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みんなで文才晒そうぜ part2

1以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/18(土) 18:14:17 ID:mNOcI4dM
ここはお題に沿った地の文込みのSSを晒すスレッドです

・主に地の文の練習や批評・感想の場として使ってください
・次スレは>>990が(規制等の際には有志が)必ず『宣言』して立てる事
・気楽な雑談がしたい方は酒場や休憩所でどうぞ

【注意】台詞形式のSSは受け付けておりません

前スレ
みんなで文才晒そうぜ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1352992635/

お題>>2

385以下、名無しが深夜にお送りします:2014/11/05(水) 03:15:59 ID:ywgl/27Y
>>382
面白かった。こんなほのぼのしたのもいいね
ただ、文体が最後で変わるのが違和感あって惜しい。
台詞も文と違和感があるから、統一するとギャグじゃなくて文学的になりそう

>>383
これ、いいな。なんかにやけてしまった
素敵なオブジェって表現がいいね。文も読みやすいし、後味がいい

386以下、名無しが深夜にお送りします:2014/11/16(日) 01:19:45 ID:1rGhqi26
そろそろお題を変えようず


387以下、名無しが深夜にお送りします:2014/11/16(日) 01:30:27 ID:KpJDtqp.
看病

388以下、名無しが深夜にお送りします:2014/12/02(火) 08:58:21 ID:tkla9/LQ
ほしゅ

389いぬのたまご:2014/12/13(土) 23:13:40 ID:p4A8Y45k
まとまったお金が欲しい人はこちらへ

http://www.fc-business.net/qgesw/

390以下、名無しが深夜にお送りします:2014/12/13(土) 23:37:54 ID:D3Ebo.6s
いつの間にか一ヶ月近く経っちゃったしお題変えようか


391以下、名無しが深夜にお送りします:2014/12/13(土) 23:49:08 ID:vgH9JddM
いぬのたまご

392以下、名無しが深夜にお送りします:2014/12/15(月) 23:16:05 ID:f2IBkkiQ
業者のコテってのも嫌だし、でも書き始めてる人もいるかもだし「たまご」にしようぜ

393以下、名無しが深夜にお送りします:2015/01/07(水) 19:48:45 ID:4ojgP/u2
『いぬのたまご有り〼』
そこら辺で拾ったのであろうボロ板に、かすれ気味のマッキーで書いたような歪んだ文字のそれはどうやら看板だった。
思わず足を止めてしまったのは失態だがしかたがない。私は大の犬好きなのだ。
犬の犬好きと書きたいくらい犬が犬好きなのだ。おっと書いてしまった。愛してる。
私ほどの犬ラバーでなくても犬が卵を産まないことくらい知っている。
犬は胎生。あのコブ付きのうふんあはんを突っ込んでずっこんばっこんしたら、ちょめちょめからぬるりんぽ、と出てくるものだ。
そんなのだれだって知ってる。知らないなら私が教えてやる。教えこんでやる。身体になぁ。
話がそれた。
さて、その看板に目を足をとめた私が視線を上げると、ゴザの上に薄汚れたお兄さんがニタニタと黄ばんだ歯を見せている。臭そうだ。
「おい、お姉ちゃん。興味、あるのかい?」
思ったよりも甲高い声がその口から漏れた。話しかけられてしまった。どうしよう。
「いぬのたまごってなんなの?」
普通に返してしまった。なんといっても私はフランクが売りなのだ。フランク売りなのだ。愛嬌ひとつ二〇〇円。
「へへっ、こいつだよ。特別に見せてやる」
そう言ってごそごそとお兄さんが横においたズダ袋を漁る。何が出てくるのか、興味津々だ。
お兄さんが大事そうにそっと差し出した手の上にはおやおや何もない。
「どれさ」
「これだよ」
ひひっと、お兄さんが笑う。
「ちょうどいい、お姉ちゃんは犬が好きなようだし、預かっててもらおうか」
そういってふうと手の上を吹くと、なにか暖かいものが私の中に入ってきた。お腹の下のほうがほうっと熱を帯びる。
「ちょっ、ちょっと何したの?!」
服を捲ってみようにも、こう厚着ではままならない。せめて手で擦ってみるもなんの感触もない。
「三年後まで預かっててもらうだけさ。なあに、時が来たら勝手に出てくるから気になさんな」
「出てくるってなにがっ……」
わめき返そうとして目をあげると、もうそこには誰もいない。
「新年さ」
耳元で声だけがして、あとはふっつりと何もかもが消えてしまった。
あとはあの、謎の看板が残るばかり。それも風に流されてどこかへ言ってしまった。
よくわからないのだが、2018年は私の胎の中らしい。

394以下、名無しが深夜にお送りします:2015/01/07(水) 20:53:32 ID:5.V469Vo

「やあ元気かい? 突然で悪いけど、君が温めているその卵を渡してもらう」
 その申し出をすぐには理解できなかった。わたしは目をぎょろぎょろと動かし、彼女を観察する。
彼女によって、愛しい彼は殺された。残されたのは、彼との間にできたこの卵だけだ。
 わたしにはもう、この子しか希望はない。
「客人が来ていてね。お腹をすかせてるみたいだから、君の卵を食べてもらおうと思って」
 その理不尽な言葉に、眼球がぐつぐつと煮えたぎった。
 彼女の客、それは人間だろう。どうして人間の腹を満たすために、まだ見ぬ我が子を差し出さなければいけないのだ。
 もちろん要求は受け入れられない。わたしは彼女を殺してでも卵を守るのだ。
「おお怖い。君のそのスイカみたいな目玉、そのうち破裂するんじゃないかな」
 威嚇すると、彼女は肩をすくめてみせた。
「どちらにしろ、卵はもらうよ。君ら鳥はさ、卵も肉体も、食べられるためにあるんだから」
 そう言うと、彼女はいつの間にかわたしに近づいて、片手でわたしの首を締め上げてきた。
 ぐえ、と一つうめく間に、わたしの卵は彼の腕に抱かれている。
「それじゃ、確かに。また元気な卵を産むといいよ」
 悔しさと絶望と怒りから彼女をにらみつける。
 くちばしでつつくことさえできなかった。
 もうわたしには何もない。
 つがいである彼を殺したのは、彼女のくせに。
 三つの感情が入り乱れ、騒がしく羽をばたつかせる。
 それから少しの時間が経ち、彼女はまたやってきた。
 だが、手にはわたしの卵が乗っかっている。
「この卵がどういうものかって事情を話したらね、食べないというんだ。可哀想だから返してやれってさ」
 驚いた。人間にも慈悲深いものがいたのか。
 あまりにも嬉しくて、眼球がすぼんでしまった。
「だから君に返すよ。はい」
 卵は地面に叩き付けられ、わたしの前で割れた。散乱した中身は、わたしの。わたしの――――。
「さて、次は失礼な客人の相手をしてこなきゃ。どんな風に遊んであげようかな」
 命になりそこなった何かを見下ろしたまま、わたしはまだ動けない。
 膨らみすぎた眼球が割れ、その中身が卵と混ざる。

395以下、名無しが深夜にお送りします:2015/01/08(木) 22:40:48 ID:e2qKJwOI
「たまご」

女「そこの通りすがりの貴方。私のたまごはいりませんか?」
男「はい?」
女「ですから、私のたまごはいりませんか?今ならお安いですよ?」
男「あのーよく分からないんだけど「私のたまご」ってなんなの?」
女「よくぞ聞いてくれました!私のたまごというのはですねー」ゴソゴソ
女「じゃじゃーん!」タマゴドド-ン
男「うわっまあまあ大きいなぁ。ダチョウのたまごかな?」
女「な、失敬な!!ちゃんと私が産んだたまごですよ!」プンスカ
男「へっ?産んだ??」ワケワラカン
女「そうです!しかも今朝産んだばかりの新鮮なたまごですよ〜。それを今ならなんとこのお値段!」ユビサンボ-ン
男「へ、へー。三千円で売ってるもんなんだ...」
女「バカいっちゃいけません三百円ですよー。美味しいくて栄養満点ぜひどうぞ!」
男「えっ食べちゃうのこれ?」
女「何言ってんですかw無精卵なんだからいくら待っても何もうまれませんよー」
男「な、なるほど......うん、ひとつもらってもいいかな?」
女「はいまいどありー!三百円ちょうどのお預かりですねー。ではどうぞ消費期限は冷蔵庫で3日なので覚えておいてくださいねー」
男「あっはいどうも.....。おっまあまあ重たいんだなぁ」
女「ええ、今日のはなかなかの自信作です!しっかり味わってくださいねー。ではまたのご来店お待ちしておりまーす」ペコッ
男「はいどうもー」ペコッ
男「あれ?もういなくなってる」
男「まあいいや早速帰って料理しよーっと」


ー数時間後ー
男「早速作って食べてみたけど普通に美味しいなぁ」
男「あれ?でもこれってもしかして同じ人間を食べてることになっちゃうんだろうか.....?」

おわる

396以下、名無しが深夜にお送りします:2015/01/09(金) 22:36:09 ID:7WjLoCtY
男は言った。
「卵がほしい。卵さえあれば、鶏を育てることができる。鶏がいれば卵も手に入ると」

私は彼に卵を渡してみることにした。

一週間後。彼は私に言った。
「卵をください。今度こそは育てて見せます」
私は、前の卵はどうしたのかと彼に聞いた。

「卵は育てている最中に突然隕石が落ちてきて割れてしまいました」
私は彼に渡すために懐から卵を取り出した。

そこに女が現れて言う。
「この男の言うことを信頼してはなりません。彼はいつまでも孵らない卵に腹を立て、放り投げて割ってしまったのです」
彼女の言葉を受け、私は男を咎めるように見る。
彼は恥じ入った。

女は続ける。
「私に卵をください。私なら卵の孵し方を知っています。私なら立派に鶏まで育てて見せましょう」

私は彼女に言った。
「卵の孵し方を知っているのなら、彼にその方法を教えてやるべきだったのだ。命を大切にしない者にこの卵を渡せないな」
彼女は、納得のいかなさそうな表情で私を、そして男を見た。

397続き:2015/01/09(金) 22:39:20 ID:7WjLoCtY
2人が去った後、私は考える。

やはり面白いな。
素直な愚か者をだますの、ひねくれた賢き者を適当にやりこめるのも快感だ。

絶対に孵ることのない卵を片手に、、にやりと笑った。

398続き:2015/01/10(土) 00:37:41 ID:A4CFhxnc
またこの男はイタズラをされているな、と考えた。

アイツはいつも彼にイタズラをしかける。
そして、今もそうだ。
「ここに大人の鶏と、もうすぐ孵ってひよこになる卵がある。いつも世話になっている礼にどちらかをやろう。お前はどちらが欲しい?」
と男に問いかけている。

私は知っている。
鶏が本物そっくりな偽物であることを。

私は知っている。
あの卵がスーパーの特売で買ってきたものであることを。

そして私は知っている。
彼はそのどちらにも気づいていないことを。

彼はしばらく考えた後に、育てられる卵のほうが良いなどと言って卵を受け取った。
これから、彼は孵らない卵を必死に温め続けるのだろう。
本当にあの男は馬鹿だなあ。

「でも放っておけないよね」
私はそんな独り言をつぶやき、そして彼を見守ることにした。

399続き:2015/01/10(土) 00:38:43 ID:A4CFhxnc
彼は卵を握ってそれを見つめている。
それで卵を温めているつもりだろうか。そんなことで卵が孵るわけがなかろうに。

そうやって、卵を見つめてしばらく経った。

彼は突然卵を放り投げてきた。
私は慌ててそれをキャッチした。
そして彼を見る。

彼は、ふうと一息溜め息をついて寝転がっていた。

あんまり卵が孵らないから飽きてしまい、適当に放り投げたのか。そう推測した。
(延々と、二日も三日も卵を温めるようなことにならなくてよかった)
私も、ふうと一息溜め息をついた。安堵したのだ。

そして、手に握っている卵を見つめる。
とりあえず、これはもったいないので卵かけごはんにでもして食べよう。

400続き:2015/01/10(土) 01:11:48 ID:A4CFhxnc
正直に生きるのではなく、正直っぽく生きるのがミソだと思う。
誠実に見せて信頼を得て、そして信頼を利用して楽をする。

これが一番得をする。下手に警戒させるよりずっといい。

アイツが「鶏か卵か」なんて聞いてきた。
もちろん、鶏が偽物だということに気づいていたし、卵なんて無精卵だから孵るわけがない。
下卑た顔でニタニタとこっちを見ていたからたぶんイタズラなんだろう。
でも、まあタダで貰えるのだからもらっておこう。

さて、貰うのはオモチャか卵か。そんなのは悩むことではない。
花より団子。食べられるほうがいい。だから、私は適当な理由をつけて卵をもらうことにした。
騙されたフリをして説得したら、簡単に卵が手に入った。

401続き:2015/01/10(土) 01:13:40 ID:A4CFhxnc
さて、何を食べようか。
卵一個って地味に調理しづらいんだよな。
目玉焼き。スクランブルエッグ。卵焼き。そのどれでも、卵の量が少なすぎて小腹でさえ満たせない。
ふむ、困ったなあ。

そんな感じで思索をしているうちに、彼は突然気づいた。

(あれ、この卵すごい生暖かい)
彼はその原因を考え、そして卵がアイツの懐から出てきたことに思い出した。

彼は考える。この卵は記憶が正しければ、消費期限ギリギリだったはず。
この卵は腐っているかもしれない。
……はあ。最悪だ。食べれないじゃん。
彼は適当に卵を放り投げることにした。卵が地面に落ちて割れても、きっと土に帰ることだろう。

402以下、名無しが深夜にお送りします:2015/01/21(水) 22:29:44 ID:L/NU7XsA
たまには三題噺で「肩掛け」「月」「約束」

出展はここな
ttp://chocol.heteml.jp/soda/cgi-bin/sandai/sandai.cgi

403以下、名無しが深夜にお送りします:2015/01/24(土) 01:05:06 ID:tZ3iWmDg
 暦の上では春に近付いているとしても、現実的には寒い日が続いている。
肌を裂く冷たい風に身を竦めながら、私は約束を果たすべく足早に歩く。
深夜の人気がない街中を突き進んだ先は、小さな建物だ。古ぼけた建物だが、誰かが片付けているのか綺麗に手入れされている。

 扉を押し開いて中に入ると、玄関ホールに所狭しと置かれた展示物が出迎えてくれた。それらは建物のあらゆる場所に存在するようだ。
異常な光景に私は一瞬呑まれかけたが、頭を振って前進する。大抵の展示物には一瞥もせず通り過ぎたが、中には非情に興味深いモノがあった。
つい足を止めて眺めたいと思う時もあったが、その感情を抑えて先へ急ぐ。
 モノで溢れ、まるで迷路のような内部を進んでいくと、私は目的の部屋の前まで辿り着いた。

 部屋の前には番号が掛けられている。どうやら他の部屋の前にも番号が割り振られているらしい。
だがそれらが何らかの意味を成すとは思えない。目を離すと、番号は先程とは異なる数字を表しているのだ。
目的の部屋も例外ではなく、視線を変えた時には番号が変わっていた。まるで部屋が移動したかのような錯覚を覚える。
 いや、そんな事に気を取られている暇はない。私は部屋に押し入った。

 その部屋は簡素な造りだった。本棚にはファイル番号を表すラベルが貼られた本が数多くあり、あとは乱雑に雑多なモノが散らばっているだけ。
光源らしき物はなく、窓から差し込む明かりだけが頼りだった。
 窓から外へ視線を向けると、月が顔を覗かせている。どうやら約束は果たせそうだ。
 私はモノを押し退けて肩掛けバックを床に置き、バックの中を漁る。
この肩掛けバックの中には夢があるのだ。少なくとも私自身はそう思えるものが存在する。それをそっと窓辺に置いた。
 約束を果たしたという充足感と開放感が、私の中で満たされていく。
 私が置いた夢はどうなるのだろうか。そんな疑問が浮かんだがどうでも良いことだった。約束を果たした後など考えない。
恐らく本棚に仕舞い込まれた他の本同様、ファイル番号のラベルが貼られて納められるのだろう。
 それに対してどのような言葉が紡がれるのか。今の私には知る術などなかった。

404以下、名無しが深夜にお送りします:2015/01/24(土) 15:23:07 ID:zxtq.2ZE
>>403
>一瞥もせず
>部屋に押し入った
言葉の使い方がところどころ違和感覚えるし
>約束を果たしたという充足感と開放感が、私の中で満たされていく。
開放感って言葉使うなら、前の方で焦燥感とかどことなく追い詰められているような気ぜわしい感じだした対になる言葉使ったほうがいいと思うし
全体的に描写が甘くて今ひとつ想像できないけど話の雰囲気はいいと思いました。

405以下、名無しが深夜にお送りします:2015/02/28(土) 14:22:32 ID:Oh1sScns
age

406以下、名無しが深夜にお送りします:2015/02/28(土) 14:35:11 ID:Oh1sScns
腹が減る時間だよな
↓つまみ

407以下、名無しが深夜にお送りします:2015/02/28(土) 21:22:53 ID:kkkdF5ck

若干卑猥注意


「いやっ、そんな所つまま……だめです」

白い柔肌が腕の中で跳ねた。いつもと違う声に、高揚感を隠せない。
シーツを握りしめ震える彼女の手をそっと撫でる。

職場ではクールな彼女が、俺のベッドで乱れていた。アルコールのせいか、他の理由か、彼女の頬は赤く染まっていた。
酒と女は相性がいい。嫌なことを忘れるのには一番だ。電気もつけず月明かりの下、何度も重なり合った。

互いの息が溶け合う距離で、一息ついた。髪をそっと撫でると、彼女は猫の様に目を細めた。初めて見る柔らかい表情だった。
しかしすぐに、影を落とした顔を覗かせる。

「でも、いいんですか。私……」

続きを遮るように抱き締めた。
ふと違和感を感じて顔を上げる。つられて彼女も、俺の視線を辿ってしまう。

ドアの隙間を見て血の気が引いた。

「だ、誰ですか」

彼女の問いに、よく知る女性が姿を見せて答えた。

「その人の妻です」

ずっと、見られていた。

408以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/01(日) 19:39:50 ID:5uEBZprk
妻見w

409以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/02(月) 01:20:05 ID:YMoXNHMc
このオチ割と好きだわwww

410以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/07(土) 14:06:43 ID:E9OQxv3U
age

↓ビール

411以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/07(土) 15:31:43 ID:aV6gFL0U
我ながら馬鹿げた事に労力を使ったと思う。

耳が痛くなるほどに冷え切った空気の中、雪かき用の大きなスコップで新雪を集めては一輪車で運び、土手のように積み上げ重ねる。そんな作業を二時間もかけて作りあげたのが、大人ひとりが楽に入れる大きさのかまくらだ。
寒かったのは最初だけで、作業を終える頃には上着だけでなくセーターまで脱いでいるほど懸命に働いた。

そして更に小一時間を費やし中に一通りのものを運び込んだ頃には時刻は夕方に近づき、白い厚化粧に埋もれた周囲の景色は青紫に染まっていた。

ここは県内でも一番といっていい豪雪地帯、しかし私自身はこの地域の住人ではなく親戚の家を三日ばかり預かっているだけだ。

だからこそ目の前を覆う雪景色に、こんな子供じみた真似を堪えきれなくなった。しかしながらその努力の目的は子供に例えるには少々不純なものかもしれない。

暖をとるためを兼ねておこした七輪の炭が赤黒くちょうど良い火加減に落ち着いている事を確かめて、僕はそっと網の上に肉を置いた。
最高級とは言い難いがそれなりに値の張った牛肉は程よく霜降りの模様を呈しており、ちりちりという音をたてながら少しずつ火に炙られてその身を縮めてゆく。
裏返すのは一度だけ、そう心に言い聞かせながら待つ事およそ二分間。なんと長い事だろう、喉がごくりと鳴る。

重労働をこなした身体が求めているのは食べ物だけではない、むしろ渇きを潤す命の水こそを一番に欲している。それを知りながら自身で焦らしているのだ、もしかしたら私には虐げられて悦ぶ趣味があるかもしれない。
慎重に肉を裏返すと網の型が薄っすらと焦げ目に残る良い具合、反対の面は軽く炙る程度で良さそうだった。

座る傍らにこしらえたほぐしたままの柔らかい雪山に左手を突っ込み探ると、すぐ硬いものが指に触れた。半ば乱暴に抜き出したそれが纏う雪も拭わず、反対の手で栓を開ける。もうここまでくると欲望は止まらない。

七輪の横に置いた小鉢から粗挽きの岩塩をつまみ乱雑に肉にかけると、その粒を零さないよう箸で巻く風にして網から上げる。まだぶつぶつとたぎる脂に二度息を吹きかけて、それでも熱いと知りながら口に放り込んだ。

熱い、美味い、甘みと旨みだけでできているかのような肉と、わずかに存在を示しつつ主役をひきたてるに徹する塩。そう大きくもない身からこんなに汁気が出るのか、厚さにきちんと閉じられない口から溢れてしまいそうだ。

しかしまだだ、私の身体は最も欲するものを得られていない。
噛む必要などほとんどない肉を喉の奥へ追いやる寸前、左手に持った缶に口づけ一気に呷る。脂の旨みに満たされていた口が、香ばしい麦の香りに洗われてゆく。熱さはが冷たさに塗り替えられてゆく。

ちくちくとした炭酸の刺激に喉が驚き、それでも喜びの音を鳴らしている。アルコールを含む飲料は水分の補給に向かない、一気飲みなどこの歳になってするものではない、そんな事は心からどうでもよかった。

ごくんと最後の一口まで飲み干して目尻を指で拭うと、私はただ幸せの溜息をついた。さあ、二回戦だ。

412以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/07(土) 15:42:49 ID:aV6gFL0U
うわぁ、しまった
肉食ったとこ厚さじゃねぇ、熱さだ

413以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/19(木) 16:42:01 ID:dRWqd8gs
age
↓卒業

414以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/04(土) 13:57:45 ID:dXS7kQ16
つつがなく卒業式が終了したあと、内々に彼女を呼び出した。
さんざめく人波を縫って約束の場所へと向かう。校舎裏とは我ながらベタだと頭を掻きながら。
これが最後ともなれば、散々ダサいと罵られていた制服も惜しく、そして愛おしく思えるだろうか。
そのデザインを例にもれず嘆いていた彼女に、よく似合うと伝えたことは一度もないが、試してみるのも一興かもしれない。

校舎をはさんだ表側の喧騒が別世界に感じられるほど、蔭の落ちたその場所はひっそり静まっていた。
ふいに響いた私の足音に振り返った彼女のもとへ一歩ごと踏み出すたび、鼓動が激しさを増す。
ようやく向い合わせで立ったときには、もう心音が彼女の耳に拾われはしまいかと真剣に危ぶむ域だった。

じぃっと見上げてくる目線に熱が籠もっていると見えるのは錯覚ではないはずだ。
突発性の呼吸困難と視野狭窄と不整脈におちいる私。アルゴリズムの変調。プログラムの齟齬。
徹夜で考え抜いた上に投げ捨てるしかないフローチャート。
いまだ無言をつらぬく彼女の口ほどにものを言う目からは物理的な圧力すら感じ取れた。
これは、はたして先手を譲られたのか、それとも――。

「あー、その、卒業おめでとう?」
「なんで疑問系……えぇと、どういたしまして?」

まずは軽くジャブの応酬。
彼女も、そして私も、人前では堅苦しく振る舞うタチだが、二人きりならば軽口も叩き合える。

「まあ、つまりだ――結婚を前提として付き合って欲しい」
「遅いよ」

渾身のストレートは華麗にカウンターされた。

「言ってくれるの、ずっと待ってたのに」

可愛らしくふくれる彼女は、すぐに承諾の言葉を付け加えてくれたが――。
しかし仕方ないだろう。淫行罪で捕まりたくはなかったんだ。

415以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/04(土) 14:00:34 ID:dXS7kQ16
上げたほうがいいんかな?

句読点の打ち方がおかしいって指摘されたことあるから
できるだけ気をつけてみたつもり

416以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/08(水) 04:42:08 ID:92G62H.g
「――だからもう要らねえっつってんだろッ」
「だったら好きにしなさいよ!」

売り言葉に買い言葉。
そんな言葉を脳裏から追いやるように紙パックのお茶を音を立てて吸い上げれば、数秒でぺしゃんこになった。
胃がむかつくのは勢いに任せて大量に詰め込んだ惣菜パンの油だのソースだのが原因だ。
決して今朝がたの彼女とのやり取りを反芻してしまうせいではない。
後悔だってしていない。これでいいんだ。これが普通だ。
昼どきの教室は騒がしく、直射日光が肌を刺す。
苛々を飲み下すため、3パック目に手を伸ばしたところで、隣の席から友人が呆れた目線を寄越しているのに気づいた。

「おっまえ、ほんと重度なー」
「なにが」
「言わせんなよ、恥ずかしー」
「だから、なんだ」
「つか、おまえアレじゃん? コンビニ弁当とかダメな奴じゃん?」
「購買だからコンビニじゃない」
「っと屁理屈こくなー。で、」

わざとらしく友人は俺の机にずいっと身を乗り出してきた。

417以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/08(水) 04:43:11 ID:92G62H.g
「ケンカでもしたん?」
「べつに」
「じゃあ今日はどーしたよ? おまえのねーちゃんの、げーじつ的ないつものアレ」
「……卒業したんだよ」
「へえぇーえ」

とても含みのある語尾の伸ばしようと音程変化に、つい目を逸らし――硬直した。

「おっ、ウワサをすればじゃーん。なんっか美男美女でお似合いカップル?」

反射的にとらえてしまった光景は、はにかむ同級生、その向かいに立つ彼女。
これまで俺に渡してきたのとは別格のラッピングが施された直方体を胸にかかえ、見たことないような顔で笑う。

「…………おまえって、ほんっと重度なー」

しつこくうるさい友人はヘッドロックをかけて沈めた。

418以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/08(水) 04:43:43 ID:92G62H.g
1レスにまとめるの難しいね

419すみません下ネタです:2015/04/14(火) 20:34:32 ID:Rk/PFLZA
「ねえねえ、起きてよ」

瞑った目も作った寝息も、偽であることは彼女も分かっているのだろうか。胸元に直に感じる温度がくすぐったい。そして、何より冷たい。

「まだあたししてないんだってば。課題」

寝相を装って毛布を身体にかけ直した。既に下からは足が出てしまっている。
頭寒足熱とは良く言うものだ。脳だけが逆上せあがり、爪先の冷えがもじもじと気になる。

「ねえってばあ。つねっちゃうよ?」

既に、いわゆるクールダウンの時間を迎えた。もちろん、覚えてないとは言わないし、誰も言わせてはくれない。
自分が大罪を犯した。その事実に、彼女のいない背中が毛羽立った。昔はこっちにいたはずなのに。

「全く、散々出しといて寝ちゃうなんて流石童貞さんだなあ」

語弊がある。むしろ搾り取られたに近い。などと抗議しても、現代日本社会ではきっと、俺に非があることにされるのだろう。
そもそも。

「でもまあ、いっか」

卒業祝いに、特別なものを。

「あたしから誘っちゃったしね」

願った自分が。

「卒業おめでと、お兄ちゃん♪」

馬鹿だったのだ。

420以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 13:28:50 ID:/LJ0b//k
アルバムから落ちた一枚の写真。
早咲きの桜の下で、三年を過ごした親友と写真を撮った。
肩にかかる桜の花びら、少しだけ小さくなった制服。
涙を流しながら、それでも最高の笑顔を並べていた。
そんな写真だ。

一生忘れられない思い出が、その一枚に詰まっている。
だが、もう彼には会えないのだ。

421以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/07(木) 11:11:07 ID:xF/rXPTM
GWも終わって、いつまでも卒業気分じゃいられないのでage
お題は>>422でいかがでしょう?

422以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/07(木) 11:11:44 ID:mwczAaEo
五月病

423以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/07(木) 11:40:59 ID:c.g8rC0k
「先生、急患です」
「どれどれ、ああひどい、これはいけない」
「先生、息子は、息子は助かりますか?」
「なあに、注射一本ちくりとすればすぐですよ」
「ああよかった、先生お願いしますお願いします」
そういってペコペコ頭をさげる母親をあとにして、私はクランケを連れて診察室へと入った。
ここは五月病専門の医院で、私は院長をしている。
五月病専門といっても一月の間だけで先月には四月病だったし、来月は六月病の看板を上げることになる。
治療が長引く患者が入院しているときは二枚掲げることになるけれど、滅多にあることじゃない。
さて、今回のクランケはずいぶん重症だ。リィリィと鈴のなるような音が漏れている。年に一度の大仕事だ。
こんなに重いと特別な薬を使わないといけない。残り少ないはずだが、まだあるだろうか?
棚の奥にしまってあった瓶をとりだしラベルを見ると仄かに光っている。耳に当てて確かめると結晶が静かに壊れるような音がする。よしよし、なんとか必要量はありそうだ。
ハッカとケルキ水、カルシュームを混ぜて作った水溶液に、先ほどの瓶から月の光を注ぐと薬は完成。
ブスリ、チュウ
クランケはたちまち元気になって外に飛び出すと、スーツのままで空に踊りだして満月と一緒にくるくると回っている。少々効きすぎたようだ。
私も疲れた。今日の仕事は終いにしよう。
ぐっと背伸びをすると、クランケが小さな星にぶつかり、空からリィンと水晶の散らばる音がした。

424以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/18(月) 09:21:43 ID:5ihfuyW6
適宜改行が欲しいな

425以下、名無しが深夜にお送りします:2015/07/06(月) 14:31:02 ID:z0pAiT3s
age
たまには書きやすいお題にしようぜ
>>426頼んだぞ

426以下、名無しが深夜にお送りします:2015/07/06(月) 14:43:24 ID:DGAzyI5E
雨上がり

427以下、名無しが深夜にお送りします:2015/07/07(火) 00:00:30 ID:VdTBOWbg
ふと空を見上げると、雲間からは日差しが差していた。

「……晴れてきたなぁ」

俺が外に出ると決まって晴れる。これは俺が小学生の頃からずっと続く、不思議な現象だ。
例え雨が降ろうが竜巻が来ようが、テレビで「今年一番の台風です」と言われていようが、五分足らずでお日様が顔を出してしまう。
そのせいで学生時代苦手だったプールは、一度も中止になることはなかった。
もしも、この現象を擬人化できたら、思いっきりぶん殴ってやりたいくらいに大嫌いだ。

しかし、今日だけは別。
初めてできた彼女との初デート。
虫のいい話かもしれないが、正直今だけはとても感謝している。

「ありがとう」

一言、礼を言う。
この現象に意思は無いのかもしれない。
でも俺はあの雨上がりの空の向こうに、それは必ずいると妙な確信を持つことができた。

ふと、風がすぐ側を横切る。

『どういたしまして』

俺にはそう聞こえた気がした。

428以下、名無しが深夜にお送りします:2015/07/07(火) 19:14:41 ID:c2Df7tbg
>>427
いいんじゃね
細かいことをいうなら
>もしも、この現象を擬人化できたら、思いっきりぶん殴ってやりたいくらいに大嫌いだ。
ここは最初の読点いらないだろ

>初めてできた彼女との初デート。
ここは文章と繋がるように少し変えた方がいいんじゃないか

読みやすい文体だし個人的にはさほど問題はない気がする

429以下、名無しが深夜にお送りします:2015/07/07(火) 19:15:49 ID:c2Df7tbg
前の文章と繋がるように、ね

430以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/26(水) 10:32:02 ID:Ns7nnJnk
あげ
あと、お題変えよか
下1

431以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/26(水) 12:14:14 ID:IAcnbxd.
金魚

432以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/27(木) 21:46:47 ID:jXlCzFgA
 子供の頃に見た金魚は、もう少しキラキラ輝いていたように思えた。
 こんなにもよどんだ子供用プールの中で、せわしなく動き回ってたっけ。
 一匹一匹がそれぞれ個性を光らせて、いつすくわれるのか……いつ救われるのかと、そんな風に人間達を見ていたような記憶が有るんだけどな。
 僕の記憶が曖昧なのか。
「ようあんちゃん、一回二百円だよ」
 店のおじさんにそう声を掛けられた。
 昔ならどうしていただろうか。
 母さんに「一回だけ」と懇願していただろうか。
 ……何でこんなにも魅力を感じないのだろう。
 もしかしたら、よどんでいるのは僕の心なのかな。


 このスレは初めて訪れました。
 宜しくお願いします。

433以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/28(金) 02:45:14 ID:QX3UT/aU
>>432
なかなかいいと思う
すれてしまった自分への苛立ちが見えるね
このスレだからこそ漢字をひらくこと無く使えばいいんじゃないだろうか
掬われる しかり 淀む しかり

434以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/28(金) 19:55:28 ID:ipJUGJ0w
むしろひらがなだからこそ小学生と現在の対比がわかりやすく見えるのかと思ったけど

435以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/29(土) 11:17:01 ID:pKuRXHJ2
>>432 です
 いろいろ助言をくださりありがとうございます。
 漢字に関しましては、あまり多いと、固くなってしまうのではと思いました。
 心の暗くなった青年の話なのですが、幼少期の回想を挟むとなると、どこか柔らかさを残しておきたかったので。
 漢字でも良かったですかね(笑)
「平仮名の方が何かここ落ち着きそう」みたいな軽いノリで書いたので、まさかそこがピックアップされるとは。

436以下、名無しが深夜にお送りします:2015/09/11(金) 19:59:46 ID:esPG1sHo
あげ
お題、書きやすいのでよろ
直下

437以下、名無しが深夜にお送りします:2015/09/11(金) 20:00:21 ID:esPG1sHo
あげてなかった。
お題下

438以下、名無しが深夜にお送りします:2015/09/11(金) 20:19:54 ID:TEeubCZ6
寂寞

439以下、名無しが深夜にお送りします:2015/09/18(金) 22:14:43 ID:o2aHWMoM
書いた方がいいかなぁ。
どうにも思いつかない。
誰かのを読みたいあげ

440以下、名無しが深夜にお送りします:2015/12/07(月) 22:39:41 ID:159KsLeg
 建物に足を踏み入れると、舞い散る埃が私を出迎えてくれた。淀んだ空気は新たに
侵入する者全てを拒むような、重苦しさと沈黙を長い間保ち続けていることを示していた。
 かつて、この建物は街の中心であり多くの人々が新たな出会いを待ち、出迎えるための
場所であった。しかし、次々に立ち並んでいく建物の中に埋もれるが如く、街の中心から
遠ざかっていき、やがて誰からも見向きされなくなったのだ。
 私がここを訪れたのは、単なる気紛れと偶然に過ぎなかった。たまたま遠出をして、ぼうっと
周囲を見渡していた時に見掛けた。以前にも訪れたことのある建物を見つけて、思わず足を運んだ。
ただそれだけであった。だが郷愁の念にも近い感情を持って訪れた私を出迎えたのは、この重く
湿った空気だけである。
 あれほど賑わっていた場所が閑散としている様子は、誰もいなくなったこの場所同様に、私の心が
寂寞感に侵されるのは無理からぬことだった。

 私の足音だけが響く。これ以上ここにいるのは無意味なように思えた。けれど願望に近い想いを
抱いていた。街の中心から遠ざかったとはいえ、まだこの建物は歴史の中に埋もれていない。
まだ現存している。それはまだこの建物が街の中心となることが可能であるということだ。
 愚かしい思考であった。人々がこの場所を望んでいれば、そもそもここまで埋もれることは
なかったのだ。結局の所、過去はともかく現在では望まれていない場所であることの証左だ。
 それでも私は未来に託す。これから誰かが訪れることを信じて、私が訪れた証を記す。
これからこの建物はどうなるのだろうか。埋もれていくだけなのだろうか。
 きっとそれは、次に訪れる者の意思によって決定付けられるだろう。

441以下、名無しが深夜にお送りします:2015/12/20(日) 19:46:17 ID:wCI.8kAE
あげ
人いないね、このスレももう
簡単なお題よろしく、直下で

442以下、名無しが深夜にお送りします:2015/12/20(日) 23:53:11 ID:ezb59T/Y
「うさぎ」

443以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/01(月) 22:39:13 ID:qNmTHJjw
あげ

誰か書いてくれんかね
さすがに連続で書き込むのは気が引けるし、他の人の文章を読みたいものだ
他の人が書いた文章の感想や批評をしても構わないんだ
もっと気軽に参加、しよう!

444以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/02(火) 00:54:03 ID:ajqtJTxE
>>440
文章が妙に重苦しくてバタ臭いし、長々書いているわりには結局は「過去の遺物が未来において復活することを望む」
程度のことしか言っていない
すなわち、叙述の見事さもなければ全く思想や哲学もない面白みのない文章

上から目線でスマソ でもこれが正直な感想だわ

445以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/03(水) 22:12:13 ID:VkRoJde2
>>444
まさか感想がくるとはな。構わんというか、真っ当な感想くれるなら嬉しい限りよ
ただ、全体に隠された意図(というほど大げさではないが)に気付いてもらず残念な限りだ
もう少し軽い感じの文章にすれば、読みやすさから気付いてもらえたかもしれんが
意図に気付いていたなら……うん、精進します

446以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/03(水) 22:17:04 ID:VkRoJde2
1つのお題につき、1人しか書いてはならないルールはない
なのでどんどん気軽に投稿してもらいたい

お題は >>442 です
賑わって、深夜VIPの中心になるといいな

447以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/03(水) 22:50:58 ID:DVoPpn/M
>>445
>>444だ なるほど「この建物」っていうのはこのスレのことか
うまいこと書くなあ

まあ文章はもうちょっと軽いほうがいいと思う
英語をそのまま和訳したような文章だからくどい

448以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/04(木) 00:55:54 ID:JzE6BIps
>>440
おおー、気付かなかった、そう見ると中々内容がありますね

ss深夜なんだし、もっと夜を描写に入れたらもっと伝わり易いし、もっとそれっぽくなりそうですね
淀んだ空気は〜示していた:は和文英訳でもないし、もう少し自然な日本語にした方が良いのでは?
私がここを訪れたのは〜ただそれだけであった:かなり個人の感覚に依るけども、リズムが微妙かも。『だが〜』に余韻を持たせるのにも、文書全体にある程度緩急を付けるにももう少し短文にして句読点打たない方が良いかも
あれほど〜無理からぬことだった:主述が噛み合ってない、致命的だと思います
文語調なんだから「けれど」を「けれども」にしたほうがベターかな
後半部分、現在から語るならちゃんと現在に文末を揃えましょう、ノリと雰囲気で過去形混ぜちゃダメだと思う
「であった」「である」「であろう」「だ」「だった」「だろう」も統一しましょう
あと「湿った空気」とあるけど、どうして閑散としたスレッドが湿ったという印象になるのか良くわからない。どちらかというと乾いたイメージなんだけど

あと、無生物を主語にするの好きっぽいけど、まずはちゃんとした日本語で練習してからそういう文に移行しましょう!
全体として結構上手だと思うから頑張ってください

あ、ど素人なんで、真に受けないでね

449以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/04(木) 22:33:26 ID:mA.rClQw
思いは伝わるけど言われなきゃ分からん
というドドドド素人の感想です

450以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/04(木) 22:43:16 ID:Lz33n1nE
「うさぎ」

「うさぎごっこ!」と、彼女はいった。
うさぎごっこって何?と聞くと、彼女はそれには答えずぴょーんぴょんと歌い出した。うさぎごっこがはじまった。
突拍子がないのはいつものことだ。この前だって道を歩いていたら急に郵便ポストと背比べを始めたくらいだ。
あれは傑作だった。
その時のことをぼんやり思い返している内に、歌にあわせた踊りが始まっていた。
踊りといってもやたらめったらに跳ねるだけで決まった形があるわけじゃない。
両手を耳の横にぴょこりと添えて前後左右に跳ねる、跳ねる。
とても楽しそうだ。いつにもまして常きげん。
なるほど、これがうさぎごっこ。
「ね、ね。いっしょにしよう?」
白い息と一緒にお誘いの言葉をうけるけれど、あいにくそこまで狂ってない。
断る言い訳をさがして視線を彷徨わせると、赤い自動販売機があった。
なにかあたたかいものでもいる? 買ってくるよ。
うん、じゃあニンジン!
ニンジンか、ニンジン。あるかなあ?
一人で跳ねる彼女をうしろに財布の小銭を漁ると、指先に冷たくずっしりした感触があった。ニンジンがあった。
はい、ニンジン、と振り向いて差し出すと白くて長い耳が2つ揺れていた。
どうもその耳は彼女の頭から生えているようで、思わずぎゅっと握ると、彼女はひゅるひゅる縮んで小さくて白いうさぎになった。
耳を持ってぶら下げても大丈夫なのかと心配だったが、うさぎはそんなことおかまいなしにニンジンをもとめていた。
いいからニンジン、ニンジンくれよ。
そう言わんばかりにニンジンを凝視して、鼻をヒクつかせている。
口元にニンジンをはこんでやると小動物らしく一心不乱にかじりはじめた。
ニンジンうまいぜ、ニンジン。
あんまり美味しそうだったので反対側の端をかじると、ニンジンはパチンと弾けて消えてしまった。
後はビックリした顔のうさぎと僕がいるばかり。

451(1/2):2016/02/05(金) 00:35:40 ID:zec.FbLA
 教室の窓から夕暮れの校庭を見下ろすと、もう人影は少ない。皆長い影をひいて思い思いに動いている。楕円のトラックをなぞる影を見つめるともなく追いかけていると、下校のチャイムが鳴った。結局進まなかった課題をカバンにしまって伸びをする。チャイムを聞いた校庭の人達も部室棟へ引き上げていく。
 その中にひとつだけ逆行する影があった。その影は用具入れから校庭の真ん中を横切ってまっすぐに飼育小屋を目指している。気になってよく見ると大きなスコップを抱えていた。

 鞄を持ち、コートを羽織る。階段を駆け下りて、スニーカーを履き、いそぎ足で飼育小屋へ向かう。校庭の一番隅にあるそこに行くのは久しぶりのことだった。先ほどの人影はもう見えなかったが、居る場所は分かっていた。
 独特の臭いがする飼育小屋の角を曲がると土を掘る音が聞こえた。その音は単調でいっそ機械的なほどに一定のリズムを刻んでいる。もうひとつ角を曲がり、裏へ回ると彼は視線を上げてちょっと目を見開いてからゆっくり挨拶をした。その間も土を掘る手は止まらない。

 「また、来たんだね」
 「そうみたいね」
 「うん」

 彼が土を掘っているのを見るのは二回目だった。
 一度目は随分動転したものだけれど、今日は不思議と落ち着いていた。彼が前と変わらないせいかもしれない。スコップを刺して、踏んで、起こす。持ち上げるときに骨ばった手指がわずかに白くなるのもまったく同じだった。

 「なんていうの?」
 「カフェオレ」
 「変な名前」
 「そうだね」

 それから少し会話が止まり、スコップの音だけが響いた。僕はスコップの先や足元やらをあてどなく見て、ただ呆けていた。夕暮れは深まって、空気が夜の冷たさをはらんできた。普段から日の当たらない飼育小屋の裏はますます暗い。
 しばらくして沈黙に飽き、次の言葉を探していると、一際大きな音のあとに、音がやんだ。スコップは穴のわきに突き立って、厳然とそびえている。穴は脛が半分うまるほどになって、掘り起こした土はちょっとした盛り上がりをみせていた。
 彼は穴から二歩離れ、出来栄えを確かめるように穴を眺めていた。

452(2/2):2016/02/05(金) 00:36:35 ID:zec.FbLA
 「できた?」
 「まだもうちょっと」
 「手伝うよ」
 「制服、汚れるよ」
 「いいよ」

 彼がつい先程まで握っていたスコップの柄は驚くほど冷えていた。思わず彼の指先をみると暗がりの中でいっそう白く浮き上がっている。その白さは確かに鉄の冷たさを思わせた。
 スコップの先を穴の底に突き刺すと、思ったよりも大きく、歪な音がした。それは彼の音とは根本から違い、この空間にとって明らかな異物だった。ただそれだけで僕は、彼の作っていた精緻な構造物を壊してしまったような気分になってしまった。
 恐る恐る彼の様子をみると、しかし、彼はまったく頓着することなくしゃがみこんで、ただ彼の足元だけを愛でている。
 僕はすっかりやけになって、何度もスコップの先を穴に叩きつけ、十分にほぐれると力まかせに底の土を放り出す。決まった動きもなく、感情に任せ、猥雑にただスコップを使った。僕はただ穴を掘ることに熱中した。日は沈んだというのに、スコップの先は不思議とよく見え、目一杯身体を動かしているのに、身体は芯まで冷えていく。
 いつしか彼は僕の隣に立ってなんども繰り返し同じ言葉を言う。

 「深く」
 「もっと深くだよ」

 穴の底に星が映り、僕達の足元は一層黒々とした暗さで横たわっている。

453以下、名無しが深夜にお送りします:2016/02/21(日) 14:42:49 ID:va1qHbnc
>>450
文章に息継ぎがなくて息苦しい感じ

>>451
重苦しいしよくわからん

454以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/22(火) 23:12:20 ID:CKDxuSL6
上げ
ついでにお題変えよう
頼む>>455

455以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/22(火) 23:18:14 ID:emWt4f8Y
中華料理

456以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/23(水) 16:30:12 ID:iqh.4PUY
一ヶ月も放置されたスレ上げんなよ
荒らしかよ

457以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/23(水) 23:43:35 ID:AkyO7F.E
>>456
このスレはこのぐらいで通常進行よ
半年ROMれ

458以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/24(木) 07:52:39 ID:mC43VlLQ
半年ROMっても100レス行かないんだよなあ…

459(1/2):2016/08/22(月) 20:53:02 ID:IbNCNskU
何か月も放置されたスレに初投下です。よろしくお願いします。


「中華料理」


 ある昼間、テレビの中で炎が上がる。蒸し器が中華鍋の上で炎上していた。
 どうやらシュウマイを作ろうとしていたらしい。中華鍋の中身は水ではなく油のようだが。

「そりゃ燃えるよ」

 画面では水をかけて消火しようとしたらしく、大きく火柱が上がった。さすがにスタッフが濡れ布巾で消火にかかる。
 当然完成品は表面が黒焦げで中身は半生という代物。友人による味見があったがどうやら味付けの段階で醤油を混ぜすぎたらしく苦さと塩辛さで涙目になっていた。

 馬鹿なことをしているなと思う反面、料理をしない人間が作り方の知らない料理を作るとどうなるかと考えるとこうなるのが現実なのだろうと納得もする。
 そして自分とて料理が得意とは言えない。作り方の知らない料理など山ほどある。もし自分がこんな場面に挑戦することになったなら、どうなるのだろうか。
 過去の自分を、子供のころ母に見栄を張り料理に挑戦した時のことを思い返す。

460(2/2):2016/08/22(月) 20:53:34 ID:IbNCNskU
 冷蔵庫のキュウリとネギとキャベツ、それに豚バラ肉とニンニク、冷凍庫に眠る切り餅がその時の自分が選んだ食材だった。
 余っていた調味料の中から適当に選び豆板醤と醤油を混ぜて味を見た。酢で割って餃子のタレに使うと美味しそうな味になったのを覚えている。

 キュウリを適当に乱切りに、ネギを斜め切りに、キャベツをざく切りにする。肉も一口大に切り、ニンニクを微塵切りにした。学校で教わった切り方を試してみたかったから。
 母親の動作を思い出しながらフライパンに油を引きニンニクを炒める、肉を炒める、ネギを入れ、キャベツを入れ、キュウリを入れる。先ほど混ぜた豆板醤と醤油を混ぜ、コショウも振りかけ炒め続ける。

 適当に火が通ったと思った段階で大皿に盛りつけた。味見もしなかった。切り餅を焼いて、その切り餅も膨らみすぎて金網にへばり付いていた。

「美味しく、ない」

 当然見よう見まねとうろ覚えと適当の三拍子で作られ出来上がった炒め物は別に美味しいわけでもなかった。切り餅を焼いている間に少し冷めたことも無関係ではなかったかもしれない。
 そして幼い自分には自分で作っておいてこの料理が何に分類されるのかがわからなかった。そして今でもわからない。

 あの時の自分とあの番組で失敗していた大学生の違いは何だろう。お題の有無? 知識の有無? 年齢の有無? 料理経験の有無? センスの有無? 観測者の有無?


 いつの間にか番組のコーナーは終わっていた。出演者たちがプロの作った美味しそうなシュウマイを食べている。
 それを見て思う。きっと、違いなどないのだろう。失敗は失敗だ。その程度が大きく、面白いが故に番組に採用された。
 あの時に自分が作った料理は、食べられなくはなかった。子供の微笑ましい失敗ではあったのかもしれない。だが面白くはない。そんな失敗料理。

 美味しい料理。今の世の中には溢れすぎているほどだろう。店が乱立し、料理作りを学ぶ機会を人々から奪うほどに。
 だが、きっとそれよりも前から世の中には美味しい料理は溢れていたはずだ。いつの時代も母は子の為に美味しい料理を作ってきたのだから。あの時、失敗料理に苦笑いしながらも頭を撫でてくれた母のように。次の日、大好物の餃子を作ってくれた母のように。

 電話が鳴る。ディスプレイに表示されていた登録名は――

「もしもし、え? 大丈夫、そろそろ実家が恋しくなってきたとこだったから」

461以下、名無しが深夜にお送りします:2016/08/22(月) 23:49:08 ID:D4sJa1dw
蝉の鳴き声、応援席からの応援、様々な音が入り交じり、暑い場内を焦がす。
誰がどう見ても熱く、そして拮抗した試合。お互いに譲れない一進一退の攻防。
場内にいる様々な人の様々な想いを、太陽は容赦なく焼き尽くす。
永遠にも感じられた試合は、些細なミスでダムを壊すかのように決定的なものになってしまった。
僕たちは負けた。大学生活で、これが最後の試合になった。

その日の夜、僕たちは近所の中華料理へと足を運んだ。いつも試合の後は、何故か決まってこのお店に来る。
少し汚いが、活気の溢れる賑やかな店内を見回す。ふとカウンター席の奥に、大きな火柱が見えた。
大きな中華鍋を、片手で軽々と扱う料理人。一瞬の間に熱せられ、油により調理されていく食材達。
その混沌とした食材達は、昼間の僕たちの様だと思った。

「お前なに泣いてんだよ、そんなに腹減ったか?」

ああ、この頬を流れる温もりは涙のものだったのか。
意味も分からない得心をし、視線を厨房に戻すと、もう既に食材達は

「お待たせ致しました!ご注文の品です!」

462以下、名無しが深夜にお送りします:2016/09/14(水) 01:58:53 ID:9GdztmdY
私は昨今のグローバル社会に諸手を挙げて歓迎したい。さらに言えば、井戸端会議ですら世界情勢と野菜の生産地を話題にするこの時代に感謝したい。
新装開店である。
私は古いのれんをわざわざ一度掛け直してから、開店時間に取り外した。常連たちのまばらな拍手が心地良い。
古いのれんは「中華料理屋」。新しいのれんは「台湾料理屋」だ。
ここに至るまで四十年。
先代の親父が日本に来たとき、この国では"日本人の口に合う"中華料理がブームだった。
四川も北京も広東も台北もひとまとめにして「中華」と呼ばれていた。
台湾人の味覚は日本人と似ているから、先代も「中華の和風アレンジ料理」を次々に生み出した。
以来、親子二代に渡り、お客様の求める油ぎった炒飯を作ってきた。
山椒と七味で劇薬のようになった麻婆豆腐をお出ししてきたのだ。
「今日からは、違う!」
台湾は海沿いの国である。料理の目玉と言えば海産物なのだ。
台湾の気候は夏夏夏冬である。辛味で無理やり血行を上げる必要はない。
ああ、さらば乾燥地帯。湿度と台風にまみれる我が祖国の味は、日本人のメジャー・ディナーとして一躍羽ばたくであろう!
「台湾料理になると、どうなるんだ」常連が問う。
「日本人好みの味になりますよ」
「じゃあ、今までと変わらないってことか」
その言葉が耳に残る。我々は日本人の舌に合う味を作るために苦心した。
そのために元の料理を根本から変えたこともある。
「もう炒飯、作ってくれないのかい」
私は少し考えてから、答えた。
「炒飯ではなく、台湾炒飯なら」
「なにが違うんだ」
「海老が入ってます」

463以下、名無しが深夜にお送りします:2016/09/14(水) 17:29:32 ID:E/O2.bko
KANSOU貼ります
>>450
ひたすらかわいいぜ…な文章
かわいいぜ…
主観になってる人物の感情が読み取れないので感情移入し辛いところがある
一人称が僕であることすら最後まで読まないと出てこないので余計にそう思ってしまった

>>451
意図する所はいまいち読み取れなかったけど
>「彼がつい先程まで握っていたスコップの柄は〜鉄の冷たさを思わせた。」
この文は質感が表現されててステキ
とりあえず最初の一行からして「人影」、「長い影」、「トラックをなぞる影」と似たような言葉が続いて冗長な印象を感じる
>「一際大きな音のあとに、音がやんだ。」
ここも同じく

464以下、名無しが深夜にお送りします:2016/09/14(水) 17:54:06 ID:E/O2.bko
>>459
文章も展開も丁寧という印象
料理フェイズのテンポがいいね
しかし回想と現在の切り替えがやや弱い気もする
あとは展開の話になるけど、不味そうな調理描写でジッサイマズイというのも文章に起伏がなくなってしまう
当時はそれでもベストを尽くしたのだろうから
美味そうな描写をして、一口食べてみたら泡を吹いた、ぐらいのほうがメリハリがつくかもしれない
>>461
短いけどやりたいことは伝わる、いい文章じゃないかしら
どうしても最後がぶつきりになっているように感じるので
炎天下のグランドと同一視したそれを、食べたのか食べなかったのかオチまでしっかり描写するだけで作品になると思う

465以下、名無しが深夜にお送りします:2016/09/15(木) 00:26:58 ID:iyTe1SSQ
ODAIください↓

466以下、名無しが深夜にお送りします:2016/09/15(木) 00:33:58 ID:QKJCsq.A
>>464
感想ありがとうございます。
次のお題の時はメリハリ意識してパンチのきいた物が書けるよう努力します。

467以下、名無しが深夜にお送りします:2016/09/15(木) 00:37:47 ID:QKJCsq.A
すみませんお題踏みました。

再募集でないなら「浮気」でお願いします。

468以下、名無しが深夜にお送りします:2016/09/15(木) 11:53:14 ID:sqTPwq0A
>>462
店長の意気込みに対して、常連さんの「今までと変わらないってことか」という台詞との食い違いに引っ掛かりを覚えたんだが
最後のオチに「いやそれ殆ど変わらないし」とツッコんでしまって更にモヤっとした
うまい

台湾料理を食べた常連に「あまり変わってないように思えるけど、何が変わったんだい」と言わせるのも微妙な後味の悪さが増してより効果的かもしれない

469以下、名無しが深夜にお送りします:2016/09/26(月) 00:43:57 ID:c/HX7Yog
 二人きりの放課後の教室で突然に「好きだよ」なんて言われたら、誰だって最初は戸惑うに違いない。
 クラスメイトという繋がり以外で、文芸部の中でも日陰役の私と運動部のエースの彼とに、接点なんてなかった。
「昼休みによく本を読んでるみたいだけどさ、いつも表紙が違うよね。なんだか大きくなってるし」
 机を挟んで喋る彼の目が私をまっすぐに見つめてくる。
 緊張とか恥ずかしさとか生きていることに対する申し訳なさとかがない交ぜになって、私にできたことは震えた呼吸すらも喉に突っかからせた不器用な相槌くらいだった。
 ろくな会話もできなくて、そのうえ顔を俯かせて机の表面のみに視線を向ける。
 私の行き来する視線が鉋(かんな)だったら、机なんてぺらぺらに削り取られていただろう。
「俺と付き合ってみないかな」
 彼が机に身を乗り出した、衣擦れの音がした。
なにかに驚いて動きを止める猫のように、私の体も瞬間的に強張って縮こまってしまう。
「あ……そ、わ、わたし……す、す……」
 頭の中では毛糸でセーターを編むように伝えたい気持ちがまとまっているのに、挙句の果てに口からは出る言葉は裁断機にかけられて、まるでひじきみたいになっていた。
「はい」のたった一言も返せないことが無性に情けなく思えてきて、目の奥からじわりと熱いものが溢れてきた。
 彼を遠くから眺めているのを隠したくなくて、学校に持ってくる本をお手軽な文庫本から、ちょっと重いけど顔を隠しやすい単行本に変えることまでした。その単行本を強く抱きしめて、泣くのだけは必死になって我慢する。
 彼にこんな醜態を晒し続けるくらいなら、付き合えなくなってもいいからすぐにでもこの場から逃げ出したい。
 それでまた彼との間に国境線が敷かれて、いつも通りに、繁栄している隣の国の王子様を覗き見る日々に帰るんだ。
 それが私にはお似合いなんだ。
 自棄になった自己嫌悪でもっと強く本を抱きしめると、急に本が反発して体から離れようとした。
「本が好きなのは知ってるけどさ。さすがに会話中にも抱きしめられると妬いちゃうよ」
 男子の力は想像以上に強くて、いとも簡単に私から引き抜いてしまった。
本を追いかけようとして咄嗟に動かした私の視線は、彼の笑顔と鉢合わせて止まる。
 彼が頭の上に本を掲げて言った。
「本が一番でいいからさ、間男のつもりで俺と遊んでみようよ」
 なんの悪もない提案に、私は口の中に溜まった唾液を飲み込んでから、頭を弾かれた赤べこみたく小刻みに何度も頷き返した。

470以下、名無しが深夜にお送りします:2016/10/06(木) 01:27:06 ID:nJz7/nJU
>>469
結構好きな雰囲気。ニヤニヤしながら読めた。
ただ接点がないって明言されてるけど男側の惚れた理由が気になる。
あと16行目のは「隠したくなくて」で合ってるのか「隠したくなって」なのか。

471以下、名無しが深夜にお送りします:2016/10/08(土) 21:31:04 ID:vhPeimec
>>469
好き
長編で読みたいね

472以下、名無しが深夜にお送りします:2016/10/09(日) 19:50:14 ID:TzO5eZL6
賑わう必要はない
アイディア枯渇系SS難民のために毎週お題を出せ

473以下、名無しが深夜にお送りします:2016/10/09(日) 20:25:22 ID:EC7W8T2I
お題サイトググるとか
酒場か休憩所で題募集すれば良いんじゃね

474以下、名無しが深夜にお送りします:2016/10/14(金) 08:26:38 ID:Vn/ZsEAE
過疎スレに毎週を求めるのは酷
お題↓

475以下、名無しが深夜にお送りします:2016/10/14(金) 12:46:07 ID:5CPomqRA
食欲の秋って事で、食レポ

476以下、名無しが深夜にお送りします:2016/11/02(水) 01:12:25 ID:BXQii2m6
お題↓

477以下、名無しが深夜にお送りします:2016/11/02(水) 01:52:06 ID:jfpskPVM
1ヶ月で見切り付けるのは早過ぎるだろ

引き続き食レポ

478以下、名無しが深夜にお送りします:2016/11/05(土) 01:43:28 ID:ctosQtfg
秋の終わりの温度を連れて帰ってきた妹はせっせと手をこすり合わせながら、テーブルに置かれたラーメンに目を輝かせた。
「食べたほうが早くあったまるよ」と教えてあげると、光明を得たりと目を見開いて箸立てから自分の箸を取り出した。

「にーちん、なると。なると入れたの珍しい。めんまもある。お店のラーメンみたい。すごいね、にーちん」

即席ラーメンなのにここまで嬉しそうにされると、なんだか騙しているみたいで逆に申し訳なくなる。
料理の腕を自慢するのは嘘くさく、かといって謙遜するのもずるい気がして無難にありがとうと答えておいた。
好き嫌いのない妹は料理を出せばなんでもおいしそうに食べてくれるし、実際に何度もおいしいと言ってくれる。

「そのラーメンの何が美味しい」

いつも通りのやり取りは、毎回決まって何が美味しいかから始まる。
妹はどんぶりから顔を上げると、ぱちぱちと瞬きをしてから箸をおいて目をつむった。

「なんだろうね。でもおいしいの」

問いかけにわざと眉根にしわを作って、難しそうな声を演技する。

「麺はつるつる食べれてぱくぱくで、おいしいの。スープもごくごく飲めておいしいの」

どこでそう覚えたのか、妹にとって腕組みをしながら話すのが一番評論家らしいポーズとのことだった。

「めんまもなるともおいしくて、どうしようもない」

今回は「どうしようもない」ときた。思わず噴き出しそうになるのを抑え込み、僕もそうだねと同意する。
妹の総評は独特で、まるで誘導をかけられているのかのごとく食事のたびに聞いてしまうのだ。

「にーちんが作ってくれる料理ってなんだかいつもどうしようもないの」

いくら楽しそうな笑顔を見せられても、いつもどうしようもないと言われると、さすがに苦笑しかできなかった。

479以下、名無しが深夜にお送りします:2016/11/05(土) 01:50:18 ID:9aZeMTP2
読みやすくて良い文章だな、妹可愛い

メンマとナルトってまた微妙なもんをチョイスしたなとは思ったけど

480以下、名無しが深夜にお送りします:2016/11/05(土) 13:45:44 ID:ChLboO8g
これは可愛い

481以下、名無しが深夜にお送りします:2016/11/09(水) 10:07:11 ID:UPqL.lM2
お題↓

482以下、名無しが深夜にお送りします:2016/11/09(水) 15:29:37 ID:mzUR/icQ
カイロ

483以下、名無しが深夜にお送りします:2016/11/10(木) 02:18:41 ID:.2mWMBL.
操舵室の扉が勢いよく開くと寒さに身を震わせた大男が駆け込んできた。

「ういー、寒い寒い。こんな時期に五分も甲板に出てたら死んじまうわ」

これまでも再三の注意を受けてもなお、大男は音を立てて愛船の扉を乱暴に閉めてくれた。
ただでさえ気が立っている中での無神経な行動に、考えるよりも先に舌打ちが鳴る。

「いくら聞かせても治らないなら、次は海に蹴落としてやるからな」
「怖い声だすなよ。買ったばかりの船なんだろ。ちょっと強く閉めたくらいじゃ壊れねえって」

なだめるつもりではなく、この大男は本気でそう思っているから質が悪い。
新品だからこそ丁寧に扱うというごくごく当たり前の感覚なんて、体に張りつく雪の一片ほども備わっていないらしい。
いくら会社の都合上とは言え、雪が吹き荒ぶ極寒の航路。
本人への説明はおろか事前通達もなしに決定事項として振り分けるとは、つくづく頭のイカレタ上司だと思う。
しかもその上司は別の船に乗って南国の穏やかな海を、しかも緩やかな期日でバカンス気分も半分に
仕事をしていると思うと、殺意なんていくらでも湧いて出てくるものだった。

「こちとらプライベート用の船として買ってんだぞ。手当は納得いく分が出んだろうな、ああ?」
「俺だって書類上は昨日から有給取ってんだよ。我慢が必要な世界と承知の上で入ったんだろ」

三日かけて積もり積もった苛立ちを大男にぶつけると、いかにも迷惑そうに手を振って答える。
憧れていた仕事だなんて他言したことはなかったけれど、しっかりと見抜かれているだけに反論はできなかった。
「そうだけどよ」と小声でぼやいて煙草に火をつける。情けないことしてんなと自虐的に思う。
煙を肺にたっぷりため込んでから吐き出すと、頭に上っていた血がゆっくりと全身に流れていくのを感じた。

「運び屋の真似がしたくて入ったわけじゃねえんだよ」
「それもお互い様だ。よく分からん機械の部品を運びたくて船乗りになったわけじゃない」

大男は持ち込んだ荷物の中から使い捨てのホッカイロを取り出すと、袋の端を握って豪快に振る。
所詮は使われる側ってのは振り回されるだけか、と考えていると、それも見透かしたように大男は鼻で笑った。

484長くなってすみません:2016/11/10(木) 16:22:17 ID:HXCQAHsk
「こちらからくじを一枚引いていただけますかー」

言われるがままに、黄色い箱の黒い亀裂に右腕を突っ込む。中でピンと立っている一枚にぶつかったので、それを引き抜く。見ると、なんか赤い。

「お、あたりですね〜。今すぐお持ちしましょうか?」

「あはい」

内容も知らずに条件反射で答えてしまう。
もちろん、ニコニコ顔の青年店員は頼まれたとおりにレジから出て景品を棚から探しにいくが、その間に自分の後ろには3人のパーティメンバーが連なる。まあ、面持ちは芳しくない。
2分くらい探してようやく見つけた店員からは「お待たせしてすみません」との一言をもらうが、肝心の賞が「ほかほカイロ2枚セット」という微妙なもので、数人待たせて探してもらった手前受け取らない訳にもいかずに

「こちらこそすみません」

と呟いてしまい、ニコニコの頭上に「?」のランプが灯った。そそくさとコンビニを出る。


立冬済みの夕空。寒くない訳ではないが、カイロを使うほどの移動距離ではない。とは思うもののレジ袋から一枚を破り出す。結局下駄箱の奥にでも置いて使用期限を過ぎるのがこういうものの末路なら、いろいろと合算すれば使った方が無駄にはならない。
そして結局、ほのぬくい程度の発熱量で家に着く。知ってた、と思いながら住み慣れた306号室へ階段を上ると、2階から3階にかけての踊り場で背後から「こんにちは」との挨拶。
見やると、202号室の夫婦の娘さんが居て、冷たいコンクリにへたれこんで寒そうにしていた。軽く話を聞くと、今日は両親が出かけることを忘れて家の鍵を置きっぱなしで学校に行ってしまったらしい。いつもはこんなに喋ったりしないのにと思っただが、見れば手元のスマホの画面が真っ暗だった。余程暇だったんだろうか。
二言三言の会話だったが、娘さんは俺が家に帰ろうとしていたのを思い出したのか、

「あ、寒いですよねごめんなさいどうぞおかえりくださいませ」

と震えた早口で違和感のある敬語を言われるものだから、思わず残りのカイロを出して「これ使って、じゃあ」とたかたか306号室へ上がった。ご近所さんからできる親切のベストアンサーだと、玄関前でガッツポーズするも。

「あれあったかくなるの遅いんだった」

熱々のカイロがダウンジャケットの右ポケットで無駄になっていた。踵を返し、もう一度下へ。あーかっこわるい。


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