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瑞鶴「えっ……翔鶴姉の好きな男性のタイプ?」

20名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/05/30(火) 01:22:09 ID:A1MfhEx2
いいゾ〜これ
でも最後ちょっと病んだそうですね…

21名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/05/30(火) 20:06:58 ID:uJLB32xY
ーふと気付くと、目の前の瑞鶴が項垂れていた。ついつい話し込んでしまったか、それが嫌みったらしいのろけ話に聞こえたか。また、瑞鶴を困らせてしまったようだ。
あれは…ホワイトデーの時だったか。あの時もそうだった。瑞鶴のただ一人の姉妹である、姉の翔鶴へのお返しを相談した時。ついつい翔鶴に貰った手作りチョコの精巧さを嬉々として話した時。うつむいた頭に気付いた次の瞬間、頬を叩かれて逃げられたんだったな。
…瑞鶴のことを、一番聞きたかった君のことを、聞きそびれたまま。

『瑞鶴?すまないな、ついこっちばかり話してしまって。ごめんな、ずいかー』

罪悪感で、心臓が軋む。
目尻に溜まった涙、赤く充血した目、震える肩。下唇を噛みしめてなにかを堪える様は、俯いてもはっきりと分かった。
自分の軽率さを悔やむどころの話ではない。惚れた女を泣かせた罪とは、男としての尊厳を、己の命を以てしてもなお償えない、あまりにも重いものだ。こっちまで泣きたくなる。
このままではいけない。何か言わなくてはと、償いの言葉を頭の中で選ぼうとしたその時、彼女は急に頭を上げ

ーううん!よかった!提督さんも幸せなんだね!奥さんとも仲がいいみたいだし!あの子があんなに女の子と遊ぶの、見たことないもん!気づかいのできる、優しい娘さんだね!うん!

捲し立てるように、誤魔化すように言った。
知ってるよ。君は何かを隠そうとするとき、そうやって早口になる。俯いて涙を堪え唇を噛み締めたその後ろに、どんな想いが蠢いていたのか。それを推し量ると、実に自分に都合のいい結論しか出ない。そんな自分が嫌になる。

22名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/05/30(火) 20:09:25 ID:uJLB32xY
自分は何を言ってるんだろう。自分は何をしているんだろう。口早に何かを言ったが、その内容は実に薄っぺらい、当たり障りのない内容。自分の浅ましさだけが、惨めさだけが露呈した。
分かっている。認めたくないのだ。貴方の側に、自分以外の女性が、あまつさえ私が一番欲しかった、彼との子供と家庭を築いている現実を。貴方が好きだと初めて気付いた時から夢にまで見たその光景が、そのまま叶っている事実を。そこに自分だけ居場所がないことを認め

ーおかあさんどうしたの!?こいつになにかやられたの!!!?

妄想はそこでおわった。私の前に立ち、提督さんを子犬のように睨み威嚇する、私の息子。私の様子に気付き、提督さんから守ろうとしているのは容易に想像できた。今朝、一緒に仮面ライダー見てきたばっかりだもんね。私と違って正義感のある、強い子になったものだ。

ーだれかをなかせたら、ごめんなさいするって、ママもいってたよ!パパもあやまらなきゃ!

そうやって娘にせかされ、苦笑いしながら私に頭を下げる提督さん。羨ましい。あんな娘を、そんな提督さんを、手に入れた見知らぬ女が。そこには私が、いたはずなのに。

ー長話してごめんな。久し振りに会えてよかったよ。それじゃあ、また。

だめ。いかないで。

これで離れたら、また貴方を喪う。

今まで探してた、提督さんを。

一緒に幸せになりたかった、大好きな人を。

そんな辛い想いは、もう、いやだ。

『ねぇ!また…会えない?』

23名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/05/30(火) 20:11:04 ID:uJLB32xY
筆が遅くてすみません。
こんなペースと内容でいいならちまちま頑張ります。

24名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/05/30(火) 20:12:07 ID:XDRMAbsA
いいゾ〜これ
次回もお待ちしてます!

25名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/05/30(火) 20:15:56 ID:EZoeHjVY
体に気を付けて自分のペースで毎晩投稿しろ

26名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/05/30(火) 20:17:39 ID:gTj0FlE.
好評、絶賛!次回もお願いします

27名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/05/30(火) 23:39:06 ID:743uI.j6
なんでここまでこじらせるんだよ

28名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/01(木) 00:15:49 ID:DuUHom.I
ねぇまだー?(せっかち)

29名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/01(木) 02:50:25 ID:qeJnEKNw
嬉しかったと言えば、嘘になる。また再び、恋い焦がれた君と時間を共にできるから。
嬉しくないと言えば、嘘になる。その逢瀬は間違いなく、皆の言う「浮気」だから。

瑞鶴のとっさの言葉を聞いた時の気持ちは、そんな矛盾の中にあった。彼女を泣かせた居たたまれなさと、これ以上近付いてはならないという理性から立ち去ろうとした。その時に出た一言は、包み隠さぬ本心だったのだろう。
しかしここで首を縦には振れない。振ってはいけない。瑞鶴には家庭があり、私には家庭がある。その甘い誘いに乗れば、私だけでなく彼女までもが奈落の底に墜ちることは明白だ。本当に瑞鶴のことを「愛している」のであれば、厳しく無視することが最善なのだ。そう自分に、何度も何度も言い聞かせる。
何より今私を見上げる娘の存在が、かろうじて天秤の重軽を決定付けた。このまま立ち去れば、二度と逢うこともないだろう。よし、足を踏み出せ。ここから離れろ。戻るんだ。自分のいるべき場所へ。



『また、会えればな。』

自分が何を言ったのか、分からなかった。

いや、何も言ってないかもしれない。きっとそうだ。

だって、足は確実に前に出ているじゃないか。

よかった。これでもう逢うことはない。

彼女もきっと、見知らぬ男の妻として家庭に戻れるはずだ。

よかった。本当によかった。



ーねぇ、いまのおんなのひと、きれいだったね!

ーママにそっくりだったね!



娘はいつも、率直に物を言う。

30名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/01(木) 02:55:02 ID:qeJnEKNw
ーはっ、はぅ…!はぁー、はぁー…

精の迸りを、温もりを、お腹の奥で受け止めると、そのまま私は夫へと倒れ込んだ。想像以上に激しかったようで、身体が言うことをきかない、動かない。しかしそんな身体を受け止め、しっかりと支えてくれる腕が、そこにはあった。

ー久し振りだね。こんなに激しかったのは。少し燃えちゃった?

目を細め、ニッと笑う。結婚する前からいつも私だけにしか向けられていない、柔らかい笑顔。目の糸の引き方からして、人相の良さと優しさが滲み出ている。営業スマイルとは違い、温かみを備えていることがわかる。
提督さんも、そうだった。いつも見ていたから分かる。駆逐艦の子へと向ける庇護でもなく、軽巡・重巡の子へと向ける親愛でもなく、戦艦・空母の人へと向ける信頼でもない。私へと向けられた笑顔は正しく「慕情」そのものだった。翔鶴姉ぇもそれに気付いてか、ずっと私を後押ししてくれたのを覚えている。今日逢ったときに向けた顔は、何一つ変わってはいなかった。
嬉しかった。まだ私を好いてくれている。私を求めてくれている。最後の言葉からも、それを感じることができた。そして直後に後悔した。私は今、こうして私を心身共に受け止めてくれる、かけがえのない男の妻なのだ。昔の想いに引きずられてはならない。この人を、さっき寝かしつけたあの子を、どうしようもなく傷付けることになるのだ。恐らく、大好きな提督さんも。だからこそ、その目に見えぬ贖罪のためだけに、今夜こうして夫を求めたのだ。
だが、今日逢ってしまった。そして気付いてしまった。「私の夫は提督さんではない」ことを。似ているのと、本物は違うことを。その容姿に憧れのあの人を、知らず知らずのうちに重ね合わせていたのだ。その現実から目を反らしていたのだ。優しく抱き寄せる腕も、好きだと言って頭を撫でてくれるこの手も、提督さんではないのだ。

『本物の提督さんに、逢いたい』

その一言が、つい口に出てしまった。しまった。やってしまった。血の気が引け、夫の顔を見ると

ーすぅ…すぅ…。

なんとも間抜けな寝顔が、そこにはあった。夫婦の間の亀裂は避けられたものの、結局その晩は一睡もできなかった。

31名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/01(木) 02:57:31 ID:qeJnEKNw
投稿すると段落の区切りの悪さとくどさが目立つ気がしますね…
遅くなりましたがこんな感じで。遅れてすみませんでした。

32名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/01(木) 03:07:14 ID:qeJnEKNw
なんか違うと思ったら>>29の冒頭が文脈ガバガバでしたね。ごめんなさい。
↓で補完しといて下さい。


> 嬉しくないと言えば、嘘になる。また再び、恋い焦がれた君と時間を共にできるから。
> 嬉しかったと言えば、嘘になる。その逢瀬は間違いなく、皆の言う「浮気」だから。

33名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/01(木) 03:18:29 ID:ta8qqs/w
ちんこ勃って来ちゃった…///

34名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/01(木) 03:19:26 ID:DuUHom.I
たまらんな…

35名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/02(金) 21:52:23 ID:0Awksi/k
ーそれじゃあ、ティッシュ買ってきてくれる?そろそろ切らしそうだったから丁度いいかな。それと…えーと…ちょっと待ってて。

パタパタと忙しそうに走り回る様子が電話口からでも分かる。不意討ちのように私が連絡したからというのもあるので、泡を食うのも仕方ないと言えば仕方ない。向こうでわたわたと慌てている様子を想像すると、つい笑みが零れてしまう。

ーあぁっ、こら!勝手に冷蔵庫開けないの!…って卵もないじゃない。それも追加でお願い!それじゃ!待ちなさーい!

やんちゃ娘も暴れてる時間帯だったらしい。どうやら慌てている原因は私だけではなかったようだ。そんな家庭の情景を脳裏に写し、通話の切れたスマホを脇にしてエンジンをかけた。
車を走らせた先にあるのは、どこの地方にもありそうなショッピングモールだ。今の場所からはそう遠い位置にあり、少し寄ったところで徒に帰宅時間が長引くこともない。妻に電話して買い物を引き受けたのも、そういうことだ。

…「瑞鶴と再会した場所だから」という理由では、決してない。

あの日から私には変な日課ができた。ここの周辺をやたらと検索するようになったのだ。あそこで出会ったということは、きっとその近くに彼女がいる。立地からして周辺に住宅地なんてものは当然ないのだが、それでも何かしら人の住めそうな家はないか、意味もなく探すことが増えた。今や履歴の一番上にあるのは、目の前にある大型商業施設。無意識のうちに瑞鶴を求めているのは、明白だった。それでもなお私は、瑞鶴への想いを認めようとはしていない。
さて、食品売り場は…駐車した場所から施設の真反対にあたる場所か。そこに最短で行くには…フードコートを通る必要がある。瑞鶴を泣かせてしまった、あの場所を。

早く帰るために通るのは「 仕 方 が な い 」ことであり、全くの「 偶 然 」なのだから気にする必要もない。

財布と鍵は持った。車のロックもよし。コツコツと静かに歩き出す。ショッピングモールに潜む何かに、誘われるように。

36名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/02(金) 21:53:29 ID:0Awksi/k
…うっかりしていた。まさか作り置きをそのままにして腐らせてしまうとは。鍋の蓋を取って覗き込んだ時には、カレーにしては似つかわしくない緑の珠と白い糸が張り巡らされていた。こういうドジを踏むのは何回目かも分からない。私のバカバカ、と自責しながら車を走らせる。

ーはっはっはっは!まぁそんな時もあるって。子供の迎えは俺に任せて買い物に行ってきな。息子もお前のご飯が食べたいだろうからな。それと、飛ばしすぎて事故るなよ。

夫には盛大に笑われた。電話口ではごめんごめんと謝りながらも、その後ろから押し隠すような笑い声が漏れていたのはしっかりと耳に入っている。あの人のご飯だけ半分に減らしてやろうか…と恨み節を唱えたところで、目的地についた。

ついこの間、「提督さんと再会した」ショッピングモールだ。

近所にスーパーがないわけではない。それでもここを選んだのはアクセスがそう遠くないこと、今日は自分の失態があったのでその贖罪のためにいいものを買いに来たこと、もしかしたらまた提督さんに逢えるかもしれないこと、だ。

「また、会えればな」という最後の一言に救われたところはあった。まだ希望はある。またきっと逢える。しかし連絡先も交換する暇もなく別れたことを考えると、そんな保証は何処にもない。もしかしたら、このまま本当に永遠に会えなくなるかもしれない。冷静にその事実に気付いたときは、胸の締め付けでどうにかなりそうになった。
結局のところ再会の手掛かりといえば、きっかけとなったこの場所しかない。鎮守府のあった街とは違い、二人の思い出の場所なんてものは一切ないのだ。電話番号も住所も知らないとなれば、当然の帰結だった。
ご飯のタイマーはセットしてきた。少し奮発してステーキにでもするか…そのついでにドラッグストアで買い出しもしておこう。近くにフードコートがあるけど。

37名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/02(金) 21:55:25 ID:0Awksi/k
SS書いてるとなんかそのキャラに愛着でますね
昨日は盛大に寝落ちして書けませんでした
お兄さんゆるして

それでは

38名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/03(土) 06:42:49 ID:RVoGtIFo
いいゾ〜これ

39名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/03(土) 14:34:13 ID:/DZ8vcu6
ゆっくり続けて下さい

40名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/04(日) 05:01:21 ID:Gbp/pbzM
最高や!
ゆっくりでいいから続きお願い…?(懇願)

41名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/04(日) 05:10:09 ID:LC1QzNfg
こういうのでいいんだよこういうので

42名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 01:22:29 ID:W4OOZJvY
ーえへへっ!今の私たちって…なんだか…夫婦みたいじゃない?

そんな瑞鶴の一言は、私の理性の糸を一瞬「ぷちん」と切った。

酷い女性(ひと)だ。貴女に逢うまで心の奥底で燻らせた恋慕の情に火を付けた挙げ句、君はそんなことまで言うのか。なんと残酷で、なんと無責任で…なんと心地のよい、なんとも甘い。ぽっかりと空いた心の闇に、切ないほど染み込む言葉だった。
しかし私の身体はそんな思考回路を全て吹き飛ばし、華奢な瑞鶴の身体を引き寄せー

抱き締めていた。

温かい。柔らかい。優しい。愛しい。仄かに香るシャンプーの香り。慎ましくも確かにある胸の膨らみ。これまで欲しかった瑞鶴を五感で感じる。これだ。いままで私が欲しかったもの。涙が出そうだ。何度こうして貴女を抱き寄せる妄想をしたか。今、その想いを叶えている。何年越しの悲願だったろうか。憧れだった女性を今、こうして独占している。誰でもない、自分が。

そこが数多の人が行き交う、ショッピングモールの往来であることを、忘れて。

もう、自分に嘘は、つけない。

43名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 01:25:26 ID:W4OOZJvY
スーツを着ていても、その背格好はすぐに分かった。あの人だ。それが分かった瞬間、私の心には光が差した。雲間から光差す映像をテレビか何かで見たことがあるが、まさしくそれだった。
しかし、今回は違う。私の気配を察知したか、自然とこちらに振り替える。間違いないー提督さんだ。

ー…!また、会ったね…瑞鶴。

一瞬顔が曇ったようにみえたが、直後にふんわりと微笑む。迷っているのか、後悔しているのか。笑顔ではあるがそこはかとない寂しさを陰らせているのは、前と変わらない。隠し事が、できない人だったもんね。それでも私は、その笑顔に胸を高鳴らせた。

奥さんに言われて買い出しを頼まれている。それが今の提督さんの置かれた立場のようだ。買い物かごは似合わないだの、妻の尻に敷かれているだの、再会したときと同じ。内容のない、当たり障りのない会話をしながら、食品コーナーを掻き分ける。そんな時に、お菓子コーナーが顔を覗かせた。

鎮守府にいた頃にも、こうして彼とー提督さんと、二人並んで買い物をしたことがある。一度や二度なんて回数ではない。提督室のお茶菓子を決められるのは、秘書艦の特権だったから。隣の男性(ひと)の好みは、誰よりも知っていたー○○製菓の一口栗羊羮だよね。知ってるよ。

『奥さんは…知ってるの?』

笑顔を努めながら、さりげなく聞いた。心の奥底に灯る、静かな青い、嫉妬の炎。私だけが知っている提督さんを、他の艦娘達にすら知り得なかった提督さんを、知られたくない。そんな焦燥感が心に積もったときに、彼は答えた。

ーいいや、あの人は好かないらしくてね。専ら煎餅とか、干物ばかりだよ。

44名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 01:28:19 ID:W4OOZJvY
なんとか同日中に再会編を書き上げられたらなぁ、とか思ってます。
土日はプロット練ってたらいつの間にか終わってました。

区切りが悪いけどこの辺で。

45名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 01:35:38 ID:DdduW.KI
エグイ(ほめ言葉)

46名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/08(木) 01:50:31 ID:Vt049XRo
『…そっか!甘いものの食べ過ぎもよくないもんね!気の効いた奥さんじゃない!』

よかった。まだ、私しか知らないんだ。今この世界で提督さんに一番近い場所にいながら、それでもなお私しか知らない事実がある。心の奥に染みる優越感の充実と、嫉妬の炎を消す安堵の風。自分でもどんなに晴れやかな笑顔をしているかが、分かる。
しかし、そんなことは些細な秘め事だ。結局のところそれだけでは、未だ見知らぬ彼の妻には遠く及ばない。きっと、私が知らない以上のことを、知っている。行き付けの店、務め先、好きな場所。そして何より…夜の営みも。
近付きたい。もっと貴方を知りたい。あの頃から変わらないのは、優しさだけなのか。またもう一度、貴方を知り尽くしたい。好きなものから、肌の温もりまで。そうなれば今回こそ、私が動かなくちゃ。翔鶴姉も言っていた。『提督は奥手な人なんだから、瑞鶴から手綱を握ることも必要よ』と。

『1000円以上のお買い上げで卵1パック98円』というセールも、私を後押ししていた。彼の買い物籠に入ってる洗剤程度では、その金額には確実に届かない。しかし私と会計を一緒にすることを提案すれば、ことは収まる。そして何より、二人で一つの買い物籠を共有することになる。すかさずそれを話すと

ー…そうか?別に200円も100円も大差ないんだが…そこまで言うなら甘えようかな。

何処か引っ掛かる言い方をする提督さん。それもそうだ。若い男女が肩を並べ、談笑しながら一つの買い物籠を共有している。若いといっても学生のような若々しさはなく、むしろ互いに家庭を持った落ち着きがある。それはつまり、『そんな風』にみられることに他ならない。きっと、それを気にしている。
意識はさせた。今しかない。彼の前に一歩踏み出し、振り返り様にニカッと笑顔で言い放つー

47名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/08(木) 01:53:52 ID:Vt049XRo
『えへへっ!今の私たちって…なんだか…夫婦みたいじゃない?』



誰かにぶつかったのかな、という呑気な考えは、背中に回された腕と後頭部を掴む掌の感覚で吹き飛んだ。ぎゅうっという擬音語が似つかわしい、荒々しい抱擁。痛いほどの締め付け。隣を見ると私の肩に、提督さんの後頭部が乗っている。抱き締められている事実に気付いたのは、五感が落ち着きを取り戻した、その時だった。
最早なぜここまで身体が熱を帯びるのか、そんな理由を考える余裕はない。鼓動が加速する。顔が熱い。恥ずかしさと嬉しさと慕情が絡まり、頭の中をぐるぐるしている。すうううううっ、と深呼吸する。提督さんの匂いと温もりと男らしさと、それと、なんだろう。支えられてる。幸せ。自然と両腕は、提督さんを抱き寄せていた。様々な思いが浮かんでは、消えていく。

それが一瞬だったのか、それとも数時間だったのかは分からない。提督さんは急に抱擁を解いた。自分が何をやったのか、頭がようやく追い付いたようだ。頭をしきりに下げて謝ってはいるが、その顔には紅潮が見える。かわいい。いとおしい。私の中の母性が首をもたげた。
何か反応があれば、脈の有り無しさえ判断できればよかった。しかし彼は、それ以上の想いを心の内に秘めている。それが分かったのが大きな収穫とも言える。つまりまだ、私にはチャンスがあるんだよね。希望があるんだよね。付け入る隙が、あるんだよね。嬉しかった。さて、あと必要なものはー

『本当に悪いと思ってるの?

 そう思ってるならさ

 ー連絡先、交換しない?』

我ながらよくも冷静に、自然と聞けたなぁ、と思う。

48名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/08(木) 01:56:51 ID:Vt049XRo
同日中に書き上げるとは何だったのか

私事で多忙なのと季節変わりの鼻炎でろくに構成も練られず筆も進みませんでしたごめんなさい
濡れ場のプロットは出来てるのにそこに持ち込むまでが悩み所です

49名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/08(木) 04:49:57 ID:VE0rbtsU
あーやばい!(興奮)
納得いくまでゆっくり考えて焦らず進めて、どうぞ

50名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/08(木) 08:40:26 ID:6.9Z9q2s
おほ^〜
お互い未練タラタラですね…

51名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/08(木) 09:00:46 ID:XH/b23KM
素敵な言い回ししますねぇ…どんな顔して言ってるか想像するだけでああ^〜たまらねえぜ。
(泥沼に)シズメシズメ

52名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/08(木) 10:35:49 ID:mRBqLxIQ
絶対誰かが傷付く展開いいゾ〜これ

53名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/08(木) 22:27:31 ID:5gA/dNm2
神様がくれた最ッ高の快楽…!

54名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/09(金) 01:44:01 ID:CN6sP66I
スレ立てした者だけど続きあく書いてくれ〜

55名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/09(金) 02:21:08 ID:iNdXkadI
卑しい妹しょう…

56名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/09(金) 02:26:11 ID:nHfbVjHc
瑞鶴とマリンルージュで愛されたいだけの人生だった

57名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/09(金) 22:26:29 ID:CDsrCHr.
提督の奥さんが加賀さんだったらかなり楽しい(ゲス顔)

58名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/09(金) 23:40:24 ID:BHiMEp6c
ーあ、お帰りなさい。悪いわね、無理に買ってきてくれて。ご飯出来てるから食べよっか!

妻は、にこやかに迎えてくれた。ニカッと笑いながら私の手から買い物袋を受けとる。その笑顔は、ついさっき再会した瑞鶴によく『似ていた』。何故『似ている』ではなく、過去形なのか…やはり彼女を、瑞鶴と重ねていたからなのだろう。ああまでして彼女を抱き締めてしまった今では、驚くほどに冷静に分析できる。ぴょんぴょんと頭に跳ねるツインテールも、私から提案したものだ。『恥ずかしいなぁ』と最初はテレテレしていたが、今ではそれが日常となっている。

しかし彼女は、瑞鶴ではなかったー

そんな日常を遮る、ピローンという甲高い機械音。LINEのメッセージが来たようだ。画面を見ると

ー今日は会えてよかったよ!無理に付き合わせてごめんね!お互い家庭もあるんだし、子育てとか頑張ろうね!それじゃ!

瑞鶴とは、連絡先を交換した。『ああまでして無理矢理抱き締めたんだから、傷付いた代償として寄越せ』と脅されたのだ。抵抗することもなく教えてしまったのは、贖罪だけが理由ではない。そんなものが建前上のものだなんてことは子供でも分かる。『互いが互いを求めているから』という、ごく単純なものだった。その証拠に、このメッセージを見て何処か喜んでいる自分がいる。
まだ二度目の逢瀬のはずなのに、急激に瑞鶴に惹かれていることが分かる。また逢いたい。あわよくば繋がりたい。瑞鶴と別れ、自ら命を断とうと思うほど自暴自棄になったあのとき。『恋愛の傷は時間でしか解決しない』と言われ慰められたこともあった。実際に立ち直り家庭を持った。しかしそれは偽りだった。その実、恋愛の傷は火傷のようにじくじくと心を蝕み続け、時を重ねるほどに悪化していた。傷口を治したのではなく、消毒することもなく放置されたままでは、当たり前のことだった。

ー…だーめ。今からご飯でしょ。あの娘が寝てから、ね?

妻の後ろ姿を抱き締めると、優しく面妖に答えてくれた。心の奥底には、君は映っていないのに。そんな私の内側を知らぬまま、妻は私を受け入れる。

59名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/09(金) 23:42:47 ID:BHiMEp6c
ーあぁっ!やっ!ひゃっ!だめ!きょう、なんか、はげし、あぁん!

妻の矯声が響く。ただひたすら男の猛りをぶつけ、熱い迸りを膣の奥へと注ぐだけの行為。そこに思いやりや情はなく、まるで第三者のように眺めていた。それゆえに目の前の女の懇願は一切届くことなく、己の欲と満足のためだけに腰を振る。

ーおねがい、だめ、やだ、こわい、もっと、やさし…あぅぅ!

妻を抱こうと思ったのは、何故だろう。おそらくは瑞鶴と『不倫』を重ねていることへの贖罪だ。まだ片手で数えられる程度の密会であり、こうして姦通したわけでもない。それでもきっと近い将来、そうなるかもしれないという危惧があった。だからこそ『まだ心は君にある』という事実を、言葉ではなく行為で証明するための、たったそれだけのことだ。

この時点で既に私の思考は狂っていた。妻との営みを『たったそれだけ』と思えてしまう事実。それは逆を返せば、昔の女の逢瀬のために自分の家内を抱いていることに他ならない。一度は家庭に傾いた天秤の重軽は、この時既に瑞鶴へと傾いていた。それはまさに、破滅への道だった。

ー…これなら、あの娘の弟ができちゃうかもね…それとも妹かな?

ーえへへ…嬉しかったよ?貴方から求めてくれるのも、初めてだったんだから…

はぁ、はぁ…と疲弊する妻。一方でその顔には、安堵や悦びに満ちている。そうか、私からするのは、これが初めてだったか。結婚初夜の時も、子供が欲しいと顔を赤らめた時も、全て任せっきりだったからな。
優しく頭を撫でると、さらに物欲しそうな雌の顔つきになった。よほど嬉しかったようだ。そんな思いの裏で、私の心は想像を越えて冷え込んでいた。この心に火をつけ、焦がし、猛らせるのは…

もはや、瑞鶴以外に、いない。

その事実を確認し、再び目の前の女を組伏せるのだった。

60名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/09(金) 23:48:23 ID:8WNk8DTc
過熱した欲望は遂に危険な領域へと突入する!

61名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/09(金) 23:48:47 ID:BHiMEp6c
色々支援してくれてありがとうございます。スレ立てした人からも急かされるのは嬉しいです。
加賀さんか翔鶴姉あたりを提督の嫁にするプロットもありましたが、容姿の似た無関係の女を嫁にするという非常に闇の深い設定にしてみました。恋煩いって怖い。

提督と瑞鶴の前日譚も考えてるんですが長くなりそうなんだよなぁ…
それでは。

62名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/09(金) 23:50:25 ID:4TLtwiRI
クソ面白ェ 次も楽しませてもらうよ

63名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/10(土) 01:37:27 ID:Y70X83oo
おっぱい感じちゃう!(錯乱)

64名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/10(土) 07:39:06 ID:K1X07mGQ
目の前の女呼ばわりに心震えちゃ↑ーう
容姿はまだしも髪型まで…いや怖い…どんどんやってください…アイアンマン!

65名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/10(土) 17:31:47 ID:xkKgCB3I
ー翔鶴型航空母艦2番艦、瑞鶴!ただいま着任しました!

海原を戦場にする艦娘と、それを使役する提督。初対面の挨拶としてはそこまで特別なものでもなく、ただ淡々と形式に倣っただけのものだった。上司と部下としての間柄であれば、当然と言えば当然だった。それに、彼女は栄えある正規空母。いつかは私のもとを離れ、戦況の最前線で華々しく活躍するはずだ。この鎮守府がそのための過程であり路傍の踏み石であることは、その長である私が一番理解していた。

私が管轄する鎮守府は良くも悪くも「中間管理職」であった。戦線の真っ只中で爆炎に恐れる必要もなく、皇国の守護や戦略決定をする権限もない。最前線への中継や補給、傷付いた艦娘達の停泊と慰安、そして新たに着任した艦娘達の教育。メディアの好奇にも晒されず、戦線としても注目されにくい。そのくせ大本営と現場の擦り合わせで奔走させられる。うだつが上がらないと言われれば、ぐうの音も出ないのが現実だ。
しかし不思議と、苦痛にはならなかった。艦娘と持て囃されてはいるが、感情や思考を持ち自律しているその姿は私たちと変わらない。そんな彼女達を支え、育て、治し、送り出す。さしずめ教師と教え子のような関係は、私には心地よかった。私に育成の天性があったかは分からないが、送り出した教え子達は今や広く戦線で貢献しているようだ。未だに時を見計らっては遊びに来るような物好きや、定期的に便箋を送る律儀な者もいる。
そして今目の前で敬礼をする凛々しき彼女も、そんな1人だった。しかし彼女は「大勢のうちの1人」にはならず、その存在は特別な女性へと昇華することになる。

それが私の全てを、提督としての地位すらも、壊す元凶になるとも知らずに。

この時はただ微笑み、宜しくという挨拶と共に握手の手を差し伸べていた。むすっと複雑な表情をした女と、にこやかな男の手が軽く結ばれる。この部屋では幾度となく繰り返された光景だった。

66名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/10(土) 17:32:38 ID:xkKgCB3I
ーあら、瑞鶴じゃない!あなたもここに配属になったのね!

翔鶴姉が笑顔で出迎えてくれた。先程挨拶してきたここの長よりはまだ信頼できる、本心から喜んでいる笑顔だ。気の置けない姉がいることは、ここでの生活ではこれ以上ないほど心強い。船の頃とは違い、人の形をした姉妹として肩を並べて歩く、そんな喜びを噛み締める。
艦娘とは不思議なものだ。前世の船としての記憶もかすかに残しながら、今度は人として自らの意思と判断で動くことができる。最早誰かに操られることもなく、己の思うがままに戦えるのだ。私にはかのミッドウェーの惨敗の後、最後まで皇国を守り続けた自負がある。人としての自由と、艦としての誇りを兼ね備えているのだ。

だからこそ、ここへの着任が決まった当初は不服だった。直ぐにでも前線で敵を打ち破り、皇国の勝利へと貢献しなくてはならない。それが航空母艦・瑞鶴としての責務だと、記憶の残滓が叫んでいる。あの提督とやらも、あの笑顔の裏で何を考えているのか分かりはしない、食えない男ー
そこまで心中を吐露すると、翔鶴姉から宥められた。

ーあまり迷惑をかけちゃダメよ?ああ見えて気が弱い方なんだから。

ーそれに…優しくて、いい方なのよ?

見慣れぬ手の甲の傷をさすりながら、そう言った。その微笑みは、妹である私にむけられるものとは異質な…何処か慈しみを感じさせるものだった。
その時は、姉の言葉への不満でいっぱいだった。何をしてここまで姉に擁護させるのか…あの男が姉の何を知っているのか。嫉妬に近い感情が、もやもやと頭を曇らせる。

その笑顔の意味を、知らぬまま。

67名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/10(土) 17:34:01 ID:xkKgCB3I
スレタイと>>1へのリスペクトとして過去編もやっとかなきゃ、ということで触りだけ書いてみました。
長くなると思いますが宜しくお願いします。

68名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/10(土) 17:39:26 ID:jR/gp9Qg
SSスレでこんなに血が沸くのは 久しぶりだよ

69名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/10(土) 18:14:47 ID:WLjeEKsE
がんばれ♡がんばれ♡

70名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/10(土) 21:07:39 ID:LtKEcuoA
やりますねえ!

71名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/10(土) 22:23:20 ID:7ZrY/uAg
けっこういい文章書いてるけど何かスポーツとかやってるの?

72名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/12(月) 02:03:25 ID:PpRdzKuw
私がこの鎮守府に着任して程なく経った。あの胡散臭い男ー提督を観察して、分かったことがいくつかある。
まずは、少なからず有能であるということだ。誰かの元につくということを多く経験してきたわけではないが、それだけははっきり分かった。その証拠が…この大量の書類だ。

ーまぁ、こういう下積みや事務作業をすることも一つの教育だからね。艦娘に秘書官仕事をさせることも多い。退屈かもしれないけど頑張ってくれ。

そうして一部の書類を受け取ったが…甘かった。内容の把握、数字の調整、現場への確認、帳簿の記入…
すべきことはどれも変わらないはずなのに、たった一枚の紙切れに判子を押すためにこなすことが多すぎる。ようやく半分が終わったことを確認し、机に突っ伏す。

ー瑞鶴、大丈夫?少し休憩しましょう?

心配そうに翔鶴姉がお茶を差し出す。涼しい顔をしているが、この姉はつい先程、私の倍を越える書類を片付け、私のフォローに入ったばかりだ。ある程度の慣れがいるとは教わったものの、それにしても段取りと要領がよい。姉への尊敬の念が強まった気がする。

ー提督は今日は遅くなる日だから、私達ですなんとか頑張りましょう?そのためにも、ほら…お茶菓子もあるから、ね?

あの男ー提督は、今日は遅い。それもこの程ない間に観察して分かったことの一つだ。週に一度だけ午前中で切り上げ、何処かへふらっといなくなる。日替わりで勤める秘書官の艦娘達も皆して事情を察してか、快く送り出している。例え帰りが遅くなっても、だ。それは翔鶴姉も同じだった。何か隠し事をされているようで、もやっとする。
座る主のいない提督の机には…翔鶴姉のこなした書類に並べて、さらに倍々の書類が積み重なっている。あの男が午前中だけで片付けたものだ。ここの長であれば当然とばかりにさらさらと、右から左に受け流すように書類を積み上げているのを見て、圧倒されたことを覚えている。尊敬する姉よりもさらに聡明であることは、火を見るよりも明らかだった。悔しいが、認めざるを得ない。

オーバーヒートして煙が出そうな頭に、机の冷たさは心地がよかった。姉の持ってきてくれた麦茶で喉を潤し、差し出されたお菓子を口にする。滑らかな甘さと口どけに混ざる、小さな欠片。どうやらこれは…栗のようだ。「一口栗羊羮」という包み紙を眺めながら、もぐもぐと咀嚼する。

この味は、結構好きかもしれない。

73名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/12(月) 02:06:26 ID:PpRdzKuw
ー…お帰りなさい…

ーあら提督、お帰りなさい!

対照的な返答が帰って来た。机に突っ伏した黒髪と、ふわりとこちらを振り替える銀髪。机の書類は…あともう少しか。時間はかかったようだが、この時間まで頑張っていたことを考えればむしろ褒めるべきか。慣れない仕事だしな。
書類に目を通すと…真面目さが伝わってくる。何もそこまで書かなくても、といった内容が込み込みだ。こういう頭を使う作業は力の抜きどころが大事になる。一から十まで集中力を切らさないためだ。その当たりの柔軟さも教える必要がありそうだ。
男勝りな性格はこれまで見てきた通りだが、取り組む姿勢としてはなかなか真っ直ぐらしい。よく言えば生真面目、悪く言えば融通が利かない。今まで男勝りだった艦娘の中でここまで出来た奴がいただろうか…多分、いなかったと思う。そういう意味で、今までにはいない娘だった。
そろそろ夕食にはいい時間だ…というかもうそろそろ締まりそうな頃合いである。二人に食堂へ行くように勧めると、机に横たわる黒髪が、のそっと起き上がる。

ー…もうすぐ終わるから、それが終わってから行く。もうちょっとだから。なんか釈然としないし。

まるで徹夜した後のような目付きの悪さで、再び机に向かいだした。こんな時にも折れない頑固さが何処か微笑ましい。翔鶴もそんな顔をしている。頑張った褒美に飯くらいは奢ってやろう。鳳翔さんに連絡しなくては。
そういう責任をしっかり果たそうとする姿勢は、正規空母・瑞鶴としてのプライドそのものなのだろう。だったらやらせてやるか。本当は夕食の合間にちょろっと終わらせてやる予定だったが、それでは逆効果だっただろう。怒られるのは目に見えてる。それならやれるだけやらせて、見守る方がよさそうだ。悪いところは後々頭が冷えてから言えばいい。

…早速手に持った書類にミスを見つけてしまったのは、ここだけの秘密にしておこう。今言えば彼女がパンクするからな。

74名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/12(月) 02:09:32 ID:PpRdzKuw
(濡れ場)ないです
過去編も最後の顛末だけプロットが書けてるのでそこまでの持ち込みが難しそう
散りばめたフラグも回収できるかわかんねぇな

それでは

75名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/12(月) 05:22:40 ID:O.IN1vE6
あ^��焦らされるんじゃ^��

76名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/14(水) 00:54:09 ID:8rhWPL36
(続きが)もう待ちきれないよ!早く出してくれ!

77名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/14(水) 02:10:47 ID:uaL9.OPU
ぱちっ、と言わんばかりに目が覚めた。うつ伏せの姿勢で寝ていたらしく、ごそっと腕立ての要領で飛び起きる。外はかすかに日が昇ろうという気配を見せてか、うっすらと白みはじめている。隣を見ると銀髪を横たわらせた姉が、すうすうと静かに息をしている。勢いよく起きたせいで睡眠の妨げになるかという心配はなくなったようだ。静かに胸を撫で下ろす。
起床時間まで…時計が二周りほどか。眠気もさっぱり吹き飛んでしまい、再び床につくことはできない。きっと寝過ごすか、そのまま定刻を迎えるだけだろう。それならば散歩でもして、気を紛らわせるほうがまだ有意義だ。

山のような書類を片付け、地獄のような事務作業を終えたことは覚えている。しかしそこから先の記憶が、ない。昨日の夕食は…えっと、卵焼きと、鰆の西京焼きと、それから…思い出すのに時間がかかるあたり、ご飯の味すらろくに分からないまま食べていたようだ。寝間着をしっかり着ているのも風呂に入っている証拠のはずだが、勿論その記憶もすっぽりと抜けている。それほどまでに頭を使う作業は、自分に負担を強いていた。

肌寒さを感じさせない、それでいて気持ちのよい冷たさ。この時期の夜風は透き通るような心地よさを運んでくる。海の近いこともあり、磯の香りも含んでいるのもまた良し。腕を広げ、ゆっくりと息を吸い、吐く。人であるということは、これほどまでに感性豊かに日々を過ごせるのか。艦娘としてこの世に再び生を受けた喜びが、身に染みるようだ。
しかし私は未だに海を知らない。艤装を纏い、駆けたことがないという意味で。いつまでここでの雑用を任されるかは分からないが、将来はこの長閑そのものとも呼べる場所から旅立ち、華々しく戦ってみせる。そんな決意を自分に言い聞かせた。

さて、まだまだ時間がある。どうやって暇を過ごすべきか。訓練所も開いていない今はどうすることも…そんな折りに、かすかに聞こえてきた目覚ましの鈴。そしてとある一室に、明かりが灯った。そこに行ってみることにしよう…あの男について知っておくことは、今後の生活を左右するだろうし。

78名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/14(水) 02:11:23 ID:uaL9.OPU
ーで、なんなのその格好。いくら人がいない時間とは言え、その格好で仕事するのは流石にどうかと思うんだけど。

誰も来ないであろう時間の、予想外の来訪者。完全に油断していた。女の子に囲まれた職場である以上、少なからず衣服には気を付けていたはずだが…あまり異性に寝間着姿を見られるのは、気持ちのよいものではない。顔から火が出るようだ。
それにこの姿で仕事をするな、という意見も大いに同意だ。公私混合と言われても仕方ない。メリハリをつけろという意味でも、まずは身なりから。言うことは隠さず言うし、間違ってもいない。どうやら彼女ー瑞鶴は、思う以上にしっかりした艦娘らしい。見くびっていた。

明かりがついたから来てみた、と彼女は言った。昨日の激務からして、もう少しゆっくり寝てもいいだろう。そう言うと

ーしょうがないじゃん、覚めたものは仕方ないし。そんなことより少しは話し相手になってよ。

と唇を尖らせる。それなら今からやる作業ー昨日瑞鶴がやり終わった書類の点検ーでもさせてやろうかと、性根の悪いことを思い付く。…まぁ、朝礼前に精根尽きるだろうから、やらせないが。

それにしてもよく話す人だ…あれやこれやと矢継ぎ早に聞いてくる。残業のお供としては寂しくないので悪くはない。何時もなら早朝のラジオをかけているが、こうして誰かと話すのとはわけが違うからだ。不特定多数の誰かに対する曖昧さがなく、私に対して具体的な言葉が飛んで来る。何よりそれに対して返答があり、返事をしなくてはならない。一方的ではない、双方に飛び交う会話が、非常に楽しい。
私の身の上話を聞いて面白いのか、それとも私の弱味かなにかを握りたいのか。そんなことはどうでもいい。私としても彼女の人となりを知ることは、正規空母・瑞鶴の育成に関わる重要な事項だ。無駄などではなく、十分に有意義な時間だ。…それを抜きにしても、もっと話をしたいのが事実だが。

ーそういえばさ、毎週午前中でいなくなることがあるじゃない。あんなに遅くまで何処に行ってるの?

やはり、今までの艦娘達同様、聞いてくるか。週に1回ともなれば不思議に思って当然だろう。君の姉も聞いてきたからな。

『君が秘書官になる、って言うなら教えるよ』

しかし、おいそれと軽々しく見せてよいものではない。組織の長がそこまでして通いつめなければならない理由…この鎮守府の陰の姿だからだ。秘書官達にも軽々しく口外しないようきつく言ってはいるが、そんなことをしなくとも口にはしないだろう。それほどまでに重い理由がある。
目の前にはぶーぶーと口を尖らせる瑞鶴がいる。彼女にも、出来れば見せることなくこの鎮守府を去って欲しい。しかし、いずれ旗艦を背負う責務を考えればこの現状は見せておくべきだ。そう思う自分もいる。本人に選ばせれば…おそらく性格からして、後者になるのだろうが。

外は、静かに明けていく。

79名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/14(水) 02:13:41 ID:uaL9.OPU
めんどくさい設定や話がだらだら続きそうなんですがそれはいいんですかね…
(恋仲を深く見せるには設定を重くするしかないので)許して

それでは

80名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/14(水) 08:07:26 ID:/oAanBbo
いいに決まってるじゃんアゼルバイジャン
好きに書いてくれよなー頼むよー

81名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/14(水) 12:19:01 ID:kV0IBX4Y
たまらねぇな
Nanじぇいはこれだからやめられねぇ

82名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/14(水) 13:44:20 ID:tiWsxgAQ
提督も瑞鶴も大人になりすぎて当人達以外は幸せになれそうにないのが辛いねんな、けど続けて

83名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/14(水) 15:45:22 ID:uFD2jJCg
このスレのSSってやつは 読めば読むほど興奮が高まるんだよ

84名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 07:04:02 ID:kCbIzmyA
朝起きたらこのスレをチェックするのが日課になってんだよなぁお前のせいでよぉ(倒置法)なぁ

85名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 12:39:04 ID:Q0ekDQJo
提督も瑞鶴もお互いに似てる伴侶を選んでるわけだし残り物同士でまたくっつけば解決なのでは

86名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 16:12:36 ID:4Gr4vRsE
続き、早く書いて♡(自分のペースで無理なく更新してください、オナシャス!)

87名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 17:19:47 ID:DSUyLCxE
>>85
流石に頭悪そう

88名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 20:48:27 ID:e5WCvtMk
ー…いかく!しっかりし…!…い!ずいか…!

誰かが、呼んでいる。

私の、名前を。

男は私を見下げながら、

何かを叫ぶ。呼び掛ける。

あぁ、この男は、私の…

思考が追い付こうとした、その時。

私の身体が、宙を離れた。

揺れている、風を感じる。

誰かに、抱き抱えられている。

それと同時に、意識は途切れたー



白い天井に、夕陽の赤が差し込んでいる。目が覚めたその時に視認できた光景が、それだった。そこから思考回路が正常に回りだし、やっと自分の状況を整理できた。

演習で、よかった。

本当の戦場であれば、間違いなく、沈んでいた。

安心感の後に、不甲斐なさに打ちのめされる。はっきりと分かる。私のせいで、負けたのだ。私の一瞬の遅れが、全てをダメにしたのだ。そんな苦い記憶が、後からじわじわと滲み出てくる。
初めての演習だった。日頃から海上での走行や、動く的を射抜く訓練。基礎の基礎とも言えるその毎日に飽き飽きしていたこと、訓練に慢心があったであろうことは、否定できない。そんな折りに、あの男が他艦隊との演習を取り付けてきたのだ。
嬉しかった。心のどこかにあったのだろう。「これで輝かしく活躍できれば、いち早く前線に出られる」、と。しかし実際は違った。
発艦に手間取り、牽制が遅れたのだ。得意のはずのアウトレンジ射撃など、距離を詰められてしまえば封殺される。後は近接戦闘に優れる駆逐・軽巡の的にしかならなかった。その証拠が…この頭の包帯だ。今になってズキズキと痛み出す。

89名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 20:49:27 ID:e5WCvtMk
ーよかった!気がついたんだね!大丈夫かい?無理しちゃダメだよ?

パイプ椅子が倒れることも気にせず、私を気遣う者がいた。その男は私が起き上がる様子を見てか、安堵が顔にはっきりと浮かんでいる。それを見たとき、私を心配していたことへの嬉しさより、顔を合わせたくないという自責が勝った。私の失態を、見ていただろうから。

『…演習は?どうなったの?』

今更聞いてどうするんだ。分かりきってるはずじゃないか。でも私はそれを認めたくないんだ。きっと何かの間違いじゃないかって、信じたくて。

しかし彼は、首を横に振る。

やはり、現実だったのだ。自分の失態は。

ーそれじゃあ、後は医療班に任せるから。ゆっくり休んd

『なんで、怒らないの!?』

半ば、逆ギレに近い。みっともない。敗戦の将の遠吠えなど、ただの恥に泥を上塗りするだけだ。それに加え、自分の失敗を責められないことへの不安が、何よりも言葉を駆り立てていた。

もう、私は使われないかもしれない。

もう、私はいらないのかもしれない。

艦娘として生まれ落ちた意味は、なんだったのか。

いやだ、いやだ、いやだ。見捨てないで。まだやれるのに。

そんな不安と焦りに心中が呑み込まれようとしたその時、彼は振り替える。

ー自分でわかっているんだろ?何故負けたか、何故傷を負ったか。

ーそれに、初めてわかっただろ?自分に対して、はっきりと向けられる殺意が。それに対して弓を引くことの怖さが。そして、一瞬という時間の大切さ、もね。

ー君は聡い人だ。きっと自分で何が原因なのか、分かっている。何がいけなかったのか、気付いている。そう思うから、今は怒らないよ。

ー失敗なんて誰でもある。勿論、僕にだってある。次の演習までにしっかり調整できれば、糧にしてくれたら、それでいいよ。

ふんわりといつもの笑みを浮かべ、そう話した。心の蟠りが、するするとほどけていく。まだ次がある。信じてくれる。使ってくれる。役に立てる。そう思うと、目頭にじわりと熱い何かが込み上げてくるのを感じた。

ーそう信じているから、今は何も言わないさ。ちゃんと傷は、治しておくんだよ。それじゃ。

『あのっ…!ごめん、なさい…提督っ、さん…』

何故か、そんな言葉が零れた。ここで言わなければ、きっと言いそびれると思ったから。今言わないと、意味がないと思ったから。えぐついて、それ以上の言葉は、出なかった。

ーその言葉は随伴艦の娘達にも言わないとな。謝礼参りは僕も付き合うから、今はゆっくり休むんだよ。それじゃ。

掛け布団を握りしめる。口の端から溢れる呻き声は、どうにも抑えられない。この涙は悔しさなのか、安堵なのか。今はベッドの上で、丸くなるしかなかった。

90名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 20:51:00 ID:e5WCvtMk
瑞鶴の入院した部屋を確認したところで、中から見慣れた軍服が出てきた。提督はあれからずっと瑞鶴についていたことから、恐らく妹は目を覚ましたのだろう。安心した。

ーすまないね、書類仕事全部任せっきりで。姉である君が一番側にいるべきなのに。

そう言って頭を下げてきた。病室からは…微かに泣き声が聞こえる。演習とは言え初めての出撃だ。前日あれほど嬉しそうに話していただけに、こうなるのも然るべきだろう。

『提督…まさか、瑞鶴を泣かせたんじゃないでしょうね?』

提督が慌てふためき、わたわたと何か色々と言葉を重ね始める。勿論、目の前の男性(ひと)がそんなに簡単に人を傷つけないのは、誰よりも側にいる私が知っている。ただ理由はどうあれ、妹を泣かせたその場に居たことは間違いない。それに対する軽い罰のようなものだ…が、それにしてもこの反応は、なかなか面白い。くすくすと笑いが零れた。

ー申し訳ないが瑞鶴のフォローを頼む。後の仕事は、僕がなんとかするから。今日はありがとう。

そう言うと、颯爽と駆けて行った。



…瑞鶴が、羨ましかった。

瑞鶴の異変に気付き、いち早く演習中断の笛を鳴らし、誰よりも早く妹の元に駆けつけたのは、提督だ。そこまで、大切に思われていることへ、ひそかに嫉妬していた。
何よりその後に、瑞鶴を抱えて速やかに医療班へ引き渡した。俗にいう「お姫様抱っこ」である。私ですら、されたことがないのに。きっとあの怪我で意識はなく、抱えられた記憶すらないかもしれない。それでも羨ましかった。

憧れの人に、抱きとめられたという事実そのものが。

病室の前で、瑞鶴の泣き声を聞きながら、想う。

貴女は、幸運艦なのだと。

そう考えながら、病室の扉を開けた。

91名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 20:57:32 ID:e5WCvtMk
いろいろ感想レスありがとうございます
毎日更新したい気持ちはあるのですがSS本格的に書くの初めてなもので…
長いスパンをかけてフラグを積み上げていく過程を書くのは難しい

それでは

92名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 21:15:56 ID:fIph/BH6
処女作がこの完成度とかこいつすげえ天才だぜ?(称賛)

93名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 21:52:40 ID:J49gi5Jk
お前の処女SS気持ちいよ!(褒める) 続きお待ちしてナス!

94名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 22:01:56 ID:srjJ4ZiE
(SS初めてでこのクオリティとか)うっそだろお前!
(極上の泥沼恋愛劇を)お待ちしてナス!

95名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 22:19:01 ID:yjdYU8Dg
他のSS兄貴たちと競うな 持ち味をイカせッッ

96名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/15(木) 22:28:40 ID:BiY17aCY
処女作がコレとか自分自信喪失いいっすか?

97名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/16(金) 15:08:29 ID:RK4JUbbU
あぁ^〜イチャイチャドロドロたまらねぇぜ!
濡れ場に備えて精子溜めて待つぜ

98名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/16(金) 21:31:58 ID:d/zvZxBs
ーはい、提督。少し休憩にしませんか?

書類の数字とのにらめっこはそこで終わった。顔を上げると、翔鶴が微笑みながらお茶とお菓子を差し出している。暑くなろうという時期なのに、それに似つかわない湯けむりが昇る湯飲み。最初の頃は困惑していた彼女も、今となってはそれが普通だと言わんばかりに差し出してくる。「熱いお茶の方が冷茶よりも身体を壊すことなく体温を下げられるから」とは、仕官学校時代の恩師から教わったものだ。今でもそれを忠実に守り続けている。
ほうじ茶をすすりながら外を眺める。この時間帯であればまだ水雷戦隊の訓練の真っ最中だ。駆逐艦達がランニングをこなしており、その中には…駆逐艦に混ざるにしては似合わない長身とツインテールが揺れている。正規空母である彼女ー瑞鶴もまた、訓練に精を出している。

ー航空戦だけじゃダメ。基礎体力も、接近戦も、判断力も、私には何もかも足りない。だから、やれることをやっておきたいの。

そう志願して、自ら水雷戦隊の訓練への参加を要望してきた。「訓練後には水すらも喉を通らない」とまで恐れられている厳しいメニューを、だ。しかしそれでも瑞鶴は、きっと途中で辞めない。最後までやりきってくれる。そう信じさせるほど、彼女の目には闘志と使命感が揺らめいていた。それほどまでにあの失態は、いい薬になったようだ。
しかしその生真面目さこそが、心配だった。事務作業も減らさなくていい。これまでの一切を変えることなく、それに地獄の特訓を加える。そんな無理が長く続くわけがない。だからこそ、その部分は叱責しておいた。教え子の希望と無理を天秤で図り、裁量を下すことも師たる者の使命だから。

ーねぇ、提督。あの子…瑞鶴を、どう思いますか?

翔鶴が、ふっと聞いてきた。姉として妹が心配なのは当然か。それにしても聞き方がどうも抽象的だ。頭がよく回る女性にしてはこういう返答に困る質問は珍しい。言葉を選びながら、ぽつぽつと答えを口にする。

99名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/16(金) 21:32:27 ID:d/zvZxBs
ーそうだなぁ…あそこまで生真面目な娘は、加賀以来か。実際、「水雷戦隊の訓練に混ざりたい」なんて言い出したのは、瑞鶴と二人だけだったからな。この間の大規模作戦で第一功だったようだし、瑞鶴もきっと負けず劣らず前線で活躍してくれるよ。

ーしかし真面目すぎるからこそ、自分が自分がと自らに重石を乗せすぎる。そこの自制が出来ないのが加賀との違いかな。配属先はちゃんと考えてあげないとね。

ーああいう娘は好きだよ。育て甲斐がありそうだし。このまま心の芯を真っ直ぐなまま、自分を高めて欲しい。そう思ってる。

『好き』という言葉で、胸が傷んだ。

優しくて誰にでも分け隔てない彼が、誰かを好きと言うのは珍しいことではない。恋愛感情ではなく、教え子としての『好き』なのだろう。分かっている。分かってはいるが、それでも瑞鶴に対して、本当に恋慕の情があるのではないか。そう思うと胸が締め付けられる。
最近、眠れないのだ。もし仮に、瑞鶴がこの男性(ひと)を好いたとして、その時私は一体どうすればよいのか。身を引いて自分を傷つけるか、我を通して妹を傷つけるか。どちらにしても誰かが傷付く。そう思うと、眠れない。円満に、みんなが幸せになれる方法はないのか。そんなことを考えるようになった。

『それじゃあ…私は、どうですか?』

あの言葉を、聞きたかった。私にも、言ってくれるのかどうか。知りたかった。

ーん?翔鶴について?そうだな…

ー自分の現状の把握と理解が早いし、立ち振舞いも上司の気立てもいい。それは事務や戦線に関わらず、ね。

ー君なら何処に出しても問題なく、裏方から第一線にかけて活躍できる。そういうユーティリティさがいいところかな。

ーただ、君は優しすぎるきらいがあるからね。誰かが下についたとき、ちゃんと怒れるかどうかが大事だと思うよ。

ーこんなところか…って翔鶴?なんで怒ってるんだい?何か悪いことでも言ったかい?気に触ったなら謝るから…すまん、いや、ごめんなさい。



…提督の、いじわる。

100名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/16(金) 21:34:51 ID:d/zvZxBs
ー馬鹿を言うな!そんなハードワークで身体が持つわけないだろ!病み上がりなんだから少しは自分を労れ!また怪我したいのかお前は!

ーそんな無茶してたらいずれ潰れるぞ!自分の責任を重く感じるのは分かるが、焦りだけでどうにかなるもんじゃない!何もかも背負おうとするな!分かったか瑞鶴!

思わず、圧倒された。「そこまで大声を出さなくても」とか「自分で分かってるだろうから、なんて言ったのは提督さんじゃないか」とか…そんな恨み節を考える前に、声を荒げる提督さんに驚いた。「普段から優しい人ほど怒らせると怖い」とはよく言うが、本当だった。
強くならなくちゃいけない。そのためには艦種の垣根を越えて、自分の弱さをカバーしなくてはならない。そう決意した私は「天国のような鎮守府で一番の地獄」とまで噂される、水雷戦隊の訓練へ参加を要請した。それを認めてくれたまでは、よかった。

『今までの事務や空母としての訓練はそのままでいい。これは私の我儘だからー』

そこまで言ったその時、机を叩く音で全てが遮られた。後は早口で捲し立てられ、まるでスコールが降ってきたかのような怒声が、私に浴びせられた。
何がいけなかったのか、何が逆鱗に触れたのか、何故叱られたのか。それを知らされる。この間失敗したばかりなのに、また自分の浅ましさを思い知らされた。

ー…事務と水雷戦隊の訓練参加は隔日でやること。空母としての訓練は事務の日のみ。訓練日は終わり次第ちゃんと身体を休ませる。この条件なら許可するよ。

そんな提案が、彼の口から発せられた。顔を上げるといつもの笑顔がそこにある。さっきまでの閻魔はなんだったのか…怒声を浴びたばかりでしょげている、こっちの気持ちになって欲しい。



しかし、今になって思う。これは提督さんなりの気遣いだったんだ。私のことを気遣い、私の成長を心から願い、支えてくれている。ああまでして怒鳴ってくれた。怒ってくれた。止めてくれた。それが、嬉しかった。

ーそれに…優しくて、いい方なのよ?

翔鶴姉がそこまでして褒める理由も、分かった気がする。

ぶくぶくぶくぶく。浴槽に身を沈める。その口元は何処か、緩んでいた。

101名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/16(金) 21:37:00 ID:d/zvZxBs
なんとなく筆がノったので二日連続の投稿です
翔鶴目線が加わり三人分で文章が重くなってる気がします
読みにくくてすみません

それでは

102名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/16(金) 21:43:54 ID:AIj9S0f.
ねぇ(描写が丁寧だから各キャラの気持ちをしっかりと)感じちゃう!
(思い入れ強くなりすぎて今後の展開で)マジで亡くなったらどうしよう

103名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/16(金) 21:59:36 ID:o6XYGNIc
この先の展開が楽しみでもあり怖くもありやば…やば…わかんないね…

104名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/20(火) 01:36:07 ID:3AdgBxJY
帝都は、活気に溢れていた。

深海棲艦との戦いは日夜予断を許さない。しかし本土への脅威も初期に比べれば、ぐいぐいと戦線を押し戻しつつある。これも一重に我々軍部の成すところ…とまぁ、自分で言ってしまうと手前味噌そのものだ。しかし私にとって最前線での戦いなどはるか水平線の向こうでの出来事。他人事に近いものがある。

ー提督?どうされました?

翔鶴はケーキをつつきながら、私の思い耽りの中をを覗こうとしている。誤魔化すように、ストローで自分のグラスの中身を吸い込む。仄かに苦く、鼻を突き抜ける香りを残し、喉を潤す。アイスコーヒーの清涼感はこの時期には堪らない。

『いや…ここのコーヒーは変わらないな、と思ってね。これを飲み終わったら行くとしようか。』

ーはい、提督♪

そうは言っても目的地はここの上層だ。そこまで時間もかからないし、急ぐ必要もない。それにお相手は時間にルーズで、待たされることだってあり得る…それならここで寛げるだけ寛ぐのも一つの手ではあった。

年に一度の報告。それは一つの鎮守府を預かる者に与えられた責務の一つだ。しかしそんな大事なイベントを大半の提督は、文面と代理人を通してさっさと終わらせてしまう。不安定で一瞬の予断も許さない最前線なら尚更だ。むしろ私のように逐一顔を見せ、こまめに自分の口から報告するような者は暇人か変わり者とまで呼ばれ、奇特な目でみられる。
だが私のような中継を担う者こそ、大本営とのパイプを持つことが必須なのだ。現地と大本営の擦り合わせには、何処かしらに無理というものが生じる。その無理を通すためには、『上』に顔が利くような大人物とのコネが必要になってくるのだ。こうして顔を見せるのも、可愛がってもらいつつ顔を売っておくための手段なのだ。…そんなことをしなくとも、その人物とは旧知の仲ではあるのだが。

105名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/20(火) 01:37:53 ID:3AdgBxJY
ー次の定期報告で私にお供させて下さい。それなら許してあげます。さもないと…次からお茶菓子抜きですからね。

軽い問答で拗ねてしまった翔鶴はそんな提案をしてきた。彼女がそんな我儘を言うのは非常に珍しい…いや、初めてかもしれない。いまだに自分の返答の何が逆鱗に触れたのか…今思い返しても結論が全く出ない。しかもそれを教えてくれないときたから困ったものだ。物の言い方が悪かったんだろう…自分の不出来を指摘されて不貞腐れるほど、彼女は子供ではないはずだ。

それに報告にあたって艦娘が連れ添うことは特別なことではなく、むしろいつものことだ。戦力の補充やバランスを考え、本人の能力に合わせた鎮守府へと推挙する。そういう意味も込めての随伴である。有望な者であれば活躍する場の選択は特に重要だ。そんな半ばアイドルのプロデュースじみた苦労のお陰で、各地で教え子達が活躍できる。
しかしそんな僕の思惑とは裏腹に、艦娘の面々はそれを楽しみにしている節がある。何せ国の全てが集まる帝都…年頃の女の子向けの流行、ファッション、娯楽、スイーツなどそこらじゅうにある。『随伴艦になれば帝都で遊べる』などと吹聴する者までいる始末だ。滞在時間の大半が冴えない男とつまらん爺さんとの雑談に消えると聞かされたらどんな顔をするか…遊ぶどころか罰ゲームの類いとすら思える。

それにしても翔鶴が何故そんなことを言い出したのか…彼女も帝都の空気を吸いたかったのだろうか。実際に目の前で流行りのケーキを頬張る顔には隠しきれない笑顔が溢れている。年頃の女の子と洒落た喫茶店で二人…となると、端から見ればカップルのデートそのものだ。私にとっては眼福であり至福ではあるのだが、彼女の立場はどうなのか…楽しそうだし、そんな詮索は野暮だろう。
財布から紙幣を取り出す。たかだか一皿のケーキのために払う額としては眉唾ものなのだが、翔鶴がご機嫌なようなので良しとしよう。

107名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/20(火) 01:43:24 ID:3AdgBxJY
この土日は全く筆が進みませんでした…
そのお陰で今回は結構文章が雑な気がしてなりません。イカンイカン

それでは。

108名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/20(火) 11:45:05 ID:bm/5UcCg
翔鶴がんばれ

109名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/22(木) 11:09:47 ID:Aovl7j7Y
恋する乙女

110名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/24(土) 08:04:48 ID:ofe.YlHM
翔鶴ENDも書いて下さい、オナシャス!

111名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/28(水) 00:48:00 ID:rWcG8llY
ーワハハハ!ついにそんな年頃の娘なんぞ連れてきよって!身を固める報告にでも来たか!仲人くらいはしてやるつもりだったのになぁ!

…おちょくるにしたってもう少し品のあるジョークを言ってもらいたいものだ。隣の翔鶴もそんなジョークへの返答に困ってか、苦笑いをしている。私が独り身であることを憂慮してくれるのは悪いことではないが、よりによってそれを部下の目の前で言うこともないだろうに…。しかしこの好好爺の性分は昔から知っていたことだ。諦めよう。
ため息をつきながら翔鶴の紹介をした…と言っても、彼女も配属で世話になったはずだ。お久し振りです、という一言と共に頭を下げた。目尻を下げながら息災を喜ぶ姿は、まるで孫の成長を祝うかのようだ。話も弾みそうだし、まずは彼女の配属先の都合でも聞いてもらうことにしよう。こういうところは話が早くて助かる。

目の前の白髪の快活な年寄り。私の仕官学校時代の恩師に当たる人物だ。落ちこぼれだった私に軍事行政の才覚を見いだし、今の鎮守府への着任を口添えしてくれた過去がある。今の私があるのも、一重にこの爺さんのお陰だ。
戦線の拡大と勝利ばかりが提督ではない。後方支援として物資や戦力を広い目で支援し、後身を育成して陰日向に軍部を支える。そういう道もあると勧めてくれた。今となっては天職そのものであり、その天職へと導いてくれたことは感謝してもしきれない。毎年の面前での報告はそういう謝辞の意味も含んでいる。
しかし彼の立場から言えば「私の面倒事を全てお前に押し付けてしまった」という負い目があるらしい。教壇を離れ上司・部下となった今でも目をかけ、何かと無理を聞いてくれている。それが恩師なりの罪滅ぼしのつもりらしい。

ーさて、まずはその娘の配属先の検討からか。それともお前が嫁に貰うって言うなら便宜は図るぞ?

そこまでして彼が伴侶をめとれという理由は一体何なのか…人生の経験からだろうか。隣の翔鶴も何故か顔を背けている。来年逢うときまでには、結婚以外でのジョークをお願いしたい。そう思いながら、定期報告の座は始まった。

112名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/28(水) 01:06:10 ID:rWcG8llY
NGワードにひっかかったので推敲中です…
ぐぬぬ

113名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/28(水) 01:14:17 ID:rWcG8llY
ーすまなかったな、ああいう爺さんなんだ。色々セクハラ紛いなところもあったけど、悪い人じゃないんだよ。ごめんな。

建物を出るや否や、提督は頭を下げてきた。悪い人ではなかったし、むしろお茶目な人だ。報告の時にも提督との話を吟味し、然るべき結論と決断を出せていた。目の前の人が師事する理由も頷けるほどの聡明な上司であることは明らかだった。
大丈夫ですよ、気にしてませんから…いくつかの言葉を重ね、ようやく提督は頭を上げた。

ーそれにしても思いの外早く終わったね。チェックインもまだ時間があるし、もう少しぶらつこうか。

西陽は刺し始めているが、いまだ行き交う人々は絶えていない。帝都の活気はこのまま夜まで続くようだ。鎮守府のある地方では昼下がりにはバタバタと店が閉まり、夜に向けての仕込みに入ってしまう。これまでの生活ならばこの時間に外を歩き回ることはないのだ。しかしこの賑わいではそんなこともなく、この中途半端な時間でも営業が続けられている。まだこの人とのデートができる。そんな嬉しさに、胸が高鳴った。

『はいっ、提督♪』

ぎゅっ、と提督の腕に絡み付く。もう少しだけ、二人の時間を過ごしたい。そんな思いが行動に出た。巻き付かれた腕の主は突然のボディタッチに戸惑いを隠せないらしい。しかしそんなことはお構い無しと、さらに肩に頭を預けてみる。観念したのか、街の雑踏をかけ分けるように歩みだした。彼のエスコートが、胸をさらに高鳴らせる。

「身を固める」という冗談を聞かされた時、心が跳ねた。まるで私の心を見透かすような言葉に、驚きと戸惑いを隠せなかった。どんな反応をしてよいか、分からなかった。
「嫁に貰ってもいい」という冗談に、心が踊った。まるで私の想いを叶えるかのような言葉に、ちょっとした気恥ずかしさを覚えた。どんな顔をして隣の男性を見ればよいか、分からなかった。

提督は最後までそのジョークへ返答することはなかった。いつものこととばかりに、あっさりと聞き流していたから。「やっぱり、私には脈はないのかな」という、一抹の寂しさを感じた。
しかし今こうして彼に寄りかかり、歩みを進めている。振り払うこともなく、私を導いてくれる。それだけでも、嬉しい。貴方への想いが、より強くなるのを感じる。

このまま、時が止まってしまえばいいのに。

憧れの男性の傍で、密かに願う。

114名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/28(水) 01:17:01 ID:rWcG8llY
NGの理由が分かったので初投稿です
多忙のため丸々1週間投稿なしの上にとんでもない駄文で申し訳ありませんでした
ちなみに翔鶴とにゃんにゃんするは次回までです

それでは

115名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/28(水) 01:18:15 ID:PKF9bVoc
アンタはいいSS作者だな、尊敬するよ

116名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/28(水) 01:42:58 ID:YglxTOLE
お前の投稿を待ってたんだよ!

117名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/28(水) 07:06:35 ID:g3hUdODM
あぁ^〜

118名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/07/02(日) 21:19:03 ID:lI8HtwgA
みたーいみたーい続きが早くみたーい

119名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/08/04(金) 01:42:39 ID:Ba6SWW/k
ーそれじゃ、乾杯といこうか。はい。

提督の手に持たれたグラスが私の方に伸びてくる。それに寄り添うように私もグラスをそっと近づけ、優しく打ちつける。乾杯ーその時響いたはずの細く高い音は、バーを彩るジャスの音楽や喧噪のなかに消えた。

窓の外には光の球が溢れていた。赤や緑、青に黄…その向こうにはネオンで彩られた文字や造形が見える。昼に見せたはずの若者向けの鮮やかな街並みは、夜には大人を誘う妖しげな雰囲気をまとわせる。この国で最も人の集う場所…帝都の顔がそこにあった。鎮守府で私たちの帰りを待っているであろう、瑞鶴が憧れた帝都とは全くの別世界。そんな光景を見下ろす場所で、私達はグラスを交わしている。

ーそれにしても珍しいね。お酒に弱いはずの翔鶴が、「一緒に飲みたい」だなんて。

『当たり前です。それとも提督は…私を1人部屋に置いて楽しむつもりだったのですか?』

むすーと頬を膨らませる。提督が苦笑いしながら謝ってくる。下戸であることは事実なのだが、それを差し引いても「泊まりへ連れ立った女性を部屋に1人置き去りにしてバーに行く」という暴挙は、到底許されない。この男性(ひと)が何処か抜けていることは知っているが、女性との―それも1対1での付き合いにおいてはそれが顕著だった。私の気持ちも知らないで。そう思えば尚更だ。

…目の前の男を想い始めた時から、知っていたことではあったが。

鎮守府は艦娘に、女性に溢れる場所だ。そんな場所で女性を相手に話をして、戦略を、育成をしなくてはならない。そこに「上司と部下以上の関係」を持ち込むことは、誰か一人を「特別」にすることは、組織の長として許されないもの。だからこそ提督は私達との会話において、一定の距離を取るような雰囲気を感じさせる。朴念仁なところも演じているのか、それとも無意識なのか。どちらにしても、酷い人だ。


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