにくっつき何かあった時に、例えば先ほどのように闇に包まれた時、互いに引き離されないように備える。

この現象を記録しようとしたアキレスがカメラを起動するも、何も映らず、音も記録されない。
おそらくテッセラクトが存在するということは、ここは少なくとも4次元以上の世界。
人間が絵を描けるように四次元存在が三次元存在である越境者を存在させることは可能だが、三次元存在である越境者が四次元を記録する事は叶わないようだ。
それは平面の中で立体を描くことが不可能であることと同じ。この現象を記録に残す術はない。記憶という、魂という三次元という括りに縛られないものを除いては。

アグラーヤがこの空間を打ち破る為に、目の前の虚像に向かって電撃を飛ばした。
虚像が切り替わり、そこに佇むのはジョシュア。セーフハウスでビバレッジを呑みながら銃の分解をしている所。
アグラーヤが電撃を飛ばせば、ジョシュアは驚いて手を滑らせ、スライドの部品で手の甲を切ってしまった。
それを見たジョシュアは冷や汗を浮かべながら、アグラーヤへと左手の甲を見せる。そこには先ほど、虚像の中でジョシュアが負った場所にある古い傷の痕。
そこから推察できるのは、この空間があらゆる時空の、あらゆる世界とつながっているという事だ。
やがてそのうちの一つが大きく歪みを生じさせ、越境者達を飲み込めば。

「……あァ、なんてこった……ここは……」

近未来世界、グリード侵攻時の地球――

様々な場所から砲火が飛び交い、ビルが傾き、地上は破壊された車と、うごめくグリード達が埋め尽くしている。
上空ではISACの超巨大戦艦、”USSヴァルキリー”と”USSハルピュイア”が今にもその巨体を衝突させんと、傾いて煙を吹いていた。
彼の二隻以外にも、グリードに取り憑かれた戦艦は数多あり、そのうちの一つが超高層ビルへと激突、
爆発炎上し、破片を降らせながら二つのビルの上に堕ちた。遅れてガラスの破片が降り注ぎ、ジョシュアはそれを近くのビルに隠れてやり過ごす。
されどその程度の雨よけ程度では、防げぬほどの”雹”が墜ちるのを見れば、ジョシュアは血相を変えて回れ右、思い切り駆け出した。

「クソ、クソ、クソ、クソッ!!」
「戦艦だ!!戦艦が墜ちて来やがるッッ!!」

先程二つのビルに跨るようにして引っ掛かった戦艦、エンジン側のビルがその重みに耐えかねて中折れし上部が倒壊。
支えを失った戦艦はエンジンを全力で噴射しながらも、次第に地面へと向かって滑り落ち始めていた。
そして戦艦が位置するのは、越境者達の真上である。こんな場所で立ち止まっていては瞬く間に潰されてしまうだろう。

前を見れば丁度、ビル群を100m程駆け抜けた場所に先程のような時空の歪が見えた。
落下する戦艦から逃れるには人間の脚力では遅すぎる。ならば逃げ込むしかないだろう。

41ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/15(木) 22:57:37 ID:???
>>40
なんなんだ此処は……。いやマジで、なんなんだ、此処は
【古傷を見せるジョシュアの様子に、冗談を飛ばす気も失せる】
【色んな場所に通じているというのか?そもそもこんな事を引き起こしたニュクス──グリードとは何なのだ?】


ああクソッ!今日は厄日だ!!
【忙しく変わる風景に、戦火に心を奪われる暇も無い】
【翻したコートでガラス片を咄嗟に防ぐ。幾つかは貫き背中を、腕を傷つけるが、構ってられない】

来るぞ!!
【堕ちてくる戦艦に、周囲の越境者達に叫ぶと、視界に入った再びの歪みへ駆け込む】
【この先がどうなっているのかは分からないが、ワケも分からぬまま死ぬのも真っ平御免だ。飛び込む様にして時空の歪みの中へ入ろうとする】
ええいままよ!こんな状況では言いたくなかった!

42ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2016/09/15(木) 23:01:40 ID:???
>>40
「……ほへぇ……」

誰に引っ付いたのだろう、呆然とそれに魅入るニアには分からなかったしその必要も無いように思えた
果たして如何様にしてこの空間は個々の記憶という、極めて漠然とした存在にアクセスをしているのだろう
そして何の目的があり、それを多様に映し出し、更にはそれに対する彼我の接触を可能にしているのだろう
これはある意味、過去への接触、時の越境だ
そんな事をニアとしてニアらしく、文章ではなく取り留めのない単語や空想の羅列として思い浮かべて直後に怖気

「えっ、ちょっと、ちょっとぉっ!」
「アレってこっちに触れるんですよねっ!?」

巨大戦艦の撃墜に巻き込まれそうになりながら顔を引き攣らせる
転びかけながら逃げ込むのはジョシュア達に促された時空の歪みのその狭間

43氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/15(木) 23:01:50 ID:???
>>40
記憶の中には、当然“始まり”もあった。
不愉快だ、止めろ

「……止めろ」

父が、母が、血祭りに上げられる。
この後、ボクも噛まれる。
この力は気に入っている。だが――
この始まりだけは、許せなかった。

そして、歪みが起きる。
始まりから目が離せなかった初は、知らぬ間に巻き込まれ――

「―――ッ!!」

地獄に、立っていた。
人の叡智が、人外に食らいつくされる。
終わりだ。一つの世界の終わりを、見せつけられた。

ガラスの破片を近くの物陰でやり過ごす。
だが――

「堕ちてくるのか――あそこが深淵に繋がっていなければいいがねッ!!」

どうしようもない、災害が降ってくる。
逃げねば。
ガラスの破片が頬を裂くにも構わず、歪みへと全速力で飛び込む。
ここに留まっても、戦艦を避けられても、
在るのは死だけだ。

44アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2016/09/15(木) 23:02:00 ID:???
>>40
さて カメラを用意しながら 何か面白おかしい場面でも出てこないかなと待ち構えてみるが 肝心のカメラがうんともすんとも言わない

「あれ? 壊れたかな?」
スマホを叩いたりしているうちに歪みに飲み込まれる

「え? あ? あ・・・」
なんかえらいことになってるし なんかジョシュアのいた戦艦がフルボッコにされているし
その戦艦が落ちて来るし・・・


「いやいやいやいやいや!!! それはないだろうそれは!!」
降り注ぐ瓦礫から逃げ出さんとデモンレッグ起動を試みる

そして少し向こうの方に歪みが現れれば

「イヤッフゥ!!」
勢いそのままに なんのためらいもなく歪みに飛び込もうとする

45アグラーヤ >>336:2016/09/15(木) 23:05:36 ID:???
>>40
「なぁにこれ……どういうことなの? リンクして……?」

ジョシュアの傷跡を見れば目の前に浮かぶ数多の疑問、その解決の糸口すら掴めぬままに事態は加速度的に進んでゆく。越境者たちの都合などはまるで意に介さず、唐突に広げられた景色は幻想の様な、しかしこのリアリティは紛れもない現実だ。

「……チッ! 冗談でしょお!? あぁ、もおっ!!」

空が落ちてくる。そう形容出来るほどの絶望的な光景に、本日二度目の舌打ちが漏れた。
走り出したジョシュアの背中を追う様にアグラーヤもまた走り出す。身体のラインに沿った動きにくそうなゴシックドレスの裾を掴みながらの全力疾走。
目指すは凡そ100メートル先にある空間の歪みだ。恐らくそこに無事に辿り着いた頃にはアグラーヤは息も絶え絶えといったところだろう。

46第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 23:18:09 ID:???
空間の歪に思い切り飛び込んだジョシュア達。バランスを建て直せば、再びそこはテッセラクトの中。
最後にアグラーヤとミスカが飛び込んで、戦艦が墜落し爆炎が迫った所で虚像は別のものへと切り替わった。
ほんの少し切り取られた爆風と、小石の破片が一行を打つ。

ジョシュアはあの光景に見覚えがあった。ハルピュイアとヴァルキリーの衝突。
越境者は遅れて駆け付けたUSSワールシュタットと共にグリードの指令塔を破壊し、両者の衝突を防いだ――
その光景のほんの片隅の背景、遠くで沈んだ船のうちの一つの真下に自分達は存在したのだ。

「……クソッタレ!なんだコイツは…タダの越境じゃねェ……こんなの初めてだ!」
「クソ、お次は何だァ……!?」

再びテッセラクトに崩壊が生じ、ジョシュアらはその裂け目から吐き出される。
まばゆい輝きを放つ視界、されどそれを照らすのはやはり、地獄の業火。

近未来世界、人工島”ネオ”――

二つの勢力が互いに衝突し合い、互いの思想の為に命を奪い合った熾烈な戦い。
越境者達もその争いの中に身を置いた。今は境界線を跨ぐこともなくなってしまった者達も、数多くいた。

「……あー…、ファック……」
「タェンティースの顎を砕いた場所だ、あそこで殺してりゃよかった……」

戦場の真ん中、木々の生い茂る中州にジョシュアらは位置していた。
巨木の下、上には大きなレールガンを構え、近未来的なアーマーに身を包んだスナイパーが一人。
茂みから戦場を見渡せば、兵士たちの屍が積み重なった平原。塹壕地帯の中央を挟んだ先に歪が見える。
そこは迫撃砲の射程内であり、塹壕に籠る兵士達からも常に見張られている。
ただ走るだけでは、蜂の巣も必至。

「畜生がッ……銃さえありゃ……」
『……ダメだ、ジョシュア…ここは恐らく過去の世界…俺達は過去へと遡っていっている…』
『下手に干渉すれば歴史が変わる……下手を打てば俺達の存在が消滅するぞ……っ』

「チッ……じゃあ俺たちがやるこたァ一つ、思いっきりダッシュすりゃいいんだろ……!?やってやるよ……!」
「来るぞ……駆け抜けろッッ!!おいアキレス…お前の力が必要だ……!」

息を切らしたミスカと、彼女が許せばアグラーヤもをひょいと抱えて、ジョシュアは越境者達に注意を促す。
弾幕を掻い潜るには最低限、アキレスの霧を目くらましとして常に放つ必要があった。
ミスカはツタの壁を構成し、一行が駆け抜けるための道に防壁を建てる。各々の能力をフル活用すれば、おのずと活路は開けるはずだ。

47ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2016/09/15(木) 23:27:49 ID:???
>>46
「……やっぱり、刻の越境っ……?」

その景色は記憶にはないが、半人から聞いた事がある
人工島での戦、半人はここで体を失い次の世界でゴーレムの力を得る事になったのだと

「じ、じゃあっ、こっちからは何も手出し出来ないって事じゃないってんですかっ!」

地球の裏の蝶の羽が起こした風が、表に於いては大嵐となり得る
突拍子もない話ではあるが、今としては妙なリアリティがあった

「どこ向かえば良いってんですかっ!?」
「……六輪っ……!!」

タイドメイカー6本を生やし、ニアを軸として車輪の様に回転させ機動
それは怪物めいて注意を惹き付け、更にやや上にニアが位置している為に致命傷は受け辛い
ジョシュア達の指示を仰ぎ、その方向へと一気に転がり突き進むであろう

48ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/15(木) 23:29:22 ID:???
>>46
なんで戦場にばっか呼び出されるんだ!?ビーチとか観光地とかには出してくれないのかよ!?

次はなんだろな?深海からの脱出か?宇宙空間チキチキ平泳ぎ大会か?エエッ!?
このままあの時まで、あの百三十八年前のあの瞬間まで戻して哀れなソーマタージを生まれる前に殺してくれるよう一緒に祈ってくれないか!?
【苛立ちを隠そうともせず怒鳴り、戦火を走り抜けるソーマタージ】


【壁や目眩しを作ることは出来ないが、サイボーグの頑強な身体と、能力によるちょっとした鎧で盾になることは出来る】
【殿を務め、背後から来る弾をなるべく受け止めようとしながら走る。走る】

あああああ畜生!!今撃ったやつ!次会ったらテメェ地獄の果てまで追い詰めて三度殺してやる!!絶対だ!
【背中から夥しい白い血を流しながら、ソーマタージは叫ぶ。今のところは割りと平気そうだ】

49氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/15(木) 23:30:35 ID:???
>>46
「ボクらに人類の破滅を見せつけてるのか…?
壊れるって、もしや――」

考察の時間は、ない。
裂け目から吐き出されたそこも地獄だったからだ。
地獄で、これ以上深く考察すれば、死ぬであろう。

「腕が万全なら、一人ぐらい担げたが……ッ!」

今の初には右腕がない。
右腕さえあれば、一人ぐらい担いで移動もできただろう。
さらには、レールガンという膨大な熱も放つ兵器は相性が悪すぎる。
だが、やらねばなるまい。

右腕だったところから氷の槍を生やす。
それを以てして、ジョシュアへとせまる追撃砲の砲弾を弾く。
弾き、砕け、しかし再生する。
氷のかけらを浴びながら、歯噛みをしていた。

50アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2016/09/15(木) 23:33:06 ID:???
>>46
「・・・っとぉ 到着!!」
とりあえず歪みの中に着地し さてここはどこだと辺りを見回せば
なにやら戦争の只中である模様

「またしんどい所に越境したなぁオイ ベティついてきてるか?」
―――ギィ!!

いつのまにやら背中に張り付いていたベティがハサミを振り上げる
そこに聞こえてきた衝撃の真実 ここは過去の世界だというのだ

「え? あ あ〜・・・ウェ?」

余りのことに頭の処理能力が追い付いてない そこに飛び込んできた新たな指令
それは自分の専売特許であり

「なんかよくわかんないけど逃げればいいんだろ?」
先ほどまでのことはまるっとよくわからないが これで頭がハッキリした とりあえず逃げればいいのだ

「おっけーい ブルーフォグ 逝っきま〜ぁぁぁぁぁあああああす!!!!」
脚から青い霧を出し 銃弾の雨の中へ身を躍らせる

「おぉぉぉぉにさぁぁぁぁぁんこぉぉぉぉぉぉぉちらぁぁぁぁぁぁぁあっはっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
虚栄の極みを発動させ 死があふれる戦場を余裕たっぷりな笑みを浮かべながら駆け抜けようとする

51アグラーヤ >>336:2016/09/15(木) 23:35:25 ID:???
>>46
「ちょっと……いつの間にマラソン大会に……参加させられてるのよぉ……! もう嫌ぁよ……! 走るのは嫌。過去の改変がどうとか知ったことじゃないわぁ。邪魔する奴は薙ぎ払って……きゃ!?」

全力疾走で息の上がったアグラーヤ。たかだか100メートルでこれである、虚弱さは折り紙付きだ。
もう逃げ回り走り回るのはごめんと実力行使に出ようとした瞬間、アグラーヤの身体はジョシュアに抱えられ宙に浮いた。
直様悪態を付きそうになるも、流石にこの状況で駄々を捏ねるのはマズイと出かかった言の葉をすんでのところでのみこんだ。
まぁ走らされるよりは幾分かマシ、と。そう自分を納得させるもニアですら自分の力で移動しているのを見て少し恥ずかしくなるが背に腹は変えられない。

「……乱暴にしたらおこるわよぉ……」

不貞腐れたように口を尖らせるも、自身を中心にジョシュア、そしてミスカを包み込むように微弱な電磁波を展開。
ミスカの防壁を掻い潜って飛来する物があれば、それが電磁フィールドに触れた瞬間直様電撃で弾き落とすだろう。
理論上は完全防御であるが、あまりに質量の大きいものはアグラーヤの消耗も激しくなる。逆に銃弾程度であればそれ程損耗を気にする必要もない。

52第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 23:52:12 ID:???
越境者達全員の力を借り、ようやく塹壕地帯を渡り切ったジョシュア達。
ミスカのツタと初の槍がが迫撃砲を上空で起爆させて防ぎ、されど網目の間を抜ける銃弾はソーマとアグラーヤが防ぐ。
アキレスが銃撃を攪乱し、ニアが注意を引きつつ二人で狙いを分散させた、全員の協力があってようやく切り抜けられた窮地、
ソーマタージを撃ったスナイパーは、既に3、4度程死にそうな目に遭わされている。最近では背中から刺されたとか。

「はァッッ……はぁぁッ……」
「やっと静かになりやがった……」

歪に飛び込めば、今度は間を置かず即座に吐き出された先は近代的な街並み、ヘリポート。
暗い空にはおぼろげに雲が掛かり、柔らかな月光が全てを見守るように視線を落としていた。
先程までとはうって変わって、辺りは静寂に包まれ、そして高層ビルの頂上を吹き抜ける風は熱く火照った身体を冷やす。
ヘリポートを渡ったその先に歪が見える。隣には階段、昇ればそこはVIPルームだろうか、全面ガラス張りの豪華な部屋。

自由世界リベルタス、帝東ホテル――

静かなものだ、どこか見覚えのある街並みに、ジョシュアはそれが己の生まれた世界とは気付かず。
長い事リベルタスを離れていたのだ。それにここは同じ世界とはいえど、ジョシュアにとっては異郷の地である。
祖国から遣わされてやってきていたこの地に、馴染みのないジョシュア。そそくさと歪の中に脚を踏み入れようと――

『たっ…隊長ォッ!!』
『隊長……ッ…どうして…!!何故…あなたが……!!』

「……あぁ、マジか…お前ら目を閉じろ」

――したその時、静寂を破り響き渡った”自分の声”。顔に手を当て、ジョシュアは大きな溜息を吐いた。
眼を閉じて耳も塞いで、一切何も見るな聞くなと促す。そうこうしているうちに響く破裂音。
窓ガラスを突き破って、一人の兵士が鮮血を迸らせながら墜ちてゆくのが見えるだろう、
地面に叩きつけられた音はせず、見下ろしてみても眼下の道路に遺体はない。これが一人の兵士の、越境の”はじまり”であった。

53第一章『記憶の欠片』:2016/09/15(木) 23:52:50 ID:???
『…果たして下手な芝居は終幕を迎えた……茶番は終わりだ』
『全ての生命は霧散し、死を迎える……。それは貴様とて…私とて例外ではない……』

階段を音を立てぬようにして上り、壁に張り付いた状態で上階の音に聞き耳を立てるジョシュア。
ガラスのいくらかは破壊され、音はヘリポートまでよく通る。この日ジョシュアは”死んだ”のだ。
自らが部隊を降りた後に、何があったのかをその眼で見ようとする衝動を抑え、今は飛び出すことを思いとどまる。
上階ではワイシャツ姿の壮年の男と、それに相対する隻腕の、純白のダークエルフの少女。

『……タェンティースに………!』
『あの子に何をしたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』

激昂した少女の声を聴き、びくりと身体を硬直させる。エルミスから聞いた顛末のうちの一つを思い出した。
確かあの日、少女の放った電撃を受け、最上階はヘリポート含め黒雷に妬かれ消し炭と化したのだ。
エルミスはジョシュアに降りてくるよう急かしている。だが破壊が巻き起こる様子はない。
やっぱあの野郎俺に嘘ついてやがったな、と音のない舌打ち、壁に張り付いたまま会話を盗み聞いていれば。

『……ごめんっ……なさ……い………っ』

「いややっぱ閉じんな!!走れ!!走れ走れ走れ逃げろォォォォッッ!!」

やがて弱々しい、すすり泣くようなそれにも似た声。
されど対照的に少女の背から発せられたのは、天井を大きく突き破る程に大きな漆黒の翼、否、翼にも似た破壊のエネルギーの奔流である。
通りでエルミスが急かす訳だ。こうなってしまえばジョシュアはもはや声を荒げる事をためらわずに全員へと警告。
”黒い太陽”の放つ抱擁に負けぬほどの怒号と共に、階段を駆け下り歪へと飛び込もうと。少々騒ぎ立てた所でこのノイズ。気取られる事はないだろう。
だが皆が逃げ切るまでそこで留まり、全員を逃がしきってからそこへと飛び込もうとするだろう。

『………これで、いい……』
『……嫌な、役を……任せて…しまって………』
『すまなかった……』

階上の男は、”ダグラス”は、少女の放った抱擁を見て呟くのだ。それは今まで誰にも届くことのなかった、ダグラスの本当の思惑。
虚勢を張り続けた私の人生は終わった。あとはただ瞼を閉じてそれを受け入れるのみ。太陽に抱かれ、燃えて無くなろう。
月光の聖剣をフロアへと深く突き刺し、そして両手を広げた。失血のせいか、ふらついており既に意識を失っているようだった。
ダグラスを飲み込まんと、黒翼が迫る。

54アキレス&ベティ>178と>215 ◆eZKgukyN3c:2016/09/16(金) 00:07:04 ID:???
>>52
時間いっぱいまで敵をおちょくり続け 最後に歪みの中に飛び込む

「誰にも俺は止められなぜ・・・」
―――ギィ・・・

ドヤ顔を晒すアキレスと マネしてハサミを振り上げるベティ さてここはどこなのでしょう?
ポリポリと頭を掻きながら辺りを見回す すると聞こえてくる声と ジョシュアの叫び

眼を閉じろと言われたのに 咄嗟に見てしまった 破裂音と落ちる人影

「・・・・・・」
なんと反応していいやら? 一度にやってくる超展開
なんかタェンティースがどうとか言っているようにも聞こえるが 情報が多すぎて頭の処理能力がまたパンクした

「もう何なんだよこれもうやだおうち帰るぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
まるで意味が分からない ただ黒い翼がヤバイものなのは察した ただ逃げるのみである

55ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2016/09/16(金) 00:10:14 ID:???
>>52
「んっ……ここっ……」

そのほのかに甘い薄墨色のそらの香りが鼻腔を擽れば即座として、ニアは思考よりも疾風くそこが何処か、何か、そして何時かを理解した
キツく目を閉じた所で無意だ、それは瞼の裏に焼き付いて弱く震える青い風と共に脳裏に浮かぶ
幾度となく重ねた想いはこの日この時、この場面をやり直す事を夢に見る事

「……っ、」

駆け抜ける刹那、彼の人物に手を伸ばした
彼我の合間には距離があった、それは時空を越えても尚埋められぬ物理的、そして精神的な距離が
手を繋がれたままでは船を動かすオールを漕ぐ事は出来ない
独りきりで、そう、漕ぎ、歩き出さねばならないのだ
ニアは過去を振り切り、時空の歪みへと向き直って走り出す

「……あぁ、もう……
 やっぱ無理っ!!」

……それでもニアは人間だ、何かを想い、誰かを想い、そして共に生きて行くモノ
今一度、かつ最期の機会
歪みに半ば呑み込まれながらも腕を伸ばす
無論届くはずもない、その人物との間の空間を消す事は神にすら出来やしない
ならばそれを成すのはひとだ、神の運命に従わなければ成らぬ理由など、少なくともニアにはひとつたりとも存在しない

「……タイド・メイカァーッッッッ!!」
「……あの人を……『ぱぱ』を救えっっ!!」

彼の地で終焉を迎えようとしているのは
それはニアの義理の父親である人物
見捨てる事は出来やしない、八本のタイドメイカー全てが彼を緩やかに抱き締めそして引き寄せるであろう

56ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/09/16(金) 00:10:51 ID:???
>>53
クソ、オキニだったんだぜこの服……
【ようやく静かな場所に出れた。ズタボロになったコートを脱ぎ、悪態をついて破損具合を確認】
ダメージジーンズだってここまでやらないぞ……。あいつ次会ったら○○○○食いちぎって内臓チューチュー吸い出しちゃる
【辺りを見回すと、どうやら今度こそ戦場以外に出られたようだ。深く息を吐いて煙草を咥える】

俺がどういう人間か忘れたか?そういう事言われると余計に────
【銃声。ガラスが割れる音。目の前を落ちていく人影】
【顔を出して遥か下を眺めるが、地面に衝突した様子はない。声や態度から判断するとやはり】
───忘れた方がいいんなら…まあなるべく善処しとくよ?


なんだってお前らはそうなんだ!あれやれ!やるな!やっぱやれ!……アレ?
【いい加減巻き込まれるのにもイライラしてきた。破滅的な方向に向かう前に発散させようと怒鳴りかけたところで、背後に輝く"黒い太陽"に気付く】
【理性を忘れる前に気付けたのが僥倖か。一瞬の間に思考が変わり、まだ火のついた煙草を捨てて、ドタバタと歪に向けて階段を駆け下りる】
逃げろ逃げろ!!絶対ヤバいぞアレ!!

【歪の中に飛び込む直前。振り向いた時に見えた少女が、男が否応無しに記憶に刷り込まれる】
【自分とは関係の無い因縁が生まれたのだろう。確かめる余裕は無いが】
何がしたい!俺らにこれを見せて何がしたい!!脳ミソを切り開いてでも答えさせてやるからな畜生ッ!!!
【捨て台詞を残し、歪の中へ飛び込む。今度こそ最初の病室に帰れりたいと願って】

57氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/09/16(金) 00:16:34 ID:???
>>52
今度は、地獄ではなかった。
ホテル。先ほどまでの世界たちならまず間違いなく崩壊しているホテル。
しかし――どこか既視感がある。
それを振り払って歪の中へと踏み入れようとしたとき――

聞き覚えのある、だが若い声。
自然と視線はこちらのそちらへと向けられる。
ジョシュア――キミなのか?
銃声。目を閉じる暇がなかった。
だが、音が少ない。ああ、そういうことか。
これは終わりではない。起源なのか―――

いいや、終焉だ。
何も知らないが、一つの物語が終わろうとしているのだ。
見覚えのある、だが若い姿がもう一つ。

絶叫、そして懺悔。
そして―――

「――ッ!?」

圧倒的な、破壊の濁流だ。
雷撃、だろうか?怒りを受けて異常なまでに膨張している。
彼女の顔を見る気にはなれない。ただ、走るのみだ。

その時察した。通りで見慣れているわけだ。
ここはきっと、ボクの始まりの地。
そこで起きた、一つの過去――――

絶叫で、現実へと引き戻される。

だが、何もできなかった。
引き込まれるように、歪みへと呑まれる。
ジョシュアが腕を引っ張ったのかもしれない。無意識に走り切ったのかもしれない。
仕方がない。仕方がないから、全員が無事に、此処にいることを祈った。

58アグラーヤ >>336:2016/09/16(金) 00:27:49 ID:???
>>52-53
「……悪趣味。何よこれ、誰の記憶よぉ……」

見知った光景にいつかの記憶が鮮明に喚び起こされる。頬を撫ぜるビル風があの日の感情に触れる。
ひとつの物語の幕が引かれ、同時にエピローグの幕開けとなった壇上に今立っているのはまさしく――。

「これはなぁに? 何かの選択肢? でももう私は決めたもの。選んだもの。
後悔がないって言えば嘘かもしれないけど、それでも私は……私たちの生きる今は嘘じゃないから……!」

エルミスが急かすのが見えた。走れと、促すジョシュアの怒声が聞こえた。
わかっている、この場にいてはいけない事は。この後ここで何が起きるのかアグラーヤは知っているのだから。
やり直したい。そんな感情が今まで首を擡げなかった訳ではない。あの時違う選択肢を選んでいたら、そんな詮無きことも考えなかった訳ではない。
しかしそれでも、アグラーヤは今を満足していた。自分たちが選びとった未来である今を。過去の選択をやり直して、選びとった結果を嘘にするなんて事はしたくなかった。

「……わかってるのよぉ。でもダメねぇ……こういうのって理屈じゃないものぉ」

皆が歪みに向かって走る中、アグラーヤはその場から動かなかった。それどころか自身の背中から黒翼を展開。もう一度、ダグラスを包み込む様にそれを伸ばすだろう。
狙うは最上階で暴れ狂う暴力との相殺。ダグラスを包みこもうとするモノを同じ力でもって防ごうというのだ。
無論動こうとしないアグラーヤをジョシュアが不審がって抱え上げてしまえばそのままその場を去るしかないのだが。

59第一章『記憶の欠片』:2016/09/16(金) 22:17:49 ID:???
「馬鹿野郎……ッ!お前らがそこで立ち止まってどォする!?」
「今まで見たモン、全部過去だ!過去に囚われんな、俺達は前へ進む……!」

迫る漆黒に、動けないでいる初と動かないでいるアグラーヤ。
ジョシュアは彼女らの手を取って無理矢理引き寄せれば、抱き上げて肩に担ぎ、そのままテッセラクトの中へと逃げ込むのだ。
担ぎ、駆けている最中も叱咤を忘れない。アグラーヤと初が互いに何を思ったのかは知らないが、今はこの場から立ち去らなくては。
ジョシュアは既に過去との決別が出来ていた。故に躊躇う事は無く、歴史のなりゆくままに身を任せることを選んだのだ。

されど、それでも、歴史に抗う者は居る。過去を断ち切れない者もあるのだ。

『こっちもか……やめろニア!!歴史を変えたいのか……!』

タイドメイカーをダグラスへ向かわせるニアへ詰め寄り、エルミスはその肩を思い切り掴んで止めさせようとする。
だがエネルギーの奔流は直ぐ傍まで迫り、もはやニアの行動を妨害する時間も残されていない。
仕方なくニアをテッセラクトまで引っ張り、ジョシュアの助力もあってダグラスを引きずり込むことができた、
黒雷の抱擁が過ぎ去った後、そこには墓標代わりに聖剣が突き立つのみ。
結果として見れば歴史に相違は生じていなかった。それだけが重畳といった所か、

「……もう!!」
「もう沢山だ!やってられるかよ……俺は部屋に戻るぞ!」

アキレスと共に、もうウンザリしたと叫び、ジョシュアはごろんと寝転がる。
この不思議空間にもいい加減嫌気が差してきた所だ。これはニュクスの意思なのだろうか?
それとも別の大きな存在が関わっているのだろうか、ともあれあのニュクスの様子は尋常ではない。
抱いていた二人をぱっと離し、そのまま大の字になって休憩。流石に身が持たない。
隣に倒れ込んでいるダグラスを見て、そして溜息一つ、恐れていた過去への大規模な干渉を行ってしまったと。

『………』

ミスカは先ほどから上の空で、虚像も何もない空間へと向けて手を伸ばしている。
虚空の先に何かが見えているのだろうか、それとも何か感じ取っているのだろうか。
ただ黙りこくったまま手を伸ばし、そしてやさしくなにかに触れるようにすれば、にこりと微笑んだ。
それは自嘲めいた笑み。あるはずないのに、と誰へとも向けずに呟いて、そして手を引っ込めるのだ。
手を引いたその時に、目の前に新たな虚像が現れる。ミスカは驚いたように目を丸くし、ほんの少し肩を跳ねさせてそれを見た。

60第一章『記憶の欠片』:2016/09/16(金) 22:19:28 ID:???
『……あれ…』
『…わた、し……?』

そこに移るのはミスカと瓜二つの、少しウェーブの掛かった長い橙色の髪の女性。
幼げな顔付きに小さな体躯。されど隣には夫が寄り添い、既婚者であると判る。とても幸せそうな、幸福に満ちた表情だ。
その腹部は膨らみを帯び、つまりは子を宿しているのだろう。膨らんだ腹部を簡素なドレスの上から撫で、そして囁く。

『……この子の名前、決めました……』
『私の大事な、愛しい子の名は……』

そこまで言いかけて、虚像は別のものへと切り替わった。写し出されるのは全く関連性のない映像。
どこかの森、または山岳だろうか?翼ある子供が楽しそうにじゃれ合いながら空を駆ける、そんなのどかな憧憬。

テッセラクトに飛び込む度に、写し出される虚像は過去のものへと移り変わってゆく。まるで時のスクロールを捲るかのように。
否、これは虚像ではない。過去そのものなのだ。高次存在を介し、越境者達は紛れもないこの世界の過去へと旅している。
つまりこの場所に映し出されている数多の過去は、この空間と繋がっており越境者達はそこへと干渉出来るのだ。

テッセラクトは越境の度に安定性を失っているようで、遂にはその存在の維持すら難しくなってきているようだった。
最後の越境の際には、空間自体に大きくヒビが入り、まるでそこに裂け目が出来るようにして、
薄紙に煙草を押し付けたように一瞬で空間が食い破られ、越境者達は一瞬にしてテッセラクトから放り出されていた。

「どこだここ…、はァ……森の中、か……?」
『………あ、これ……』

辺りを見回し、見慣れぬ異邦の地に戸惑うジョシュア。対してミスカとエルミスは、どこか懐かしそうに佇んでいた。
ミスカはそっと周りの木々に触れ、”彼等”と語らい、そして葉に付着した雫を額に塗って目を閉じる。
ミスカに拭われた雫は、されどまたどこから沸いたのだろう、再び葉を濡らしてその先端に集う。
この地は水と共にある。とミスカは呟いた。身体に力が溢れるのを感じる。ここは生命に満ち満ちている。
溢れんばかりの水のマナが木々や動物にも影響を及ぼし水の属性を付与させているのだろう。

『………わたしは…たぶん、ここを知っています』
『ここはエリュシオン、エスタ大陸の東岸……』
『……15年前に滅びた……”泉の渓(たに)のエリッタ”』

今まで前例のない、刻すら超えた越境。不安定なテッセラクトに導かれて過去を遡り、ようやく辿り着いた先は過去の世界。
そこは少なくとも15年以上前の魔法世界エリュシオン、ミスカの名の由来ともなった、亡国ヘルゲンの地であった。

61幕間『干渉』:2016/10/24(月) 21:07:54 ID:???
『滅びたはずの”泉の渓のエリッタ”……まさか、行ける日が来るなんて』
『………この感じ、力が……感覚が研ぎ澄まされていくような』

ニュクスの引き起こした”時を超えた越境現象”によって過去の世界へと飛ばされてきた越境者達。
ミスカの言葉を信じれば、この世界は少なくとも、自分達の過ごす世界よりも15年以上前の世界だということになる。
当のミスカは深い自然と語り合う中で異様に自らの感覚が鋭敏になっていることに首を傾げ、どこか上の空である。
目まぐるしく移り変わる状況に呆然とする一行、ようやく訪れた小休止に浸る暇もなく、ジョシュアが声を上げた。

「……休憩してるトコ悪いがお前等、ここに留まるのはマズい」
「こっちは怪我人抱えてんだ……このままじゃダグラスが死んじまう」

腹部に大きな傷を負った壮年の男、ダグラス・オズボーン・ルカ。
かつてはエリュシオンの聖王と恐れられ、ジョシュアらの代わりに大罪の一人”サイファー・シャイターン”に引導を渡すべき男であった。
自らの血で真っ赤に染まった腹部は、ミスカによって傷こそ塞がれているが、彼の身体を穿った聖剣の効力により激しく衰弱しており、
その様は息も絶え絶え、今にも死んでしまいそうな程にか細く、心許ない。

「人里目指して歩くぞ、この林道にァ馬車の痕がある」
「新しい足跡もある、そこまで遠くはないハズだ」

地面を指でなぞり、湿った土を振り払って戦闘服で指先を拭うジョシュア。
ここは湿度が高く、常に薄い霧のようなものに覆われている。大気中の魔力密度も極めて濃く、強力な魔物の類も多そうだ。
天井を完全に樹々で覆われた、まるで地下洞窟めいたトンネル状の森をダグラスを担いで歩き、越境者達を導くのであった。

62ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 21:15:27 ID:???
>>61
「はいってんですっ」
「急ぎましょ、急ぎましょっ」

折角助けた大切な義父の危機とあらばそう頷かざるを得ない
むせ返るような深緑の鼓動の中、瑞々しい空気は甘い淡墨を帯びている
そんな中にあって動揺と同じ程度の興奮を持ってして、ニアは進むのであった
幾重にも重なり合った木の葉の屋根、青い空は見る事が出来ない

63ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/10/24(月) 21:18:13 ID:???
>>61
そうかい、魔法少女ミスカさん。こっちは土地勘も何もなくて不安で押し潰されそうだ
【思春期のガキか、と一人でツッコミ、周囲を見回す】
【度重なる越境により、既にソーマタージは正確な時間の流れを感じる事は出来なくなっている。ミスカによれば、十年以上も前の世界なんだとか】
うーん、なんだか嫌な気分がする。テックが発達してない世界な気がして、胸がムカムカするぞ


つーか、そのオッサンは何だ。お前の親か?兄弟か?友達か?恋人か?
置いていくのは駄目なのか?元は死ぬはずだっただろう余所の怪我人を、本当に連れていくのか?
【ダグラスとジョシュアにチラリと冷たい目を向ける。知り合いどころか、実際にこの目で見るまで存在すら知らなかったのだ。対応も適当になる】
まぁ、助けたいなら止めはしないさ。友達の友達って事は俺の友達でもある。…多分

【力仕事には慣れている。許されるようなら、ダグラスを担ぐのを手伝うだろう】

64氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/10/24(月) 21:21:25 ID:???
>>61
「……」

時を超えた越境、聖王ダグラス。
そのような事情とは一切縁のないこの吸血鬼はこの状況をシンプルに捉えられていた。

「怪我人一人を見知らぬ世界で救え。何、単純でいつも通りの話だ。
ただ、助かる手はあるのかは知りたいところだね。治癒もそれほど効いてないのは気がかりだ。」

「助けたいなら止めはしないが、それで足手まといになるのだけは勘弁だ。
ボクもこの通りだから自分しか守れないぞ」

中途半端な長さな右腕を見せながらそんなことを言う。言っても聞かれないことは理解してるのか、強くは言わないでいる。
周囲への警戒は怠らず、暗い森を殿を務めながらに進む。

65幕間『干渉』:2016/10/24(月) 21:34:58 ID:???
>>62
「……ニア、隊長のコトだが」
「もう二度とあんなコトはするな。俺達の帰る世界が……消えちまうかもしれねェんだからな」

ニアがダグラスを救ったあの時、何か一つでも手違いが生じていれば未来に大きな変化が生じていたかもしれない。そうジョシュアは語る。
ジョシュア自身、彼らの決着を眼にした訳ではないが、結果としてダグラスはあの場から消え、墓標だけが帝東ホテルに取り残された。
本来語られるべき正史と、その結果だけが残ったことが重畳であった。捉えようによっては世界は、歴史は何一つ動いていないのだから、
ニアの介入さえ、それさえ計算されたものなのかもしれない。干渉ではなく、自然と収束されるような。
それこそが本来あるべき”世界の修正力”のカタチなのかもしれない。

>>63
『……魔女です、それに』

ぷくっと頬を膨らませて、ソーマタージに詰め寄って。
思春期のガキであることは間違いないが、彼女の感じる違和感はミスカの高揚が本来の範疇から大きくズレていることにある。
ミスカの魔力は自然に溢れた場所で増幅されるが、今回の高揚はその類にしてはあまりにも大きなモノである。
大気中を漂う魔力の霧に当てられたのか、それを知る者は誰も居ない。

『それに、私だってここに来たことはないんです』
『私の苗字の由来だってことは知ってますけど、私が生まれた時にはもう』

文字通りこの国、ヘルゲンは地図からその姿を消したのだ。ミスカですら、この場所については名前以外の殆ど一切を知らない。

「このオッサンはエリュシオンの勇者で、俺の上官で、ニアの”ぱぱ”だ」
「生き返れば信じられねェ位の戦力になるぜ」

ソーマタージの手助けは必要とはしなかった。人一人程度であれば、一人で運んだ方がやりやすいと。
故にソーマタージには周囲の警戒を頼むことにしたようだ。ジョシュアは丸腰、上はTシャツ一枚、下は戦闘服だが武器や装備の類は一切持って来てはいない。

>>64
「どこか休める場所がありゃ、そこで食事と休養を取らせる」
「俺自身聖剣に刺されたコトはある。この前入院してたのがソレだ」

ダグラスの負った傷はジョシュアがハイプリエステスから負った傷のそれと近しい。
初がジョシュアとの腕相撲の最中に見た、彼の開いた古傷、あれがまさに類似例である。
異能を砕き魔を払う。ジョシュアにとっては最も相性の悪い相手でもある。

「……”足手纏い”か」
「隊長が起きた時に、その言葉もう一度言ってみろ。すぐ判る」

ふん、と軽く笑って初の言葉を流した。口で言うより、こういう事は実際に体験した方が早いと。
もしもダグラスが助かればの話だが、彼はジョシュアを鍛え上げただけあって相応の実力は持ち併せている。

66ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 21:41:00 ID:???
>>63-64
「この人はぁっ、ニアのお父さん的な方でしてぇ……」

身振り手振りで気を失った彼を紹介するニア
ニアからすれば危険を負ってでも助ける必要がある人物らしい

>>65
「……はぁいっ」

と、口では言ってはいるもののそれが本心ではないとは簡単に見抜く事が出来るであろう
ニアからしてみれば天秤にかけるに値するいのちなのだ、彼と世界とでは
腰に帯びた月光を軽く握り、離す
周囲に対する警戒心を強く張り巡らせ、その隣を歩いて行った

67ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/10/24(月) 21:47:34 ID:???
>>65
似た様なものだろう。魔女も魔法少女も…
【ミスカの抗議には素知らぬ顔で返すのであった】

亡国ってやつか。いや違う?生まれ故郷が無くなるってのも難儀なものだな?
流石の俺も生まれた頃には家はあった。不幸自慢はお前の勝ちだ


勇者?勇者ってあの…タイツ履いてたり奇抜なカラーリングの服着たりロトの末裔だったりする、あの?
【聞き慣れない単語に眉をひそめる。何はともあれ、相当重要な人物らしい】
いろんな奴に会ってきたが、現役の勇者とはね。いやはや……

ニアのパパね……。お義父さんって呼ぶべきかな?FFNK
【一人でカラカラ笑いながらも、警戒は緩めない】
【得物の刀は無い。お見舞いに武器を持ってくる馬鹿がいるか】
【ベルトのポーチには自前のクスリやら、針やらが入っているが、結局は徒手空拳となりそうだ】

【そういった事はおくびにも出さず、軽口を続ける。正直やかましいくらいだ】
じゃあ、精々生き長らえる様に祈りの歌を歌ってやろうかね

68氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/10/24(月) 21:55:43 ID:???
>>65
「ボクらから積極的に働きかけられることはないのだね。異能に頼らず科学で解決できるような人材がいれば事態は変わりそうなものだが」

血塗れの腹部に覗く傷に既視感を抱く。
なるほど、もしもそうなら魔たる自分とも最も相性が悪い相手だ。

「ハハッ、遠慮しておくよ。ヴァンパイアなんて勇者様から見たら中ボスにすらなれないからね」

肩を竦める。どうやら、彼らは勇者様に魅せられてるらしい。
彼らほどの者が魅せられるとなると、余程の強者であることは疑いようもない。
となれば、初が考えることは一つ。
救って、軽く手合わせをしたい。
敵対は、勘弁だが。
>>66
「詳しい事情は分からなかったけど、理解はしたよ。
キミのためにも、この人を助ける必要はあるってね」

結局ダグラスが如何なる人物であるかはなんとなくでしかわからなかった。
だが、ジョシュアが、ニアが如何に彼を慕っているかは理解できた。

69幕間『干渉』:2016/10/24(月) 22:00:57 ID:???
>>ALL
『……ジョシュア、見ろ』

一行から少し離れて歩いていたエルミスが、不意に声を上げた。
俯き気味に、疲弊した身体に鞭を打って歩いていたジョシュア、エルミスの言葉を受けて初めて前を見る。
遠くの方に、霧に紛れて微かに見えるのは、何やら集落のような。近づけばそれなりの大きさの街が露わとなる。
人口は多く見積もって40人程か。この時代の孤立した集落にしては大きな集まりである、

「……ビンゴだ、里だな」
「行商の馬車も止まってやがる、運がいいな」

「俺は診療所を探す、エルミスとミスカはここに残れ」
「あー、付いて来たい奴はついて来てもいいぜ」

>>66
「……」

無言のままニアの頭に手を乗せて、それからやや乱暴に撫でる。
ニアの気持ちを知ってか知らずか、ジョシュアはそれ以上彼女に言葉を掛けることはなかった。

>>67
「不幸続きと思ってたが、初めてコトがうまく進みそうだと思わねェか?」

近づく集落を見てそう零すジョシュア。幸い街の雰囲気はそう悪くはなく、
酒と謳歌、なんて言葉とは程遠いが、住民は静かに、されど幸せに今を過ごしている。

「ソーマ、この世界の冶金技術はかなり高い。メタマテリアルも豊富だ」
「ミスカを連れて武器を仕入れて来い、エリュシオンの通貨ならミスカが多少は持ってる」

丸腰のソーマタージに、武器をいくつか仕入れてくれと頼むジョシュア。
ソーマタージ自身の持つべきものと、そしてジョシュアとダグラスの為に近接武器を何かしら。
デザインや材質、機能はお任せ。この世界はルーン技術や合金技術が高く、様々な追加効果を持った刀剣が期待できる。

>>68
「お前が実験台になるのかよ……」

共闘しろ、と言ったつもりが彼女はダグラスと殴り合う気であったらしい。
ジョシュアにとってその方法はとても勧められるようなものではなかったが、彼女が遠慮すれば胸を撫で下ろし。
起き抜けに見知らぬ吸血鬼に殴ってくれと頼まれては、ダグラスも困惑してしまうだろう。

70ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 22:05:24 ID:???
>>68
「その通りだってんですっ」

こくこくと頷きながら満面の笑み
理解を得られた事が、この五里霧中を行く様な道中の中で何よりの励ましになるのだから

>>69
「……」

無論診療所探しを共に行うつもりらしい
また、まぁこの集落内ではそこまでは危機はなさそうであるが護衛も務めるのだ
テコテコとその後を追従して歩く

71ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/10/24(月) 22:12:51 ID:???
>>66
ああ、わかったわかった。何はともあれ、大事な人間の一人というわけだな?
【身振り手振りを抑えるよう手を翳し、諌める】
そういう人間がいるのはいい事だ。心の励みになる。例えそいつが極悪人だろうが死人だろうが、そういうのがいるってのが重要なんだ

【ジョシュアとニアにとっては大切な人物の様だ。それをとやかく言うつもりは毛頭無い】


>>69
どーかね。まあステゴロする事にはならなくて済みそうだ
【ジョシュアの言葉に薄く笑い、顔を隠すかの様にコートのフードを目深に被る】
【見知らぬところに行く際には大体やる癖の一つ。効果があるかは分からない】


了解。ショッピングは好きだからな
何か欲しいものがあるなら言っておきなよ。俺のセンスは…その…かなり独特だからな
【気怠げに敬礼を返すと、ミスカの肩に手を回して半ば強引に連れて行こうとするだろう】

【取り敢えず自分用には、丈夫な大剣を一振り、予備の短剣を数本。ジョシュア達の分は、要望になるべく叶うものを選ぶだろう】
【ソーマタージに全部任せた場合?それはもうモーニングスターとか蛇腹剣とかそういうのを仕入れてくる】

72氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/10/24(月) 22:13:02 ID:???
>>69
「ボクの本質を忘れてるなジョシュア?」

初の本質はあくまでも戦闘狂の人外。強者がいると言われたら飛んできて槍を突き出す種族だ。
これでもセーブしている方ではあった。

「物事がうまく進みすぎるとそれはそれで不安だけどね。
ああ、ボクも短剣かなにかは欲しいかな。」

ソーマにちゃっかり自分用の武器も頼む初。
無視してもさほど問題はないが、不平はいうかもしれない。

「ボクは診療所の方に行くよ。人が多い方が守りやすいだろう?」

ダグラスの目覚める様を拝みたいだけなのだが。
ともあれ、ジョシュア一行についてゆく初。

73幕間『干渉』:2016/10/24(月) 22:15:05 ID:???
>>70
「ここだな……もしもォし」

ニアと共に診療所を見つけ出したジョシュア。
古びた診療所の扉をコンコンと叩いて、中から反応が帰って来るのを静かに待つ。

『はい、只今……おや』
『旅の方ですか、見ない装いだ』

出て来た男は蒼白な顔面の、おおよそ医者とは思えぬ貧相な男だ。
名をシェグムントと言い、この街の医者を10年以上勤めているのだとか。

「あァ、いきなりで悪いんだが……この男の傷を見てやってくれねェか?」
「死に掛けなんだ。魔法で塞いだが衰弱が酷い」

ニアと顔を見合わせ、それは男の覇気のない顔つきからくる不安を秘めたモノだ。
されどダグラスを男へと預ければ、ベッドへと寝かせられ診察が始まるのを待つ。

74ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 22:23:07 ID:???
>>71
「え、えぇっ」

時折ソーマタージが見せる、達観めいた物言いをする時の表情に出逢う度にニアは内心で深く唸る
多分それは彼の経験や、もしかしたら口八丁から来るモノなのかもしれないが妙な説得力を持って迫るのも事実なのだ

>>72-73
「よ、よろしくお願いしますってんですー……」

ジョシュアと氷室と共に診療所へ
小さな集落だが、これがあると言うのはこの様な外界との隔離が成されている場所というのが幸いしたのだろう
通医者など来れない様な環境が、怪我や病気の集落内での解決を余儀なくさせたのだとニアは考える
世界柄、魔法的な処置にも期待出来ると踏むのは越境者ならではの思考か

75幕間『干渉』:2016/10/24(月) 22:33:21 ID:???
>>71
『きゃ……!もう、痛いですよぉ……』

強引に肩を組まれ、バランスを崩しながらもソーマについてゆくミスカ。
こんなこともあろうかと中々の金額を持ち歩いていたようで、適当に医薬品や食料を見繕って買い取ってゆく。
民芸品とか、そういった類のモノも駄々をこねれば買ってくれる……かもしれない。

『あれと、これと、それと……あとこれも』
『すごい……こんな魔力触媒初めて……』

ミスカも中々興奮気味に、色々と用途不明の妖しいグッズを買いあさっている中、ソーマタージは自らの武器を購入、
ジョシュアはなんでもいいと継げていた為に、見事にモーニングスターを獲得するハメになるだろう。
ダグラスの得物は柄を合わせ全長150cm程の、細身の両刃剣。彼が使用していた月光の聖剣に近いものだ。

『ちょっ……ソーマさん!このモーニングスターめちゃくちゃ高いじゃないですかぁっ!!』
『うぅ……財布の中身が……懐が寒いよジョナ……』

買い物が済めば異様に軽い財布にミスカは明細(のような何か)に目を通し、異様に高い物品を発見。
何か特殊なルーンでも刻まれていたのだろうか、スッカラカンになった財布とジョナを胸に抱いてしくしくと。

>>72 >>74
「……病み上がりの隊長にあんま無茶させんなよ、初」

今にも胸がはちきれんといった表情を浮かべる初に、ジョシュアはやれやれと首を振って、
されど笑みが零れるのは、そんな特異な対戦カードを見てみたいといった好奇の気持ちもあるが故だ。
まぁ、それもこれもまずはダグラスが助かってからだと、視線をシェグムントの方へと移した。

『的確な医療処置ですね、魔法の精度もかなり高い……治療を行った方はかなりの腕利きのようだ』
『だが……妙ですねぇ、この傷はまるで……いや、間違いない』

『…ミスリルによるものだ、それも……かなり強力な祝福を受けた』
『この方は一体……一体、どなたと刃を交えたのですか?』

彼の腕前について懸念を抱いていたジョシュアであったが、傷が一瞬で聖剣によるものであると看破したのを見て、目を丸く見開く。
なるほど、ただの町医者ではないようだとジョシュアは軽く、ほんのわずかに唸る。彼を過小評価していたと。

ただダグラスの正体をここでバラしてしまえば、狂人扱いされるか大混乱を引き起こすかのどちらかであるのは明白、
故に今はダグラスの身分を隠す必要があり、適当な理由をつけて誤魔化すことにしたようだ、
助けを求めるかのように、二人の方をちらりと見遣った。

76ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2016/10/24(月) 22:40:32 ID:???
>>75
熊の指の骨の装飾付きの帽子だってよ?丁度日射しを遮るものが欲しかったんだ
【ミスカの方を、正確には彼女の持つ財布をガン見しながら。なんたる図々しさか!】

そりゃそうさ。兎に角頑丈なもの頼んだからな
【当たり前のように、むしろ「何言ってんだコイツ」と言うかの如くとぼけた態度】
これで終わりじゃないぞ。まだパシリを頼まれてる
ジョシュアはあれで良いとして……
【整備用の諸々の道具やら、氷室に頼まれた短剣やらで更に出費は嵩む。ナムアミダブツ!】


さて、楽しいお買い物は終わりだ。俺もあの勇者サマとやらの寝顔を拝見して、サインとか貰いたいんだが。宜しいかな?
【ホクホク顔で、フードの上から被った鍔の広い帽子の具合を確認すると、両手を広げて提案】

77ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 22:42:03 ID:???
>>75
「……」

重畳だ、と頭の中の何処か冷めた部分でニアは思考する事が出来ていた
それはこの医師がダグラスを、父を治療するに値する人物かを見極める為の部分である

「……不当所持の逃亡騎士の追跡だったってんですっ」

チラリと腰に帯びる剣を、鞘から少し抜き出して刀身を見せる
ならばこれの価値が分かる部類の人間なのだろうと見抜いての所作

「密命だってんですからっ、その辺はお願いしたいってんですけどっ……」

もしコレで証左を請求されればミスカに来て貰えば済むし、
だがそれ以前にミスリル痕の神性までを見抜く人間が月光を見てそんな無駄な事をするとは決して思えなかった

78氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/10/24(月) 22:42:11 ID:???
>>75
「分かってるさ。キミみたいに傷を開かせるのは止めとくよ」

それは誰が許そうときっとニアは許さないだろう。
ジョシュアは、若干戦う様を見たいようではあるようだが、彼女はきっと違うだろう。
戦うなら、全快して彼女が見ていないところでやろう。

「へえ、あのローブの奴はそんなすごい得物を持っていたのか」

完全に嘘っぱちの独り言をつぶやく。
もちろん、ローブを纏った聖剣使いなど存在していない。
だが、聖剣に刺された旅人がいるのだ。聖剣を携えた旅人だっていてもおかしくはない……かもしれない。

79幕間『干渉』:2016/10/24(月) 23:03:18 ID:???
>>76
『ウソ……もうスニフも買えない』

財布をひっくり返せば、ぽとぽとりと掌に落ちる銅貨が二枚。ミスカは唖然とそれを見詰めて。
エリュシオンでは比較的ポピュラーなおやつ(樹脂と砂糖を練り固めたガムのようなもの)すら買えなくなったことに驚きを隠せないでいる。
されどまぁ、度に必要な最低限の物資を先に確保していたことが幸いだったか、ただちに影響はない。……多分。
ちなみにソーマタージのねだった民芸品一つで、スニフは50個買える。

『あの人……助かるんでしょうか』
『いや、それより……”勇者”が越境者だったなんて……』

勇者というのは、エリュシオンの王都エリシウムにおいて、天使の血を人為的に分け与えられて生まれる戦士の総称である。
並外れた戦闘能力と魔力を持ち、長きに渡る人類と魔王との戦いに於いて、人類を滅亡から救い続けていた。
代々の勇者は選ばれたルカ家の人間のみに受け継がれていたが、13代目のダグラスは突如として失踪。

その真実は越境現象であり、越境先の世界に於いてニアを拾った、というのが大まかな事の流れである。
診療所に着けば未だに眠るダグラス、ジョシュアらがその脇に寄り添って、魘されるような彼の形相をじっと見つめているのであった。

>>77
『……これは!』
『馬鹿な……いや、まさか……』

ニアの取り出した剣に、シェグムントは眼を見開いて形相を変えた。
しがない町医者である筈の彼が、まるで月光の輝きに見えた事でもあるかのような振る舞いである。
それはともあれ、形状こそ違えど紛れもない月光を所持しているという事は、王都の使い、恐らくは暗殺者なのであろうと。

『……成程、この方は……ガブリエラ様の親衛騎士という訳か』

シェグムントの中では、ニア達は完全に王都の人間、ガブリエラの私兵である親衛騎士であるとみなされたようだ。
そうでもなければ、この剣を持っている説明が一切つかないからである。
受け入れるより下手に誤魔化せば、今度はニア達が逃亡騎士扱いされてもおかしくはない。

>>78
『ローブの逃亡騎士……はて、最近通ったあの黒ローブの男のコトか……?』
『その剣がそこにあるという事は、既に逃亡騎士は倒されたのですね』

聖剣を携えた腕利きの逃亡騎士など、まだ生きていると知れれば憲兵がたちまち駆け付ける筈だ。
されど王都から憲兵が送られてくる様子が無い以上は、ジョシュア達だけで騎士は討伐できたのであろうと。
嘘は綻びを生み、そこから真実が露呈すれば一気に情勢は悪化する。決して真実を悟られない必要があった。
今この瞬間から、ジョシュア等のこの世界での”肩書き”は王都の親衛騎士となったのであった。

//そいでは今日はこの辺でっ

80氷室初  ◆8CzRpFh86s:2016/10/24(月) 23:14:56 ID:???
>>79
「そういうことだ。なんとか逃亡騎士を倒したのはいいがこの人は深手を負ってしまってね。
ということで、改めてよろしく頼むよ」

詳しい事情はやっぱり分からないが、なんとなく話を合わせて治療を促させる。
あまり喋ればきっとボロが出るから、最低限しか話さないでいようと初は決意。

聖剣なんてものへのあこがれなど自分にはない。
そう思っていたが、どうやら違うらしい。
そんな発見をしながら、未だ眠る聖王の顔を眺める。

//お疲れ様です!

81ニア・シューペリオリティ:2016/10/24(月) 23:16:00 ID:???
>>78-79
「びっくりしましたってんですよねっ」

とは氷室に対して
逃亡騎士は聖剣を奪い、ローブでその正体を隠してこの地方に逃げ込んだのだ
それは確かにこの場を凌ぐ為にだけ生み出された虚像ではあるが、それでも説得力を持って会話の中に存在している
月光の刃を鞘に収める
きん、と澄み切った金音が響いた

「……ま、そんな訳でしてっ」

ニアは嘘をつくのを得意とはしない
だがそれと、大切な存在を護る為に演技を行うと言うのはイコールで結び付くモノでは決してないようだ

//ありがとうございました、お疲れ様でしたっ

82幕間 『ロストメモリーズ』:2016/12/05(月) 23:01:10 ID:???
2033年世界、現在――

『えーと、君たちが例の越境者だね、よろしく頼むよ』

ジョシュアと共に越境者達が過去の世界へと消えてからはや二日が経過した。
薄暗く埃臭い室内は、まるでレジスタンスやテロリストの活動拠点のような妖しげな雰囲気を醸す。
ここはボストン水道の一角に創られ、やがて閉鎖、放置されたバッテリートンネルの管理室だ。

『私の名はラウル・グッドマン。自称だが、君たち越境者の味方だよ』
『今日はよくぞ私の願いを聞き入れてくれた。いやはや、この会合の場に集まって貰って歓喜の極みだ』

ボロいパイプ椅子に腰掛けて足を組み、張り付いたような笑みを浮かべるのは今日この場に越境者らを招いた男。
自称越境者の味方、世界に安寧をもたらす者。ラウル・グッドマンこの人である。

小ぎれいなスーツにトップハット。足が悪いのだろうか、細工の施されたステッキを持ち、その先端を白い手袋を嵌めた左手で弄ぶ。
くしゃくしゃのくせ毛は粗野な印象を生むが、その身のこなしは一転して高貴なる人物のそれに近い。

『今日この場に君たちが来てくれた理由は……まぁ、一応確認しておくけど』
『この世界を揺るがそうとしている巨悪を斃す為だ。すなわち――カノッサ機関』

ステッキを天井へと振り上げれば、低い天井にたちまちステッキの先端がかつんと突き立った。

『今この丁度直上に本拠を構えるカノッサ系列の組織、HEXA――』
『表向きは民間企業だが、その裏ではシャドウカンパニー(私兵部隊)を用いて様々な世界から”遺物”を略奪している』
『その利用目的も定かではないが、私は彼らがこれを用いてある”存在”を作ろうとしているのではないかと踏んでいるんだ』

『まぁ、詳細はまた今度話すとして……今日はその意思確認、という訳だ』
『巨悪を誅す為に、君たちに協力してもらえるか……その言葉を聞きたい』

にこりとほほ笑むその瞳の奥には、何か底知れぬ者が見えるが。
されどこれまでの言葉にはひとつの嘘偽りも無い。確証たる書類も越境者達の前に並べられていた。
男の隣には従者だろうか、フードを被った一対の人影。片方は小柄で、もう片方は非常に大柄だ。

83ムガ 乳白色の鼠人 ヤソ式忍術、呪術 E.黒覆面(口元):2016/12/05(月) 23:08:58 ID:???
>>82
「……」

それらの問いに徹底して無言を貫いて腕を組んでいるのは鼠の獣人である
ムガはそれらの事情や事柄、人同士の戦の成り行きには極めて興味がなかった
ただ報酬の話が随分と出ないなと、眠そうな赤眼を細めているのである

「……報酬次第」

硬質な、キチン質の尻尾が苛立たしそうに床を跳ねる
一言だけを問い掛けて、ムガはまだ壁から背を離そうとはしていない

84幕間 『ロストメモリーズ』:2016/12/05(月) 23:16:43 ID:???
>>83
『報酬は言値で出そう、もちろんこちらにも限度はあるんだけど』

『ムガくんだっけ?さん?君は随分と優秀なようだからね……マガイモノ達も創られる訳だ』
『君の様な兵を私は今、最も欲している……情に流されない優秀な兵をね』

パイプ椅子に腰掛け、ステッキを弄びながらグッドマンは静かに微笑む。その様子はどこか楽しげでもある。
それもそうだ。グッドマンが今最も欲しているのはムガのような金払い次第で動く手駒なのだから。

越境者の雇用形態に関しては細かな拘りを持たず、善意のボランティアから傭兵までを広く募っている。
必要なのは腕前と、忠誠だ。計画を知り、この場まで来たからには降りる事はそう簡単ではない。

85ムガ 乳白色の鼠人 ヤソ式忍術、呪術 E.黒覆面(口元):2016/12/05(月) 23:22:44 ID:???
>>84
「ふーん……」

その話の矢張り多くを意図的に聞き流してきて、だが自身にとって都合の良い場所のみはそうではない
それでも瞳の光に微かな揺らぎがあったのは、今の自分がかつてよりそういった意味では弱くなっている可能性があるが故だ
多分今、仲間を人質に取られたとしたらどの様な行動を取ることが出来るのか
どうにもその答えを見出せずにいた、過去ならばこんな事はなかったのだが

「……ま、いい」
「じゃあその限度だ」

86幕間 『ロストメモリーズ』:2016/12/05(月) 23:41:26 ID:???
>>85
『買いかぶりじゃあないさ、こうして”優秀”と強調する位にはね』

大して興味らしい興味を示す事も無いムガに対し、グッドマンは変わらぬ表情で。
ムガの戦闘能力については様々な場所で耳に挟んでいたらしい。
越境者事情には精通しており、即ちムガの弱みもまたこの男は知っている……のかもしれない。

『奴らは必ず味方のカノッサにも牙を剥く……そういう連中の集まりさ』
『だから私が、私達が今ここで叩いておくんだよ、向こうさんの準備が不十分なこの段階で』
『その為にこの二人を口説いて連れて来たんだ……こっちの大きい彼は……ケーニッヒとでも呼んであげてくれ』

くい、と顎で大柄なローブの男を差して、男は寡黙だが、されど唸りのような咳払いでグッドマンを邪険に扱う。
あははと乾いた笑いと共に、グッドマンは気を取りなおして、と続け、今度は小柄なローブの方へと顎を遣る。

『こっちはアードリゲ、レディなので丁重に扱うように。あと彼女、人見知りだから声が出ないんだ』

小柄な人物の方は女性のようで、深くかぶったフードの端からさらりと髪が揺れる。
人見知りだと言われればそれに反応するように一歩下がり、靴の爪先でグッドマンのアキレス腱を蹴り抜いた。
確かに人見知りのようにも見えるが、彼女はまた別の要因でムガを避けようとしている。
「他人だから」ではなく、明らかに「ムガだから」といった様子だ。

『で、何か質問は?なければお開きにしよう』
『決行は三日後だ。プランは追って送付する。ベッドの下には隠さないように』

87ムガ 乳白色の鼠人 ヤソ式忍術、呪術 E.黒覆面(口元):2016/12/05(月) 23:53:27 ID:???
>>86
「ん? ……あぁ」

要するに先手を取って攻撃か、と噛み砕いて呑み込む
そして二人の紹介があればもちろんムガは名前を覚える事が出来ない
人の名前を覚えるのが、というより親しい仲間以外見分けることすら覚束ないのが実情なのだ

「……ないな」

小さく頷いて応じた
仔細は資料にあるし、この場で喋る事で得られる情報量は多いとは思えない
それはムガの自己解析の結果であり、おおよそ正しいと判断出来る
じゃ、と手をひらひら、その場を後にしようと

88第二章 『霊薬を求めて』:2017/01/28(土) 21:51:58 ID:???
「異種淘汰論者ァ?」

『あぁ、近頃人間、それもヘルゲンをルーツとするヘルゲン人(ヘルゲスティアン)を至上と考える連中が現れた』
『ヘルゲスティアンは体内の含有魔素(マナ)の量が他の種族と比べてかなり多いんだ。理由はよく分からないが』

ダグラスの運ばれた診療所にて、ジョシュアら越境者はあるものを手に入れる為、シェグムントと会合を開いていた。
ジョシュアの部隊の元指揮官であるダグラスの傷を癒すための霊薬の入手法である。
だが単刀直入に目的を伝えないのは彼の悪い癖である、態々遠回しに物事を説明し、直接的な物言いを嫌うのだ。
医者故の気遣いから来た職業病か、ゆえに話は大きく脱線し、この世界の背景にまで遡る。

ミスカ「それで……マナの多い種族、魔法に適応した種族である自分達こそが優れていると…そう主張しているんですね」
『ほう、ここらの情勢に詳しいようだね、ミスカさん』
ミスカ「私も……その、ヘルゲン人ですから……同じ民族として責任を感じています」

同じヘルゲン人であるミスカもまた、異種淘汰論者の話に耳を傾け聞き入っていた。
要約するとヘルゲスティアン以外は下等な生き物で、ヘルゲン人に管理されるべきであると。
この論理は大量の奴隷を生産する良い口実となるのだ。ゆえに地方の権力者から支持され、”彼ら”は声高でいられる。

『で、だ……彼を治すには霊樹の葉が必要なんだけど……その霊樹は交易品が出回っていないんだ』
『ここエスタ大陸に墜落した”天使の傷跡”…、ノザン大陸にある”悪魔の傷跡”と対をなす巨大なマナ結晶』
『その付近にしか生育しないその植物は、土地にマナの豊富なエリッタのみで採れる』
『だがその周辺には”龍鬼(ワーム)”と呼ばれる種族の里が広がっているんだ』

ようやく本題に入るが、エリッタの周囲には深い森が広がっており、その近くに巨大なマナ結晶が存在する。
エリシウムの中心に存在する”大魔力結晶”と同等の規模のものだ。大きさは全長数キロに達し、エスタのどこからでも目にすることができる。
ただ一つ大魔力結晶と異なる点として、天使の傷跡はいまだに”不安定”であり、膨大なマナとレジコン(放射線にも似たエネルギー)を放っている。
その所為で付近の生物や植生が変異を起こし、魔物と亜人の住まう宝石のように輝く森となっている。霊樹はその過程で生まれた植物である。
長い年月を掛けて放出された濃いミスト(空気中の魔素が凝固したもの)に遮断され霊樹の生息域までレジコンは届かないが、つまりそこには他の生物が存在するということ。
そこに住まうワームたちは人間と敵対関係に近い立ち位置の存在のようで、彼等との接触はあまり好ましいものではないらしい。

89第二章 『霊薬を求めて』:2017/01/28(土) 21:52:50 ID:???
「龍鬼達は人間を酷く嫌っている……先の異種淘汰論者達が龍鬼の里を焼き払ったからさ」
「本気の彼等に襲われたら人間などひとたまりもない、ワーム殺しの護符を手に入れる必要がある」

マナの濃い地区に生息するワームたちは魔術に長け、その才能だけで有ればヘルゲン人よりも遥かに魔術に適応している。
だが皮肉なことに、ワームたちは人ではない。ゆえに危険な存在として異種淘汰論者達から付け狙われることとなった。
今では滅多に人里に姿を見せず、元々長寿で生殖能力が低いという事もあってか、ミスカの時代には絶滅してしまった失われた種族である。
とはいえ個人の戦闘能力は極めて高く、魔法に対する耐性を手に入れる必要があるという事。

『レヴィ・ルビィ・ルイズという呪術師がこの里の離れに一週間ほど前から居ついている』
『呪術はマナとは正反対の”負のマナ”を扱う闇の術だ。魔法に対抗するならこれが一番』

『それに魔女がごまんといるこの大陸なら呪術を使ったって差別も排斥もされない。他の大陸とは法自体が異なるからね』
『だが彼女はなんというか……内向的でとても臆病なんだ、口説くときには気を付けてね』

「……あァ、分かった」

ジョシュアにとってその名は聞き覚えのある名だ、在る人物を思い起こして、僅かに眉を顰めた。
かつてエリュシオンにて越境者が討伐した”七つの大罪”の一角である”嫉妬のレヴィアタン”。
彼女の名こそ件の呪術師”レヴィ”そのものなのだから。

まぁここは過去のエリュシオン、どれだけ昔なのかは分からないが、間違いなくレヴィはまだジョシュア達と出会っていない。
顔を合わせたとて、いきなり襲われる事は無いだろう……多分。

90ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2017/01/28(土) 22:04:44 ID:???
「要するにぃっ……」

隅っこに座り小首を傾げていたニアは相変わらずの疑問符を隠そうともせずに唸る
ここに来てしばらくそうしていたのだが、ようやく頭の中身がその役目を果たしだしたようだ

「その呪術師の人に頼んでぇ、護符を貰ってからぁ」
「天使の傷跡って場所に行って、薬草を取ってくればいいってんですよねっ?」

ふむむ、と独り言ち二度頷く
そして立ち上がってから頬を叩いて気合を入れ直し、月光の柄を軽く握った

「そうとなれば善は急げってんですねっ」

準備はとうに済んでいる
いつでも出立は可能な模様だ

91ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2017/01/28(土) 22:05:07 ID:???
>>88-89
すまない、ヘルゲスティアンって所までしか聞いてなかった。もう一回いい?
【片手を上げ、気の抜けた軽口を叩くのはソーマタージ】
【他人の金で買ったお洒落アイテムやら武器やらに見惚れていたのだ。なんたるワガママ!】


冗談は置いといて、お使いするために別のところにお使いに行ってこいってんだろ?ゲームで慣れてる
本音を言うとクソ面倒臭いが、まあ剣と魔法の世界ならよくあるよな
【歯に衣着せぬ物言いだが、特に文句は無いらしい。妙なところで素直だ】


内向的で臆病な魔女?任せろ、そういった人間の扱いは慣れてる
【これ以上ないくらい不安な事をほざき、ニヤリと笑うソーマタージ】
【恐ろしい事に、彼自身は本当に自分がそういった相手の応対に適していると思っているのだ!】


【何の変哲も無い、ただクソ頑丈なだけの大剣をいつも着ている軍用ハーネスで固定すると、一足先に出口へ向かう】

行こうぜ?ファンタジーRPG特有のパシリに

92ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2017/01/28(土) 22:05:07 ID:???
>>88-89
「あれだろ? そのヘルゲンってのはナチ連中やザ○家みたいな選民思想拗らせた輩ってことでFA?」
―――ギィ!!

確認するように問うアキレス
ベティちゃんは長い話に飽きて謎石遊びを始めてしまっていた

と なんとミスカがそのヘルゲン人だというのだ ミスカのことをやれ○ビ家だなんだと言ってしまい

「えぇとアレだそうえぇとウンいや違うんだそのアハハハハ・・・」
何とか誤魔化そうとするアキレス

時折カチンカチンと石同士がぶつかり合う音が響く

「これでも逃げ足には自信あんだけど ちょっぱやで吶喊して世界樹の葉とやらをもぎ取ってトンズラすることは不可能なんけ?」
霊樹を別の何かと勘違いしつつ もっと直接的な手段がないのかとこれまた質問

「よくわかんないけど 美人だったら口説けばいいんですね わかります」
無駄に輝く笑顔で了承 話が終りならさっそく行動を開始しようとする

93イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/28(土) 22:19:43 ID:???
>>88-89

「………」

 この一連の冒険譚が始まってからというものイムカは沈黙を守っていた。
 過去投影で生まれ育った惑星(ワールド)が炎に包まれたやら、
 感情除去措置を受けた日のことやら、キャリアが一瞬で台無しとなる決断をした日のことやら、
 色々と過ぎったがそれは全て過去のことであり、今更思い返す必要はなし。

≪00011101010101≫

 サーボスカルに投影させているホロ・ディスプレイには、
 かき集められるだけ集めていたグリードのデータ。己の遺伝種子のデータ。
 そしてそれが、交じり合って形勢された特異な遺伝子のデータ。

(時間移動そのものは、ありふれているとは言わないが決して珍しい事象ではない。が、)

 遙か過去から未来へというパターンは【歪み航法】を用いる銀河帝国にあって、
 ワープ事故によって偶発的に起こりえる事象の一つとして記録されている。
 が、未来から過去というのは中々に珍しいパターンだ。どれだけのパラドクスが引き起こされるかという懸念も含め。

(が、ソレも些事だ。最悪、パラレルワールドの一つや二つが発生すると考えておけばいい)

 しかして、イムカ・グリムナーにとってはソレもさした問題ではなかった。
 何か、ニアが知己を救出して、現在は容態が悪いようだが、それもお人よしな連中が動くことになると予想する程度だ。

「この事象干渉…次元干渉を起こしたニュクス自身はどうなっている?」

 データを睨んで考えているのは実のところソレばかりであった。己が巻き込まれたことなどどうでもいい。
 遺伝種子の観察対象が【歪み】に近い現象を引き起こした。
 このケースはデモニック・インカーネーション(悪魔の侵攻)の引き金になりかねず、
 帝国政治将校としては、それに思考を割くのは当然であった。……決してニュクスがただ心配というだけではないと強調しておく。

【ゆえにイムカは基本、霊薬に関するブリーフィングには参加せず、黙々と手元の資料とにらめっこしていた。半ば埒があかないと自覚しながら】

94第二章 『霊薬を求めて』:2017/01/28(土) 22:36:51 ID:???
>>90
『うん、天使の傷跡の周辺……ここから真北だ』
『ここは木々に囲まれて空すら見渡せないが……北の稜線を越せばすぐに判る筈だ』
『ただし霧の方には近づかないで、大量のレジコンを浴びてしまうからね』

ニアの質問にいくつか注意事項を沿えて返す。要は北の森へとゆき、葉っぱを千切って帰る。
天使の爪痕の近くまで行くから、強力な魔物や異形に備え、あまり天使の傷跡に近づくなということである。

>>92

ミスカ「アキレス、なにその言い方……ザ○家ってなんなの……?」
『ヘルゲン人全員がそういった思想の持ち主ではないけれど……まぁ、そういった人々が少なくないのも事実だ』

じっとアキレスを睨んで詰め寄るミスカ。この2年でずいぶんと気が強くなった。

『それで構わない、ワームと戦う必要はないからね』
『ただ彼らは……その、空を飛べるんだ、翼を持っている』
『Wyrm……ウィルムと言えば異国の人にも通じるだろうか、ドラゴンに似た亜人種なんだ』
『並の逃げ足では、逃げ切る事は難しい』

>>93
「コミッサー……またそれですか」
「俺達がすべきことはニュクスの心配じゃありません、この世界から脱出する事だ」

「それに過去に戻ったなら……時間を辿っていけばきっとまた逢えますよ」
「今は隊長を……ダグラスの事を片付けましょう」

悩み続けるイムカに、ジョシュアはついに発破を掛ける。
彼女の性格であれば懸念がこれに終わる事は無いと分かってはいるのだが、ジョシュアは今彼女に思い詰めて欲しくはないのだ。
ゆえに今だけは、目の前の現実に集中を促す。

>>91
エルミス「まぁ待て、その必要はない」

出て行こうとしたソーマを呼び止めるのは、単独で行動していたエルミスだ。
HEXAがクライアントのミッションでは、毎度彼が根回しなりなんなりで越境者を助けてくれている。
それは過去の世界に飛ばされた今回も変わらず、今回はジョシュアとの友情で動いているのだ。
そんな彼の背にはなにか小さな人影がもじもじと蠢き、身を隠している。

>>ALL
エルミス「呪術師だが……連れて来たぞ」

レヴィ「ひっ……れ、れ……レヴィでしゅ……ですぅ……」
レヴィ「……よ、よろしく……お願いします……」

ひょっこりとエルミスの影から現れたレヴィは、かつて越境者らと戦ったあのレヴィの雰囲気は一切感じさせない、陰気な少女であった。
ぼさぼさの黒髪、時折上ずる声、常に引き攣った笑みを浮かべ、へこへこと頭を下げる。
人前に慣れていないのか噛みまくり、恥ずかしそうに顔を俯かせていた。

「暗ッ!?」
ミスカ「(暗ッ!?)」

「お前マジでレヴィアタンかァ!?エルミス……大丈夫かコイツ」
エルミス「……腕は確かだ」
レヴィ「れ、れヴぃあたん……?なんですかそれぇ」

ジョシュアは前回戦ったその際のイメージとあからさまにかけ離れていることに驚愕を隠せず、
また直前のマモニス戦で凶刃に倒れたミスカは聞いていたイメージと違い過ぎて驚いているようだ。
またレヴィの様子からして、まだ彼女は悪魔の力を手に入れてはいない。大罪に加入すらしていない。

まぁそんなこんなでパーティは全員集合し、ジョシュアとレヴィ、そしてアキレスら四人を含む合計6人のチームが結成された。
ミスカは進んで残る事を決意し、情報の収集に専念すると言った。今回の任務に自分は不得手だと判断したのだろう。

北の裏山を越えればすぐに遠くにそびえる天使の傷跡が見えてくるはずだ。
魔力結晶からは2km程の距離であり、エリッタの植生から見てもこの土地はマナの影響を多大に受けているようだ。

95ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2017/01/28(土) 22:46:30 ID:???
>>94
「暗っ……」
「ニアだってんですよぉ、よろしくお願いしますってんですねっ」

霧は危険だと教えられ頷いた
そして続き現れて自己紹介する少女に苦笑、ともあれ道中よろしくと握手を求めて手を伸ばした
そんなこんなでパーティを結成、いざ出陣である
ファンタジー世界ならではの美しく文字通り幻想的な光景を、ニアは好んでいる
今回もまた牧歌的でいて壮大なそれに瞳を細め、しかし目的の為に速足で進む

「あそこら辺がそうだってんですかっ?」

指差し目的地の周囲を見遣る
霧が立ち込め、その中央に座すは天の涙の魔力結晶

96イムカ・グリムナー【最善への希求】>>390:2017/01/28(土) 22:47:52 ID:???
>>94

「…了解した」

 嘆息をついて、ホロ・ディスプレイと全てクローズする。
 なお、サーボスカルはそのまま(>>92)ベティと謎石遊びを始めてしまった。何かルールとかあるのか?

【別段、非協力的になる必然もない。一応、ニアの知己のためならば協力するのはやぶさかではないのだ】

 それから例の呪術師(何とも妙な感覚だが)とご対面である。

(暗ッ!?)

 そして、印象は思いっきりジョシュアとミスカと被ってしまった。さもありなん。

【結局のところ、道中でもマルチタスクを用いて、思考の2割を別の思索に割り当てながら、
 口数も少なく、一行に黙々とついていくイムカであった。
 基本、聖務が絡んでなければ他の者の主導で任せると、一歩引くことの多い彼女ではあったが】

97ソーマタージ ◆.zilz3o6.U:2017/01/28(土) 22:48:03 ID:???
>>94
暗ッ!
【いつの間にかいた人物に制され、見てみるとどうやらアレが目当ての人物らしい】
【ジョシュアの言葉にウンウンと頷き、訝しむ様な目を向けるが、これでいいらしい】

……なんだかなぁ。ところでその…レヴィアタンってどんな感じだったの?
【バツが悪そうにジョシュアの方を向き、片眉を上げると質問】
【チラチラと魔女の方を見る。臆病と言うかコミュ障と言うか】

…食ーべちゃーうぞー!!
【唐突に両手をバッと挙げ、ベロベロバーとレヴィを威嚇!深い意味はない】

98ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2017/01/28(土) 22:57:43 ID:???
>>94
「あ・・・アハハハハハハハ・・・気にしない気にしない ちょっと愉快な4兄弟のドタバタコメディさ」
年下のミスカに詰め寄られてタジタジのアキレス君

「え なにそれワームに翼?」
ここは強引にでも話題転換である

「こんな感じ?」

スケッチブックを取り出し キュッキュとマジックで書いたのは
ミミズに蝙蝠のような羽が生え 空を自由に飛びたいなしている姿

「ドラゴン・・・」
新たな注釈が入るが ドラゴンに似た亜人と聞いて アキレスの頭に浮かんだのはボロウズだった
ボロウズに羽が生えただけならノンビリしてて逃げるのは楽だなぁと思うアキレスであった

さて そんなこんなで連れてこられた呪術師レヴィアタンであるが・・・

「暗ッ!?」
―――ギィ!?

思わず声に出てしまった ベティですら驚愕にハサミを振り上げている

「あぁいやアハハハハハハハ・・・ミステリアスな雰囲気の美人さんだなぁってアハハハハハハハ・・・」
咄嗟にごまかしに入る あの時ウザい煽りしてきたり 嫉妬心バリバリのシャウトだったりを覚えている手前 ギャップがパないことになっていた

〜そんでもって場面転換〜
「それじゃこれからどう動こうか?」
スマホのカメラ機能 そのズームを双眼鏡代わりに使いながら一行に問いかける

99第二章 『霊薬を求めて』:2017/01/28(土) 23:14:27 ID:???
>>95
レヴィ「はいぃ、エリシウムの魔力結晶はもうマナが安定化しちゃってるんでぇ……ただの石みたいなもんですけどぉ」
レヴィ「ここのは教皇さまの魔法が無いので、マナが好き放題してるんですよぉ」

はいこれ、とニアに手渡すのはマナの活動を阻害するチャームの様なもの。
これが件の護符であろう、魔法を得意とするワームの攻撃を数発なら完全に無効化してくれる。
ただし味方の魔法にも効果を及ぼすので、ミスカは活躍の場を奪われるという形となった。

>>98
「……コミッサー、この任務が終わったら休養を取ってください」
「後は俺らでなんとかするんで……一度眠るべきかと」

口数が少ないのは何時も通りにも見えるが、長い付き合いゆえかジョシュアはイムカの揺らぎを微かに察知していた。
その手に護符を握らせて、そして霊樹の奪取が終われば一度休めと休息を促した。
ニュクスの事に関しては、あまり思い詰めない方がいいと。
考えれば考える程に、予想という者は最悪の可能性を探ってしまうものだ。

>>97
「嫉妬のレヴィアタンってのはまぁその名前の通り嫉妬深いヤツでなァ」
「周りの人間の能力を自分と同じくらいまで引き下げちまうんだよ、呪術の才能は凄いが……それ以外はからっきしダメでなァ」
「未来ってか現代じゃコイツすげェテンション高かったんだけど……悪魔に取り憑かれて人が変わっちまってたってのか……バイツァ・ダストかよ」

レヴィ「ひっ……ひぃぃぃっっ!!」
レヴィ「たた助けて……食べないでぇぇぇっ!!」

声を潜めてソーマに耳打ち。彼女がいまだ手にしていないレヴィアタンの能力を告げる。
ソーマの威嚇にマジビビり、ジョシュアの証言とは食い違う程の臆病ぶりだ。
命乞いとばかりに護符を差し出してジョシュアの背に隠れた。

>>98
「ま、とりあえずは傷跡目指して直進、世界樹引っこ抜いたらすぐに帰るぞ」

「そういやお前アキレス……ワームのコト虫だと思ってたのか?」
「俺と同じだな……エリュシオンのワームは神話のワームの意味に近いみてェだな」
「ウィルムって最初から言えばいいのによ……」

アキレスに護符を投げ渡し、腕を組んで思案。
英語圏ではワームと聞けばまず龍ではなく虫を想像するものだ。今回もそうである。

>>ALL
「うし、護符は配り終わったな……そろそろ奴らのテリトリーに入る。お前等、気ィ引き締めろ」

【護符によって闇のマナが周囲に発生】
【呪術は強化されるが、あらゆる魔法の発動が阻害されてしまう】

100ニア・シューペリオリティE.月光.空色スカーフ:2017/01/28(土) 23:20:49 ID:???
>>99
「なるほどっ」
「じゃあっ、教皇様ってのは魔力を安定させるお仕事をしてるってんですかねぇっ」

なんとなく理解出来る様になったのは、幾分か魔法魔力に対する知識が増えたからであろう
越境の旅路の中で数多くの魔導師達と出逢い、数多くの魔法世界を渡ったのだから当然の事と言える
護符を受け取りベルトにぶら下げた
そこを中心に不可視の闇の魔法力が広がり、薄いヴェールめいてニアの周囲を満たして覆う

「はぁいっ、気を付けましょうねっ」

細く青白く燐光を発するタイドメイカーを1本展開
マウト・フトゥーロの宿るそれは第3の目となり周囲を索敵して進む


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