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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。

1 ◆dKWWLKB7io:2013/10/28(月) 22:13:10 ID:6CCOWjXw0

どーも作者です。

新しく作らせてもらいました。
設定だけ作っておいて最初の二話で終わる予定だったこの話がこれだけ続くことになろうとは。

半分くらいは終わっている予定なので、もう少しお付き合いいただければ幸いです。


話の投下の前に、各人の見た目データと大まかな設定を載せておきます。


この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に設定を順守しているつもりですが、拡大解釈とまだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。


まとめ

ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/

大変お世話になっております。

.

460 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:41:49 ID:aFIw5Z7M0

巨神の放った風が弱まった瞬間に自分のお供の名を呼ぶモナー。
その声に反応したかのように身体を震わせる小型狼。

( ・∀・)「……まじか?」

水で濡れた体を乾かすかのような動きをすると、抜けた毛が周囲を漂い全員のもとに届く。。
そしてその毛に触れた瞬間、彼らのHPは回復した。

( ゚∋゚)「   」
 _
( ゚∀゚)「サンキュ!ビーグル!」

ビーグルの放った回復技は回復量は微々たるものだが、
その意志によって広範囲に広がり、
更に当たった毛の量によって回復量も変わる。

POTによる回復を行える状態ではない時は、非常に有益な技だった。

ξ゚⊿゚)ξ「ありがと!」

(´・ω・`)「ビーグルちゃんありがとう!」

( ´∀`)「ビーグルナイスもな」

全員から感謝の言葉をかけられて、嬉しそうに一声鳴く小型狼。

( ・∀・)「……あの狼も、仲間なんだな……」

渦巻いた気流を解き放った巨神が叫ぶ。
攻撃判定は無いもののその激しい声に身をすくませた。

巨神は変貌していた。

青銅の様な光沢をもっていた肌は赤黒く肉感的になり、
顔の中心の一つ目は真円の様に丸く大きく見開かれ、
その中の瞳も赤く輝いている。

.

461 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:43:15 ID:aFIw5Z7M0

(;・∀・)「げっ」

( ^ω^)「あからさまに怒ってる感じだおね」

ξ゚⊿゚)ξ「さっさと倒されればいいのに」

( ´_ゝ`)「青銅系の鉱石かアイテムをゲットできるかと思ったのに」

( ´∀`)「筋肉マンもなね」

▼・ェ・▼「キャン!」

その姿を見ても軽口を叩くメンバー達。
思わず眉間に皺を寄せてしまうモララー。

(´・ω・`)「武器も変わる!」

今まで持っていた棍棒を大地に突き刺す巨神。
そしてそばに会った白い大理石のような柱を掴むと、
一気に引き抜いた。

土煙が舞い、大地が揺れる。

ミ,,゚Д゚彡「をををををっをを」

川 ゚ -゚)「なんだありゃ」

(´<_` )「結局ハンマーは使わないってことか」

('A`)「キュクロープスは鍛冶師だけど、あんまり神様ってイメージは無いんだよな。
名前から台風とか暴風とかのイメージは出ても」

( ´_ゝ`)「鍛冶屋の風上にも置けんな」

ξ゚⊿゚)ξ「前から気になってたんだけど、そういうのって風下ならおけるの?」

( ゚∋゚)「                       」

全員「へーーーーーーー!!!すごい!クックル博識!」

(*゚∋゚)「    」

( ・∀・)「余裕だなおい」

.

462 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:44:17 ID:aFIw5Z7M0

引き抜いた柱の先は二回りほど太く、更に見るからに頑丈な棘が規則正しく十数本ついていた。

川 ゚ -゚)「また実践的な武器だな」

ξ゚⊿゚)ξ「釘バットね」

( ´_ゝ`)「モーニングスターな」

ξ゚⊿゚)ξ「何それ」

( ´_ゝ`)「武器の名前!棍の一種で」

ξ゚⊿゚)ξ「一種も何も、どうみても棍でしょ。あれ」

( ´_ゝ`)「……もういい」

( ´∀`)「兄者は武器には真面目もな」

( ・∀・)「なあフサギコ。いつもこんなかんじなのか?」

ミ,,゚Д゚彡「そうだから!」

( ・∀・)「へーーー」

(´・ω・`)「ジョルジュ!兄者!弟者!防御中心!
モナー!クックル!三人のサポートを!
残りは削るよ!
ヘイトは僕が取るけど、常に状況をみてスキル選択して!」

大きな瞳で睨む巨神に対して臆することなくチャクラムを投げるショボン。

残りのメンバーはショボンの言葉にそって武器を構え、

チャクラムは吸い込まれるように巨神の目に当たった。

巨神「ぐりゅあああぁああああわああああ!」

雄叫びと共に自分を攻撃したショボンを見る巨神。

.

463 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:45:16 ID:aFIw5Z7M0

( ・∀・)「自分に敵の敵対心、【ヘイト】を向けさせ、その隙に仲間が足元を攻撃してHPを削るのか。
理想的と言えば理想的かもしれないけど、大丈夫なのか」

ショボンの後ろをジョルジュが追うように走る。

それは巨神の振り下ろしたモーニングスターからショボンを守るためだった。

(;´・ω・`)「早い!」
 _
(#゚∀゚)「どりゃあああああああ!」

巨神の様な叫び声を上げながら、モーニングスターに向けて単発重攻撃を当てるジョルジュ。

身体ごと当たることで軌道を変え、ショボンへの直接攻撃を外す。

衝撃波によりショボンのHPが数ドット減ったが大した量ではない。
しかしジョルジュのHPは半分ほど減った。

(´・ω・`)「ジョルジュ!」

勢い余ってゴロゴロと転がるジョルジュ。
止まると同時にショボンに向かってサムズアップをするが、
強がりなのは明らかだった。

(´・ω・`)「ちぃっ」

ジョルジュと離れるように駆け出すショボン。

(´・ω・`)「ジョルジュは回復!」

ショボンの後を追う弟者。

駆け出すと同時に投げたショボンのチャクラムは、巨神の目を攻撃していた。



.

464 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:46:24 ID:aFIw5Z7M0

6.ぺラムダイヤモンド



何度となく振り下ろされる巨神のモーニングスター。
足元にいる軽攻撃班が攻撃されるのを避けるために、
ジョルジュと兄者と弟者、そしてモナーとクックルが二人で防御や対攻撃を行い対処していたが、
その攻撃は防御や対攻撃をした者のHPを半分近く削っていた。

POTによる回復が間に合わなくなった段階で各人の持つ回復結晶を使用し、
手持ちがなくなった者はギルドの共通フォルダから取り出している。

共通フォルダから出した段階でショボンは頭の片隅でカウントを開始し、
残りの数があと二つ減ったら決断をすることを決めた時だった。

( ^ω^)「ショボン!あれをやるお!」

(´・ω・`)「?あれ?……!だっ」

ξ#゚⊿゚)ξ「ダメよ!」

巨神の足元をくるくると器用に動き回って攻撃をしていたブーンが叫んだ。
そしてそれに反応したショボンより早く、ツンが叫ぶ。

ξ#゚⊿゚)ξ「『天使の神速斬(エンジェル・ホライズン)』はまだダメ!っていうか使っちゃダメ!」

( ´_ゝ`)「エンジェル?」

(´<_` )「ホライズン?」

(;^ω^)「ツ、ツン、その名前は?」

ξ#゚⊿゚)ξ「この前二人で考えたでしょ!」

(;^ω^)「ほ、保留と言うか……おことわりというか…」

ξ゚⊿゚)ξ「なに、あんたあたしのセンスにケチ付ける気?」

(;^ω^)「い、いや。ぼくの使う技としては、格好良すぎるかなーとかおもっちゃうお。
それに、どちらかというと名前自体いらないというか…」

.

465 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:47:27 ID:aFIw5Z7M0

ξ#゚⊿゚)ξ「名前付けないと、『いまのはちがうお』とか言ってあんたはあれをやるでしょ。
あれはやった後体調悪くするんだからダメよ!」

(;^ω^)「そ、それは名前のことだけだおね?」

ξ#゚⊿゚)ξ「今からやるのもダメ!」

('A`)「お前ら人が真剣に戦ってる時に笑わせるようなこと言うなよな」

ξ#゚⊿゚)ξ「何が笑うって言うのよ!」

('A`)「そのエンジェルホライズンってやつ。ダメだろ勝手に技に名前つけちゃ」

ξ#゚⊿゚)ξ「いいのよ!システム上の技じゃないんだから!」

('A`)「でも笑われてるぞ」

ξ#゚⊿゚)ξ「誰によ」

('A`)「そいつ」

川 ; -;)「えんじぇるほらいずん…」

ミ,,゚Д゚彡「笑いすぎて泣きながら薙刀を振るのは凄いから」

ξ゚⊿゚)ξ「この子はしょうがないのよ。笑いのツボとかセンスが人と違うから」

ほぼ全員が『お前が『人と違う』とか言うな』と思いつつも、攻撃と防御は続いていた。

(;^ω^)「でもこの状況を打破するには…」

ξ#゚⊿゚)ξ「だめったらダメ!」

ツンの細剣が巨神の足を切り裂く。
しかし与えたダメージは微々たるものであった。

(´・ω・`)「これだけ攻撃してもバーはまだ三分の二残ってる。
おそらくは形態が変わったことによって防御力も上がっている…。
たしかにこのままじゃあ…」

.

466 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:48:32 ID:aFIw5Z7M0

( ´_ゝ`)「撤退する前にやれることはやった方が良いだろ」

(´・ω・`)「兄者」

( ´_ゝ`)「おまえが『安全』だと思うレベルでやればいいだけだ」

(´<_` )「兄者の言うとおりだ。おれ達も全力でサポートする」

(´・ω・`)「二人とも…」

ショボンの左右を走る兄者と弟者。

振り下ろされたモーニングスターを跳ね返す金鎚と斧。

タイミングさえ合わせることが出来れば、その方が少ないHPのロスで防御できると分かり、
兄弟はその方法でショボンを守っていた。

( ´∀`)「そうもなね。やれることはやってみるもな」

( ゚∋゚)「     」

▼・ェ・▼「きゃん!」

その後を走るクックルとモナーとビーグル。
HPを九割ほど回復させ、戦線に合流した。
 _
(#゚∀゚)「どりゃああああああああああ!」

モーニングスターを跳ね返されてバランスを崩した巨神に向かって、
両手剣を赤く光らせたジョルジュが飛ぶ。

剣技のサポートを受けたその跳躍は『飛ぶ』という表現にかなり近く、
数メートルの距離を飛び、巨神の胸を十字に切り裂いた。

ほぼ同じタイミングで足元の軽装備隊も剣技による追加攻撃を行い、
やっと巨神のHPをイエローに変えた。

(´・ω・`)「……ツン!」

ξ゚⊿゚)ξ「…なによ」

.

467 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:49:40 ID:aFIw5Z7M0

(´・ω・`)「二十秒…いや、十五秒なら大丈夫なはずだ」

( ^ω^)「三十秒でも大丈夫だお!」

(´・ω・`)「ダメ!」

ξ#゚⊿゚)ξ「ダメよ!……そうね…ええ……」

ブーンに怒鳴った後、ツンはショボンを見る。
自分を見るその真剣な瞳に、ツンも思考を巡らせた。

ξ゚⊿゚)ξ「二十秒が限度よ。でも」

(´・ω・`)「うん。その前でも危険だと思ったらストップさせてくれ。
ブーン!それで良いね。本当にやれるんだね!」

( ^ω^)「大丈夫だお!」

(´・ω・`)「よし!みんな!」

( ・∀・)「おい!なんかくるぞ!!」

モララーの叫びに全員が改めて巨神を観察する。
HPが減ったことに恐怖し怒りをあらわしていた巨神は、
そのすぐ後に今までにしたことのない構えをした。

(´・ω・`)「!全員防御!」

ショボンの指示は即座であり、ほぼ同時にすべてのメンバーが巨神から距離を取る。

川 ゚ -゚)「ショボンより早く気付いただと?」

(´・ω・`)「固まって!物理防御!」

クーの呟きはショボン以外の全員が思った事だったが、
口にせずにショボンの指示に従った。

そしてジョルジュ、兄者、弟者を要所に置き、固まって防御の構えを取る。

(´・ω・`)「モララー!!」

( ・∀・)「わるい!」

.

468 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:51:12 ID:aFIw5Z7M0

フィールド内に戻っていたモララーを呼ぶショボン。
モララーも即座に近寄り、武器のタイプと連携を取れないことが分かっていたため、
大人しく塊の中心に身体を置いた。
 _
(;゚∀゚)「くるぞ!」

巨神はモーニングスターを両手で持ち、ハンマー投げの様に振り回す。
黄色く輝いたモーニングスターは螺旋を描きながら真上に向かい、
そのまま巨神の身体を空へと登らせた。

(;´・ω・`)「まずい!」

(;・∀・)「右斜め上方向からくる!」

自分達からみて右斜め上方向を指さすモララー。
上から見て時計と逆回りに螺旋を描いていた巨神の動きからすれば有り得ないはずなのだが、
何故かショボンはその言葉を信じた。

(;´・ω・`)「モナ!クックル!ジョル!ドク!モララーの指差す方向に向けてソードスキル!
武器の1.5倍以上の有効範囲刺突系!」

そしてショボンの言葉に反応する5人。

(´・ω・`)「防御!」

上空に飛んだ巨神が着地と同時に振り下ろすモーニングスター。

それはモララーの指した方角から訪れた。
 _
(#゚∀゚)!
(#´∀`)!
(#゚∋゚)!
('A`#)!

四人の武器がそれぞれに違う輝きを放ちながらモーニングスターの一点を攻撃した。

そしてショボンの投げた緑色の光が巨神の手に当たる。

その二つの攻撃によりモーニングスターの軌道が少しずれ、
彼らへの直撃を避けることが出来た。

しかしそれでもその威力は強大であり、全員のヒットポイントが半分量ほど削られていた。

(´・ω・`)「…撤退…」

.

469 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:52:40 ID:aFIw5Z7M0

( ・∀・)「するのはまだ早いぜ。ヒール!」

防御の体勢のまま苦渋の決断をしようとしたショボンの言葉を打ち消すモララーの言葉。

全員のHPが次々と全快する。
 _
( ゚∀゚)「お!」

( ゚∋゚)!

( ^ω^)「おっ」

ξ゚⊿゚)ξ「あら」

ミ,,゚Д゚彡「!」

( ´_ゝ`)「やるな」

(´<_` )「助かった」

川 ゚ -゚)「なんと」

▼*・ェ・▼「きゃん!」

( ´∀`)「ビーグルにもありがとうもな」

そして最後にショボンのHPが全快した。

(´・ω・`)「ありがとう…。モララー。そんなにいっぱい…」

( ・∀・)「それについてはこれが終わってからだな」

砕け散った12個の回復結晶。
そしてさらに数個の回復結晶を手に持つモララー。

( ・∀・)「在庫はまだまだある。回復は任せろ」

(´・ω・`)「モララー……。ありがとう。頼んだ!」

大技を出して硬直をしている巨神を見るショボン。
立ち上がり、赤と青のサイキュロプスの麻痺が解けたの見た。

.

470 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:53:36 ID:aFIw5Z7M0

7.コーニッシュダイヤモンド



ξ#゚⊿゚)ξ「ストップ!!そこまでよブーン!」

ツンが三回叫ぶと、やっとブーンが動きを止めた。

キラキラと光るポリゴンが周囲を舞っており、
その中で無表情にこちらを見たブーンの姿は神聖なものにすら見える。

(;・∀・)「なんだありゃ」

思わず見とれてしまったモララーの横を駆け抜けるフサギコ。

ミ,,゚Д゚彡「速攻!モララーも一緒にやるといいから!」

クックルとモナーが頭を押さえてうずくまったブーンを両側から抱えて引きずる様に撤退する中、
ツンを除く残りのメンバーが巨神に向かってそれぞれタイミングをずらしながら剣技を放つ。

その攻撃により、巨神のヒットポイントは赤に変わった。

ξ#゚⊿゚)ξ「このバカ!5秒オーバーよ!」

(;^ω^)「最初の…ストップは…」

ξ#゚⊿゚)ξ「20秒前でも私が止めるって言ったら止めるのよ!
それがルールだったはずよ!」

(;^ω^)「…ごめ……んだお…」

ξ゚⊿゚)ξ「二人は合流して。私もすぐ行く」

( ´∀`)「ブーン、後は任せるもな」

( ゚∋゚)「     」

(;^ω^)「たのむ……お……」

ブーンをフィールド外に出し、軽く声をかけてから巨神のもとに駆け出す二人。
二人の武器もすぐに剣技を発動させ、光を放つ。

.

471 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:54:53 ID:aFIw5Z7M0

ξ゚⊿゚)ξ「モララー!」

( ・∀・)「お、おう」

フサギコに誘われたものの、
連携での攻撃には不安が残るため後方で観察していたモララーを呼ぶツン。

当たり前の様に呼び捨てされたのだが違和感を覚えないのはツンの仁徳であろう。

ξ゚⊿゚)ξ「こいつの事宜しく。攻撃に参加しないように見張ってて」

( ・∀・)「あ、ああ。分かった」

ξ#゚⊿゚)ξ「ブーン!大人しくしておきなさいよ!」

(;^ω^)「わ、……わかってるお……」

片手で頭を押さえているブーンを辛そうに見つめた後、振り切るように巨神を見て駆け出したツン。

(;・∀・)「辛そうだな…」

(;^ω^)「ちょっと休めば治まるから大丈夫だお」

横になっているブーンの頭のそばに座るモララー。
視界の中にブーンの身体が映っているが、正面には追いつめられた巨神が見える。

( ・∀・)「でも、あのツンって彼女が行った後、額と顔の歪みが酷くなった。
無理に喋らなくていいし、痛くないふりもしなくていいぞ」

(;^ω^)「!なんでわかるんだお…」

( ・∀・)「……昔から、人の顔色を伺うのが得意なんでね。
あんたのあの攻撃のおかげであのキュクロープスももうすぐ倒せるだろ。
ゆっくり休むといい」

(;^ω^)「ありがとうだお…。…あの……。
喋っていたほうが気が紛れて痛さが和らぐから、お話しててもいいかお?」

( ・∀・)「ん?ああ、良いけど。じゃあ、おれから質問良いか?」

.

472 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 22:55:56 ID:aFIw5Z7M0

(;^ω^)「ん?良いお?なんだお?」

( ・∀・)「あれ、すごかったけど、おれに見せて良かったのか?
ソードスキルじゃ…ないよな?」

(;^ω^)「オリジナルだお。一応ギルドの仲間以外では見せたことないけど…」

( ・∀・)「そうだよな。誰でも真似できるわけじゃないけど、不味くないか?」

(;^ω^)「なにをだお?」

(;・∀・)「いやだから、おれに見せて。ほら、おれがさ、他の奴にペラペラと」

( ^ω^)「大丈夫だお」

( ・∀・)「へ?」

( ^ω^)「大丈夫だお」

( ・∀・)「え、あ、いや、へ?」

( ^ω^)「モララーさんの事は、フサギコとショボンから色々と話を聞いてたお。
すごく良い人だって。信用できるって」

( ・∀・)「あの二人が?」

(;^ω^)「ショボンはギルドに誘おうか迷ってたみたいだお」

( ・∀・)「ギルド……」

(;^ω^)「ぼくも質問いいかお?」

( ・∀・)「ん?なんだ?」

(;^ω^)「なんでさっき、右斜めの方から攻撃が来るって分かったんだお?」

( ・∀・)「ああ。……さっきも言っただろ。人の顔色を伺うのが得意だって…」

(;^ω^)「お?」

.

473名も無きAAのようです:2014/08/02(土) 22:57:22 ID:5buSNDu20
レス飛んでる…?
支援

474 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:03:59 ID:aFIw5Z7M0
>>473

ありがとうございます!

469と470の間に一つ入ります。

475 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:04:57 ID:aFIw5Z7M0
以下469と470の間



(´・ω・`)「クーとクックルは青!ドクオとフサギコは赤!麻痺!
その後は僕のサポート!
ブーンとツンと兄者は『エンジェル・ホライズン』の準備!
残りは僕と共に巨神を引き付ける!
モララー!」

( ・∀・)「お、おう」

(´・ω・`)「後方からのヒットポイントの管理を頼む!僕たちの命を預けたよ」

( ・∀・)「あ、ああ」

即断して指示を出すショボンに圧倒され、
さらにあまりに簡単に自分に大事な役目を任せることに驚きを隠せないモララー。

その瞳に迷いは無く、メンバー達も自分を見る目は同じように真摯で優しく、
そして自分を信じてくれているのが分かる。

ほんの少しの疑念を持ちつつも、その瞳を信じることに迷いは無く、
モララーは小さく、けれど強い思いを込めて頷いた。



.

476 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:08:50 ID:aFIw5Z7M0

( ・∀・)「この世界は、かなり『リアル』なんだよ。
特に人型・獣型はその目の動きから次に狙ってくる場所が分かる」

( ^ω^)「それはショボンも言ってたお」

( ・∀・)「だろうな。あいつもそれを敵の動きを読む計算材料にしている。
で、更に言うと、手足の動きや筋肉の動きも、リアルに近いんだ。
だからちゃんと攻撃する前の予備動作があるし、
予備動作に繋がる体の動きがある」

(;^ω^)「お…お…」

( ・∀・)「だからその動きを見て行動を予測して、更に目線で狙っている場所が分かれば」

(;^ω^)「次の攻撃が予想できる」

( ・∀・)「ってことだ」

(;^ω^)「……すごいお…」

( ・∀・)「……そうでもない。
慣れている…だけさ。
それに筋肉の動きはともかく、予備動作は考えて観察していれば分かるようになる。
多分予備動作の方もショボンは見ているだろ。
…おれとは違うだろうから、あいつは努力したんだろうな」

(;^ω^)「お?」

( ・∀・)「お、そろそろ終わりそうだぞ」

ブーンの攻撃で巨神のHPは黄色く色を変えていた。

そして残りのメンバーの攻撃は順当に残りのHPを削り、
ショボンが一人でヘイトを自分に向けることを担当していた。

巨神のHPが赤に変わる。

時折闇雲に振るったモーニングスターがショボンや攻撃を仕掛ける者のHPが削られるが、
黄色に変わる前後でショボンとクーが回復結晶を使い回復させた。

.

477 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:10:10 ID:aFIw5Z7M0

( ^ω^)「あのクリスタルはモララーさんの?」

( ・∀・)「ああ、さっきあんたの」

( ^ω^)「ブーンだお」

( ・∀・)「え?」

( ^ω^)「ぼくの名前はブーンだお」

( ・∀・)「……ブーンの攻撃を見てる時に、ショボンに頼まれていくつか渡したから。
本当はおれがやるつもりだったんだ」

( ´^ω^`)「『危険だから、まずは僕たちでやらしてほしい。
もし対応できない時は、助けを呼ぶから頼めるかな』って感じかお?」

( ・∀・)「セリフはほぼ正解だけど、顔が気持ち悪い」

(;^ω^)「(結構ストレートにものをいう人だおね)」

( ・∀・)「でもまあ…。良いリーダーなんだろうな。ショボンは。
フサギコがそうなのは知っていたが、お前たちも信頼しているのがよく分かる。」

( ^ω^)「ショボンは凄いお。そしてショボンを中心に作ってきたVIPは良いギルドだお。
きっとモララーさんも入ったら楽しいお」

( ・∀・)「ギルド…ね」
 _
(#゚∀゚)「どりゃああああああああ!」

のんびりと話すモララーとブーンの視線の先で、ジョルジュが気合いの籠った剣技を放つ。

首元から一直線、真下に一閃したその攻撃は巨神の残りのHPをすべて消した。

巨神「     !!」

声にならない叫び声をあげ、自らで震わせた空気の中でポリゴンへと変わる。

その様子を、疲れた呼吸で見守る九人と一匹。
そしてそれを見守る二人。

.

478 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:12:15 ID:aFIw5Z7M0

 _
(*゚∀゚)「うをっっっしゃあああああ!やったぜー!」

( ´∀`)「おわったもなね」

▼・ェ・▼「きゃん」

( ゚∋゚)「    」

川 ゚ -゚)「私も疲れたよ」

ミ,,゚Д゚彡「大変だったから」

(´<_` )「全員居るな」

( ´_ゝ`)「おれ達は流石だな」

(´・ω・`)「みんな無事で良かったよ」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン!」
 _
( ゚∀゚)「あれ?なんでそんなにテンション低いんだよ」

( ´∀`)「当り前もな」

▼#・ェ・▼「きゃん!」

川 ゚ -゚)「誰のせいでこんな危険な戦闘をしたと思っているんだお前は」
 _
(;゚∀゚)「………ごめんなさい」

一人体全体で喜んでいたジョルジュだったが、
残りのメンバーの冷たい視線を受けて身体を小さくさせた

ツンはそんな事には見向きもせず、ブーンに駆け寄る。

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫?頭痛は!?」

( ^ω^)「もう大丈夫だお」

ξ゚⊿゚)ξ「本当に」

( ^ω^)「本当だお」

二人の会話を横で聞いていたモララーは、自分を見るブーンの祈るようなまなざしを感じ、
口を開くのを止めた。

.

479 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:13:36 ID:aFIw5Z7M0

ξ゚⊿゚)ξ「なによ」

( ^ω^)「も、モララーさんにはお世話になったおね」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。モララー、ありがと」

( ・∀・)「いや、別にいいさ」

こちらを見て、深々と頭を下げるツン。
口調はぶっきらぼうだがその表情や仕草からは深い感謝の気持ちを感じられた。

( ^ω^)「そんなわけにはいかないお。このお礼はちゃんとするお」

( ・∀・)「……別に大したことは」

ξ゚⊿゚)ξ「してないなんて言わせないわよ。
ジョルジュだけでなく、私達の命も救ってくれた恩人なんだから」

( ・∀・)「大袈裟な」

ξ゚⊿゚)ξ「なに、モララー。あんた、わたし達の命が『大したことじゃない』とか言うわけ?」

( ・∀・)「え?」

ξ゚⊿゚)ξ「言うわけ?」

(;・∀・)「い、いや、言わないけど」

ξ゚⊿゚)ξ「だったらちゃんと受け取りなさい」

(;・∀・)「はい」

( ^ω^)「(ツンはモララーさんとの相性が良いみたいだお)」

自分を冷たく睨むツンに冷や汗を流すモララー。
まだ少し頭痛が残っているものの、ショボンがこちらに駆け寄ってくるのを見てブーンは立ち上がった。

.

480 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:14:46 ID:aFIw5Z7M0

8.ハーキマーダイヤモンド



 _
(*゚∀゚)「みずうみキター!」

巨神が消えた後、石舞台の奥に道がうまれた。
駆け出したジョルジュを追うように全員が続くと、そこには水面光らせた大きな湖に辿り着いた
 _
(*゚∀゚)「釣りをするぞー!」

いそいそと釣りの準備を始めていたジョルジュを呆れた目でみるメンバー達だったが、
その嬉しそうな姿に肩をすくめながらも思い思いに周囲の散策を始めた。
 _
( ゚∀゚)「おいしいさかな!おいしいさかな!」

子供の様にはしゃぐジョルジュだったが、竿は全く動かなかった。
 _
( ゚∀゚)「………あれ?」

川 ゚ -゚)「レベルが足りないんじゃないか?」
 _
(;゚∀゚)「……え」

ジョルジュとクーの会話をにやにやと見ている兄者と弟者。
木陰で休むブーンも、隣に座るツンと共に笑っている。

( ・∀・)「釣りってやったことないけど、すぐ釣れるんじゃないのか?」

(´・ω・`)「湖にもレベルがあるらしくて、釣りスキルのレベルが低いと釣れないらしいけど」

( ・∀・)「ああ…なるほどね」

憐みの目で見るモララーの視線を振り払うかのようにジョルジュは竿を振った。
しかし竿は反応せず、ジョルジュは視線が痛かった。

('A`)「なあ、なんかこの湖普通と違くないか?」

そんな微妙な空気の中、湖の周りを歩いていたドクオとクックルとフサギコが戻り、
ジョルジュとクーに寄ってきた。

.

481 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:16:43 ID:aFIw5Z7M0

( ´∀`)「なにかあったもな?」

( ゚∋゚)「     」

ミ,,゚Д゚彡「おかしいから」

('A`)「いや、この湖だけどよ、覗き込んでも顔が映らないんだよな……ん?」

ξ゚⊿゚)ξ
( ^ω^)
川 ゚ -゚)
( ´∀`)
( ´_ゝ`)
(´<_` )

('A`;)「え?あれ?おれ、なんか変なこと言った?いや、この湖は変なんだけど」

ξ゚⊿゚)ξ「あんた、わざわざ湖覗き込んで自分の顔見ようとしたの?」

( ^ω^)「……しらなかったお。そんなことをしているなんて…」

川 ゚ -゚)「本気で引く」

( ´∀`)「美意識は人それぞれもなね」

( ´_ゝ`)「前から変なやつだとは知っていたが…」

(´<_` )「死んでも花は咲かないと思うぞ。多分」

('A`)ウツダシノウ

ふらふらと湖の畔にひざまずき、顔を近付けようとするドクオをフサギコとクックルが慌てて止める。

(;゚∋゚)「      」

ミ;,,゚Д゚彡「や、やめるから」

.

482 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:18:48 ID:aFIw5Z7M0

(´・ω・`)「はいはい。みんなからかわないの」

▼・ェ・▼「きゃん!」

ξ゚⊿゚)ξ
( ^ω^)
川 ゚ -゚)  「「「「「「はーい」」」」」」
( ´∀`)
( ´_ゝ`)
(´<_` )

ビーグルを胸に抱いたショボンが六人を諌める。
その横ではモララーが何とも言えない微妙な表情をしている。

(;・∀・)「なんだこいつら」

(´・ω・`)「で?何が変なの?」

ミ,,゚Д゚彡「湖に、何も映ってないから」

(´・ω・`)「映ってない?」

( ゚∋゚)「          」

(´・ω・`)「ああ、なるほど」

湖を覗き込むショボン。
ビーグルも身体をもぞもぞと動かしながら、覗いている。

ショボンが動いたと同時にフサギコの隣に移動するモララー。
そして彼にだけ聞こえるように声をかけた。

.

483 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:20:19 ID:aFIw5Z7M0

( ・∀・)「ふさぎこ」

ミ,,゚Д゚彡「?」

( ・∀・)「さっきから気になってたけど、あの人、喋ってるの?」

ミ,,゚Д゚彡「クックル?」

( ・∀・)「ああ」

ミ,,゚Д゚彡「クックルは…だから…」

( ・∀・)「ああ、良いよ別に。ちょっときになっただけだから」

ミ,,゚Д゚彡「……ごめん…だから…」

( ・∀・)(おそらくはギルマス、ショボンの箝口令…だろうな。
締める所は締めてるってところか。でも、てことはつまり、彼の声は何か重要なのか?
でもそれなら、おれの前で喋っているような行動はとらないとも思うが…)

(´・ω・`)「ビーグルちゃん危ないよ。…ほんとだね。映らない」

( ´∀`)「なんとなく風景にも違和感を感じていたもなけど、周りの木も映り込んでいないもなね」

川 ゚ -゚)「言われてみれば」

モナーの言葉に、周囲を改めて見るメンバー達。
ジョルジュは一人釣り糸を湖に垂らす。

そんな中ショボンはビーグルを地面に下ろすと、湖をクリックした。
目の前に現れるウインドウ。

(´・ω・`)「湖の名前が出ない。情報もクエスチョンマークばっかりだ。ブーン」

( ^ω^)「了解だお」

既にショボンの隣に移動していたブーンが湖をクリックする。
同じように現れるウインドウ。

( ^ω^)「お?名前は出るけどそれ以外はクエスチョンだお」

.

484 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:21:46 ID:aFIw5Z7M0

(´・ω・`)「ブーンの鑑定スキルがあってもダメなのか」

ξ゚⊿゚)ξ「名前はなんていうのよ」

( ^ω^)「『回復の泉』だお」

川 ゚ -゚)「回復だと?」

( ´_ゝ`)「泉!?この大きさで!?」

(´<_` )「気にするのがそことは流石だな兄者」

(*´_ゝ`)「褒められた」

(´<_` )「褒めてはいない」

横で漫才を始めた兄弟を気にすることなく水面に近寄るクー。
そして彼女もクリックをした。

川 ゚ -゚)「…これは…」

現れたウインドウを読んで息をのむクー。

(´・ω・`)「どうしたの?」

川 ゚ -゚)「これは、でかい回復POTなんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「はあ?」

(;゚∋゚)「    」

ミ,,゚Д゚彡「え?」

('A`)「なんだって」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、復活した」

( ´∀`)「今回は結構長かったもなね」

('A`)ウツダシノウ

.

485 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:23:12 ID:aFIw5Z7M0

(´・ω・`)「だーかーらー」

ξ゚⊿゚)ξ「はーい」
( ´∀`)「もな」

( ・∀・)「(この流れでも脱線するのか)」

(´<_` )「回復POTだと?」

川 ゚ -゚)「ああ。ただ直接飲めるわけではないから正確には違うんだが…。
持ってないんだよな…」

ウインドウを出して自分のストレージ内を検索しているクー。
しかし目当てのモノは予想通り持っておらず、ブーンに声をかける。

川 ゚ -゚)「ブーン、『ガラスの小瓶』を持ってないか?」

( ^ω^)「多分今日は…」

同じように自分のストレージ内を探すブーンだったが、
クーに顔を向けて首を横に振った。

( ^ω^)「持ってないお」

川 ゚ -゚)「そうか…」

( ・∀・)「10コルで良いぞ」

川 ゚ -゚)「もってるのか?」

( ・∀・)「いや、作れる」

クーとブーンの会話に割り込んだモララーが、ウインドウを出しながら地面に座る。
そして愛用の道具と素材を出すと、目の前に【ガラスの小瓶】を作り出した。

川 ゚ -゚)「すごいな」

( ・∀・)「ほら」

放り投げられた小瓶を慌てて受け取るクー。

.

486 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:24:15 ID:aFIw5Z7M0

川 ゚ -゚)「お金は…」

( ・∀・)「あとで良い。で、それが何になるんだ?
ガラスの小瓶って、液体系の素材を集めるくらいしか用途がないんだろ?」

川 ゚ -゚)「いや、もう一つ役目がある。通常でも使うんだ。だから、多分…」

( ・∀・)?

クーの言葉を聞いて不思議そうな顔をするメンバー達。

その視線を意識せずに、再び水面に指を近付けるクー。
そしてそのまま水面に右手の人差し指を付けると、指先がぼんやりと光った。

川 ゚ -゚)「やはりな」

そして左手に持った【ガラスの小瓶】を、光を移動させるように右手の人差し指で軽くタップした。

川 ゚ -゚)!

光り輝く【ガラスの小瓶】

メンバーは勿論手にしていたクーも驚いている中、光が収束する。
するとそこには【ガラスの小瓶】ではなく、さっきまで何度も飲んだ【回復POT】があった。

( ´∀`)「小瓶がPOTに変わったもな」

全員がその光景に呆気にとられて静かになった中、モナーが呟くとどよめきが起きる。

( ´_ゝ`)「おお!すごい!」

( ゚∋゚)「    」

( ^ω^)「だおだお」

(´<_` )「クーが回復POTを作る時にも使うのか?」

川 ゚ -゚)「ああ。各種素材と小瓶を使って作る。だからそうだと思ったんだが」

(´<_` )「思ったんだが?」

左手に持ったままの【回復POT】をタップし、情報ウインドウを出すクー。

川 ゚ -゚)「やっぱりか。くやしいな」
.

487 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:25:26 ID:aFIw5Z7M0

(´<_` )「どうした?」

川 ゚ -゚)「弟者や兄者は分かっていると思うが、
この世界では同一品であってもレベルが違うことが多々ある」

( ´_ゝ`)「武器はそうだな」

(´<_` )「ああ、防具もだ」

川 ゚ -゚)「で、基本的には店売りよりもドロップ品、
ドロップ品よりはプレイヤーメイド品の方が高い傾向がある」

( ´_ゝ`)「作る奴のレベル次第だな」

川 ゚ -゚)「ああ。で、それは武器や防具だけではなく、POTにも言えるんだ」

ミ,,゚Д゚彡「POT?」

('A`)…イワレテミルトタシカニソンナキガスル

ξ゚⊿゚)ξ「あんたはさっさとちゃんと復活しなさい」

('A`)…ジブンタチガオチコマセタクセシテ…

川 ゚ -゚)「同じ量を飲んでも、最大回復量が違う。
店売りの回復POTの回復量を1とするなら、
今私が作るPOTは1〜1.3くらいの回復量を持つ」

( ´∀`)「固定じゃないもな?」

川 ゚ -゚)「残念ながら」

(´・ω・`)「それで、今作ったPOTはどれくらいなの?」

川 ゚ -゚)「1.5倍はある」

再びどよめくメンバー達。

ξ゚⊿゚)ξ「それは凄いわね」

川 ゚ -゚)「ああ。悔しいが、おそらくは現時点で一番能力を持つPOTだろうな。
だがしかし、私も負けんぞ」

.

488 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:26:40 ID:aFIw5Z7M0

ξ゚⊿゚)ξ「あら火が付いた」

川 ゚ -゚)「これ以上の能力を持つPOTを作ってみせる。
それに、こんな作り方が出来るのならば、色々と応用が利くような気もするんだ」

にやりと笑うクーを見て、苦笑するショボンとドクオとブーン。

( ´∀`)「どうしたもな?」

( ^ω^)「しばらくの間部屋に籠っていそうだおねと思って」

('A`)「素材集めも命令されるだろうしな」

(´・ω・`)「他にもやりたいことがあるけど、高性能なPOTが作れるようになるなら協力しないとね」

三人がため息とともに話した言葉を聞いて笑顔を見せるメンバー達。

しかしモララーは一人険しい顔をしていた。

▼・ェ・▼「きゅーん?」

その足に身体を擦り付けるビーグル。

( ・∀・)「お!おお!なんだお前!」

( ´∀`)「ビーグルは賢いもな。だからモララーさんの事が気になったもなよ。
どうしたもな?」

( ・∀・)「ああ、いや、……うん。そうだな。……ま、いいだろ」

少しだけ口澱み、迷うように周囲を見る。
不思議そうに自分を見るギルドVIPのメンバー。
その中の一人に、自分を心配する心の優しさを見る。
そしてもう一人からは自分を信じているかのような強さを感じ、それを信じてみることにした。

迷いを断ち切る様に指を振り、再度呼び出したストレージから一つのアイテムを選ぶ。

.

489 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:27:51 ID:aFIw5Z7M0

そして外に出したアイテムを掴むと、クーに向かって放り投げた。

川;゚ -゚)「お、おい。きゅうになんだ」

慌てて受け取るクー。
そして受け取ったアイテムをしげしげと見た。

川 ゚ -゚)「クリスタルに似ているが…こんな透明で色が付いていないのは見たことがない」

( ・∀・)「名前は【空結晶】。見た目とその名の通り、何の効力も持たないクリスタルだ」

何人かが息をのむ様に驚く。
残りはなぜ驚くのかが分かっておらず、
驚いた者とクーの手の中のアイテムとモララーをチラチラと見た。

川;゚ -゚)「お、おい。そんなアイテム」

(;^ω^)「ぼくも初めてだお。
見たことないアイテムはまだまだあるけど、名前すら知らないアイテムなんて」

(´・ω・`)「モララー?それは……?
!ま、まさか…もしかして?
でも、それならあんなに一杯の回復結晶を持っていたことも説明できる……でも…」

驚くものと驚かない者。
そして驚いた者の中の一人、ショボンは一つの仮説を立ててモララーの顔を凝視する。

( ・∀・)「お、ショボン。さすがに話が早いかな。
でもまあそれよりまずは、その【空結晶】にさっきやったような作業をしてもらえないか?」

クーの顔を見るモララー。
クーはショボンを見ると、自分を見て頷いたのを確認してから再び水面に人差し指の先を付けた。

先程と同じように光る指先。
そしてその光を移動する様に、【空結晶】をタップした。

川 ゚ -゚)!

光り輝く【空結晶】。
そしてその暖かい光が収束した後には、【回復結晶】が現れた。

( ・∀・)「…なるほどね」

.

490 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:28:44 ID:aFIw5Z7M0

(´・ω・`)「モララー。説明をしてもらってもいいかな?」

( ・∀・)「ああ。そうだな。
この【空結晶】はおれのスキルで作ったアイテムなんだ。
作れるようになったのは良いけど何に使うのか全く分からないアイテムだったから、
これで謎が解けた」

( ^ω^)「で、でもそんなアイテムはもちろん、そんなアイテムを作るスキルなんて…」

( ・∀・)「スキルの名前は≪結晶作製≫」

('A`)「……もしかして……」

( ・∀・)「今のところ他に持っている奴がいるという話を聞いたことは無い。
情報屋がまとめているスキルリストにも載ってない。
おれが持っているのを話したのも、これが初めてだ」

淡々と話すモララー。
逆に聞いている者達の何人かの顔がこわばっていく。

( ・∀・)「おそらく、もしかすると。多分これは、≪ユニークスキル≫ってやつだ」




.

491 ◆dKWWLKB7io:2014/08/02(土) 23:29:45 ID:aFIw5Z7M0
少し休憩します。

12時過ぎに復活します。

492名も無きAAのようです:2014/08/02(土) 23:36:03 ID:JBd5WpvcO
待ってました!

493名も無きAAのようです:2014/08/02(土) 23:44:28 ID:g6yeSXj20
支援

494名も無きAAのようです:2014/08/02(土) 23:51:52 ID:jjAwR5hY0
まさかのユニークスキル持ちとは

495 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:06:01 ID:EuI.0M8A0
キリコさんぱねえっすな30分でした。

それでは続きの投下を行きます。

496 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:06:53 ID:EuI.0M8A0
9.ダイアモンド



(;´・ω・`)「撤収!!!!!!!!」

モララーが告白した後、一瞬静寂が彼らを包んだが、即座にショボンの叫びが静寂を切り裂いた。

そして言葉も無く戻る準備を始めるメンバー達。
 _
( ゚∀゚)「結局釣れなかった…」

ξ゚⊿゚)ξ「多分魚自体居ないわよ」
 _
( ゚∀゚)「回復効果を持つレア魚とかよ」

( ^ω^)「そんなのより、帰った後を心配したほうが良いんじゃないかお?」

川 ゚ -゚)「そうだな」

(´<_` )「ブーンの言うとおりだ」

( ´_ゝ`)「ちょっと楽しみだったりはする」

( ゚∋゚)「     」

ミ,,゚Д゚彡「き、きっと大丈夫だから」

( ´∀`)「ちゃんと怒られるだけもな」

▼*・ェ・▼「きゃん!」

('A`)「ま、がんばれ」

(´・ω・`)「話は取りあえず牧場に戻った後!モララーも一緒に来て!」

( ・∀・)「え?いや別におれは」

(#´・ω・`)「良いから来る!!」

( ・∀・)「……はい」

.

497 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:08:03 ID:EuI.0M8A0

隊列を確認して帰路につくギルドVIPのメンバーとモララー。

森の出口で待ち構えていた、情報屋のアルゴと出会ってしまうハプニングもあったのだが、

(´・ω・`)「あとでまとめて報告するから!今はごめん!!」

(アルゴ)「え、いや、ショボン、ちょっと待って……行っちゃったヨ」

といった会話をした後に、アルゴの目の前を風のように去って行った。

(アルゴ)「何かあったのかナ。報告を楽しみにしておくヨ」

ジョルジュとショボンに『ふりかえりの森』の情報を売ったのが彼女なのだから当然なのだが、
この後に彼女とショボンの駆け引き合戦が行われたのはまた別の話である。



ギルドVIPホーム。

とは名ばかりの、VIP牧場にあるレストハウスの大きなリビングである。

牧場側は一面ガラス張りのため日中なら青々とした牧場が見えるのだが、
もうすでに日が落ちているため夜の闇に閉ざされていた。

( ・∀・)「ここがお前らのホームなんか?」

(´・ω・`)「そうだともいえるし、違うともいえる。
まぁ全員が集まって相談をする場合は、今はここを使ってるんだよ」

( ´∀`)「VIP牧場にようこそもな」

▼・ェ・▼「きゃん!」

ミ,,゚Д゚彡「そこのソファーに腰掛けると良いから」

思い思いの場所に腰掛けるメンバー達。

おそらくはいつもの場所なのだろう。
なんとなく居心地の悪さを感じながらも、フサギコに言われたソファーに座るモララー。

.

498 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:09:32 ID:EuI.0M8A0

ショボンとフサギコが忙しく歩き回ると、いつの間にか目の前に飲み物とお菓子が置かれていた。

(´・ω・`)「さてと、それじゃあいくつか整理しようか」
 _
( ゚∀゚)「さっさと初めて、さっさと飯にしようぜ!」

(´・ω・`)「ジョルジュは夕飯の後に今日のことについて説明してもらうからよろしく」
 _
(  ∀ )「あ、いや、うん。ゆっくりちゃんと整理しましょう」

ξ゚⊿゚)ξ「ほんとバカよね」

(´・ω・`)「湖の事とかクーが発見したPOTの件とかもあるけど、
まずはやっぱり……モララーの持つスキルについてだと思う」

( ・∀・)「あーいや、だけどよ、おれはほら、このギルド」

(´・ω・`)「うん。ギルドのメンバーじゃない。
でも、知ってしまった以上、この話し合いに付き合ってもらいたい。
きっと、モララーの為にもなるはずだから」

( ・∀・)「…おれの為……ねぇ…」

(´・ω・`)「正直に言うよ。本当はギルドに誘いたかったんだ。モララーの事を。
だから今回の件は凄くイレギュラーな事態だったけれど、いい機会だと思った。
ぼく達の事を知ってもらうのに」

('A`)「今だって誘えばいいだろ」

( ^ω^)「なんで過去形なんだお?」

(´・ω・`)「今だって誘いたいよ。でも、そんな簡単な話ではなくなってしまった」

ξ゚⊿゚)ξ「どういうことよ」

(´<_` )「ユニークスキルの事か?」

(´・ω・`)「ああ」

川 ゚ -゚)「確かにすごいスキルだと思うが、そんなに気にすることなのか?」

ミ,,゚Д゚彡「モララーが入ってくれたら嬉しいから」

.

499 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:10:37 ID:EuI.0M8A0

(´・ω・`)「ドクオ、ユニークスキルの定義は?」

('A`)「え?んっと…『この世界に一つしかない、一人しか使えないスキル』で良いか?」

(´・ω・`)「そう。そして今のところユニークスキルが発見されたという報告はない」

( ´_ゝ`)「あれ?どっかのギルマスが持っているとか言う噂がなかったか?」

(´・ω・`)「攻略組、トップギルドの一つ、
血盟騎士団団長のヒースクリフさんが使うという【神聖剣】だね。
あれがおそらくそうだと言われてはいるけれど、まだ確証はないはずだよ。
というか、実際に『ユニークスキル』が存在するという確証はないはずなんだ」

( ゚∋゚)「    」

(´・ω・`)「うん。無いんだよ。所詮はエクストラスキルの一つだし、
発現条件が分からないだけで、実は他にも使える者が出てくるかもしれないんだしね。
少なくともマニュアルには存在を確定する言葉は無かったと思う」

( ´_ゝ`)「なるほど。……え?あのマニュアル全部覚えてるの?¥」

(´・ω・`)「うん」

(;´_ゝ`)「…マジか」

(´<_`;)「一通り目は通したけど、覚えては無いな…」

(;´∀`)「さすがショボンもなね」

(;゚∋゚)「    」

(´・ω・`)「それに、たとえユニークスキルがあるとしても、
【神聖剣】と【結晶作製】がそうだとは限らない」

川 ゚ -゚)「それならなおさら何が問題なんだ?」

(´・ω・`)「……この世界にいる人間すべてが、そう思っているのなら問題ないよ。
問題は、ユニークスキルは存在する、【結晶作製】はユニークスキルである、
羨ましい、悔しい、って思う連中が絶対に存在してしまうって事さ」

.

500 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:11:41 ID:EuI.0M8A0

( ^ω^)「お?でも思ったからって…」

(´・ω・`)「そう、スキルの譲渡は出来ないはずだから、しょうがない。
しょうがないと思えるのならばいい。モララーを自分の仲間に引き入れようとするだけならまだ良い」

('A`)「…PK…。プレイヤーキルに狙われるって言うのか?
でもそんなことしたら、そのスキルを使える奴がいなくなっちまう」

(´・ω・`)「この世界がただのゲームなら、死んでもログアウトするだけなら、
ユニークスキルを持つアバターを殺しても変化は無い。
でも、もし、ユニークスキルを持つアバターを、そのアカウントを消してしまったら、
ユニークスキルはどうなるんだろうね」

('A`)「?どうなるって……どうなるんだ?」

(´・ω・`)「もしも、この世界の死が実際の死に繋がる様に、
実際の死がアカウントの消滅と同義であったなら…。
ユニークスキルを持っていた者が死んだとき、そのユニークスキルはどうなるんだろう」

(´<_`;)「ユニークスキル使いが死んだとき、そのユニークスキルがまたリセットされる?」

(´・ω・`)「そう考える者がいないとは、限らない」

( ´_ゝ`)「いる…だろうな。特に昔からのネトゲプレイヤーなら妬む奴も多いだろうし」

(´・ω・`)「この世界は不確定要素が多いんだよ。
作られた、デジタルの世界なのに。
本当の、リアルの世界と同じように、色々な要素が絡み合い、謎となっている」

( ^ω^)「スキルなんて力、リアルの世界にはなかったお」

('A`)「その分だけ、あるはずの明確なルールが分からないということが、
ストレスとなっておれ達にのしかかってきているってことか」

全員がモララーを見る。
その表情はほとんどがこわばっているが、見られたモララーは飄々としたものだった。

ξ゚⊿゚)ξ「あんた、怖くないの?」

.

501 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:13:02 ID:EuI.0M8A0

( ・∀・)「ん?おれ?こわい…か…」

(´・ω・`)「モララーは、今僕が言った事なんて全部考えてあるよ」

( ^ω^)「お?」

ミ,,゚Д゚彡!

( ・∀・)「…なぜ、そう思う?」

(´・ω・`)「自分のスキル一覧に見たことのないスキルがあって、
もしかしたらそれがユニークスキルかもしれないなんてことになったら、
いろんな可能性を考えて当然だからね。
それにそのスキルをある程度鍛えてあるみたいだから、考える時間は充分にあったはず。
それを踏まえて、ぼくの知っているモララーの性格と、今日の戦い方を見れば、
そう思って当然だよ」

( ・∀・)「お前、怖いやつだな」

(´・ω・`)「ありがとう。褒め言葉として受け取るよ」

( ・∀・)「……じゃあひとつ聞こう。おれはこれからどうするのが一番だと思う?」

(´・ω・`)「血盟騎士団か聖竜連合、もしくは軍に入るのが一番だと思う。
少なくともこの三つなら、殺される可能性は少なくなると思う。
おすすめは血盟騎士団だけど、あそこが一番入るのが難しいかもしれない。
なんなら、何とかしてコネを作るよ」

( ・∀・)「ちょっとびっくりした」

(´・ω・`)「え?なにを?」

( ・∀・)「いや、うちのギルドに入れって言われるかと思ったからさ」

(´・ω・`)「今の僕たちに、君を守る力はない」

(;・∀・)「おやまあハッキリ言うねぇ」

(´・ω・`)「そんなことで見栄を張っても仕方ないからね。
ユニークスキルの件がなかったら、今頃正式にギルドへの勧誘をしているところだけど。
さすがに今そんなことは出来ないよ」

ショボンの言葉も表情も真剣そのものであり、誰も口を挟むことが出来ない。

.

502 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:14:12 ID:EuI.0M8A0

(´・ω・`)「…血盟騎士団を推すのは、ぼくの我儘でもある」

( ・∀・)「おまえの?」

(´・ω・`)「あそこならモララーを閉じ込めるようなまねはしないだろうからさ。
今までと同じように…とはいかないかもだけど、
またフサギコと三人で喋ったりすることも出来ると思うんだ。あそこなら」

ほんの少しだけ笑顔を見せるショボン。
少し悲しげだが、それは確かに笑顔だった。

(´・ω・`)「モララー。強制はしないし出来ない。
でも、君のためにはおそらく最善だと」

( ・∀・)「お前がおれの事を考えてくれているのは分かった。
だが、おれはどこのギルドにも入らない」

(´・ω・`)「モララー…」

('A`)「今のところ結晶はモンスタードロップのみで手に入る。
それを売ったりしたのが流通されている品の全て…だよな」

(´<_` )「ってことは作らなければ、システムが管理している数量を脅かすことも無いし、」

( ´_ゝ`)「ゲーマーが、手に入れたスキルを使わないわけないだろう」

( ・∀・)「おれゲーマーじゃないし」

( ´_ゝ`)「え?違うの?」

( ・∀・)「違う」

( ´_ゝ`)「じゃあいっか」

( ・∀・)「作るけどな」

('A`#)
(#´_ゝ`)「「「作るのかよ!」」」
(´<_`#)

( ・∀・)「なんか色々慣れてきて面白くなってきた」

.

503 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:15:15 ID:EuI.0M8A0

(´・ω・`)「…何故?ギルドに入らない?
もちろんポリシーとか煩わしいからとか言う人もいるのは知ってるけど、
モララーは、違うよね?」

三人を気にせずにモララーと向き合うショボン。
その真剣な瞳に、モララーは笑顔で返す。

( ・∀・)「ほら、おれってイケメンじゃん」

思いもかけない返答に、ショボンとフサギコ以外の目が点になった。

立ち上がるモララー。
周囲を見回しながら、続きを話す。

( ・∀・)「だから昔っから結構敵が多かったんだよな」


.

504 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:16:05 ID:EuI.0M8A0


豚女「あいつマジ顔だけだよねー」
鳥頭女「マジマジ?でもかおはよくね?」
馬面女「成績もいいけど、面白くないって」
足裏面女「やっぱり施設育ちはダメだよね」


.

505 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:17:17 ID:EuI.0M8A0


( ・∀・)「男からは妬まれて、」



.

506 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:18:24 ID:EuI.0M8A0


猿男「ちょっと顔が良いってあいついい気になってないか」
滓男「ほっとけほっとけ。ただの顔だけ野郎だ」
短足男「あいつ友達いないってホントか?」
胴長男「らしいぜ。いつも1人だしよ」



.

507 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:19:26 ID:EuI.0M8A0


( ・∀・)「女はおれを手に入れるために仲違いをし、」



.

508名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 00:19:28 ID:iKtle9.c0
支援

509名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 00:21:29 ID:GOpZn4Nw0
しえ

510 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:22:12 ID:EuI.0M8A0


豚女「げ。まじで?親無かよ」
鳥頭女「あれ?でも三者面談に汚い爺さん来てなかった?」
馬面女「なんか複雑みたいよ。
今はじいさんばあさんと一緒だけど、小っちゃいころはそういう施設にいたんだって噂」
足裏面女「マジキツイわー」



.

511 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:23:05 ID:EuI.0M8A0


( ・∀・)「付き合った女は独占欲が酷くてさ」



.

512 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:23:47 ID:EuI.0M8A0


ギャル「ぼっち落とすのチョー簡単だったよー。
友達いないから金持ってるし。良い財布。
え?本命?いるよー。いま転勤で遠距離。
卒業の頃に戻る予定だから、そしたら結婚するんだ。
ほら、とりあえず隣にいたら自慢できる顔じゃん。あいつ。
いいの、いいの。あたしと付き合えて感謝してもらわなきゃ」



.

513 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:24:32 ID:EuI.0M8A0


( ・∀・)「だから、仲間とかうざいんだ。ってことで、ギルドには入らない」


.

514 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:25:43 ID:EuI.0M8A0


(  ∀ )「もう、信じるもんか」



.

515 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:26:32 ID:EuI.0M8A0

ξ゚⊿゚)ξ「きも」

川 ゚ -゚)「ひくわー」

('A`)コレダカライケメンハ

(;^ω^)「流石にひどいお」

ξ゚⊿゚)ξ「とか、」
川 ゚ -゚)「言うとでも、」
('A`)「思ったか?」
( ^ω^)「お?」

(;・∀・)「え?」

モララーの告白に分かりやすい嫌悪を見せた四人だったが、
すぐに笑顔に変わる。

.

516 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:27:50 ID:EuI.0M8A0

ξ゚⊿゚)ξ「そこの男と長いこと友達やってるとね、結構わかってくるのよ」

('A`)「そいつが言っていることが、本心かどうかってくらいはな」

川 ゚ -゚)「今のお前の言ったことは、嘘ではないかもしれないが本心ではない」

( ^ω^)「っていうか、結構わかりやすかったお。だおね」

兄者達に同意を求めると、何人かが頷く。

(;・∀・)「か、勝手にしろ」

慌てて部屋を出ようとするモララー。
しかしドアの前に、フサギコが立ちふさがる。

(;・∀・)「おれはギルドには入らない。どけよ、フサギコ」

ミ,,゚Д゚彡「ダメだから」

(;・∀・)「ああ?」

ミ,,゚Д゚彡「モララーは、VIPに入るから」

(;・∀・)「おまえ、何を言って?」

(´<_` )「お、フサギコが言うか」

( ´_ゝ`)「あのフサが言うようになったな。
お兄ちゃん嬉しい」

(´<_` )「なんだ、フサギコの兄貴になったのか?」

( ´_ゝ`)「なんだ弟者。やきもちか?
バカだなあ。おれの…」

(´<_` )「よしわかった。次のフロアのボスにソロで挑め」

( ´_ゝ`)「死亡フラグは立てませーん」

(;・∀・)「え?こんな時まで脱線?」

ミ,,゚Д゚彡「モララーはVIPに入らなきゃだめだから」

(;・∀・)「しかもスルーした!」

.

517 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:29:00 ID:EuI.0M8A0

( ^ω^)「ツッコミ要因としてもギルドに欲しいお」

( ゚∋゚)「       」

ξ゚⊿゚)ξ「言っとくけどクックルだって充分ボケだからね」

(;゚∋゚)?

ξ゚⊿゚)ξ「このギルドでツッコミだけしてるのは私ぐらいでしょ」

('A`)「(これがまた本気だからな)」

( ^ω^)「(しっ。聞こえるお)」

川 ゚ -゚)「(もう聞こえているぞ)」

ξ#゚⊿゚)ξ「なに?そこの二人文句あるの?」

('A`)「ありませーん」
( ^ω^)「ないお」

( ´∀`)「このギルドは楽しいもなよ」

(;・∀・)「うわ。ここでおれに戻すのか」

▼・ェ・▼「きゃん!」

(´・ω・`)「確かに馴染んではいるみたいだけど」

(;・∀・)「なじんでないし」

ミ,,゚Д゚彡「はやく認めると良いから」

(;・∀・)「なにを?」

(´・ω・`)「でも…」

( ´∀`)「仲間が増えてうれしいもな」

(;・∀・)「おれの意思はどうした!?」

.

518 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:29:58 ID:EuI.0M8A0

( ´_ゝ`)「うむ。腕は確かだな」

(;・∀・)「なんの?」

(´<_` )「爪スキルもエクストラスキルだよな?」

(;・∀・)「そっちなんだ!」

ミ,,゚Д゚彡「モララーは入ると良いから」

(;・∀・)「おまえはまじめか!」

( ゚∋゚)「      」

(;・∀・)「おれには聞こえないから!」

(;゚∋゚)「!……」

川 ゚ -゚)「あー。クックルが落ち込んだ」

( ^ω^)「だめだおモララーさん」

('A`)カワイソウニ…

(;・∀・)「え?なに?今の俺が悪いの?ごめんなさい」

川 ゚ -゚)「お前の持つスキルをうちで活かしてみないか?」

( ・∀・)「やっと本音が出たなこのやろう。金を稼ぐなら自分でやるよ」

川 ゚ -゚)「?もう相方がいて漫才でもどこかのステージでやるのか?」

(;・∀・)「そっちのスキルかよ!やらねーよ!
っていうかそんなスキル持ってないから!」

( ^ω^)「これもノリツッコミに入るのかお?」

(;・∀・)「しるか!」

.

519 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:31:03 ID:EuI.0M8A0

ξ゚⊿゚)ξ「でも確かにこのツッコミスキルは惜しいわね」

(;・∀・)「引っ張るな!」

( ´∀`)「でもこのギルドに入るとボケに回るかもしれないもな」

( ^ω^)「おー」
ξ゚⊿゚)ξ「あー」
川 ゚ -゚)「あー」
('A`)アー
( ´_ゝ`)「あー」

視線が弟者とクックルに注がれる。

(´<_` )「おれは違うぞ。断じて違うぞ。モララー、信じてくれ」

(;・∀・)「だからおれにふるな!」

(;゚∋゚)「            」

(;・∀・)「だからおれには聞こえないって」

( ゚∋゚)「!…………」

(;・∀・)「?」

( つ∋゚)「     」

(;・∀・)「ごめんなさい!泣かないで!って言うか実は涙出てないよね!
手で隠して泣いてるふりしているだけだよね!
やっぱりおれはこの件に関して悪くないと思うんだけど!」

ミ,,゚Д゚彡「はやくギルドに入るって言うと良いから」

(;・∀・)「だからおまえはひとりまじめか!」

▼*・ェ・▼「きゃん!」

(;・∀・)「もうやだショボン!どうにかしてくれ!」

.

520名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 00:31:19 ID:HJ2fDhZI0
ツッコミのユニークスキルか...

521 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:33:21 ID:EuI.0M8A0

出入口をフサギコにふさがれた状態で散々喋りあうメンバーとモララー。
そしてさすがに1人でほぼ全員にツッコミを入れていたモララーは疲れ果て、
肩で大きく息をしながらショボンに顔を向ける。

(´・ω・`)「ほぼ初対面でこのメンバーと渡り合うスキルと実力。
やっぱりぼくの目は正しかった」

(;・∀・)「お前もかよ!」

(´・ω・`)「今まで話していて思ってたんだ。
モララーならこのギルドでツッコミにまわれるって」

(;・∀・)「おまえのギルメンを選ぶ基準は間違ってると思うぞ」

(´・ω・`)「うん。僕は間違っていたよ。スキルなんて関係ない。
モララーにもこのギルドに入ってもらいたい。それだけだった。
後のことは一緒に考えよう。協力するから」

( ・∀・)「なんだよ後の事って」

(´・ω・`)「漫才でステージに立ちたいなら」

(;・∀・)「そこのネタをひっぱってどうするよ!」

(´・ω・`)「さあモララー、ギルドに入るんだ」

(;・∀・)「そこでいきなり命令口調!?このタイミングで!?勧誘ウインドウまでだして!?」

.

522 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:34:30 ID:EuI.0M8A0

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

.

523 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:36:04 ID:EuI.0M8A0

前からショボンとフサギコにじりじりと詰め寄られるモララー。

(;・∀・)「え?え?え?」

(´・ω・`)「さあ」

ミ,,゚Д゚彡「さあ」

詰め寄られ、ソファーに座ってしまうモララー。
その拍子にあげた腕が、その指先が、【YES】を触った。

( ・∀・)「あ」

(´・ω・`)「よし、これでギルドの一員だよ」

(;・∀・)「ちょ、おまえ!それはノーカンだろ、常識的に考えておい」

(´・ω・`)「この非常識な状態の世界で常識とか言われても困るな」

(;・∀・)「うわ、マジかこいつ」

ミ*,,゚Д゚彡「嬉しいから」

(;・∀・)「呑気に喜ぶなおい!」

( ^ω^)「モララーって呼んでいいおね?」

ξ゚⊿゚)ξ「最初から呼べばいいのよ、呼べば」

川 ゚ -゚)「さて、これでメシにできるな」

ξ゚⊿゚)ξ「女の子がメシとか言わないの」

川 ゚ -゚)「はーい」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃ、ショボン、ふさ、食事の準備お願い」

('A`)オンナノコガショクジノシタクシナインダヨナ

ξ゚⊿゚)ξ「文句あるの?」

('A`)イーエアリマセン

.

524 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:37:54 ID:EuI.0M8A0

( ´_ゝ`)「なあなあモララー。ふりかえりの森で採取したんだろ?なんかいらない鉱石無いか?」

(´<_` )「あ、兄者、抜け駆けはずるいぞ」

( ´∀`)「モララーは何が好きもな?お肉なら相談にのるもなよ」

▼*・ェ・▼「きゃんきゃん!」
 _
(  ∀ )「めし…。その後は説教……」

(;・∀・)「それでおまえはいつまでそのままなんだよ!」

( ^ω^)「おーー」

('A`)「流石のツッコミスキルだな」

ξ゚⊿゚)ξ「ちゃんと拾うわね」

( ´∀`)「ツンはめんどくさいとスルーするもなから」

川 ゚ -゚)「これで思う存分ボケられるな」

(;・∀・)「今まではなんだったんだよ!」

疲れたように身体をソファーに投げ出しつつも、律儀にツッコミを入れ捲るモララー。

その肩を叩かれ、振り向くとクックルがいた。

( ゚∋゚)

( ・∀・)「な、なんだよ」

.

525 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:40:44 ID:EuI.0M8A0

( ´_ゝ`)「なあなあモララー。ふりかえりの森で採取したんだろ?なんかいらない鉱石無いか?」

(´<_` )「あ、兄者、抜け駆けはずるいぞ」

( ´∀`)「モララーは何が好きもな?お肉なら相談にのるもなよ」

▼*・ェ・▼「きゃんきゃん!」
 _
(  ∀ )「めし…。その後は説教……」

(;・∀・)「それでおまえはいつまでそのままなんだよ!」

( ^ω^)「おーー」

('A`)「流石のツッコミスキルだな」

ξ゚⊿゚)ξ「ちゃんと拾うわね」

( ´∀`)「ツンはめんどくさいとスルーするもなから」

川 ゚ -゚)「これで思う存分ボケられるな」

(;・∀・)「今まではなんだったんだよ!」

疲れたように身体をソファーに投げ出しつつも、律儀にツッコミを入れ捲るモララー。

その肩を叩かれ、振り向くとクックルがいた。

( ゚∋゚)

( ・∀・)「な、なんだよ」

.

526 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:42:26 ID:EuI.0M8A0

( ゚∋゚)「これからよろしくな」

( ・∀・)「        」

( ゚∋゚)?

(;・∀・)「いきなり声が聞こえたーーーー!!
しかも結構良い声だぞおい!!」

( ゚∋゚)「良い声とか言われると照れるな」

(;・∀・)「そっちに反応する前に、いきなり聞こえるようになった理由を教えてくれ」

( ゚∋゚)「………きもち?」

(;・∀・)「そこで精神論かよ!しかも不思議そうに!つーか理由が分かってないのかよ!」

有耶無耶のうちにギルドの一員となったモララー。
その夜は、騒がしく過ぎていった。




.

527 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:46:17 ID:EuI.0M8A0

10.ブリリアント



五日後。

最前線の街。
転移門広場の片隅に、モララーはいた。

( ・∀・)「…久しぶりだ……」

目の前に広げた絨毯には、所狭しとアクセサリー系のアイテムが並べられている。

( ・∀・)「あのやろう…」


(´・ω・`)「とりあえず、ギルメンには必ず体術スキルは取ってもらってるから、よろしく」


( ・∀・)「よろしくじゃねえぞこのやろう」

心の中で突いているはずの悪態だが、小声で漏れているのはご愛嬌だろう。

目の前にいる二人の客も気付いていないようなので、問題も無い。

(か)「そういえば、あのギルドの話聞いたか?」

(き)「あのギルドって……ああ、VIPだっけか」

( ・∀・)?

目の前の客から洩れたギルドネーム。
どうやら自分が不本意ながらもそのギルドの一員であるということは分かっていないようなので、
そのまま聞き耳を立てた。

(か)「そうそう。すげえよな。中層ギルドなのに」

(き)「最前線とまではいかなくても、フロアボス戦レベルのクエストボスを、ここ数日で三体撃破だっけか」

( ・∀・)!?

.

528 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:47:30 ID:EuI.0M8A0

(か)「いや、たしかもう一匹倒して四体だったはず」

(き)「まじかよ」

(か)「例のふりかえりの森のボスを倒したのもあいつらなんだろ?」

(き)「あれのおかげで、NPCの店の回復POTのレベルが上がったんだっけ?」

(か)「いや、品揃えが良くなったとか聞いたぞ」

(き)「どっちにしてもすげえよなー。攻略組でもないのに」

(か)「生産系ギルドとしてはそこそこ有名だったらしいけど、
これで戦闘系としても名前が売れたな」

(き)「そういや、ユニークスキルも持ってるっていうよな」

(;・∀・)!

(か)「ギルマスが投擲系のユニークスキルを持ってるっていうあれか?」

(き)「あと、メンバーの一人が俊足のスキルを持ってるとか」

( ・∀・)?

(か)「へー」

(き)「ほんとかどうか、知らねーけどさ」

(か)「まあでもこれで、下手にちょっかいはかけられなくなったな」

(き)「攻略組も一目置いたって話だし、なんにせよ攻略が進むなら願ったりだ」

(か)「……百層…か」

(き)「血盟でも聖竜でも、もうビーターでもいいから、早く誰かクリアしてくんねぇかなぁ」

見ていたアクセサリーを置き、モララーに一声かけてから立ち去る二人の客。

しかし声をかけられたモララーは何も反応が出来なかった。

.

529 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:49:56 ID:EuI.0M8A0

( ・∀・)「どういうこと…だ?」

自然と洩れる言葉。

( ・∀・)「おれが岩と格闘している間にそんなことを?
しかも投擲と俊足のユニークスキルって…。
本気かあいつら?
いや……全部……おれのため?
おれのスキルを……隠すためか?」

指先が震える。

( ・∀・)「もしそうなら…。
おそらく全部、ショボンの狙い通り…。
なんだよそれ…。
自分達だってそんな風に注目されたら危険になるだろ。
なのに…」

目に浮かび始めた涙を、必死に止める。

( ・∀・)「まじか…。まじか…」

( ^ω^)「いたお!」

ミ,,゚Д゚彡「モララー!」

自分を呼ぶ声に一回うつむいてしっかりと目をぬぐうモララー。

顔をあげると、同じギルドのメンバーが三人いた。

ξ゚⊿゚)ξ「まったく。ちゃんとメッセージ返しなさいよ」

( ・∀・)「え?…あ。すまん」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、今日は素直じゃない」

視界の隅に浮かぶメッセージ到着を知らせる点滅。

( ・∀・)「すぐ読む」

.

530 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:51:20 ID:EuI.0M8A0

( ^ω^)「いいおいいお。すぐ戻ってほしいってメッセージだお」

( ・∀・)「ああ、悪い。え?すぐに?」

ミ,,゚Д゚彡「緊急会議だから。早く片付けるとよいから」

(;・∀・)「な、なんかあったのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「明日、あるクエストのボスにチャレンジする予定なの。
モララーも体術スキル覚えたのなら、一緒に来なさい」

( ・∀・)「うわ。命令形」

(;^ω^)「命令じゃないけど、モララーも来て欲しいお」

ミ,,゚Д゚彡「情報を集めたから、戦い方の案を出してほしいってショボンが言ってたから」

( ・∀・)「ショボンが…ね……」

何も言わず、目の前のアイテムを片付け始めるモララー。

ξ゚⊿゚)ξ「……もっと駄々をこねるかと思った」

(;^ω^)「ツン」

絨毯を丸めて立ち上がるモララー。
そしてぼそっと呟いた。

( ・∀・)「噂。聞いた」

(;^ω^)「おっ」

ミ;,,゚Д゚彡「だ、だから」

ξ゚⊿゚)ξ「あらそう。で?」

( ・∀・)「全部、あいつの思惑通りか?」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたの聞いた噂がどのレベルか知らないけど、多分そうね」

(;^ω^)「(ツンに一緒に来てもらってよかったお)」

.

531 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:54:47 ID:EuI.0M8A0

( ・∀・)「あいつ、恐ろしいやつだな」

ξ゚⊿゚)ξ「何をいまさら」

(;・∀・)「え、あ、うん。で、あんたらは良いのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「なにを?」

(;・∀・)「いや、ほら、名前が売れればいろいろ弊害が」

ξ゚⊿゚)ξ「あるかもしれないわね。でもまあ、良いんじゃない」

( ・∀・)「なんで?」

ξ゚⊿゚)ξ「ショボンがやった行動で、私達にも影響があるのなら、それはあんたの為だけじゃない。
多分、死ぬほど色々考えて、裏で手をまわして、私達にとってより良い選択をしているはずよ」

( ^ω^)「多少のリスクより、大局を見たより良い方向を選択しているはずだお」

( ・∀・)「なんでそんな」

ミ,,゚Д゚彡「ショボンはいつもみんなの事を考えてるから」

( ・∀・)「…信じてるってことか…」

ξ゚⊿゚)ξ「言っとくけど、ショボンは勿論私たちにとってあんたがふざけた行動を取るなら、
私はあんたを殺すから」

ミ;,,゚Д゚彡「ツン!」

(;^ω^)「おっお」

ξ゚⊿゚)ξ「あいつは友達を信じすぎるのよ。
普段は人なんか信じてないくせして、一回信じたらもうダメ。
だから、そこら辺は私達が管理してやるの」

(;^ω^)「確かにショボンはそういうところがあるけど…」

ミ;,,゚Д゚彡「モララーは大丈夫だから」

.

532 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:55:59 ID:EuI.0M8A0

( ・∀・)「……友達?」

ξ゚⊿゚)ξ「そ、友達。
あいつにとってこのギルドは友達の集まりなの。
そしてあいつは、自分の命に代えても私達を、友達を守るわ。
だから私達は、あいつの足りない部分を補って、守ってやるのよ」

( ・∀・)「友達……」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたが『友達』にどんな思いがあるのか知らないけど、
すくなくともショボンとフサギコはあんたの事を信じてる。
友達だと思ってる。
私自身は友達の友達が自分にとっても友達だとか言うつもりもないし、
そんなことがある分け無いってことも知ってる。
でも、少なくとも友達の二人が信じている相手なら、
私もあんたを友達だと思えるようになるかもしれない。
っていうか、そこのバカとか何名かは、もう友達だと思ってるみたいだしね」

( ^ω^)「ご紹介にあずかりましたバカでーす。
って、誰がバカだお!」

ξ゚⊿゚)ξ「…あんたはまったく……。ツッコミスキルが低いわよ」

(*^ω^)「ノリツッコミは難しいし恥ずかしいお」

ミ,,゚Д゚彡「モララー?」

(  ∀ )「友達…」

うつむき、表情を見せないモララー。

(  ∀ )「こんな偽りの世界で、友達だとか、信じるだとか…」

ξ#゚⊿゚)ξ「あんた!」

モララーの言葉に怒りをあらわにするツンだったが、ブーンに止められる。

( ^ω^)「モララーはよくばりだお」

.

533 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:56:58 ID:EuI.0M8A0

(  ∀ )「おれがよくばり?おれは…ただ…」

( ^ω^)「『確かに体も偽りの物だし、目に映るものも全て仮想世界。
偽りの世界と言って良い。
でも、心と命は本物。
自分自身。
なら、それ以外の何を欲しがる必要がある?
それ以外の本物とやらに、どれだけの価値がある?』」

(  ∀ )「!」

( ^ω^)「前にある人が言った言葉だお。
もちろん肉体にだって価値はあると思うけど、でも、これを聞いた時に確かにそうだと思ったお。
だから、命という本物と、心という本物を手にしていながらそれ以上を欲しがるモララーは、
欲張りさんだお」

ミ,,゚Д゚彡「フサギコの心に、嘘は無いから。
モララーは友達だから。
一緒にがんばって、生き残って、一緒に脱出したい友達だから」

(  ∀ )「命と心…」

ξ゚⊿゚)ξ「あーもう、うだうだうるさい!」

しびれを切らしたようにツンが声を荒げる。

ξ゚⊿゚)ξ「ギルドがいやなら脱退でもなんでもすればいいでしょ!
グダグダ言い訳しながらもそれをしないってことがあんたの本心なのよ!
いい加減認めなさい!
みっともない!
結局あんたはどうしたいの!!
ほんっと、情けない!」

(;^ω^)「うわぁ」

ミ,,゚Д゚彡「つ、ツン」

(  ∀ )「!」

.

534 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:58:25 ID:EuI.0M8A0

ξ゚⊿゚)ξ「なんでそんなにグダグダなのか知らないし興味もないけど、
すくなくともあの戦いで私達と一緒に動いていた時のあんたはイキイキしているように見えた。
あんな場面なのに、どこか楽しそうにすら見えた。
その後のバカ騒ぎの時もね。
私もあんたのあの姿を見たから、仲間に、友達になれるかと思った」

( ^ω^)「!(飴と鞭の使い方がうまくなったおね)」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンは後で正座」

(;^ω^)「(こ、心を読むスキル!)」

ミ,,゚Д゚彡「モララーは、ふさやショボンと友達になるのがイヤ…だから?」

(  ∀ )「お、おれは!!」

ξ゚⊿゚)ξ「ショボンからメッセージが来てる。
『合流は出来たみたいだけど、何か問題発生?』
だって。
フレンドリストの位置検索で私達が一緒にいるのは分かってるみたいね」

(  ∀ )「おれは…」

ξ゚⊿゚)ξ「で、どうするの?」

ウインドウを消したツンが黙ってモララーを見る。
同じようにモララーを見るブーンとフサギコ。

やがてゆっくりとモララーが顔を上げた。

.

535 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 00:59:51 ID:EuI.0M8A0

( ・∀・)「そんなにおれと友達になりたいのか。仕方ないなあ」

ξ゚⊿゚)ξ「はあ?」

( ^ω^)「おっおっ」

ミ,,゚Д゚彡「なりたいから!」

( ;∀・)「…仕方ないから、このままギルドにいてやるし、力も貸してやるよ」

ξ゚⊿゚)ξ「……あんた…」

( ^ω^)「おっおっお」

ミ,,゚Д゚彡「嬉しいから!」

( ;∀;)「……友……達…だから……な。しかた…ない…」

ξ゚⊿゚)ξ「……はいはい。じゃあとりあえずさっさと行くわよ」

( ^ω^)「おー!いくお!」

ミ,,゚Д゚彡「今度のクエストも頑張るから!」

ツンが一番先に踵を返して歩き始め、その後に涙をぬぐってモララーが歩き出す。
そしてその後ろを楽しそうにブーンとフサギコが続く。



ギルドVIPが中層クラスで最強と呼ばれ、一目置かれるようになるのはこの少し後の話。





第十三話 終




.

536 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 01:03:28 ID:EuI.0M8A0
以上、十三話でした。

途中飛ばしたり休憩したり、失礼いたしました。

そして遅くなりました。
待っていて下さる方もいて、感謝しております。

本当にありがとうございます。
本当に書くモチベーションになります。

やはり、反応をいただけると嬉しいです。

支援、ありがとうございます。

モナーとビーグルとか、可愛くてかわいくて。
ありがとうございます。


さて今回の話が思ったよりも長くなったのは自分の力の無さ、構成力の無さですが、
それでも書きたいことは書けたので、まあいっかなと思っております。

次回は、予定では残りの誰かの話のつもりですが、
ちょっと重い話が続いた気もするので、
のんきなクエストの話か閑話になるかもです。

つまり未定です。

次回こそ来月!
と思っておりますが、どうなることやらです。


読んでいただき、ありがとうございました。
また次回、よろしくお願いいたします。

.

537名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 01:04:31 ID:bb/Io1bc0
え!?モララーってまだギルド入ってなかったのか!!
わりといるからギルメンなのかと思ってたw

538 ◆dKWWLKB7io:2014/08/03(日) 01:08:55 ID:EuI.0M8A0
あと、一応年表も置いておきます。

年表

2022年
≪11月6日SAO(ソードアートオンライン)サービス開始≫
12月
2023年
01月
02月ジョルジュ「五話 ここでも雨は冷たいから」
03月
04月フサギコ「九話 君への手紙」
05月モナー・ビーグル「三話 それから」
06月クックル「四話 緑の手」
07月
08月
09月モララー「十三話 ダイヤモンドだね」
10月
11月
12月ギコ・しぃ「一話 ギルド「V.I.P.」へようこそ」「二話 聖なる夜のキャロル」
2024年
01月「六話・七話 数え歌がきこえる」
02月「八話 それぞれのチカラ」
03月
04月「十話 迷走」「十一話 疾走」「十二話 錯走」


.

539名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 01:21:40 ID:a7wEU56c0


540名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 02:54:00 ID:oswIO1n.0
置いて行かれたアルゴさんになぜかワロタ


541名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 03:22:23 ID:HOA3Fmug0
以外とモララーの加入は遅かったんだな。なにより乙でした!

542名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 07:06:38 ID:Z1UPpeS20


543名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 16:18:29 ID:q4Xi1gM20
今回も読みごたえあったわ

544名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 18:15:44 ID:unStJE.M0
そういやギコしぃが入る時に
一番最後に加入したのはモラって記述があったな
モラが一番好きだわー

545名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 19:28:50 ID:q2ngOe/k0
うまくいえないのか

546名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 23:03:44 ID:d3PKlLyU0
待ったかいがありました。すごく面白かったです。

547名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 23:48:30 ID:jc0xvA4wO
ω・)モララーの人1倍仲間思いの理由が描かれててよかった思う

548名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 03:22:54 ID:q9xAMv7U0
乙 くそモララーに泣かされるとは思ってなかった、一気に好きになったわ
残りは流石兄弟と初期メンか、どれにしろ楽しみにしてる

549名も無きAAのようです:2014/08/04(月) 20:39:05 ID:IADbxA9o0
モララーが和解するタイミングが、加入する時じゃなくて加入した後っていうのが素敵。
心を入れ換えた最後のきっかけが、ショボンでもフサギコでもなく、ツンであったっていうのも素敵。
毎話楽しみにしています。最新話更新、お疲れ様でした。

550名も無きAAのようです:2014/08/06(水) 01:40:46 ID:9zlRjSGs0
乙です
モラ好きだからこういう描かれ方されててすごく面白かった

551名も無きAAのようです:2014/08/09(土) 17:49:34 ID:v5rGrXtI0
読んでて登場人物全員の事が好きになるブーン系は何年ぶりだろ?次の更新まで毎日読み直すぞー

552名も無きAAのようです:2014/08/11(月) 02:11:37 ID:bwzmFtkI0
乙。次回も楽しみにしてます。

553名も無きAAのようです:2014/08/11(月) 16:28:26 ID:ewH/UsHo0
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1554.gif
( ・∀・)「イケメンの剣技をみたまえ」

554名も無きAAのようです:2014/08/11(月) 17:04:54 ID:wdbAV7NE0
爪で剣技とは さすがイケメン

555名も無きAAのようです:2014/08/11(月) 17:30:48 ID:ewH/UsHo0
>>554
爪でも斧でもソードスキルだろ

556名も無きAAのようです:2014/08/11(月) 19:57:12 ID:M9tIIcyI0
オ、オタ芸?

557名も無きAAのようです:2014/08/11(月) 20:08:24 ID:VvMvLWyo0
>>556のせいでペンライト振るプロオタにしか見えなくなった

558名も無きAAのようです:2014/08/11(月) 20:13:09 ID:6oqdUf9E0
イケメンオタ芸マスターか

559名も無きAAのようです:2014/08/12(火) 12:18:23 ID:BovpY.yA0
ラブライバーだったのか




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