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( ^ω^)達は今が楽しければなんでもいいようです

409名も無きAAのようです:2015/10/09(金) 21:45:05 ID:69Q0LYq60
川 ゚ -゚)「見誤ったか」

 クーは空を仰いだ。
空は、あまりにも遠かった。

 校舎塔の壁に首から上を預け、彼女は仰向けに倒れていた。

 腰まであった長い黒髪は毛先が焼け焦げており、彼女の象徴とも言える黒コートはボロ切れ同然になっている。

 白い肌を黒い煤が汚し、それは頭部から流れる夥しい血で滲んでいた。

 熱と痛みを孕んだ自分の腹部に視線を移す。
長年自分の命を預けてきた鬼切九郎丸真打。
刃の真ん中で真っ二つに折れたそれはクーの腹部に深々と突き刺さっていた。
片割れの割れた切っ先は、彼女の数歩先に突き刺さっていた。

 クーは、自分の視界が端の方から滲んでいくのを感じることが出来た。
泣いているのだろうか。
彼女には分からなかった。

 目の奥に篭った熱は、彼女の周囲で未だ煌々と燃え盛る炎の熱に掻き消されていた。

 皮膚は焼けるほど熱いのに、不思議と彼女は自分の中の芯のようなものが、生温い自身の血溜まりに浸されて心地良く揺蕩っているように思えた。

 負けた。

 ようやく、ようやく彼女は自覚した。




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