したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

( ・∀・)たちは「」を謳歌するようです

328名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:01:26 ID:YCMhDvSo0
 
从 ゚∀从「(後一発受けたら負ける! これで終わらせてやる!)」

 1撃をあえて食らう事により、ドクオは理想通りに距離を取ることに失敗した。
 そのために産まれた絶好の好機。それを逃すまいと強引に詰め寄り、斬撃を放つ。
 ドクオは弾倉を変えながら、それを銃身で受け止めた。その反動で暴発したのか、真上に短刀が飛ぶ。

('A`)「全然ダメだ。それじゃブーンには届かない」

从 ゚∀从「あ?」

('A`)「ブーン相手なら俺はもう3回はやられてる。お前じゃまだ無理だ」

从#゚∀从「あ゙あ゙!?」

 バズーカは刀を振り払うと、また3度、足元を狙って打ち込む。
 ハインは軽くバックステップで躱し、足に溜めを作り、距離を詰めようと身構える。

从 ゚∀从「暴発含めて4発撃った! それで弾切れだな!?」

('A`)「ハッ! チェンバーって知ってるか?」

 ドクオは今まで1発の弾丸を薬室内に残したまま、弾倉を交換していた。
 その残っていた5射目が右足を狙って放たれる。
 しかし、ハインは反射的に軸足を変え、ぐるりと反転。ドクオとの距離、わずか1歩。

( '∀`)凸

从#゚∀从「てっめええええ!」

 それを見たドクオは、空のバズーカを構えもせずに、中指を立てて挑発した。

329名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:02:08 ID:YCMhDvSo0
 
 ハインは怒りに任せて吠え、動きがほんの一瞬硬直する。
 だが、その一瞬で勝敗はついた。

('A`)「ちげえよ上だ馬鹿」

从 ゚∀从「は?」

 先ほど、暴発したように見えた1発。
 狙い通り、天井向けて放たれた1撃。
 それが、怒りに立ち止まったハインの背中にぽとりと、落ちた。

('A`)「今ブチ切れなきゃ俺もヤバかった。熱くなっちゃ、あの怪物には勝てねえぜ?」

( ゚∋゚)「勝負あり! 勝者ドクオ!」

从;゚∀从「マジ……かよ」

 一瞬の静寂。

川 ゚ -゚)『決まったぁああああぁぁぁ!! なんという劇的な勝利! 第一試合を早々に鬱田タケシが魅せてくれました!』

「「「「「うおおおぉおぉぉぉお!」」」」」

 それが歓声によって打ち破られて、第一試合は幕を閉じた。

330名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:04:10 ID:YCMhDvSo0
 
 休憩を挟む間もなく、次の試合の出場者が呼び上げられる。
 その間に、試合を終えたドクオは、選手控えへと戻っていた。

('A`)「次の試合、解説のロマさんはどうみます? やはり格闘技は強いですか?」

( ФωФ)「うむ。こういう戦いで一番は慣れであるからな」

('A`)「慣れ? 喧嘩慣れとかそういう?」

( ФωФ)「打たれ慣れ、が近い。攻撃を受けると人間、ビビるものである。
        すると、本来の力が出せないまま、負ける。それに慣れて克服するのは大きい」

 杉浦は経験則からこれを言っているが、実際にその現象は心理学的にも認められている。
 人間は喧嘩の際に先に殴られると、恐怖により体が動かなくなる反応が存在するのだ。
 これは先手を取られたイコール、負ける可能性が高い、と体が判断し、防御や逃亡に徹して生き延びようとする。
 遺伝子に組み込まれた生理現象である。

 通常、この状態では闘争心を削がれ、まともに戦えなくなる。
 これを打ち破るのは、強い怒りなどの感情で押し切るか、単純に慣れるかの2択となる。
 格闘技経験者はこの恐怖心をスパーリングなどにより、殴られることに慣れ、克服するのだ。

( ФωФ)「相手は柔道部。格闘技経験者である。その影響は大きいぞ」

('A`)「あー確かに、それが無視できない要素というわけね」

( ФωФ)「つーはそれをどう克服するか、である」

 しかし、第二試合目。つー対シーンの勝敗は数秒で着いた。

331名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:05:54 ID:YCMhDvSo0
 
ξ゚⊿゚)ξ『圧勝ぉぉおぉおおお! 圧倒的な試合内容で勝負が決まりましたぁ!』

 攻防などない、ただの一撃で勝敗は決まった。
 つーの武器は支給された数本のショートソードだけである。

 しかし、つーに武術の経験はない。当然、柔道部の大男を相手に真っ向勝負を挑んで勝てる人間でもない。
 まして、彼女はハイン同様に水着のままだ。下手な動きはポロリの危険性を孕む。
 だが、それら圧倒的不利な条件を覆す、手段を持ち合わせていた。

――それは、防犯用のネットランチャー。

 網を射出し、相手を絡めて身動きを封じる道具。
 それを使って柔道家を絡め取り、その上で、暴れて攻撃される危険を加味し、用意周到にも短刀を投げつけての勝利だ。
 相手に身動きすら許さない、圧倒的な勝利であった。それが、正しいかはさておいてルール違反ではない。

(*゚∀゚)「みんなー! 応援ありがとー!」

 非情な強さを見せつけた直後、笑顔で振り返って両手を振るう。
 観衆側も慣れたもので、疑問を挟むこともなくそれに声援で応えた。

(´・ω・`)「シーン。避けるかと思ったけどなあ」

(,,゚Д゚)「シーン先輩、びっくりしてそれどころじゃなかったみたいですけど」

( ФωФ)「情けないであるな」

(*゚ー゚)「いつも思うんですけど、杉浦先輩の情けなくない基準ってものすごい高くないですか?」

332名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:06:39 ID:YCMhDvSo0
 

トーナメント表


.  从 ゚∀从  ──┐                  ┌── (´・ω・`)
.           ┏┐              ┌┤
.   ('A`)  ━━━┛│              │└── (゚∀゚ )
.             ├┐          ┌┤
.  (*゚∀゚)  .━━┓││          ││┌── (゚Д゚,,)
.           ┗┘│          │└┤
.. ( ・-・ ) ..──┘  │          │  └── 【+  】ゞ゚
.               ├─優  勝─┤
 ( ・∀・)  ──┐  │          │  ┌── (^ω^ )
.           ├┐│          │┌┤
.( ФωФ) .──┘├┘          └┤└──  (-_-)
.             │              │
. (  ゚¥゚)  ───┘              └───  (゚ -゚ 川

333名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:07:52 ID:YCMhDvSo0
 
( ФωФ)「さて、我輩の出番であるな!」

 杉浦は、いつになく気合を入れて立ち上がる。
 その両手にはウレタンが張り付けられた手甲。
 彼はその腕を武器にすることで、徒手空拳での戦闘を挑む。

 一ヶ月の準備期間。彼は壮絶な修行を行っていた。

(*゚∀゚)「ロマって合気道だっけ? 合気道って強いの?」
  _
( ゚∀゚)「格闘技ってのはルールと誰がやるか、難易度の違いが大きいからなぁ」

(*゚∀゚)「?」

(´・ω・`)「ジョルジュは格闘技やるんだっけ?」
  _
( ゚∀゚)「観戦だけな。んー、つー。ボクシングと空手どっちが強いと思う?」

(*゚∀゚)「えーっとなんとなく、空手?」

(´・ω・`)「それはどうやればわかると思う?」

(*゚∀゚)「そりゃ、空手の強い人とボクシングの強い人で戦えばわかると思うけど」
  _
( ゚∀゚)「それがボクシングのルールなら、ボクサーが勝つだろうな」

(*゚∀゚)「そりゃそうだ。むむむ? アレ?」
  _
( ゚∀゚)「ルールってのはそれだ。格闘技は想定してるルールで最強の動き。だから、どんなルールにするかで最強は変わる」

334名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:08:39 ID:YCMhDvSo0
 
(´・ω・`)「あとは、そもそも才能の有無と競技人口の差も関係してくる」

(*゚∀゚)「そうか、才能の発掘は競技人口で変わるのか!」
  _
( ゚∀゚)「そうだ。競技人口が多いほど、強い奴がいる可能性は上がる」

(*゚∀゚)「じゃあ、結局、格闘技の強い弱いはどうすればわかるの?」
  _
( ゚∀゚)「ひとつの指標として、3年間毎日練習した奴100人同士を総合ルールで戦わせた勝率、とか」

(*゚∀゚)「それなら確かに平等かも」

(´・ω・`)「そうとも限らないけどね。総合ルールに対して向き不向きがあるし」

(*゚∀゚)「じゃあ、そのルールで合気道とボクシングどっちが強いの?」

(´・ω・`)「総合ルールなら、ボクサーと戦うと2割を切るね」

(*゚∀゚)「弱い!」
  _
( ゚∀゚)「だが、この3年の部分が、20年30年なら話は変わる」

(´・ω・`)「合気道は実戦レベルまで極めるのが難しいんだよ。年食っても強さを維持しやすいのもあるけど」
  _
( ゚∀゚)「それ以前に、そもそも総合ルールがかなり向いてないってのもあるがな」

(*゚∀゚)「なるほどー、なんかわかったようなわからないような」

(´・ω・`)「だけど、ロマはそのボクサーに勝てる2割に含まれるよ」

335名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:10:16 ID:YCMhDvSo0
 
 一か月前、彼はとあるジムを訪れた。

( ФωФ)「誰か、いませんかな?」

( ´∀`)「いかがいたしましたもな? 入門ですかもな?」

( ФωФ)「いや、手合せを願いたい。いわゆる道場破り、というとおかしいか」

 彼の目的、それは実戦経験の獲得。

 剣術には「斬り覚える」という言葉がある。型だけでは学べない技術、度胸、駆け引き、人を斬る感覚。
 それらを文字通り、実戦経験を通して敵を斬り覚えることを指す。
 剣術では最も効率よく高みに至る方法として知られ、同時に怪我や死の危険と隣り合わせという無謀な訓練方法だ。
 ゆえに、戦国時代などの高名な剣の達人は、尋常ではない戦闘数をこなしている。

 格闘技でも同じ方法は通用する。だが、通常リスクが高すぎて使われることはない。
 実戦を繰り返せば、いつか後遺症の残る怪我をする。大昔の達人とは、運と才能により体を壊さずに済んだ数%に過ぎない。
 だが、期間一か月という短期間で実力を増すために、杉浦はこの方法を選んだ。

( ´∀`)「道場破り、今時珍しい。なにか事情がありそうもな」

( ФωФ)「勝てるつもりではない。ただ、負けてでも実戦経験を手早く積みたいである」

( ´∀`)「なるほど。では、我が門下生一同と順に手合せしてみてはいかがもな?」

( ФωФ)「それはありがたい。私は合気道で手合せさせていただこう」

(;´∀`)「!?」

 門を叩いたジム、それはとある総合格闘技のジムだった。

336名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:11:12 ID:YCMhDvSo0
 
 そもそも、合気道は試合形式で戦うようにできていない。

 オープンフィンガーグローブでもできなくなる技が多く、グローブが向いていない格闘技である。
 また、日本の古武術全般はマウントを取る技術は優れているが、直後に脇差や目潰しで相手を殺害して終了してしまう。
 そのため、テイクダウンした後のマウント技術がないのだ。

 その上、総合格闘技と戦う場合、ダメージを与える目的の打撃技が存在しないことも欠点となる。
 これには眼突きを回避させ、姿勢を崩したところを投げるなどの技が、禁じ手のルールにより急激に弱体化してしまう点もある。
 合気道が試合を禁止する理由も、当身ありだと殺し合いとなり、禁じれば別の格闘技になるためである。

(;ФωФ)「ぐはっ」

 合気道家・杉浦は、当然のように苦戦した。
 最初の一週間、彼はジムの誰と戦ってもほとんど勝てなかった。
 度重なる打撃に、体中に傷を作ったが、致命傷だけは免れた。

(メФωФ)「も、もう一度お願いしたい」

 しかし、徐々に彼は総合格闘技との戦い方、というものを学んだ。
 その術理を吸収し、投げ飛ばすことに成功したのは、9試合を数えた頃。
 そして、初勝利は13試合目。片手取りからの腕ひしぎ(四教)で勝利を収める。

(;´∀`)「マジかもな……」

 そこから杉浦は覚醒を果たした。徐々に勝率は上がった。
 一か月を経過して、彼はジムの人間に相応に認められていた。
 合気道の超実戦型、対総合格闘技用の合気道。それを昇華したのだ。

337名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:12:43 ID:YCMhDvSo0
 
ξ゚⊿゚)ξ『一回戦第三試合、注目のカードはこちら!』

川 ゚ -゚)『張り巡らせる策謀は星の数! 仕掛けた罠は踏破不能!
     我ら映研の全ての元祖は、今回一体どんな仕掛けを用意したのか!?
     体重67kg身長166cm!《参謀》モララー!』

 歓声に手を挙げて一人の男が登場する。
 男の名をモララー。本大会発起人にして、悪魔の知略を持つ男。

ξ゚⊿゚)ξ 『格闘センスは無限大!! 甘いマスクに騙されるな!
       その正体は百戦錬磨!! 合気の戦士が悪魔に挑む!
       体重58kg! 身長159cm!!《風雲》杉浦ロマネスク!』

 その悪魔との対戦相手の名が読み上げられる。
 しかし、杉浦は先ほどの気合いの面影もなく、青い顔をしてゆっくりと登場した。 
 歩みは遅々として、まるで亀のようにゆっくりと、ステージ上へと向かっていく。

川 ゚ -゚)『おっと、これは一体どういうことだー? 杉浦選手、戦う前から瀕死に見えるがー?』

 足は内股をピタリと閉じられ、腕は腹部を抱えるように抑える。
 その顔はげっそりとして青く、つま先立ちでゆっくりと進む。
 彼が絞り出すように告げた言葉に、会場がどよめく。

(ヽФωФ)「貴様……一服盛ったな……?」

ξ;゚⊿゚)ξ『毒ーーーー!?』

( ・∀・)「良し! やろうぜ! さあやろうぜ! お前のあだ名を下痢便大王にしてやる」

(,,゚Д゚)「えっえげつねえ! モララー先輩、人間としてサイテーだぁ!」

(*゚∀゚)「やりやがった! こいつ本気でやりやがった!」

338名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:13:44 ID:YCMhDvSo0
 
 時をわずかに戻し、つーがネットランチャーを放つ少し前、モララーは会場からほど近い自動販売機の前に居た。
 そこに1人の女性が歩み寄る。白い肌にあどけなさの残る童顔の少女。
 名をしぃといった。

(*゚ー゚)「先輩、これでいいんですよね?」

( ・∀・)「ああ、よくやってくれた」

(;゚ー゚)「じゃ、じゃあ!」

( ・∀・)「もちろん、約束通り、今夜にでも君を満足させよう」

(*゚ー゚)「やった! その……お願いしますね」

( ・∀・)「ああ。しかし、彼には同情するよ」

(*^ー゚)「誰にも言わないで下さいね、二人だけの秘密です」

( ・∀・)「それはもちろんだ。でも、君も相当歪んでいるね?」

(*゚ー゚)「そうですか? だって……」

 恋する少女は、ためらいがちに目を伏せ、そして言った。

(*^ー^)「だって、ギコ君の頑張る姿、絶望の悲鳴、苦痛に歪むその顔、見たいじゃないですかぁ」

 と。

339名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:14:32 ID:YCMhDvSo0
 
( ・∀・)「だからこのサークルに入ったのかい?」

(*゚ー゚)「ええ、ここならきっとギコ君は私にイイトコロ見せようと、頑張って……」

 もじもじと、愛らしい仕草で手元を弄る。
 だが、その可憐な唇からあふれる言葉には、狂気が端々に感じ取れた。

(* ー )「きっと、先輩たちにボロボロにされて、いい声で鳴いてくれると思うんですよぉ! はぁ……」

 しぃ、歪んだ愛情を持つ、その少女は恋人の悲鳴を想像して、恍惚の溜息を吐いた。

( ・∀・)「そ、そうか。とりあえず、何らかの罰ゲームになるよう仕込んでおくよ」

 その狂気に圧されながらも、モララーは赤いコーラのペットボトルをゴミ箱に投げ入れる。
 杉浦が口にする直前に仕掛けを開封して渡したそれは、ゴミ箱へと消えていく。
 杉浦と回し飲みしたそのコーラ、否。蓋裏に仕掛けた強力下剤を混ぜ込んだ液体。

( ・∀・)「一丁上がりっと」

 半分以上入っている中身が、がこんと重たい音を立てた。
 審判が棄権を認め、モララーが不戦勝を勝ち取る10分前のことだった。
 しぃに喉の渇くものを提供させ、自然とコーラを渡すタイミングを作り出す、その計画性に杉浦は敗れたのだ。

( ゚∋゚)「杉浦選手棄権のため! 勝者! モララー!」

 時は現在に戻る。
 彼の名誉のために一言を添えるなら、杉浦はトイレに間に合った、とだけ綴ろう。

340名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:15:23 ID:YCMhDvSo0
 
ξ゚⊿゚)ξ『続きまして! パワー対パワーの対決! 筋肉と筋肉がぶつかり合う試合です!』

川 ゚ -゚)『一つ振っては母のため! 一つ振っては乳のため!
     鍛えられた肉体は、鎧に身を包まれて、今負けられない戦いに挑む!
     体重78kg身長184cm!《唸る豪腕》ジョルジュ長岡!!』

 右腕を振り、胸部を叫びながら、背の高い男が入場する。その男は異形の姿をしていた。
 全身を覆う赤い鎧はウレタンでできており、鈍い色を放つ。
 中世の鎧を参考に作られたそれは、全身を覆い尽くしている。

ξ゚⊿゚)ξ『 強さとはデカさである! 鍛え抜かれた肉体美は一つの芸術品! もはや動く彫刻!
       ボディビルダーがチャンバラに殴り込みだぁ!
       体重97kg身長191cm!《SCP-173(撲殺する彫刻)》ショボン!』

 逆の袖から入場を果たす男は対照的に、上半身裸で登場した。
 相手よりもさらに頭一つ分ほど高い身長は、筋肉の鎧に覆われている。
 その手には戦斧。漫画かゲームに出てくるような、柄の長い両刃の巨大な斧を掲げていた。
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「よう、サレンダーした方が身のためだぜ? この鎧に隙はねえ!」

(´・ω・`)「その鎧でAA変わってて誰かと思った」
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ジョルジュだよ! これは服じゃない、武器として登録してる! つまり、受け太刀可能だ!」

 杉浦の武器、手甲は武器として登録し、相手の刃を掴むための物だった。
 この鎧はその発展系に位置する。武器は打ち合っても敗北にならない。
 つまり、武器で全身を覆い、あらゆる攻撃を受けても敗北しないという発想である。

341名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:18:39 ID:YCMhDvSo0
 
(´・ω・`)「僕が、そんなこけおどしに屈すると思うかい?」
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「へっ、強がっても無駄だ。この鎧は攻略不能!」

(´・ω・`)「その鎧ごとぶっ壊してやらぁ!」

( ゚∋゚)「両者構えてぇ!」

ξ゚⊿゚)ξ『さあ、本大会屈指のパワータイプのぶつかり合い!』

川 ゚ -゚)「最後まで立っているのは豪腕か!? それとも彫像か!? その結果が今決まります!』

( ゚∋゚)「始めェ!!」

 初手、最初に動いたのはジョルジュだ。
 絶対の防御を盾にブラジリアン柔術のような姿勢で、タックルを試みる。
 対する、ショボンはそれを斧の一振りで迎撃した。
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「がっ……」

 その巨体から繰り出される一撃は、重い。幾らウレタンとはいえ、斧そのものが凄まじい重量なのだ。
 ジョルジュはそれを両腕を使い、クロスガードで受け止めた。
 進みかけた身体はたたらを踏み、一歩後ろに引く。

(´・ω・`)「うおおおおぉおおぉぉ!」

 ショボンはそこからラッシュを繰り出す。
 バトルアックスを棒切れのように振り回し、その体幹から繰り出される重たい連打。
 ジョルジュはその隙を見つけては進み、また戻される。

342名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:20:05 ID:YCMhDvSo0
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「あああああああああああ!」

 全力で受けながら進むジョルジュ! 全力の乱打で押し返すショボン!
 両雄譲らず、戦いは一進一退となった。

( ・∀・)「膠着状態か……」

(,,゚Д゚)「ジョルジュ先輩かなり痛そうです」

从 ゚∀从「いや、その割にはきちんと受けてる。むしろショボン先輩の疲労の方がやばそうだ」

 ショボンの全身の筋肉を連動させた乱打は、一撃一撃に凄まじい威力が篭る。
 それを受けるジョルジュの腕は疲弊により麻痺を始めていた。
 だが、それは重たい斧を振り回すショボンも同じ。既に息切れの気配が見える。
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ぐううううぅ!」

 膠着状態を破ったのは、ジョルジュだった。
 両腕でなんとか受けていた打撃を、全力を込めて一度だけ左の片腕で袈裟を受け、強引に一歩進む。
 強引にインファイトを挑み、斧を振り回す距離をなくす作戦である。

(´・ω・`)「だが! それはぁ! 読めていたぁ!」

ィ'ト―-イ、
以;゚益゚以「なっ!?」

 だが、それは失敗。ジョルジュの行動を予見していたショボンは、素早く柄を短く持ち替える。
 そして繰り出されるのは突き。両刃の斧の先端部はまるでサスマタのようにジョルジュを捉えて、押し返した。

343名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:21:58 ID:YCMhDvSo0
 
 体重差により、強制的に後退させられるジョルジュ。

ィ'ト―-イ、
以;゚益゚以「おっとっ!?」

 その隙にショボンは突きにより斧を柄の石突き部分付近へと握り替えた。
 通常長柄の武器は、その構造上、柄を長く持つと梃子の原理により、その重量が増して感じる。
 しかし、引き換えに遠心力を威力に加算し、一撃一撃の重さが増すのだ。

(´゚ω゚`)「ふんがぁあぁぁ!」

 そして繰り出される、渾身のフルスイング!
 ジョルジュは衝撃で吹き飛んだ。

ィ'ト―-イ、
以` 益 以「がはっ……!」

 それは、サスマタで突き飛ばされ、体勢を大きく崩していたのもある。衝撃を殺すため、反射的に逆方向へ飛んだのもある。
 だが、それ以上に大きいのは、圧倒的なショボンの膂力。
 スポンジ越しの衝撃で人ひとりを吹き飛ばすそのパワーだ。

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「あ……ぶね!」

 勢いのまま振り上げた斧が、ジョルジュへと落下していく。
 転がるようにしてそれを回避。ショボンは即座に身体を翻し、斧を担ぎ直す。
 だが、それでも鎧は健在だ。いくら叩いても破壊できる代物ではない。

344名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:22:50 ID:YCMhDvSo0
ィ'ト―-イ、
以;゚益゚以「ハァハァ……やるじゃねえか」

(;´・ω・)「お前こそ……ハァハァ」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「だが、鎧にはダメージがねえ! ジリ貧でも! 俺が勝つ!」

 口でそういうジョルジュは、鎧の耐久力を計算しながら立ち上がり、今一度タックルの構えをとる。
 次はショボンが先制した。1歩踏み込んでからの神速の袈裟。
 威力の乗ったそれは、凄まじい威力でジョルジュのわき腹へと到達し

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「奥義! 長岡式白刃取り!」

 ジョルジュは受け止めた!

 通常、真剣白刃取りは不可能とされる。
 人間が振るう刀剣は高速すぎ、人間の動体視力や反射神経の限界を超えるため、反応が不可能なこと。
 なにより、刀身を手で挟んだ程度では、勢いが乗った刀を止めるのは不可能なことが理由だ。

(;´・ω・)「なっ!?」

 しかし、今回は違う。刀身はウレタンで、摩擦が起きやすい。
 そして、ジョルジュはあえて両手を上げ、わき腹に当たって止まった斧を抱きかかえる方式を取った。
 これにより、あとは斧を手繰り寄せれば勝てる――

345名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:23:45 ID:YCMhDvSo0
 
 ――かに見えた。

(´゚ω゚`)「うおおおおおぉおぉぉぉぉ!」

 その期待を破ったのは、やはり、規格外のショボンの腕力だ。
 ただの腕力により、ジョルジュごと斧が持ち上がる。慌てて斧を離したジョルジュは、着地の際、一瞬姿勢が不安定になった。
 そこに叩き込まれる。サスマタのような突き。

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「えっ……?」

 突きにより強制的に移動を強いられバランスを崩し、屈みこんだジョルジュはすぐさま立ち上がった。
 ショボンの動きをみて、反射的にガード姿勢を作り、衝撃を飛んで逃がそうとする。
 だが、それが悪かった。次の瞬間襲いかかった衝撃は、先ほどのフルスイングの比ではない!

(´ ω `)「があぁああぁぁぁ!!!」

 ジョルジュの身体が吹き飛ぶ。
 身体をくの字に曲げて、砕けた鎧と、ウレタンの斧の刃を飛び散らせながら。
 成人男性として十分背の高い部類のジョルジュが成す術なく、跳ね飛ばされ――


 ――鎧武者はステージの外、観客の目の前に背中から落下した。


.

346名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:24:29 ID:YCMhDvSo0
 
( ゚∋゚)「場外確認! 勝者! ショボン!」

 モララーの試合に白けていた観客が、思わぬ熱い戦いに息を飲んでいた観客が。一斉に、歓声を上げた。

「「「「「ワアアアアアアアアアアァアァァァ!」」」」」」

川#゚ -゚)『決まったァァァ!』

ξ゚⊿゚)ξ『見る者を引き付ける熱い戦い! 制したのは! ショボン!』

川 ゚ -゚)『豪腕破れたり! 圧倒的勝利! 圧倒的筋肉! その巨体は飾りではなかったァ!』

(´・ω・`)「ふぅ……なかなか焦ったよ、ジョルジュ」

 ウレタンの鎧が、衝撃の大部分を吸収した影響だろう。
 かなりのダメージを受けたはずだが、ジョルジュに痛がるそぶりはない。
 むくりと起き上がり、その鉄仮面を外す。
 _
(;゚∀゚)「くっそー勝てなかったかー、まさか場外にふっ飛ばすとは……」

 そのまま、汗を吸った髪を掻き上げ、乾かすようにゆする。
 鎧の暑さも、ジョルジュを焦らせた要因の一つだ。無理に斧を掴みかからなければ、勝機はあったかもしれない。
 斧を掲げて背中を見せるショボンを見送り、一人ごちた。
  _
( ゚∀゚)「ま、後輩しごくのはショボンに任せますかねぇ」

347名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:26:40 ID:YCMhDvSo0
 

トーナメント表



.  从 ゚∀从  ──┐                  ┏━━ (´・ω・`)
.           ┏┐              ┌┛
.   ('A`)  ━━━┛│              │└── (゚∀゚ )
.             ├┐          ┌┤
.  (*゚∀゚)  .━━┓││          ││┌── (゚Д゚,,)
.           ┗┘│          │└┤
.. ( ・-・ ) ..──┘  │          │  └── 【+  】ゞ゚
.               ├─優  勝─┤
 ( ・∀・)  ━━┓  │          │  ┌── (^ω^ )
.           ┗┐│          │┌┤
.( ФωФ) .──┘├┘          └┤└──  (-_-)
.             │              │
. (  ゚¥゚)  ───┘              └───  (゚ -゚ 川

348名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:27:22 ID:YCMhDvSo0
 
( ^ω^)「どうしたおー? 緊張してるのかおー?」

(,,゚Д゚)「そりゃ緊張しますよ。人いっぱいだし、何の準備もしてませんもん」

( ^ω^)「ああ、皆持ち込み武器だからかお?」

(,,゚Д゚)「先輩たち、なんでそんなに用意周到なんですか?」

( ^ω^)「このサークルで半年鍛えられたら皆こうなるお」

(,,゚Д゚)「ある意味めっちゃ恐ろしいッスね。てか、ブーン先輩はそんなことしなくても勝てそうですけど」

( ^ω^)「それは皆をなめすぎだおー。本気以上を出さなきゃブーンも危ないおー」

(,,゚Д゚)「……。余計緊張してきました」

( ^ω^)「そんな君に、先輩から緊張をほぐすアドバイスをやるお」

(,,゚Д゚)「手のひらに人と書いて飲み込むなんて、もうやってますよ?」

( ^ω^)「違うお。抜け、抜くんだお。トイレで抜いてこい。賢者タイムならどんな緊張もほぐれるお!」

(,,゚Д゚)「サイッテーッスねwwwww」

( ^ω^)b

(,,゚Д゚)b

349名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:28:17 ID:YCMhDvSo0
 
――――
―――


( ゚∋゚)「そこまでぇ! 勝負あり! 勝者! ギコ!」

ξ゚⊿゚)ξ『決まったぁ』

川 ゚ -゚)『うーん、実に見せ場のない戦いでしたが! ギコ選手! 辛くも勝利を掴みました!』

(#)Д゚)「酷い! こんなに頑張ったのに!」

ξ゚⊿゚)ξ『何故かやたらと傷だらけですが、一体このルールでどうすれば傷だらけになれるのか!』

川 ゚ -゚)『しかもなんかイカ臭い!』

(#)Д゚)「それは! 言わないで!!」

ξ゚⊿゚)ξ『さあ続きまして! 常勝無敗の王者に挑むは、武術経験なし! スポーツ経験なしの無謀な男!
       将来の夢は自宅警備員! 無口なポーカーフェイスの下に何を隠すか!』

(;゚Д゚)「待ってまだ俺退場もしてないですよ!」

ξ゚⊿゚)ξ『体重44㎏! 身長169cm! 《顔のない男》! ヒッキー!」

(;゚Д゚)「うおお! ほんとに入場させやがったああ!」

川 ゚ -゚)『対するはこの男! 誰が呼んだか人類最強の豚!
     類まれなる運動センスを武器に! タイマン勝負は常勝無敗!
     体重86kg、身長177cm!! 《白豚》! 内藤ホライゾン!!」

 その名が呼ばれた時に、不思議な音楽が流れ始めた。

350名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:29:10 ID:YCMhDvSo0
 
( ・∀・)「バーバー イェッツイェッツ リエーピングーニー イェッツイェッツワミナー」

 モララーがオカリナを吹き、ショボンがコンガを叩く。
 両者とも何故か上半身裸で、なんとも言えない歌詞を歌い始めた。
 コーラスにはつーやハインも参加しているその音楽は、廃人達の聖歌として知られる曲だ。

(´・ω・`)「バーバー イェッツイェッツ リエークンジーナーラーコエリツクゼー…」

(*゚∀゚)「バーバー イェッツイェッツ リエーピン グーニー イェッツイェッツワミ-ナー」

从 ゚∀从「バーバー イェッツイェッツ リエークンジーナーラーバ エリツクースフェ」

 その民族的な音楽の中、彼は登場した。90㎏近い巨体を華麗に操り、ステージ脇のスロープにある手すりの上に飛び乗る。
 細い手すりの上で3回バク転を決めて、身体をひねり正面を向き変えながら着地。
 そのまま前転後、壁に向かって走りだすと、屋根の柱と壁を交互に蹴って屋根の梁に片手でぶら下がる。
 片手の腕力だけで天井に張り付いた彼は、器用に数歩進んでステージ中央に辿り着くと、そのまま落下。

. ヾヾヽ
ミ=0=彡 
( ^ω^)「うおおおおおおおおお!」

 空中で二度回転し、受け身をとって着地すると変態は全力で吼えた!
 何故か、マサイ族とインディアンを足して2で割ったようなほぼ全裸の男が、槍を片手に立ち上がる。
 この馬鹿は、衣装と槍を作るのに、一ヶ月! この準備期間のすべてを使ったのだ!
  _,
ξ゚⊿゚)ξ『……』
  _,
川 ゚ -゚)『……』

(;-_-)「僕、これと戦うの? 色んな意味で嫌なんだけど……」

351名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:29:53 ID:YCMhDvSo0
. ヾヾヽ
ミ=0=彡 
( ^ω^)「さて、勝負だお!」

ひ「頭のそれなに!?」
ミ=0=彡 
( ^ω^)「インディアン ウソ ツカナイお」

(;-_-)「なんか片言で言い出したぁ!?」

(;-_-)「(落ち着けぇ! 俺! この変態に勝てば、勝てればだけど。あのクー先輩だ!)」

 ヒッキーは、クーに恋心を抱いていた。
 中身を考慮しなければ、クーはこのムサい工業大学における一輪の花。トップクラスの美人だ。
 いつもツナギで機械油を顔につけてるような女性だが、美人に変わりはない。故にモテた。

 今回の戦い、ただ棒で殴りあうだけの戦い。しかし、それにもかかわらず、映研からは女性が3人も出場している。
 映研は基本的に、学内では頭のおかしい連中として警戒されているが、時折やる催し物は面白く、人を集める。
 だから、ヒッキーは自分のような内気な人間には関係のない連中だと思っていた。

(*-_-)「(……上手く行けば! 事故で! 抱きつける!)」

 だが、それでも今回、勇気を出して参加したのは彼が、恋心抱く相手に抱きつけるかもしれないという淡い期待からだ。
 一般的にこういった時に盛り上がるリア充連中は、この学校だと少数派だ。そして、なにより映研のメンバーと仲が悪い。
 そのため、チャラチャラした連中はあまり出場しないことも彼を後押しした。
ミ=0=彡 
( ^ω^)「なるほど」

(;-_-)「ひっ!」

 いつの間にか、変態がものすごく近寄って、ヒッキーが小声で自身に言い聞かせていた言葉を聞いていた。
ミ=0=彡 
( ^ω゚)「じゃあ、負けるわけにはいかないお……」

 変態が、悪鬼に化けた。ヒッキーの目にはそう映った。

352名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:30:37 ID:YCMhDvSo0
 

(#)_-メ)

ξ゚⊿゚)ξ『圧勝!!! 圧勝!!!! ヒッキー選手一度も刀を振るうことなくブーン選手に翻弄されました!』

川 ゚ -゚)「圧倒的実力! ヒッキー選手転ばされること12回。近寄ることすら許されずにぶちのめされました! これは可哀想だ!』
. ヾヾヽ
ミ=0=彡 
( ^ω^)「おっおっおっおっおっおっ」

ξ゚⊿゚)ξ『白豚、勝利の音頭を踊りだした! 揺れる腹が目の毒だぁ!』

川 ゚ -゚)「退場すら醜い豚! ゆっくりとステージから捌けていきます!』

( ^ω^)「ドクオ!」

('A`)「ん? どしたブーン」

( ^ω^)「ん……なんでもねーお! あとでなんか奢れ!」

('A`)「じゃあ俺が優勝したら奢ってやらあ」

( ^ω^)「それ、ドクオが勝ち進んでも、ブーンに決勝で負けるからありえんお!」

川 ゚ -゚)「さて、ついに一回戦が終了いたしました! 結果はこちら!』

353名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:31:17 ID:YCMhDvSo0
 

トーナメント表


.  从 ゚∀从  ──┐                  ┏━━ (´・ω・`)
.           ┏┐              ┌┛
.   ('A`)  ━━━┛│              │└── (゚∀゚ )
.             ├┐          ┌┤
.  (*゚∀゚)  .━━┓││          ││┌── (゚Д゚,,)
.           ┗┘│          │└┤
.. ( ・-・ ) ..──┘  │          │  └── 【+  】ゞ゚
.               ├─優  勝─┤       ミ=0=彡
 ( ・∀・)  ━━┓  │          │  ┏━━ (^ω^ )
.           ┗┐│          │┌┛
.( ФωФ) .──┘├┘          └┤└──  (-_-)
.             │              │
. (  ゚¥゚)  ───┘              └───  (゚ -゚ 川

川 ゚ -゚)『さてこの中で誰が3回戦へと駒を進めるのかぁ!』

ξ゚⊿゚)ξ『勝利の女神は! 一体誰に微笑むのか!? ここで一旦、休憩に入ります!』

354名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:32:02 ID:YCMhDvSo0
 






( ・∀・)「首尾はどうだ? そうか。よし、あとは釣り餌にかかるのを待つだけだな……」






.

355名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 16:32:44 ID:YCMhDvSo0
というところで、続きは、また明日。までに書き終わったら投下したい。

356名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 17:18:41 ID:38BasFYA0
おつ!
一応勝ったのにトーナメント表にすら反映してもらえないギコかわいそう
しかしこういうの見るとつい賭けがやりたくなるな……ギコ-モララー-ブンドクの四連単で

357名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 17:22:45 ID:48znDFj60
ロマ哀れすぎるだろwwwwww

358名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 17:33:27 ID:YCMhDvSo0
>>356

ほんとだ忘れられてる! びっくり!

359名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 17:39:19 ID:YCMhDvSo0
そして、番外編も忘れてた。もうこれも明日でいいや

360名も無きAAのようです:2015/05/23(土) 19:19:44 ID:3G4XubrE0
ショボンとジョルジュの戦いアツすぎた
ロマは通常運行ですね


361名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 15:06:08 ID:KaHR0FQY0

続きが楽しみだ

362名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:02:18 ID:wkY50X2E0
そろそろ来るはず
wktk

363名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:28:02 ID:4VY8MeOQ0
現在執筆状況、2回戦4試合目(クーVSブーン)冒頭。
今日中に間に合いそうにないからとりあえず番外編投下します

364名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:28:44 ID:4VY8MeOQ0
番外掌編
ゲームをしていない時の、彼らの日常風景をお送りいたします。





lw´‐ _‐ノvたちはガールズトークを謳歌するようです

365名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:29:51 ID:4VY8MeOQ0
 
ξ゚⊿゚)ξ 「そういえばさ、シューっていつの間にかサークルにいたけど何があったの?」

从 ゚∀从「あ、それ私も気になります」

川 ゚ -゚)「それ、誘ったのは私だけど、なんか妙に乗り気だったな」

lw´‐ _‐ノv「えっいや、まあ、その前にモラさんに口説かれてて……」

从 ゚∀从「何それ素敵!」

川 ゚ -゚)「あー……? あいつが本気で誰かを口説くとは思えんが」

ξ゚⊿゚)ξ 「鬼ごっこの時が初対面? いつの間にか鬼で参加してたよね?」

lw´‐ _‐ノv「ですね。で、そのあと何度か偶然会いまして」

川 ゚ -゚)「モラのことだから作為的に感じる。初対面で惚れてたから、偶然装ったとか」

ξ゚⊿゚)ξ 「確かに、奴だからなぁ」

lw´‐ _‐ノv「否定はしないけど多分ガチ。モララーさんが全力で逃げてる時に匿ったから」

川 ゚ -゚)「逃げてるとき? どれだ?」

ξ゚⊿゚)ξ 「心当たりが多すぎる」

366名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:30:34 ID:4VY8MeOQ0
 
ξ゚⊿゚)ξ 「それで? 何回か会って?」

lw´‐ _‐ノv「話すうちに意気投合して、まあ、色々」

川 ゚ -゚)「誤魔化すな、ちゃんというのだ。ほらカツ丼を――」

<バンッ!

(;'A`) 「おい! モララー来なかったか!?」

lw´‐ _‐ノv「来てないけど、昨日はルパンごっこするって言ってたよ。なにしでかしたん?」

('A`) 「くっそ! 武器庫の鍵持って逃げてる! 明日のドッヂボール妨害する気だ!」

(;^ω^)「どっくん! モラいたお! なんかウェディングドレス着て走ってた!」

('A`) 「なんでだよファック! いくぞ!」

从 ゚∀从「あ、面白そう。私も行く! てか兄ちゃんのピッキングで開けられないの?」

( ^ω^)「無理だおー。モララーの奴、倉庫の鍵をディンプル・マグネット複合錠に替えてて、バンピング対策も――」

川 ゚ -゚)「……モララーなんでモテるんだろうな」

ξ゚⊿゚)ξ 「……口が上手いからじゃない?」

lw´‐ _‐ノv「否定できない」

367名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:31:59 ID:4VY8MeOQ0
 
( ・∀・)「行ったか……屋上に隠れた甲斐があった」

川 ゚ -゚)「窓から入ってくるな変質者」

ξ゚⊿゚)ξ 「どういう腕力があれば、ドレス着ながら屋上から窓へ移動できるのか」

lw´#‐ _‐ノv「モラさんどういうことか説明プリーズ?」

( ・∀・)「どうした愛しのシュー。右手をこちらに向け痛い痛い分かった話すからアイアンクロー止めて!」

川 ゚ -゚)「まず、なんでドレスなの?」

( ・∀・)「サイズチェック。俺とハインちゃんスリーサイズほとんど一緒なんだ。違うのは肩幅くらいだな」

lw´‐ _‐ノv「何故サイズが同じことを知っている。ことと次第によっては煮込むぞ」

( ・∀・)「俺はこの眼で見れば身長体重スリーサイズバストカップは即座に看破できる」

ξ;゚⊿゚)ξ 「なにそれキモい」

lw´‐ _‐ノv「ちなみにお姉ちゃんは?」

( ・∀・)「身長153cm、体重38㎏、スリーサイズは上から76、61、80のAカップ。体脂肪率は19%。BMI16.2……」

川 ゚ -゚)「待て私で試すな! 身長体重はあってるけど、他はそんなに詳しく言われてもわからん」

( ・∀・)「クーは筋肉なさすぎだ下半身デブ。もっと運動して食え。あとツンは無言で胸を抱えて距離を取るな」

ジリ…ξ゚⊿゚)ξ 「……」

368名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:33:06 ID:4VY8MeOQ0
 
lw´‐ _‐ノv「それで、鍵を奪うついでに、ドレスのサイズチェックしてたら見つかったと」

(#)メ∀・)「はい」

ξ゚⊿゚)ξ 「あほだ……」

川 ゚ -゚)「そのまま逃げる度胸が凄い。後あんなに殴られて平気なお前の頑丈さも」

(#)メ∀・)「シューの愛を受け止められる、そんな男に私はなりたい」

ξ゚⊿゚)ξ「今のお前を見ても彼女でいてくれるシューは確かに慈愛の塊よ」

lw´‐ _‐ノv「よし、モララーさん別れましょう」

(;・∀・)「やめてー、冗談でも心にクるからやめてー」

川 ゚ -゚)「そういえば、ちょうど今何故付き合いだしたかシューに聞いてたところでね」

lw´‐ _‐ノv「……なんで付き合っちゃったんだろうね」

( ・∀・)「ん? いや、告白してきたのはシューだぞ?」

lw´;‐ _‐ノv「あっ! バカいうな!」

ξ゚⊿゚)ξ「は!? なんで血迷ったのシュー!」

( ・∀・)「しかもあれだ。シューの告白は非常にクサいことに――lw´;‐ _‐ノv「わーわーわーわー!」

川 ゚ -゚)「よし、シューは私が抑えた! 言えモララー!」

ξ゚⊿゚)ξ「趣味悪いわよクー」

lw´;‐ _‐ノv「ツンも口では諌めながら、抑えないで下さい!」

369名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:34:10 ID:4VY8MeOQ0
 
<バンッ!

(;´・ω・)「あっモララー! いたぞー! 部室だ!」

( ・∀・)「やっべ見つかった! とうっ!」

川;゚ -゚)「うわっ窓から飛びやがった。ここ3階だぞ」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょちょっと、あいつドレス着てるのよ? 着地できないんじゃ……」

\フハハハハハ……/

\イタゾーオエー/

川 ゚ -゚)「見事な5点接地回転法だったな……。スカートめくれて前も見えない癖に」

lw´‐ _‐ノv「着地をブーンに習うって言ってたよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「短期間で習ってモノにするとは……。奴のバイタリティはホントに底なしね」

川 ゚ -゚)「で、結局、奴にはなんて告白したんだ?」

lw´;‐ _‐ノv「うぐっ…… まあ、酔った勢いで血迷って、その……」

ξ゚⊿゚)ξ「その?」

lw´;‐ _‐ノv「月が綺麗ですね、と……」

ξ゚⊿゚)ξ「クー、あの変態にこの可愛い妹は勿体ないのでは?」

川 ゚ -゚)「ツン。私も、全く同じことを思っていたよ」

370名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:35:31 ID:4VY8MeOQ0
おわり。

チャンバラの続きは、終われば投下します。

371名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:35:54 ID:UTe8YE1.0
シューかわいい

372名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 22:43:06 ID:Faa/sqS60
wktk

373名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 23:52:09 ID:Jb9WAA720
シュー可愛い、おしゃれな告白やなぁ!

374名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 00:52:35 ID:OP09Uu3c0
とりあえず2回戦を書き終えたので投下します。
次は明後日までに最後まで書きたいけど、果たしてどうなるか?

375名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 00:53:17 ID:OP09Uu3c0
トーナメント表(訂正版)


.  从 ゚∀从  ──┐                  ┏━━ (´・ω・`)
.           ┏┐              ┌┛      _
.   ('A`)  ━━━┛│              │└── (゚∀゚ )
.             ├┐          ┌┤
.  (*゚∀゚)  .━━┓││          ││┏━━  (゚Д゚,,)
.           ┗┘│          │└┛
.. ( ・-・ ) ..──┘  │          │  └── 【+  】ゞ゚
.               ├─優  勝─┤       ミ=0=彡
 ( ・∀・)  ━━┓  │          │  ┏━━ (^ω^ )
.           ┗┐│          │┌┛
.( ФωФ) .──┘├┘          └┤└──  (-_-)
.             │              │
. (  ゚¥゚)  ───┘              └───  (゚ -゚ 川

376名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 00:54:04 ID:OP09Uu3c0
  _
( ゚∀゚)つ「休憩終了」⊂( ФωФ)

 杉浦と長岡が休憩終了のプラカードを掲げながら、化粧まわし姿でステージを回る。
 途中、空き缶が飛んできたが、主催側も笑ってそれを止めないでいた。

ξ゚⊿゚)ξ『さあ、早くも折り返し地点!2回戦の始まりです!』

川 ゚ -゚)『まずは2回戦第1試合! 映研同士のこのカード!!』

ξ゚⊿゚)ξ『無骨な男たちの戦いに咲く一輪の花! 勝利のためなら冷酷無比!
      先程はネットランチャーにて派手に決めました! 2回戦に生き残った紅一点!
      体重(ピーー)㎏! 身長158cm! 《冷酷なる薔薇》つー!』

川#゚ -゚)『おいこら! 私も残ってるぞ!』

 観客がどよめく中、少女が登場する。今回はネットランチャーどころか武器も持っていない。
 今回は水着から着替えてチャイナドレスだ。どこからでてくるのか、モララーが借りてきた衣装である。
 しかし、観客のどよめきの理由はそれではない。

 その視点は、上へ向いている。

377名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 00:54:47 ID:OP09Uu3c0
 
川 ゚ -゚)『対するはバズーカでハインリッヒ選手を沈めた男!
     その狙いは正確! その戦いは冷静! 今回はどんな戦い方を魅せてくれるのか!?
     体重53kg!身長175cm! 《堂々たる伏兵》鬱田ドクオ!』

(;'A`)「やだー! 行きたくないー!!」

ミ=0=彡 
( ^ω^)「ほら早くいけお。ダダこねてもしょうがねーお!」

(;'A`)「ヤダよ! 今出ても絶対負けるじゃんこれ!」

ミ=0=彡 
( ^ω^)「男なら戦って散れ!」

(;'A`)「というかその格好で近寄るな! 腰のアレがモロリズムしかけてる!」

 その天井は全てがチャンバラソード、つーの開始位置以外全てに剣が無数に並んでいる。
 1回戦でのネットランチャーは、準備が間に合わなかったための応急処置でしかない。
 ドクオもネットランチャーならば対応できた。しかし、これが彼女の本命! それは天井落し!

( ゚∋゚)「勝負あり! 勝者! つー!」

378名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 00:56:11 ID:OP09Uu3c0
 
川 ゚ -゚)『さて、ドクオ君が無様に散りましたが、続いての戦いは白熱するか!?』

ξ゚⊿゚)ξ『その知略は悪逆無道! その戦いは暴虐非道!!
       本大会発起人にして最悪の悪魔! 今度こそまともに戦ってくれるのか!?
       体重67kg身長166cm! 《悪の大参謀》モララー!』

( ・∀・)「なんか俺の二つ名パワーアップしてない?」

 文句を垂れながら、ステージ上に男が出てくる。何故かこちらも武器を携帯していない。
 ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら、男は優雅に腕を組む。
 それには悪魔の笑みと同等の意味がある。

川 ゚ -゚)『対するは、高校時代では剣道個人関東大会優勝! 剣道サークル「VIP会」からの刺客!
     居合剣道二段、槍術初段、スポーツチャンバラ経験あり! 悪魔を倒す勇者となれるか!?
     体重73kg身長182cm! 《剣客》偽モナー!!』

ξ;゚⊿゚)ξ『……出て、きませんね?』

 コールは響くが、対戦相手は出場してこない。
 ただ、モララーのニヤニヤとした笑みが、会場を不安にさせる。

川 ゚ -゚)『……。こいつ、またなんかやりやがったな』

 そのまま5分が過ぎた。

379名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 00:57:05 ID:OP09Uu3c0
 
 この時間は使われていない講義室、そこには男女の姿が並んでいる。
 窓からはチャンバラ大会のブーイングが響いて聞こえてきた。
 女はその豊満な肉体を閉じ込めるようにブラウスの胸元を閉じると、無線機に向かって声をかける。

从´‐ _‐从「……そっち、終わった?」

( ・∀・)『いや、悪いね。手間取らせちゃって』

 無線機のイヤホンから流れるのは、もちろんステージ上から退場する男の声だ。
 相手選手の遅刻による不戦勝、という手はずになっているはずだ。
 なぜなら、その対戦相手は、無線機に語りかける女性の隣で座っているからだ。

从´‐ _‐从「全く、自分の彼女に色仕掛けさせるなんて、酷い男」

( ・∀・)『だからちゃんと、いざって時のために改造催涙スプレー持たせただろ?」

从´‐ _‐从「結局使いませんでしたけどね。こいつ童貞っぽいですよ」

(    )「もがー! もがっももがっ!」

 女はかつらを投げ捨て、髪を艶めかしく掻き上げた。

lw´‐ _‐ノvノシ 从  从

 モララーは大会の直前に気づくように、しぃの手を使ってある手紙を届けさせていた。
 それは偽のラブレター。
 それにまんまと釣られた男は今、麻袋を被らされ、親指を結束バンドで縛られている。

lw´‐ _‐ノv「あ、タイラップで親指縛っちゃった、ニッパー持ってないや」

( ・∀・)『放置でもよくね? インシュロック切りたいなら俺のロッカーにあるよ』

lw´‐ _‐ノv「貴様、インシュロック派か! 漢は黙ってタイラップだろ!」

 相手が大の巨乳好きであることを調べたモララーが、仕掛けた策がこれである。
 二人は無線機越しにどうでもいい論争を繰り広げながら、ニッパーを取りに行く。 
 残された男は、シューがニッパーを持って戻るまで、気が気ではなかったという。

380名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 00:58:10 ID:OP09Uu3c0
 

トーナメント表


.  从 ゚∀从  ──┐                  ┏━━ (´・ω・`)
.           ┏┐              ┌┛      _
.   ('A`)  ━━━┛│              │└── (゚∀゚ )
.             ┏┐          ┌┤
.  (*゚∀゚)  .━━┓┃│          ││┏━━  (゚Д゚,,)
.           ┗┛│          │└┛
.. ( ・-・ ) ..──┘  │          │  └── 【+  】ゞ゚
.               ├─優  勝─┤       ミ=0=彡
 ( ・∀・)  ━━┓  │          │  ┏━━ (^ω^ )
.           ┗┓│          │┌┛
.( ФωФ) .──┘┗┘          └┤└──  (-_-)
.             │              │
. (  ゚¥゚)  ───┘              └───  (゚ -゚ 川

381名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 00:59:02 ID:OP09Uu3c0
 
('A`)「おいお前、緊張してんのか?」

(,,゚Д゚)「うっす。だって次、ショボン先輩ですよ」

('A`)「あー、あいつ威圧感あるからなあ。根は優しいんだが……」

(,,゚Д゚)「威圧ってレベルじゃないッス。ホントに日本人ですか? あの身長と筋肉」

('A`)「なんつーか、見慣れたというか?」

(;゚Д゚)「アレ相手に!?」

('A`)「そもそも、俺はあんなマッチョに正面から挑もうなんてしないからな」

(,,゚Д゚)「でも俺、先輩たちみたいに銃器自作なんてできませんよ」

('A`)「それはあれだ。大学で学べ」

(,,゚Д゚)「大学講義の活かし方がおかしい……」

('A`)「そうだな、じゃあ必勝のコツを伝授しよう」

(,,゚Д゚)「ブーン先輩みたいに抜けっていうんじゃないですよね?」

('A`)「違う。そこにお前の彼女がいるな?」

(,,゚Д゚)「はい」

('A`)「陰毛だ。陰毛をもらってこい。恋人の縮れ毛は勝利のお守りだ!」

(,,゚Д゚)「サイッッッテーッスねwwwww」

('A`)b

(,,゚Д゚)b

382名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 00:59:51 ID:OP09Uu3c0
 
ξ゚⊿゚)ξ『さて、ここからはクー選手対戦準備のため、解説に1回戦敗北の杉浦選手を迎えて参ります』

( ФωФ)『よろしくである』

ξ゚⊿゚)ξ『ま、モララーはしかたないわ。あれはああいう奴よ』

( ФωФ)『慰めはいらん! 次の対戦カードはこちら!』

ξ゚⊿゚)ξ『圧倒的な肉体が全てを蹂躙する!! 掲げる戦斧は今回も敵を粉砕するのか!?
       バルキリーに愛されたこの漢の快進撃! 一体、誰が止められるのか!?
       体重97kg身長191cm!《重戦車》ショボン!』

 先ほどの熱い攻防で人気を得たのか、一際大きな歓声を浴びて筋肉が入場を果たす。
 その巨体は2m近く、その体重は100㎏近く、どんな相手をも力でねじ伏せる。その男。
 日本人離れした恵体は、優しそうな顔つきと相まって、強者特有のプレッシャーを発している。

ξ゚⊿゚)ξ 『彼女の声援を受けるはニューフェイス! 先程は地味な戦いで勝ち抜きました映研の新人!
       歴戦の重戦車を相手に下克上を果たせるのか!? はたまた無残に散るか!?
       体重63kg身長178cm!《もげろ》猫宮ギコ!!』

(,,゚Д゚)「その二つ名どういうことですか先輩!」

(*゚ー゚)「ギコ君頑張ってー!」
  _
( ゚∀゚)「しねぇー!」

( ФωФ)「もーげろ! もーげろ!」

( ^ω^)「ショボンやっちまえー!」

(*゚ー゚)「うふふふ」

383名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:00:54 ID:OP09Uu3c0
 
(´・ω・`)「いいなぁ。お前は彼女が応援してくれて」

(,,゚Д゚)「他にも彼女持ちいっぱいいるじゃないですか」

(´・ω・`)「クーは中身男だし、シューは容赦ないし、ツンは……まあうん」

ξ゚⊿゚)ξ『おいショボン覚えてろよ』

(´゚ω゚`)「でも、ギコの彼女は残念じゃない女の子で腹が立つんだよぉ!」

(,,゚Д゚)「全方面的に失礼だこの人!! 」

(´゚ω゚`)「くそぉおおぉ! 地球焼け焦げろおおぉぉ!」

(,,゚Д゚)「てか、ショボン先輩遠距離恋愛の彼女いるんですよね?」

(´゚ω゚`)「あいつはこんな場所で半裸になってるような男に免疫ないから、呼べないんだよおぉおぉぉ!」

(,,゚Д゚)「じゃあ裸にならないで下さい!」

(´゚ω゚`)「そもそも仕事忙しいとかで1ヶ月くらい会えてねえええ!」

(,,゚Д゚)「完全に八つ当たりじゃないですか」

( ゚∋゚)「両者構えてぇー!」

 徐々に観客の声が一つになっていく、それはもげろの一声!

「「「「「もーげろ! もーげろ!」」」」」

 今、負けられない戦いが幕を開ける。

384名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:01:57 ID:OP09Uu3c0
 
( ゚∋゚)「始めぇ!」

(´゚ω゚`)「おらああ!」

(,,゚Д゚)「ぐっ!」

 初手、仕掛けたのはショボン。
 強烈な踏み込みと共に、長柄の戦斧を振りかぶる。
 ギコはかろうじてそれを受け止めるが、続く連撃に思わずよろける。
  _
( ゚∀゚)「あれはっ!? バーサークモード! ショボン、まさかあいつっ!」

( ・∀・)「ジョルジュ! 知っているのか!?」
  _
( ゚∀゚)「いや適当言ってるだけ」

 猛攻は続く、その打撃は全てがまるで車の衝突のように重い。
 先ほどのジョルジュが何故この巨漢を相手に戦えたのか不思議なくらいだ。

(,,゚Д゚)「ちょっちょっちょ!」

(´゚ω゚`)「うおおおお!」

(,,゚Д゚)「(ダメだ! 下手に受けるとスポンジソードが折れる!)」

 ショボンの攻撃はただ重たいだけではない、その衝撃は鋭く、速い。
 故に、彼はジョルジュの真似をして、飛んで衝撃を逃がす手段に出ようと考える。
 しかし、それは叶わない!

(,,゚Д゚)「げっ!」

 ギコはジョルジュとは違い細身である。
 故に、身体の重さが足りずフルスイングでなくとも身体がよろめいてしまうのだ。

385名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:02:38 ID:OP09Uu3c0
 
(,, Д )「(あ、もうダメだ。負けたわこれ)」

 心が折れようとするギコの耳に、声が届く。
 会場を包む割れんばかりの「もげろ」コールの中から、微かにしかし、確実に、その声は響く。

(*゚ー゚)「ギコくぅん! 負けちゃヤだよ!」

(,, Д )

(,,゚Д゚)カッ!

 その時、ギコの中の何かが目覚めた。よろめく身体を無理やり起こそうとして、失敗。
 しかし、その転びかけたのが幸を奏して、ショボンの水平薙ぎを回避する。
 そのまま、低姿勢の状態で、ショボンへの接近を成功させる!

 女神はまだ、彼を見捨てたりはしない! 

(,,゚Д゚)「うおおおおおおおおお!!」

(´゚ω゚`)「馬鹿が!」

 しかし、ショボンは無慈悲に石突きを使ってギコをいなした。
 ウレタンで覆われていない、樫で出来た柄がギコの腹に食い込む。
 その場でうずくまるギコ。

(,, Д )「ゲホッゴホッゴホッ」

(´゚ω゚`)「喰らええええええ!」

386名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:03:51 ID:OP09Uu3c0
 
 ショボンは接近しすぎた距離をバックステップで離し、同時、全体重を掛けた叩き付けを敢行する!
 ギコはそれを止めるべく、咳き込む身体に鞭を打ち、片手を剣の腹に当てて両手受けを試みる。

 次の瞬間。

(,, Д )「えっ!?」

 スポンジソードは砕け散り、ショボンのバトルアックスはギコをボロ布のように叩き潰した。

(* ー )「ああん。ギコ君負けちゃったぁ……ゾクゾク」

( ・∀・)「地味な戦いだった」
  _
( ゚∀゚)「ショボンのウレタン。支給品より発泡倍率かなり低いからな」

 ギコの剣が砕けた理由、それはウレタンの発泡倍率にある。
 通常、発泡ウレタンは、スプレーや混合液などの形式で販売されている。
 様々な種類が売られているが、その違いは成分の配合比により発泡倍率だ。

 支給品の発泡倍率は約55倍。1の原液が55倍に膨れ上がるものだ。
 これは1液型簡易スプレー缶で販売される一般的な倍率である。
 対するショボンは約5〜8倍。2液式のスプレーガンを用いる本格タイプを用いていた。

 当然ウレタンの比率は高くなり、約10倍も頑丈な発泡ウレタンを作ることができるのだ。
 8倍発泡ウレタンは手でちぎる事が不可能なほど強固である。

 材料関係の知識を持つこの学校では一般的な事実だが、入学して間もないギコはそれを知らなかった。
 なお、映研メンバーの装備は、ほとんどがこれを用いているのは言うまでもない!

( ゚∋゚)「勝負あり! 勝者ショボン!」

ξ゚⊿゚)ξ『決まったぁ! 実況する間もなくショボン選手圧勝です!』

387名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:04:47 ID:OP09Uu3c0
 
( ФωФ)『さて、続く戦いは会場全員の注目を集めるこのカード!』

(*゚∀゚)「えっブーンマジでそれで出るの?」

从 ゚∀从「うわっ……兄貴それは引くわ」

ξ゚⊿゚)ξ『チャンバラをどこまで曲解すればこうなるのか!?
      チャンバラ史上最悪の怪物がエンジン音を轟かせて登場だァ!
      体重りんごみっつ分! 身長153cm! 《機械仕掛けの乙姫》素直クール!!』

 飛び出たのは、人間ではなかった。
 トラクター用の巨大な車輪が回る。エンジン音が2つ、爆音を奏でて巨体が踊る。
 一見、それを形容する言葉はないように思える異形。

 それは無理やりに表現するならば、巨大なタイヤの車椅子が近い。

 車のシートを改造したコクピット。そのコクピットは全面を特殊ガラスに覆われ、金属フレームがそれを支える。
 左右にはトラクター用のタイヤが1組あり、コクピットの真横を隠していた。
 タイヤは左右で別回転出来るようになっており、意外にも細かくターンを繰り返す。

 更にガス圧式の砲塔が2つ。そして、前面にウレタンのバンパーが取り付けられている。
 操作はジョイスティック2つと、足元の左右独立系統ブレーキ。
 チャンバラの武器と呼ぶには異常な怪物が、そこにいた。

(゚∈゚ )「……」

 審判が無言で実況席を振り返る。それに対して、実況は無言で頷いた。

ξ゚⊿゚)ξコクリ『お知らせいたします。モララーさん至急実況席まで』

 主催を交えて審議が始まった。異物がエンジン音により抗議を送る。
 結論は試合続行! 大丈夫、一般参加はもう脱落している!

388名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:06:58 ID:OP09Uu3c0
 
ξ゚⊿゚)ξ『厚い脂肪を武器にして、怪物に挑む一人の勇者!
      人類最強の豚は最悪のモンスターを倒し、太めの男性の希望となれるか!?
      体重86kg、身長177cm!! 《ボンレスハム》! 内藤ホライゾン!!」

 コールが終わると会場が突如ピンクの照明に包まれる。
 直後、怪しげな音楽が奏でられた。演奏は吹奏楽サークルの協力である。
 舞台脇から黒いコートに身を包まれた豚が登場する。

\てーれーてれれーれれー/

( ^ω^)「あはーん」

\てれてーれーてれれーれれー/

(^ω^ )「うふーん」

\れーれーてれーれれー/

(*^ω^)「ちょっとだけよぉ」

      .∩      ∩_ ・∵’、
  ξ ξ)/ ⊂/"´ ノ )
 ⊂   ノ   /   /
  (   ノ    し'`∪
   (ノ

 そのコートの下は、亀甲縛りとブーメランパンツ。音楽は加藤茶で有名な「タブー」。
 その姿、まさしくボンレスハム。
 豚は実況に殴られて、天高く宙を舞った。

389名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:07:41 ID:OP09Uu3c0
 
ξ゚⊿゚)ξ『さて、優勝候補同士の対決! 果たして勝利の女神はどちらに微笑むか!?』

( ゚∋゚)「両者構えてぇ!」

( #)ωメ)「さあこいクー!」

川 ゚ -゚)「おい、これ大丈夫か? 前見えてるか?」

( ФωФ)『この勝負! 目が離せない!!』

 ブーンの武器は1回戦と変わらず短槍。190cmほどの短い槍である。
 形容しがたいモンスターマシンを相手に、硬質ウレタンの穂先は少々頼りない。
 だが、ブーンの頬には、獰猛な笑みが浮かぶ。それは戦いに対する歓喜の笑み。

( ゚∋゚)「始めぇ!」

 二人は同時に動いた!穂先を前に機械へと飛び込むブーン。
 対するクーも、やや前傾になりながら、砲弾をぶちかます。
 砲弾は野球ボール大のウレタン球。それをガス圧で撃ち出す代物だ。

( ^ω^)「おっおっおっ」

 だが、それらはブーンに当たる前に逸れる。
 彼は穂先の角度を利用して、飛来する弾丸の軌道を逸らして進む。
 まずは一撃。しかし、それはガラスで阻まれた。特殊な加工が施されたガラスは、その程度ではヒビも入らない。

390名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:08:34 ID:OP09Uu3c0
 
( ^ω^)(ウレタンではダメか。たぶん、表面はポリカーボネート。防弾ガラスだお)

 ブーンは手応えから即座に思考する。しかし、それは長く続かない。
 砲塔に近寄りすぎたのだ。長時間弾いて要られる距離ではない。
 幸いにして、踏破性重視だろうマシンの移動力は高くない。素早く離れて次策を練る。

川 ゚ー゚)「んー? どうしたブーン。怖気づいたか?」

 ショボンを超えるパワー。ジョルジュと同じ無敵性。ドクオ以上の連射力。
 怪物は完全無欠の存在としてステージに君臨する。
 観客もどうあがいても無駄だと、少し諦めた雰囲気が漂う。

( ^ω^)「これでどうだお!?」

 しかし、彼の顔に絶望はない。何故ならば、彼はこれに勝つつもりだからだ。
 続いてブーンは砲弾を槍で弾き返した。100km/hほどの弾丸は彼の目には止まって見える。
 小学生時代、打率10割という異常な試合を行った男は、正確にウレタンボールを打ち返す。

ξ゚⊿゚)ξ『おっとブーン選手! ここで変則的な攻撃に出たぁ!』

川 ゚ー゚)「そんなもの。当たっても我がモンスターマシンの前では無――」

( ФωФ)『これは……。中々考えた手であるな』

 打ち返す理由はただひとつ、インクの付着。
 それが本人に直撃することはない。しかし、ガラスには残る。
 そしてこのマシンにワイパーはなかった。

川;゚ -゚)「――なに?」

391名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:09:24 ID:OP09Uu3c0
 
川;゚ -゚)「こいつ! 舐めるなぁ!!」

 ガラスがインクで覆われて、途端に命中精度が落ちた。
 打ち返すブーンに余裕が生まれる。だが、この程度ではこの絶対的な優位性は崩れない。
 だがブーンは、焦ることなく、ただ淡々とボールを打ち返し続けた。

( ^ω^)「どうしたお? 狙いがどんどん甘くなってるお?」

川;゚ -゚)「ふんっ! だがジリ貧だ! お前に私を倒す手立てはない!」

 クーはエンジンを唸らせてマシンを前進させた。
 加速は遅いが、それでも動力は2つ。かなりの速さがある。
 ブーンはそれを見て、真横に回避。しかし、十分に練習していたのだろう、クーはマシンを華麗に操りそれを追う。

( ゚ω゚)カッ!「今だお!」

 膠着状態を破ったのはブーン。一球を打ち返し、反転。壁へと向かい、それを駆け上がった。
 壁蹴りで高く飛んだブーンは空を舞う。
 しかし、クーはインクに遮られてそれに気づくのが遅れた。

( ^ω^)「天空兜割り!」

ξ゚⊿゚)ξ『でたああぁ! ブーン選手得意の身軽さで大技を繰り出したぁ!』

 ブーンは空中で槍を、両手両足で抑えこみ、穂先を下にクーのマシンへと落下する。
 狙いはコクピット天井を覆うガラス。
 穂先の長さを調整して、クー自身には当たらないよう、細心の注意を払っている。

川 ゚ー゚)「なんだ、その程度か」

 だが、ブーンの刃は無情にも弾かれた。
 コクピットを覆うガラスには傷ひとつ付いていない。

392名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:10:48 ID:OP09Uu3c0
 
 弾かれたブーンは身体を捻ってタイヤを避けると、床で受け身をとる。
 転がる勢いを利用して立ち上がる姿は、とてもデブには見えない。
 それをクーはゆっくりと振り返った。両者の距離、およそ10m。

( ^ω^)「マジか。それULレベルいくつだお?」

川 ゚ー゚)「Level3相当だ。貫通させたいならライフル弾持ってこい!」

(;^ω^)「軍事用じゃねえか!」

 またもや状況は膠着する。しかし、渾身の攻撃が防がれたブーンの旗色は若干悪い。
 槍で防ぎ続けるのも、限界がある。
 このままクーが押し切るかと思ったその時、状況が動く。

川 ゚ -゚)「……。弾切れか」

 弾丸は無限ではない。相当数を打ち返したブーンが耐え切ったのだ。
 しかし、クーの顔に敗北の色は浮かばない。

川 ゚ -゚)「ま、轢けばいいんだがな」

 その言葉に、ブーンの顔が青ざめる。
 この女は、マジでやる。そんな考えが脳裏をよぎったと同時。
 クーは全速力で発進した。車体のウレタンでの体当たりが狙いだ。

川 ゚ー゚)「ふはははは! しねぇ!」

(;^ω^)「やっべえ! 死ぬ! 死んじゃうお! このサイコパス野郎!! 反則じゃねえのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ『審判はこれをノージャッジ! 反則を認めません!」

( ФωФ)『悪魔だこいつら』

393名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:11:38 ID:OP09Uu3c0
 
ξ゚⊿゚)ξ『おっと!? ブーン選手逃げてばかりでは勝負になりませんよー!?』

( ФωФ)『煽るな。本当に悪魔にしか見えんぞ』

(;^ω^)「こうなったらぁ!」

 ブーンは出来る限りクーと距離を取ると、石突きを使って強引にUターン。
 マシンと正面から対峙する。
 しかし、クーは速度を緩めない。

(;゚ω゚)「うおおおおおお!」

川 ゚ー゚)「無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」

 反転した直後、ブーンは風のように加速。
 90㎏近い巨体が、その重さを感じさせない速さで槍とともに風になる。
 そして、高速でわずかに進路を変えると、加速しながら迫るマシンの横をすり抜け、止まった。

川 ゚ -゚)「ん?」

 直後、ギャリギャリと破砕音が響き渡る。
 ブーンは、マシンの横にたどり着くと、その高速回転するホイールの中に、槍をねじ込んだのだ!
 一瞬無理やりに槍が引きこまれ、次の瞬間、車体に引っかかり止まる。

(; ω )「うがあああああ!!!」

川;゚ -゚)「なっ!? エンストだと!?」

 ガキンと金属音が響き渡り、穂先を残して槍の柄が砕け散る。
 しかし、マシンの左タイヤが停止し、ブーンを中心にぐるりと半回転して停止した。

394名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:12:18 ID:OP09Uu3c0
 
 その隙を、ブーンは逃さない。
 タイヤを掴んで軸に足をかけて、マシンの上に飛び乗る。
 砕けた柄を掴んだブーンは、それを下に、コクピットへと振り下ろす。

(; ω )「もらったぁあああ!」

 狙いはガラスではない。防弾ガラスをたかが金属片だけで破壊するのは不可能。
 その槍の柄が狙う先はコクピットのドアのヒンジ。

 コクピットはワゴン車のトランクスペースのように、上に向けて開く仕様、ヒンジは真上にあった。
 しかも、車と違いアマチュアの設計だ。製造を簡易化させるため、ヒンジはむき出しだった。
 当然、それは金属製であり、防弾ガラスほど強固ではない。

川;゚ -゚)「わああああ! 分かった! サレンダー! 頼む! マシンは壊すな!」

( ゚∋゚)「棄権確認! 勝者ブーン!」

ξ゚⊿゚)ξ『決まったぁ!!! ブーン選手! 圧倒的なマシンを相手に勝利を掴み取りました!』

 会場が、どよめきに包まれる。勝利の意味が広まるまでに、時間がかかった。

( ^ω^)「しゃああああぁああぁぁ!」

 ボンレスハムが吠え、それを聞いて初めて勝利を理解した観客は一斉にそれを讃えた。
 英雄が、怪物を下したその瞬間である。

395名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:13:17 ID:OP09Uu3c0
 


トーナメント表


.  从 ゚∀从  ──┐                  ┏━━ (´・ω・`)
.           ┏┐              ┏┛      _
.   ('A`)  ━━━┛│              ┃└── (゚∀゚ )
.             ┏┐          ┌┛
.  (*゚∀゚)  .━━┓┃│          ││┏━━ (゚Д゚,,)
.           ┗┛│          │└┛
.. ( ・-・ ) ..──┘  │          │  └── 【+  】ゞ゚
.               ├─優  勝─┤
 ( ・∀・)  ━━┓  │          │  ┏━━ ボンレス
.           ┗┓│          │┏┛
.( ФωФ) .──┘┗┘          └┛└──  (-_-)
.             │              │
. (  ゚¥゚)  ───┘              └───  (゚ -゚ 川

396名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:14:25 ID:OP09Uu3c0
最近ブーン系復帰したばかりだから、色々読み漁ってたけど盛岡ゼミくっそ面白い
こういうヌルゼミ俺も入りたかった……

はい、ポニーテール幸子とか冷凍都市とか読んでて書くのが遅れました
次は言ったとおりに間に合わせるんで! その! 許して!

397名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:24:13 ID:YSTEej9g0
乙!

水鉄砲の時から読んでるけど、各種催しを時系列で並べてくれるとまた違った楽しさがあるんじゃないかって思った

398名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 01:36:51 ID:phIBdx2U0


399名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 02:13:46 ID:OP09Uu3c0
>>397
今のところ書いた話と話題に上ったイベント、話が固まっていてもう書けるイベントは

鬼ごっこ 1回生4月

かくれんぼ 1回生5月

肝試し 1回生7月

缶蹴り 1回生11月

水鉄砲 1回生2月 

調査1 2回生6月

おっぱい 2回生9月

ローション相撲 2回生10月(学祭)

無人島・調査2 2回生11月

クリスマス・イブ 2回生12月

人力車 2回生3月

チャンバラ 3回生6月

ケイドロ 3回生8月

日常・ドッヂボール 3回生9月

4回生以降、卒論と就活により激減
という感じです、たぶん、合ってると思う……

400名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 09:51:38 ID:eRFR8.tw0
クーって水鉄砲の時は巨乳設定じゃなかったっけ?

401名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 12:25:44 ID:KGXWrWmk0
>>400
それ、缶蹴りでもツッコまれたけど、水鉄砲時では読み切り短篇で連載する気なくて、設定もほとんど固まってなかったんだ
で、おっぱいと缶蹴りで貧乳設定にした後で水鉄砲で巨乳になってて自分で驚いたという……

とりあえず、水鉄砲のあの下りなしで貧乳ということでお願いします

402名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 14:04:40 ID:1CbeO1O20
かくれんぼは面白そうだな
全員が活躍(暗躍?)出来そうな感じだ

403名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 18:09:23 ID:62mjT9nM0
ヒッキーはブーンに負けて良かったな

万が一勝ってたら轢き殺されてた可能性ががが

404名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 18:34:44 ID:BKP266V60
既にこんな質問あったらごめん
上の「合ってると思う」に疑問が湧いたんだけど、
モデルとなるようなサークルや人物は実在していたってこと?

405名も無きAAのようです:2015/05/25(月) 18:35:54 ID:BKP266V60
と思ったら設定って書いてあった
見てなくてスマン

406名も無きAAのようです:2015/05/26(火) 01:15:35 ID:vFKUo.j.0
>>401
説明サンクス

続きwktkして待ってる

407名も無きAAのようです:2015/05/26(火) 09:59:48 ID:090apnI.0
>>404
簡単に言うと、どれがどういう順で並んでるのか、把握しきれてない話がたまにありまして
特に番外編はだいたいこの辺って感じで深く考えてないので、ボロが出るかも

今気がついたけど、調査1は3回生の春〜初夏だった、ハインとギコいるし

408名も無きAAのようです:2015/05/26(火) 19:56:23 ID:oX7Inpiw0
ギコがあっさり負けててワロタ 優勝フラグ立ってると思ったのに……
次回も楽しみにしてる 乙

409名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:44:45 ID:CXoMeESU0
残業に負けず、書き上げました。
23時に一人でPCカタカタしてると泣きそうになるね。

再開

410名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:45:55 ID:CXoMeESU0
 
 クーのマシンが故障したため、その影響でステージの整備が入る。
 最大の問題は、タイヤのホイールが破損した他、フレームが歪んだ影響でギアと車軸に干渉。
 結果、マシンの左エンジンを動かすのは危険と判断され、操縦不能に陥ったことだ。

ξ゚⊿゚)ξ『さあ、遂に準決勝! 三回戦が始まります! ステージ整備のため時間が圧していますが、張り切っていきましょー』

( ФωФ)『クーは先ほどのマシン破損による修理、点検のため、引き続き我輩が実況を担当するである』

 結論として、機械発明サークルに協力を要請。彼らは快く小型クレーン車を貸してくれた。
 ショボンを筆頭に人力で脇に避けて移動待ちとなっている。観客席を退けないと、クレーンが届かないのだ。
 現在、クーはガソリン爆発等が起きないよう、応急処置的な点検と修繕を開始していた。 

ξ゚⊿゚)ξ『さて、続きますはこの戦い。果たしてまともな試合が見れるのか!?』

( ФωФ)『あいつはもう、いい加減、戦う気がないのではないかと思い始めたである』

ξ゚⊿゚)ξ『戦うことなく2人を沈めたこの男! 遂にその実力が明かされるのか!?
    はたまた、まともに戦う気がないか? 悪の大幹部が今日も笑う!
    体重67kg、身長166cm! ≪悪の皇帝≫モララー!!』

 出てくるモララーは今度こそ無手ではない。
 片手に支給品のロングソード、反対の手にはビニール傘を掴んで出てきた。
 これで天井落としは通用しない。

411名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:46:44 ID:CXoMeESU0
 
( ФωФ)『対するは同じく魔性の女! 2戦連続秒殺試合を記録! この美女、向かうところ敵なし!
  爆破と仕掛けはお手の物。その策略は悪魔に通用するのか!?
  体重えっこれマジ? 軽いな! 身長158㎝! 《冷酷なる薔薇》つー!』

 対するつーは今度はメイド服を着用し、やはり武器を持っていない。
 天井落としは仕掛けずに、何を思うかこちらもニヤニヤ笑いながら、モララーを見つめている。

( ゚∋゚)「両者構えてぇ!」

(*゚∀゚)「ちょっと待ってー」

 審判が吠える。だが、それを制するように、つーが片手を挙げた。
 怪訝な顔で審判が振り返り、実況席を含めて観戦者たちがどよめく。

(*゚∀゚)「私、棄権しまーす」



 ――それは数分前に遡る。


.

412名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:47:37 ID:CXoMeESU0
 
(*゚∀゚)「モラちんどうしたの?」

( ・∀・)「なに、ちょっとした交渉のためにきた」

(*゚∀゚)「へぇ?」

 つーはモララーを全力で警戒する。この男は何を仕掛けるかわかったものではない。
 なにをしても勝利をもぎ取るのがこの男である。
 交渉とあれば、彼は既に仕掛けを終えている可能性も高いが、その時はその時だ。

( ・∀・)「なに、これが欲しくないかね?」

(*゚∀゚)「それは! 松野寛生のモザイクダマスカスでは!?」

 モララーがポケットから出したもの。それは小さなフォールディングナイフだ。
 ハンドル材にはパールが使われ、刀身は派手なモザイクダマスカスがコントラストを生み出す。
 手に収まるほど小さいものの、しっかりとした作りで握りこめば良く手に馴染む形状をしている。

(*゚∀゚)「うわっ! 前から欲しかったんだよそれ!」

( ・∀・)「ちょっとした経緯で手に入ってね。俺の趣味じゃないし使わない。というわけでこれと交換条件だ」

 正直、このナイフは2万円しない。受注生産のため2か月ほど待つことにはなるが、この大会の優勝賞金は100万円である。
 もう一つ、つーには達成したい理由もあった。それは、その資金を奪えばシューとの同居を阻止できること。
 彼女は2年経過した今も、まだモララーへの好意を忘れられないでいた。

(*゚∀゚)「棄権かー」

 だから悩む。理由は3つ。

413名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:48:52 ID:CXoMeESU0
 
 一つは同居阻止などという邪念に対する罪悪感。
 二つ目は、モララーはおろか、ブーンかショボン。三人とも撃破する自信がないこと。
 三つ目は、もやもやとして形にできない。

( ・∀・)「ちなみに、天井落としは攻略済みだ。ビニール傘を開けば、剣の雨を通過できる。さっきコンビニで買ってきた」

(*゚∀゚)「むむむ……」

 だめ押しとばかりに、モララーは押し込む。
 抜け目がないこの男だ。たぶんまだ奥の手はある。普通に格闘戦をしても勝ち目はないだろう。
 いや、まぐれで勝ちを拾っても、ブーンやショボンには勝てない。二人は本当に化け物だ。

 そして、なにより――

(*゚∀゚)「分かった棄権するよ」

( ・∀・)「君の物分りがよくて本当に助かるよ」

(*゚∀゚)「えへへへ、ねえモラちん!」

( ・∀・)「ん? なんだ?」

 結局、全ての悩みを押し切ったのは三つ目の理由。受け取ったナイフと頬が熱くなる。
 もやもやとして言葉にできなかったが、いざ決まってみるとはっきりしてくる。
 彼女は100万円よりも、モララーからのプレゼントが欲しかったのだ。

(*゚∀゚)「ナイフ、大事にするからね!」

―――

―――

( ゚∋゚)「つー選手棄権のため! 勝者! モララー!」

 それをモララーが計算の内に入れていたかは、定かではない。

414名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:50:34 ID:CXoMeESU0
 
ξ゚⊿゚)ξ『さて! モララーが三連続不戦勝を確定させましたが、続いての試合は白熱するでしょう!』

( ФωФ)『もはや、逆に尊敬できるな……』

ξ゚⊿゚)ξ『続きましてはスピード対パワー! デブ対マッチョ! 裸族対裸族! 因縁の対決を制するはどちらか!?』

ξ゚⊿゚)ξ『強さとは大きさに比例する。パワーとは筋肉に比例する!
      当たり前のことを当たり前に突き詰めたこの男! 人間はここまで強くなれるのだ!
      体重97kg!身長191cm! 《筋肉魔王》ショボン!』

 炎のファイター――アントニオ猪木のテーマソングを背に、上半身裸の筋肉が舞台袖から登場する。
 武器は変わらず戦斧。だけではなかった。手斧を6本サスペンダーに取り付けている。
 それはフランキスカとして有名な中世の装備である。

ξ゚⊿゚)ξ『デブは遅い。その事実を覆す、圧倒的な速さの化身、ここに現る!
      動けるデブでもこいつは更なる規格外! モンスターを撃破した英雄、魔王に挑む!
      体重86㎏! 身長177cm! 《はぐれボンレス》内藤ホライゾン!』

 コールが終わると同時、聞き覚えのある音楽が流れた。
 サークル・オブ・ライフ、劇団四季のミュージカル、ライオンキングのテーマソングだ。
 すると、屋根の上から頭にぬいぐるみのライオンを取り付けたデブが登場した。

( ФωФ)『なあ、あいつ、ただ脱ぎたいだけではないか?』

 解説役がひとり呟いた声は、どこかむなしく響いて消える。

415名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:51:17 ID:CXoMeESU0
 
( ^ω^)「さあ勝負だお!」

(´・ω・`)「お手柔らかにお願いするよ」

 ブーンはターザンのようにロープでステージ上に降り立ち、ショボンに向き合った。
 先ほど破壊された槍は、カーボンファイバー製の大身槍に変わっている。

( ゚∋゚)「両者構えてぇ!」

ξ゚⊿゚)ξ『映研サークルを代表する肉体派二人、雌雄を決する時がやってまいりました! 解説のロマネスクさん、どうみます?』

( ФωФ)『ブーンは一見太ってこそいるが、体脂肪率は低い。相撲取り体型である』

ξ゚⊿゚)ξ『たしかに、あれで体脂肪率18%とかですからね』

( ФωФ)『だが、それでもあの重量。長時間走るには向いていないだろう』

ξ゚⊿゚)ξ『なるほど。ではショボン選手は?』

( ФωФ)『あれはあれで、見た目を優先して無駄に筋肉の量が多い』

ξ゚⊿゚)ξ『ボディビルの弊害ですか』

( ФωФ)『よって、どちらも短期決戦を狙うであろうな』

ξ゚⊿゚)ξ『なるほど。ではその結果、どう出るか!? 今ゴングが鳴り響きます!』

( ゚∋゚)「始めェ!」

416名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:52:13 ID:CXoMeESU0
 
 掛け声と同時、二人は真逆の行動に出た。
 ブーンは穂先を前に駆け出し、ショボンは戦斧を背に担いだまま、バックステップしながら手斧を投げつけたのだ。
 一投一投が、正確にブーンに飛来する。だが、彼は止まる気配もなく飛び込んでいく。

( ^ω^)「おっおっおっ」

 穂先で2本払いのけ、残り2本の手斧を身体で受け止める。
 だが、審判は勝敗を決める声を挙げない。

(´・ω・`)「チッ! 投擲距離を把握してやがる!」

 フランキスカやトマホークなど、投げ斧は古来より使われた武具である。
 地面で予測不能なバウンドをする点や遠投距離が長いこと、直撃すれば即死する重たい刃など、利点は多い。
 だが、一つ、致命的な欠点があり、故に玄人向けとされていた。

 それは回転運動による、刃の方向性だ。投げ斧は重心を中心に刃と柄が交互に訪れる。
 そのため、柄の長さにもよるが、数メートル間隔に攻撃ができる武器になるのだ。
 ブーンは手斧の柄長からそれを見抜き、直撃すれば危険なものだけを槍で弾いていた。

(´・ω・`)「だが、その間合いは俺の間合いだ!」

 ショボンは迫るブーンに焦ることなく冷静に戦斧を構え、それを全力で振り抜いた。
 確実に捉えた最高のタイミング。ジョルジュとの戦いで見せた、全筋肉を込めた全力の一撃。
 ブーンは直進の角度をわずかに変えて、それを回避しようと試みる。だが、遅い!

(´・ω・`)「もらったぁああぁぁぁ!」

 戦斧は凄まじい威力を秘めて、振り抜かれた。

417名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:52:59 ID:CXoMeESU0
 
( ^ω^)「遅い……? なんのことだお?」

 ブーンが槍の穂先で戦斧の側面をなぞる。それだけの動作で、斧の軌道はあっさりと変わった。
 逸れた軌道に合わせ、より前屈みになって、斧の軌道を潜り抜ける。

(;´・ω・)「マジか……」

 喉元にブーンの穂先が迫って止まる。
 ショボンは戦斧を空振りし、地面付近まで振り抜いているため、再度振るうには一度構え直す必要があるだろう。
 その時間があれば、ブーンがトドメを刺すのは容易。それを見切った間合いである。

(;´・ω・)「参りました」

( ゚∋゚)「勝負あり! 勝者ブーン!」

ξ*゚⊿゚)ξポー……

( ФωФ)「おい、ツン?」

ξ゚⊿゚)ξハッ『おっと……決まったぁ! まさかの秒殺! スピード対パワー! 制したのはボンレスハムの方だ!』

( ^ω^)「おっおっおっ!」

( ФωФ)『流石の貫録! 映研最速の名は伊達ではない!!』

ξ゚⊿゚)ξ『踊りはキモいが動きはキレる! ブーン選手決勝進出が確定しましたぁ!
      ここで10分の休憩を挟んで、決勝戦へと移ります!』

418名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:53:45 ID:CXoMeESU0
 
( ・∀・)「ギコ君、負けて落ち込んでいるかね?」

(,,゚Д゚)「落ち込むというか、実力の差を見せつけられたというか」

( ・∀・)「まあ、真正面からあのマッチョに運動で勝てるのはブーンとロマくらいだ」

(,,゚Д゚)「えっロマ先輩すごいんスね! 頭二つ分は小さいのに」

( ・∀・)「奴は自分の実力を不幸で活かせないタイプだからな」

(,,゚Д゚)「ああ……」

( ・∀・)「さて、君が負けたのは、実力の差だ。だが、我らにとっては身体能力だけが実力ではない」

(,,゚Д゚)「というと……? 技術だって先輩たちには勝てませんよ」

( ・∀・)「ふむ……あ、いた。おいブーン。ちょっとギコとジャンケンしてくれ」

( ^ω^)「おー? わかったおー」

( ・∀・)「ギコ、ブーンに10回挑んで1回でも勝ったら1万円やるよ。ブーン本気でやれ」

(,,゚Д゚)「マジっすか!? ジャンケンなんて運じゃないですか!」

( ^ω^)「ん? 本気出せばいいのかお? あとでジュース奢りな?」

( ・∀・)「全部勝ったらドクペ奢ってやるよ」

(,,゚Д゚)「ジャンケンの本気とは一体……」

419名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:54:32 ID:CXoMeESU0
 
( ^ω^)「ジャンケン、ポン。はい、10連勝。ドクペゲットだおー」

(;゚Д゚)「なんでだー!?」

( ・∀・)「ちなみに俺はブーンに勝てるぞ。せいぜい五分だけどな」

(,,゚Д゚)「えっどういう仕掛けなんスか?」

( ・∀・)「それを考えろ。ブーンをよく観察しろ。特技、能力、仕掛け、全てを考察しろ。それで割り出せ」

(,,゚Д゚)「……? わかんねえッス」

( ・∀・)「種明かしすると、ブーンは動体視力が良すぎてな。振ってる腕とか、変えてる手の形が見えてんだ」

( ^ω^)「だおー。ギコはジャンケン、ポ、くらいで手を変え出すから、先出ししてるんだお。負けるはずねえお」

( ・∀・)「ロマと俺は同じことができる。ブーンほどの精度はないがな」

(,,゚Д゚)「先輩たちホントに人間ですか!? てか、どうやっても勝てないんじゃ?」

( ^ω^)「直前で手の形を変えるとか、振ってる最中にチョキに替えかけてやめるとか、駆け引きはいくらでもあるお?」

(,,゚Д゚)「俺の知ってるジャンケンと違う……」

( ・∀・)「種を知らなくても、グーチョキパーと書かれたカードで勝負。と公平な条件を探し出せれば、お前は勝てた」

(,,゚Д゚)「それありなんですか!?」

( ・∀・)「ナシなんて言ってねえからな。いいか? 相手が用意した土俵で戦うな。お前に足りないのはそこだ」

(,,゚Д゚)「……。なるほど、勉強になります」

( ・∀・)「勝てる戦いをしろ。負けると思ってるならせめて五分になる武器を探せ」

 新入部員ギコの洗脳は、まだ始まったばかりである。

420名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:55:14 ID:CXoMeESU0
 


トーナメント表



.  从 ゚∀从  ──┐                  ┏━━ (´・ω・`)
.           ┏┐              ┏┛      _
.   ('A`)  ━━━┛│              ┃└── (゚∀゚ )
.             ┏┐          ┌┛
.  (*゚∀゚)  .━━┓┃│          ││┏━━ (゚Д゚,,)
.           ┗┛│          │└┛
.. ( ・-・ ) ..──┘  │          │  └── 【+  】ゞ゚
.               ┏─優  勝─┓
 ( ・∀・)  ━━┓  ┃          ┃  ┏━━ (^ω^ )
.           ┗┓┃          ┃┏┛
.( ФωФ) .──┘┗┛          ┗┛└──  (-_-)
.             │              │
. (  ゚¥゚)  ───┘              └───  (゚ -゚ 川

421名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:56:37 ID:CXoMeESU0
 
川 ゚ -゚)『皆様長らくお待たせいたしました! 最終試合! 決勝戦が始まります!!』

ξ゚⊿゚)ξ『最強は誰か!? その問題がまさに今! 決まろうとしております』

川 ゚ -゚)『片方はこちら。決勝まで不戦勝してしまったこの男! 最後くらいはまともにやりあってくれるのか!?
     何故か道着に身を包み、最悪の知略が我が大学が誇る邪神が、今本気を出す!
     体重67kg身長166cm! 《最悪の邪神》モララー!!』

( ・∀・)「遂に神だよ俺……」

 出場する邪神の姿は、今までと違った。刀身の長い、薙刀のような武器を手に、袴の道着を着込んでいる。
 それは長巻に分類される武器だ。
 力自慢による太刀の巨大化の末に、使いやすさから柄を伸ばした結果生まれた、薙刀と大太刀の中間に当たる武器である。

 力があれば扱いやすく、戦国時代には初心者であっても振るえる武器として筆頭に挙げれられていた物であった。

ξ゚⊿゚)ξ『疾きこと豚の如し! 最速の男がこの大会を制覇できるか!?
      仁王像を跳ね除け、マシンを跳ね除け! とうとう決勝に王手を掛けた!
      体重86kg、身長177cm、《無冠の英雄》内藤ホライゾン!!』

 今度は出場音楽はない。無音の期待の中、出てきた男は変態仮面であった。
 白の水着を着用しているが、それは股間部を覆う布以外はゴム製の紐のようなものが肩にかかっているタイプの過激なもの。
 顔面は女性用の下着。薄い水色のそれはフリルで装飾され、しかも何故か微妙に使い古してある。

( ^)(^)「よっしゃ! さあこいモラ……ツン待ってあっそれはだめ!」

422名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:57:42 ID:CXoMeESU0
 
      .∩      ∩_ ・∵’、
  ξ ξ)/ ⊂/"´ ノ )    ノ~ヽ
 ⊂   ノ   /   /     (_∞_)
  (   ノ    し'`∪
   (ノ


川 ゚ -゚)『殴った理由は聞いた方がいいのか?』

ξ゚⊿゚)ξ『アンタも殴られたいなら聞けばいいわ』

 実況席で不毛な牽制がされる中、ツンに下着を返却したブーンが尋ねる。

( #)ω^)「なんか仕掛けなくていいのかお? 不戦勝にされるかと思ってたお」

( ・∀・)「さて、何が仕掛けてあるでしょう?」

( ゚∋゚)「両者構えてぇ!」

 ブーンはカーボンファイバー製の槍を握っていた。予備ではない、対人用に作った槍である。
 アルミ合金を芯にカーボンファイバーを合成樹脂で固定した柄は120㎝、刀身は90㎝と刀身の割合を増やした大身槍。
 しかし、対人戦では重たい金属の柄よりも、こちらが適しているだろう。

( ゚∋゚)「始めェ!」

 審判が開始を宣言するも、両者は見つめ合い、動かない。
 しばし、言葉を交わすことなく、ただ互いに威圧し合う。
 見えないプレッシャーが両者の間をせめぎ合うように、揺らいでいるような、そんな錯覚すら覚える光景。

 この場の最強を決める戦いが、始まった。

423名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 00:58:32 ID:CXoMeESU0
 
 ブーンはその内心焦っていた。

 モララーは何か仕掛けてくるはずだ。予想外の何かを。だが、今のところ素振りは見せない。
 しかし、脳内で野生の勘が警鐘を鳴らしている。この勘は今まで外れたことはない。
 だが、それがなにに対する警告なのか、何処に違和感があるのか、まるでわからない。

(;^ω^)「お前……」

 その時、ふと、違和感に気が付いた。

(;^ω^)「誰だお?」

 見た目は確かにモララーだ。だが、どこか動きが異なる気がしてくる。
 まるで、別人のように滑らかな動き。替え玉? 違う、見た目は完全にモララーだ。これは確信できる。
 彼の着ている道着、これは――

(  ∀ )「さてねえ……」



 ――試合は、突然動いた。



.

424名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 01:00:05 ID:CXoMeESU0
 
 古武術には「膝を抜く」と呼ばれる技術、フェイント技がある。

 人間は通常、どんな動きでも最初に筋肉の緊張、いわば溜めを作らなくてはならない。
 特に駆け出す前には膝をやや曲げ、重心を落とした溜めの姿勢を作るのが普通である。

 膝を抜く動作は、筋肉の緊張ではなく脱力によりその姿勢を作る技だ。
 「膝カックン」のイタズラ遊びをされた時が近い。脱力しながら掛かる重量を前へ僅かにずらし、関節のロックを外すのだ。
 それにより、視界の外にある膝だけでふらりと倒れ込むように重心を切り替える。

 通常発生するはずの筋肉の緊張がないために、相手からは予備動作がないように見える。
 倒れる動作を見れば反応できるはずが、それを脳が予備動作として認識できないのだ。
 そのため、動作そのものはやや遅くなるにもかかわらず、予備動作なしの素早い動きに見えるのである。

 このフェイントは武術、スポーツの世界ではかなり古典的な物に分類される。
 非常に難しい割に、熟練した才能のある者は倒れ込む動作に反応するため、実用性が見出されていない。
 故に、サッカーやバスケにも通用するにもかかわらず、現代のプロスポーツの世界ではほとんど使われない。

 しかし、ブーンは多大な才能のあるアマチュアである。
 恵まれた瞬発力、無尽蔵の持久力、その他、反射神経、バランス感覚、運動センス、観察眼。
 どれを採っても超人クラスの才能を持つ。

 しかし、同時に彼は初心者である。才能だけで努力した者に勝ってしまうが、武術に関してはただのアマチュアなのだ。
 彼はプロスポーツの観戦はよくしているし、運動は好きなので身体は鍛えられている。
 だが、それだけだ。プロの応用の動きを見て基礎を見抜いてしまう彼は、基本や常識を習ったことがない。

 だからこそ、プロの世界では使われない「膝を抜く」フェイントはブーンに有効だった。
 その類い稀な勘と、観察眼が逆方向に作用する。
 予備動作を確実に見抜く目が、それを見抜けなかったことがない瞳が、溜めのない動きを見て反応に遅れる。

425名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 01:02:31 ID:CXoMeESU0
 




 だが、それでもモララーの刃は届かない。




.

426名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 01:04:10 ID:CXoMeESU0
 
 膝を抜き、ブーンの不意を突いたモララーは、全身をバネにした素早い動きで懐に潜り込み、上段からの袈裟斬りを繰り出した。
 取扱いの容易いとされる槍だが、引き換えに間合いは先端に集中する。
 そのため、懐の深くに入りこまれると、逆に間合いの外に出ることができるのだ。
 モララーは刀身の近くを握ってこれを解決していた。

(;^ω^)「!?」

 しかし、文字通り紙一重、わずかな距離を開けてモララーの刃は空を切る。
 フェイントにかかり反応が遅れながらも、ブーンはその反射神経とセンス、直感で袈裟斬りを躱した。
 しかし、モララーは止まれない。一歩追いかけ、神速の突きを繰り出す。

( ^ω^)「くっ!」

 ブーンはこれを下がって回避。一度槍を構え直さなくては、密着したモララーから逃れることができない。
 しかし、追撃は止まらない。水平払い、足払い、逆切り上げ、突き、袈裟と怒涛の連撃が豚を襲う。
 それらは全て、見てから避けたのでは間に合わない、回避不能の攻撃である。

 それを天性のセンスと勘に頼って予測し、避け続け、最後の袈裟斬りを戻した槍で受け止めた。
 ブーンは槍に掛かる力を微妙に受け流しつつ、石突きモララーの脇の下へ滑りこませようとする。
 これは力のかかりにくい肘の内側から、腕を跳ね上げ、ガードを上げさせる事を狙っていた。

 しかし、モララーは直前で片腕を長巻から離してそれを回避。
 だがブーンはそのまま跳ね上げ動作を止めずに屈みこむ。
 そうやって、至近距離を更に縮め、モララーの鳩尾に肩を密着させる。

( ゚ω゚)「破っ!」

 次の瞬間、決して軽くはないモララーが後方へふっとんだ。

(  ∀ )「ぐふっ」

427名も無きAAのようです:2015/05/27(水) 01:05:30 ID:CXoMeESU0
 
( ФωФ)「てっ鉄山靠!?」

('A`)「知ってるのか、ライデン!?」

( ФωФ)「八極拳の有名な靠(タックル技)である。体重が勝るとはいえあんなに吹き飛ばすのは、勁がよく練られた証拠!」

('A`)「勁? 発勁? えっとよくわからないけど、凄そう」

( ФωФ)「凄いもなにも、未経験者があんな大技を咄嗟に出し、しかもあの威力。異常である!」

('A`)「まあ、ブーンだからなぁ……」

 吹き飛んだモララーを、ブーンは間髪入れずに追いかける。
 ブーンはそのまま2歩距離を詰めて、中段からわずかに上げて槍を繰り出す。
 対して、モララーは横隔膜へのダメージで呼吸が止まっているとみえ、顔を苦痛に歪めたまま動きがわずかに遅れた。

( ゚ω゚)「貰ったぁ!」

( -∀・)「!」


 ――勝負は次の一瞬で着いた。


.


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板