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男「お願いだ、信じてくれ」白蓮「あらあら」
39
:
ぬえ
◆ufIVXIVlPg
:2016/04/05(火) 21:17:13 ID:ny/h//cc
一通り吐露をし終えると聖はすっと俺の真正面まで来て微笑んだ。
白蓮「仏教では、愛は執着であり、捨てるべきものであります。愛別離苦の苦しみから逃れるには執着を捨て―――」
白蓮「とは言いますが、愛別離苦こそ愛の証明であり、貴方がぬえを愛してくれていたことの証となります。大乗仏教における慈悲の心とはやはり愛から生まれ行くものであり貴方の中に芽生えたその痛みはきっと貴方のためになるのでしょう」
白蓮「貴方が愛し、貴方を愛していたぬえとの別れは死別よりもずっとつらいものでしょう。貴方が愛したぬえは貴方しか知らないのですから。でも、それでも必然の縁はぬえと貴方が出会えたことに―――いえ、いくらこのような説教をしても無意味ですね」
白蓮「ぬえを愛していただき、ありがとうございます」
聖が頭を下げる。それを見たナズーリンが少し不機嫌そうな顔で頬を掻いた。
ナズ「私は到底君が言ったことを信じれない。何か妄想をしているだけと考えたほうがよっぽど筋が通る」
白蓮「ナズーリン、それ以上は」
ナズ「それでもとりあえず話を聞かせて貰おうか。君がなぜ私たちに助けを乞うたのか」
ナズーリンが肩ひざを立てて座る。鋭く真っ赤な瞳が俺を真剣に見ていた。
そしてどこかでねずみがちゅーと鳴いていた。
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