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男「お願いだ、信じてくれ」白蓮「あらあら」
1
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/01/20(水) 05:32:56 ID:GS4PMXIs
このSSは東方の二次創作であり、
男「どこだよ、ここ」幽香「誰!?」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/14562/1388583677/
男「なんでだよ、これ」ぬえ「あう」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1400909334/l50
の続きとなっております。
そちらを先にご覧くださると幸いです。
また、オリジナル設定、オリジナルキャラ、東方キャラクターの死亡などが含まれますので苦手な方はご注意ください。
2
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/31(日) 13:47:37 ID:XgeRv3Xc
ついに来たか!
3
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/04(木) 19:38:32 ID:ZoC2rh9w
待ってるぜ
4
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/04(木) 22:54:03 ID:NL00n2MQ
きたか
もう一回読み直そうと思ったけど最初って男「幻想郷で就職活動」だっけ
5
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/07(日) 19:03:12 ID:jstMnAKA
キタ。・:+°・:*+.\(( °ω° ))/.:+。・:+°!!!!
6
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/15(月) 17:52:13 ID:TttZ6qoM
映姫の時が一番面白かった
7
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/15(月) 22:15:14 ID:ZGz48Y1c
とりあえず前スレ埋まったね
8
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/19(金) 15:00:26 ID:F23eG3xs
あくしろよ
9
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/21(日) 02:55:45 ID:XoNCUs7g
待っとるよ��
10
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/21(日) 22:48:54 ID:2wQPMBDs
舞ってる
11
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/22(月) 20:41:12 ID:FzCt4wK6
ナズーリンはよ
12
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/28(日) 03:02:39 ID:8v1blu9.
期待
13
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/08(火) 18:19:01 ID:miUNNaZg
続き待ってる
14
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/16(水) 11:52:58 ID:W7FJsV4Y
まだか…
15
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/16(水) 14:39:07 ID:IhOb07zA
全何部作なのこれ
16
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/18(金) 03:20:46 ID:4KvHGQKA
そろそろ二ヶ月かぁ
待ってるよー
17
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/27(日) 10:15:58 ID:1XpzRH9E
うーんこの
18
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/04/02(土) 13:57:56 ID:wuGZ03lI
まだかい
19
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/04/02(土) 18:26:09 ID:iijPpwg2
もう少しの辛抱だよ。多分
20
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 16:00:11 ID:ny/h//cc
男「よう、幽香」
俺がそう幽香に話しかけた直後に俺は地面に転がっていた。
幽香「誰貴方。私を知ってるってことは外の人間じゃないわよね」
倒れこんだ衝撃でむせる俺の首元にあるのは幽香の手。
無垢な少女の手のように思えるが実際は鉄板すらも引き裂く強力を持っている。
つまり幽香が少し力を入れれば俺は死ぬ。
男「参ったな」
幽香「誰なの。答えなさい」
男「あー、えっと、外から来た人間」
その答えに対し返ってきたものは無言と射殺すような視線。
男「………多分本当のことを言っても信じてもらえない」
男「けど俺はお前の敵じゃない」
幽香「あぁ、そう」
両手をあげて無抵抗を示しても幽香の手が俺から離れることは無い。
21
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 16:12:50 ID:ny/h//cc
男「分かった、取引だ。俺が知ってる幽香にとって良い情報を教える。それじゃだめか?」
幽香「なんで貴方が私にとって良い情報を持ってるのかしら」
それはとてもごもっともな質問だった。
その質問に対する答えは持っていない。正確に言えば幽香が納得できる答えを持っていない。
男「でも信じてもらわなくちゃ困る。俺のために。それにメディスンのために」
だから幽香が必ず耳を傾ける言葉を使うしかなかった。
効果は絶大。幽香は大きく目を見開き、そして俺の首にかかる手に力が入った。
幽香「どういうこと? 回答しだいでは握りつぶすわよ」
男「まずその手を………いや良い。そのままで良い。もう一度言うが俺は幽香の敵じゃない。むしろ味方と言っても良い。幽香、メディスン。それにアリスのな」
幽香「………」
幽香は俺を殺してしまってもいいかと思案しているようだった。
しかしその瞳がメディスンとアリスへの情で揺れていることは気づいている。あと一つ。あと一つ何かきっかけがあればこの状況を打破できる。
その一歩。俺の考えうる中で一番の効力を持つであろうその言葉は同時に下手を打てば幽香を激情させるだけの賭けを含む。
言うタイミングを間違ってはいけない。幽香が確実的にそれを聞き入れるタイミングを。
だから今はひたすら時間を稼ぐしか。
22
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 16:20:39 ID:ny/h//cc
幽香「私から見た貴方は限りなく黒。言わなくても分かると思うけど」
幽香「良かったわね。あなた。メディスンの名前出さなきゃ今頃私貴方を殺してるわ」
幽香「それで、メディスンが、どうしたって言うの?」
幽香笑う。
口元だけで。
まだ殺意が俺に向けられていることは明確だ。
男「………」
幽香「ほら、どうしたの?」
幽香の肩越しに天へ昇っていく白い煙が見える。
戦火の煙? 狼煙?
そういえばこの後。
人間「げっ!風見 幽香!!」
人間2「いや、倒せる、いくぞ」
人間3「承知!!」
そうだ。場所は違うがこいつらが来て―――
23
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 16:24:53 ID:ny/h//cc
幽香「!」
このタイミングだ。
男「メディスンの命が危ない!!」
幽香の意識が俺から三人へ向けられ、さらに相手が武器を持っている。このタイミングしかなかった。
幽香は地面に突き立てていた傘を抜き、向かってくる三人へ向けた。
閃光。一拍の後に轟音。
焼かれた視界が回復した後に見えたのは俺の顔に傘を向けた幽香の姿だった。
24
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 16:31:00 ID:ny/h//cc
失敗?
いや、成功だ。
幽香の顔から敵意は消えている。この傘はポーズでしかない。
俺は立ち上がり体についた雪を払い、幽香に対面した。
男「俺が今から言うことは全部真実だ。前提条件としてそれを理解してもらわなくちゃ困る」
幽香「で?」
男「俺は未来から来た」
そういった瞬間に俺の額に傘が当てられた。
幽香「道化?」
男「真実だ。撃ってもいいがメディスンはその場合助からないぞ」
幽香「そのメディスンを盾に取ったような喋り方が気に食わないわ」
男「それは謝るが、でも俺は人間で幽香は大妖怪だ。理解はしてくれ」
人間「げっ!風見 幽香!!」
人間2「いや、倒せる、いくぞ」
人間3「承知!!」
25
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 16:33:04 ID:ny/h//cc
>>24
ミス
失敗?
いや、成功だ。
幽香の顔から敵意は消えている。この傘はポーズでしかない。
俺は立ち上がり体についた雪を払い、幽香に対面した。
男「俺が今から言うことは全部真実だ。前提条件としてそれを理解してもらわなくちゃ困る」
幽香「で?」
男「俺は未来から来た」
そういった瞬間に俺の額に傘が当てられた。
幽香「道化?」
男「真実だ。撃ってもいいがメディスンはその場合助からないぞ」
幽香「そのメディスンを盾に取ったような喋り方が気に食わないわ」
男「それは謝るが、でも俺は人間で幽香は大妖怪だ。理解はしてくれ」
26
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 16:54:33 ID:ny/h//cc
幽香「私、実は弱い奴嫌いなの」
男「遊ばないでくれ。真剣なんだよ」
幽香「あらそう」
幽香はつまらなそうな顔をして傘を地面に向けた。
本当に幽香は分からない。メディスンの名前を出したのにまだふざけるとは思っていなかった。
俺がまだ信じてられないだけか。
どちらにせよ、あまり話は長くしたくは無い。
幽香「で、未来から来た貴方は何を知ってるの」
男「人間側が幽香の家に火を放つ。その結果としてメディスンは燃える」
幽香「………」
男「睨まないでくれ、事実だ。だからお願いがある」
幽香「なに」
男「メディスン、アリス、リグルを連れて逃げてくれ」
27
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 16:57:56 ID:ny/h//cc
幽香「………やっぱり貴方変ね」
男「何がだ」
幽香「私と取引して何をするかと思えば私たちに逃げろなんて」
男「幽香」
幽香「分かったわ。それが本当だとは信じてはいないけど、メディスンがそうなるという可能性は考えてなかったわ」
幽香が傘で地面を突く。次の瞬間幽香を中心として今まで咲いていたひまわりが次々にくたりとその身を地面に横たえていった。
幽香「ありがとう。変な人間」
男「男だ」
幽香「そう。それじゃあね、男」
降り続く雪から傘で身を守りながら幽香が静かに歩いていく。
俺はそれを見送り―――
男「あ」
移動手段が無いことに気づいた。
男「ま、待って! 待ってくれ幽香!!」
俺は慌てながら視界から消え行く幽香を追った。
28
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 17:14:02 ID:ny/h//cc
幽香「貴方、本当変な人間よね」
あきれたようで長いため息をつく幽香と俺は空を飛んでいた。
幽香の歩みは思ったよりも遅く、1分程度で幽香に追いついてしまった。
幽香に事情を話し俺は幽香に連れて行ってもらっていた。
翼の生えた幽香の飛ぶスピードは存外に速く、景色が後ろへ後ろへ流れていく。
前のように気絶はしなかったがそれでも空気の壁にぶつかる俺の顔はぐちゃぐちゃで幽香のように涼しい顔はできそうにない。
強制的に体の中へ進入する空気が苦しく、呼吸をするのも難しかった。
咳をするように呼吸をすること十数分、薄れ掛けた意識の中で目的の場所が見えた。
山の中に不自然に存在するこの場所
幽香「着いたわよ。命蓮寺に」
29
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 17:44:28 ID:ny/h//cc
幽香に地面に下ろされるのと同時に俺はひざをおって地面に手を着いた。
乾燥した口が切れて痛む。
何度か大きく息をしてやっと俺は立ち上がった。
響子「わわっ! 大変です!!」
目の前にいるのは小さな少女。俺の腹ぐらいしかない体躯から、俺の何倍もの大声をだした少女は箒を抱きしめて慌てていた。
至近距離から放たれた大声に耳が痛み、俺は耳を押さえた。
その隣で幽香は平気そうな顔で俺を見て笑っていた。
幽香「それじゃあもういいわよね」
男「え、ちょっと待って」
幽香「嫌よ」
にべも無く飛び去っていく幽香は何を言っても戻ってこず、幽香が翼で掻いた空気だけがその場に残った。
男「あー………悪い人じゃないです」
響子「に、人間です!!!!!!!!」
さっきよりもずっと大きい声。木々を揺らすほどのその大声を至近距離で浴びせられた俺が当然耐えれるわけは無く、揺れた脳みそは意識を落とすことで現状を回避しようとした。
30
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 18:22:01 ID:ny/h//cc
目を開けると体に違和感。身動きが取れない。
ぜんぜんというわけではないが腕は動かせないし、足も動かせない。
唯一自由に動く首を曲げて体を見ると縄が俺の体を縛り付けていた。
今俺がいる場所は薄暗くどこかの部屋の中のようだ。
白蓮「目を覚ましましたか」
男「………貴方は」
正座をして俺をじっと見る女性がいた。まず目に入るのは特徴的な髪の色。紫の髪が先に行くにつれ茶色へと変化していく綺麗なグラデーションの髪。
そして身を包むゴシック染みた黒と白のドレス。
白蓮「始めまして。私は聖 白蓮と申します。まずは貴方の自由を奪っていることを謝罪しましょう」
男「あぁ、分かってます。今の俺はただの危ない人でしかないですからね」
白蓮「一つ聞きたいことがあるのですが、なぜ命蓮寺に?」
男「………皆の力になるために」
嘘ではない。俺はじっと聖の目を見つめてそう言った。
俺の瞳の中を覗き込むようにじっと俺を見つめる聖だったが、数秒後に小さく息を吐いて俺の縄と解いた。
31
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 19:07:45 ID:ny/h//cc
ナズ「ちょ、ちょっと待ってくれ聖!。いきなり現れた人間を信用するっていうのかい!?」
少し凝った体をほぐしていると勢いよく障子が開かれさきほどの少女と同じ位の身長をした少女が入ってきた。
その頭にあるのは大きな耳。人間のものではない。ねずみのような形の耳が頭の上らへんに生えていた。
それと腰辺りに揺れるのは尻尾。
ナズ「もしこいつが人間側のスパイだったら」
白蓮「ナズーリン」
ナズ「でも、本当にスパイだったとき」
白蓮「ナズーリン」
ナズ「………警戒はさせてもらうからね」
ナズーリンはそういって俺を睨みつけ、俺の背後に立った。
害意が無いことを示すために両手を挙げてみるも、後ろから感じる視線は俺の首あたりにジリジリとした嫌な感じを植えつける。
白蓮「人を疑うことはよくありませんよ」
ナズ「聖が人を疑わないから私が疑ってあげてるのさ」
32
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/04/05(火) 19:32:45 ID:OY1y/v2g
ttp://bit.ly/1V6aEDi
拉致監禁
33
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 19:47:02 ID:ny/h//cc
白蓮「申し訳ありません。ナズーリンは悪い子ではないのですが、少し警戒心が強く」
男「いえ、疑われて当然ですし」
ナズ「そう、当然だよ」
男「ただ信じて欲しい。俺は敵じゃないんです」
男「だから」
木で出来た床に頭をつけて聖に懇願する。
俺じゃどうしようできない。
俺一人じゃどうしようもできないから。
男「俺を、助けてください」
34
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 19:55:54 ID:ny/h//cc
白蓮「あらあら」
ナズ「助けてくれ? 助けて欲しいのはこっちのほうだよ」
白蓮「ナズーリン」
ナズ「すまない。少し口が過ぎた」
白蓮「話を、聞かせていただけますか」
男「はい」
35
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 20:15:43 ID:ny/h//cc
男「この戦争を終わらせるために、力を貸してほしい」
ナズ「命蓮寺は戦争に不干渉さ。助けを求める妖怪は助けるがこっちからは攻めていかない」
男「そこを、何とか」
白蓮「………」
ナズ「決まりさ聖。頼みなんて聞かなくていい」
白蓮「しかし」
ぬえ「聖ー。さっきの人間にマミゾウが用があるってさ」
廊下から聞こえたのはぬえの声。振り向くとぬえがいた。
元気にして、普通に喋っているぬえが。
白蓮「あら」
男「ぬえ!」
ぬえ「………誰?」
36
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 20:18:49 ID:ny/h//cc
ぬえ「私、貴方のこと知らないんだけど」
男「………い、いや、なんでもない」
ぬえ「ならいいけど。それじゃあ後はよろしく、聖」
白蓮「え、えぇ」
ぬえが遠ざかっていく。ぎっぎっと廊下がたてる音が遠ざかっていく。
白蓮「あの」
男「………なんですか」
白蓮「なぜ貴方は今、そんな泣きそうな顔をしているのですか」
37
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 20:20:39 ID:ny/h//cc
男「おそらく、言っても、信じてもらえそうに無い」
男「きっと夢物語で済まされる」
男「でも、それでも」
男「お願いだ、信じてくれ」
さっきよりも強く頭を床に押し付ける。
白蓮「あらあら」
ナズ「人間。君はバカなのかい?」
男「分かってる、いきなりすぎて」
ナズ「違うよ。そうじゃない」
ナズ「聖は最初から君のことを信じてるんだよ。残念なことにね」
38
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 20:58:32 ID:ny/h//cc
白蓮「聞かせていただけますか」
男「………はい」
男「別の、別の世界の話です。俺は………ぬえを愛していた」
男「そして、ぬえも俺を好きでいてくれていた」
そう、俺はぬえが好きだった。いつも犬のように俺についてくるぬえが。
無邪気なぬえが。
俺を守ってくれるぬえが。
大好きだ。
男「でも、そのぬえは、さっきのぬえじゃなくて、でも、同じぬえで」
自分でも何を言ってるかが分からなくなる。
もうあのぬえとは会えないんだ。そう思うと胸が裂けそうなほどに苦しくて。
その苦しみは俺の口から枷をなくし、あふれ出した俺の感情は酷く支離滅裂なものだったが、聖は頷きながら俺の話を聞いてくれた。
溢れた涙がぽたぽたと床へと落ちていく。
流れる涙を拭うこともせず俺はひたすらぬえに対しての愛を吐き出し続けていた。
39
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 21:17:13 ID:ny/h//cc
一通り吐露をし終えると聖はすっと俺の真正面まで来て微笑んだ。
白蓮「仏教では、愛は執着であり、捨てるべきものであります。愛別離苦の苦しみから逃れるには執着を捨て―――」
白蓮「とは言いますが、愛別離苦こそ愛の証明であり、貴方がぬえを愛してくれていたことの証となります。大乗仏教における慈悲の心とはやはり愛から生まれ行くものであり貴方の中に芽生えたその痛みはきっと貴方のためになるのでしょう」
白蓮「貴方が愛し、貴方を愛していたぬえとの別れは死別よりもずっとつらいものでしょう。貴方が愛したぬえは貴方しか知らないのですから。でも、それでも必然の縁はぬえと貴方が出会えたことに―――いえ、いくらこのような説教をしても無意味ですね」
白蓮「ぬえを愛していただき、ありがとうございます」
聖が頭を下げる。それを見たナズーリンが少し不機嫌そうな顔で頬を掻いた。
ナズ「私は到底君が言ったことを信じれない。何か妄想をしているだけと考えたほうがよっぽど筋が通る」
白蓮「ナズーリン、それ以上は」
ナズ「それでもとりあえず話を聞かせて貰おうか。君がなぜ私たちに助けを乞うたのか」
ナズーリンが肩ひざを立てて座る。鋭く真っ赤な瞳が俺を真剣に見ていた。
そしてどこかでねずみがちゅーと鳴いていた。
40
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 21:19:35 ID:ny/h//cc
頭を上げた白蓮とナズーリンの前にて居住まいを正し、向き合う。
聖が全てを信じてくれるというのなら、俺は全てを打ち明けよう。
今から起こることでどれだけの血が流れるのか。
男「俺は―――未来から来ました」
41
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 22:54:20 ID:ny/h//cc
〜俯瞰視点〜
山の中に移動した命蓮寺。その敷地の中にある1本の木の葉を散らした木の枝にマミゾウは座り紫煙を燻らせていた。
ぬえ「まみぞー。伝えてきたよー、っと」
男がいる部屋のほうから駆けてきたぬえがぴょんと飛び上がりマミゾウの横の枝に腰をかけた。
少し大きく枝がしなり、ぬえは右手でしっかりと枝を握り、落ち着いた頃を見計らってそっと手を離した。
ぬえ「でもどうしたのさマミゾウ。あの人間が気になるって」
マミ「勘じゃよ。何かあると思っただけじゃ」
ぬえ「ふーん。あ、そういえばあの人間私のこと知ってるらしいよ」
マミ「なんじゃと?」
42
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 22:56:25 ID:ny/h//cc
口にくわえたキセルを離し、マミゾウが眉をしかめた。
ぬえ「どうしたのさ、マミゾウ」
マミ「儂は心配性でな。ただちょっと引っかかっただけよ」
ぬえ「何が?」
マミ「見た目から察するに外来人じゃが、なぜ外来人がぬえのことを知っておるのかが分からんのじゃよ」
少し考えたのちにマミゾウは懐から一枚の青々とした大きな葉っぱを取り出した。その葉っぱに紫煙を噴きかけ手を離す。
木の葉はゆらりゆらりとゆっくり落ちてゆき、その木の葉が地面につく前に一匹の狸がその葉っぱを咥え、どこかえ消えていった。
マミ「ちょっと色々探ったほうが良さそうじゃな。この戦争がどこへ行くのかを、の」
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