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クロノブレーク☆臨時レス置き場
37
:
チホ
◆WiN7G5G9lU
:2014/06/23(月) 00:06:58
「師匠!!」
チホは心配して叫ぶも、クリスタルの異変に足がすくんで動けなかった。
クリスタルからは美しくすんだ声が響き渡る。
「巫女見習いたちよ。よくよく考えてごらんなさい。
例えば私が並行宇宙を造り上げ、そこで黒の歴史の存在を認めたとしましょう。
ですがそこは私の造り上げたミラー(鏡)世界となるだけなのです。
そうなると、きっと黒の歴史は「どちらが正史か?」などと言い出し同じ悪行を再び繰り返すに違いありません。
否、並行宇宙と形を成した黒の歴史は覇権主義をますます増長させ
今よりもこの世界を危うい状態へと誘うことでしょう。
故に私は黒の歴史の存在そのものを許すことはできないのです」
クリスタルは輝きをましてゆく。
その一方で黒野は呆れ顔。
「けっ、クリスタルに管理されてる以上、いくら隔離しようとしても結局は互いに影響はうけちまうってことかよ?
それならオメーが一番要らねぇんじゃねぇか!?なあっ!光のクリスタルよぉ!!」
跳躍する黒野。
黒の歴史。産業革命。
それは鉄と炎の時代の顕現。
「じかにぶちこんでやる!――メルトダウン!!」
黒野の灼熱の拳が、まさにクリスタルに打ちこまれんとしたその刹那。
「ぐっ……」
師匠がクリスタルの盾となりその腹部に黒野の拳をめり込ませていた。
「きゃあああ!!」
「……グランドマスター(師匠)。どうやら正気を取り戻してくれたようですね。
この世界に並行宇宙を創造することなど、私は許しません。
さあ、今すぐその異端者を抹殺するのです」
「違うにゃクリスタル……。
僕があなたにお願いしたいことは違うにゃよ。
あの黒野という少年を…、もっと理解して欲しいにゃ……」
黒野は意思をもつクロノウィルス。
黒い歴史から生まれるクロノウィルスはそれぞれが黒い夢をもっている。
それならいっそこの世界に限りなく近い世界に彼らを存在させてあげたらよいのでは?
「クロノウィルスたちに生と名前を与えて、
この世界で一緒に夢をみさせてあげて欲しいにゃ。
個人、という並行世界の中ではクロノウィルスも暴走することはないはずにゃ」
師匠は輝きながら透明となり粒子となって消えかけている。
「……チャコ。並行宇宙の概念を発見したのは君にゃ。
これも君の、今までの勉強と努力の賜物にゃね。
だからもう、君は巫女合格にゃよ。
あとはこの世界を守り続け、チホのことも導いてほしいのにゃ……」
師匠は光の粒子となってチャコに降り注いだ。
チャコは、グランドマスターのアプリを覚えた。
そして神殿にはしばらく沈黙が落ちる。
チホには師匠の消えたことが信じられず、まるで悪夢をみているかのようだった。
だが無情にも、現実は情報となり、チホはそれを体験してゆくことになる。
「…………わかりました。グランドマスター。
それでは黒野鳥芽。あなたの情報を私に下さい。
そうすれば私は、黒の歴史をあなたのように意思をもった存在へと変換することが出来ます。
これで膨張し続ける黒の歴史を、私たちはある程度コントロールできるようになることでしょう」
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