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この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン
19
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 18:17:11 ID:wSDJoZGI0
目を閉じる瞬間大切な友人の姿が浮かんだ。
あ......ごめん......ミセリの事忘れてました......
(゚、゚;トソン「あ!お父さんごめんバタバタしてて忘れてた。ミセリにまだお別れ言ってなかったんだ!私が眠ったら彼女に、何時か一緒にブーン屋の限定スイーツを食べようって伝えて欲しいの。」
【+ 】ゞ-)「ッ‼......ああ......必ず伝えるよ。安心しろ。」
あ、これは言わない方が良かったかもしれません。お父さんは一瞬とても悲しい顔をしてしまいました。
若い子の成長は早いですからね......私が起きた時、もしかしたらミセリは大人になってるかも......しれないですね。
あ......でもあの子はアホだから......もしかしたら私の事忘れちゃってる......かもしれません......ね......
それは......それは......とても......や......だ.......な......
一筋の涙が頬を伝った。
(-、-。トソン
深く落ちていく意識の中、最後に私は残酷なタイムマシンが低い声で唸り始めるのを聞きました。
20
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 18:20:18 ID:wSDJoZGI0
静寂。
我が子の涙の跡が結晶となり砕けたのを合図に、先ほどまで笑顔だった母は、糸が切れたように崩れ落ちカプセルに手をついた。
|゚ノ ;∀;)「あ......あ......ああ、あああああああああああああああああああああ。トソンちゃん!トソンちゃん......やだ......嫌だよう。」
我が子との距離はたった30cm。涙と声はガラスに阻まれ、永遠に触れることができないかの様に感じられた。
心配させまいと化粧で隠していたはずの隈で黒くなった目元と、涙で赤く腫れた頬を、溢れる涙がぐしゃぐしゃに汚した。
父は何も言わず母を抱き寄せるが涙が止まることはなかった。
【+ 】ゞ゚)「必ず、助けるからな。」
この言葉がもう我が子に届かない事を知りつつも父は呟かずにはいられなかった。
月光が照らす個室を満たした鳴き声は、私たち家族を呪詛しているようだった。
21
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 18:22:41 ID:wSDJoZGI0
-----------------------------------------------------------
目覚めるのは何時になるのか分からない。
その一睡は一生の眠りになるかもしれない。
目覚めた時、時代に取り残されるかもしれない。
それは娘を生かしたいと言う『親のエゴ』だと分っていても
それでも......
それでも......
22
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 18:28:03 ID:wSDJoZGI0
(-、-トソン「私は......」
(-、-トソン「今後どんなに......辛いことが......あった......として......も......」
(;、;トソン「......生きたい......まだ......生きていたい......です。」
.
23
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 18:28:44 ID:wSDJoZGI0
それでも彼女が生きることを望んだから。
-----------------------------------------------------------
24
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 18:29:25 ID:wSDJoZGI0
この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン
1話 近代的タイムマシン 〜おわり〜
25
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 18:30:35 ID:9Aj4NDpo0
おつ!
総合短編から期待してた
>>19
がブーン屋になってるが、修正ミスかな?
26
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 18:33:08 ID:wSDJoZGI0
>>19
修正 やっちまったああああああああああ見落としてたあああああああ
目を閉じる瞬間大切な友人の姿が浮かんだ。
あ......ごめん......ミセリの事忘れてました......
(゚、゚;トソン「あ!お父さんごめんバタバタしてて忘れてた。ミセリにまだお別れ言ってなかったんだ!私が眠ったら彼女に、何時か一緒にモナー屋さんの限定スイーツを食べようって伝えて欲しいの。」
【+ 】ゞ-)「ッ‼......ああ......必ず伝えるよ。安心しろ。」
あ、これは言わない方が良かったかもしれません。お父さんは一瞬とても悲しい顔をしてしまいました。
若い子の成長は早いですからね......私が起きた時、もしかしたらミセリは大人になってるかも......しれないですね。
あ......でもあの子はアホだから......もしかしたら私の事忘れちゃってる......かもしれません......ね......
それは......それは......とても......や......だ.......な......
一筋の涙が頬を伝った。
(-、-。トソン
深く落ちていく意識の中、最後に私は残酷なタイムマシンが低い声で唸り始めるのを聞きました。
27
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 18:39:02 ID:wSDJoZGI0
以前総合見て下さった方はありがとうございます。
皆さんにアドバイスを沢山もらったのですが
すぐに流れてしまって言えなかったのでここで改めてお礼を言わせてもらいます。
結構長い作品になってしまうと思いますが今後お付き合いくれると嬉しいです。
28
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 19:34:54 ID:3Z9TU42M0
おお!
ついに来たか
期待してるぜ
29
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 19:40:20 ID:Nv0UgiOI0
期待
30
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 21:53:33 ID:zYpKuv1E0
総合のやつか
楽しみが増えたなあ
31
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 22:33:17 ID:Zpx88mtQ0
総合で投下したやつか
期待!
32
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 23:06:04 ID:tmMb/uRk0
これか
期待
33
:
名も無きAAのようです
:2015/07/07(火) 23:29:35 ID:Nc9LTN9M0
乙乙!
続き楽しみにしとる!!
34
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 00:47:46 ID:gHBUtfYs0
いま読んだ。総合で見たときの下書きは粗かったけれどこっちは丁寧に推敲してすごく良くなってる!
しかも1話目なのにかなり感動しました。
特に生まれたときと眠るときの太陽と月の対比の所がとても綺麗。
とても好きな雰囲気だしトソンの今後がどうなるか楽しみ。
35
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 03:17:22 ID:87IcCQhs0
乙です
好きな作風
36
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 19:12:36 ID:kcnwLllY0
続き
37
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 19:16:28 ID:kcnwLllY0
_昔々この星には沢山の人間が住んでいました。
_人間はとても高度な技術を持っていたため、この星の歴史で最も繁栄した種族となりました。
_しかし彼らは自分たちの繁栄が停滞した時、とても悲しい手段を使い停滞を抜けました。
_技術、資源、そして...多くの命を
_他の生き物から、同じ人間から、大地から、海から奪ったのです。
_沢山の犠牲を払い停滞を抜けることに成功した人間ですが、自らの住む星の衰弱に気づくことはありませんでした。
_衰弱した星は自分を守るため残り少ない命を削り魔王を創造しました。
_魔王は見事人間を征服し、この星に新しい生命を作り長い眠りにつきました。
_再び星に危機が訪れないことを祈りながら。
38
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 19:19:07 ID:kcnwLllY0
この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン
.
39
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 19:21:47 ID:kcnwLllY0
---------------------------------------------------------
『フハハハハハハハ。愚かなる人類よ。我輩は星の魔王。お前たちは長い年月をかけ、自らの住む星から奪いすぎた。その報いを今、受けてもらうぞ。』
世界の人類から奪い返す。
神秘的な黒がゆっくりと世界を覆うだろう。
しかし、人々はその黒から不思議と恐怖や嫌悪感を感じなかった。
だが例外なく確実に人類を呑み込むだろう。
『......我輩の征服はこれで終わった。再び眠りにつくのである。二度と同じ過ちを起こすでないぞ。』
---------------------------------------------------------
40
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 19:28:16 ID:kcnwLllY0
淡い光がぼやけた視界にゆっくりと広がる。
身体を包む浮遊感はまるで空に浮いているよう。
気持ちが良くなりもう一度目を瞑ってしまおうと思いましたが浮力を失いゆっくりと落ちる感覚に促され、私は辺りを見まわしました。
カプセルの内側に設置されている薄明りの照明。
ゴウンゴウンと無機質な機械音。
お風呂の栓が抜けた時のような排水音。
宇宙服を思わせる無骨な服の中は暖かい空気に満たされていていて、気を抜くとまた眠ってしまいそうです。
水位が下がり、ガタっと背中が地に着く衝撃に驚き、霞がかっていた視界と思考がすうっと晴れました。
プシューという冷気の排出音と共に目の前のガラスがせり上がり、小さな個室に真っ白い煙が広がります。
キィ......キイ......カプセルが錆びているのでしょうか?
ブツン......役目を果たしたカプセルは電源が落ち、早く出ていけと私に訴えかけています。
(゚、゚トソン「......おはようございます。」
私の挨拶は一人ぼっちの個室の壁に吸い込まれていきました。
41
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 19:38:41 ID:kcnwLllY0
沢山の夢を見ました。
空を飛んだり、海を泳いだり、宇宙へ行ったり......
などの王道的なものでは無く、
ミセリと一緒にご飯を食べたり、両親と一緒にご飯を食べたり、一人で延々とご飯を食べる些細な物。
私......食べてばかりじゃないですか。あれ、他にはどんな夢を見ましたっけ?
夢を手繰り寄せようと、うんうん唸りましたが考える端から私の思考は意識の斜面を滑り落ちて行きました。
と、言っても心臓すら動いていなかったのに、夢を見ると言うのは可笑しな話でしょうか。
42
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 19:38:55 ID:VSNESiF20
しえん
43
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 19:57:45 ID:kcnwLllY0
思考を中断しゆっくりと身体を起こす。
動きにくい保護服を必死に動かし、カプセルの中から這い出ました。
そしてここに入る前に聞いた医師の説明を思い出し、保護服の胸の位置についたダイヤルを探す。
(゚、゚トソン「ええと、確か。」
ぱさぱさと上半身を探すこと数秒。鳩尾のあたりに何やら堅い感触が。
かちり。子気味の良い音が鳴り、保護服の骨組みがふにゃりと柔らかくなりました。
支えを失った服はドサッと地面に落ちて、地味な青地の入院服の私が産まれました。
(゚、゚*トソン「これは......普段着替える時便利ですね。」
まだ頭から霞が晴れきっていないのか場違いな感想が飛び出しました。
44
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 20:11:23 ID:kcnwLllY0
(゚、゚トソン「説明ではここらへんって言ってましたっけ?」
カプセルの足元についたロッカーを探し、一緒に眠らされた物資を見つけました。
おお、いくつかの着替えと保存食と水まで私に付いてきたんですね!
服に関しては多分お母さんが私のお気に入りを入れてくれたのでしょう。
室内の温度は快適なのでショートパンツとレギンスをはき、シャツの上に薄手の落ち着いた色のマウンテンパーカーを羽織りました。
目立ち過ぎず動きやすいのでミセリと遊びに行くときは大体これでしたね。
(-、-トソン「お母さん......」
45
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 20:26:21 ID:kcnwLllY0
てきぱきと着替えを済ませ、やっと一呼吸置くことが出来ました。
文字通り身体が固まっていたので大きく背伸びを一つ。
今までで一番大きな背伸びだったのではないでしょうか?
(゚、゚;トソン「あだだだだ」ボキボキボキ
続いて今までで一番大きな関節の気泡が弾ける音が。
最後に大きく深呼吸をしました。新鮮な空気が肺を......
(゚、゚;トソン「埃っぽい......」
それにしても誰も来ませんね。起きた時に自動で医師に連絡が行くと聞いたのに。
46
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 20:36:58 ID:kcnwLllY0
時間を持て余し、新鮮な空気を取り込もうと思い立てつけの悪い窓を開けて身を乗り出しました。
辺りはどこまでも広がる鬱蒼とした森林に覆われており、森林以外の情報を得ることができませんでした。
私が最後に見た窓の外は月の光が差し込むほどに開けていたはずなのに......
そういえば私、倒れて意識のないうちに病院に運び込まれてから
数日の入院の後にカプセルに入ったので、ここが何処なのか知りませんでした。
倒れた日は確か、隣町にミセリと遊びに行ったはずなので隣町の病院でしょうか?
何気なしに個室のドアを少し開け廊下の様子を確かめる。
47
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 20:58:38 ID:kcnwLllY0
次の瞬間トソンの目に飛び込んできたのは
いくつものガラスを失った窓枠、塗装がすっかりはげおちて変色した天井、
白く清潔そうだった壁は各所でひび割れ崩れ落ち、壁についていた手すりは赤く錆びついている光景。
48
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:12:30 ID:kcnwLllY0
それはまるで廃墟だった。
.
49
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:17:28 ID:kcnwLllY0
(゚、゚トソン「えっ......」
10年や20年でここまで荒廃するのでしょうか。
あまりに現実味のない光景に脳が付いていけず視界がどんどん狭まります。
私は、察してしまいました。
途端、足元のひび割れた床がガラガラと崩れ落ちる錯覚に囚われ、体が大きく傾き、血の気を失い意識を手放しそうになります。
このまま眠ってしまえればどんなに楽な事でしょうか。
崩れていく世界の中、全てを諦めて目を瞑ってしまおうと思ったところで
突如、大きく暖かい手が私の腕を掴み引き揚げました。
50
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:21:29 ID:kcnwLllY0
-『2人の子だ。この先困難な事が起こったとしても乗り越えられるぐらいの力はあるさ』-
.
51
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:21:44 ID:GAhSJnFg0
なんか間隔ゆるいけどながら...じゃないよね?
52
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:28:37 ID:kcnwLllY0
すんでのところで踏みとどまり、脱力した身体に再び血液がめぐり平衡感覚を取り戻しました。
(-、-トソン「お父さん......」
何を弱気になっているのですか。どんな辛いことがあっても生きたいと望んだのは私じゃないですか。
ふらふらとした足取りでカプセルに戻り、足元のロッカーをごそごそと漁る。
着替えや水や保存食を、一緒に入っていたバッグの中へ詰め込み立ち上がる。
あ......私の好きな飴も入っていたのでもちろん忘れないようにしましょう。
新鮮になった空気を大きく吸い込み
(゚、゚#トソン「よしっ!」パチン
私は頬に思いっきり張り手をかました後、力強さを取り戻してくれた足で廃墟となった病院の出口を探しました。
53
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:29:45 ID:kcnwLllY0
ザッ......ザッ......ザッ......
朽ちた病院に自分の足音だけが響く
窓から見た景色はそこまで高くはなかったので現在地は2階でしょうか。
ザッ......ザッ......ザッ......
移動しながら他の病室を覗いてみましたが、やはり人の気配はありませんでした。
下へと続く階段を見つけ慎重に降ります。踏み抜けたりしませんかね......
キィ......キイ......キィ......錆びた手すりが外れそうです。
同じような部屋割りだった2階とは違い、1階は受付、待合室、診察室など病院の顔となる部分が並んでいました。
ただ、全てがボロボロになっていて、もはや見る影もありません。
54
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:31:30 ID:kcnwLllY0
ザッ......ザッ......ザッ......
この奥には手術室が続いているのでしょうか?
ザッ......ザッ......ザッ......
立ち止まり中庭を眺める。
風化したボロボロなベンチや階段が成長した木々に圧迫され、歩けるスペースを探す方が難しいのではないでしょうか。
今は管理放棄されていますが以前は噴水や石畳が引かれていてとても綺麗でした。
砕けた人工物と自然の力強さのマーブル模様を感じさせる中庭は。これはこれで趣がありますね。
どのくらい経ったでしょうか?
神秘的な光景にしばらく見入ってしまいました。
55
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:33:53 ID:kcnwLllY0
ズザァ.......ズザァ......ズザァ......
この光景に不釣り合いな音が聞こえる。
途端、全身の細胞が警告を発し、じわりと嫌な汗が滲む。
ズザァ.......キィ......ズザァ、キィ............ズザァ......
明らかに人間とは違う、金属を引きずるような足音が大きくなってきました。
心臓が高鳴り、その場から動くことができませんでした。
ズザァ.......ズザァ......ズザァ......
それはゆっくりと現れました。
尖った鼻。
茶色く短い体毛。
金属のような鋭い爪。
私と同じくらいはある身長
何より異質なのは、直立し、やや猫背な体躯をもち、スコップを担いでいる事。
ズザァ.......ズザァ......ズザァ......
身体が動かず私は前を横切るその生き物から眼が離せない。
ズザァ.......ズザァ......ズザァ......
56
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:35:53 ID:kcnwLllY0
ぴたり
目の前の生き物は急に歩みを止め、鼻をすんすんと鳴らす。
途端。
何かを感じたのかばっとこちらを振り向いた。
眼が合う
時が止まる
.
57
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:38:14 ID:kcnwLllY0
(゚、゚;トソン「......あ、あ、あ、あのっ!」
私の声ってこんなに高く上ずっていましたっけ?
目の前の生き物は私の身体がびりびりと震えるほどの咆哮を上げました。
「ま、魔法使いだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
(゚、゚;トソン「え?え?」
魔法使い?聞き間違いでは無ければ魔法使いと言いましたね。
私が眠っている間に地球はファンタジー世界に変わってしまったのでしょうか?
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
彼は叫びながら踵を返し、走り去ろうとしたようですが、むき出した木の根に足を取られ盛大に転がりました。
同時に腰も抜かしたようで部屋の角までズルズルと這って進み小さくなって震えています。
未知との遭遇。怖いという感情もありましたが好奇心が上回り私は話しかけずにはいられませんでした
58
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:40:08 ID:bzvXOYP20
支援
59
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:45:34 ID:kcnwLllY0
(゚、゚トソン「あの、私は......」
「や、やめろ魔法使い!!!近づくな。お、おおおお俺は交換する物なんて何ももってないぞおおおおおおおおおお」
どうやら私と同じ言語のようですね。
恐がらせないようにしゃがみ、同じ目線で優しく話しかけようとします。
(゚、゚トソン「私は魔法使いではありませんよ。」
「あああああああああああああああああああああやめろおおおおおおおおおおおおおおお」
彼は長く鋭い爪の生えた腕を振り回し話を聞いてくれそうにありません。
辛抱強く話しかけるのが仲良くなるための手段だとミセリから教わったのを思い出しました。
怯える彼にゆっくり近寄ります。
「近寄るなあああああああああああああああ」
(゚、゚;トソン「ッッッ!!!!」
がむしゃらに振り回された長く鋭い爪は私の頬を掠めました。
それに驚き尻餅をつきました。お尻が痛い......
60
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:48:46 ID:kcnwLllY0
全く、女性の顔を傷つけるとは......
急にリアルな痛みを感じると、やっぱりここは現実なんだと理解させられ、とても冷静になりました。
まだ私は寝ぼけていたようです。
(-、-トソン「......」
(゚、゚トソン「怖がらせてしまいすみません、私はあなたを傷つけるつもりはありません。ただ、お話をしたいだけなんです。」
先ほどよりもゆっくりと、相手を安心させるように慎重に言葉を選ぶ。
「いやだああああああああああああああああ」
(゚、゚;トソン「わっ!!!!」
私のお気に入りのマウンテンパーカーの腕の部分が少し裂けました。
(゚、゚トソン「大丈夫です。大丈夫ですよ。」
服が破れるのを気にせず彼の両肩に優しく手を添える。
「あ......あ......」
彼は私の顔をまじまじと見つめる。
(゚、゚トソン「大丈夫......ですよ.....」
あら、意外と可愛い顔していますね。
('A`;)「......あ......赤い......血?黄色の皮膚?......魔法使いじゃ、無い?」
(゚、゚トソン「ええ、わたしは魔法使いではなく人間で、名前はトソンと言います。」
('A`)「に、にんげん......き、聞いたことが無い種族。......その、傷つけてごめん。お、俺はドクオ。」
61
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:54:29 ID:kcnwLllY0
(゚、゚トソン「よろしくお願いします。ドクオさん。早速お聞きしたいんですが今は何年何月何日でしょうか?」
('A`;)「よ、よろしく。な、なんねん?がつ?にち?ね、ねんって?」
きょとん。
西暦という概念は......もうなくなっているのでしょうか?
日付を持たない......人?にそれを説明することは......とてつもなく難しいです。
ううむ。こめかみに手を当てしばし考える。
('A`)「ど、どうしたの、トソン......だっけ?」
(゚、゚トソン「ええ、トソンです。ええと、実は私此処に迷い込んでしまいまして、此処がどこだかわかりますか?」
('A`)「?此処か?こ、ここは生命の遺跡って言われてる。ずっと昔から怖い生き物が出るって噂の危険区域だ。」
(゚、゚;トソン「ええ!?怖い生き物?危険区域?ではドクオさんはなぜこんなところへ?」
固まる。
('A`;)「あああああああ、そうだ早く遺物を探さないと。」
(゚、゚トソン「いぶつ?」
('A`)「ああ、かーちゃんが風邪ひいたから生命の遺跡にあるって言われてる病消しの遺物を探しに来たんだ。」
いぶつ、異物?ああ......遺物......ですか。
病院が生命の遺跡。そして遺物、病消し。わかってきました。なんとなく分かってきましたよ。
62
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:56:09 ID:kcnwLllY0
(-、-トソン「ドクオさん。」
彼はお母さんのために危険区域に一人で入って来たのですね。
('A`:)「な、なに?」
(゚、゚トソン「もしよろしければ私も同行させてもらえませんか?先ほどまで私は此処で迷っていたので何か力になれるかもしれません。」
('A`)「べ、別に良いけれど俺は弱いから何かあっても守れないよ?」
(゚、゚*トソン「ふふ、大丈夫ですよ。こう見えても私なかなか強いんですよ。」
63
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:57:18 ID:kcnwLllY0
まずは、目の前の友人にこの世界の事を聞きましょう。時間はいくらでもあります。
何も焦ることは無いのです。ゆっくりお互いの事を知りましょう。
私はこの時代で強く生き抜いてみせます。
64
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 21:58:41 ID:kcnwLllY0
2話 前時代的対話法 〜おわり〜
.
65
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 22:02:01 ID:kcnwLllY0
以上です。
途中投下間隔が緩くなってしまってすみません。舟を漕いでいました。
一応ながらではなく次の2話くらいを完成させてから投下しています。
支援ありがとうございました。
66
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 22:05:57 ID:bzvXOYP20
おつおつ
面白いよー
67
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 22:23:47 ID:WfbjU00M0
ドクオなのに可愛い顔だと
おつ
68
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 22:48:25 ID:gHBUtfYs0
おつ。ブサイクでも愛嬌がある顔ってことか。
シリアス物かと思ったらまさかのファンタジー物だった・・・だと・・・
いいぞ、もっとやれ
69
:
名も無きAAのようです
:2015/07/08(水) 23:31:48 ID:U5uSfEmw0
乙
異世界物も大好物です
70
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 00:00:22 ID:YhBGnCBU0
病気は治らないのか…乙
71
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 01:15:04 ID:TY/4kAgc0
総合も見てたぜw
おつ��
72
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 06:53:52 ID:wIVFFnI60
めっちゃ楽しみ
73
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 06:54:40 ID:m/q70ZvE0
今日も夜に投下するつもりなのでよろしくお願いします。
74
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 07:45:03 ID:IXdpqFV20
ドクオはパグとかブルドッグとか土佐犬みたいなブサカワかな
耳は人間よりなのかね?
75
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 08:08:26 ID:m/q70ZvE0
>>74
犬というよりはネズミっぽい。
具体的には鋭い爪が生えて痩せてる直立したアリクイみたいな感じです。
耳はアリクイよりも小さいです。
ttps://www.youtube.com/watch?t=24&v=pgSn3IEBDBo
今日の投下で明確にしますのでお待ちを。
76
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 13:28:16 ID:uQSduW5Q0
乙 続きが楽しみだ
77
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:05:54 ID:m/q70ZvE0
投下します
78
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:07:25 ID:m/q70ZvE0
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トソンちゃんメモ
魔法使いとは。
見た目は私の様な人間っぽい姿?
肌が白く血も白い。
それぞれに好物がありそれを集めることが生きる目的。
目的のために『交換』という手段を用いる。
目的のためなら他の生物の命を平気で踏みにじる。
彼女達の言葉に耳を傾けてはいけない。
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79
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:08:51 ID:m/q70ZvE0
この世界は既に征服されていたようです(゚、゚トソン
.
80
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:11:38 ID:m/q70ZvE0
(゚、゚;トソン「聴けば聴くほど壮絶な生き物ですね、魔法使い。」
私が知っている御伽話の魔法使いとはずいぶん違いますね。
いや、こういう魔法使いは「本当は怖い昔話」とかで聞いたことありましたっけ?
('A`)「ああ、言葉巧みに相手を弄んで『交換』と称して大切な物を奪っていくんだ。」
(-、-トソン「全く、ドクオさんは私をそんな悪い魔法使いと勘違いしたんですね。」
('A`;)「ご、ごめんて。」
(゚、゚*トソン「ふふ、冗談ですよ。」
病院.......もとい生命の遺跡にまだ薬は残っているのでしょうか。
本来なら併設された薬局に薬......ではなく病消しの遺物があるのでしょうけれど、流石に薬局は潰れてますよね。
となれば病院内の薬置場を見つけるしかないでしょう。
81
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:13:36 ID:m/q70ZvE0
受付の中に入り、散乱したガラスに注意してゴソゴソと錆びついたロッカーや、薬やカルテを入れていたと思われる変色したプラスチック棚を調べる。
ボロボロになった布切れや紙切れは見つかりましたが薬剤のようなものは見当たりません。
(゚、゚トソン「なかなかそれっぽいのもは見つかりませんね。此処にあると思ったんですが......」ゴソゴソ
('A`)「うーん。やっぱり遺物って言うくらいだから遺跡の奥の方に眠ってるんじゃない?」ガサゴソ
この時代では病院が遺跡ですもんね。やっぱり宝物は最深部にあるものなんでしょうか。男の子の世界はわかりません。
2人は受付から出て木の根に足を取られないように気を付けながら、長い廊下を進みました。
82
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:15:56 ID:6bbCNEoc0
きてたしえん
83
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:19:44 ID:m/q70ZvE0
キィ......キイ......
('A`)「ん?」
ドクオは先ほどまで探索していた受付の中で何か白いものが動くのを目撃したような気がした。
(゚、゚トソン「それにしてもドクオさん、怖がりなのにお母さんのために此処まで来るなんてすごいですね。」
('A`;)「え、ええ......ああ、それ言っちゃう?まあ、事実だけどさ。うちのかーちゃんは女手一つで俺と妹を育ててくれたすごい人なんだ。
頭が上がらないよ。だからそんなかーちゃんが苦しんでいたからいてもたってもいられなくなって家を飛び出して来ちゃったんだ。」
照れ隠しでしょうか?ドクオさんは鼻先を鋭い爪で傷を付けないように器用に掻いています。
(゚、゚*トソン「ドクオさんは良い子ですね。」
('A`)「こ、子ども扱いしないでよ。やっぱり魔法使いなんじゃないの?」
ふふふ、冗談も言い合えるほどに打ち解けることが出来ました。
(゚、゚#トソン「......」ゴゴゴゴゴゴ
('A`;)「ごめんて」
打 ち 解 け る こ と が 出 来 ま し た。
私はどんな時代にも適応できるのですよ。フフン。
84
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:20:52 ID:m/q70ZvE0
(゚、゚トソン「そういえばドクオさんはなんでスコップなんか担いでいるんですか?」
('A`)「こ、これ?モグラ族は地下で生活するから。みんな持ってるよ。超便利。」
(゚、゚トソン「モ、モグラ......?」
もぐら......モグラ......見た目からしてもその生き物の面影があります。
でもこんなにも知的に進化するものなんですかね。ダーウィンもびっくりですね。
('A`)「?」プルプル
ああ、確かに。怯えてプルプル震える感じも相まって確かにモグラっぽいですねこの子は。
最初はアリクイの威嚇のポーズを思い出し愛らしさを覚えたのですが、モグラの方でしたか.....
(゚、゚*トソン「フフフフフフフフフフフ」
('A`)「な、何で笑うのさ!?え、笑ってるのそれ?笑い方怖っ!?」
堪え切れず一通り笑った後。
('A`)「トソンって、いや.....にんげんってどんな種族なの?」
85
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:22:27 ID:m/q70ZvE0
難しい質問です。
.
86
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:24:02 ID:m/q70ZvE0
(-、-;トソン「ええとですね、好奇心が強くて......食べることが好きで......うーん、違いますね。」
自己紹介みたいになっちゃってます。
(゚、゚トソン「全体的に見れば。手先が器用で世の中を便利にするために頑張るのが好きな種族でしたね。」
('A`)「よ、よくわかんないや。」
(゚、゚トソン「......私もです。」
良くわからなくなりました。
87
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:26:33 ID:m/q70ZvE0
他愛のない話をながら歩いていると、長い廊下は途切れ一際目を引く大きな扉に突き当たりました。
('A`;)「い、嫌な匂いがする」
手術室ですかね。ちょっとドキドキしますが。何か薬が残っているかもしれません。
(゚、゚;トソン「あ、開けますよ」
片方の扉を奥に押し込みました。錆びついているのか、ギギギギと耳障りな音を出しながらゆっくりと開きます。
('A`)「見たことない形のドアだ......」
扉が開くと同時に生ぬるい風が頬を撫でました。
ドクオさんの鋭い爪が私を傷つけないように服の裾だけを掴みました。
88
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:28:16 ID:m/q70ZvE0
勇気を出して入ってみると昼間とは思えないほど暗い部屋には、手術台、床に落ちた大きな照明、パソコンだったものの残骸。
そして、この場に不釣り合いなほど原型を保ったままの車椅子が置いてありました。
89
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:29:44 ID:m/q70ZvE0
キィ......キイ......
(゚、゚トソン「ドクオさん何か言いましたか?」
キィ......キイ......
('A`:)「なななななにも」プルプルプル
ドクオさんから目を離し車椅子に再び目線を戻した瞬間。
先ほどまで車椅子の上には何もいなかったのに。
キィ......キイ......
90
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:31:51 ID:m/q70ZvE0
今は
酷く青白い色をした
薄く向こうが透けて見える、輪郭のぼやけた男性が
いた。
91
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:33:10 ID:m/q70ZvE0
身体が金縛りにでもあったかのように硬直。心臓が握りつぶされるように収縮し息が詰まる。
男性は顔を下げたままゆっくりと近づく。
錆びついた車椅子の車輪が回るたびにキィ....キィ......と何処かで聞き覚えのある音が鳴る。
ゆっくりと鎌首をもたげた。
本来目があるはずの部分にはぽっかりと穴が開いており、中はどこまでも続くような不安感を募らせる黒。
穴は私をじぃ......と見据える
ガリガリガリガリと、自分の活力が削られていく感覚にとらわれる。
92
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:35:24 ID:m/q70ZvE0
数秒後。
興味を失ったのか、はたまた元から襲う気はなかったのか。
穴は2人の後ろの扉の奥を見つめ、ゆっくりと浮きあがり私の中を通り過ぎていった。
すれ違う瞬間。
何故か不思議と暖かい気持ちになりました。
とても大きな何かが流れ込んでくるような間隔を覚えました。
もしかすると恐ろしいものでは無いのかもしれませんが、やはり、怖いものは怖いです。
ガシャン
主人を失った車椅子は崩れた。
その音と共に金縛りが解けたトソンはすぐに振り返ったが既に男の姿はなかった。
93
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:36:29 ID:m/q70ZvE0
あれが......その魔法使いだったのでしょうか......鮮烈です......。
ドクオさんは震えて身動きが取れなかったようですね。
((゚A゚;))「あばばばばば」ガタガタガタガタ
(゚、゚トソン「ドクオさん。ドクオさん?」
((゚A゚;))「アバアボアアバババ」ガタガタガタ
(゚、゚#トソン「............」
94
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:37:48 ID:m/q70ZvE0
パチコーン
.
95
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:38:35 ID:m/q70ZvE0
軽快な音が暗い手術室を少しだけ明るくした。
((゚A゚;))「あふぅん」
引っ叩きました。
(゚、゚トソン「気がつきましたか?」
('A`;)「あ、あれ、トソン?なんか頬が痛い。」
(゚、゚トソン「不思議ですね。」
96
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:40:21 ID:m/q70ZvE0
ドクオは途中から音の正体に気づき半分気絶していた。
トソンは思い出すまいと必死で思考を押し殺していた。
だって......私はこの音を最初から......
気が付いたら壊れてしまいそうな気がして。
既に物言わなくなった車椅子のフレームだけが、トソンの必死に強がっている顔を鈍く反射した
97
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:44:02 ID:m/q70ZvE0
(゚、゚トソン「さ、こんな薄暗い所なんてさっさと探索して帰りましょう。」
('A`)「そ、そうだね」
10分ほど探しましたでしょうか。
(゚、゚トソン「見事に何も無いですねえ。」
('A`)「うん......」
(゚、゚トソン「2階は一人の時に探索しましたか何も無さそうでしたね。うーん......引き返しましょうか......」
('A`)「うん......」
ああ、かなり落ち込んでしまってますね。
98
:
ちょっと書き直し。
:2015/07/09(木) 20:54:57 ID:m/q70ZvE0
(゚、゚トソン「そんなに落ち込んだ顔をしていては、お母さんが心配して風邪が悪化してしまいますよ。」
('A`)「!そ、そうだね。元気出さないと。」
(゚、゚トソン「ふふ。さ、帰りましょう」
手術室の出口に振り返り。先に歩き始めようとした瞬間。またドクオさんに服の裾を引っ張られ足を止めました。
('A`;)「あ、あ、あのさトソン!お、俺トソンががいなかったら探索もままならなかったよ。こ、ここの地面は根っこが堅くて穴掘って隠れられないし。」
プルプルと震える彼の顔。
('A`*)「だから、だから......その、あ......ありがとうね!」
不意を衝いて向けられた純粋な好意は私の顔を赤く染め上げた。
(゚、゚*トソン「い、いえ、こちらこそ、その、ありがとうございます。私も一人で心細かったですし、お互い様ですよ!」
恥ずかしくなりふいっと顔を背けた。
しかし、出会ったときより確実に近い距離で2人は並んで遺跡出口を目指して歩き始めた。
99
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:56:58 ID:m/q70ZvE0
('A`;)「!?」
途端。
先程の言いようのない恐怖感とは違う。
明確に2人へ向けられた好奇心と殺意が入り混じった様な気持ちの悪い感覚が背中を撫で回す。
(゚、゚;トソン「今度は、、、、なに?」
ぞくりと全身が震える。
100
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:57:54 ID:m/q70ZvE0
先程まで2人が探索していた手術室の天井から、床まで黒い影が垂れる。
影の終わりから人の顔が引っ張り出される。
101
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:59:10 ID:m/q70ZvE0
川д川「あらあら、何やら騒がしい思ったら。」
102
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 20:59:54 ID:m/q70ZvE0
川д川「あらあら、何やら騒がしいと思ったら。」
103
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 21:00:45 ID:m/q70ZvE0
(゚、゚;トソン「え!?!?」
影だと思ったそれは髪。私の身長よりも長い髪でした。
彼女は水滴が垂れる様にずるりと床に落ち黒い水たまりを作りました。
そして低く笑いながらゆっくりと私と同じ目線に並び私の顔を覗き込む。
川д川「あらあらあら?」
異常。何よりも異常。私の脳の中ではこの言葉しか思い浮かびませんでした。
104
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 21:02:08 ID:m/q70ZvE0
漆黒の髪。
寒気がする様な真っ白い肌。
クスクスと笑う青白い唇。
白装束は風が吹いていないのに揺れている。
こっちが本物でしたか......。
川д川「クスクス、貴女......澄んでいて透明で、素敵な目玉を持ってるわねえ。」
(゚A゚;)「あ、あ、あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
出会ってしまいました。
105
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 21:02:57 ID:m/q70ZvE0
川д゚川「ああ......『交換』したいわあ。」
小さな囁きのような悍ましい願望は、
ドクオの叫びにかき消され誰の耳にも届くことはなかった。
106
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 21:03:57 ID:m/q70ZvE0
3話 全時代的幽霊 〜おわり〜
.
107
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 21:06:35 ID:m/q70ZvE0
以上です。
描写不十分なところがあると思うので
何か質問等ありましたらよろしくお願いします。
108
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 21:10:26 ID:Hia8YSiw0
初遭遇( ・o・)っ乙☆
かなり引き込まれる文章でたのしい!
頑張って
109
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 21:13:22 ID:6bbCNEoc0
おつ!続き気になるぅー
110
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 21:53:38 ID:IEFALK1c0
魔女きたか
乙
111
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 22:11:54 ID:Eapm5rA.0
魔女って言うと大五郎のあいつ思い出す
112
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 22:16:15 ID:R.sdQNDQ0
全時代? 前時代でなく?
乙、次も期待してる
113
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 22:29:14 ID:m/q70ZvE0
>>112
前時代、近代、どんな時代でも幽霊は同じようにいるんだろうなあ。と思いつつの全(全部)時代です。
タイトルは割とてきとうに語感の良さで付けているので分りにくくてすみません......。
魔法使いに関しては男性の魔法使いも出そうと思ってるので魔女ではなく魔法使いで統一するつもりです。
大五郎さん更新はよ。
次は3日以内には投稿するつもりです。
114
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 22:46:23 ID:Q6QaL2FU0
乙乙乙乙!今回もかなり引き込まれた!
読み返したけれど2話の最初から車椅子男おるし、階段のところにも、ドクオの足音のとこにも混じってるやん…読み返してびびったわ。
そして本物の魔法使い登場か…
115
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 23:30:43 ID:GHRIIww.0
大事なものってそういう意味かよ
こわ
116
:
名も無きAAのようです
:2015/07/09(木) 23:40:18 ID:IEFALK1c0
そか、そしたら魔女だと語弊があるな
失礼した
117
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 04:53:16 ID:xAvQzxu6O
乙
男の魔法使いと言ったら30過ぎの童t
118
:
名も無きAAのようです
:2015/07/10(金) 10:05:25 ID:CzTxCAPs0
なんか常にクライマックスで見所があってどんどん引き込まれる。
ぜひ完結してほしいから皆感想なり支援なり書きこもう。
良い作品だ。乙。
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