したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

瑞鶴「えっ……翔鶴姉の好きな男性のタイプ?」

113名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/28(水) 01:14:17 ID:rWcG8llY
ーすまなかったな、ああいう爺さんなんだ。色々セクハラ紛いなところもあったけど、悪い人じゃないんだよ。ごめんな。

建物を出るや否や、提督は頭を下げてきた。悪い人ではなかったし、むしろお茶目な人だ。報告の時にも提督との話を吟味し、然るべき結論と決断を出せていた。目の前の人が師事する理由も頷けるほどの聡明な上司であることは明らかだった。
大丈夫ですよ、気にしてませんから…いくつかの言葉を重ね、ようやく提督は頭を上げた。

ーそれにしても思いの外早く終わったね。チェックインもまだ時間があるし、もう少しぶらつこうか。

西陽は刺し始めているが、いまだ行き交う人々は絶えていない。帝都の活気はこのまま夜まで続くようだ。鎮守府のある地方では昼下がりにはバタバタと店が閉まり、夜に向けての仕込みに入ってしまう。これまでの生活ならばこの時間に外を歩き回ることはないのだ。しかしこの賑わいではそんなこともなく、この中途半端な時間でも営業が続けられている。まだこの人とのデートができる。そんな嬉しさに、胸が高鳴った。

『はいっ、提督♪』

ぎゅっ、と提督の腕に絡み付く。もう少しだけ、二人の時間を過ごしたい。そんな思いが行動に出た。巻き付かれた腕の主は突然のボディタッチに戸惑いを隠せないらしい。しかしそんなことはお構い無しと、さらに肩に頭を預けてみる。観念したのか、街の雑踏をかけ分けるように歩みだした。彼のエスコートが、胸をさらに高鳴らせる。

「身を固める」という冗談を聞かされた時、心が跳ねた。まるで私の心を見透かすような言葉に、驚きと戸惑いを隠せなかった。どんな反応をしてよいか、分からなかった。
「嫁に貰ってもいい」という冗談に、心が踊った。まるで私の想いを叶えるかのような言葉に、ちょっとした気恥ずかしさを覚えた。どんな顔をして隣の男性を見ればよいか、分からなかった。

提督は最後までそのジョークへ返答することはなかった。いつものこととばかりに、あっさりと聞き流していたから。「やっぱり、私には脈はないのかな」という、一抹の寂しさを感じた。
しかし今こうして彼に寄りかかり、歩みを進めている。振り払うこともなく、私を導いてくれる。それだけでも、嬉しい。貴方への想いが、より強くなるのを感じる。

このまま、時が止まってしまえばいいのに。

憧れの男性の傍で、密かに願う。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板