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この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン

319 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:14:18 ID:AMuwusfc0



-ドクン-


.

320 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:15:26 ID:AMuwusfc0


トソンは身体をひねり紙一重で躱す。


肩口のパーカーの生地が消える。


(゚、゚トソン「っ!!!」


勢いを殺しきれずボス犬が地を滑る。


土煙が舞う。


ぶるると悔しそうに顔を振り体制を立て直し、もう一度飛びかかるために振り向いた。

321 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:18:29 ID:AMuwusfc0


瞬間。


トソンの両足が土煙を突き抜け現れた。


咄嗟の事にボス犬は驚き反応が遅れる。


(゚、゚#トソン「やあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


めりめりと頭に足がめり込む。


ミセリ直伝のドロップキックが決まる。


▼・ェ・;▼「グガアアアアア!!!」


トソンの全体重を浴びせられ吹き飛ぶ。


すぐに砂にまみれたトソンが立ち上がる。


▼・ェ・#▼「グルオオオオオオオオ!!!!」


ボス犬は激昂し牙を剥き出したまま走り、爪を横薙ぎに振るう

322 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:19:24 ID:AMuwusfc0


-ドクン-


.

323 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:21:09 ID:AMuwusfc0


すっと身体を引く。


ドクオさんに引っかかれた時に切れたパーカーの腕の部分の奥の肉が弾ける。


(゚、゚;トソン「うぐ......」


休む間も無く爪を剥き出しにしたアッパーが下から迫る。

324 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:21:57 ID:AMuwusfc0


ードクンー


.

325 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:25:41 ID:AMuwusfc0


トソンは最小限の動きで右にステップを踏んだ。


ブンッ


即死の爪は太ももを掠める。


(゚、゚#トソン「うわあああああああああああ!!!」


恐怖を無視してガラ空きの足にスコップを食い込ませる。


▼・ェ・;▼「ギャオオオオオオオオオオオオ!!!!

326 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:26:22 ID:AMuwusfc0


-ドクン-


-ドクン-


-ドクン-


-ドクン-


-ドクン-

327 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:27:10 ID:AMuwusfc0


目で追う事がギリギリ、当たればそこで致命傷になり得る一撃を躱し続ける。


心臓が......うるさい。


(゚、゚#トソン「いやあああああああああああ!!!!」


躱すだけではなく隙を見てスコップをめり込ませる

328 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:28:57 ID:AMuwusfc0
▼ ェ ;▼「グ......」

な、なぜあたらん......

何度も殺したと確信した。

殺した感覚は......爪に残っている。

殺した感覚が何度もあるとはおかしいな話だが説明のしようがない。

しかしこの爪はかすり傷を作る程度。


今までに感じた事もない感覚に戸惑い焦る。


▼ ェ ;▼「何が起こっている......」


トソンから距離を置き小さく呟く。

329 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:30:49 ID:AMuwusfc0


(゚、゚;トソン「何が起こっているんでしょう......」


トソンは自分に語りかける。


彼女自身も何度も死を覚悟していた。死んでしまった感覚もある。


何を言っているのか自分でもわからない。


だがボス犬の爪が自分に当たる瞬間。


とても怖くなり身体を動かした。


それだけだった。


別に動きをスローモーションに感じているわけでも無い。


運がよかったのか。


彼女自身も全く分からなかった。


しかし好都合。


この感覚が続く間に早くあいつを屈服させないと。

330 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:31:38 ID:AMuwusfc0


再び衝突。


トソンのかすり傷が増えていく。


犬の出血が増えていく。


ボス犬は焦っていた。


飢えで自分たちが死ぬ前に獲物を仕留めなければならない。


なぜこんなにも細く弱そうな生き物に後れを取っているのだ。


辺りはボス犬の血液が点々と飛び散っている。

331 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:34:46 ID:AMuwusfc0


▼・ェ・#▼「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


命を燃やし最も大きく吠えた。


辺りの木々がビリビリと震える。


全ての力を振り絞り走る。


土煙がボス犬を追いかける。

332 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:36:59 ID:AMuwusfc0


咆哮に怯み体の動きが鈍る。


(゚、゚;トソン「ッッッ!!!」


スコップを構えようとするがあまりの早さに間に合わない。


腕を突き出す。


槍の様に鋭い一撃はトソンの胸に向かう


どんなに紙一重の動きをしたとしても間に合わない。


どこにあたろうが致命傷は免れない。

333 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:37:43 ID:AMuwusfc0


ードクンー

.

334 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:38:23 ID:AMuwusfc0


トソンはギリギリのところで反応し身体を右後ろに引く。

335 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:39:31 ID:AMuwusfc0





▼・ェ・#▼「捉えたああああああああああああああああ!!!!!」


避けきる事は出来ず不幸にも爪はトソンのやや左の胸を捉える。


人間と言う種族の心臓の部分。



ズンッ



振り抜く


-ドク......ン-


( 、 トソン「              」


声が出ない。


胸に衝撃を受け吹き飛ばされる。

336 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:41:46 ID:AMuwusfc0


地面に叩きつけられ大きくバウンドする。


(゚、゚;トソン「ガハッ......ゴホッ、ゴホッ。」


2度ほど跳ねたところで力強く根を張る木に勢いを殺される。


(゚、゚;トソン「ぐ......ドクオ......さ......」


失敗してしまいました。


運が尽きてしまったのでしょうか......


胸が焼ける様に熱い。


何をされたのでしょうか。


身体が鉛の様に重い......

337 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:43:21 ID:AMuwusfc0


直ぐに腕に力を入れて立ち上がろうとする。


(゚、゚トソン「まだ......もう一度立ち上がらないと。」


ゴボッと音を立てゆっくりと血が地面を濡らす


ドクオがボス犬を気にせず駆け寄る。


(゚A゚)「トソンンンンンンンンンンンンンン!!!!!」

▼・ェ・#▼「はあ、はあ、ようやく仕留めたか。ここまでしぶとい獲物は初めてだ......」


犬の子供たちがぴょんぴょん跳ねながら近寄る。


「ボス!ボス!ヒャハハハハ」

「カッコイイカッコイイ!!!キヒヒ!!」

▼・ェ・▼「グフフフ、さあ、子ども達よ食事の時間だ。」


嬉しそうに狂気に満ちた目を輝かせ子供たちは2人に近寄る。


足を引きずりボスが続く。

338 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:44:53 ID:AMuwusfc0


( A )「あ、ああああああ......」


動くことができない。


逃げ出したい衝動に駆られるが自分のために戦ったトソンを置いていくことは流石の俺でもできない。

臆病だけれど中途半端な俺は黙って死を受け入れる事しかできない。


鼻先に子供の吐息が当たる。


不気味な笑い声が耳にこびりつく。


「アーン」


ゆっくりと首筋に牙が迫る。


一思いに......やってくれ......


でも......最後にかーちゃんに薬を届けたかったなあ......

339 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:45:56 ID:AMuwusfc0






これが死に行くという感覚なのでしょうか

走馬灯なんて見えないし、家族の幻覚も見えません。

何も感じません。

私の身体はどうなってしまったのでしょうか。

うっすらと目を開けるが目の前が真っ赤です。

致死量はどれくらいかわかりませんが......

ううむ......結構出てますね。

ふふふ、再び目を閉じちゃえばどんなに楽なことでしょうか。


-......クン-


-ド......クン-


-ドクン-


心臓の鼓動が響く。


まだ大丈夫と私に訴えかける。


分っています。


-私は-

340 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:46:41 ID:AMuwusfc0


異常。


ボスは何かを感づき足を止める。


野生の勘という物なのか。


▼・ェ・;▼「待て子ども達。何かがおかしい。」

341 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:47:21 ID:AMuwusfc0


-私は-


まさか。


トソンを見る。馬鹿な!先ほど殺したばかりではないか。


まだ息はあるかもしれんが動けるわけがない。

342 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:48:01 ID:AMuwusfc0


-この世界で-


もしや。


ドクオを見る。プルプルと震えている生き物に恐れは毛ほども抱かない。

343 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:48:49 ID:AMuwusfc0


-強く-


一体何が。


辺りを見回す。自分の獲物を奪うような他の生き物はいない。


異常は未だにずるずると体内を這いずる。

344 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:49:46 ID:AMuwusfc0


-強く-


静寂に包まれた森林だけがざわざわと揺れる。


子供たちもきょろきょろと見回す。

345 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:50:32 ID:AMuwusfc0


-強く-


もう一度トソンを見る。


見ればわかる爪が心臓をとらえ、既に動かなくなっている。

346 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:51:12 ID:AMuwusfc0


-強く-


ほら見ろ!現に今もポタポタと血が垂れているじゃないか!!!

347 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:51:56 ID:AMuwusfc0


-強く-


ん?


垂れている?



ぽたり......ぽたり......ぽたり......

348 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:52:38 ID:AMuwusfc0


-私はこの時代で強く生き抜いてみせます-


背中は皆に十分押してもらいました。


最後に突き動かすのは私自身の言葉のみ。

349 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:54:36 ID:AMuwusfc0


既にスコップを杖代わりにし立ち上がっているトソンの姿があった。


(゚、゚;トソン「はあ......はあ......ぐ.......」


これが最後です。


考えるのです。


今なら......今ならいけるはず。


相手は達成感に溢れ、気が抜けている。


そう。この後あいつは死んだはずの私が動き出して大声で驚く。


ボスは自分の爪を見るが爪に着く血は確かに赤い。


魔法使いなどではないことは分っている。


なのに


▼・ェ・;▼「なぜ......なぜ生きているんだあああああああああああ!!!」


よし。死ぬほど痛いですがポーカーフェイスです。私。

350 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:55:16 ID:AMuwusfc0


(゚、゚トソン「......」


(゚、゚トソン「その爪に付いた血」


(゚、゚トソン「舐めてみればわかるかもしれませんよ?」

351 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:55:57 ID:AMuwusfc0


▼・ェ・;▼「!?!?!?」

これが異常の正体か。


トソンは左胸から垂れる自分の血を手ですくい犬の子供達に近づく。


子供達は首を傾げる。


▼・ェ・;▼「離れろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


驚いたのか蜘蛛の子を散らすように笑いながら草むらへ飛び込んでいく。

352 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:57:29 ID:AMuwusfc0


トソンはにやりと笑う。


どうやらまともな思考が働いていないようです。


カラカラカラ......


スコップを引きずりボス犬へ近づく。


ガチガチと牙が震える。


確か笑い犬は本来とても臆病な生き物だとフォックスさんが言っていましたね。


(゚、゚トソン「一人......だけになっちゃいましたねえ......」


ゆっくりと手を伸ばす。


(゚、゚トソン「私を食べる気だったんでしょう?」


じりじりとボス犬が後ろに下がる。


(゚、゚トソン「さあ......」


すたすたと臆せずトソンが近寄る。


(゚、゚トソン「さあ......」

353 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:58:20 ID:AMuwusfc0


(゚、゚トソン「さあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ピリピリと傷に響く。


▼・ェ・;▼「お、おおお、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


何度か転びそうになりながらボス犬は走り去った。

354 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 22:59:42 ID:AMuwusfc0


(-、-トソン「うう......」


ふらふらとドクオさんの方へと近づく。


(-、-トソン「ドクオ......さ、ん」


(゚A゚)ブクブクブク


なんであなたが気絶してるんですか......


(゚、゚トソン「全くもう......」

(-、-トソン「相変わ.....ら、ずです......ね。」


糸が切れたように倒れる。

355 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 23:00:22 ID:AMuwusfc0

私って......この時代に来てから危険な目にあってばっかりですね.......

お父さんお母さん......ついでにミセリ。私......強く生きていますでしょうか?

356 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 23:04:59 ID:AMuwusfc0


(゚A゚)「トソン!!!!トソン!!!!起きて!!!!ねえ、起きてよ!!!」


意識を手放し切る前にゆすり起こされる。


(-、-トソン「起きたんですね......良かったです。」


アドレナリンが切れたのか体が酷く重くて目を開けることも困難です。


(;A;)「何で......俺はまたトソンの事見捨てて逃げ出したのに。」

(-、゚トソン「.....」

(-、-トソン「ふふ、そんなに取り乱したらお母さんに笑われてしまいますよ。でも......ちょっと辛いので流石に寝かせてください。」


緩やかに血が流れる。


目の前で微笑む女性は想像を絶する痛みを受けながらも俺の心配をしていくれている。


彼女から沢山のものを貰いすぎた。

でも俺は彼女に何もしてあげられていない。

出来ることは何もない......

それならせめて......俺は生涯彼女のためにこの命を尽くそう。

尽くさなければいけない。

357 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 23:05:51 ID:AMuwusfc0


でもそのためには今......


涙をごしごし拭い彼女を抱き立ち上がる。


('A`#)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


この足がちぎれようと俺の足は止まる事は無いだろう。

358 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 23:06:52 ID:AMuwusfc0

私はこの時代に来てから、初めてできた友達のために役に立とうと必死でした。

そうしないと......私がきちんと生きていることを証明できない気がして......

今思えば幼稚で自己満足で軽はずみでしたね。

その結果ドクオさんをこんなに心配させてしまいました。

もし目が覚めることがあったらもうこんな無謀な事はしないように気を付けましょう。

359 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 23:07:48 ID:AMuwusfc0

私はこの時代に来てから、初めてできた友達のために役に立とうと必死でした。

そうしないと......私がきちんと生きていることを証明できない気がして......

今思えば幼稚で自己満足で軽はずみでしたね。

その結果ドクオさんをこんなに心配させてしまいました。

もし目が覚めることがあったらもうこんな無謀な事はしないように気を付けましょう。

360 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 23:08:28 ID:AMuwusfc0


7話 近代的全力闘争 〜おわり〜

.

361 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 23:10:16 ID:AMuwusfc0
悲しいことにタイトルコール忘れてた。
>>309 と >>310 の間にあったことにしてください......


この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン

362 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/26(日) 23:11:19 ID:AMuwusfc0
以上です。

なんでこうも投下ミスが多くなってしまうんでしょうか。

感想や質問等あれば是非お願いします。

363名も無きAAのようです:2015/07/26(日) 23:24:18 ID:Nt2h5MaU0
お疲れ様でした。

最後1話のオマージュ?だとしたらトソンはお母さん似だねえ。

364名も無きAAのようです:2015/07/26(日) 23:37:39 ID:OSpZPuw60
乙!
胸に風穴開けられても動けるトソン半端ねぇな…本当に病人か?
この先の展開に期待ですな

365名も無きAAのようです:2015/07/27(月) 02:28:47 ID:Olmxo2ps0
乙 交換できるようになったのかと思った

366名も無きAAのようです:2015/07/27(月) 06:48:24 ID:/0.qmQBI0
乙。おもしれー。伏線っぽいのが多い気がするけれど回収頑張れ。

367名も無きAAのようです:2015/07/30(木) 16:58:57 ID:Crz2amvU0
今夜投下します。

368名も無きAAのようです:2015/07/30(木) 17:13:00 ID:Qnm9tPvc0
まってました

369名も無きAAのようです:2015/07/30(木) 17:21:57 ID:7SPIr5Ew0
トリップ付いてないけど本物?

370名も無きAAのようです:2015/07/30(木) 18:27:11 ID:UpKOpDA20
作者騙りは最低だぞやめとけな

371 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/30(木) 19:30:08 ID:.KywFxjw0
今夜投下出来そうなので投下します。

372 ◆vkc4xj2v7k:2015/07/30(木) 19:39:15 ID:7SPIr5Ew0
本人来たか
このトリップ割ろうと思えば誰でも割れそうだから変えた方が良いぞ
俺が成りすましても確実にバレるから俺にしか割れてなければ問題ないけど

373名も無きAAのようです:2015/07/30(木) 20:37:04 ID:Ygo4PD4A0
割るなよ…

374 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:40:07 ID:.KywFxjw0
割られてしまった......流石に安直すぎましたね。

新しい酉はこれで行きます。

そして準備ができたので投下します。

375 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:41:04 ID:.KywFxjw0


暖かい毛布に包まれゆっくりと目を覚ます。


(゚、-トソン「う......うう......」

見知らぬ天井です。

J( 'ー`)し「あら、おはよう。」

確か......私は......ドクオさんを助けるために必死で......死にかけて......

ええと......なんとかはったりが決まって......最後は倒れて......


J( 'ー`)し「?」


柔和な笑みを浮かべるモグラ族の女性は首をかしげる。


(゚、゚;トソン「ど、どなたですか......それにここは......」

......そういえばとてもお腹が空いています。どのくらい眠っていたのでしょうか。

376 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:41:57 ID:.KywFxjw0

J( 'ー`)し「ごはんできてるけれど食べれるかし(゚、゚トソン「頂きます。」


上体をばっと起こし立ち上がろうとした瞬間。


(゚、゚;トソン「いだだだだだだだ!!!」


体中がピリピリと痺れ再びベッドに沈む。続いて左胸の辺りに激痛が走る。


(゚、゚;トソン「うごごごごご......」

J( ;'ー`)し「きゅ、急に動いちゃだめよ。まだ怪我は治ってないんだから。」


暖かそうな湯気が上るお粥らしきものを運びながら彼女は慌てる。


モグラ族の食事と聞いてふと虫っぽいものが頭を過りましたが心底安心しました。

J( 'ー`)し「ゆっくり起き上がれるかしら?」

ゆっくりとなら特に痛みもなく起き上がれました。

377 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:44:05 ID:.KywFxjw0

J( 'ー`)し「ここは私たちの村よ。うちのドクオの面倒を見てくれてありがとう。」

(゚、゚トソン「ああ!お母さんでしたか!風邪はもう大丈夫なんですか?」

行儀が悪いと知りつつも、とてもお腹が空いていたので待ちきれずにお粥を口に運びました。

いくつかの山菜を使ったお粥は少し苦いけれど素朴な味がしてボロボロの身体にじんわりと染み渡ります。

J( 'ー`)し「ええ、トソンちゃんの持ってきてくれた遺物のおかげで直ぐに治ったわ。」

おや、いつの間にかボロボロなパーカーの代わりに綺麗な白い布.......

ロングワンピースの様な服が体を包んでいます。

どんな生地を使っているのでしょうか?とてもふかふかです。ちょっとぶかぶかですが。

J( 'ー`)し「ドクオが泣きながらあなたを抱きかかえてきた時は何事かと思ったわ。」

(-、-トソン「そうですか......ドクオさんが......よかった私......まだ生きてたんですね......」もそもそ

ドクオさんに感謝しないとですね。

378 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:45:51 ID:.KywFxjw0

----------------------------------


沢山の野菜が入った籠を背負い村へ急ぐ。


俺はトソンに付いていくと決めたんだ。

今度こそ役に立つんだ。



だから......早く起きてくれよ......



自宅に着き籠を下すと、真っ先に彼女の眠る寝室へ急ぐ。


扉を開ける。


('A`;)「あ......」


いない。


やっぱり不甲斐ない俺を置いてもうどこかへ行ってしまったのか


転びそうになりながら母親の経営する酒場へ走る。


ばんっ、と勢いよくドアを開けて叫ぶ。


('A`;)「かーちゃん!トソンが......」

379 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:47:56 ID:.KywFxjw0

(゚、゚トソン「?」もそもそもそ

('A`)「......」

(゚、゚トソン「?」もそ......

('A`)「......」

(゚、゚;トソン「ど、どうひはんでふかどふおしゃん」もそもそもそもそ

('A`;)「あ、あれ、トソン。もう大丈夫なの?」


元気そうに口いっぱいに食べ物を含んでいた。


(゚、゚トソン「ちょっと痛いけれど余裕ですよ。」もそもそ

目の前の友人は頭と身体中に包帯を巻いている。

見ていてとても痛々しい。

顔には薬草ペーストを塗り込んだせいか緑色の化粧が施されている。

余裕そうに見えるがまだ痛みが残っているはずだ。

380 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:48:38 ID:.KywFxjw0

J( 'ー`)し「あらドクオ。帰ったのかい?」

('A`)「かーちゃん......トソンの怪我は大丈夫なの?」

J( 'ー`)し「最初は胸の刺し傷を見て絶望的かと思ったけれど、奇跡的に内臓を外していたみたいね......」

他は体中の切り傷と右腕の肉が少し抉れてるくらいだよ。

あ、頭からも出血してたから頭痛とかしたらかーちゃんに言うんだよ。

後の言葉は聞こえなかった。奇跡的に生きてくれただけでも本当に胸がいっぱいだった。

( A )「本当に......良かった。」

381 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:49:19 ID:.KywFxjw0


彼の心配をよそに箸をすすめる。


(゚、゚トソン「......朝ご飯美味しい。お粥も美味しかったですけれど物足りなかったです。」もそそそそ

確かに左胸を刺された気がしますが......心臓外れてたんですね。よかったよかった。

(゚、゚トソン「ご飯食べて寝れば治りますよ。」もそもそもそ

でもあの時は流石に死んだかと思いました。

J( 'ー`)し「ゆっくりとは歩けるみたいだし、暇なら何もないけれどここら辺を案内しておやり。」

(゚、゚トソン「おお、ドクオさん是非お願いします。」

('A`)「わかったよ。」

食事を済ませると2人はゆっくりと外に出た。

382 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:50:13 ID:.KywFxjw0

改めて村を見回してみるとモグラ族はまばらにいますが建物が少ないですね。

(゚、゚トソン「村と言っても意外と閑散としてるんですね。」

('A`)「モグラ族の自宅は地下にあるんだ。今外に見えてる建物はお店だったり倉庫だったり、畑とか牧畜に使う小屋が多いね。」

(゚、゚トソン「なるほど......皆さん地下の方がやっぱり落ち着くんですかね。」

('A`)「寝る時は地下のが落ち着くね。ちなみにトソンが寝てたのは来客用の宿屋で地下は俺の家だよ。隣の酒場はかーちゃんが運営してる。」

(゚、゚トソン「お母さんのご飯美味しかったです。」

('∀`)「かーちゃんの料理は世界一だよ。」

ドクオさんが大きな声を出して胸を張りました。

383 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:53:32 ID:.KywFxjw0


すると村のモグラ族たちが声を聞きつけて集まり次々にドクオに声をかける。


彼は皆に頭を撫でられてもみくちゃにされつつも嬉しそうに返答している。


数分後。


彼がへとへとになって抜けだしてきました。

(゚、゚トソン「ドクオさん人気者ですね。」

('A`*)「久々に外に出てしばらく留守にしてたから皆に心配されたんだ。今日まで薬草集めてばかりで挨拶も忘れてたしね。」


照れくさそうに笑いながらゆっくりと歩き村の外に出る。

384 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:55:51 ID:.KywFxjw0


町を離れ綺麗に整備された獣道を歩く。


('A`)「......あのさ。」

(゚、゚トソン「?」

('A`)「前に言い損ねたけれど......俺のとーちゃんは笑い犬に殺されたんだ。」

(゚、゚;トソン「なるほど......そうだったんですね。」

以前はたかが犬と思ってしまいましたが彼らの天敵なんでしたね。

('A`)「俺が小さい頃に俺と村を守って死んだんだ。だからこの町でとーちゃんは英雄なんだ。」

(゚、゚トソン「そんなことが......」

('A`)「とーちゃんが死んでから俺は地中に引きこもって泣いていたんだ。だんだんと大人になっても未だにショックから抜け出せなかった。」

(゚、゚トソン「.......」

合点が行きました。

そして母親が風邪をひいてしまい残された家族も失いそうになったと思い彼は家を飛び出したんですね。

('A`)「村の皆は俺の事をまだ心配してくれてたんだ。もういい加減自立しないとね。」

(゚、゚トソン「ドクオさんは立派ですね。」

('∀`)「へへへ。あとかーちゃんが元気になったんだ。トソンのおかげだよ。」

(゚、゚トソン「あ、お母さん元気そうでしたね。よかったです。」

段々と森の中へ来ましたが、きちんとした道はこんなに歩きやすかったんですね。

385 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:56:57 ID:.KywFxjw0

('A`)「後フォックスが村に来たよ。」

(゚、゚トソン「無事村に着けたんですね!後で挨拶しないと。」

('A`)「......昨日まで村にいたけれどもう隣の町にいっちゃったよ。最近雨が降らないからって雨を降らせてくれたんだ。皆喜んでた。」

(゚、゚;トソン「昨日!?私は何日寝てたんですか?」

('A`)「3日くらいだよ。もう目覚めないかと思って本当に心配だったよ。」

人間そんなに長く眠れるんですね......


歩くたびに水の音が近くなる。


さらに少し歩くと太陽が眩しく反射する川の腹に出た。


(゚、゚トソン「綺麗ですね。」

('A`)「小さい頃とーちゃんとよく釣りをした川だよ。綺麗な川に自生してる薬草を取りに来たんだ。トソンの顔にくっついてるのもそれだよ。」

(゚、゚トソン「通りで薬臭い匂いがずっとしていると思いましたよ......」

386 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:57:37 ID:.KywFxjw0

ドクオさんはせっせと薬草を集めています。

私も手伝うと言ったのですが私を気を遣ってか頑なに拒否されました。

この顔に塗られてるのもこうやってドクオさんが集めてくれたんですね......

浅瀬に足をつけ、川の中の魚をしばらくぼーっと眺めていました。

(゚、゚トソン「......」じゅるり

('A`)「終わったよ〜。ついでにまた木の実見つけたから持ってきたよ。」

(゚、゚トソン「はっ!これはいつぞやの木苺っぽい木の実。」

ドクオさんの手から奪い取り噛みつきます。我ながら結構遠慮が無くなってきましたね。

('A`)「トソンは......さ。」

387 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 20:58:17 ID:.KywFxjw0




「これから......どこへ行くんだ?」



.

388 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:00:10 ID:.KywFxjw0


突如投げつけられた不意打ちの質問。


考えてもみませんでした。


もう家族も友達もいない。


そして目的も無い。


とても悲しくなります。


(゚、゚トソン「そうですね。その前にドクオさんに私のとっておきの秘密を教えてあげましょう。」


決心がつきました。

389 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:00:53 ID:.KywFxjw0


昔の事


友達の事


家族の事


私の事


病気の事は悲しませてしまうと思ったので伏せておきましょう。


ドクオさんに『私の今まで』を話しました。

390 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:01:53 ID:.KywFxjw0

(゚A゚;)「え......ということは.......え?トソンは遺物の時代の生き物ってこと?」

(゚、゚トソン「私よりも先の時代の遺物もあるかもしれませんが......そうなりますね。今はもう一人ぼっちですが。」

(゚A゚;)「そうなんだ......昔はトソンみたいな見た目の生き物が沢山いたんだ。」

(゚、゚トソン「モグラ族やフォックスさんや魔法使いみたいな種族はいなくて言葉を喋るのは私たち人間だけでした。」

何故人間がおらず他にこんなに沢山の種族がいるのでしょうか......そして気になるのが魔法......何故そんなものが......

(゚A゚;)「......」

ドクオさんは驚きのあまり言葉が見つからないようです。

(゚A゚;)「あ......えっと......食費かかりそうだよね!人間って!」

(゚、゚#トソン「......」

なんて言葉を見つけてるのでしょうか。腕を動かすのはしんどいので後で覚えていなさい。

391 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:02:33 ID:.KywFxjw0


でも.......『私のこれから』はどうしましょう。


(-、-トソン「何処へ行くか......でしたね。」


ああ、そうです。


簡単なことじゃないですか。目の前の気になることを順番に解決していけば良いんです。


(゚、゚トソン「とりあえずですが、旅を......しようと思います。何か人間の残した遺物を探して私達の時代に何があったのかを知ろうと思います。」


目的としては十分ですね。我ながら単純です。

392 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:03:37 ID:.KywFxjw0

(゚、゚トソン「......ここでお別れですね、ドクオさん。一緒にいてとても楽しかったです。」

やっと立派に外に出れるようになった彼はこれからお母さんと仲良く暮らせるでしょう。

その手助けが出来ただけでも嬉しいです。

('A`;)「いや、あ......その......うん。俺も、すごく楽しかったよ。」

宿に帰るまで彼は口数が少なかったです。

ううむ。やっぱり驚かせてしまいましたね。


でも彼には知ってもらいたかった。

393 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:04:58 ID:.KywFxjw0

J( 'ー`)し「あら、お帰り。早かったわね。」

('A`)「うん。何もない村だからね。薬草置いて来るよ。」


床の扉を開け地下に下りていく。


J( 'ー`)し「......もうそろそろ出かけるのね。」

(゚、゚トソン「ええ。旅に出ようかと。」

J( 'ー`)し「トソンちゃんのおかげでドクオが立派になって帰って来たの。いくらお礼を言っても足りないわ。本当にありがとう。」


母がニコニコと笑顔で語りかける。


J( 'ー`)し「お父さんが亡くなってから、一緒にご飯も食べず土の中に引きこもって出てこなかったのよ。」

出てこなかった所を見るに土の中の虫ばっかり食べてたんだろうね。

と続ける。

(゚、゚;トソン「......」

あれはこれのせいでしたか。

394 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:07:04 ID:.KywFxjw0

(-、-トソン「.......私のおかげじゃないです。ドクオさんの意思ですよ。」

J( 'ー`)し「え......ドクオの?」

(゚、゚トソン「ドクオさんはお母さんの風邪を心配して引きこもっていた家から飛び出したんです。既に十分立派だったんですよ。」

J( 'ー`)し「!......ちょっとごめんね、夕飯の鍋の火を止め忘れたわ。」

お母さんは振り向き早足で歩くけれどその背中はプルプルと震えていました。

ふふ、ドクオさんはお母さん似ですね。

('A`)「かーちゃん薬草棚に置いといたからね!」

「あ、ああ、ありがとう!」


厨房から声が聞こえ何事もなかったかの様に母が現れる。


J( 'ー`)し「そういえばドクオ......」

('A`)「......?」

J( 'ー`)し「........!」

('∀`)「......!」

J( *'ー`)し「......?」


楽しそうに話す家族の光景。

395 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:08:10 ID:.KywFxjw0


前向きになれたドクオさんと元気になったお母さんを見て、私が少し役に立てたんだなあと、誇らしく思いました。


でもやっぱりちょっと羨ましいな......


J( 'ー`)し「あ、そうそう。トソンちゃん。あなたの服ボロボロだったから直してみたんだけど......」

(゚、゚トソン「これは......私のパーカー?」

J( 'ー`)し「破れた部分を縫ってなめした皮を編み込んで丈夫にしてみたんだけど気に入ってくれるかしら。」


腕、胸、肩、背中、裾。


急所の部分に綺麗になめした皮が編み込んであり堅そうで、なおかつ動きやすく見た目もお洒落なパーカーがありました。


もう怪我をしないようにというお母さんの優しさを感じます。

(゚、゚トソン「かわいい......」

('A`)「かっこいい......」

(゚、゚*トソン「ありがとうございます。とても素敵です。」

396 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:09:17 ID:.KywFxjw0

J( 'ー`)し「うふふ、あとこれも持って行ってね。」

保存食の干し肉とチーズ。

怪我した時用の薬草ペースト。

それと、ええと......60cmくらいの小さい金属の......L字型の......棒?

(゚、゚トソン「これは.....?」

(゚A゚;)「こ、これは古代の遺物じゃないか!」

ドクオさんが興奮気味に解説を始めました。

397 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:10:00 ID:.KywFxjw0


彼曰く


これ1つで斬る、殴る、刺す、が出来る万能の武器。

力が上手く伝わりやすい芸術的な形をしていて少ない力でも物を動かせる。

小さく空いた穴には装飾をつけられて女性心をくすぐる。

しかもなぜか放置しておいても錆びない魔法がかけられている。


ドクオさんの言葉ですからねこれ。

私のじゃないですよ。

398 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:10:51 ID:.KywFxjw0



(゚、゚トソン「バールだこれ......」



.

399 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:11:33 ID:.KywFxjw0




(゚、゚#トソン「バールだこれええええええ!」




今日一番の大声が出ました。


魔法って言ってますがこれただのメッキですよね。物は言いようです......


('A`)「超かっこいい。いのちをかりとるかたちをしている。」


よく分かりませんがドクオさんやっぱり男の子ですね。全くよくわかりませんが。

400 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:13:19 ID:.KywFxjw0

便利......ええ。少々腑に落ちませんが便利そうですし喜んで貰っておきましょう。

J( 'ー`)し「お父さんの倉庫にあったんだけれどドクオを助けてくれたお礼に上げちゃうわ。」

(゚、゚トソン「大切なものなんですね。大事にします......」

J( 'ー`)し「あとベルトにそれを横付け出来るような鞘を作ってみたから使ってね。」

(゚、゚トソン「おお!動きやすそうです。ありがとうございます。」

だんだんと旅の用意が進みます。


ドクオさんとの別れが近い。


後は......

あ、残念ながらお気に入りのレギンスは血まみれのボロボロになってしまいましたね。

これは捨てて次は長めのパンツを出しましょう。丁度ベルトに鞘も付けられますしね。

部屋で着替えさせてもらいます。

401 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:14:00 ID:.KywFxjw0



よし。


.

402 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:15:25 ID:.KywFxjw0

ドクオさんのお母さんが直してくれたレザーパーカー。

着替えや食料や傷薬が入った斜め掛けのショルダーバッグ。

動きやすいストレッチパンツ。

背中の腰のベルトには横付けされた鞘にバールが刺さっています。


不思議な格好の新時代の冒険者ルックスの完成です。


(゚、゚トソン「ドクオさん。お母さん。お世話になりました。」

J( 'ー`)し「......まだ休んでいけば良いのに。疲れたらいつでも戻ってきていいのよ。」

403 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:16:13 ID:.KywFxjw0

病気の詳細は聞いた気がしますがコールドスリープ前の記憶は曖昧なせいで思い出せません。

思い出そうと唸りましたがダメみたいです。

まあ、それはそのうち思い出すでしょう。


......実感は無いですが私の身体は確かに病に侵されています。

両親がコールドスリープを提案するくらいなのでおそらくそこまで先は長く無いのでしょう。

何事もできるだけ急がないと。

404 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:16:54 ID:.KywFxjw0

J( 'ー`)し「隣町にはアクセサリー屋をしてる妹もいるし、最近までこの町に住んでいた宿屋のダイさんもいるから会ったら私の名前を出すといいわ。」

(゚、゚トソン「何から何までありがとうございます。」

('A`)「また......またねトソン。隣の町までは安全だから心配しなくて大丈夫だよ。」

(゚、゚トソン「また会いましょう。」

('A`)ノシ


町を後にし、比較的綺麗な砂利が引かれた道を歩く。


町の皆さんは私の事を魔法使いと思ってか近寄ってきませんね......もうちょっと交流したかったです。

ふふ、ドクオさんはいつまでも手を振ってくれてますね。



では......さようなら。


.

405 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:17:39 ID:.KywFxjw0

('A`)ノシ「......」プルプル

J( 'ー`)し「ドクオ......あなたの人生は一度しか無いのよ。」

('A`)「?」

J( 'ー`)し「かーちゃんの事は気にせず好きなように生きなさい。」

( A )「......」

J( 'ー`)し「ドクオ......?」

( A )「俺はとーちゃんの守った街でかーちゃんを守らないと......」

J( 'ー`)し「違うでしょう?かーちゃんは何でも知ってるのよ。」

( A )「......」

J( 'ー`)し「始めの1歩は踏み出せたんだからこれからも自分で決めるのよ。」

(;A;)「かーちゃん!」

J( 'ー`)し「なんだい?」

(;A;)「ごめん......親孝行できなくて......でも......俺はどうしてもトソンの......トソンの力になりたい......」

J( 'ー`)し「あんたが満足の行く人生を歩めるならそれだけでかーちゃんは幸せもんだよ。」

('∀`)「かーちゃん......ありがとう!」

J( *'ー`)し「それでいいのよ。」

ドクオはすぐに自分の部屋に帰ると準備してあった道具と父親譲りのスコップを片手に走り出した。

406 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:18:39 ID:.KywFxjw0

('A`)「行ってきます。もっと立派になって帰ってくるよ!」

J( 'ー`)し「たまには手紙を書くのよ。いってらっしゃい。」

走る。

今まで見守ってくれたモグラ族に手を振りながら走る。

俺はとーちゃんみたいに立派になる!

走る。

直ぐに見慣れた短い髪の毛の後ろ姿に追いつく



('A`)「トソン待って!!!!!」



精一杯叫ぶ。

彼女は驚いて振り向く。



('A`)「俺は初めて自分で決めたんだ!」


.

407 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:19:54 ID:.KywFxjw0


俺は暗い地面の中に引きこもっていたどうしようもないモグラだ!


それに何度もトソンを見捨てて逃げた。


でもトソンはそんな俺を自分の命を省みず助けてくれた!


だから俺は......


俺の生涯をかけてトソンに恩返しをしたいんだ!


トソンの力になれるかわから無いけれど、精一杯頑張るから!


お願いだ。


俺も......

408 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:21:26 ID:.KywFxjw0

叫びながら何故だか涙が溢れてくる。

(;A;)「 俺も......一緒に......」


いつの間にか目の前にいた彼女が何も言わずに抱きしめる。


ええ、私も一人でとても心細かったです。

あなたが付いて来てくれるなら私も嬉しいですよ。


短くも壮絶な体験を通して2人の心はとても近い位置にあった。


言葉はいらなかった。


( A )「ありがとう......」

(゚、゚トソン「でもよいのですか?せっかく外に出れて仲良く胸をはって母さんと暮らせるところだったのに。」

少々意地悪をしようとします。

('∀`)「ああ、もっともっと立派になって帰ってくるんだ!親父みたいに。」

おや、普段は泣きそうになるのに......

(゚、゚*トソン「ふふ、頼もしいですね。では一緒に行きましょうか。」

409 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:22:21 ID:.KywFxjw0


私は「もう家族も友達もいない。」と言いました。


どうやらこれは間違っていましたね。


これからはこの時代でできた初めての友人が私の支えになってくれるようです。


もう心配をかけないように突っ走るのはやめましょう。


2人で一緒に悩んで一緒に解決していきましょう。


これからよろしくお願いします。

410 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:23:21 ID:.KywFxjw0

----------------------------------

休憩と睡眠を取りながら歩くこと1日。

隣の街の近くまでは特に何にも遭遇せず着きました。

怪我も段々と良くなってきました。

問題と言えば非常食を私が食べ切ってしまったことくらいでしょうか


段々と大きくなる立派な大木を使った門。


町の中は煙突のようなものからたくさんの灰色が上がっている。


(゚、゚トソン「生活の色だ......」

私は人の作った暖かさを感じ、とても懐かしくなりました。

人間は居ないだろうけれどきちんと回っているであろう町の光景はとても懐かしいものです。

411 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:24:50 ID:.KywFxjw0

大きな門を抜けて町に入るとすぐに大きな噴水広場がありました。

ワイワイと賑わう光景は昔見た駅前を連想させます。

懐かしい光景と違うのは......


鳥の頭を持った人のような生き物が飛んでいる事。

大きなツノを生やした人型の生き物が笑っている事。

狐のお面をかぶり楽しそうに弦楽器を弾く生き物がいる事。

たくさんの体毛を生やしたゴリラみたいな生き物がそれに合わせて歌っている事。


噴水から続く石畳の道を辿って見ると家々が肩を寄せ合い立ち並んでいる。

石でできた簡素な家。

木でできたログハウス。

大きなツリーハウス。


統一感のないが奇妙な一体感がある町並みがそこにはありました。


(゚、゚;トソン「これは......」

('∀`)「......」

ドクオさんは心なしか楽しそうです。

412 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:26:08 ID:.KywFxjw0


この時代に人間は居ないという事は分かっていました。予想もしていました......


だけど。


改めて見ることによって思い知らされました。


今私のいる新時代は......


いえ。

413 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:27:05 ID:.KywFxjw0


この世界は......


既に......

414 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:27:47 ID:.KywFxjw0




この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン



.

415 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:28:40 ID:.KywFxjw0

............

いやいやいや!まだ人間が一人残っているじゃないですか!

私のこの命が尽きるまで。

この世界で起こったことを解明してみますよ!

そのためには......

(゚、゚トソン「まずは食堂を探しますか。」

('A`)「宿が先だよ......」

416 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:29:45 ID:.KywFxjw0


8話 新時代的新世界 〜おわり〜


.

417名も無きAAのようです:2015/07/30(木) 21:32:18 ID:cVtXeRIY0
おつ!
風死ワロタ

418 ◆75HDnYo/hM:2015/07/30(木) 21:32:29 ID:.KywFxjw0
以上です。

これでこの作品の1部は終わりです。

多分5部か6部くらいの作品になるかと思います。

ただ、久しぶりの投下で誤字脱字糞改行が酷く一度スレを削除してやり直すかもしれません。

感想質問等あればよろしくお願いします。


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