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この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン
119
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 18:40:17 ID:tpqZK/mM0
乙乙!
レスの切り方が上手い。いいね!
そしてぷるぷる震えるドクオ可愛い
120
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:09:29 ID:qkXWBg4g0
やっぱり廃病院脱出までは投下しておきたいので今日もよろしくお願いします。
121
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:12:58 ID:qkXWBg4g0
----------------------------------
「もう、外を走ることは出来ないんですね。」
「打ちどころが悪かったとしか......申し訳ないですが絶望的です。」
キィ......キィ......
学校の帰り道、車道に飛び出した子供を車から庇い頭を強打した。
元々心臓が弱くペースメーカーを付けていたが、ここに来て追い討ちをかけるように下半身不随か......
生きているだけでも奇跡とは言われたものの絶望と向き合って生きていかなければならないのか。
でも、こんな弱々しい俺でも他人の未来を守れたんだ。
自信を持って生きよう.....
車椅子の扱いにも慣れないとな。
キィ......キィ......
----------------------------------
122
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:17:56 ID:qkXWBg4g0
----------------------------------
定期的に通院は続いたが、特に大きな問題はなく生きることが出来た。
室内に籠もりがちで本にかじりついていたおかげか小説で食べていける程度にはなれた。
目元が怖いせいか結婚はできていないが......
( ゚д゚ )「この病院には長いこと世話になったな。」
キィ......キィ......
もう体を張って守ることはできないが見守るくらいはできるだろう。
----------------------------------
123
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:19:19 ID:qkXWBg4g0
----------------------------------
「おや、モナーさん。お子さん無事産まれましたか。おめでとうございます。」
「む、ミセリちゃん怪我したのかい?いじめられてる子を助けた?偉いぞ、これからもその子と仲良くしてあげなさい。」
「ははは、骨折ですか、リハビリすれば大丈夫ですよ。私なんてもう動かないのにこんなに元気なんですから。」
「コールドスリープ......はあ......そんな技術が。娘さんの治療法が見つかる事を祈ってます。」
「おばあさん。貴女に家族がいなくても私が付いていますよ。私も1人です。最後まで付き合いましょう。」
「......ああ、わかりました。あなたがくれるというなら受け取りましょう。」
「そして最後までこの生き甲斐を務めて見せましょう。」
キィ......キィ......
----------------------------------
124
:
しまった。ダッシュいらなかった。見難いよねこれ。
:2015/07/10(金) 20:20:53 ID:qkXWBg4g0
この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン
.
125
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:23:55 ID:qkXWBg4g0
川д川「あら?見間違えでしたわ。貴女同族だったのね......残念。」
しゅんと興味が失せたように口角が下がる。
確かに人間に見えます。ですが同族とは思いたくないほどの異常さが滲み出ています。
(゚A゚;)「あはばばばばまほ.....まほほほほつかあばばば。」
臆してはいけません。どんな困難に直面しても。
(゚、゚;トソン「え、ええと、私は人間のトソンです。」
川д川「にんげん?ニンゲン?人間?クスクス、聞いたことがない種族だわあ。私はてっきり同族さんかと思っちゃったわあ。クスクス、ごめんなさいねえ。」
再び口角が上がる。
(゚、゚;トソン「私はそこまで真っ白くないですよ!」
126
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:28:15 ID:qkXWBg4g0
彼女はドクオさんには興味がないのか見向きもしません。
川д川「あらあら、面白いお嬢さんねえ。私は『清澄の魔法使い』よ。よろしくねえ。」
彼女が魔法使い。
名前とは裏腹にどんより淀んでいる印象を受けます。
震える手を必死に握り恐怖を殺しました。
川д川「それにしても、どうしてこんな何も無い遺跡の中にいるのかしら。」
(゚、゚トソン「私達は病消しの遺物を探すために此処にいます。長い間遺跡にいる『清澄の魔法使い』さんはその遺物を見た事はありませんか?」
127
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:31:10 ID:qkXWBg4g0
川д川「あらあら、ごめんなさいねえ。私もつい最近、彷徨う者を探しに此処に来たばかりでよくわからないわあ。」
つい最近?彷徨う者?
川д川「まだ見つからないのよねえ......」
魔法使いはドクオさんを一瞥しました。
(((゚A゚;)))ガタガタガタガタ
彼はいつのまにか部屋の隅で震えていました。
川д川「でも、2階の小部屋で、遺物かは分からないけれどこんな物を見つけたわよお。」
しゅるしゅると髪の毛が形造った蕾が彼女の目の前に生えて花開く。
それは、私の時代ではかなりポピュラーな瓶入りの錠剤の風邪薬でした。
128
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:31:59 ID:5GGlWEwU0
三日後期待してたらきてたしえ?
129
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:32:22 ID:qkXWBg4g0
トソンの表情がパッと輝く。
(゚A゚;)「......め......ソン。」
(゚、゚*トソン「それは!それです!あの!それを、その......譲っていただけ無いでしょうか?」
130
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:34:33 ID:qkXWBg4g0
(゚A゚;)「だめ...あ......あ...ソン。」
川д川「クスクスクス。これは譲れないわあ。でもやっぱり良いでしょうこの透明な器。滑らかで澄んでいて......でも中に入っている粒はオレンジで綺麗じゃないから興味はないわあ。これだけなら上げても良いわよお。」
(゚、゚トソン「良いんですか!」
(゚A゚;)「駄目だあああああああああああああ!!!!トソン!!!」
ごめんなさい、ドクオさん。私は頑張るあなたを助けたいんです。
川д川「いいわよお。クスクス、そうねえ、さっきも言ったけれど貴女のその目玉......澄んでいて透明で......とても綺麗ねえ。」
(゚、゚;トソン「え、な、何を?」
川д゚川「私のオレンジ色の粒。その目玉と......『交換』させていただきましょう。」
131
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:36:09 ID:qkXWBg4g0
途端、一際大きな笑い声と共に長い髪が、威嚇する様に広がる。
これが魔法使いの異常性。
大量の髪がトソンを包み込む様に捕食した。
.
132
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:37:34 ID:5GGlWEwU0
wktk
133
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:37:59 ID:qkXWBg4g0
この世界で強く生きると誓いました。
ですが大切な家族にもらった身体の一部を手放してまで生きるつもりはありません。
134
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:39:04 ID:qkXWBg4g0
(-、-トソン
目を瞑る。考えるのです。私は気が付いているはずです。
-「?此処か?こ、ここは生命の遺跡って言われてる。『ずっと昔から』魔法使いが出るって噂の危険区域だ。」-
-キィ......キイ......-
-薄く向こうが透けて見える輪郭の『ぼやけた男性が』-
-穴は2人の後ろの扉の奥を見つめ男性はゆっくりと浮きあがり私の中を『通り過ぎていった。』-
-「あらあら、ごめんなさいねえ。私も『つい最近、』彷徨う者を探しに此処に来たばかりでよくわからないわあ。」-
135
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:43:07 ID:qkXWBg4g0
ああ、彷徨う者とはあなたの事だったんですね。
確かに彼女の好きそうな透明ですね。
魔女かと思ってしまいすみません。
怖がってしまってすみません。
136
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:45:57 ID:qkXWBg4g0
(゚、゚トソン「待ってください。」
力強く。
川д゚川「クスクス、どうしたのかしら。」
ドーム状の髪の中、淡く、黒く光る髪の束が私の顔に迫る。
(゚、゚トソン「『清澄の魔法使い』さんは彷徨う者を探しているのでしょう。」
ピタリと髪の動きが止まる。
(゚、゚トソン「私はその者の正体を知っています。」
魔法使いは動かない。
良かった。優先度はそちらの方が上だったようです。
(゚、゚トソン「この情報がもし気に入りましたら代わりに『交換』して下さい。」
川д゚川「......」
137
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:46:41 ID:qkXWBg4g0
『車椅子の男性から流れ込んだ暖かいものを私の心臓が逆流させる。』
.
138
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:49:21 ID:qkXWBg4g0
(-、-;トソン「うぐっ......」
鈍い痛みと共に脳内でちかちかと点滅し過去の情景が映し出される。
私はそれを零さぬよう精一杯言葉にする。
139
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:53:18 ID:qkXWBg4g0
---------------------------
遥か過去の時代。
その者は遺跡に通うごく普通の男性でした。
多くの生と死が交差する生命の遺跡。
彼自身も若いころから病に蝕まれており遺跡に助けられていました。
延命を繰り返すうちに、気が付くといつの間にかこの遺跡で一番長く時を過ごしていました。
彼は多くの生と死を見守ることを生き甲斐としていました。
産まれてくる者を祝福し、留まってしまっている者の背中を押し、去る者には深い祈りを捧げる。
見守られて励まされてきた命達は彼に感謝をし、最後の瞬間、自分達が使い切れなかった魂を彼に分けました。
その後彼は肉体を失いましたが、分け与えてもらった魂に助けられ、生き甲斐を全うするため多くの命を見守り続けました。
遺跡が朽ち果てても残る生命がある限り、それを見守るため一人彷徨い続けました。
苦楽を共にした車椅子と共に。
----------------------------
140
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:54:07 ID:qkXWBg4g0
あなたは、私の目覚めを見守っていてくれたんですね。
.
141
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:56:25 ID:qkXWBg4g0
(゚、゚。トソン「あっ......」
涙。
突然私の目から涙が溢れます。
実際に体験したかのような。とても暖かい情景でした。
頬から垂れた涙が魔法使いの髪の毛に染み入る。
涙が落ちた部分がぞわぞわと蠢く。
物言わぬ魔法使いが私を見つめていました。
川д川「なるほどねえ....」
粘つくようなぞくりとした声によって現実に引き戻されました。
川д川「......まだいるのかしらねえ。素敵な生き物。クスクスクス、ますます欲しくなったわあ。良い情報をありがとうねえ。」
しゅるしゅると私の周りから髪の毛が引く。
(-、-トソン「......」
ほっとしました。
142
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:57:08 ID:qkXWBg4g0
ずっ。
突如髪が止まる。
.
143
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:59:02 ID:qkXWBg4g0
川д川「だけど......その貴女の素敵な目玉。さっきとても綺麗な滴を落としたわねえ....」
背筋が凍る。
川д゚川「透明で、暖かくて、儚くて。私、彷徨う者よりあなたの目玉の方が欲しくなっちゃったわあ。」
クスクスクスクス。笑い声が室内に反響する。
ぞぞぞぞぞと再び髪が動き出す
淡く、黒く光り始めた髪の毛の先端が私の顔の右半分に覆いかぶさる。
144
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 20:59:43 ID:qkXWBg4g0
川д゚川「でも......とても良い情報をもらっちゃったから、片方だけで良いわよお。」
私の右目にとてつもない異物感が侵入してきました。
痛みは無いのが救いでしょうか。
145
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:00:59 ID:qkXWBg4g0
川、゚;トソン「待ってください!!!」
まだ......まだ私には最後の策があります。
川、゚;トソン「まだ私は1つだけあなたの好物を持っています!代わりにこれを『交換』しましょう。」
川д゚川「......」
無言。
川、゚;トソン「私が見つけた遥か昔の遺物。」
髪の蠢きが緩やかになる。
バックの中から1粒の可能性を取り出して掲げる。
146
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:01:55 ID:qkXWBg4g0
川、゚;トソン「透明で、澄んでいて、今にも割れそうなくらい儚く!ほんのりと冷たく!」
多少緩やかになるもののまだ動きは止まらない。
川、゚;トソン「そして何よりも!」
私の目が異物感に支配される。
川、゚;トソン「ぐっ......口に含むと......極上の甘さが広がるそうです!」
魔女の表情は変わらずにたにたと不気味な笑みを浮かべている。
髪の勢いが再度加速する。
私の身体全体が髪に支配された。
147
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:02:51 ID:qkXWBg4g0
暗転。
失敗してしまったのでしょうか......
148
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:03:31 ID:qkXWBg4g0
川∀川「クスクスクス、『交換』ありがとうねえ。」
.
149
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:04:15 ID:qkXWBg4g0
(-、-;トソン「うぐっ......」
鈍い痛みと共に脳内でちかちかと点滅し映し出される光景が。
私はそれを感じ零さぬように言葉にする。
150
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:04:55 ID:qkXWBg4g0
>>149
うわ。みすった。畜生
151
:
もう一度
:2015/07/10(金) 21:05:38 ID:qkXWBg4g0
川∀川「クスクスクス『交換』ありがとうねえ。」
152
:
もう一度
:2015/07/10(金) 21:06:46 ID:qkXWBg4g0
(-、゚;トソン「ぐ......あ、い......痛い....」
(゚A゚;)「トソ......ン?」
.
153
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:07:37 ID:qkXWBg4g0
痛い......とても痛いです。
お尻が......痛いです。
.
154
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:08:40 ID:qkXWBg4g0
解放された瞬間、また尻もちをついてしまったようです。
目の前には愛おしそうに、私と交換した可能性を眺める魔法使いがいました。
ぐるぐると見回し満足したのか、垂れた水滴が逆再生するようにゆっくりと天井へ吸い込まれていきました。
155
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:09:21 ID:qkXWBg4g0
「クスクスクス、私ったら生ぬるいわねえ。」
何処からか声が聞こえる。
「他の魔法使いだったら聞く耳を持たずに『交換』していたでしょうねえ。クスクス」
(゚、゚トソン「ありがとうございます。『清澄の魔法使い』さん。」
「魔法使いにお礼を言うなんて可笑しな子ねえ。ま、せいぜい他の魔法使いには会わないように気をつけることねえ。」
黒い染みが完全に消え去る。
156
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:10:22 ID:qkXWBg4g0
魔法使いと交換した錠剤が天井からぽろぽろ落ちる。
('A`;)「だ、大丈夫?」
ドクオさんが駆け寄ります。
(゚、゚;トソン「めめめっちゃ手が震えます。私結構大立ち回りしたんじゃね?」
どうやら押し殺していた恐怖が爆発して言語野がぶっ壊れたようですお。
157
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:11:15 ID:qkXWBg4g0
('A`;)「ご、ごめんねトソン。俺何もできなくて震えてて。」
彼の震える様子を両目で見ると安心感が湧き出てきました。
(゚、゚トソン「いえいえ、私が勝手にやったことですよ。それよりもドクオさん遺物手に入りましたよ。」
('A`;)「いいよそんなの!それよりも怪我ない?」
(゚、゚トソン「まだ目に違和感はありますが問題ないですよ。あ、でもお尻が痛いです。」
軽口を叩く余裕があるので大丈夫でしょう。
158
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:11:56 ID:qkXWBg4g0
よっ、と声をだし立ち上がりま......
(゚、゚;トソン「!?」
下半身に力が入りません。
('A`;)「だ、大丈夫?」
(゚、゚;トソン「......あのですね......とても恥ずかしいのですが、ちょっと腰が抜けてですね......足に力が入らないので治るまで待っててもらえますか?」
('∀`)「は、はあははははははははは。」
(゚、゚トソン「むう......」
全く、恰好がつきませんね。
159
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:13:25 ID:qkXWBg4g0
まだ動く上半身でいそいそとオレンジの薬剤を拾い集めると予備の衣服に包みバッグの中へとしまいます。
何やら考え事をしていたドクオさんがガチャガチャとスコップに紐を取り付け肩掛けにしました。
すると。
私の目線が急に高くなりました。
160
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:16:11 ID:qkXWBg4g0
(゚、゚;トソン「ドドドドドドドドドクオさん!?」
奇しくもお姫様抱っこの体制になり焦ります。
('A`)「な、何慌ててるの?落ちちゃうよ?」
落ち着きなさいトソン。これが新時代のコミュニケーションです!
(-、-トソン「あ、ありがとうございます。」
カルチャーショックを受けつつも平静を装います。
('A`)「さっきは言い損ねちゃったけれど、俺のために遺物を手に入れてくれてありがとう。」
(-、-トソン「いえいえ、私はどうしてもドクオさんの手伝いをしたかったのですよ。」
今度こそ2人で出口へ向かいましょう。
.
161
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:19:27 ID:qkXWBg4g0
('A`)「あ、忘れてた。あの、トソンの大切な遺物を失わせちゃってごめん。」
ドクオさん落ち込みっぱなしですね。
(゚、゚トソン「ああ、あれですか。良いんですよ別に。ふふふ、ドクオさんあの遺物気になるんですか?」
('A`)「え、う、うん。あの遺物どんな味がするんだろうね。俺あんな物見たことないよ。」
ガサゴソとバックを漁り、袋に小分けにされた沢山のそれを取り出す。
(゚、゚トソン「さ、いっぱいあるので一緒に食べましょう。噛んじゃだめですよ。」
('A`;)「え、なにこれ、こんなにいっぱいあったの?うわ、すっごく綺麗。」
彼が驚きで動揺し私がずり落ちそうになりました。
(゚、゚トソン「わ!私の事落とさないで下さいね!はいどうぞ。」
('∀`)「あ、ありがとうトソン!」
元気になってくれてよかった。
162
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:20:08 ID:qkXWBg4g0
(゚、゚トソン「ふふふ、それにしても我ながら良く咄嗟にあんな作戦思いついたものです。ちなみに、この遺物は飴玉と言ってですね......」
紅と金を混ぜたような強烈な色彩が既に遺跡の外の森林を染めていた。
163
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:21:32 ID:qkXWBg4g0
あ、そうだ
最後にドクオさん。
出会ったとき人間はどんな種族かと聞かれましたが。
訂正です。
今回私は、車椅子の男性....いえ、人の暖かさに触れて考えが変わりました。
人間は、他の生き物のために自らを省みず行動します。
色んな考えの人が居ますが根っこの部分でこれは変わらないと思います。
愚かとも聞こえますが、とても優しい種族ですよ。
164
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:22:41 ID:qkXWBg4g0
4話 新時代的魔法使い 〜おわり〜
.
165
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:24:22 ID:qkXWBg4g0
以上です。病院脱出で一区切りついたかな。
何か質問等あればお願いします。
166
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:25:42 ID:2PxXZHyM0
乙!
面白いねぇ
167
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 21:27:48 ID:5GGlWEwU0
おつおつ
電力は生きてるのかな?トソンが入ってたコールドスリープの電源管理、荒れ果ててるのになぜコールドスリープが無事だったのか
それは作中で明らかになると思うので自重します
168
:
名も無きAAのようです
:2015/07/11(土) 00:10:59 ID:8JFZ1E6Q0
おおお、50はそういうことだったのか……!
見守ってくれてたんだな……
169
:
名も無きAAのようです
:2015/07/11(土) 01:33:17 ID:dnj35gak0
乙
170
:
名も無きAAのようです
:2015/07/11(土) 04:33:25 ID:qM8uBS6.0
乙
171
:
1
:2015/07/11(土) 05:56:21 ID:2./z968w0
4話を駆け足で投下しちゃったので次の投下は1週間後くらいになりそうです。
沢山の乙や支援ありがとうございます
172
:
名も無きAAのようです
:2015/07/11(土) 06:58:08 ID:.MVx9u1I0
乙。めちゃくちゃ面白かった。
この短い話数で伏線回収して綺麗に落とすのすげえ。
173
:
名も無きAAのようです
:2015/07/12(日) 10:46:51 ID:wEgElaTA0
乙!いつの間にか新作が!楽しみが増えた!良い作風。
174
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 17:59:20 ID:wrs/EJAU0
今夜投下します。
175
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 19:15:54 ID:58YwZqZc0
よし!!
176
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 19:26:49 ID:N9VFcSxU0
つましゃぁぁぁ
177
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 19:38:31 ID:zLSVOVHg0
がんばれ!
178
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 20:11:36 ID:pmYKvAnc0
やったぜ
179
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 20:27:48 ID:YxRr/c2Y0
わーい
180
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 20:35:55 ID:wrs/EJAU0
投下します
181
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 20:39:47 ID:e5o6o.i.0
やったぜ
182
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 20:40:17 ID:tqcF4jOw0
キター
183
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 20:40:43 ID:wrs/EJAU0
あ、気取ってトリップなどつけてみました。 今度こそ投下。
184
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 20:42:04 ID:wrs/EJAU0
----------------------------------
ごうごうと火の手が回る。
「や、やめてくれ。何故こんなことをするんだ。」
「私は不毛の地に種を与え、大地を蘇らせ、自然の実りをもたらし発展させたではないか。」
「代わりに育った大地を『交換』してもらう。それが道理だろう?」
「よもや貴様。私が無償でこの地を助けたとでも思っていたのか?」
「あ、ああ、私の町が......私の家族達が......」
「ふん......」
男は煙と共に空へと上がる。
黒く燃え盛る町の地面からじわり、じわりと大量の黒が染み出していく。
それをにやにやと見守る男は大きく口を開けた。
染み出る黒は吸い込まれるように口の中へ集まる。
185
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 20:43:03 ID:wrs/EJAU0
ばくん。
すべての黒を食い終えると満足したように腹をさすり煙の中へと溶けていった。
数日間燃え続けた黒い炎が弱まった頃。
降り出した長い雨が焦土を濡らしたが生きる命を濡らす事は無かった。
----------------------------------
186
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 20:44:00 ID:wrs/EJAU0
この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン
.
187
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 20:46:30 ID:wrs/EJAU0
(゚、゚トソン「お腹すきました......」
('A`)「......ん?」
ドクオさんは普段何を食べているのでしょうか?
飴は食べても大丈夫そうでしたし、案外何でも食べられそうですね。
新時代の食生活......とても気になります。
(゚、゚トソン「あれ、ドクオさん?」
('〜`)「ん?」モソモソ
(゚、゚トソン「何食べてるんですか?」
('〜`)「虫」
(゚、゚トソン「.....」
「みぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
その日沢山の野鳥が周囲の森林から姿を消した。
188
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 20:47:28 ID:wrs/EJAU0
----------------------------------
夜の帳は既に下り、2人の見つめる先はパチパチと心地よい音を鳴らして小枝が爆ぜている。
ドクオさんが枯れ木を集め焚き火を作ってくれました。
火薬?を何処からか拾って来てカチカチ爪を研ぐこと5分。目を離していると見事に火がついていました。
('A`)「明日には俺の村に着くと思うよ。」
(゚、゚トソン「そうですか。」ツーン
('A`)「そ、そういえば、トソンの分のご飯は集めなくてよかったの?言ってくれれば俺がむs......」
(゚、゚トソン「 結 構 で す 」
('A`)「......」しゅん
私の目が荒んでいきます。今『清澄の魔法使い』さんに襲われたなら目は『交換』されそうにないですね。
189
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 20:49:13 ID:wrs/EJAU0
カシュッ
カプセルから持ち出した乾パンのプルタブを開ける。
乾パンを食べるのは小さいころに押し入れにしまってあるのをこっそり食べたきりですね。
もそもそと咀嚼すると、思っていたより柔らかい触感と練りこまれた胡麻の風味が口の中に広がりました。
(゚、゚トソン「!!!!!!」
私がその時食べたのはカチカチのビスケットみたいな感じで美味しくなかったのに。
これが技術の進歩ですね!
(゚、゚トソン「近代万歳!」
('A`;)「!?」ビクッ
190
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 20:50:15 ID:pmYKvAnc0
カンパンやるやるwww
191
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 20:52:36 ID:wrs/EJAU0
もそもそと口を動かし続けていると、熱心な視線を感じて顔を上げました。
(゚、゚トソン「どうしたんですかドクオさん?」
('A`)「ト、トソンの食べてるの美味しそうだね......」
(゚、゚トソン「む、これは絶対に渡しませんよ。ドクオさんはそこら辺の虫でもたらふく食べてると良いのです。虫でも。」ツーン
('A`)「ぐぬぬぬ。」
(゚、゚トソン「ふふふ、どうしても食べたいなら......『交換』ですよ。」
ドクオさんは不敵な笑みを浮かべる。
('A`)「......ここにあるのはさっきついでに集めた甘い木の実。」
(゚、゚トソン「グッド!」
私は満面の笑みでした。
192
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 20:54:54 ID:wrs/EJAU0
新時代の木の実は木苺のような見た目ですが、私の知っている物よりもとても大きく、一口食べた瞬間強烈な自然の甘さに驚かされました。プチプチとした食感もとても楽しいです。
大自然って凄い!
(゚、゚トソン「新時代万歳!」
('A`;)「!?」ビクッ
しかもこれが意外にもカンパンとマッチして単調だった味わいががらりと変わりました。
自生しているだけに甘い物だけではなく酸っぱい物もあり、飽きる事なく食べ続けられます。
これが新時代と近代の融合......
俄然この時代での生活に光が見えてきましたよ。
193
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 20:58:25 ID:wrs/EJAU0
----------------------------------
たき火はちりちりと元気が無くなってきている。
私はそれにつられてうとうとしてきました。
(-、-トソン「遺跡から比較的綺麗なシーツを持ってきて正解でした。」
既にシーツにくるまって船を漕ぎ始めているので、いつでも眠れそうです。
(-、-トソン「ドクオさん?」
先程からドクオさんの姿が見えません。
(゚、゚;トソン「あ、あれ、ドクオさん?何処に......」
ぼこっ。
('∀`)「寝床できたよ。」
土の中からひょこりと顔を出し良い笑顔で手招きする。
194
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 20:58:32 ID:0AbnJcrk0
\(´・∀・`)/万歳
195
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:00:20 ID:wrs/EJAU0
腰を屈めて後をついていくと、快適に手足を伸ばせるほどの楕円の空間が2つできていました。
ドクオさんがどこからか持ってきた光る苔が片方の部屋を淡く照らしています。
おそらくそっちが私の部屋でしょう。
(゚、゚トソン「うわ、すごい!ドクオさんこんな事できるんですね。」
('∀`)「うん!やっと役に立てた気がするよ。」
(゚、゚トソン「崩れないですよね?」
('A`)「......崩れるような巣だったらモグラ族は全滅してるよ。」
ごもっともです。
土でできた穴倉はひんやりと冷たくとても快適です。
しっかりと固められた土の上にシーツをひき、ごろんと横になりました。
途端、氾濫した濁流の様な睡魔に襲われます。
今日はとても色々な事がありました......
永い眠りから覚めて、ドクオさんと会って、幽霊さんと会って、魔法使いに目を......
だめです。考えることを諦め流れに身を任せることにしましょう......
「お休みトソン。」
.
196
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:07:50 ID:wrs/EJAU0
----------------------------------
(-、-トソン「む、朝.....?」
穴の中にうっすらと陽の光が差し込みます。
のそのそとシーツを引きずりゆっくりとした動きで穴から這い出ると、ドクオさんは既に起きて何かを焼いていました。
(-、-;トソン「うあ......眩しい......」
陽ざしが森林を突き抜けて目に刺さります。
無意識に寝床に戻ろうと踵を返した時。
('A`)「おはよう、トソン。木の実焼いたけれど食べ」(゚、゚トソン「食べます。おはようございます。」
俊敏な動きで焚き火の隣の石の上に座りました。
これは…栗ですかね。やっぱり私が知っている物よりもかなり大きいです。
(゚、゚;トソン「どうやって開けるんですかこれ?」あちち
そりゃ大きいだけに殻も固いですよね。噛みついてみても文字通り歯が立ちません。
('A`)「ああ、ごめんごめん。貸して。」
パチッ
('A`)「はい」
(゚、゚トソン「おお、やっぱり器用ですね。」
ドクオさんは器用に爪を使い殻を剥いてくれました。
多少の苦味のある香ばしい香りが......口に入れると崩れるほくほくとした食感!
(゚、゚トソン「!」もそもそ
咀嚼するとねっとりとした食感に変わり程よい甘みが充満します!
美味しい!美味しいですよ!
197
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:09:53 ID:wrs/EJAU0
(゚、゚トソン「お代わり」
パチッ
('A`)「はい」
もそもそ
198
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:10:34 ID:wrs/EJAU0
(゚、゚トソン「お代わり」
パチッ
('A`)「......はい」
もそもそ
199
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:11:17 ID:wrs/EJAU0
(゚、゚トソン「お代わり」
パチッ
('A`;)「は、はい」
もそもそ
200
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:12:42 ID:wrs/EJAU0
繰り返すこと数回。
('A`;)「まるでリスだね。」
(゚、゚トソン「......」もそもそもそ
朝食を終え、きちんと火の始末をして歩き始めました。
気合を入れて歩き始めたものの鬱蒼とした森は先が見えません。
変わらない景色を歩き続けるのは中々に大変ですね。足取りが重いです。
('A`)「あ、そうだちょっと寄り道していい?」
(゚、゚トソン「おや、どこへ行くんですか?」
('A`)「かーちゃんは心配だけれど、久しぶりにここまで来たから友人に挨拶しておこうと思って。」
ドクオさんの友人と言うくらいですからモグラの様な見た目なのでしょうか。
('A`)「通り道だから直ぐ着くよ。」
次第に森林の緑がまばらになり枯れ木が目立つようになる。
視界が開ける。
201
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:16:05 ID:wrs/EJAU0
焼き払われた広い土地。
沢山の盛り上がった土に無造作に立てられた杭。
山積みにして片づけられた木や石、家の残骸。
そこにはかつて町だったものあった。
202
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:17:40 ID:wrs/EJAU0
(゚、゚;トソン「ド、ドクオさん、これは」
('A`)「ああ......これは」 スンスン
('A`;)「!?」
(゚、゚トソン「どうしました?」
ドクオさんの眺めている方向に目を凝らしてみると、土の上に茶色い毛玉がありました。
私たちの足音に気がついたのか、毛玉はだらだらと涎を垂らした口元を上げた。
203
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:21:40 ID:wrs/EJAU0
空腹。
私たちと目が合うと直ぐに威嚇姿勢を取り笑う様な高い声を上げた。
ヒャハハハハハハハハハハハハ
敵意。
(゚A゚;)「うわああああああああああああああああああああああ」
ドクオさんはいち早く走り出しました。
この光景もだんだん見慣れてきましたね。
何故か異様に落ち着いている自分がいました。
204
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 21:22:29 ID:pmYKvAnc0
ハイエナ?
205
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:24:21 ID:wrs/EJAU0
ドンッ
おや、ドクオさん転びでもしたんでしょうか?
(゚A゚;)「うわあああああああああああ!」
爪;'ー`)「あああああああああああ?」
ジグザグに走り去るドクオさ......
え?
206
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:25:50 ID:wrs/EJAU0
>>204
ばれた......
207
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:26:35 ID:wrs/EJAU0
(゚、゚トソン「ど、どちら様で?」
爪'ー`)「どうも私はフォックスと申します。」
(゚、゚トソン「って、そんな事よりもですね、あの犬みたいなのは。」
振り向くと先程まで唸りを上げていた犬は消えていた。
(゚、゚トソン「あれっ?」
きょろきょろと見回し犬を探しますが見当たりません。
代わりに視界の端にプルプル震える毛玉を見つけました。
(゚、゚トソン「大丈夫ですかドクオさん。もう犬はいなくなりましたよ。」
(゚A゚;)「うう、あわわ。」
(゚、゚トソン「さっきの犬は何なんですか?」
確かに狂暴そうでしたがあまり大きくは無いですしそこまで怖がるほどでは。
(゚A゚;)「ああ、ううわら、わらら」
爪'ー`)「見た所彼はモグラ族ですし、怖がる犬って言ったら天敵の笑い犬じゃないですかね?」
(゚、゚トソン「笑い犬?」
その名前を出すと彼はびくりと震える。
208
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:30:12 ID:wrs/EJAU0
爪'ー`)「大丈夫ですか?ドクオさんとやら。」
(゚A゚;)「え、ええええ!?誰?」
爪'ー`)「私はフォックスと申します。」
ふさふさとして柔らかそうな黄色い尻尾がゆらゆらと風に揺れた。
顔につけたキツネの仮面の下の表情は分からない。
爪'ー`)「獰猛ですが数が揃わないと臆病な生き物ですから逃げたしたんでしょうね。もういなくなりましたよ。」
('A`;)「た、助かった。」
爪;'ー`)「ところでお嬢さん、お尋ねしますが......その、もしや魔法使いでは?」
(゚、゚トソン「いえ、私は人間でトソンと言います。」
爪;'ー`)「ああ、良かった。怖いもの見たさで近寄りましたが正直恐怖で足が笑っちゃって」ガクガクガク
そこまで似ていますかね?やはりそれほど魔法使いは恐ろしいものなのでしょう。
爪'ー`)「それにしても、ニンゲン?聞いたことがない種族ですね。」
(゚、゚トソン「よく......言われます。」
やはり人間はもうこの時代にはいないのでしょうか......
209
:
名も無きAAのようです
:2015/07/15(水) 21:32:58 ID:rz7O7Kp.O
笑い犬の冒険
210
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:35:05 ID:wrs/EJAU0
爪'ー`)「まあ、未知の種族なんて星の数ほどいますからね。ところで、2人はどうしてこんな何もない焦土の町へ?」
('A`)「俺は友人の墓参りだよ。直ぐ戻るからちょっと待っててねトソン。......変なことされたら大声出すんだよ。」
爪;'ー`)「紳士ですよ私は。」
(゚、゚トソン「大丈夫です。その場で噛みちぎるので」
爪;'ー`)「何を!?」
ドクオは犬を警戒しつつ友人の墓標へ向かった。
爪'ー`)「友人、墓参り......ですか。......そういえばトソンさんはこの町が焦土となった原因はご存知ですか?」
(゚、゚トソン「存じません。」ツーン
爪'ー`)「ひでえや。」
(゚、゚トソン「......」
爪;'ー`)「......」
(゚、゚トソン「......」
爪'ー`)「......て、手持無沙汰ですし彼が帰ってくるまで私が焦土の町についてお話ししましょう!」
人と話すのがよほど好きなのか紳士(笑)さんの尻尾がパタパタとせわしなく動いた。
211
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:40:04 ID:wrs/EJAU0
----------------------------------
最近まで此処は豊かな土地を活用した農業が盛んな町でした。
ですが昔、この土地は不毛の地と呼ばれるほど荒れ果てていました。
ある日その地に、流行り病で潰れた村の村長が1人移り住みました。
村長は必死に木を切り、木を焼き、撒いて、耕して、川を引き、やっとの事で少しの作物が実るようになりました。
心優しい村長は、同じような境遇の者たちを集めこの地を発展させました。
しかし不毛の地が村と呼べる規模になるころには、村長が作った大地は再び枯れようとしていました。
村が貧困に悩ませられた頃、ぼろ布をまとった生き物がこの地に立ち寄りました。
その生き物は枯れた土に黒い種を撒き、去っていきました。
すると不毛の地は見る見るうちに生命に溢れました。
そしてこの地は豊かになり、以前よりも多くの生き物が集まり更なる発展を遂げました。
心優しい村長は集まってくるもの達を受け入れ家族の様に接しました。
212
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:43:43 ID:wrs/EJAU0
最初の村長から、村長の座を譲り受けた息子。
町と呼べるほどの規模まで発展した村。
彼の子供がすくすくと成長し、新しく町長として任命される頃。
不毛の地の発展は突如摘み取られてしまいました。
213
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:45:27 ID:wrs/EJAU0
種を撒いた生き物が再び戻ってきました。
町長は彼の事を父から聞かされていたので快く町へと招き、大きな祭を行いました。
舞台に上がり町長と握手を交わしたと思いきや、突如その生き物はぼろ布を脱ぎ捨て大きく口を開けました。
誰かが叫びました。
魔法使いだ!
広がる騒めきの波紋は広がり、祭囃子は叫び声に変わりました。
魔法使いは逃げ惑う生き物には見向きもせず不毛の地全体にどす黒い灼熱を吐き出しました。
最後に町長が見た光景は燃え盛る町を背に、空へと飛び立つ彼の姿だったと言います。
----------------------------------
214
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:46:55 ID:wrs/EJAU0
('A`)「その黒い炎に俺の友人も巻き込まれたんだ......」
お墓参りが終わったのかドクオさんが話に交じります。
(゚、゚トソン「なるほどそんな事が......」
魔法使い。先日会った『清澄の魔法使い』さんもとても恐ろしかったですが
この魔法使いは彼女の言う通り生ぬるくは無いですね。規模が違いすぎます。
(゚、゚トソン「ところでフォックスさんは一体何者ですか?」
爪'ー`)「ふふふ、よくぞ聞いてくれました。私は歌を歌いこの大地を遍歴する者。そして旅の中で迷える魂を慰めるのが私の生き甲斐なんです!」
フォックスさんは大袈裟に両手を広げくるくると嬉しそうに語ります。
爪'ー`)「魂から感想は貰えないので今日は生きている人がいてくれて良かった......しばし私の生き甲斐に付き合っていただきましょう。」
彼は背負っていた木できた不思議な形の弦楽器を構えました。
爪'ー`)「魂に安息を。」
.
215
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:48:21 ID:wrs/EJAU0
彼の弦がそよ風の様に柔らかく律動する。
優しい雨を思わせる涼しげな音色がトソンの心にしとしとと染み入る。
(゚、゚トソン「......」
ぽつりぽつりと降り始めた雨。
フォックスが奏でているのはただの音楽。
しかし、不思議な形の弦楽器は淡く輝き雨を呼んだ。
216
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 21:58:07 ID:wrs/EJAU0
NGワード当たって書き込めない......何がダメなんだ......
217
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 22:04:33 ID:wrs/EJAU0
(゚、゚トソン「雨......ですか。」
('A`)「毛が濡れる......」
音の波紋は段々と広がり焦土の町を優しく包み込む。
焦土の町を包み込んだ雨は次第に強くなっていく。
218
:
◆vkc4xj2v7k
:2015/07/15(水) 22:11:52 ID:wrs/EJAU0
雨脚が強まる中、曲調は時雨の様に不規則に、複雑で、頻繁に転調する。それに合わせ彼は楽しそうに揺れる。
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