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この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン
219
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 22:14:46 ID:WVsu8KDc0
支援
220
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 22:15:25 ID:wrs/EJAU0
ぱらぱらと変わる曲調を雨が追いかけ、踊る。
221
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 22:17:15 ID:wrs/EJAU0
爪'ー`)「♪〜」
演奏に彼の不思議な言語も混ざるようになり、テンポが速くなる。
篠突く雨はバラバラと激しく辺りに降り注いだ。
情熱的に心を強く揺さぶる曲調はさらに激しさを増し、音のスコールは激流を起こし心を洗い流していく。
まるで焦土に眠る死者へ届けとばかりに豪雨が地面を鳴らす。
222
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 22:22:35 ID:wrs/EJAU0
周囲の音をかき消すほどの雨の中でも彼の音楽は澄み渡る。
(゚、゚*トソン「......」
('A`*)「......」
音の雨が段々と小さく落ち着いたものに変わると、霧雨が静かに漂い始めた。
すると焦土の町に不思議な光景が広がった。
.
223
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 22:23:16 ID:wrs/EJAU0
それはまるで雪が降るような。
違う。
雪が昇るような光景。
新芽がぽこぽこと土から目を出す様に、焦土の下から産まれ空へと還る神秘的な白く淡い雪。
.
224
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 22:24:47 ID:wrs/EJAU0
(゚、゚トソン「綺麗......」
('A`)「......」
2人は空を眺め、しばし時間を忘れた。
どれだけ時間が経っただろうか。
いつの間にか台風が過ぎ去った様な突き抜ける空。
曲は雨上がりの青空の爽快感と静けさが混ざり合うフィナーレを迎えていた。
私の服とドクオさんの毛は既に乾いていた。
225
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 22:26:40 ID:wrs/EJAU0
('A`)「俺の友達も登れたのかな。」
(゚、゚トソン「ええ......きっと。」
空を見上げる事を止めてドクオさんの方を見ると、ふるふると震えながらまだ空を見続けていました。
私は静かにその場を離れ並ぶ墓標に手を合わせた。
.
226
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 22:28:15 ID:wrs/EJAU0
5話 新時代的雨の吟遊 〜おわり〜
.
227
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 22:30:49 ID:wrs/EJAU0
以上です。
予想以上に時間を食ってしまいました。
まさか
(追いかける)
の後に
(様に)
と並べるとNGワードになるとは......
途中変な改行が起こっている箇所はそのためです。
何か質問や感想等あれば残していってくれると助かります。
228
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 22:34:50 ID:pmYKvAnc0
見てたよー。乙!
今作も面白かった。
他の祭りに参加するつもりとかある?
229
:
名も無きAAのようです
:2015/07/16(木) 09:41:19 ID:dBmIIB/w0
乙!
綺麗な描写だった。
比喩じゃなくて本当に迷える魂を慰める力持ってるんだな、フォックス。
痛いヤツだと思ってごめん
230
:
名も無きAAのようです
:2015/07/16(木) 12:20:02 ID:C0YvbwcY0
乙乙!読んでて腹が減ったよ!
フォックス最初魔法使いかと思ったけれどいい奴だったとは。
231
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/16(木) 19:20:58 ID:SMNSk31c0
>>228
本当は百物語にも飯テロにも出たいのですが出来るだけこっちの更新頻度上げたいので参加しません......
廃病院の話がホラー。飯テロが今話って感じで盛り込んでみました。
支援や感想ありがとうございました。次も1週間以内に投下したいです。
232
:
名も無きAAのようです
:2015/07/18(土) 19:34:21 ID:y6fohrn20
おつ
やべぇオモシロイワ
233
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/19(日) 10:58:12 ID:C9k.8stQ0
申し訳ないです。やっぱり飯テロに出たくてしょうがないのでちょっと遅れます。
234
:
名も無きAAのようです
:2015/07/19(日) 22:29:27 ID:9CSwTqX60
面白いの多いからなぁ
飯テロも楽しみにしとくよ
235
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/23(木) 17:10:30 ID:2i260V8I0
今夜投下します。
236
:
名も無きAAのようです
:2015/07/23(木) 18:08:03 ID:TYrrBJAg0
待ってました
237
:
名も無きAAのようです
:2015/07/23(木) 19:17:34 ID:rCUxvxEw0
っしゃ!
238
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/23(木) 19:56:11 ID:2i260V8I0
すみません。
急遽仕事が入ってしまったので、明日の8時頃投下に変更させてください。
239
:
名も無きAAのようです
:2015/07/23(木) 20:46:16 ID:rCUxvxEw0
(´・ω・`)
240
:
名も無きAAのようです
:2015/07/23(木) 23:50:02 ID:RosTidqw0
仕事してんな
241
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:06:33 ID:lrQywl7.0
やっとこさ帰宅!風呂入ってすぐに投下します。
ちょっと長くなるかもしれませんが良ければお付き合いください。
242
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:33:42 ID:lrQywl7.0
見直してみたらかなり長かったので半分に分けて投下します。
243
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:34:37 ID:lrQywl7.0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「とーちゃん.....?なんでそんなにいそいでるの?こっちはおうちじゃないよ?」
子供を連れて川へ釣りに来た暖かい日の午後。
沢山魚が釣れていたにも関わらず、父はびくを置き去りにして突如子供を背負い走り出した。
「しっ。静かにしているんだ。」
こくこくと頷く。
「そうだ、いい子だ。」
急に背負われた時は一瞬困惑したが、父の背中は大きく暖かくすぐに安心感に包まれた。
彼らは元々走る事が苦手な種族だ。子供を背負っている分足はさらに遅くなるだろう。
追いつかれるのは時間の問題だ。
分っていた上でそれでもなお走り続ける姿は、最後の時を惜しんでいるかの様だった。
運が悪かった。気が付かれてしまった。ここは安全なはずだったのに。
悔やんでも仕方がない。今出来ることをやるしかない。
244
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:35:37 ID:lrQywl7.0
川の中を突っ切り匂いを払い、濡れた毛を引きずり近くにあった木の洞の中に子供を置いた。
「ここまでくれば大丈夫だろう。」
「とーちゃんが戻って来るまでここに隠れているんだ。絶対に出るなよ。約束だ。」
「フフ、そんなに震えるな......そうだ、お守り代わりにとーちゃんのスコップを貸しておいてやろう。」
「怖くなったら強く握ると良い。勇気が湧いてくるとーちゃんのスコップだからな。」
「......大切にするんだぞ。」
力いっぱい頷いた。
父は震える子供を残し木の葉で洞の口を覆った。
「最後に村からできるだけ引き離さないとな。」
力強く地を蹴り走り出した。
245
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:36:25 ID:lrQywl7.0
とーちゃんはいつまで経っても戻ってこなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
246
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:37:37 ID:lrQywl7.0
この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン
.
247
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:39:39 ID:lrQywl7.0
爪'ー`)「なるほど、生命の遺跡でそんな事が......」
空へ還る雪が全て溶けた頃、3人は手頃な瓦礫に座り情報を交換した。
フォックスさんは歌い疲れて声が枯れ、喋るのが大変そうです。
仮面に隠れその表情は分りませんが。
爪’ー`)「ゴホッ......私は元々その遺跡に行くつもりでした。『清澄の魔法使い』でしたっけ?とても怖いですが、自分の好奇心は抑えられません。」
(゚、゚;トソン「だから危険ですってば......」
爪;’ー`)「私の生き甲斐なのでそこはなんとも。」
彼が自嘲気味に笑ったのが仮面の外からでも分りました。
(゚、゚トソン「ううむ......やっぱり体調が悪そうですし心配ですよ。」
爪’ー`)「少し休めば元気になるんでお気になさらず〜。そういえば2人はこの後ドクオさんの村へ行くんですね?」
('A`)「うん。」コクコク
248
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:41:22 ID:lrQywl7.0
爪'ー`)「遺跡へ寄った後、私もドクオさんの村へ行くつもりなので入れ違いにならなければまた会いましょう。ゴホッ。」
ゴホゴホと咳をする彼は最初に会った時の若々しさは消え、酷く年老いている印象を受ける。
爪'ー`)「あ、世間では笑い犬が活発になっていたり、誘拐事件が多発していたりと物騒なのでくれぐれも気をつけてくださいね。」
いつの時代でもこういう事件が起こるのは変わりませんね。
('A`)「......」ガタガタガタガタ
249
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:42:18 ID:lrQywl7.0
太陽が私達の真上に登る頃、話す話題もぽつりぽつりと減ってきました。
(゚、゚トソン「では私たちはそろそろ行きましょうか。」
瓦礫の残骸に座りぼんやりと空を見上げているフォックスに告げる。
彼はひらひらと手を振った。
爪'ー`)「貴方達の旅に幸福を。」
('A`)ノシ
ドクオさんはいつまでも振り返りながら手を振っていました。
ふふふ、よほど曲に感動したんですかね?
そんなによそ見をしていると転んでしまいますよ?
250
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:43:08 ID:lrQywl7.0
2人が見えなくなった頃、彼はゆっくと立ち上がり町の墓標に歩み寄る。
「ゴホッ......強い魂はこの曲じゃ旅立てない。質量が大きくなり過ぎて昇れないんだ......」
降り始めの雨のようにぽつりと漏らした。
251
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:43:53 ID:lrQywl7.0
再び鬱蒼とした森林に分け入る。
町に着く前の重かった足取りが軽くなっている気がします。
フォックスさんの曲が生きている私達にも元気をくれたのでしょうか。
(゚、゚トソン「素敵な曲でしたね。」
('A`)「うん。」
落ち着いているようなので聞いても大丈夫でしょうか?
(゚、゚トソン「あの......聞きたかったのですが、その、笑い犬ってどんな生き物なんですか?ドクオさんにとっては何か特別なようですが。」
ぴたりと彼の足が止まる。
トソンは振り返る。
( A )「あいつらは......俺の......」
252
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:44:39 ID:lrQywl7.0
ヒャハハハハハハハハ
.
253
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:45:58 ID:lrQywl7.0
突如笑い声が聞こえる。
(゚A゚;)「!!!!!!!!!!!」
(゚、゚;トソン「!?」
......キヒヒヒヒ......キヒヒヒヒ......
……フフフフフ
薄暗い森の木々で声が乱反射し、まるで何十匹もいるように聞こえる。
2つの光る眼が背の低い草の中から覗く。
(゚、゚トソン「あれは......」
すぐに町で出会った犬と同じ笑い声が飛び出てきた。
「ヒャハハハハハハ......ゴハン!ゴハン!」
(゚、゚トソン「喋った!?ドクオさん大丈夫ですか!」
ドクオさんはもう逃げ出したのか振り向いても姿が見えない。
(゚、゚;トソン「あれぇ......」
それに続き他の2匹が飛び出す。
「キヒヒヒヒヒヒヒキヒヒヒキッ!」
「デュフフフフフフフデュフ!」
(゚、゚トソン「1匹気持ち悪い笑い声の犬がいる!」
254
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:49:50 ID:lrQywl7.0
最初に町で会った犬が走り出す。
それに続くように我先にと2匹が飛び出す。
涎を飛び散らしながら地を駆ける。
(゚、゚トソン「全く、たかがわんちゃんにドクオさんは驚き過ぎじゃないですかね。」
迫る。
飛び上がる。
トソンはまだ気が付かない。
目の前の犬は前時代の飼い犬などとは違い、生きるために他者を狩る新時代の野生だということを。
先頭の犬の汚らしい牙が眼前に迫る。
255
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:51:50 ID:lrQywl7.0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺は犬の姿を見た瞬間逃げ出した。
トソンはとても大切な友人だ。
今度こそ俺が助けないといけないのに。
しかし精神に深く刻まれたトラウマは彼に逃走以外の選択を与えなかった。
(;A;)「えぐ......あぐ......」
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
情けなさと悔しさと申し訳なさで顔がぐちゃぐちゃになる。
(;A;)「ごめん、トソン、俺は......また......」
突然足がもつれ体が宙に浮き直ぐに身体に衝撃が走る。
( A )「うっ......」
足をくじいたのか鈍い痛みを感じる。
足以外に痛みはないが惨めさのせいか思うように立ち上がれない。
( A )「トソン......」
256
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:57:09 ID:lrQywl7.0
あの日見た綺麗な川とそこで釣れたびくいっぱいの魚。
父の暖かい背中。
父と遊んだ楽しい記憶。
洞の中で震えつつも、家に帰ったら次はどこに連れて行ってもらおうかと考えていた。
まだまだ一緒にやりたいことが沢山あった。
彼らのせいで父は物言わぬスコップだけになってしまった。
.
257
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/24(金) 23:59:45 ID:lrQywl7.0
ダメだ......すぐに戻ろう。
トソンまで自分の見えないところで何もわからず失うのは嫌だ。
トソンがオレンジの錠剤なんかに変わってしまうのは嫌だ。
俺のせいでいなくなってしまうのは嫌だ!
258
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:00:47 ID:diRVSlAA0
ヒャハハハハハハ!!
キヒヒヒヒヒ!!
ドュフフフフフ!
背中から絶望の足音が聞こえる。
259
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:01:56 ID:diRVSlAA0
(゚A゚)「あ......ああああああああ」
トソンは......俺の友人はどうなったんだ。
最悪の妄想が頭をよぎる。
彼女を見捨てたくせに友人なんて良く言えたもんだ。
( A )「当然の報いってやつだ......」
身体を引きずり木の根元に背を預ける。
「ヒャハハハハハハ......モグラ!ミツケタ!タベテミタイ!」
犬が彼に向けて笑う。
すぐに残りの2匹も合流してドクオの目が絶望の色で濃く染まる。
「キヒヒヒヒヒヒヒキヒヒヒキッ!」
「デュフフフフフフフデュフ!」
だんだんと距離が短くなる。
260
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:04:37 ID:diRVSlAA0
( A )「あ......あ......」
(゚A゚)「近寄るなあああああああああああああ!!!!!」
トラウマを目の前にし、覚悟はすぐにひっくり返った。
醜い.....とても醜いが死にたくないと思ってしまう。
笑い犬達へ向けてがむしゃらにスコップを振り回す。
待ってましたと言わんばかりに1匹がそれをかわす。
「デュフフフフフフフデュフ!」
もう1匹は振りぬいて脱力した腕に容赦なく飛びかかり噛みつく
「ヒャハハハハハハハハ!!!」
(゚A゚)「がああああああああああああ!!!!!!!!」
残りの1匹はじたばたと動く足に噛みつく。
「キヒヒヒヒヒヒヒキヒヒヒキッ!」
(;A;)「やめろおおおおおおおおおおおお!!!」
261
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:05:55 ID:diRVSlAA0
片腕で必死にスコップを振り回すがグリップが効かずすっぽ抜ける。
カラーンと乾いた音が鳴る。
犬達はジタバタと暴れるドクオを抑え込むように頭を振り回す。
( A )「う......うう......ぐ......誰か......助け.......死にたく......な......」
ドクオの動きが鈍ったことを確認し、最初にスコップを躱した犬が首筋を見据え徐々に姿勢を低くして力を込めた。
「ドュフフフフフフフ!!!!」
飛んだ。
汚らしい牙が迫る。
目を瞑る
とても長い時間に感じた。
とーちゃん......
262
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:08:47 ID:diRVSlAA0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(゚、゚;トソン「どわああああ」
すんでのところで身体が動く。
尻にいつもの鈍い痛みが走る。
1匹はそのまま勢いを殺さず走り去った
恐怖がズシンと遅れてやってきた。
魔法使いを退けた事で慢心していました。
出会った時から純粋な殺意を当てられ続けていたのに。
たかが犬と思考を止め、生きるために他者を狩る野生だということに気が付けませんでした。
恐怖心も鈍く錆びついていたようです。
続く足音。
全部で3匹いたことを思い出す。
即座に前を向く。
しかし残りの2匹はトソンに見向きもせずに走り去る。
(゚、゚トソン「え?」
直ぐに答えが出た。
私の後ろの方向にいるのは。
(゚、゚;トソン「っ!!!ドクオさん!」
263
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:10:12 ID:diRVSlAA0
一瞬遅れて走り出すがどんどん距離が離されていく。
ドクオさんどこまで逃げたんでしょうか。
(゚、゚トソン「無事でいてください。」
......ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
(゚、゚トソン「!?」
パーカーのフードを翻し走り出す。
叫び声が近づいてきた。
躓きそうになりながらも背の低い草をかき分けて走った。
すぐに見つけることができた。
大きな木を背に手足を噛まれている彼がいた。
264
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:11:20 ID:diRVSlAA0
目の前には彼が落としたと思われるスコップ。
迷っている時間は1秒すらない。
手に取る。
走る。
犬が姿勢を低くし今にも飛びかかろうとしている。
スコップを大きく振り上げる。
こんなもの振り回した経験はないが妙にしっくりくる。
犬の後ろ足が伸びる。
265
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:12:06 ID:diRVSlAA0
間に合え
間に合え
間に合え
間に合え
間に合え
(゚、゚#トソン「間に合ええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!」
力いっぱい振り下ろす。
266
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:16:47 ID:diRVSlAA0
ズンと響く衝撃。耳を劈く悲鳴。振動がスコップを伝わり腕がビリビリと痺れる。
( 、 トソン「っ......」
堪え兼ね呻き声を上げる。
手の痺が全身に広がり脳にまで到達したのか?と思った瞬間。
間髪入れずに酷いめまいと頭が割れそうになるほどの痛みに襲われる。
( 、 トソン「え......痛っ......何?」
267
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:17:46 ID:diRVSlAA0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ザーザーとノイズの混ざった光景
赤い床の上で眠る女性の前に跪き消え入りそうな声で嘆く。
「もうザザ..一度......もザー.....一ザザ...」
誰?
暗い路地を走っている。誰かが誰かの手を引き走っている。
誰?
「おザー...がザザ.....ミザザー...をザー....」
268
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:19:14 ID:diRVSlAA0
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
何度も金属の棒を振り降ろす。
ズン、ズンと鈍い音。
棒を伝わり衝撃が伝わり手が痺れる。
手が痺れるがそんな事はどうだっていい。
振り下ろす。
振り下ろす。
機械のように繰り返す。
水の中に潜っている時のように全てがぼやけていて不鮮明。
詳しいことは何一つ分らない。
.
269
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:20:12 ID:diRVSlAA0
でも......
これは......
これだけは......
私?
.
270
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:21:58 ID:diRVSlAA0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
絶叫と悲鳴と金属音に驚き目を開ける。
目の前には彼の父親のスコップが力強く振るわれている光景。
('A`;)「と、とーちゃん?」
( 、 トソン「ドクオ......さ......私......女......ぐっ......」
スコップを支えにしてしがみつき膝をつく女性の姿。
('A`;)「トソン!」
殴られた犬はよろよろと立ち上がり草むらへと逃げていく。
仲間が欠けて驚いたのか他の2匹も全速力で散っていった。
(゚、゚;トソン「え、ええ。ちょっと目眩がしただけです。大丈夫ですよ。」
直ぐに痛みが引き立ち上がる。
あれは一体何だったんでしょうか。
271
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:23:31 ID:diRVSlAA0
安心したのもつかの間。
ヒャハハハハ!!!
キヒヒヒヒ!!!
笑い犬が2匹はすぐに戻ってきました。
(゚、゚#トソン「あなた達は......また......」
怒りを向けるが犬たちは怯みません。
2匹に続き安定感の悪い二足歩行が森の奥から現れた。
2匹の犬よりも大きい体躯。
「ヒャハハハハ!ボス!ボス!」
「ボスー!キヒヒ」
▼・ェ・▼「グフフフ、ここにいたのか子どもたち。モグラ......食べるのは何年ぶりだ。グフフフ」
彼が群れのボス犬でしょうか。
272
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:25:31 ID:diRVSlAA0
(゚、゚トソン「ドクオさんを食べさせるわけにはいきません。」
どこか私は冷静でした。きっぱりと断ります。
▼・ェ・▼「魔法使い......お前たちの血肉は毒なのは知っている。」
魔法使いと間違えられるのもたまには役に立つのかもしれません。
▼・ェ・▼「どうしても退く気はないのか......」
(゚、゚トソン「......」
ドクオの前に無言で立ちはだかる。
どうか......退いてください......
▼-ェ・▼「わしらも生活がかかっているんだ。悪く思うな。」
直立すると私よりも頭2つ分は小さい犬ですが、身体は逞しく隆起しており力では叶わないのは明白でしょう。
魔法使いを見て逃げ出すかと思ったのですが思うようにはいきませんか。
ちょっと心配になってきました。
273
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:28:07 ID:diRVSlAA0
▼・ェ・▼「グフフフフ、とーちゃんが今ごはんを狩ってやるから待ってろよ。」
「キヒヒヒマホウツカイカラダニワルイ」
「ヒャハハハハモグラオレモタベテミタイ」
(゚、゚トソン「ドクオさんはごはんなんかじゃないです......」
スコップを握る手に力がこもる。
ボス犬はぐぐぐっと小さくなり四速歩行で飛び出した。
地面すれすれを滑空する様に駆けトソンに肉薄する。
勢いを殺さず4つのバネをフルに活用し肩から雪崩れ込む。
▼・ェ・#▼「どらあああああああああ!!!!」
もう油断はしない。
そう思いスコップを構えて防御を試みる。
目の前にボス犬が迫る。
ガギィっと鈍い音が鳴り、スコップが突進を防いだ。
防いだはずだった。
車に轢かれたのではないかと錯覚するほどの衝撃。
274
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:31:57 ID:diRVSlAA0
スコップが思いっきり腹部に当たり身体ごと吹き飛ぶ。
腹部に鈍痛。
内臓が浮くふわっとした浮遊感。
( 、 トソン「ガ......ヒュ......」
一瞬息ができなくなったかと思った次の瞬間、ゴロゴロと転がり土の匂いが肺を満たす。
(゚、-;トソン「っ.....はぁ、はぁ、はぁ、オエッ......ゴホッ」
骨が軋む音。骨折はしてないでしょうか。
戦意を断ち切る重い一撃だった。
275
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:33:00 ID:diRVSlAA0
▼-ェ-▼「無駄な命を狩る気は無い......しばらく眠っていろ。」
興味が無さそうにトソンを一瞥しドクオに歩み寄る。
(゚A゚)「あっ......あああああああああ」
▼・ェ・*▼「それにしても......グフフフ、久しぶりのごはんだ。子供たちよ。味わって食おうな。」
「キヒヒヒ!ボス!サイキョウ!」
「ヒャハハハ!オイシソウオイシソウ!!」
( A )「助......けて......」
276
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:33:42 ID:diRVSlAA0
6話 新時代的全力逃走 〜おわり〜
.
277
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 00:37:25 ID:diRVSlAA0
以上です。飯テロで期限を守れず申し訳ない。
飯テロは( `ハ´)『珀の心』のようです
で参加させてもらいました。
誤字脱字酷くて辛いですが楽しく一気に書けて満足です。
幸子生きとったんかワレェ......
278
:
名も無きAAのようです
:2015/07/25(土) 08:09:37 ID:YhYYArLA0
伏線回すなあ。乙!
279
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 18:52:28 ID:diRVSlAA0
うわ、何か足りないと思ったら
>>275
の後に1レス抜けてた。
追加
( A )「トソン.......」
ドクオの呟きをトソンの耳が捉え身体がピクリと動く。
トソンに声届いた。
届いているが彼女は弱々しく震えている。
普段彼女は飄々としており常にドクオを引っ張っている。
ドクオよりも身長は高いが力は弱く体も細い。
彼とは違い身体を守る体毛もないし鋭い爪も無い。
身体能力が明らかに劣っている彼女はそれでも恐怖に耐えて守ってくれた。
その彼女が今恐怖に打ち震えていた。
280
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 18:59:49 ID:diRVSlAA0
感想ありがとうございます。
明日の夜にまた投下します。
281
:
名も無きAAのようです
:2015/07/25(土) 20:54:31 ID:VxVtdsIQ0
乙
282
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/25(土) 23:51:13 ID:diRVSlAA0
>>279
修正
( A )「トソン.......」
ドクオの呟きをトソンの耳が捉え身体がピクリと動く。
トソンに声が届いた。
届いているが彼女は弱々しく震えている。
普段彼女は飄々としており常にドクオを引っ張っている。
ドクオよりも身長は高いが力は弱く体も細い。
彼とは違い身体を守る体毛もないし鋭い爪も無い。
身体能力が明らかに劣っている彼女はそれでも恐怖に耐えて守ってくれた。
その彼女が今恐怖に打ち震えていた。
.
283
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 19:56:09 ID:AMuwusfc0
帰宅しました。風呂に入ってから投下します。
昨日下手に区切ってしまったので帳尻を合わせるために番外を挟んでから7話を投下します。
284
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:36:15 ID:AMuwusfc0
夕飯の匂いが漂う午後の教室。
誰もいなくなったはずの教室に1人の少女がいた。
「また本読んでるよー!」
「あの子暗くて話してても面白くないから。」
「身体弱いんだってー!」
「だっせー!」
(;、;トソン「......」
今日あった事を思い出して涙が出る。
子供特有の心無い罵声を浴びせられる日々でした。
直接的な暴力が無いのが救いでした。
私はそれを耐えることしかできませんでした。
285
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:39:04 ID:AMuwusfc0
小さい頃は泣いてばかりでした。
(;、;トソン「うう......」
おかーさんになんて言い訳しよう。
おとーさんは怒るだろうか。
涙の塩分で目が腫れて赤くなる。
家族がいじめられている子を親が怒る訳がない。
でも、そんな事この年では分らない。
全部自分が悪いような気がして。
何が悪いのかはわからない。
泣きながら一人校庭を歩く。
286
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:39:45 ID:AMuwusfc0
この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン
.
287
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:43:15 ID:AMuwusfc0
きっかけはほんの些細な事でした。
私は雨の日の昼休みに1人で本を読んでいました。
外で遊べず仕方なく室内で遊んでいる男子達は、ふざけてボールを投げ合っていた。
ボールを受ける側の男子がキャッチを失敗しトソンの肩に当たった。
(゚、-;トソン「うぐ......」
とても弱々しく鈍い声が漏れました。
それだけ。
たったそれだけのアクシデント。
1度誰かが直接危害を与えてしまえばいじめへのハードルが下がります。
私がやり返さないということは既に知られています。
男子たちの目が好奇心で鈍く輝く。
288
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:45:35 ID:AMuwusfc0
夕飯の匂いが漂う午後の教室。
誰もいなくなったはずの教室に1人の少女と3人の男子がいた。
(;、;トソン「止めて......やめてよう。」
父親からもらった大切な文庫本。
タイトルはもう覚えていません。
それを丁寧にびりびりと破き、私が泣くのを見て楽しんでいました。
にやにやと笑う男子生徒。
(;、;トソン「私が何をしたっていうのよう......」
やり返す術も発する言葉も持ちません。友達もおらずそんなこと誰も教えてくれないから。
身体が震えて動けないです。
怖い。とても怖いよ......だれか......
289
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:46:24 ID:AMuwusfc0
「お前ら女の子に何やってんだあああああああああああああああああああああああああああああおらああああああああああああああああああああああ!!!!!」
教室に響く怒声。
290
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:49:30 ID:AMuwusfc0
小柄な少女が飛び上がり全体重を男子の背中に足から浴びせました。
実行犯の男子の顔が苦痛に歪み、床に顔から叩きつけられた。
余りの驚きに破るのを見ていた2人は逃げ出しました。
ドロップキックです!
本で読んだことがありました。
ミセ*゚Д゚)リ「あやまれええええええ!!!」
あの......その男の子は既に気絶しています。
ああ、頭踏んじゃダメですよ......。
ミセ*゚Д゚)リ「あんたもいつまで泣いてんの!ていうか誰!」
(;、;トソン「ト、トソンです......」
ミセ*゚Д゚)リ「トソンね!覚えた!なんでやり返さないの!泣いてないで一度くらい立ち上がってみなさいよ!」
(;、;トソン「だって......そんなことしてもまたいじめられちゃうから......」
ミセ*゚Д゚)リ「......その時はもう一度立ち上がればいいのよ!」
それでもだめだったら
ミセ*゚ー゚)リ「私に言いなさい!」
291
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:50:13 ID:AMuwusfc0
この頃からあなたは馬鹿でしたね。
でもとても暖かかった。
292
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:51:15 ID:AMuwusfc0
案の定直ぐに女子達にトイレに呼び出されモップで叩かれました。
(;、;トソン「やめて......やめてよ......」
ミセ*゚Д゚)リ「お前らトソンになにやってんだあああああああああああああ!!!」
ドアをバタンと開け放ちミセリの足が容赦なく襲い掛かる。
293
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:53:15 ID:AMuwusfc0
男子たちがボールをぶつけるゲームを始めました。
(;、;トソン「怖いよう......痛いよう......」
ミセ*゚Д゚)リ「ドッヂボールなら私も混ぜろおおおおおおおおおおおお!!!」
一人だけボールを使わない少女が空を飛ぶ。
294
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:55:36 ID:AMuwusfc0
高学年のガキ大将に目を付けられました。
(;、;トソン「痛い痛いいたいいいいいいい!やめてええええ。」
ミセ*゚Д゚)リ「女の子の髪引っ張んなああああああああああああああああああ!!!」
ミセリの体が宙を舞う。
高学年になると体つきも良くなり大柄の男子もちらほらいました。
それに怯むことなく殴られながらも相手に噛みつく私の友達はとても勇ましかった。
295
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:56:56 ID:AMuwusfc0
私にとって彼女は正義のヒーローでした。
296
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 20:59:36 ID:AMuwusfc0
夕飯の匂いが漂う午後の教室。
誰もいなくなったはずの教室に1人の少女と3人の男子生徒がいた。
(;、;トソン「止めてください.....止めて......」
父親からもらった大切な文庫本。
タイトルはもう覚えていません。
それを丁寧にびりびりと破き、私が泣くのを楽しんでいました。
(-、-トソン「やめて......や、め.......」
にやにやと笑う男子生徒。
(゚、゚#トソン「いい加減にしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
私の体が宙を舞う。
日頃の鬱憤を全て吐き出すかの様に叫び私は飛び上がりました。
297
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:04:46 ID:AMuwusfc0
教室の扉の前でドロップキックをしても怪我をしないように準備体操をしていた。
ミセ*゚Д゚)リ「!?」
一瞬驚いたが直ぐに微笑みランドセルを拾い上げた。
ミセ*゚ー゚)リ「......ふふ。」
鼻歌を歌いながら教室から離れた。
しばらく校門で待っていると笑顔の親友が駆けてきた。
298
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:09:33 ID:AMuwusfc0
その後
【+ 】ゞ゚;)「......」
|゚ノ;^∀^)「......」
学校に呼び出された両親は事の顛末を伝えらえ驚きで言葉を失う。
両親がここまで驚く顔は初めて見ました。
色々教師と話していましたが内容までは覚えていません。
ただ、家に帰ると優しく強く抱きしめられたのは覚えています。
一度立ち上がってみて本当に良かった。
私にとって彼女は正義のヒーローでした。
299
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:10:21 ID:AMuwusfc0
小さいころは泣いてばかりでした。
小学校時代。友達はできませんでした。
でもあなたがいてくれた。
300
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:15:34 ID:AMuwusfc0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「だ、誰か!!!!ひったくりよ!!!!!」
「へへっ!俺の足に追いつけるかよ!」
彼はバック奪い老婆の戸惑う顔を見て満足する。
「このまま人をかき分けて路地に逃げ込んでやる。」
人混みがそこそこ多いところだと、誰かが助けるはずだと言う集団心理が働き誰も動かない。
実に盗みやすいのだ。
顔を隠してさえいれば誰にもばれることは無い。
左肘を前に背を引くし人混みをかき分けて走る。
路地まで10m足らず。
「あそこに入ってしまえば俺の勝ちだ。」
301
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:17:04 ID:AMuwusfc0
次の瞬間。
(゚、゚トソン「せいっ。」
「がぼあああああっ!?」
小物感が漂うガラの悪い顔に両足がめり込んだ。
ミセ;゚ー゚)リ「あわわわわ、トソンちゃん何してんの。」
ぱたぱたと服を払い立ち上がる。
(゚、゚トソン「引ったくりです。」キリッ
警察へ電話を掛けながらドヤ顔をした。
302
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:19:13 ID:AMuwusfc0
ミセ;゚ー゚)リ「キリッじゃないよ!最初から警察に任せようよ!」
(゚、゚トソン「そんなことしてたら逃げられてしまいますよ。」
ミセ;゚ー゚)リ「いつも思うけれど、どうしてそんなにアグレッシブなの?」
(゚、゚トソン「誰かに似てしまったんでしょうねえ......」
ミセリの顔をじっと見る。
ミセ;゚ー゚)リ「やべえなそいつ......」
(゚、゚トソン「やべえですよね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
303
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:21:40 ID:AMuwusfc0
彼女のおかげで多少性格がぶっ壊れてしまった気がします......
でも、
私がこの新時代で強く生きていけているのはあなたのおかげでもあるんですよ。
304
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:22:59 ID:AMuwusfc0
6話 番外編 近代的ドロップキック 〜おわり〜
305
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:25:43 ID:AMuwusfc0
休憩してから次行きます。
306
:
名も無きAAのようです
:2015/07/26(日) 21:29:12 ID:OSpZPuw60
ひとまず乙
本編期待機
307
:
名も無きAAのようです
:2015/07/26(日) 21:33:33 ID:UAgrmQjk0
乙ん スカッとした
308
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:55:50 ID:AMuwusfc0
続きを投下します。
309
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:57:42 ID:AMuwusfc0
----------------------------------
トソンちゃんメモ2
清澄の魔法使いとは。川д川
私が初めて出会った魔法使い。
肌が真っ白で、白装束を着ていて、身長よりも長い髪の毛が風も無いのに揺らめいている。
最近廃病院もとい生命の遺跡に引っ越してきて、今は透明な幽霊を探している。
好物は透明なもの。ガラスの瓶から人の目玉まで幅広い。
ドクオさんが言うには髪の毛を自由に動かす魔法と壁を抜ける魔法を使っていたらしいです。
本人曰く他の魔法使いよりも優しいらしい。
-----------------------------------
310
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 21:59:04 ID:AMuwusfc0
ドクオさんが私に助けを求めている。
ドクオさん......
私.....
身体が震えて動けないです。
こんな感覚はいつぶりでしょうか。
お父さん.......お母さん......
怖い。
とても怖いよ......
どうすれば良いのでしょうか......
誰か......
311
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 22:00:51 ID:AMuwusfc0
震えて揺れる意識の中、何故か恐怖で昔の事を思い出す。
ええ、確か小さい頃いじめられていた時もこんな気持ちでした。
ミセ*゚ー゚)リ「......」
乱れていた思考がふっと落ち着く。
ああ、そうだこの世界に来てミセリのことすっかり忘れてましたね。
ミセ*゚Д゚)リ「”$#%?!?#?”$%!!!」
ふふ、いつも忘れてばかりでごめんなさい。
そうでしたね。
こういう時はもう一度立ち上がらないとですね。
312
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 22:02:03 ID:AMuwusfc0
ミセ*^ー^)リ
もう二度と会う事が出来ない友人の笑顔が見えた気がした。
313
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 22:04:09 ID:AMuwusfc0
相手は腹が減り飢えている。そして明確に狩るという目的がある。
今回は得意の搦め手が通用しないみたいです。
今私の取れる行動は1つだけ。
もう一度立ち上がる。それがダメだったらまた立ち上がる。
ミセリが教えてくれたように。
何度も。何度でも。
成功するかはわかりません。
314
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 22:05:16 ID:AMuwusfc0
まだ怖い......
-心臓が高鳴る-
やっぱり怖いです......
-ドクン-
でも、友達を助けないと......
-ドクン-
ええい!覚悟を決めるのです。トソン。
-心臓が大きく脈打つ-
( 、 トソン「......ありません」
315
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 22:06:41 ID:AMuwusfc0
-ドクン-
▼・ェ・▼「んん?」
-ドクン-
立ち上がる。
ボス犬は振り向く
-ドクン-
(゚、゚#トソン「私は魔法使いなんかじゃありません!!!!」
一際大きく心臓が脈を打った。
316
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 22:07:28 ID:AMuwusfc0
『私の心臓が血液を逆流させる。』
語彙が貧弱ですがそうとしか表現できないのです。
とても心臓が熱い。
体中に血液が回り活力が湧き上がる。
317
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 22:09:31 ID:AMuwusfc0
▼・ェ・▼「!?」
▼-ェ-▼「グ、グフフフフフ」
犬は立ち上がった事に驚くが、一層大きく笑い、顔を歪ませる。
▼・ェ・*▼「グフフフフフフフフフフフフフ!!!」
先ほどまで興味の無さそうだった目が私をまっすぐ見つめる。
▼・ェ・*▼「......聞いたか子どもたちよ。ごはんが増えたぞ......」
ギラギラと飢えて輝く瞳に変わる。
(゚、゚トソン「食べられるものなら私を先に食べなさい!」
凛と言い放つ。
▼・ェ・*▼「グフフフフフフフ!!!!!!」
さらにボス犬が笑う。
そして。
ゆっくりと姿勢を低くし、
再び四足歩行で走り出した。
318
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/26(日) 22:13:38 ID:AMuwusfc0
私に突進した時よりも数段速い。
でも私はここで死ぬわけにはいきません。
ボス犬は迷いなど無く首筋を狙い一直線に飛びかかる。
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