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クロノブレーク☆臨時レス置き場

1名無しさん:2014/03/31(月) 01:00:27
【タイムトラベルファンタジー・クロノブレーク】
神々が当たり前のように地上を闊歩していた時代、ガイア紀。(BC.99997000)
高度な魔術で繁栄が築かれていた時代、ギャグファンタジア王国期。(BC.12000)
魔と現が分断して別れ、それぞれに発展を遂げてゆくダブルスピラ期。(AD.1999)
悠久の時を経た歴史が、再び幻想や神秘と邂逅するレヴァリアース期。(AD.2015)
遥かなる未来、全知全能の機械が世界の全てを支配するユビキタス期。(AD.4000)
時を駆ける力で五つの時代を駆け巡り、世界の滅亡を救え!

……まで思いついた

32チャコ ◆uMJFatUpYM:2014/06/13(金) 00:53:53
ダゴンから授かったカードで人魚となって楽々と泳いで炎の神殿に到着。
神殿内に入った瞬間、尋常ではない熱気が二人を襲う。
ダゴンから貰ったウォーターガンを構えながら奥へと進む。
炎のクリスタルに近づくにつれて、チャコは異常な空間の歪みを感じる。
その歪みの中心にいたのは……一人の少年。
否、少年の姿をした《ウィルス》だった。

「認めない……こんな未来認めない!」

「予言書で見た事があるぞ、お前は確か……」

どこからともなく現れた師匠が言葉を継ぐ。
これは巫女の認定試験、師匠は“はじめてのお使い”方式でずっと見守っていたのであろう。

「《クロノウィルス》……”選ばれなかった未来”からの使者にゃ。
今回は二人だけで、と思っていたがそんな事を言っている場合ではなくにゃった
ここはぼくちんに任せて……と格好よく言いたいところにゃが正直一人では勝てる保証はにゃい。
二人とも力を貸してにゃ!」

「無駄だ……喰らえ、闇黒盆踊り!」

クロノウィルスは名状し難きダンスを踊る。
狂気的な踊りによって相手の気を吸い取るという恐るべき精神攻撃だ!

33チホ ◆WiN7G5G9lU:2014/06/13(金) 20:37:04
>「《クロノウィルス》……”選ばれなかった未 来”からの使者にゃ。
今回は二人だけで、と思っていたがそんな事を言っている場合ではなくにゃった
ここはぼくちんに任せて……と格好よく言いたいところにゃが正直一人では勝てる保証はにゃい。
二人とも力を貸してにゃ!」

>「無駄だ……喰らえ、闇黒盆踊り!」

「きゃああ!」
チホは逃げ出した。
逃げ出して神殿のキッチンのテーブルの下に隠れた。
チホはあんなに恐ろしい盆踊りを見たことがない。
妬みや恨みの情報が炎となって溢れてる気がした。

「変な踊りやめて!嫌がらせもしないで!
あなたはみんなと一緒に仲良くできないの!?」
チホは叫ぶ。
その刹那、チホの隠れているテーブルの下からタッパーが
少年の足元へと滑るように飛び出した。

「食べて!」
それは焼きナメコのお弁当。
とっておきのレアナメコを焼いて一晩おいたものだった。
チホの予定ではレアナメコを食べた少年は
「こんな美味しいもののある世界は壊せないや」
と、よいこになる予定。
さっそく少年は、踊りをやめて焼きナメコを食べている。

そして……

「……あ、ああああ!」
突然うずくまる。

「ちょ、ちょっと、どうしたの?美味し過ぎて泣いてるの?
それならもうイタズラはやめてよね。
今ある世界が壊されちゃったら焼きナメコも食べれなくなっちゃうんだから!」

――――――

かつて、子どもたちに猛威をふるったクロノウィルス。
それは「選ばれなかった未来」の子どもたちにたいしての怨念か、
予想外の未来を生み出した子どもたちへの反逆だ。
だがしかし、それと共生を果たしたのが黒野鳥芽という少年だった。
彼は運命の歯車から逃れ一つの独立した超人と化したのだろう。
そして現世界は古の昔、ラボス(ミラー)博士の手によって開発されたクリスタル装置の力で調和を保っていた。
だがそれも限界のようだ。
再び溢れだした人々の夢(未来への欲望)が世界を変えようとしているのだ。

34チャコ ◆uMJFatUpYM:2014/06/18(水) 02:43:39
>「変な踊りやめて!嫌がらせもしないで!
あなたはみんなと一緒に仲良くできないの!?」

「無駄じゃ、チホ! そやつは《ウィルス》、人間の姿を取っているだけ……!」

健気なチホの姿に心を痛めながらも無駄だと諭すチャコだったが……

>「食べて!」

なんと、少年の姿をしたウィルスは焼きナメコを食べ始めた。

>「……あ、ああああ!」
>「ちょ、ちょっと、どうしたの?美味し過ぎて泣いてるの?
それならもうイタズラはやめてよね。
今ある世界が壊されちゃったら焼きナメコも食べれなくなっちゃうんだから!」

師匠が驚きの声をあげる。

「そんなはずは……! 人間としての記憶が甦っている……!?」

「そんな……そんな事があるのか!?」

「絶対に無いとされていたが現に起こっているのにゃ……!」

《ウィルス》の正体とは、ここではないどこかの世界線《黒ノ歴史》で生きたはずの人間やまたは人間以外の生物の情報だ。
選ばれなかった世界線からやって来る彼らの目的は、世界線の争奪。
世界線理論――それは、可能性の数だけ世界線は存在するが、選ばれる世界線は常に一つだけというもの。
《ウィルス》が引き起こす世界の歪み、それはまだ見ぬ可能性に向かって世界を変えようとする力だったのだ。

35チャコ ◆uMJFatUpYM:2014/06/18(水) 02:44:14
「だけど……そうなったら今の世界は正史では無くなると言う事。
妾もチホも師匠も消えてしまうかもしれないではないか!」

「世界線の振れ幅が大きければ……そういう事もありえるにゃ」

「妾は……そんなのは嫌じゃ……」

俯くチャコ。それに、ウィルスの姿をした少年が声をかける。

「よく分かるよ。それは僕達が自分の世界を奪還しようとする気持ちと一緒だから……。
さあ、正史を賭けて戦おう。それしか方法は無いんだ……!」

「お主はそれで良いのか? 本当にそれしか方法は無いのか……!?」

彼は“存在しないはずの世界”で生きたはずの”存在しないはずの記憶”を思い出したのだ。
それは、存在しないはずの世界線は現時点で使用されていないだけで
確かにどこかに存在しているという事を意味しているのではないか。

「なあ師匠……あらゆる可能性が並行して同時に存在しても別に良くは無いか?」

「つまり……世界線理論宇宙から並行世界理論宇宙への組み換えということかにゃ……!」

師匠は暫し考える。
限界を迎えつつあるクリスタル装置の真の目的――
今このタイミングで人間としての記憶を持つウィルスが現れたという事。
それらを繋ぎ合わせて、結論を導き出す。

「そうだにゃ。もしかしたら……正史を奪い合わなくていい世界に出来るかもしれにゃい」

「師匠……!」

「それには記憶を持つウィルスであるクロノウィルス――
いや、クロノ君! 君の協力が必要にゃ!」

36チホ ◆WiN7G5G9lU:2014/06/23(月) 00:05:05
>「それには記憶を持つウィルスであるクロノウィルス――いや、クロノ君! 君の協力が必要にゃ!」

「……おれの?」
師匠をねめつける黒野の瞳にはまだ疑心が宿っている。
それを察した師匠は武器を捨て彼と対話することにした。
チホも恐る恐るテーブルの下から出てくる。
言ってみれば、今まで黒野は、われをわすれるほどの悪夢のような世界で
黒の歴史を体験してきたのだ。
クリスタルの加護を受け、お花畑の世界に生きてきたチホたちの行動を怪しく思うのも無理はない。

「……まさか、罠じゃねぇだろうな?」と黒野。

「んにゃ。罠も何もお互いが得をするというだけの話にゃ。
ぶっちゃけ僕たちが守りたいのは世界の平和。
今、命がけでダゴンが光のクリスタルを守っているのもそういうことにゃ」

「……そうか。わかった」
黒野から怒りの色が消える。
彼等は一時的に休戦することにして計画を進めることにした。
それは黒い夢から世界を守るということ。
程なくして雨も上がり、一同は光の神殿へ。
そして、そこでチホは目を疑うことになる。
なんとクリスタルの下には干からびてミイラになったダゴン。
どうやら彼は魔力を使い果たしてしまったらしい。
ダゴンは最後に、師匠たちの姿を見て微笑んで崩れ去ってゆく。

「……ありがとうにゃ。君のことは忘れないにゃ」

ダゴンの情報が師匠たちに流れ込んでゆく。
チホたちは水属性のアプリをマスターした。

「……で、おれは何をすりゃいいんだ?」
黒野は光のクリスタルを無表情で仰ぎ見ている。
彼の記憶の中には確かに世界が存在する。
正史になれなかった未来。黒の歴史。
無限の可能性。無限の情報量を黒野は少なからず内包している。
だがその黒野の知覚していない世界のほとんどは未だに混沌としている未開の情報のはず。

師匠は語る。

「クリスタルが今までやってきた黒歴史の排除だけでは、クロノウィルスを消すことはできなかったにゃ。
それどころかますますウィルスを生み出してしまうことを僕たちは知ったにゃ。
だからチャコの言った通りに並行宇宙に黒の歴史の完全版を創造して
黒の歴史に自己満足してもらうのにゃ……。
そう。そのトリガーとなるのが黒野鳥芽。……君なのにゃ」

チホは黙って聞いていた。
その時だった。光のクリスタルから放たれる光線に師匠が撥ね飛ばされる。

37チホ ◆WiN7G5G9lU:2014/06/23(月) 00:06:58
「師匠!!」
チホは心配して叫ぶも、クリスタルの異変に足がすくんで動けなかった。
クリスタルからは美しくすんだ声が響き渡る。

「巫女見習いたちよ。よくよく考えてごらんなさい。
例えば私が並行宇宙を造り上げ、そこで黒の歴史の存在を認めたとしましょう。
ですがそこは私の造り上げたミラー(鏡)世界となるだけなのです。
そうなると、きっと黒の歴史は「どちらが正史か?」などと言い出し同じ悪行を再び繰り返すに違いありません。
否、並行宇宙と形を成した黒の歴史は覇権主義をますます増長させ
今よりもこの世界を危うい状態へと誘うことでしょう。
故に私は黒の歴史の存在そのものを許すことはできないのです」

クリスタルは輝きをましてゆく。
その一方で黒野は呆れ顔。

「けっ、クリスタルに管理されてる以上、いくら隔離しようとしても結局は互いに影響はうけちまうってことかよ?
それならオメーが一番要らねぇんじゃねぇか!?なあっ!光のクリスタルよぉ!!」

跳躍する黒野。
黒の歴史。産業革命。
それは鉄と炎の時代の顕現。

「じかにぶちこんでやる!――メルトダウン!!」

黒野の灼熱の拳が、まさにクリスタルに打ちこまれんとしたその刹那。

「ぐっ……」
師匠がクリスタルの盾となりその腹部に黒野の拳をめり込ませていた。

「きゃあああ!!」

「……グランドマスター(師匠)。どうやら正気を取り戻してくれたようですね。
この世界に並行宇宙を創造することなど、私は許しません。
さあ、今すぐその異端者を抹殺するのです」

「違うにゃクリスタル……。
僕があなたにお願いしたいことは違うにゃよ。
あの黒野という少年を…、もっと理解して欲しいにゃ……」

黒野は意思をもつクロノウィルス。
黒い歴史から生まれるクロノウィルスはそれぞれが黒い夢をもっている。
それならいっそこの世界に限りなく近い世界に彼らを存在させてあげたらよいのでは?

「クロノウィルスたちに生と名前を与えて、
この世界で一緒に夢をみさせてあげて欲しいにゃ。
個人、という並行世界の中ではクロノウィルスも暴走することはないはずにゃ」

師匠は輝きながら透明となり粒子となって消えかけている。

「……チャコ。並行宇宙の概念を発見したのは君にゃ。
これも君の、今までの勉強と努力の賜物にゃね。
だからもう、君は巫女合格にゃよ。
あとはこの世界を守り続け、チホのことも導いてほしいのにゃ……」
師匠は光の粒子となってチャコに降り注いだ。
チャコは、グランドマスターのアプリを覚えた。

そして神殿にはしばらく沈黙が落ちる。
チホには師匠の消えたことが信じられず、まるで悪夢をみているかのようだった。
だが無情にも、現実は情報となり、チホはそれを体験してゆくことになる。

「…………わかりました。グランドマスター。
それでは黒野鳥芽。あなたの情報を私に下さい。
そうすれば私は、黒の歴史をあなたのように意思をもった存在へと変換することが出来ます。
これで膨張し続ける黒の歴史を、私たちはある程度コントロールできるようになることでしょう」

38チャコ ◆uMJFatUpYM:2014/06/30(月) 21:14:57
「師匠……! 妾は一生見習いでも構わぬ! だから消えるな!
師匠ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

師匠の死を目の当たりにし、絶叫するチャコ。
チャコに、光の粒が降り注ぐ。

>「……チャコ。並行宇宙の概念を発見したのは君にゃ。
これも君の、今までの勉強と努力の賜物にゃね。
だからもう、君は巫女合格にゃよ。
あとはこの世界を守り続け、チホのことも導いてほしいのにゃ……」

チャコは、師匠の知識や技能の全てが自分に受け継がれたのを感じた。
すなわち、アプリ《グランドマスター》の入手。
そして、師匠の死は決して無駄ではなかった。
彼の献身が奇蹟を起こした――クリスタルの心を動かしたのだ。

>「…………わかりました。グランドマスター。
それでは黒野鳥芽。あなたの情報を私に下さい。
そうすれば私は、黒の歴史をあなたのように意思をもった存在へと変換することが出来ます。
これで膨張し続ける黒の歴史を、私たちはある程度コントロールできるようになることでしょう」

師匠に手を下す形となった黒野に複雑な想いが無いと言えば嘘になる。
しかし、師匠の死を無駄にするわけにはいかない。その一心でチャコは黒野に頭を下げる。

「黒野殿、頼む……! 協力してくれ!」

「分かった、信じて……いいんだな?」

黒野鳥芽は進み出て、そっとクリスタルに触れる。
その瞬間、凄まじい光の奔流が迸り、チャコ達の意識は一端途絶える。

39チャコ ◆uMJFatUpYM:2014/06/30(月) 21:16:09
人の認識を越えた形而上領域にて――
クリスタルの女神によって数多の黒の歴史が独立した個人として形作られていく。

『フハハハハッ! この時を待っていたぞ、クリスタルの女神……!』

『貴様は……ッ!』

『決して忘れてはおらぬぞ、貴様に敗北を喫し世界線の空隙に封印された屈辱を……ッ!
今度こそ全てを虚無に帰し究極の安寧を!!』

『させません!』

『偽善者め! 貴様がやった事は不要な苦しみを作り出したのみ……!
その証拠に……誰も心の奥底では存在の継続など望んではおらぬ!
滅びに抗う者など……』

――ギンッ!
放たれた絶対の破壊が何者かの意思によって拒まれた。

『な、に……ッ!?』

――時間も空間も認識できない、一面の漆黒のようにも純白のようにも感じられる世界にて、チャコ達は目を覚ます。

『迂闊でした、世界法則の組み換えで、遥か古に封印したはずの者が目覚めてしまった……。
彼の者の正体は無への衝動そのもの……。
もう頼れるのはあなた達しかいないのです、どうか、お願い……!』

『ククク……人の身で我に抗おうとは面白き奴らだ、その勇気に敬意を表して少し相手をしてやるとしようか!』

チャコ達の前に、次第に巨大な何かが姿を現してくる。
現れたのは、その身で環状を形作る大蛇――世界喰らいの蛇”ウロボロス”!
蛇は環状を解き、まず小手調べとばかりに、巨大な尾で薙ぎ払ってきた!

40チホ ◆WiN7G5G9lU:2014/06/30(月) 22:54:49
世界は消えた。
そこで始まったのはバトル。

――これも誰かの夢。

チホはめまいがした。
チホは一輪の花に世界を感じていたかった。
何気ない日常を描いて生きてゆく。
それは素晴らしいことと今は思う。

ふりおろされる化け物の尻尾に木っ端微塵に砕かれる黒野。
チホは観念した。
そして泣きながら目を閉じて化け物に潰された。

41チホ ◆WiN7G5G9lU:2014/07/02(水) 20:45:04
【40のレスは取り消します】

――ウロボロス。
神様気取りの化け物は世界を無にすると言う。
だが黒野はその尾っぽの攻撃をいともかんたんに受け止めた。

「くけけ、かっこつけてんじゃねぇよウロボロス。
おめぇも誰かの夢なんだろ?
俺が推理するには現実を受け入れられねぇような弱虫が、
自分を認めなかった世界を無にかえてやるなんて、
そんな自殺願望丸出しな奴等の夢の集合体。
それがおめぇだウロボロス」

ウロボロスはしばらく沈黙。

「それは、見事に安易な考えだぞ黒野鳥芽」

尻尾は重さをまして黒野を押し潰す。
それを見て震えるチホ。
ウロボロスは盛大なため息のあとこう続ける。

「たしかに神は人が生んだ情報だ。自分の都合の良いようにな…」

そしてどこからともなく現れる人々。

「さあ!皆で力をひとつに!」

「ぼくの力をあなたにあげるよ!」

「○△□○×じゃね!?」

人々の気持ちがチホにエネルギーを与える。

「……な、なにこれ?」とチホ。

「さあ、光の巫女チホよ。世界を救うのです!」とキャストたち。

「わ、わたしのことを……ば、ばかにしてるの?
おこさまだからって……」

チホはうつむいてぽつり。

「……わかった。これってチャコちゃんの夢ね。
わたしのことを導けって、師匠に言われたから」

その場の空気は凍りついたかのように張りつめていた。

42チャコ ◆uMJFatUpYM:2014/07/05(土) 01:30:33
「チホ、受け取れ!《エナジーリンク》!」

チャコはグランドマスターのアプリを使用。
それはたくさんの人を力を一人に集める事の出来る技だ。

>「さあ、光の巫女チホよ。世界を救うのです!」

しかし、チホは戸惑って戦う様子を見せない。

>「わ、わたしのことを……ば、ばかにしてるの?
おこさまだからって……」

「チホ、こんな時に何を言っておる!? 世界の存続がかかっておるのじゃぞ!?」

>「……わかった。これってチャコちゃんの夢ね。
わたしのことを導けって、師匠に言われたから」

「な、何を……?」

チャコは思う。何故チホはこんなにも悲しそうなのか?
目の前では、ウロボロスが火炎のブレスを吐こうとしていた。
目の前に火炎が迫る。その時、師匠の姿が見えた気がした。

『思い出すにゃ。チホが本当に望む事……。
世界を救ってスーパーヒロインになる事じゃにゃい。
何気ない日常を平和に暮らしたい、ただそれだけなのにゃ……』

(チホ、あの時妾は嘘を言ったのかもしれぬ。
妾が巫女を目指したのはスーパーヒロインになりたかったからなのかもしれぬな……)

華麗な衣装を身に纏い、神秘の力を使いこなし、世界を蝕む”悪”を討つ。
そんなイメージに憧れがなかったといったら嘘になる。
チホも一応巫女見習いだが、いつもなんだかんだと言って敵と真面目に敵と戦っているのを見た事が無い。
それは単なるヘタレややる気無しではなく戦わない事を貫く一つの信念だったのではないか。
戦いでは何も解決しない、それを身を持って体現していたのではないか……。
再び時が流れ出す。チャコは両手を広げて、全てを受け入れた。

43チャコ ◆uMJFatUpYM:2014/07/05(土) 01:31:04
「……何のつもりだ!?」

「これでいいのじゃ。何故なら……お前は戦いで物事を解決しようとする心の具現化!」

炎が全身を包むが、何の痛みも熱さも無い。もはやウロボロスの攻撃は意味を成さなかった。
世界は善と悪などという単純な物では無かった。
悪とされていたウィルスは、生まれる事が出来なかった者達の意志だった。
誰もがウィルスを倒す事は正義だと信じていたが、戦いは次なる戦いを生むだけだった。
正体を見破られたウロボロスが消えていく。
気付けばチャコ達は元の世界――クリスタルの前に戻っていた。
クリスタルが厳かに言葉を放つ。

『よくぞ最後の試練を乗り越えました。
戦いでは何も解決しない、それどころか新たな悲しみを生むだけ。
その事に気付けたのならあなた達はきっと大丈夫……』

クリスタルが砕け散り、世界に光の粒となって降り注ぐ。

「見るのじゃチホ、新しい世界が始まる……」

44チホ ◆WiN7G5G9lU:2014/07/05(土) 10:01:33
>「見るのじゃチホ、新しい世界が始まる……」

「ありがとう…。チャコちゃん」
和平というチホの夢は叶い、
その代償としてチャコはヒロインになるという夢を諦めた。
それは悲しいこと。
でもチホはチャコと一生の友達。
夢描くヒロインに、チャコはなれなかったけれど
チャコの隣でチホは、ずっと夢のお話を聞き続けるのだ。
ある時には三流霊能力者。
またある時には未来の歌姫。
またまたある時には幻想世界の可愛い妖精。
色々な世界のチャコをチホは見守り続ける。
そう、それがチホのありがとうの証。

【ありがとうございました】


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