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みんなで文才晒そうぜ part2

393以下、名無しが深夜にお送りします:2015/01/07(水) 19:48:45 ID:4ojgP/u2
『いぬのたまご有り〼』
そこら辺で拾ったのであろうボロ板に、かすれ気味のマッキーで書いたような歪んだ文字のそれはどうやら看板だった。
思わず足を止めてしまったのは失態だがしかたがない。私は大の犬好きなのだ。
犬の犬好きと書きたいくらい犬が犬好きなのだ。おっと書いてしまった。愛してる。
私ほどの犬ラバーでなくても犬が卵を産まないことくらい知っている。
犬は胎生。あのコブ付きのうふんあはんを突っ込んでずっこんばっこんしたら、ちょめちょめからぬるりんぽ、と出てくるものだ。
そんなのだれだって知ってる。知らないなら私が教えてやる。教えこんでやる。身体になぁ。
話がそれた。
さて、その看板に目を足をとめた私が視線を上げると、ゴザの上に薄汚れたお兄さんがニタニタと黄ばんだ歯を見せている。臭そうだ。
「おい、お姉ちゃん。興味、あるのかい?」
思ったよりも甲高い声がその口から漏れた。話しかけられてしまった。どうしよう。
「いぬのたまごってなんなの?」
普通に返してしまった。なんといっても私はフランクが売りなのだ。フランク売りなのだ。愛嬌ひとつ二〇〇円。
「へへっ、こいつだよ。特別に見せてやる」
そう言ってごそごそとお兄さんが横においたズダ袋を漁る。何が出てくるのか、興味津々だ。
お兄さんが大事そうにそっと差し出した手の上にはおやおや何もない。
「どれさ」
「これだよ」
ひひっと、お兄さんが笑う。
「ちょうどいい、お姉ちゃんは犬が好きなようだし、預かっててもらおうか」
そういってふうと手の上を吹くと、なにか暖かいものが私の中に入ってきた。お腹の下のほうがほうっと熱を帯びる。
「ちょっ、ちょっと何したの?!」
服を捲ってみようにも、こう厚着ではままならない。せめて手で擦ってみるもなんの感触もない。
「三年後まで預かっててもらうだけさ。なあに、時が来たら勝手に出てくるから気になさんな」
「出てくるってなにがっ……」
わめき返そうとして目をあげると、もうそこには誰もいない。
「新年さ」
耳元で声だけがして、あとはふっつりと何もかもが消えてしまった。
あとはあの、謎の看板が残るばかり。それも風に流されてどこかへ言ってしまった。
よくわからないのだが、2018年は私の胎の中らしい。


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