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( ^ω^)達は今が楽しければなんでもいいようです

498名も無きAAのようです:2015/10/18(日) 02:01:54 ID:EVMM/8Ws0
 言いたいことならば山ほどあった。
だがドクオは口を噤み、暫く窓から外の景色を眺めていた。
それにも飽き、やがて徐に着ていた袖無しのベストの胸ポケットからナイフを、肩から提げていた鞄からオイルと布を取り出し、手入れを始めた。

 慣れた手つきで刃の汚れを拭き取り、新たに取り出したブラシで細かく油分や埃等を落とす。
薄くオイルを塗った布で丁寧に拭きあげると、鈍い輝きを放っていた刃は、純銀にも比肩し得る眩い輝きを孕んだ。

川 ゚ -゚)「綺麗だな」

('A`)「自分の得物は自分できっちり磨いてやらねぇとな」

 そう言って、ドクオは視線をナイフからクーの肩の向こう側に移した。
刃の腹の中心で真っ二つに折れた鬼切九郎丸が、鞘と一緒に壁から紐で吊るされていた。
三本の長物が雑に一括りにされたその様は、つい先日まで剣の達人に愛されたものとは思えない。

('A`)「あーあ、こんなにしちまって……」

 立ち上がり、九郎丸の前で中腰になり、じっと見つめる。
薄っすらと埃が積もった刃を、指でそっと撫でてみた。
埃の中から顔を出した輝きの筋が、ドクオには九郎丸が泣いているように見えた。




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