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( ・∀・)たちは「」を謳歌するようです
228
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:32:53 ID:Fea5J0wU0
(´・ω・`) 「ズブロッカ中途半端に残ってるけど飲んじゃうよー?」
_
(* ゚∀゚)「あ、さっきオレが瓶から直接飲んだwwww間接キスだねショボンwwww」
(´・ω・`) 「キモいこというな、ケツにぶち込むぞてめえ」
( ・∀・)「レゼルヴ・ド・ラ・ファミーユだと!? しかも50年モノ!!!」
lw´‐ _‐ノv「なにそれ美味しいの?」
( ・∀・)「デラマンの最高グレードコニャックだ。具体的に言うと軽く4万はする」
lw´‐ _‐ノv「たっか」
(´・ω・`) 「あ、それ僕のだよ。飲むかい?」
( ・∀・)「待て、これは明日にとっておくべきではなかろうか? シチューだろ? タン残ってるし」
(´・ω・`) 「全部飲む気か自重しろ。まあ、シチューで残った野菜全部処理したいからねー」
( ・∀・)「今日は赤兎馬がいいか……あ、そうだシュー! 実は掩蔽部にテント張ってんだけどwwww」
lw´*‐ _‐ノv「マジでwwwいくwwwww深夜の廃墟だとwwww」
( ・∀・)「いってきまー! ショボン後任せた!」
(*'A`) 「おいブーン聞きましたざますかふぁっきん」
(*^ω^)「いや、それは流石にねえおwwww満月の夜に廃墟で青姦とか上級者すぎるwwwww」
ξ゚⊿゚)ξ 「やめなさいあんたたち。下品すぎるわよ」
(*゚∀゚)「……」
229
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:34:01 ID:Fea5J0wU0
その日の晩。最後まで起きていた二人は、珍しい組み合わせだった。
火の番と酔っぱらいの介護をしたショボン。そして、ちびちびと飲んで酔いきっていないつーの二人だ。
(´・ω・`) 「つーちゃん? 元気ないね?」
(*゚∀゚)「えっ!? そ、そう? 特に心当たりないよ!」
(´・ω・`) 「いやほら、お酒全然飲んでないし」
(*゚∀゚)「えー? そうかなー?」
(´・ω・`) 「うーん……やっぱ、モララーのこと?」
(*゚∀゚)「うっ……気付いてたの?」
(´・ω・`) 「まあ、聞くのは野暮だと思うけど、流石にね」
(*゚∀゚)「う……ん」
(´・ω・`) 「やめろとかは言わないけどね。迷惑かけないことも弁えてるし、気持ちの問題はどうにもならないしさ」
(*゚∀゚)「ショボちんは、サークルクラッシャーにも優しいねー」
(´・ω・`) 「サークラとは違うと思うけど……。じゃあ、姥心ついでに、ひとつ忠告しよう。」
(´・ω・`) 「モララーがシューちゃんに惚れてるの、なんでだと思う?」
(*゚∀゚)「え? 巨乳だし童顔だし、可愛いから?」
(´・ω・`) 「あー、まあそれもだけど」
230
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:35:42 ID:Fea5J0wU0
(´・ω・`) 「モララーはマイナーな世界に生きてるからだよ。僕とかブーンとかクーとか、その世界にどっぷりだね」
(*゚∀゚)「ああ、うん。それはわかるけど……」
(´・ω・`) 「この世界に浸かってない人にはわからないだろうけど、マイナー病は厄介な面があるんだ」
(*゚∀゚)「?」
(´・ω・`) 「奇妙なものを好きな自分に酔ってて、この価値がわかる俺カッコいいって部分が多少なりともあるんだよ」
(*゚∀゚)「うーん? それがどう関係してくるの?」
(´・ω・`) 「僕らは社会の爪弾きだからね。そういうのがうちのサークル、というか工業大学や芸大には多いでしょ?」
(´・ω・`) 「僕やモララーはそれをかなり拗らせたマイナー病だ」
(*゚∀゚)「大人になって水鉄砲や鬼ごっこ本気でやるのは、普通白い目で見られるよね」
(´・ω・`) 「そこ。元々孤立する理由が別にあったんだ。僕は父子家庭でやさぐれたとか」
(*゚∀゚)「ショボちんそうだったの!? え、なんかごめん」
(´・ω・`) 「うんまあ……。で、モララーの場合はあの性格かな? やりすぎで皆が付いてこれない」
(*゚∀゚)「あー……」
(´・ω・`) 「孤立して他人に合わせる必要がないから、趣味に傾倒する。そんな自分を守るために、価値を見出す」
(*゚∀゚)「それは、うん。わかる。結構、うちの部員は大なり小なり皆そうだよね」
(´・ω・`) 「幼少期の孤立でコミュ障になる人も多い。それがオタクに多い共通点だと思ってる。嫌な言い方をすればね」
231
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:36:28 ID:Fea5J0wU0
(´・ω・`) 「厄介なのは、それに本当に価値がない、わけではないんだ」
(*゚∀゚)「?」
(´・ω・`) 「ブーンが歌ってたけどさ、変な声で唄う。この僕の歌をーって」
(*゚∀゚)「昨日の弾き語りだね、妙に歌詞が頭に残る」
(´・ω・`) 「あの歌作った人は、あんな高音で声変わりしてないような声だけど、歌唱力高いし演奏技術も凄いんだよ」
(*゚∀゚)「技術的には凄いという意味で、価値があるってこと?」
(´・ω・`) 「そ。こだわるから、流行らない。それでもあなたはライブ会場まで来てくれたって歌なんだ。僕の解釈だけど」
(*゚∀゚)「なるほど」
(´・ω・`) 「その上で、孤立した過去から認証要求をこじらせたのがマニアには多い。モララーもだ」
(*゚∀゚)「認証要求? でもさっき皆がわからないものをわかる自分カッコいいって?」
(´・ω・`) 「そう。矛盾してるんだ。それも自覚してる。それがマイナー病を拗らせた奴の厄介なところだよ」
(*゚∀゚)「認めてもらいたい欲求と、わかる人間の優越感とマジョリティへの羨望ってこと?」
(´・ω・`) 「そんな感じ。僕らはどっぷり浸かりすぎて、それが生き方になってる」
(*゚∀゚)「あーうん。なんかわかった。シューちゃんはそっち側で、私は違うってことだよね?」
(´・ω・`) 「うんまあ、ざっくりいうとそうだね」
232
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:38:03 ID:Fea5J0wU0
(* ∀ )「あーうん。そうだね。ジョルジョルと私は違うかも」
(´・ω・`) 「マイナー病は生き方だから、そうやって育った奴しか同じ感覚を共有できない」
(* ∀ )「うん……」
(´・ω・`) 「シューちゃんとモララーは、僕らの中でもそっちの世界のかなり深い所にいる。だからモララーが心を開いてる」
(*゚∀゚)「じゃあ――」
(´・ω・`) 「待って。勘違いして欲しくないのは、それで諦めろと言いたいわけじゃないんだ」
(*゚∀゚)「?」
(´・ω・`) 「ただ、アイツを理解して認めてやらないと、スタート地点に立てないんだよ」
(*゚∀゚)「そっか……うん。言いたいことは、わかった。考えてみる」
(´・ω・`) 「うん。まあ、有難迷惑かも知れないけどね。そういう部分教えてあげないと、フェアじゃないよね」
(*゚∀゚)「てか、結局ショボちんはどうしたいのさ? 諦めさせたり応援したり」
(´・ω・`) 「うんまあ、懐かしくなっちゃってさ! 無責任かもしれないけど、つーも頑張れ」
(*゚∀゚)「うん、ありがと!」
このアドバイスに果たして意味があったのか、あるいは、裏目に出るのか。
それはこの場の誰もが知らない。
233
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:41:28 ID:Fea5J0wU0
続きまして、番外編を1話だけ
9レスと短いです
234
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:42:32 ID:Fea5J0wU0
VIP工業大学には無線通信サークル、通称工業ラジオ部がある。
ここでは毎日放課後にラジオ放送、いわゆる市民ラジオを行っている。当初は先輩方のおふざけで始まったものらしい。
現在では学生食堂で放送する権利を得ており、この放送は学内でもそれなりに認知されていた。
現在、その放送の中でも学生の間で絶大な人気を誇るのは、「放課後裏放送」のコーナーだ。
この学生放送には、事前に申請することで番組枠を別サークルなどが確保できる制度がある。
「放課後裏放送」は映研が確保した不定期に実行される番組名だった。
今回はその放送の様子を少しだけお届けしよう。
235
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:43:17 ID:Fea5J0wU0
( ・∀・)たちは調査を謳歌するようです、パート1
.
236
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:44:25 ID:Fea5J0wU0
ξ゚⊿゚)ξ 「ツンとー」
川 ゚ -゚)「クーのー」
ξ゚⊿゚)ξ「「放課後裏放送ー」」(゚- ゚川
川 ゚ -゚)「この放送は、塵も積もれば不法投棄、映画研究会の提供でお送りいたします」
ξ゚⊿゚)ξ 「毎週水曜この時間に真実の愛と現実のせつなさをお届けいたします、ツンとクーの放課後裏放送の時間がやってまいりました」
川 ゚ -゚)「春の訪れを感じさせるこのごろ、皆様変質者対策はお済でしょうか?」
ξ゚⊿゚)ξ 「そんな春の一幕を皆様にお届けしますは、世界一かわいい放課後裏放送のMCことツンと」
川 ゚ -゚)「世界一かわいいツンよりかわいいMCことクーがお届けいたします」
ξ゚⊿゚)ξ 「お? やんのかてめえ」
川 ゚ -゚)「早速お便りのコーナーに移りましょう」
ξ゚⊿゚)ξ 「放課後裏放送唯一のコーナー! なぜなに調査団!」
川 ゚ -゚)「なぜなに調査団は皆様の日常における様々な疑問を、私たち映研が体当たりで調査実験するコーナーです」
237
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:45:27 ID:Fea5J0wU0
ξ゚⊿゚)ξ 「本日のお便りはこちら!」
川 ゚ -゚)「PN.タケシくんからのお便りです。ツンのバストは何カップですか? AAカップですか? 夏休みの宿題で困っています。教えて下さい」
ξ# ⊿ )ξ 「シャラアアアァアアァァップ!」ビリビリ
川 ゚ -゚)「思わずツンがお便りを破るほど深刻な悩みですね。早速調査を開始しましょう」
ξ゚⊿゚)ξ 「やめろ続けんな!」
川 ゚ -゚)「タケシくん(65)が自由研究進まなくて困っちゃうぞ?」
ξ#゚⊿゚)ξ 「あ゜ー!! ツッコミどころ多すぎる! ここは大学!! 今は冬! 65歳いい加減進学しろ! 私はそんなに小さくない!!」
川 ゚ -゚)「たぶん、年齢的に毎日が夏休みなのだよ」
ξ゚⊿゚)ξ 「学校いかないなら宿題やってる必要ないでしょ!」
川 ゚ -゚)「まあまあ、そんなこと言わずに、何カップ? この私、PN.タケシくんだけに言ってごらん」
ξ゚⊿゚)ξ 「PN.タケシくんお前かよ!! セクハラで訴えるぞ!」
川 ゚ -゚)「ちなみにツンはCカップだ」
ξ#゚⊿゚)ξ 「知ってるならわざわざ放送で訊くんじゃなあああい! 晒し者じゃないかぁああぁぁ!」
238
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:46:33 ID:Fea5J0wU0
ξ ⊿ )ξ 「ゼーハー ゼーハー……」
川 ゚ -゚)「さて、気を取り直してお便りを読みましょう」
ξ゚⊿゚)ξ 「……。はい」
川 ゚ -゚)「本日のおたよりはこちら!」
ξ゚⊿゚)ξ 「PN.北口の魔王さんからのお便りです」
川 ゚ -゚)「映画研究会は様々な活動をしていますが、その中でも鬼ごっこや色鬼など、走りが重要になることは多いと思います。
そこで疑問が浮かびました。メンバーで足の一番速いのは誰ですか? 気になって夜も眠れず昼寝します」
ξ゚⊿゚)ξ 「なるほどー。うちのメンバーは確かに皆さん足が速いですねー」
川 ゚ -゚)「ウチは文化部に見せかけたバリバリ運動部なので、足の速さは重要です」
ξ゚⊿゚)ξ 「足遅い人もいますけどね、ドクオとか」
川 ゚ -゚)「奴は亀だ」
ξ゚⊿゚)ξ 「そこで今回の疑問を調査内容にまとめますとこうなります」
川 ゚ -゚)「『人間、追い詰められるとどこまで足が速くなるのか?』」
239
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:48:07 ID:Fea5J0wU0
ξ゚⊿゚)ξ 「さて、本日の調査のため、九十九里浜にきています!」
川 ゚ -゚)「この長く続く海岸線。落ちる夕日が潮の香りに彩られとっても素敵です」
ξ゚⊿゚)ξ 「さて、そんな素敵な場所で、我がサークルで一番足の速いブーンさんに挑んでもらいますはこちら!」
川 ゚ -゚)「煌々と焚かれた炭火の道!」
( ω )「なんだお!? なんなんだお!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「ブーンさんには何も知らせず、拘束してから目隠ししここまで連れてまいりました」
川 ゚ -゚)「さて、そんなブーンさんは一体火の上100m走をどれほどの速さで走れるのか?」
( ω )「えっ? 火の上? 何言ってんだお!?」
ξ゚⊿゚)ξ 「では目隠しを取りましょう」
( ^ω^)「やべえ、なんか、煌々ってよりもボーボーって感じの燃え方なんですが」
川 ゚ -゚)「大丈夫、根拠はないけどお前ならいける」
240
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:50:15 ID:Fea5J0wU0
川 ゚ -゚)「あ、チーフ」
( ・∀・)「ストップ、撮影止めろ」
_
( ゚∀゚)「ういさー」
( ・∀・)「おい、ブーンいいか。真ん中数cmはかろうじて炭がない、それでヤバかったら横に逃げろ」
( ^ω^)「数cmって見た感じ3㎝くらいだお、足を置く場所じゃないお」
( ・∀・)「横から見てばれないギリギリだ、あとは速く走れ」
( ^ω^)「ってか、火渡りって普通数mじゃねえのかお!? 100m走とか狂気だお!」
( ・∀・)「うんそうかもしれないな。じゃ、打ち合わせ終了。撮影再開だ!」
( ^ω^)「あっちょっと待って、死ぬ!」
川 ゚ -゚)「では、ブーン選手の挑戦です!」
( ^ω^)「クー! 後ろから火を焚くなてめえwwww灯油くせえwwwwwくっそwwww」
川 ゚ー゚)「wwwwwwwwwwwwwwwww」
从 ゚∀从「人間、追い詰められると笑うんだな」
ξ゚⊿゚)ξ 「妹さん、兄の勇姿を目に焼き付けるのよ」
( ^ω^)「うおおおおお! あっちwwwあっちちっち!wwwwww」
从 ゚∀从「やだ、なんか汚い」
( ・∀・)「wwwwwwwwwwwwwww」
241
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:51:09 ID:Fea5J0wU0
_
( ゚∀゚)「モラとクーの笑い方が怖い、あいつらドSすぎる」
(,,゚Д゚)「こういう時の先輩たちは狂気を感じる」
_
( ゚∀゚)「ギコくん。いいか? あんな大人になっちゃダメだぞ」
(,,゚Д゚)「先輩達とここにいる時点でその忠告に疑問を感じざるを得ないです」
( ω )「おーん……」
('A`) 「ッチ! 海だ! 海に突っ込む! 冷やすぞ」
(´・ω・`) 「救護班! 消毒用意! さっき飲んでたウォッカでいいから! あと、清潔な包帯とテラマイシン!」
( ^ω^)「やめろ海に投げ込むなwwwwww夏にはまだ早いwwww」
川 ゚ -゚)「……。さて! 今回のタイムは!」
ξ゚⊿゚)ξ 「ダラララララ……ダン! 16秒27!」
川 ゚ -゚)「遅い!! 小学生か!」
( ^ω^)「ふ……ハァハァ……ふざけんなお……火の上全力で走れるかお……」
ξ゚⊿゚)ξ 「貴様はその程度か股ぐらフェイス」
( ^ω^)「おーん、足火傷したお。歩けねえお」
('A`) 「そもそも完走できた事実が凄い」
( ・∀・)「火傷も軽微だな。これなら2日もすりゃ治る。運動神経だけはホンモノだな」
从 ゚∀从「なんかもう人間やめてるよね」
242
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:52:07 ID:Fea5J0wU0
ξ゚⊿゚)ξ 「調査結果はこうなりました!」
結論:人間追い詰められると足は遅くなる
川 ゚ -゚)「この番組は犬も歩けば四足歩行、映画研究会の提供でお送りいたしました」
ξ゚⊿゚)ξ 「また見てね!」
.
243
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 22:54:08 ID:Fea5J0wU0
次回は無人島最終回
来週くらいに投下できたら嬉しいな
244
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 23:05:30 ID:u4v09GLo0
乙!
今回も面白かった!
245
:
名も無きAAのようです
:2015/05/15(金) 23:08:05 ID:uTovMgOU0
乙
爆弾が不安
246
:
名も無きAAのようです
:2015/05/16(土) 00:27:21 ID:irU/aDaU0
ブーンカワイソスwwwww
乙
247
:
名も無きAAのようです
:2015/05/16(土) 00:39:00 ID:ki2s/Mdk0
あ、そうだ忘れてた
今後、このスレ内で放課後事故放送のお便りも募集します
248
:
名も無きAAのようです
:2015/05/16(土) 00:42:20 ID:UhvN1EmM0
御守りからわかる三角関係ってお前……実話だったりするのかな?
というかこのまま中身スルーだとクーが仕方なくドクオと付き合ってるみたいでなんだかなぁ。そこんとこはっきりさせてくれよ花束さん!
249
:
名も無きAAのようです
:2015/05/16(土) 05:24:42 ID:mis8cRWM0
踵に擦りつけて着火もできなくなったよなぁ
250
:
名も無きAAのようです
:2015/05/16(土) 10:10:40 ID:OtcBtCdE0
昼ドラだァ……
251
:
名も無きAAのようです
:2015/05/16(土) 13:58:33 ID:ki2s/Mdk0
>>248
御守の中から付き合う前のラブレターが出てきた、という友人の惚気が元になっていますふぁっきん
その問題の解決までに私が逃亡しないかが肝ですね……
>>249
詳しいギミックは、ケイドロかかくれんぼで書かれますが、は硫化燐マッチを利用してるので踵で点火可能です
252
:
名も無きAAのようです
:2015/05/16(土) 17:00:43 ID:GCsoriR20
前の話のせいでケロイドかくれんぼに見えてどんなかくれんぼだと思っちまった
253
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 00:15:45 ID:uBhYlFW60
ナチュラルに妹と後輩出てきたな
254
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 03:35:31 ID:kfG8W2C.0
おお、謳歌だー
ここまで出た恋愛矢印を踏まえて無人島のカラオケシーンを読み返すと中々おもろいことになってますな……
しかし色々実体験を混ぜてるってんでモララーが花束本人のイメージになったわ
シューは花束の嫁さんか
255
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:40:08 ID:UVTPpgRA0
_,,,.... ..,,、
,/゙゛ \
/ ゙'i
./ !
イー‐ .-・冖 ._,, .|
..|ia、l rlョッ .'゙.i;;'/i .!
.|´゛/ ,,、 ゛ ゙l.i〉,! !
! .Уヽヽ. 、 l゙ .!
.ヽ! .';;リー ゙!゙'i ゙ー" .|- 、
.';、.. ,, .,. / .l ,,\
,゙シーx--‐'゛ │ '''' li.゙'i ..
._ / '"゙! |/'ー‐'″ 、 l l,l./ i′
./ l l ゙''ー--‐'´ .l iリ l「
./ i. .! l │ ll゙ .iリ
/ l .! .l l゙ !,! .,i″
,i′ ! | │ / ,!.| l゙!|、
ヽ .l ! l ! ! .||.l.!
最 海 [Zuai Hui]
(718-801 唐)
256
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:40:52 ID:UVTPpgRA0
- 4日目開始時発表 -
◎すてーじ◎
無人島 - 4日目 -
◆あらいぶ◆
_
( ゚∀゚):旧キャンプ場 (*゚∀゚):旧キャンプ場
lw´‐ _‐ノv:移動中 ( ・∀・):移動中
(´・ω・`):旧キャンプ場 ( ФωФ):旧キャンプ場
( ^ω^):旧キャンプ場 ξ゚⊿゚)ξ :旧キャンプ場
川 ゚ -゚):旧キャンプ場 ('A`):旧キャンプ場
◇でっど◇
のーきゃらくたー
>あーゆーれでぃ?
257
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:42:09 ID:UVTPpgRA0
◎よっかめ
_
( ゚∀゚)「おはよう御座います。今日も爽やかな朝ですね! この僕が!」
(;ФωФ)「ぎぃいいやあああああああああ!」
無人島から帰る日を除いて事実上の最終日。その日はロマネスクの悲鳴から始まった。
ロマネスクは小さい。合気道をやっていて、別に筋肉がないわけではないが肩幅が狭く痩せ型で線が細い。
身長も女性たちと同じ程度に低く、ツンと同じほどでつーに負けている。
そのため、彼に与えられた男性用寝袋はかなりブカブカと隙間が空いていた。
その隙間に、早朝から筋肉ダルマが入り込み、みっちりと詰まっている。
いくら小柄といえど二人分には無理があり、寝袋は限界まで膨張して、犯罪顔が至近距離に迫っていた。
そう、杉浦の寝袋に長岡が侵入していたのだ。
ただでさえ、中性的な美少年である彼はなにかと危ない目に合うことも多い。
そのために合気道まで習った経緯もあり、普段から警戒していたこともあって、そのダメージは非常に大きい。
(#ФωФ)「寝起きドッキリにしてもやっていいことと悪いことがある!」
_
( ゚∀゚)「なんかめっちゃいい匂いがした」
('A`)「その発言は流石に引く」
( ^ω^)「でも、ロマなら違和感はないお」
(#ФωФ)「黙れお前らあぁぁあぁ!!」
258
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:42:53 ID:UVTPpgRA0
昨晩仕込んだ鹿肉だんごと百合根の鹿ガラスープを飲みながら、今日の予定について話し合う。
メインは鹿ベーコンを挟んだ炭火焼きパン。付け合せは真鯛のカルパッチョとどんぐりハンバーグ。
更に持ち込んだ粉末ミルクティーとたんぽぽコーヒーまでついている豪華な朝食である。
ξ゚⊿゚)ξ「やべースープうめー」
_
( ゚∀゚)「パンをスープに浸すと幸せの味がする」
( ^ω^)「で、このあとどうするお? 正直、そろそろやることがないお」
(´・ω・`)「強いて言うなら?」
('A`)「家に帰ってゲームやりたい」
(;ФωФ)「その前にまず無人島から生きて帰らねばならないである」
_
( ゚∀゚)「しかし、飯も明日の朝までならもう食材集める必要ないぜ?」
川 ゚ -゚)「そうだ。シュー達戻ってきた時になんかドッキリしよう。全員で死んだふりとか」
(*゚∀゚)「血糊持ってきてないなぁ」
('A`)「無人島で起きた殺人事件! 生き残ったのは二人! 一体誰が犯人なのか!?」
_
( ゚∀゚)「生き残った二人、アリバイ完璧じゃねえか」
259
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:46:21 ID:UVTPpgRA0
( ・∀・)「由々しき事態だな」
_
( ゚∀゚)そ「うおう! 戻ってきたなら声かけろ! 気配なく登場すんな!」
( ・∀・)「無人島といえばサバイバル。サバイバルといえば生きるか死ぬかの瀬戸際!」
lw´‐ _‐ノv「しかし今あるのは余裕。我々はこの状況を楽しみすぎたようだ」
('A`)「あ、シュー。俺にヘビ近づけないで怖い」
ξ゚⊿゚)ξ「よくヘビを掴んで歩き回れるわね」
lw´‐ _‐ノv「ヘビには人間の体温は高すぎるから、ちゃんと移動は瓶に入れてるよ」
::('A`)::「ならわざわざ出さないで」
川 ゚ -゚)「昨日の撮影がドクオのトラウマになっているっ!」
( ^ω^)「衛生兵! 衛生兵はまだかお!」
( ・∀・)「昨日ナニやったんだお前ら」
(´・ω・`)「それで、モララー。なんか意見あるの?」
( ・∀・)「ひとつだけ、ただし、我々の命を掛ける必要がある……」
_
( ゚∀゚)「ほう……」
260
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:47:12 ID:UVTPpgRA0
( ・∀・)「とりあえず、力仕事だからロマの監視下で女性陣には飯を作ってもらおう」
:::ξ;゚⊿゚)ξ::lw´;‐ _‐ノv:::
川 ゚ -゚)「一応聞こう。ツン。ご飯つくれる?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ち、チキンラーメンなら」
( ^ω^)「それ、お湯沸かすだけだお」
lw´‐ _‐ノv「お米なら炊ける」
(´・ω・`)「えばるな。もうお米、夕飯の分しかないからね?」
( ・∀・)「あ、時間かかるから夕飯も頼むわ」
( ФωФ)「え、吾輩、こいつらの相手するであるか? 夕飯まで!?」
(´・ω・`)「大丈夫。シチューは僕が作るから昼飯食べたら戻るよ」
(*゚∀゚)「ロマちん。私はそこまで酷くないよ! 頑張ろ!」
_
( ゚∀゚)「ちなみにどれくらいなら作れる?」
(;゚∀゚)「や、野菜炒めなら?」
川#゚ -゚)「舐めるな! りんごの皮すら剥けんわ!」
('A`)「壊滅じゃねえか」
261
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:48:13 ID:UVTPpgRA0
これはある大学の小さなサークルから始まった、無人島の物語である。
_
( ゚∀゚)「風の中のすーばるー!」
重機もなしにそれを作ることは無謀と言われた。
_
( ゚∀゚)「砂の中の銀河ぁぁ!」
しかし、そんな中、彼らはあえて人力で、それを作ることに挑んだ。
_
( ゚∀゚)「みんなどこへいぃったー!」
両親に金メダリストを持ち、奇跡の運動神経を誇る男、内藤ホライゾン。
_
( ゚∀゚)「みおくーられるこぉともなくー!」
調理班に見捨てられ、その設計技術を見込まれ参加した唯一の女性、素直クール。
_
( ゚∀゚)「そぉげんのペガーサスー!」
無人島からの帰還は翌日、運転を控えた彼らにとって疲労は死を意味するはずだった。
_
( ゚∀゚)「街角のビィーナスー!」
しかし、彼らには決して引けない、ある理由があった。
_
( ゚∀゚)「みんなどこへいぃったー! 見守ーられるこぉともなくー!」
( ・∀・)「ジョルジュ歌ってないで手伝え」
_
( ゚∀゚)「大丈夫、手は動いてる」
262
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:48:58 ID:UVTPpgRA0
まず、作戦は岩を切り出すところから始まる。しかし、彼らにそんな余裕はない。
(#´・ω・)「「せーのっ!」」(^ω^#)
故に崖から岩を叩き落とす作戦に出る。地面に半分埋まった岩に叩きつけ、岩を真っ二つにしようというのだ。
手頃な岩というのは数が少なく、狙った通りに割れることは難しい。
しかし、彼らに残された時間は限られている。
(;'A`)「上手くいったかぁ!?」
川 ゚ -゚)「ダメだ! 端が砕けた! もう一度行くぞ!!」
岩の運搬はコロを使った、幸いこちらは誰かに切り落とされた木材が多数あり、難を凌げた。
とは言え、崖の上に岩を運ぶのは非常に困難だ。
6人がかりで行われた作業は、何時誰が死んでもおかしくはなかった。
_
( ゚∀゚)「これ無理だろ」
(;・∀・)「諦めるな! 右に迂回すればこの穴を回避できる!」
_
(;゚∀゚)「すげえ遠回りだぞそれぇ!」
岩は玄武岩だ。通常、この岩石は叩きつければ比較的綺麗に砕ける。
その為、墓石などにも利用されるが、比較的とは岩石基準の話である。
彼らの挑戦は、決して簡単なものではなかった。
(#´・ω・)「ぬおおおおおお!」
川 ゚ -゚)「がんばれ♥ がんばれ♥」
( ^ω^)「やめろwww笑って力抜けるおwww」
263
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:51:50 ID:UVTPpgRA0
思うように進まず、疲労困憊となったメンバーの前に現れたのは、ひとつの希望だった。
昼食の完成。それはメンバーに大きな活力を与えるものだ
また、疲労していないメンバーの交代は、作業効率を活性化させる要因ともなった。
( ФωФ)「飯持ってきたであるぞー」
(;´・ω・)「ふう。ロマ、後は頼んだよ。クーさんの指示に従って」
( ФωФ)「分かったである。しかし女子ども、予想以上の難敵であるぞ」
(;´・ω・)「ほぼ全員実家暮らしだからなぁ。手伝いとかしてなそうだし」
タッパーに入れた鹿ひき肉と山芋とピーマンの炒めもの、どんぐりハンバーグ、イシダイの刺し身。
それらを紙皿に入れて手渡し、水出しの麦茶を水筒に追加していく。
疲労していたメンバーに、希望が湧き出る瞬間であった。
川 ゚ -゚)「あーロマきたか、そうだな。とりあえず、ブーンと穴掘りかなぁ」
( ・∀・)「いや、こっちの岩運びに一人くれ。ドクオがそろそろヤバい」
川 ゚ -゚)「穴掘りも結構ヤバいぞ?」
( ・∀・)「んー? いや、水平出しとか疲労が少ない奴を頼む。クーの手が空くなら俺と交代だ」
川 ゚ -゚)「なるほど、わかった」
無人島に来てから恒例となった穴掘りは、ブーンの手で着実に進んでいく。
そこには、糸と端切れだけで、精巧な円型の穴が空けられていた。
本業は建築科であるブーンの小技が活かされた職人芸である。
264
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:52:55 ID:UVTPpgRA0
そして、数時間後、奇跡は達成された。
汗を拭い、モララーがそれを宣言する。
(つ・∀・)+「よっしゃあああああぁああぁ! 完成だああぁあぁ!」
_
( ゚∀゚)
('A`) 「「「「「うおおおおお!」」」」」 (^ω^ )
川 ゚ -゚) (´・ω・`)
;;二`-゙‐';;二二二二二二,゙;;'''ーニ ミ;;、.'
゙!''゙彡-‐''''“゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙'ナ.,-、゙!゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙冖ー ,゙”'!!
,/゙_..‐'゙ゝ -''"コl二;;;;ッ=Z゙.,i`-!ヘ.゙'コ=t;;ii、ニ"ニ;;、 `''-、`'-、.〟
/ ,r'" `''''~!リイ゙‐'゙゛= / ,i′゙¨' ヽ.ヽ... r'"'''ニ> ゙‐'~" `'、. ゙゙゙l
/ ,i!ニ ̄巛`-`-`-`-`-√.,i liレll l l l巛;;、``-`-`-`-`-三 ̄`-、 .ヽ
.{ i′ , `゙''ァ二;;- ..″ / ,.|~r'"゛ - .`゙';;`L.ヽ ゙,゙ ‐二ィ''",,. .! .'l
l .|ヽ、!ニl、 .l..l. _,゙¬./ .,ヽ.li\二___,,゙..-二ノ'. `./ ''レ l./ .ノ`゙''ヽ/ l
ヽ !l>\"-・゙〈>、’ . / ./ .`゙''ー二`-ア゙ン‐'',゙_.ヽ..ヽ._ ヅイ)'''..-/i″./
.\ ゙'〈ヽ\-`'' !/゙.,i,゙ . 彡-'二-'',゙¬二;;-ニ,,,,.i|i、.゙く .゙ンンシ゛., ''
゙ヽ、"' li.\. / '!二ン;;'!'==rrri=jjjllリ!“'''ー二′゙'l彡!'゙_..-'゙
`'ー-二'‐=ミ、,,_;;′'!´.`''← " ゝ l|;;,,,,.. -‐',゙,゙ -'"´
゙゙マ'=―`-ニニ二二ニニニ―ー;;l'フ″
265
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:54:08 ID:UVTPpgRA0
(;ФωФ)「なんだこれえええええええ!?!!?」
.
266
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:54:57 ID:UVTPpgRA0
( ・∀・)「いや最初はさ、ストーンサークル作ろうとしてたんだよ」
川 ゚ -゚)「ただなあ。岩を破壊してみたら、あのサイズの岩を綺麗にあの形にするのは無理って判明して……」
(;ФωФ)「もうこの時点で突っ込みどころしかないである……」
_
( ゚∀゚)「つーばぁめーよぉー! たかぁい空かぁらー!」
(;ФωФ)「地上の星を歌うな! そんな熱い男たちの物語じゃないからこれ!」
( ・∀・)「で、地面埋め込みだけでいけて、細かい石を上手くモザイクすればできる魔法陣が最適かなって」
(;ФωФ)「ナニに最適であるか!? なにをどう適しているであるか!?」
('A`)「俺たちが生きた証がここにある! 私はここにいる!」
(;ФωФ)「ハルヒか!? 懐かしいなおい!!」
( ^ω^)「僕らが無人島にきた痕跡を残したかったんだお」
(;ФωФ)「これはどう見ても学生のサークル活動じゃなくて、地球外生命体活動のサークルである!」
川 ゚ -゚)「ムーの記者が見たら泣いて喜ぶな」
(;ФωФ)「良識ある現代人類が残す痕跡には馬鹿すぎるからな!」
( ^ω^)「しかし疲れたおー。流石のブーンも明日筋肉痛かもしれんね」
(;ФωФ)「お前ら、明日運転だからな!? 関西から関東まで8時間は運転するからな!?」
( ・∀・)「だから、死の危険があると最初から……」
(#ФωФ)「こんなくだらんことに命掛けるなああぁ!!」
267
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:56:29 ID:UVTPpgRA0
lw´*‐ _‐ノv「モラさん! 初めての手料理をたんと召し上がれ」
( ・∀・)「ちなみにどれくらい頑張ったの?」
( ФωФ)「飯炊いただけであるな、あとはヘビで遊んでもらった」
( ・∀・)「追い出されたクーよりはまだマシか……」
労働から開放された飯はなによりもごちそうである。
それが6時間かけ、市販のルーを一切使わず、ドミグラスソースから作ったシチューともなれば格別である。
野菜類が完全に溶けてなくなり、赤ワインの香りと一体となって、煮こまれて崩れかけたタンの上を彩る。
付け合せは蒸かしたじゃがいも。更に白米が濃厚なドミグラスソースを引き立てる。
更には余った魚とキノコをふんだんに使った刺し身やカルパッチョ、ホイル焼きなどが所狭しと並ぶ。
ここが屋外バーベキューであることを忘れさせる、豪勢な食卓だった。
(´・ω・`)「あ、モララー言われたとおり、アレ作っておいたよ」
( ・∀・)「おっマジだ。サンキュー」
lw´‐ _‐ノv「なんですこれ? なんかうなぎの蒲焼みたいな?」
( ・∀・)「ふふふ。何だと思うかね?」
lw´‐ _‐ノvじー……
美味しそうな山椒の香りが鼻孔をくすぐる。
それは一見、うなぎの蒲焼のようにしか見えない。
よく観れば、それがうなぎにしては細長いものだと遅れて気がつく。
268
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:58:04 ID:UVTPpgRA0
よく観察し、彼女はその姿を幾度も見たものだと気がつく。
lw´;‐ _‐ノv
彼女の理解よりも先に、頭が認識する。
lw´; _ ;ノv「ぽ」
認めたくない現実が、事実が、思考を遅くするが、それでも彼女は理解してしまう。
lw´; _ ;ノv「ぽちいいいいいいいい!」
それは、アオダイショウの蒲焼だった。しかも思いの外、美味しかった。
269
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 22:59:04 ID:UVTPpgRA0
川 ゚ -゚)「あー、それでシューが口を利いてくれなくなったと」
( ・∀・)「うん。正直やり過ぎたかな」
川 ゚ -゚)「まあ、連れ帰るのも難しいしな」
( ・∀・)「麻袋あればまだ違ったんだけどね。ろ過装置作るのに使っちゃっててさ」
川 ゚ -゚)「ま、時間が過ぎれば元通りだろう。それで、こんなところに呼び出してなんのつもりだ? シューの代わりに夜這いか?」
( ・∀・)「そんなことしたらドクオに殺される」
ここは旧キャンプ場から離れた展望台。
ポケットから出した御守りを揺らし、モララーは意味ありげな目線を送る。
彼女の双子の姉を、爆弾解体のために彼は呼び出したのだ。
( ・∀・)「ブーンとツンは、今虎島だ。夜の引き潮で渡ってもらった。朝まで戻ってくることはない」
川 - )「見たのか!?」
( ・∀・)「……。ドクオは強い酒飲ませた。奴は酔っ払ったら起きねえよ。ショボンが寝ゲロの監視してる」
川 ゚ -゚)「なるほど。人払いは完璧というわけだな。……全て話せばいいのか?」
( ・∀・)「いや話さなくていい。野暮だし、俺に聞く権利はないよ」
270
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:00:10 ID:UVTPpgRA0
都会では見られない満点の星空と、遠く月が海に沈む夜。
モララーは、核心に踏み込まなかった。ただ、警句を告げにきただけである。
ただ、それを彼女は許さない。
川 ゚ -゚)「聞く権利がない、か。だが私は、お前には権利がなくても義務はあると思う」
( ・∀・)「む……人の色恋に首を突っ込むのはゴメンだぞ」
川 ゚ -゚)「ダメだ。聞け。もし聞かないなら、かくれんぼで女子を何人も口説いて味方に引き込んだこと、シューにバラす」
( ・∀・)+「分かった聞こう」
川 ゚ -゚)「といっても、触りだけだ。酔っぱらいの昔話を聞いてくれ」
本当は脅しが怖かったわけではない。
ただ、脅してまで聞かせようという、昔話が少し、気になった。
語られた、予想外の内容に、彼は驚き、目を見張る。
――――――
―――
―
―――
――――――
川 ゚ -゚)「と、いった感じだ」
( ・∀・)「ほんで、お前は親友のツンとブーンがくっついて、クーがドクオと結ばれれば皆ハッピーって思考か」
川 ゚ -゚)「私が我慢していれば、それでいいとね」
( ・∀・)「我慢って時点で、ドクオにも失礼じゃないか?」
川 ゚ -゚)「言葉の綾だよ。ドクオのことは好きだ。好きじゃなきゃ2年以上も付き合ってない」
271
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:00:52 ID:UVTPpgRA0
川 ゚ -゚)「だから私はこれでいいんだよ。ドクオは好きだし、ブーンもツンも幸せだ」
川 ゚ -゚)「そもそも、ツンがいなきゃ始まらなかった恋だ。そういう運命だったんだと思う」
川 - )「ただなあ、それに納得できない部分があるんだ。心の一番奥のところに。頭は理解してるのにな」
川 ゚ -゚)「だから、告白の返事を御守に入れた。気づかなくていい。ただ、自分の気持ちに整理がつけたかった」
川 ゚ -゚)「直接言えなかったんだ……それが、高校の終わりごろさ」
川 ゚ -゚)「でも、ブーンはそれを見なかった。ずっと、待ってたけど、あいつはまだ気づいてない」
.
272
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:01:49 ID:UVTPpgRA0
川 ゚ -゚)「私がブーンを選んでいたら、ドクオに対して同じ想いがあったのだろう。私はよくばりだからな」
( ・∀・)「……それで、ドクオはそんな中途半端な気持ちの女を抱いて満足なのか?」
川 ゚ -゚)「あいつ、童貞だよ。手を出してこないんだ……」
(;・∀・)「マジで!? ええ……」
川 ゚ -゚)「律儀だろう? 求められたら許すのに、ブーンに義理立てているんだ」
( -∀-)「そうか……。お前ら、お前ら……はぁ……じゃあ、ドクオは知ってんのか?」
川 ゚ -゚)「ああ、ほぼ全部な。そもそも、ブーンと私を応援してたのは、あいつだ」
( ・∀・)「うへぇ……きっついな。ってかお前、クズいな!」
川 ゚ -゚)「自覚してる。だが、なあ、どこかで見たような話だと思わないか?」
( ・∀・)「……。なんのことだ?」
続く言葉に、彼は思わず硬直する。
自覚はあった。言葉に、態度に表さなかっただけだ。
それでも、その言葉は重たく、彼の上にのしかかる。
川 ゚ -゚)「お前は私じゃないか?」
273
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:03:20 ID:UVTPpgRA0
川 ゚ -゚)「関係が壊れるのが怖いから、ハッキリした態度を取れないで、それで問題がこじれる」
(;・∀・)「いや、それは……」
川 ゚ -゚)「お前は私だ。違うと言うなら、つーをフってやれ。あの状態は……可哀想だ」
(;・∀・)「つーのこと。気づいてたのか……。それが俺の聞く義務か。なるほど」
川 ゚ -゚)「私以外にもツンとシュー、あとショボンは気づいているだろうな。勘がいいから」
( ・∀・)「ああ。だろうな。でも、お前が気づいているのは予想外だった」
川 ゚ -゚)「だから、言っておく。お前は、私になるな。クズにならないでくれ」
( ・∀・)「自分からフったら自惚れ野郎じゃねえか。つーが告白してこねえと、動けねえんだよ」
川 ゚ -゚)「なら、告白するチャンスをやるか。さもなくば拒絶してやれよ。お前の態度は……まあ、私が言えた話じゃないがな」
( -∀-)「……」
川 ゚ -゚)「ただ、そうだな。今までのは友人としての忠告だ。もう一つ……」
( -∀-)「……」
川 ゚ -゚)「妹は、私のように男みたいな恋愛はしないぞ。あいつは女のズルさを持ってる」
( ・∀・)「それは、自覚してるよ」
川 ゚ -゚)「その上で姉として、妹を泣かせたら許さん。でも、つーを私達と同じ目に合わせても許さんからな」
274
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:04:10 ID:UVTPpgRA0
( ・∀・)「肝に銘じておこう。で、だ。今お守りはここにある」
川 ゚ -゚)「どういう意味だ?」
( ・∀・)「ブーンに返す前に、ラブレター抜くことはできるぞ?」
川 ゚ -゚)「そうか……いや、いい、そのまま戻してブーンに返してくれ」
(;・∀・)「えっ?」
川 ゚ -゚)「いいんだ! だってそれがなくなったら、可能性がゼロになるだろ?」
( ・∀・)「可能性ってお前……」
川 - )「すまない。だが、告白の返事はずっと保留のままにさせてくれ。すまん」
( ・∀・)「……。今まで開けなかったブーンは、今後も開けないと思うぞ」
川 ゚ -゚)「それならそれでいい。もう、付き合いたいわけじゃない。ただその……怖いんだ」
( ・∀・)「怖い? なあ、お前……」
川 ゚ -゚)「違う。未練じゃない。私達の話はまだ続いてる。それが中途半端な今のまま終わってしまう、そんな気がするんだ」
( ・∀・)「……」
川 ゚ -゚)「すまんな。お前もサークルを守る役目があるだろう?」
( -∀-)「……」
川 ゚ -゚)「サークルに迷惑は掛けない。だから見逃してくれないか?」
( ・∀・)「ほっんとお前、難儀な性格してんなぁ……」
275
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:04:55 ID:UVTPpgRA0
- 4日目終了時発表 -
◎すてーじ◎
無人島 - 4日目 -
◆あらいぶ◆
_
( ゚∀゚):旧キャンプ場 (*゚∀゚):旧キャンプ場
lw´‐ _‐ノv:旧キャンプ場 ( ・∀・):展望台
(´・ω・`):旧キャンプ場 ( ФωФ):旧キャンプ場
( ^ω^):虎島 ξ゚⊿゚)ξ :虎島
川 ゚ -゚):展望台 ('A`):旧キャンプ場
◇でっど◇
のーきゃらくたー
>あーゆーはっぴぃ?
276
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:06:02 ID:UVTPpgRA0
翌早朝。ブーンとツンが戻って来て、サークルメンバーは波止場に集まっていた。
全員五体満足で無人島を出れる。面子を考えれば当たり前で、やったことを思えば不思議なことだ。
( ・∀・)「サークル初めての合宿でしたが、皆さん如何でしたか!?」
_
( ゚∀゚)「正直、死を覚悟した割には意外にも非常に快適な生活だった」
('A`)「一人暮らしの貧相な食事を思えば贅沢すぎる一時だった」
( ^ω^)「ぶっちゃけ鹿狩りなしでも魚で生きていけたくらいだお」
(*゚∀゚)「鹿さん美味しかった」
lw´‐ _‐ノv「ポチ……」
ξ゚⊿゚)ξ「むちゃくちゃ寝づらい以外は、正直楽しかったわ」
川 ゚ -゚)「チーズが食べたい。あと卵」
(´・ω・`)「穴掘った記憶と料理してた記憶しかねえ」
( ФωФ)「同じく」
( ・∀・)「つまり、この程度ではヌルかった……と」
(;'A`)「おい待て、不穏な発言はやめろ!」
_
(; ゚∀゚)「死者が出てからじゃ遅いぞ!!」
川 ゚ -゚)「来年は講義休まない日程で頼む。夏か冬だな」
(*゚∀゚)「ああ、11月に一週間休むのは確かにちょっと……」
( ・∀・)「では、来年はそんな感じで考えておきますね」
277
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:07:31 ID:UVTPpgRA0
ゆっくりと、漁船が大きくなる様子が目に映る。
疲労と楽しさと達成感、そして、わずかな名残惜しさ、寂しさを胸に、無人島に別れを告げる。
('A`)「楽しかったぞー! 無人島ー!!」
川 ゚ -゚)「貴重な経験をありがとー!」
( ^ω^)「正直二度とできない、豪華な食事をありがとだおー!」
(´・ω・`)「鹿はもう狩られるなよー!」
ξ゚⊿゚)ξ「狩る奴もいないだろうけどなー」
(*゚∀゚)「ストーンサークル! 誰かに発見されろよー!」
_
( ゚∀゚)「そして何かを召喚だ、召喚するんだー!」
( ФωФ)「何召喚させるつもりであるか……」
lw´; _ ;ノv「ポチィイイィィィ!」
そして、最後に、それをモララーが締めくくる。
サークルの幹事として、皆をまとめるリーダーとして、予想外の言葉を彼は残す。
278
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:08:18 ID:UVTPpgRA0
( ・∀・)「来年も! 来るからなー!!」
(;ФωФ)「えっ……えっ!?」
(;ФωФ)「えっ!?」
.
279
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:09:09 ID:UVTPpgRA0
- 最終発表 -
◎すてーじ◎
無人島 - 5日目 -
◆あらいぶ◆
_
( ゚∀゚) (*゚∀゚) lw´‐ _‐ノv ( ・∀・) (´・ω・`)
( ФωФ) ( ^ω^) ξ゚⊿゚)ξ 川 ゚ -゚) ('A`)
◇でっど◇
のーきゃらくたー
>こんてぃにゅー?
.
280
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:10:40 ID:UVTPpgRA0
続いて、番外掌編6レスです
281
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:11:24 ID:UVTPpgRA0
彼は小さな頃から神童と呼ばれた。
スポーツの天才として、国の英雄のDNAを受け継いだ怪物として、生を受けた。
1を教わり10を知り、なにをやらせても上手くいく、そんな子供だった。
( ^ω^)は謳歌したかったようです
彼の誕生は金メダリスト同士の子供として、更に人工授精の代理母出産としてマスコミを騒がせた。
その人生の歯車が狂い出したのは、誕生から2年後、妹が生まれた時だった。
人工授精ではない、自分自身が産んだ妹を母親はかわいがった。
表面上、彼女は母親として振る舞ってはくれた。
おそらく、努力はしたのだろう。それでも態度の端々に、自身の子供ではないという言葉が見え隠れしていた。
それをカバーすべき父親は、自身の競技に集中し、家庭を顧みない男だった。
次に彼の人生を狂わせたのは、周囲の子どもたちだった。
初めて手加減を覚えたのは、小学校に上がってすぐのこと。
担任教師は彼にこう告げた。
|゚ノ ^∀^)「ブーンくん。君は特別なんだから、本気を出したら皆が可哀想よ?」
( ^ω^)「わかったお」
それを聞いた彼は、大人しく手加減を覚えた。
本気を出すと誰も一緒に遊んでくれないことも、彼は身に染みていた。
( ‘∀‘)「ブーンくーん! おいでー、鬼ごっこしよー!」
(’e’)「えーブーンくんがいたら、絶対捕まえられないじゃーん。僕抜けたー」
(;‘∀‘)「えっ可哀想だよー」
( ^ω^)「大丈夫だお、手加減するお。だから、仲間に入れておー」
282
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:12:18 ID:UVTPpgRA0
次に彼が本気を出さなくなったのは、小学校4年生になった頃だった。
友人に誘われて、リトルリーグ。小学生野球団に入ることになった。
そこなら、本気を出せるのではないか? そんな思いと、家にいるのが辛かったことも、彼を後押しした。
しかし、現実は非情だった。
彼の記録は打率10割。4打席連続ホームラン。以降、全ての打席で敬遠。
シニアリーグの中学生を相手に、この記録である。最後の試合、彼はバットを一度も振らなかった。
小学生相手に負けることを、中学生のプライドが許さなかったのだ。
2試合で、彼はリトルを辞めた。
相手が全国クラスであれば、こんな記録にはならなかっただろう。
しかし、その域に至る前に、彼の心は砕けてしまった。
サッカーでも、バスケでも、同様のことが続き、彼は本気を出すことを、諦めた。
( ^ω^)「おとーさん。お話があるお」
( ^ω^)「おとーさんはスポーツ推薦で中学へ行けっていうけど」
( ^ω^)「僕は、普通の中学がいいお」
( ^ω^)「私立でも公立でも、構わないけど、体育科は嫌だお。お願いだお」
その願いは聞き届けられた。
金メダリストを両親に持つ彼だ。家庭は裕福だったため、エスカレーター式の私立中学へと進学した。
283
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:13:46 ID:UVTPpgRA0
中学では、誰かと競うスポーツからは身を置いた。
ただ、走ることだけは好きだった。
そこで、彼はフリーランニング、パルクールと呼ばれるスポーツを始めた。
競う相手もなく、ただ自身と戦うこのスポーツは、性に合っていた。
時折、噂を聞きつけたスカウトが、彼を誘った。
しかし、ブーンはそれらを全て蹴った。
誰かとスポーツをすることなんて、彼にはもう耐えられなかった。
しかし、高校に進学し、彼は運命の出会いを果たす。
.
284
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:14:59 ID:UVTPpgRA0
('A`)「なあブーン」
彼との出会いは、たまたま同じクラスになったことから始まった。
学力の底上げのため、学費免除で入学した高校からの特待生。それがドクオだった。
普通の家庭の普通の両親に育てられた彼は、ブーンの知らない事を沢山知っていた。
('A`)「ゲームやろうぜ! ゲーム!」
( ^ω^)「いいおー」
初めて遊ぶゲームソフト、知らないゲームだ。FPSと言われるジャンルとだけは知っていた。
だが、彼の才能はそんなところにまで発揮される。反射神経と指先を動かす精度が異常なのだ。
だから、彼は最初手加減をして、相手を勝たせた。
('A`)「……お前下手だな」
(;^ω^)「おっ! そんなことないお!」
変に手加減しすぎたら、せっかくできた友達がいなくなるのではないか?
そんな思いがよぎって、せめて奮闘する真似くらいはしようと、少し手加減を緩める。
その時、初めて、彼の脳裏に疑問が浮かんだ。
(;^ω^)「おっ?」
勝てない。
本気でも、勝てない。
それは、彼にとって人生で初めての、強敵だった。
285
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:15:48 ID:UVTPpgRA0
(;^ω^)「く、くそ! もう一回! もう一回だお!」
('∀`)「いいぜー、何度でも負かせてやらあ」
何度挑んでも、勝てない。
そんな経験は彼の人生で初めてだった。
(;^ω^)「おー、ドクオ上手いおー。もしかしてこのゲームで世界一上手いんじゃないかお?」
('A`)「んなわけねーだろ。オンラインじゃせいぜい勝率7割いかないくらいだぜ?」
そして、その経験は、彼が井の中の蛙であることを教えてくれた。
才能がある奴が、誰にも負けない努力をした上で、やっとみえるトップランカーの道。
その世界が、初めて見えた瞬間であった。
( ^ω^)「おっおっおっ」
('A`)「負けた癖にやけに上機嫌じゃねえか」
( ^ω^)「いいんだおー! 負けるのが楽しいんだおー!」
(;'A`)「お前……マゾかよ」
本気で戦って、それでも冗談を言い合える。
そんな初めての親友が、彼には出来た。
286
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:17:13 ID:UVTPpgRA0
そして大学。彼はエスカレーター式の進学を蹴って、自分の道を歩み始める。
そこで彼は、次なる運命の出会いを果たす。
( ・∀・)『えー諸君らの健闘もむなしく、逃亡者全滅という結果になりました』
初めて、彼と現実世界で勝利した男。
( ・∀・)『諸君らは勇者であり、知恵の回る者も多数居た。だが、私の知略がそれを上回った。それがこの結果である』
年甲斐もなく本気を出して、それでも勝てない無敗の男。
その男は、名をモララーと言った。
( ^ω^) 「ぐぬぬ……納得できねえお! もう一戦! 今度はかくれんぼで勝負だお!」
( ・∀・)「お? やるかぁ? 次は賞金でねえぞ?」
幼少期に出来なかった遊びに、彼はまたチャンスをくれたのだ。
もう一度、次こそは勝利する。
ゲームではなく現実の世界で、本気を出してもそれをあしらえる初めての相手。
彼の青春は、まだ始まったばかりである。
287
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:23:25 ID:UVTPpgRA0
ξ゚⊿゚)ξ 「格闘センスは無限大!! 甘いマスクに騙されるな!
その正体は百戦錬磨! 本大会にて唯一の武術経験者!
合気の戦士がチャンバラに挑む! 体重58kg! 身長159cm!!《風雲》杉浦ロマネスク!」
ξ゚⊿゚)ξ 「その弾丸は正確無比! 狙った獲物は逃さない!
チャンバラの意味を間違えたバズーカ砲が唸りを上げる!
その銃口は勝利までもを射抜くのか!? 体重53kg!身長175cm! 《サムライスナイパー》鬱田ドクオ!」
ξ゚⊿゚)ξ 「彼女の声援を受けてニューフェイスの登場です! その実力は未知数!
一体、歴戦の強者相手にどこまで通用するのか!? はたまた無残に散るのか!?
体重63kg身長178cm!《ダークホース》猫宮ギコ!!」
ξ゚⊿゚)ξ 「チャンバラをどこまで曲解すればこうなるのか!?
史上最悪の怪物がエンジン音を轟かせて登場だァ!
体重りんごみっつ分! 身長155cm! 《機械仕掛けの乙姫》素直クール!!」
ξ゚⊿゚)ξ 「厚い脂肪を武器にして、怪物に挑む一人の勇者! 誰が呼んだか人類最強の豚!
動けるデブの刃は最悪のモンスターに届くのか!?
体重86kg、身長177cm!! 《白豚》! 内藤ホライゾン!!」
ξ゚⊿゚)ξ 「強さとはデカさである! 鍛え抜かれた肉体美は一つの芸術品! もはや動く彫刻!
ボディビルダーがチャンバラに殴り込みだぁ!
体重97kg身長191cm!《SCP-173(撲殺する彫刻)》ショボン!」
ξ゚⊿゚)ξ 「最強の遺伝子は彼女も受け継いでいる!! 兄とは違う魅惑のボディに会場の目線を釘付ける!
その強さは男女の壁すら越えてゆくのか!?
体重ヒミツ! 身長164cm! 《人類最強の妹》内藤ハインリッヒ!」
ξ゚⊿゚)ξ 「張り巡らせる策謀は星の数! 仕掛けた罠は踏破不能!
我ら映研の全ての元祖は、今回一体どんな仕掛けを用意したのか!?
体重67kg身長166cm!《参謀》モララー!」
次回! ( ・∀・)たちはチャンバラを謳歌するようです
.
288
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:24:45 ID:UVTPpgRA0
何故か何度もsageが外れた……
次回は一週間で投稿できたらいいなぁ
そこそこ長いので、もう少しかかるかもしれません
289
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:28:56 ID:zfT7xFHs0
乙!
wktkしながら待ってる
290
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:29:34 ID:rW7ig6VQ0
乙
291
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:55:18 ID:Vui3.MSM0
ハインキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
292
:
名も無きAAのようです
:2015/05/17(日) 23:59:23 ID:UVTPpgRA0
>>253
なにがどういう順番で起きているか、確定させてないと書けない話なのと
書きたい話を書きたい順で書いているための不具合です。ご了承下さい
>>254
実体験が生かされているのは、ストーリーやキャラクターではなく、水鉄砲などの戦略面やサバイバルなどの知識面です
稀にエピソードが実体験だったりすることもありますが、ストーリー・キャラクターはほぼフィクションとお考え下さい
ついでにいうと、私はモララーのように詰将棋するより、ドクオやツンのように隠密戦的一発逆転な戦い方を好みます
293
:
名も無きAAのようです
:2015/05/18(月) 00:32:53 ID:6unF8/eM0
申し訳ないんだがなんで花束って呼ばれてんの?
そんなタイトルで書いてたとか?
294
:
名も無きAAのようです
:2015/05/18(月) 00:37:05 ID:D5zZ5VHc0
>>293
その昔、花束というまとめサイトがあってじゃな…
295
:
名も無きAAのようです
:2015/05/18(月) 01:57:47 ID:345nx2Aw0
ブーンの設定重いな…しかし、花束ってワードがなついな。
296
:
名も無きAAのようです
:2015/05/18(月) 02:11:29 ID:hWyXuXM60
チャンバラも凄まじい曲解をしてくれそうで楽しみだ
297
:
名も無きAAのようです
:2015/05/18(月) 02:40:45 ID:QWoe3Bts0
思ってた以上にショボンが恵体でワロタ
298
:
名も無きAAのようです
:2015/05/18(月) 11:16:02 ID:TH8odHLQ0
ブーンの過去と、クーやドクオの気持ちはなんかしら絡んでるんだろうなぁ
つーか、この話、皆すげー楽しそうで仲良さそうなのにキャラの設定が重たい……
299
:
名も無きAAのようです
:2015/05/18(月) 11:58:05 ID:Yh00iBeM0
ロマ思ったより小さくてワロタ
159cmでロマはやばいだろ
300
:
名も無きAAのようです
:2015/05/18(月) 17:31:03 ID:1damdCYc0
ショボンはいつから目を離したら死にそうなオブジェクトになったんだよ
301
:
名も無きAAのようです
:2015/05/18(月) 17:35:37 ID:KE/A905w0
ハインprpr
302
:
名も無きAAのようです
:2015/05/22(金) 09:38:59 ID:6Uq9F82g0
おっつ
なかなかクズだらけだな
303
:
名も無きAAのようです
:2015/05/22(金) 18:24:10 ID:8.lYjyRs0
一回戦第三試合から二回戦第一試合まで書いたのに! データが! 消えた!!!
土日で間に合うか怪しくなってきたぜ……!
ところで関係ないんですが、先日、この先の展開に悩みながら就寝した所「ブーン……ブーン……」とうなされていたらしいです
304
:
名も無きAAのようです
:2015/05/22(金) 22:32:21 ID:kLGKE27k0
空を飛ぶ夢でも見ていたのかな
305
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:36:55 ID:YCMhDvSo0
1回戦まで書き終えた時点で、結構長いので分けて投下します
おおよそ45レスくらいと、番外掌編1話です
306
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:37:35 ID:YCMhDvSo0
モララー3回生の春、サークル室にはいつものように暑苦しい空間が広がっていた。
( ^ω^)「暑いおー溶けるおー死んじゃうおー」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン。まだ5月よ?」
('A`)「てか、暑いなら懸垂すんなよ」
ベンチや鉄棒など、映画研究会のサークル室とは思えないトレーニング器具の並ぶ部屋。
部員が50名を超える大型サークルだけに許された広い部屋で、一部を除いたメンバーが筋トレに励んでいる。
学内のエアコンは事務室で一括管理されているため、弱運転で統一され、運動するには少々暑い。
( ゚∀゚)「部費で冷蔵庫買おうぜ? いい加減くっそ暑い、アイス食べたい」
(*゚∀゚)「さんせー。ポカリぬるくなるのは勘弁」
( ・∀・)「いいけどさ、去年、真夏はエアコンガンガン効いて寒いからいらねえって言い出したじゃん」
(´・ω・`)「ふんがっぁああぁ」
ツンとつーはランニングマシンを軽快に飛ばし、ショボンがジョルジュの補助をつけてベンチプレスを持ち上げる。
ロマとギコが片手腕立ての回数を競い、しぃとドクオがその回数を数える。
クーとシューはなにやら向き合って電気回路を組んでおり、モララーが部費の計算や収支の確認をしている。
映研の日常的な光景だった。
307
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:38:31 ID:YCMhDvSo0
( ・∀・)「あ、ブーン、今日ハインちゃんは? あの子部費どうすっか?」
( ^ω^)「特に聞いてないからそろそろくるんじゃないかお? 普通に皆と同じ額とっちゃえお」
( ・∀・)「ほとんどこの部屋利用してねえのに1万はたけえかなって」
( ^ω^)「いいおいいお。無理して他校のサークルに入ってるのはあいつだおー」
モララーとブーンが話す間に、片手腕立ての結果が出る。
軽く息が乱れた程度のロマが、汗だくで地面にへたりこむ後輩を助け起こす。
わざわざ回数をカウントしなくても、様子をみれば既に答えは出ているようなものだった。
('A`)「ロマの勝ちー」
(,,゚Д゚)「……ハァハァ」
(つФωФ)「この程度で息が上がるとは情けないである」
( ^ω^)「おっしゃ! じゃあ次はブーンと勝負だおー!」
( ФωФ)「今回は負けないである!」
新入部員が入ってから約1か月半、ひと騒動あったものの、ようやく馴染み始めた頃合い。
去年はモララーがまた無茶をして、部員をかき集め、全員が幽霊部員となった経緯がある。
対して本年度は、よく顔を出す新人が3人もいた。
(*゚ー゚)「ギコくんかっこわるーい」
(;゚Д゚)「先輩たち化け物すぎる……」
从 ゚∀从「さーせん、遅れましたー」
308
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:39:36 ID:YCMhDvSo0
1人はインカレの名目で他校から入部し、定期的に顔を出すブーンの妹、ハインリッヒ。
从 ゚∀从
もう1人は恋人が入部したため、良い所を見せたい一心で顔を出すようになった男、ギコ。
(,,゚Д゚)
最後は競技にはあまり参加せず、マネージャーのような立ち位置となった少女、しぃ。
(*゚ー゚)
その時、先輩たちに一度も勝てない新人・ギコが、突如、爆弾を投下した。
(,,゚Д゚)「あ、そーいえば、ずっと疑問だったんッスけど。先輩たちの中で一番強い人って、誰なんッスか?」
瞬間、空気が凍る。ある意味、その言葉はサークル内での禁句だった。
最初に自信ありげな声を上げたのはブーンだ。
ξ゚⊿゚)ξ「ギコ君……君はパンドラの箱を開けてしまったようね」
( ^ω^)「当然ブーンだお。運動神経ならぜってー負けねーお!」
('A`)「運動神経はやたらいいのは認めるが、サバイバルマッチじゃ一度も優勝経験のないだろお前」
( ^ω^)「皆で寄ってたかって僕を狙うのが悪いお! タイマンなら負けないお!」
川 ゚ -゚)「お前ら、私の秘密兵器に毎度多数対1を挑むではないか! タイマンならば私こそ負けん!」
(*゚∀゚)「えっ一番強いの、モララーなんじゃないかなぁ。毎回皆手玉に取られてる気が?」
(´・ω・`)「モララーは優勝回数、地味に少ないんだけどね。場をかき乱して笑ってるだけってことが多い」
lw´‐ _‐ノv「ごめんね、この人根がひねくれてるから……」
309
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:40:33 ID:YCMhDvSo0
『最強』
その称号は、負けず嫌いの多いメンバーにとっての鬼門だった。
ほとんど全員が、ひそかにこう思っているのだ。「たとえ誰が相手でも、秘策を使って勝つのは自分」だと。
故に、無難な名前を挙げたり、言い訳をしたりしつつも、お互いに笑顔で牽制をしあう。
(,,゚Д゚)「えっ……えっ?」
( ・∀・)「こうなったら、決めるか? 最強を……!?」
_
( ゚∀゚)「熱くなってきやがったッ!!」
( ・∀・)「競技は、……そうだな。チャンバラでよろしいか?」
从 ゚∀从「いいんですか? 先輩。そんなスポーツ的なもので。手加減しないですよー」
(´・ω・`)「何を持ってチャンバラとするかだね、下手なルールは銃器が飛び交うよ」
('A`)「チャンバラとは一体なんなのか。哲学だな」
( ФωФ)「発泡ウレタンスプレーがここにある。インクを染ませて、相手を一定範囲塗れば勝ちというのはどうであるか?」
ξ゚⊿゚)ξ「ウレタン越しじゃなきゃNGなら、斬撃は1発。飛び道具は数発当てる必要があるわけね」
lw´‐ _‐ノv「大きい銃器なら1発KO狙えても、装填や連射に問題がある、と?」
(*゚ー゚)「既にチャンバラじゃない気が……」
_
( ゚∀゚)「待った。水鉄砲の前科がある。標的を隠すのは、なしにしよう」
(´・ω・`)「じゃあ、身体か服にウレタンを介してインクが一定範囲以上着いたら負け、かな」
310
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:41:15 ID:YCMhDvSo0
( ・∀・)「あと、今回は声もあったしな、タイマン。つまり、トーナメント式にしたい」
( ФωФ)「それだと、ツンが不利か? 隠形術が一切使えなくなる」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、今回は私が審判やるわ。そもそもチャンバラじゃ勝てそうにないし」
(*゚ー゚)「果たしてチャンバラになるのか、という疑問が残ってますが……」
( ・∀・)「それなら、ツンには実況をお願いしていいか? 外部も呼ぶ。観衆もつけよう」
ξ゚⊿゚)ξ「裏放送で顔も知れてるし、いいわよ」
从 ゚∀从「外部? 一般参加呼ぶんですか?」
(´・ω・`)「トーナメント形式だと人数が合わないんだよ」
( ・∀・)「あとは、部費回収をしたいのと、新入生にインパクトを与えたい目的もあるな」
川 ゚ -゚)「てことは、観戦有料か? 人が集まるか?」
( ・∀・)「いや席は無料にして、ビールとジュースとつまみで稼ぐ」
_
( ゚∀゚)「しぃちゃんは出る? 怪我するかもだし、やめとく?」
(*゚ー゚)「私やめておきます。でも、その分ギコ君が頑張るから大丈夫です!」
(,,゚Д゚)「……。えっ?」
(´・ω・`)「ギコ……」
lw´‐ _‐ノv「んー、私もパスかな。ちょっと予定あわんね。遅れていくよ」
311
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:41:56 ID:YCMhDvSo0
ξ゚⊿゚)ξ「場所は、学内ステージでいい? あの屋根だけあるところ」
川 ゚ -゚)「人が集まるならそこがベストだな。しかし、優勝賞品はどうする?」
从 ゚∀从「あ、確かに、参加者募るなら良い賞品用意しないと」
( ・∀・)「ああ、それは俺のポケットマネーから出すよ」
_
( ゚∀゚)「マジか。講義レポートを一年分とか?」
( ・∀・)「百万円」
lw´;‐ _‐ノv「はぁ!?」
('A`)「やべえ、モラが久しぶりに本気だ!」
( ・∀・)「最強を決めるんだろ? 最強は、この俺だ。なら、幾ら金を出しても俺が回収するから問題ない」
lw´;‐ _‐ノv「えっ!? それ私との同居資金だよね!? ねえ!? 笑ってないで答えてモラさん!!」
(´・ω・`)「今凄い問題発言飛び出たんだけど? 大丈夫?」
( ・∀・)「俺が優勝を逃がすと、同居が一年遅れるという弊害が出るくらいの問題だな」
lw´‐ _‐ノv「今の時点で同居そのものが不安になってきたんだけど!?」
312
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:42:38 ID:YCMhDvSo0
ξ゚⊿゚)ξ「シュー、諦めなさい。こいつが言い出したら絶対聞かないわ」
( ФωФ)「つまり、モララー以外が優勝すれば、同居を阻止できる。と?」
_
( ゚∀゚)「リア充死すべき、慈悲はない」
川 ゚ -゚)「おっと、ここにきて、非リア組が燃えてきたぁ!」
(´・ω・`)「同居阻止! 同居阻止!」
(,,゚Д゚)「先輩たちの会話がハード過ぎます!」
川 ゚ -゚)「おっと、ここにきて、非リア組が燃えてきたぁ!」
(*゚∀゚)「ショボンって彼女いるんじゃなかったの?」
('A`)「やはり妄想……」
(,,゚Д゚)「筋肉が服着て歩いてるような先輩に彼女なんて、やっぱりいなかったんですよ」
(´・ω・`)「ギコ君あとで校舎裏な。最近予定すれ違って会えてないだけだよぉ!」
(,,゚Д゚)「なんで俺だけ!?」
313
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:43:21 ID:YCMhDvSo0
準備は入念に、着実に行われていた。
事前計画書や学内施設借用届などの資料作成。
( ・∀・)「会場の許可とポスターの掲示許可下りたぞ」
_
( ゚∀゚)「マジかよ。何でこれが通るんだよ。お前あくどい手使ってないだろうな?」
( ・∀・)「いいからポスター手分けして張るぞ。こい」
(*゚ー゚)「先輩、私も行きます」
掲示物による大会の告知。参加費の決定。ビールや焼き鳥などの準備。
(;'A`)「参加者から参加費2000円も取るの? 参加者減らない?」
( ・∀・)「スポーツ保険の1日限定が1500円だし、あとはプロテクターの500円だ。しゃーねえよ」
(*゚∀゚)「細則もその保険通すために決めてるしねー」
プロテクター等安全器具の借用。観戦席の確保。会場の設営。
314
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:44:38 ID:YCMhDvSo0
前日は泊まり込みで会場設営や資材の搬入まで念入りに行うほど。
相当本格的な行事となっていた。
lw´‐ _‐ノv「ツン、スピーカーの音量調整するからなんかマイクに向かって喋れ」
ξ゚⊿゚)ξ『ひんにゅーひんにゅーないちちないちち』
川#゚ -゚)「よしその喧嘩買った!」
最後に、参加者に対する、何があっても訴えないと宣誓する参加用紙。
(´・ω・`)「横断幕これでいいー?」
( ФωФ)「ちょっと右が低いである」
全てが整うまでに一か月の期間を要した。
(ll!゚Д゚)「……」
予想を遥かに超える大規模な準備に、ギコの顔が蒼くなったのは言うまでもない。
315
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:45:24 ID:YCMhDvSo0
( ・∀・)ルール総括ッ!
Ⅰ.ウレタンを用いて身体か着衣にインクが一定範囲以上着色された時点で敗北。判定は審判が行う。
インクを染ませたウレタンスポンジソードは参加者全員に配布される。
Ⅱ.会場は学内多目的ステージ。屋外だが、簡易屋根がある。ステージ上から落ちれば場外敗北。
Ⅲ.タイマン勝負によるトーナメント方式。開催直後に抽選を行いトーナメントが決定する。
Ⅳ.審判は公平性のため、協賛である剣道サークル幹事クックル氏に依頼する。
Ⅴ.審判が必要と判断した場合に限り、試合の一時中断を宣言できる。
また繰り返しの注意、重篤な危険を孕む場合は、強制棄権をすることも可能。
Ⅵ.賞金100万円が優勝者に配布される。
(その他、有効打とされるインク面積や武器の安全規定など、細かい規定は省略)
316
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:46:09 ID:YCMhDvSo0
('A`)「ルールがシンプルだな」
( ^ω^)「ああ、ちょっとこれはやべーお」
(,,゚Д゚)「シンプルだと何が問題なんスか?」
('A`)「んー。モララーが大金を出すってことは、絶対勝てる自信があるから、どんなリスクも怖くないってことだ」
(,,゚Д゚)「それはわかります」
('A`)「じゃあ、俺たちがズルでモララーの予想外なことをしたらどうなる?」
(,,゚Д゚)「そりゃあ、モララー先輩が負ける可能性がありますね。必勝法の想定外ってわけですから」
( ^ω^)「で、ルールがシンプルってことは縛りが少ないなら、できることが多いお」
(,,゚Д゚)「じゃあ、予想外をしやすいから、モララー先輩に勝てるかもってことですか?」
('A`)「逆だバカ。モララーは縛りを加える気がなかった。つまり、どんなズルも跳ね除けるほど自信があんだよ」
(;゚Д゚)「そうなるんスか!?」
( ^ω^)「ま、それでもブーンは勝つおー」
('A`)「へっ今回は共闘できねえぜ? モララーと当たってもしらねーぞ?」
(,,゚Д゚)「ほぼ罠ってわかってるのに、先輩たちは勝つ気なんスね」
('A`)「奴はルールは絶対守るからな。そして、絶対に勝てるようなルールにはしない」
( ^ω^)「そもそも、ルールは僕ら皆で決めたんだお? ここは奴の土俵じゃないお」
('A`)「そーいうことだ。秘策もあるしな」
317
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:46:56 ID:YCMhDvSo0
ξ゚⊿゚)ξ『レディィィス!! アーン、ジェントルマァァァン!』
ゴシックロリータがやけに似合うツンが、ステージ上で吠える。
隣に立つクーは、なぜか作業用のツナギ姿でそのサポートをしていた。
二人はマイクを手に、全身で熱さを表現しながら息もつかせぬ声を張り上げる。
川 ゚ -゚)『諸君! 最強とは何か!? 諸君! 最も強い者とは誰なのか!?』
ξ゚⊿゚)ξ『最強! それは単純な力比べではない! 情熱、理想、信念、知識、技術、頭脳、戦略、戦術、準備!』
川 ゚ -゚)『周到さ、強かさ、冷徹さ、瞬発力、持久力、忍耐力! それら全てを持つ者に与えられる称号!』
ξ゚⊿゚)ξ『我らVIP工業の最強は誰か!? 我こそはと思う14人の精鋭が、今チャンバラで雌雄を決する!』
川#゚ -゚)『卑怯もへったくれもない、意地と意地をぶつけ合う、最強を決める戦いが観たいかぁ!?』
ξ#゚⊿゚)ξ『やりすぎなくらい本気を出した大人のチャンバラが見たいかぁ!?』
「「「「「うおおおおおおおお!」」」」」
ξ゚⊿゚)ξ『おーけー!! それでは第一回! VIP工業チャンバラ大会!』
ξ゚⊿゚)ξ『『開ッ催ッッッ!!!』』(゚ -゚ 川
観衆は大声で盛り上がっているが、よく見れば先導する数名はモララーの友人だ。
念入りなことにサクラを仕込んでいたらしい。盛り上がれば、酒やつまみが売れ、金に繋がる。
この周到さがモララーが最強候補に挙げられる所以だろう。
318
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:47:37 ID:YCMhDvSo0
( ・∀・)「いやー、久しぶりにこんなに大掛かりなことしたね」
( ФωФ)「去年のローション相撲以来であるな」
(,,゚Д゚)「なんですかそれ……」
( ・∀・)「女性陣も参加した、ぬるんぬるんになりながらくんずほずれずの試合だ」
(*゚∀゚)「シューちゃんの水着が、色んな意味で凄かったね」
(*゚ー゚)「ギコ君そういうのが気になるの? シュー先輩グラビア並みだし……その……」
(,,゚Д゚)「いやそう言うわけじゃないよ!?」
(´・ω・`)「現実はローション相撲とはなんなのか、首をかしげる戦いだったけどね」
('A`)「クーがローションを吹っ飛ばして足場確保したのが悪い」
( ^ω^)「いや、シューちゃんの水着がモララーを消し炭にしたのもかなりやべーお」
从;゚∀从「どういうことなの……」
_
( ゚∀゚)「シューちゃんが水着とは名ばかりの、アルミホイル製スタンガン仕込み全身スーツ着て出てきた」
( ・∀・)「あの時のハグはいつになく情熱的だったよ」
从 ゚∀从「シュー先輩の愛って殺意に似てますね」
( ФωФ)「モララーの、自分から抱きつきにいって気絶するまでハグし続けたその姿勢は評価したいであるな」
(,,゚Д゚)「モララー先輩の愛は狂気に似てますね」
( ^ω^)「ってか、ハイン出番だお。そろそろ水着着て抽選ガールやってこいお」
从 ゚∀从「ちゃんと服の下に着てるから大丈夫」
319
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:53:03 ID:YCMhDvSo0
ツンがルールや安全上の諸注意を行い終える。
ワザとらしく激しい身振り手振りでスカートを翻しながら、抽選へと移った。
ξ゚⊿゚)ξ『続いて! 対戦トーナメントの抽選へと移ります!』
ステージ上でのトーナメントの抽選発表。一般参加は4人と少なかった。
怪我の恐れもあることが一因だろうが、それ以上に映研の悪名は学内に轟いており、勝てると思う人間が少なかったのだ。
しかし、その分、一般参加の質は高い。多くが剣道やスポーツ経験のある猛者である。
とはいえ、その程度で映研のメンバーに太刀打ちできるとは、誰も思っていない。
そもそも真っ向勝負させてくれるかすら怪しい。どちらかといえば、記念参加的な意味合いが強かった。
あわよくば美人のクーと戦い、あわよくば抱き着けたら、などと邪な思いを抱く者もいる。
(*゚∀゚)「私も参加するからっ! 皆応援してねー!」
从;゚∀从「(なんで私がこんなことしなきゃいけねーんだ……)」
ハインとつーは、観客を盛り上げるために何故か水着でマイクを握らされている。
つーは流石に2年もサークル活動をすれば舞台度胸もつくもので、観客に愛想を振りまいていた。
なお、2回戦以降は敗退した男性陣が登場するらしい。事実上の罰ゲームである。
320
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:53:43 ID:YCMhDvSo0
トーナメント表
. 从 ゚∀从 ──┐ ┌── (´・ω・`)
. ├┐ ┌┤
. ('A`) ───┘│ │└── (゚∀゚ )
. ├┐ ┌┤
. (*゚∀゚) .──┐││ ││┌── (゚Д゚,,)
. ├┘│ │└┤
.. ( ・-・ ) ..──┘ │ │ └── 【+ 】ゞ゚
. ├─優 勝─┤
( ・∀・) ──┐ │ │ ┌── (^ω^ )
. ├┐│ │┌┤
.( ФωФ) .──┘├┘ └┤└── (-_-)
. │ │
. ( ゚¥゚) ───┘ └─── (゚ -゚ 川
321
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:54:43 ID:YCMhDvSo0
川 ゚ -゚)『さあ、運命の対戦相手が定まりました! この中の一体誰が賞金百万円を手にするのか!?』
ξ゚⊿゚)ξ『それでは、お待たせいたしました! VIP工業大チャンバラトーナメント! 開催ですっ!』
舞台袖近くにある実況席へと移ったツンに、モララーが無線越しに指示を飛ばす。
彼は選手控え、といえば聞こえのいい、衝立の横で選手のフォローや簡単な打ち合わせをしている。
選手とはいえ、サークルメンバーはそれなりに忙しい身なのだ。
( ・∀・)『ツン。5分ほど予定オーバーだ。巻いていけ』
ξ゚⊿゚)ξ「はーい。ハインちゃん吠えてるけどどうしたの?」
( ・∀・)『第1試合だと思ってなかったからな。水着着替える時間が惜しいから、そのままプロテクターつけたら吠えた』
ξ゚⊿゚)ξ「ああ……」
( ・∀・)『とりあえずパーカーだけ羽織らせたよ』
ξ゚⊿゚)ξ「ポロリあるかしら?」
( ・∀・)『実況で煽るのはいいが、後輩からの人望なくすぞ』
ξ゚⊿゚)ξ「冗談よ、アンタじゃないんだから言わないわ」
322
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:55:28 ID:YCMhDvSo0
川 ゚ -゚)『では1回戦第1試合、初戦を飾りますはこのカード!』
ξ#゚⊿゚)ξ 『最強の遺伝子は彼女も受け継いでいる!! 兄とは違う魅惑のボディに会場の目線を釘付ける!
その強さは男女の壁すら越えてゆくのか!?
体重ヒミツ! 身長164cm! 《人類最強の妹》 内藤ハインリッヒ!』
川 ゚ -゚)『対するはこの男! その弾丸は正確無比! 狙った獲物は逃さない!
チャンバラの意味を間違えたバズーカ砲が唸りを上げる!
その銃口は勝利までもを射抜くのか!? 体重53kg!身長175cm! 《サムライスナイパー》鬱田ドクオ!」
歓声を浴び、パーカーの下に水着の女が諸手を上げて舞台袖から登場する。
逆側からはひょろりと痩せた男が、迷彩服に身を包み、片手に巨大な砲身を挙げて躍り出た。
(´・ω・`)「何か凄い二つ名つけられてるんだけど!?」
( ・∀・)「ええいこっちを見るな! 仕込んだのは俺じゃないぞ」
_
( ゚∀゚)「ツンちゃんノリッノリだな」
( ^ω^)「ツン、中学の頃はオドオドしてる不審者だったのに、成長したお」
_
( ゚∀゚)「マジで!? 全然想像できねえ!」
( ^ω^)「あとでハインあたりに聞くといいお」
323
:
名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:56:40 ID:YCMhDvSo0
(,,゚Д゚)「最初の試合はドクオとハインさんかー」
_
( ゚∀゚)「ドクオには頑張っていただきたいな。主にバスト的な意味で」
( ・∀・)「ほう。確かにハインちゃんは飛び跳ねて胸をぶるんぶるんすることになるな!」
( ^ω^)「お前ら、人の妹に欲情すんな」
( ФωФ)モグモグ「ハインちゃんは強いであるか? あんなでもドクオは結構デキるぞ」
_
( ゚∀゚)「ブーンの妹だぜ? 確かに運動神経は超人的だった。ってか、ロマ何食べてんだ?」
( ФωФ)「先日、しぃちゃんに燻製を教えてな。ジャーキーを作ったので食べて欲しいと」
(*゚ー゚)「はい! 上手くできてるか試食して欲しくて。みなさんも食べますか?」
(´・ω・`)「美味しいよ。これはお酒欲しくなるね」
( ФωФ)「流石に酒はヤバいぞ? まあ、少々喉が乾いたが」
( ・∀・)「飲みかけでいいならコーラいるか?」
( ФωФ)「おっありがたい。いただくである」
( ^ω^)「あ、合図だお。次の試合の準備始めろって、つーちゃんはー?」
_
( ゚∀゚)「もう行ったよ。つーの相手は誰だっけ?」
( ・∀・)「一般参加。たしかえーっと…… 柔道サークルの主将じゃなかったか?」
(´・ω・`)「へー、なら少しは頑張るかな?」
324
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名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:57:34 ID:YCMhDvSo0
ドクオは持ち込んだ武器を担ぐように構える。それは支給武器の短刀を射出できるガス圧式のバズーカだ。
1マガジン4発、単射式、自動ブローバック、有効射程は水平射で40m。
彼は射撃の腕は達人級である。故に、チャンバラでも銃器に近い武器を頼った。
('A`)「お手柔らかに頼むぜ?」
从 ゚∀从「そんなヒョロガリで勝てるのか? 私は先輩でも、容赦しねーぜ?」
対するハインに特殊な武器はない。
刃渡り60㎝のショートソードを2本、両手に構えているだけである。
( ゚∋゚)「両者構えてぇ!」
しかし、その構え方は常軌を逸していた。
極限まで低く構え、腰を上に持ち上げるようなその姿勢。
両手に刀を持ち、その柄で地面を捉えていること以外は、まるで陸上競技のクラウチングスタートだ。
(´・ω・`)「どういうことですかね? 解説の杉浦さん」
( ФωФ)「陸上をやっていたそうだから、初速を無理やり得てインファイトを挑むつもりであろうな」
(´・ω・`)「なるほど。確かにドクオの武器はインファイトなら弱そうですね」
( ФωФ)「銃相手なら攻撃や防御を考えずより速く接近することを重視する、という意味では確かに正解である」
325
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名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:58:27 ID:YCMhDvSo0
从 ゚∀从「私は兄ちゃんとやり合いたいんで、ヒョロガリに負けるつもりはないんですよ!」
('A`)「ほう? 心意気はいい。だが、ダメだな、全然ダメだ。先輩がてめーの脆さを教えてやるぜ」
( ゚∋゚)「始め!」
開始と同時、ハインはスタートを切るように飛び出した。
その構えは非常に低い、まるでその豊満な胸を擦り付けるように、低空ギリギリの姿勢でドクオに迫る。
それも直線的ではない、ヘビのように複雑な軌道を描きながら、スルリと距離を詰めにかかる。
( ФωФ)「銃弾避けか」
( ・∀・)「構えを低くとるのは正解だ。あのバズーカ、重さで可動範囲が狭いからな。よく見てる」
だが、ドクオの射撃は接近を許さなかった。
チャンバラソードが3連射され、方向転換のわずかな減速を狙い撃つ。
1射は回避、2射目は払い、3射目は髪をわずかにかする。じりじりと直撃に迫る銃弾。
ハインは続く最後の一撃を大きくサイドへ跳ねて回避、距離を詰め損ねた。
その間にドクオは後方に飛び跳ねて距離を取り、同時に弾倉を流れるように交換。
しかし、弾倉交換中も銃口は相手に向けたままだ。
「「「「「うおおおぉおぉぉぉお!」」」」」
思わず息を飲んでいた観客が、一瞬の攻防に遅れて盛り上がる。
326
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名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 15:59:07 ID:YCMhDvSo0
ハインは幼少期を優れた兄と比較されて育った。
世界を掴んだ両親の間に生まれた、飛び抜けて優秀な少女。
だが、スポーツの女神に寵愛された兄は、その実力の次元が違った。
从 ゚∀从 (^ω^ )
兄は大好きなお母さんの本当の子供ではない、試験管で生まれた子供。
お母さんが最後のオリンピックに出るため、仕方なく試験管で作られたニセモノの兄弟。
だが、奴は彼女の喉から手が出るほど欲しい物を、究極のスポーツの才能を持っていた。
从∀ 从 (^ω^ )
そんな思いが、幼少期の彼女を歪ませた。
だというのに、彼がリトルリーグの少年球団に入った時、たった1ヶ月で辞めてきた。
天才様は、皆が真剣にやるスポーツがお気に召さなかったのだと言う。
从∀#从 (^ω^;)
私は違った。私はお母さんの本当の子供なのに、ニセモノの兄とは違うのに、スポーツの才能がなかった。
世間一般であれば、運動神経は良い部類だった。でも私は世界一の娘である。
周囲は私に化け物じみた実力を求めた。私は兄以上の怪物でなければならなかった。
从 ゚∀从「行くぜ!」
大した努力もしないで、陸上部のエースより速く走る兄が嫌いだった。
初めて乗る一輪車で、曲芸のようにくるくる回れる兄が憎かった。
動画で観ただけのプロ選手の動きを、たった数回練習しただけで真似してのける兄を恨んだ。
('A`)「甘い甘い!!」
ハインはまた、低い姿勢で走り出した。対するドクオは冷静に迎撃を行う。
彼がどのようなことに悩んでいたのか、今はわかる。
だが、当時は才能に恵まれながらもワガママを続けているようにしか見えなかった。
327
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名も無きAAのようです
:2015/05/23(土) 16:00:44 ID:YCMhDvSo0
血反吐を吐いてどんな努力をしても、遊び呆けている兄がそれ以上を簡単にやってのける。
どんなに頑張っても周囲は兄と比較して失望する。それが悔しくて仕方なかった。
だから、本当の子供ではないと、酷い言葉を吐いたこともある。
('A`)「これでどうだ?」
だが、ある時、彼女は兄の苦悩を知った。
天才すぎる兄を異物のように扱う環境。
腹を痛めて産んだ妹を優先する家庭。
ダメな妹をみて兄に期待する周囲の大人。
ハインは気が付いた。
――兄を追い詰めたのは、私だ。私が兄と同じ、いやそれ以上に優秀なら、こんなことにはならなかった。
それは、事実ではない。ブーンはどちらかと言えば、妹を可愛がっていた。
ただ、母親が妹を贔屓した。だというのに才能を持つのが兄である事実に、ぶつけどころのない怒りを覚えていた。
だから、ハインに上を目指すよう強要した。それが事実である。
从 ∀从「うがあああぁあぁ!」
3射連続で払いのけ、開いた腹にバズーカの直撃をあえて食らう。
下手に回避すれば痕が線状に残り、アウトしていただろう。
だが、あえて真正面から受け止め、逆に被弾面積を小さくする。
――だから私はここで、兄を実力だけで打ち勝ち。もう任せていいのだと証明しなくてはならない!
ハインはその決意故に、下手な小細工はせず、支給品の武器と己が肉体だけで挑む。
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