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( ゚∀゚)ジョルジュはスタンド使いのようです。

1 ◆N91v81g8eE:2013/04/30(火) 16:26:09 ID:lYpVEdIM0
(  ω )「ねえ、ジョジョ」

  _
(  ∀ )「そのあだ名やめろっての。なんだ?」


(  ω )「どうしてキミは、そんなに『人助け』が好きなんだお?」

  _
(  ∀ )「どうしてって言われてもなぁ……お前、肉は好きか?」


(  ω )「肉? もちろん好きだお!」

  _
(  ∀ )「それはなんでだ?」


(; ω )「なんでって……そんなの、好きだから好きなんだお」

  _
(  ∀ )「だろ? 一緒なんだよ。
     オレはオレがそうしたいから、お節介でも大きなお世話でも」

  _
(  ∀ )「オレの中にある、揺るぎない『心の正義』を全うして生きていたいんだ」

141名も無きAAのようです:2014/06/02(月) 19:53:33 ID:BU7.Z3NM0
待ってたよー!!!

142 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 19:56:37 ID:mlhLzJx.0
(#)´∀`)「……お前は、例えば仲の良い友達が万引きをしていると知ったとして
        それを言いふらしたりするモナ?」
  _
( ゚∀゚)「は?」

(#)´∀`)「悪いことは悪いことわかっているし、いけない事だから罰せられるべき。
        それぐらいは当然理解しているモナ。怒ったりもするモナ。
        でも、だからって、わざわざ言いふらして回る真似はしないモナ」
  _
( ゚∀゚)「……何が言いたいんだ、テメー?」

(#)´∀`)「『折り合い』のことモナ。
        良いも悪いも含めて、つるんでいける人がこの世にはいる。
        モナにとって、『ボス』はそういう人間モナ」

(#)´∀`)「とんでもなくドス黒くて、怖くて、卑しい。
        真っ当な人間なんて口が裂けても言えないし、誰も認めないはずモナ。
        けれど、とてつもない『力』がある。そこにモナは惹かれたモナ」

(#)´∀`)「もっとも、七天柱のくせに、お前のような奴に敗れた時点で……
        モナはもう、呟影団にいられないモナ……」

(#)´∀`)「だからと言って、ボスのことを教えてやるつもりもないモナ。
        そんな敬意を抱くに値する人の仲間であった以上、義理は通すモナ」

  _
( ゚∀゚)「…………勝っちまって悪いとは、思ってねえぜ」

(#)´∀`)「だろうね」
  _
( ゚∀゚)「テメーらのような奴らがいるから、この街の人たちが安心できねえんだ。
     オレは、それを放っておけないし、放っておくつもりだってねえ」

(#)´∀`)「……」

143 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 19:59:17 ID:mlhLzJx.0
  _
( -∀-)「いいよ。オレだって、ハナからすんなり聞き出せるとは思えなかったし。
     なんにせよ、幹部の一人をぶっ倒せたことがオレは嬉しいんだからな」
  _
( ゚∀゚)「縄は離れたら、キャッチ・ザ・ハンドの能力で解いてやるよ。
     呟影団じゃねーなら、もうオレを付け狙ったりする必要もねーだろ?
     ボコボコにしちまって悪かったな。そんじゃーよ」


(#)´∀`)「…………」

(#)´∀`)「……一つだけ、言っておくことがあるモナ」
  _
( ゚∀゚)「ん?」

(#)´∀`)「確かに、モナはもうお前なんてどーでもいいけど……
        他の団員はどうだか知らないモナ。
        七天柱を倒したスタンド使い……ボスの性格なら、きっと必ず」

(#)´∀`)「お前を『餌』にするに決まってるモナ」
  _
( ゚∀゚)「……なんじゃそりゃ」

(#)´∀`)「つまりは、『夜道の一人歩きには気をつけな』ってことモナ」
  _
( -∀゚)「……ご忠告、ドーモ」


――――。


その言葉を聞き、夜道の一人歩きは確かに気を付けるようにした。
いくらスタンドがあったところで、夜目が効くわけでもない。

144 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:02:19 ID:mlhLzJx.0
しかし、だからといって。

彼はコソコソと隠れて生きる性分でもなかった。


なにより、自分で売った喧嘩。
自分の意志で、突っ込んだ地雷原。


危ないことがわかっていて、それでもなお進むと決めた。


ならば、最後まで意地は通す。

そんなつもりで、生きていく。


  _
( ゚∀゚)(なぁんて、カッコつく状態じゃないのも確かなんだよなー)


夜は気を付けるが、昼間は隠れる必要もなかろう。

むしろ変におどおどしている方がかえって怪しい。

休日の昼下がり

ジョルジュは普段の制服を纏い、学校から出てくるところだった。

145 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:06:19 ID:mlhLzJx.0
  _
( ゚∀゚)(もっと頭使ってサボるならサボらねえとなぁ……。
     まさか、毎回英語の授業で小テストやるなんて聞いてねーよ)

どうにかして授業に出てはいたが、やはり傷の痛みに勝てず休息を選んでしまうこともある。

その結果、しわ寄せにより彼は補修を余儀なくされていたのだ。
大型連休にでもやればいいのだが、先生側が「面倒だから今やるぞ」という一声で決めてしまったためでもある。

  _
( -∀-)(まー、家でゴロゴロしてるよりは有意義だけどよ)


ボストンバックの持ち手を両肩にかけたスタイルのジョルジュは、ボタン全開の制服を揺らめかせて歩いていく。
青い色に刻まれた白い星型のマークのシャツは、彼のお気に入りである。

呟影団に目をつけられてから、部活の助っ人も勉強のお誘いもめっきり減った。
正直言えば寂しいことこの上ないが、仕方のないこと割り切っている。

唯一、図書委員のツン(ξ゚⊿゚)ξ)だけは普段通りに話してくれるのだけが救いだろうか。
怖がって話さない者が多い中で、そういういい意味でも悪い意味でも物おじしない人間は貴重だ。
だからこそ、大事にしなくてはならない。かけがえのない友人も、守るべき対象なのだから。


  _
( ゚∀゚)(あー腹減った……オーソンでも寄って帰るか)

チラリと財布の中身を確認し、お小遣いとたまーにやっていた日雇いバイトのお金が入っていることを確認する。

『OWSON』の看板が掲げられたコンビニエンスストア自動ドアを通り
コーヒーの香りが充満するレジ前を歩き、食品の陳列する棚へジョルジュは向かった。

146 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:09:31 ID:mlhLzJx.0
冷房の効いている弁当置場や惣菜類のスペースを流し目で見送っていく。
気にはなるけれど、家に帰れば昼食の準備はできている。
しかし、そこに辿りつくまでの場つなぎとして今、コンビニに立ち寄ったのだ。

  _
( ゚∀゚)(んー、甘いものでも食おうかと思ったが……やっぱ、こうガツンと油もの食いてえな)

ゴマ蜜団子のパッケージを取って吟味しながら、ふとジョルジュの胃袋が指示を出してきた。
そっと陳列棚に商品を戻すと、レジに向かう。

一瞬店員が会計かと勘違いして身構えるが、手に何も持っていないことと視線を察知してすぐ業務に戻る。

 _
( ゚∀゚)(お、アレにしよ)

ヒーターに照らされるソレを発見した彼は、すかさず財布を取り出してレジの前に立った。

店員が無愛想に「いらっしゃいませ」と言うのを聞き流しながらジョルジュは注文をする。

  _
( ゚∀゚)(これウメーんだよなぁ)

外に出てホクホクとした薄紙の袋を開ける。
収まる温かな食べ物は、赤いフライドチキンだ。

147 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:13:17 ID:mlhLzJx.0
揚げたてではなく少々時間を置いたせいか、皮は既に柔らかくなっている。
同時に真っ赤な香辛料を塗してフライにしているので、非常に辛い。

だが、それがいい。

ジョルジュは涎を我慢できず、口を大きく開けて齧りついた。

肉を歯に食い込ませ、衣を引きちぎる。
じわっと肌色の筋繊維から、透明な油汁があふれ出てきた。
零さないように、下品と思いながらも啜りつつ咀嚼をしていく。

熱さとは違う、舌を、頬内を刺激するスパイスを感じながら、堪能していく。
  _
(*゚∀゚)「はふっ! ほふっ!」

夢中で食べる。
辛さが痛みに変わるけれど、それでも旨味の誘惑に負けられない。
身を舌で転がし、皮を喉で感じ、味を脳で受け取る。

唇がヒリヒリしたのを感じるころには、袋の中は少しの脂が残っているだけとなった。
  _
( ゚∀゚)=3(はー、最高の時間だったぜ)

口をティッシュで拭い、残滓の袋に包んでゴミ箱へ投げ入れる。

それから背にかけたバッグをおろし、チャックを開けた。

  _
( ゚∀゚)(あれ?)

148 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:17:27 ID:mlhLzJx.0
中に入れておいたはずの、ペットボトル飲料が見当たらない。

最後に出したのはいつだったか……。
教室を出る前に飲んで……それからトイレ行って……

  _
( ゚∀゚)(置きっぱなしにしちまったか)

自らの失態を恥じながらも、けれど今いる場所がコンビニの前であることに安堵する。
無ければ買えばいいのだ。それだけのこと。少しもったいないが、渇きに勝つことはできない。

振り返り、再び自動ドアへ向かおうとした時だった。


(,,゚Д゚)「あのー、すいませェん」


声をかけられた。
容貌は至って普通。大学生ぐらいの年齢だろうか、ジョルジュよりは年上だが、若い。
シャツとチノパン姿で、小さなショルダーバッグ姿の青年は、両手に缶コーラを持っている。

  _
( ゚∀゚)「なんスか?」

(,,゚Д゚)「あの、もし。もしも、だったらで良いんですが……あなた、喉乾いてません?」
  _
( ゚∀゚)「……確かに、オレは今ちょうど飲み物を買うためにコンビニへ戻る途中だったけど……それが?」

(,,゚Д゚)「いえ。余計なお世話だったらいいんですけど……いや、単なる好意的な……気まぐれに近い意志なんですが」

(,,゚Д゚)「これ、一本いりませんか?」

149 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:20:46 ID:mlhLzJx.0
  _
( ゚∀゚)「……」


別に怪しげな様子はない。
卑屈っぽい性格が出ている会話の仕方だが、それでも特に裏は感じない。

こんな人間が、自分に危害を加えるのだろうか?
けれど、しかし。今のジョルジュの状況を考えると、疑わざるを得なかった。

(,,゚Д゚)「あ、やっぱ突然だと怖いですよね。では、失礼して」
  _
( ゚∀゚)「? なにを……」

プシュッという音が鳴り、プルタブが開かれた。
泡の弾ける音が聞こえると、青年はそれを口に向けてひっくり返した。

(,,゚Д゚)「ング……ング……」

口をつけないよう、間を置いて、尚且つ零さないように。
中のコーラを投入していく。

ジョボジョボという音が鳴らない程度に、口に含んでそれから思い切り喉音立てて飲み込んだ。

(,,゚Д゚)「大丈夫でしょ? 安心してください。間違えて買ってしまっただけなんです。
     二本も飲むと太っちゃうし、時間を置くと炭酸が抜けてしまう……
     そんなものにするぐらいなら、今ここでこれを求めている人に渡す方が得。そう思っただけなんです」
  _
(;゚∀゚)「……」

150 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:27:10 ID:mlhLzJx.0
奇妙な行動と誠意を見せたい気持ちは伝わった。
未開封だったし、自分で飲んだ以上は毒もないだろう。
  _
(;゚∀゚)「じゃ、じゃあ遠慮なく……いただきます」

開封済みのそれをおずおずと貰って、口をつけた。
匂いも甘ったるい。問題はない。

ゴクゴクと、辛さでダメージを負い水分を失った口と喉へ命が染み渡る。

鋭い炭酸が舌を、喉を刺激していき、胃をビックリさせるかのように弾けていき
ほどよい、とは程遠い甘味が更に口腔内に広がり、身体を癒す。
  _
( ゚∀゚)=3「ぷはー」

一息つき、数瞬置いてせり上がる、確実に起こる生理現象を最小限に抑えて放出する。

少しの暑さと、口の熱さが緩和された。

満足だ。満足のいく間食だった。


(,,゚Д゚)「あ、とと。いいッスよ。僕が捨てておきます」
  _
( ゚∀゚)「あぁ、どうも……」

空になったコーラ缶をゴミ箱へ捨てようと動き出す前に、青年がそそくさと近づき物を受け取る。

すぐに捨てるのかと思いきや、ふと動きを止めた。

151 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:29:07 ID:mlhLzJx.0
  _
( ゚∀゚)「?」

(,,゚Д゚)「……あぁ。いえ。今日も良い天気ですねぇ、と思いまして」


確かに、快晴だった。
突き抜けるような蒼さの空がどこまでも広がっていて、纏っている雲の衣が更に深みを演出している。

春から夏へ移り変わる季節。
風は温くもなければ冷たくもない。何も感じない、ただの動く空気のよう。


(,,゚Д゚)「……のどかな風景だと思いません?」
  _
( ゚∀゚)「……」


ジョルジュは素直に頷けなかった。

平穏に見えるこの風景だけれど、その裏には間違いなく悪がある。

ドス黒い邪悪のような……吐き気すら催すような陰湿さが間違いなく隠れている。


  _
( -∀-)「……そッスね」


だからこそ、ジョルジュは肯定した。

  _
( ゚∀゚)「こんな穏やかな街を……景色を。オレはずっと見ていたいんスよ」

(,,゚Д゚)「へえ……」

152 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:30:23 ID:mlhLzJx.0
  _
( ゚∀゚)「だから街に巣食っている『邪悪』が……オレは許せない」

(,,-Д-)「……立派なお人だ」


(,,゚Д゚)「『呟影団』を『邪悪』とわかりながらも立ち向かう」
  _
( ゚∀゚)(ん……?)

(,,゚Д゚)「相手がどれだけ大きいか、どれだけ巨悪なのか碌に知りもしないで……」


(,,-Д-)「そういうの、僕は嫌いではないですがね」

  _
( ゚∀゚)「おい……オメー……?」


青年の雰囲気が変わる。
ゆらりとした立ち姿のまま、手に持った空き缶を握りしめつつ……威圧的な目を……!!

(,,-Д゚);:::「でも、だからって! 赤の他人に対して、迂闊に気を許しすぎなんだぜッ!!」

   
(,,゚Д゚)(*゚ー゚)「『長岡ジョルジュ』さんよぉッ!!!」
    メギャンッ!

153 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:32:37 ID:mlhLzJx.0
      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「テメッ!? スタンドつか……」
  ヴォン!



(*゚ー゚)「ダッコ♪」



      _
(*゚ー゚)(゚∀゚ )「え?」



(,,゚Д゚)9m「くっつけ、『グリーン・ベイビィ・ドールズ』!」



          _
(*つ^ー^)つ(;゚∀゚)「どぉわあああああ!?」

154 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:34:16 ID:mlhLzJx.0
転がる。
懸命に、必死に。

突如、青年が生み出したのは紛れもなく『スタンド』だった。

赤子のような、純粋無垢な小さな少女のビジョンが猛烈なスピードでジョルジュの身体に張り付く。


咄嗟に、何かヤバイと感じていた彼は瞬間的にキャッチ・ザ・ハンドを使って距離を稼いでいた。
それでも、少女は身体にくっついてしまった。
ズシリとした重量もない、けれど確かに張り付いている感覚だけはある。

幸い、ダメージはないようだ。判断が済んだと同時に、ジョルジュは戦闘態勢に入る。
       _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)「ったくよぉ〜〜ッ! ホント、気が抜けねぇなあオイ!」

     _
(*゚o゚)(;゚∀゚)「おあっ!?」 

と、転がったままの勢いを使って立ち上がろうとした時だった。


何故か制服ズボンの裾を踏んでしまったのだ。
それが摩擦を生み出してくれず、つるりと足を滑らせてしまう。

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「な、なんだ?」

慌てて体勢を戻して、前に立ち尽くす青年を見据えた時だった。


       _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)(…………あれ? こいつ、こんな大きかったか……?)


遠近法にしてはおかしい。
先ほど隣にいた時に比べ、自分の背丈に対する青年の身長が明らかに増大していた。

155 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:36:50 ID:mlhLzJx.0
      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)(まさか……身体を大きくしたりするスタンド……?)


(,,゚Д゚)「……へっ!」


ジョルジュが困惑しているのを見て、青年は笑った。
不敵な笑みを浮かべ、手に持っていた空き缶を放り投げる。
      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚) ・∀・)「キャッチ・ザ・ハンド!」


攻撃かと思い、ジョルジュはスタンドを出した。
そして飛んできた空き缶を……

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚) ( ・∀・)つ「!?」


掴んだ。
左手を使い、引き寄せて握る。

スタンドに持たせたそれを、今度は自身で握った。


      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)(あれ……あれ?)

156 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:38:39 ID:mlhLzJx.0
奇妙だった。

数分前まで、それは間違いなくコーラ缶だったはず。
手で握れば、簡単に握りつぶせる程度に弱いアルミ製。
手には決して余らない、手ごろなサイズ。


なのに。


      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)(片手じゃ持ちにくい……というか)



      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)(これもデカくなっているッ!?)



ここまでくれば、大体察しはついた。

理解したのだ。


何が起こっているか。何をされたのか。何が現実か!


        _
(*^ー^)(゚∀゚;)「ま、まさか……こいつ……!」



(,,゚Д゚)「そ。これが俺のスタンド……『グリーン・ベイビィ・ドールズ』
     対象の『年齢を引き下げる』こわーーい、スタンドなんだよん♪
     射程距離もなげーから、簡単に逃げられると思うなよ? 長岡ジョルジュさんよぉ〜〜!!」

157 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:40:52 ID:mlhLzJx.0
      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「ちっ……けどなぁ。オレは昔っから『スタンド使い』なんだぜッ!?」

          _
(*゚o゚)   三(;゚∀゚)・∀・)つ「いくぜ! キャッチ・ザ・ハンド!!」
       ギュン!

『何かヤバイ』 

直感は、ずんずんと迫ってくる敵を見れば明白だった。

そして、それは間違いなく事実として顕現する!

 _
(;゚∀゚) ・∀・)「!?」


先手必勝。距離を掴んだならばあとはスピードで押し切る。

ジョルジュのスタンド、キャッチ・ザ・ハンドは発現した当初から速さを持っていた。

身体を小さくするのではなく、年齢を引き下げるとあっても
彼の自信は揺らがない。攻撃さえ入ればいける!


はずだった。


 _
(;゚∀゚) ・∀・)(ま、また身体が小さく……!?
        『スタンドには触れてない』ぞ!?)

背中に張り付いていた、幼女は吸引能力による移動で振り切った。
追従するように、結局はくっつかれてしまうが……触れている時間外であっても、効果は変わってなかった。

158 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:44:05 ID:mlhLzJx.0
 _
(;゚∀゚) ・∀・)「……! ま、まさか!」

(,,゚Д゚)「へー、もう気づくんだ。意外と冷静に物事が見えているんだねェあんた」

(,,゚Д゚)「けど、気づくのがちょっぴり遅かったな」


小気味良い音を立てて、青年の袖から三段ロッドが飛び出した。
そして、推進力たっぷりのジョルジュが眼前まで近づくと

(,,゚Д゚)「そーれ、ホームラン!」

思い切りふりかぶり、顔面へと叩きつけた!

  _
( ∀ ) ∀・)「ッン!」

 _
(;゚Д゚) ・∀・)「ゴッハァ!?」


小さな声を漏らした数瞬後、ジョルジュは呻いた。
考える余裕もなく、ガードをする意識すらなく。

ただ、彼はなすがままに強烈な一撃を受けたのだ。

スタンドも出ているのに、あの程度のスピードなら能力差では勝っているのに何故?
      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚) ・∀・)(ちげえ。油断とかそんなじゃあない。
             意識がなかったんじゃなくて、そもそも『意識出来なかった』んだ!)

159 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:47:35 ID:mlhLzJx.0
噴き出る鼻血を袖で拭いながら、ジョルジュは体勢を立て直す。
目の前にいる青年は、不敵な笑みを絶やさないままじっくりと、ゆっくりとなぶるかのように歩き続ける。

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚) ・∀・)「!?」

違和感が生じた。
一歩、砂利の音と共に青年が近づいた時だった。

身体にガクッと負担がかかったのだ。

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚) ・∀・)(これは……)

手を見る。一回り小さい。
景色を見る。先ほどより低い。
制服を見る。やけに大きい。

発動している……スタンド能力が!

スタンド自体は相変わらず背中に張り付いたまま。
何かしたわけじゃあない。

何かをした様子もない。

けれど、あいつは『歩いてきた』

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚) ・∀・)(わかりかけてきた……そうか、何か仕掛けるのはトリガーじゃあねえ。
             能力発現のきっかけは……)

(,,゚Д゚)「!」

160 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:49:31 ID:mlhLzJx.0
ジョルジュは、青年が走り出したと同時に背中を向けた。
そしてキャッチ・ザ・ハンドの能力を使い、全力で逃げ去っていく。

同時に、身体のサイズが元に戻っていっていた。

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚) ・∀・)(やっぱり……本体との『距離』か!)


コンビニから離れ、角を曲がり、路地裏を抜けていく。

追ってくる気配はないけれど、相手がどのような素性かはまったくわからない。
足がめちゃくちゃ速いかもしれない。土地に精通していて、先回りされているかもしれない。

考えている暇はない。
発現の条件は、暫定だがまず間違いなく『距離』であるとわかったならば

適した場所で優位に戦えばいいだけ。

      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)(確かこの先に……)

一般人ともすれ違うので、流石に奇妙な軌道を描くスタンド能力による移動は制限せざるを得ない。
ジョルジュは、人目を気にしながら偶にキャッチ・ザ・ハンドを使って、推進力を高めつつ走っていたのだ。

そしてたどり着く。

障害物が見られない、大きな広場のある公園へと。

161 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:51:11 ID:mlhLzJx.0
      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)(……しっかし……)

       _
(*゚ー゚)(゚∀゚ )(これ、スタンドじゃなかったら幼女を背負って汗だくで走る不審者だよなぁ)
      _
(*^ー^)( ゚∀゚)(うっかり誘拐犯にされねーためにも、さっさとケリをつけねーとな)


走る最中にわかったことがある。
この背中の緑色の赤ん坊は、何をするわけでもない。

多分、単なるマーキングなのだ。能力が付いた、というただそれだけの目印。

       _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)(けど、スタンドである以上……それは大きな意味を持つ)

効果範囲がある、ということは、スタンドの位置もわかるということ。
マーキングであり、GPSのようなものなのだ。
どこへ行こうと、時間差はあれ必ず特定に至る。

      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)「……!」


休日の午後なのに、子どもが居ないことは幸いだった。
みんなゲームでもやって籠ってるのか、それとも何かイベントがあるのか。
とにかく、運の良いことに人気はほとんどなかった。

しかし、ゼロではない。


年季の入っているわりには、綺麗に補修されている遊具の群れ。

には誰もいない。

居るのはただ一人。

162 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:53:32 ID:mlhLzJx.0
砂の敷き詰められた、ジョルジュがこれから戦いのフィールドへと変えようとしていたグラウンドの方だ。

日影になるわけでもなく、単に親御さんが子どもを見守るためだけにあるであろうベンチ。

そこに、女子高生が一人、座ってスマートフォンを弄っていたのである。

      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)(ちっ、メンドくせぇ!)


離れているならまだしも、これからスタンドバトルを繰り広げる場所だ。
無事でいられるかどうか。また、不審者扱いされないか。
とにかく、良い事なんて一つもない。

      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)「おい、そこのアンタ!」


ノパ⊿゚)「……!」



(゚⊿゚ノハ三ノパ⊿゚)


ノパ⊿゚)


σノパ⊿゚) ?

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「周りにゃ誰もいねーだろーが! あんただよ、あんた!」


ノパ⊿゚)「あっはっは。初対面の人に向かって、随分なツッコミと態度だねアンタ」

163 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:55:54 ID:mlhLzJx.0
多機能携帯を指定鞄にしまうと、女子高生はゆっくりと立ち上がった。

休日なのに、制服姿。ジョルジュと同じ第二チャンネル高等学校の校章が付いている。
『A∀』と銀縁で象られているそれは、学年によって色が異なる。
1年生は青、2年生は赤、3年生は緑。彼女のは緑色。つまり、ジョルジュの先輩というわけだ。

ブレザータイプの制服だが、若干普通の物とは違っていた。
ジャケットの袖をループ返しにし、丸い玉のボタンで留めている。
手首にはダイヤチェックのリストバンドが両方に装着されており
腰には、短いプリーツスカートを押さえるかのように、革のベルトが交差して巻かれていた。


何より、既に冬は終えているのに首には薄いストールを巻いているのが異様であろう。
校則を無視している風貌だが、ジョルジュも人のことを言えたものではない。

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「それはすんません! でも、とにかく今急いでいるんスよ!
          事情はいつか説明するんで、こっから離れて……いや、帰ってください!」

先輩と今更気づいたジョルジュは慌てて敬語を使おうとするが、大して敬意を払っているようには聞こえなかった。

ノパ⊿゚)「そんなこといきなり言われてもねぇ。
      公共の場で、一市民が何してても勝手だと思うけど?」


腕を組み、やや不審げに、そして若干挑発的に彼女は睨む。

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)(!! くそっ……説明している暇がねえ!)

164 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 20:57:31 ID:mlhLzJx.0
何か適当な言い訳を考える余裕はなかった。

ドクン、と体に違和感が走る。

身体が縮んだ。敵が近づいてきているらしい。

まだ年齢的には大丈夫だろう。
しかし、当然低年齢化すれば思考能力も下がってしまう。

だから、先ほどジョルジュは接近しすぎた際、ガードを取れなかったのだ。

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「……と。いま、ちょっとトラブルに巻き込まれちゃってて!
         だから、迷惑かけたくねーんス!」

ノパ⊿゚)「ふぅ〜〜ん……」

焦っているのはわかってるはず。
何か事情があるのも理解できているだろう。

それでも、彼女はひかなかった。

何かを察知したかのように、じろじろとジョルジュの顔を見て……。

手を叩いた。

ノパ⊿゚)「あぁ。どっかで見たと思ったら、あんたが噂の『長岡ジョルジュ』か!」
      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「え?」

165 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 21:00:19 ID:mlhLzJx.0
ノパ⊿゚)「呟影団に喧嘩ふっかけたバカだろ? 知ってる知ってる
      いやー、いつか話をしに行こうと思ってたのに、こんな偶然あんのねー」
      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)(なんだコイツ……ま、まさか……『敵』か!?)


(,,゚Д゚)「見ィつけたよぉ〜〜〜〜ん。長岡く〜〜〜ん!」


遠くで、大きな声で、これみよがしに呼びつけられた。
スタンド使いが、公園の入り口に立ってにやけ笑いを浮かべて立っている。

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「やべえ……もうきやがった! おい、あんた! 早くこっから」

振り返ろうとした時だった。

ポンっと肩を叩かれる。

ノパ⊿゚)「なるほどね。あれが『敵』か」
      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「ちょっ……あんた何を……」

ノパ⊿゚)「あんたじゃない、あたしには素直ヒートって名前があんの」
      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「そうじゃなくて! あいつはスタン……」

ノパ⊿゚)「察するに、さっきから、あんたの背中にチラチラ見えてる『ソレ』が『スタンド』だね?」



       _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)「えっ……」

166 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 21:02:00 ID:mlhLzJx.0
ノパ⊿゚)「随分気色悪いガキんちょだねェ。大体、本体と像が違いすぎでしょ」


この言葉。
この感じ。

そして、間違いなく見えている……ヴィジョン。


まさか


      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「あんたも……スタンド使い……?」


ノパ⊿゚)「ぶー、外れ〜〜」
      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「は?」

肩をぐるんと回し、まるでウォームアップするかのように全身の固さを取りながら
青年の方へ歩いていくヒートと言う名の女生徒。


ノパ⊿゚)「あたしは……」


(,,゚Д゚)「あん? なんだい姉ちゃん。俺の邪魔しようってのかい?」


      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「おい、危ねえ! それ以上近づくな!」

167 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 21:03:37 ID:mlhLzJx.0





ノパ⊿゚)





ノハ-⊿-) フー……





ノパ⊿゚) コォォオオ……

168名も無きAAのようです:2014/06/02(月) 21:05:07 ID:6xR/Xvu.0
ま、まさかこの呼吸法は…?!

169 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 21:05:28 ID:mlhLzJx.0
奇妙な音だった。
やけに響いたその音は、どこから漏れたのかわからないほど異常。

でも、確実にわかったのは

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)(呼吸……?)


(,,゚Д゚)「なんだかしらんが、邪魔すんなら容赦はしねえぞ姉ちゃん!!」


三段ロッドを振りかぶる青年。

対するヒートは


ノパ⊿゚)「鈍いよ」


手のひらをそっと差し出していた。


ぶつかる!


そう思う前に、事実は異なる結果を導き出していた。

受けるように、ではなく。

撫でるように、横向きに添えられた手のひら。


そこに、ロッドがくっついていたのだ。

170 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 21:06:49 ID:mlhLzJx.0
(,,゚Д゚)「…………は?」


ノパ⊿゚)「ばいばーい」


(;゚Д゚)「!?」

指先が、青年の胸元に触れる。

次の瞬間、バチィっという稲妻のような音が鳴ると青年は弾かれたように飛んで行った。

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「えええ!?」


驚きつつも聞き逃さなかった。
聞こえたのは稲妻のような音と……何かが広がる様な反響音。

まるで、水面に広がる波のような……。


ノパ⊿゚)「あたしはね、長岡。『スタンド使い』じゃあないよ……」

171 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 21:08:19 ID:mlhLzJx.0



ノパ⊿゚)9m「あたしは、『波紋使い』さ」






指先を見せつけるかのようにジョルジュへと振り返るヒート。


黄金色に輝く、波紋の光がそこには灯っていた。




つづく

172 ◆N91v81g8eE:2014/06/02(月) 21:09:30 ID:mlhLzJx.0
一月一回は最低更新を目標に頑張っていきたいと思います。

173名も無きAAのようです:2014/06/02(月) 21:10:15 ID:rdG6LvlE0
乙です。頑張って下さい
ずっと待ってました

174名も無きAAのようです:2014/06/02(月) 23:15:09 ID:MUt05aLE0

面白いな

175名も無きAAのようです:2014/06/02(月) 23:48:24 ID:6xR/Xvu.0
乙!ずっと楽しみにしてた!
こういうサプライズはほんと嬉しいな

176名も無きAAのようです:2014/06/02(月) 23:50:29 ID:jYic8wZg0
キテター━━━━(゚∀゚)━━━━!!
乙!

177名も無きAAのようです:2014/06/03(火) 20:03:47 ID:fRJ7dn9EO
きた!そしてまさかの波紋!

178名も無きAAのようです:2014/06/06(金) 14:47:16 ID:DH1o9gxQ0
面白いよ!
次回が待ち遠しい

179名も無きAAのようです:2014/06/08(日) 23:34:35 ID:KdRAxGlY0
なんでスタンド見えるねん

180名も無きAAのようです:2014/06/26(木) 22:58:55 ID:78R35B1Y0
きてたー!
まさかの波紋使いwww
続き楽しみにしてる

181 ◆N91v81g8eE:2014/07/30(水) 22:54:55 ID:WvWo3XxQ0
申し訳ないですけど、7月中に投下は難しそうです。
今週の日曜日には時間が取れそうなので、その辺りに投下します。
いきなりの約束破りで、本当にすみません。

182名も無きAAのようです:2014/07/31(木) 01:13:06 ID:FqKVXdlU0
波紋使いがスタンド見えるとしてスタンドに波紋は流れるのだろうか

183 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:03:28 ID:OHldUJIc0
いきます

184 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:05:47 ID:OHldUJIc0
      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「は……もん……?」

ノパ⊿゚)「そ、『波紋』 特殊な呼吸法で生み出される生命エネルギーのことだよ。
     あんたらの『幽波紋(スタンド)』だって、一応波紋なんだけどね。
     より具体的に精神エネルギーが見える点を考えると、きっとあんたら『スタンド使い』の方が上かな」
      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「……! いや、それより……なんで、あんた……オレを?」

ノパ⊿゚)「有名人なんだから、誰でも知ってるって。
     それに、あたしは『あんた』じゃなくて、素直ヒートって言ったでしょ」

ノパ⊿゚)「それと訂正が一個」
      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)「え?」

ノハ-⊿-)「さっきはわかりやすく伝えるため『波紋使い』って言ったけど……」


ノパ⊿゚)「あたしは『波紋の戦士』としてこの力を使ってる。
     あんたとおんなじ、『正義』をかざす為にね」





第六話「波紋の戦士」

185 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:08:46 ID:OHldUJIc0
(;-Д゚)「うぅ……痛つつ……」

遠くへ弾き飛んだ青年は胸元を押さえながら、ゆっくりと立ち上がった。
苦しそうではあるけれど、外傷も見られない。
闘志も感じる以上、戦闘続行をするつもりだろう。

ノパ⊿゚)「おや。ちょっと波紋の量が少なすぎたかな? タフだね、あんた」

(,,゚Д゚)「ったく、近頃の女子高校生は厳しいねェ……会うなりいきなり攻撃たぁ、物騒なことだ」

ノパ⊿゚)「あんただけに言われたくないんだけど」

(,,゚Д゚)「まあ、そのわけのわからん波紋とやらがどんなもんかは知らないが……
     残念だけどね、お嬢ちゃん。あんた、『負けてる』よ」

ノパ⊿゚)「は?」

(,,゚Д゚)「……」

青年はにやけ面を浮かべながら、ゆっくりゆっくり
手を顔の前へと持っていった。

指の形は何かを摘まんでいるよう。
しかし、パッと見ではそこには何もない。

ノパ⊿゚)「……!」

気づいたヒートはとっさに髪を押さえた。
ゆらゆらと風に揺れる『それ』を目視したから。

186 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:11:29 ID:OHldUJIc0
(,,゚Д゚)「きれぇな髪だね……へへへ。
      あんたが悪いんだよ……戦闘にそんな『不向き』な長さをしてるから……」

ノパ⊿゚)「そんな長すぎるとは思わないけど……」

(,,゚Д゚)「ま、そんなことはどーでもいいんだけどね……
      ほれ、『食べ』な」


   メギャン
(*゚ー゚) !


(*^o^) アーン


(*゚ー゚) ゴクン

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)「髪をスタンドが『食べ』……!?」



(,,゚Д゚)9m「さあ、取りつけ! 『グリーン・ベイビィ・ドール』!!」


-ニ三(*つ^ー^)つ ダッコ♪

187 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:15:34 ID:OHldUJIc0
ノパ⊿゚)「見た目が子どもだからって、容赦はしないよ……」

ノパ⊿゚)「『波紋』!」

(*。ー゚) ャンッ!

凄まじいスピードで襲い掛かる緑色の幼女に対し
ヒートは稲光する手刀を叩き込んだ。

正確無比に、延髄にめり込んだ後に重力方向に幼女は落下する。
無慈悲すぎる強烈な一撃は、赤子でなくても相当なダメージのはず……だが。

ノパ⊿゚)「!?」

(* ー )ウフフ……

(*つ^ー^)つ ダッコ♪

(*^ワ^)ノハ>⊿゚)「ちっ……うっとおしい」

何食わぬ顔で幼女はヒートの背中に張り付く。
重さなどは感じないが、ずんとする奇妙な圧迫感と、身体への違和感が発生した。

(,,゚Д゚)「無駄無駄無駄ァん♪
     『対象のDNA』を取り込んだそいつは、何があっても決して『離れない』のよ。
     攻撃しても当の俺は全くの無傷だしね」

(,,-Д゚)9m「つまり、能力が発動した時点で……『俺の勝ち』なのさ」
       (大体発動する前にやられるから、今日みたいなのはラッキーなんだがな)

188 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:17:17 ID:OHldUJIc0
訂正

(,,゚Д゚)「無駄無駄無駄ァん♪
     『対象のDNA』を取り込んだそいつは、何があっても決して『離れない』のよ。
     攻撃しても当の俺は全くの無傷だしね」

           ↓

(,,゚Д゚)「無駄無駄無駄ァん♪
     『対象のDNA』を取り込んだそいつは、何があっても決して『離れない』のよ。
     攻撃しても当の俺は、かすり傷程度だしね」

でした。すみません

189 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:19:11 ID:OHldUJIc0
(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「!」 ガクン

      _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)つ「あぶねえ!」

既に最初から距離が近かった。
近づくにつれて、効果が増すこのスタンドで、近距離はまずい!

判断したジョルジュは、キャッチ・ザ・ハンドの吸い寄せを使って、ヒートを安全圏へと退避させた。

(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「悪いね。助かった」
      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)「…………いや、こちらこそ、さっきは助かった」

(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「へー。別にあたし、まだ何もしてないんだけど。
          勝手に首を突っ込んで、まともな素性も明かさぬままの相手に
         『助かった』なんて、よく言えるね」



      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)「……」
    ゴゴゴゴゴゴゴ




(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「……」
          ゴゴゴゴゴゴゴ

190 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:22:40 ID:OHldUJIc0
      _
(*゚ー゚)( -∀-)・∀・)「根拠なんて……『ない』」

      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)「あんたの目を見ればわかる。
           嘘なんてない、『戦士』の目だ。だから、味方だと『心』で感じた」

      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)「あんたが、実際どーいう人間であれ……そういう人が傍にいるってのは安心するもんだ。
            そう思ったから、オレは『助かった』って言ったんだ。
            だから、もうとっくに巻き込まれているあんたに、
            こんなお願いをするのは変かもしれないけど……
            ちょいとばかし、あいつをぶっ飛ばすのに『手を貸ちゃあ』くれませんかね?」

(*゚ー゚)ノハ-⊿-)=3「……ったく、まずは先輩に対する口の利き方を覚えなよ、あんたは」

      _
(*゚ー゚)( -∀-)・∀・)「先輩、オレの名前は『あんた』じゃないッス」


   
    ド
      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)「オレの名前は『長岡ジョルジュ』。あんたと同じく正義を信じる人間ッスよ!」

       ン
        !

(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「上等!」

191 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:26:04 ID:OHldUJIc0
(,,゚Д゚)「寒い問答は終わったかァ? じゃー、仕掛けさせてもらいますよォ……」


ゆらりと、余裕の表情で青年は歩いてきた。

スタンドを出して構えるジョルジュは冷や汗を流し、ヒートは呼吸を整えることだけに専念をしている。

砂利の音が鳴ったと同時に、ジョルジュとヒートの身体が少し縮んだ。
感じると、二人は同じだけの距離を下がって身体を元に戻す。

      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)(オレのスタンドは、近距離タイプ……
            能力で引き寄せようと何をしようと、近づいた時点でダメなんだ。ならば……)

      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)「えーと、素直先輩?」

(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「ヒートでいいよ。あたしもジョルジュって呼ばせてもらうぜ」
      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)「じゃあ、ヒート」

(*゚ー゚)ノハ;゚⊿゚)「さん、ぐらいは付けろよ」
      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)「なんでもいいから。その、あんたの『波紋』ってのは
           どれぐらいの距離通用するもんなんスか?」
  
(*。ー。)ノパ⊿゚)「離れればその分だけ威力は落ちるよ。
  ヒマー      距離だけの話なら、どこまでも届くと言えば届くけど……
           こういう、土の地面相手じゃ、波紋が分散して上手く伝わらないこともある」
 
 ヒマダネー _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)「そうスか……じゃ、お互い近距離型ってわけなんスね」

192 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:29:46 ID:OHldUJIc0
(*゚ワ゚)ノパ⊿゚)「ったく、勘違いするな、って。あんたのスタンドがどれほどのパワーかはしらないけど
          あたしの波紋は『自由自在』だ。いくらでも、やりようはある」
      _
(*゚Д゚)(;゚∀゚)・∀・)「そ、そーなんスか?」

(*゚∀゚)ノパ⊿゚)「そうだよ。波紋ナメんな。……ところで、あんたのスタンドの能力なんだけど」
     _
(*゚-゚)( ゚∀゚)・∀・)「はい」


ヒソヒソと話しながら、グラウンドを中心にして円を描きながら三者は睨み合う。
青年も青年で、すぐに近づけばよいのだがそれをしない理由はちゃんとあった。

(,,゚Д゚)(スタンド……キャッチ・ザ・ハンドの能力は知っている。
     俺との相性は最悪だ。どうとでもなる)

(,,゚Д゚)(だが、割って入ってきたあの『女』!
     あの女が厄介だ。波紋とやらの能力は一体なんなのか……わからん。
     幽波紋の原型……という話を、どこかで聞いたことはあるが……)

相手の能力が見えないならば、安易に近づくのは得策ではない。
だが、状況から見えてくるわずかな情報もある。
青年は、先ほどのヒートの行動を思い出し推測した

(,,゚Д゚)(俺の距離に入ってから逃げようとしたのを見るに、遠距離攻撃は得意ではないだろう)

(,,゚Д゚)(だったら、やることは『一つ』!)

三段ロッドを展開し、青年は踏み込んだ。

近づきさえすれば、彼の距離だ。
無抵抗に、無慈悲に、無残に攻撃を加えられる。

193 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:33:06 ID:OHldUJIc0
零距離でなくとも、身体能力を割くことも可能なのだから、現状は青年優位なのだ。
恐れることはなかったのである。

      _
(*゚ー゚)( ゚∀゚)・∀・)「! 来ますよ!」

(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「オッケー、じゃあ算段通りに頼むよ!」

二人は、同時に離れた。

一緒くたになっていると、近づいた分だけ同時に効果が出てしまう。
だから、効果を少しでも分散するために、そうした。

(,,゚Д゚)「ま、好都合だよね」

そうなることを、彼は望んでいた。

同時にいる方が楽ではあるが、ターゲットを絞りにくい。
何よりも、未知の能力者がいるのだから、迂闊なこともやりにくい。

     _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)「うげーッ!? こ、こっち来んのかよ!!」

(,,゚Д゚)「ったりめーだろう。わかっている相手の戦力をまず落とすのが定石だ」

走り出したジョルジュへ、全力で青年はダッシュする。

194 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:36:43 ID:OHldUJIc0
ジョルジュの足も遅くないし、キャッチ・ザ・ハンドの能力を使っているのだから、常人よりは早い。
けれど、それは少しの距離が埋まるだけで徐々に劣化する。

幾度も幾度も繰り返しているうちに、ちょっとずつ距離は縮められてしまったのだった。

ノパ⊿゚)(もうちょっとだけ持たせろよ、ジョルジュ)

ヒートが走り出した方向は、ジョルジュとは正反対。
少しでも、時間が稼げるように。あえてその方向へジョルジュは動いてくれたのだ。

『そこ』でヒートはあることをしていた。
公園に備え付けられた、飲むにはあまり適さない生水の出る蛇口。
それを全開にし、放水に対して手のひらを添えているのだ。

時間さえあれば、それで『勝てる』とヒートはジョルジュに告げた。
特殊な機械でも使わなければ武器にすらならない、そんな水を一体何に使うというのだろうか。

推測をする間もなく、既にジョルジュはピンチを迎えていた。


(,,゚Д゚)「ふー、やっと追い詰められたか」

肩を鳴らし、青年は息を整えながら目標を見据える。

     _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)「ち……」

ジョルジュは舌打ちをしながら、地面に腰を下ろしていた。
まだまだ時間は稼げるはずだった。しかし、予想外のことが起こり少々のアドバンテージを途端に失ったのだ。

195 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:41:12 ID:OHldUJIc0
青年のスタンド、グリーン・ベイビィ・ドールズ。
距離が近づけば幼齢化してしまう恐ろしいスタンド。

その効果には若干のラグがある。

小さくなれば、同時に思考も衰えるのだが、身体への効果の方が先に来るのだ。
故に、ジョルジュは身体のみが小さくなったにも関わらず、年齢は現在のまんま。

つまり、動かしている手足などの感覚が合致していないのだ。

結果、彼は思わず制服の裾を踏みつけると、足を滑らせて無様に転んでしまったのだった。

衣服には効果が発揮しないため、当然である。靴もサイズが合わないから、条件は整いすぎているほどだ。


     _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)(あーっ、ったく……ホント凄まじいスタンドだな。
            条件達成したら、ほとんど勝ち確定じゃねえか。遠距離スタンドでもねー限りよ)

(,,゚Д゚)「ふっふーん。観念するか? したか? んん?」

     _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)(なんか意味わかんねーぐれーテンション高いしよぉ〜〜……
            はっきりいってキモいぜ、こいつ
            つーか、小さくなったりデカくなったりで、パンツがズレまくってうぜぇ)

196 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:45:25 ID:OHldUJIc0
(,,゚Д゚)「俺ぁ、こうやって相手が不恰好なまんま、なすすべもなくやられるのがたまらなく好きでよぉ〜〜〜!
     スゲー力を持ったスタンド使いでも、小さくなれば結局同じだからなァ……
     まったく、俺ってホント強いよな。」

     _
(*゚ー゚)(; ∀ )・∀・)(こういう自惚れ野郎をぶっ飛ばすのが一番スカッとするんだろうけど……
            ちっ……もう思考がやばく……)


一歩ずつ、近づけばジョルジュの力が抜けていく。
頭の回転が鈍くなる。

しかし迫る恐怖は衰えず。

再度走り出しても、もう絶対逃げられない距離にいることは明白だった。

     _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)(だから)


けれど、彼の目は死んでなかった。

     _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)9m「代わりによぉ〜〜〜!! 頼んだぜ、『先輩』!」

(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「あいよ!」

(;゚Д゚)「なにッ!?」

197 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:49:08 ID:OHldUJIc0
先ほど会ったばかり。
名前も知らない、まともな素性もわからない。

ただ、自分の力になってくれそう

そんな、ちんけな理由で信じていたから。

期待を裏切らず、予想違わず、彼女はやってくれた。

彼に対する必殺の攻げ……。


(;゚Д゚)「!?」

 ?  _
(*゚-゚)(;゚∀゚)・∀・)「えっ……」
 ?
(*゚-゚)ノパ⊿゚)「んー、良い感じ良い感じ」


なんてことはなかった。

青年もジョルジュも、波紋使いがどのような攻撃手段をするのか知らない。
だから、一体何を繰り出すのか……身構えていたのだが。

水。

本当に、それはただのどこにでも流れている水。
自然界から作り出される賜り物を、人類の英知の結晶で飲料水と化した、あの水道水。


ヒートは、自分の前方にぶちまけた。ただ、それだけ。

198 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:52:29 ID:OHldUJIc0
     _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)(おいおい、本当にそれだけじゃねーだろうな……?)

ジョルジュがチラリと視界の端から見た時は、それは間違いなく『異常』だった。

ヒートの手のひらには、『水の球』があったのだ。
どういう仕掛けかわからないが、きっとそれが『波紋』の能力。

何か細工をした、とっておきの武器にでもなったのかと、彼は思っていたのだ。

でも、現実は違う。


グリーン・ベイビィ・ドールズの範囲外から、それを投げつけた。
目測を誤ったのか、それは本体スタンド使いには届かず。

奇妙な形で、砂に混じって弾けて染みこんでいった。それだけ。

期待以上もなにも、期待外れのことしか起こっていない。

(,,゚Д゚)「なんだぁ? そりゃあ……」
     _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)(くそっ……)

意識が逸れて、油断するかと思った。
しかし、むしろ青年は後ずさり――――すなわち、ジョルジュの方向へ向かって歩いた。

能力は増すし、ヒートからの距離も取れる。最善の行動である。


(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「なんだもなにも、『攻撃』だよ、『攻撃』。見りゃわかんない?」

さも当たり前のような顔で、呆れながらもヒートは言った。

199 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:54:53 ID:OHldUJIc0
(,,゚Д゚)(攻撃だと? ばかな……)

青年は当然、それをハッタリだと仮定する。

たかが水だぞ?
それを、俺に対して害のある行動だと、何故言い張れる?

後ずさりをやめ、青年はロッドを構える。


(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「……ま、わかるわけないか。『普通は』ね」
     コォォォ……

こちらの女の方が、きっと安全だ。何か言っているが、これも虚勢だ。
波紋など、ただの手品みたいなもんでしかないんだな?
そう思った。

ジョルジュは距離を保ちつつやれば、簡単に始末できる。

だから、こちらから行かせてもら――――。

(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「さて、『乾く前に』やっちゃうよ」

と言いつつ、ヒートはしゃがみこんだ。
そして、自身の前方に投げ込んだ、今にもすぐ蒸発してしまうそうな水たまりに手を突っ込む。

遅れて、普段聞くことはないような、波紋の広がる音がその場全員の、耳に届いた。

200 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 17:57:47 ID:OHldUJIc0
(,,゚Д゚)「なにを……」

     _
(*゚ー゚)(;゚∀゚)・∀・)(しているんだ……!?)


(;゚Д゚)「こ、こいつはァァア〜〜〜〜〜〜ッッ!?」


(*゚ヮ゚)ノパ⊿゚)「よっ、と!」


担ぐような仕草をした。

『何を?』

問われた場合、きっと誰もが的確な答えは出せまい。
凡人なら言葉を無くす。
スタント使いなら『スタンド能力だ』と答えるしかない。

けれど、彼女は違う。だからこそ、言葉に詰まる。

砂に吸着したと思われた水。
規則性のない弾け方をし、波状が広がり、白砂の色を染める。


彼女は、『それごと持ち上げた』のだ。

本当にそのまま。水は水で形を維持しながら、砂を体に吸い寄せたまま。

不可能である『液体の拾得』をする、ヒートの顔はやけに誇らしげだった。

201 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 18:01:10 ID:OHldUJIc0
(*゚ー゚)ノパ⊿゚)「無理に近づくのもあぶねーし、これが『妥当』かな」

(*゚o゚)ノパ⊿゚)「そんじゃあ、名前も知らない面だけは良いお兄さん! これでバイバイな!」

片足を踏み込み、腰をねじり、腕を旋回する。
手に持ったその奇妙な物体は水平の状態で、固体かのように従って動いていた。


(*゚Д゚)ノパ⊿゚)「そーぉ……れっ!!」


身体に溜まった反発力を、捻転しながら全て解放し、それを手に持っていた『物体』に
伝えるように……放った!

放物線ではなく、直線を描くように。高速で回転しながら、それは目にも留まらぬ速さで飛んでいく!


(;゚Д(##)「うぎぇっ〜〜〜〜ッ!?」


感じたこともない痛みが、青年の顔に叩きつけられた。
削る様な、ひっぱたかれるような、押し込まれるような、切られるような。

様々な痛みを、避けなくては、と頭で反応している間にぶつけられる。
無様な声をあげ、吹っ飛びながら青年は失神し、戦意を失った。

     _
:::o゚) ( ゚∀゚)・∀・)「おっ?」
  スゥッ……
:::ヮ^)ノシ ノパ⊿゚)「ふぅ〜〜、これでお終い、っと」

202 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 18:04:52 ID:OHldUJIc0
手のひらをはたき、人仕事を終えてヒートは満足した表情。

それを見る、何も出来なかったジョルジュは、疑問を浮かべていた。

  _
( ゚∀゚)・∀・)(この人、なんなんだ? 『波紋』ってのは一体?)

能力への疑惑はありつつも、それでも彼は心で感じ取っていた。

彼女は間違いなく、『敵ではなく味方』だと。

もっといろいろと質問をしてみよう。
補修なんかより、よっぽど有意義な勉強時間になりそうだ。

見たこともない新たな能力『波紋』に興味が湧いたジョルジュは、ピンチの後だったというのに

その心を躍らせながらゆっくりと立ち上がり、『戦士』へと声をかけることにしたのだった。






(,, Д(##)

『グリーン・ベイビィ・ドールズ』
本体名 ― 呟影団員 赤城 康一

                        リ タ イ ア
未知の力、波紋による特殊攻撃により再起不能。
スタンドとは、精神のエネルギーが実体化したもの。
彼は幼女が好きだった。



  /└────────┬┐
. <   To Be Continued... | |
  \┌────────┴┘

203 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 18:06:53 ID:OHldUJIc0
スタンド名 グリーン・ベイビィ・ドールズ

使用者 (,,゚Д゚) 赤城 康一

スタンド像 (*゚ー゚)

破壊力 E スピード E 射程距離 B 持続力 A 精密機動性 D 成長性 -(彼の意志により不能)

遠隔型スタンド

対象のDNAを奪って、スタンドに認識(食事)させると発動。唾でも髪でも、なんでもいい。
何人でも付加可能。背中に勝手におんぶする(ダッコと言い続ける幼女がスタンド)

その状態で彼に近づくにつれて、身体、精神、共に年齢が若返る。
最高範囲は半径50mほど。ゼロ距離になると、赤子レベルになる。

204 ◆N91v81g8eE:2014/08/03(日) 18:07:46 ID:OHldUJIc0
今回のは、7月分更新のつもりです。
8月中に、また更新できるよう尽力します。

205名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 18:16:39 ID:PXihx2O20
おつ!
波紋万能ですな

206名も無きAAのようです:2014/08/03(日) 20:48:12 ID:vpdIYKT20
おつ

207 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 17:34:41 ID:e8RsuaEE0
すべり込みセーフ

208 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 17:35:39 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「ふーん、じゃあ別にあんたは目的があって、呟影団に喧嘩売ってるわけじゃないんだ」
  _
( ゚∀゚)「まー、確かに明確に何かある、ってわけじゃあないッスけど……
     料理が好きだから料理人になるように、サッカーが好きだからサッカー選手になるように
     悪が許せないから、オレぁ呟影団をぶっ潰そうとしてるんスよ」

ノパ⊿゚)「ま、いいんじゃない。別に、家族を殺されたとか、友達が病院送りにされたとか。
     くらーい過去と、つよーい憎しみを持っているヒーローだけが、正義をかざして良いワケじゃあないしね」


とある休日。
青年――(,,゚Д゚)――に殴られた傷が再生しきる頃。
河原で、二人は会話を弾ませていた。


ジョルジュは、前回の戦闘時に手助けしてくれた同高校の先輩……素直ヒートと連絡先を交換することにした。

その日にすぐさま話すには、ジョルジュ自身にも、彼女自身にも良くないと日を改めての交流。

広くて人がそこそこ居る場所が良いだろう。と、休日なら大抵やっている少年野球の絶好の場。
河川敷の傍にある自然公園で、今度の休みに落ち合おうと決めたのだ。

思ったより早く到着してしまったジョルジュは、何とはなしに昨日のメッセージのやりとりを眺める。

209 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 17:39:33 ID:e8RsuaEE0
  _
( ゚∀゚)【受験勉強とか大丈夫なんスか?】

ノパ⊿゚)【大丈夫。うちは代々、文武両道貫いてるから】
  _
( ゚∀゚)【由緒正しい家系なんです?】

ノパ⊿゚)【さー、どうだろ。純粋な日本人だけの家系じゃないし】
  _
( ゚∀゚)【え、そうなんスか?】

ノパ⊿゚)【爺ちゃんがイタリアの人らしいよ。ツェ……なんとかって名前だったかな。
     若いうちに死んでるから、喋ったことないけど】
  _
( ゚∀゚)【へー。だから先輩、背丈も高いしスタイル良いんスね】

ノパ⊿゚)【お、セクハラか? これ警察に見せていいかな?】
 _
(;゚∀゚)【ちょっと待ってくださいよォ〜〜〜!?】

ノパ⊿゚)【まーそれはいいや。じゃあ、明日な】
  _
( ゚∀゚)【はい。また明日ッスね】

210 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 17:42:59 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「おまたー」

ちょうど読み終えた頃で、ジョルジュはヒートと再会した。

小物アクセサリーは制服時のままらしく、ベルトやリストバンドを装着している。
ゆったりではなく、ぴっちりしたTシャツの上にデニムジャケットを羽織っていた。
袖口には丸い玉……鉄球のような形のボタン。
ホットパンツとニーハイにスニーカーと、アクティブスタイルの彼女はやけに眩しく見えた。




   第七話「スターホワイト」






河原の芝生に腰を下ろし、用意していたペットボトルの炭酸飲料をジョルジュは渡す。

ノパ⊿゚)「気が利くじゃん」
  _
( ゚∀゚)「いちおー、呼びだしたのはオレっスからね」

言いながらジョルジュも、同じ飲み物のキャップを開けて口に含んだ。
弾ける刺激が、口に広がり鼻に広がり、目すら刺激してくる。

独特の甘みをもっと楽しみたい欲求と、耐えがたい炭酸の絶妙な関係を、容器を傾けることで断ち切った。

211 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 17:46:54 ID:e8RsuaEE0
  _
(*゚∀゚)「くはー! やっぱ炭酸はうめーなぁ!」

ノパ⊿゚)「そんな一気にガーッとは飲めないね、あたし」

細い指で器用にキャップを回し、ヒートは口に含んだ。

ノパ⊿゚)「あたしは良いとして、そういえばあんたも勉強大丈夫なの?
     補講の帰りとか言ってたじゃん」
  _
( ゚∀゚)「やー。まあ大丈夫ッスよ。多分。
     ……おっと、そーいえば明日の英語の宿題忘れてたな……。
     回収係の空条さんに怒られちまう」

ノパ⊿゚)「おいおい、知らないよ〜?」

何気ない会話を交わす中。

ふいにヒートは話を切り出した。


『何故、ジョルジュは呟影団と戦っているのか。』


ヒートが抱く、率直な疑問だった。

それに対し、ジョルジュは自分の意見を正直に話す。

その上で、彼も思っている疑問をぶつけてみることにした。

212 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 17:49:18 ID:e8RsuaEE0
  _
( ゚∀゚)「先輩、ぶっちゃけもう巻き込んでいる状態で言うのもなんですけど……」

ノパ⊿゚)「うん」
  _
( ゚∀゚)「先輩は、『味方』になってくれるんスか?
     それとも、金輪際関わらないとか?」

ノパ⊿゚)「……」

ノハ-⊿-)「この『波紋呼吸法』ってさ、別にうちで商売としてやってるわけじゃないんだよね。
      誰かに教えるわけでもなく、そういう家系だから絶やさずに継いでいっている。
      聴いた話だとどっかには、回転を使う似たような特異技術もあるらしいけど……それはさておき」

ノパ⊿゚)「まあ、役には立つから。警察官とかボディガードとか、そーいうのになる人も、もちろん多い」

ノパ⊿゚)「あたしは別に、そういうのになりたいっていう立派な志は持ってない」
  _
( ゚∀゚)「……」

ノパ⊿゚)「でも」

ノパ⊿゚)「でも、これを『正しいこと』のために使いたいと思っている。
     その為に、あたしの親はこの力を授けて鍛えてくれた。
     だから、あたしも頑張って会得した。戦える人間、『戦士』になるために」

213 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 17:52:42 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「あんたがどういう人間か、まだ完璧にはわかんないけど……。
     あたしは、あんたが『正しいこと』をする『光』なんじゃないか、って漠然と感じてる。
     そして、間違いなく呟影団は『悪しきこと』をする『闇』……結論は出てる」


ノパ⊿゚)「力を貸すよ、ジョルジュ」

  _
( ゚∀゚)「へっ、話がなげーんスよ。先輩」

ジョルジュは照れながら、手を差し出した。
ヒートは躊躇することなく応じる。その迷いのなさが、彼にとっては至上の喜びだった。


一人じゃない。


そうなっただけで、心が軽くなったのだ。




  _
( ゚∀゚)「ところで先輩、その波紋ってスタンドは見えても、触れるんスか?」

ノパ⊿゚)「根源は一緒だからね。波紋を帯びている内は触れるし見えるよ。
     もちろん、スタンドにだって通る」
  _
( ゚∀゚)「つーか、そもそも波紋って?」

ノパ⊿゚)「呼吸から生み出される、生命エネルギーって話したでしょ。
     基本的には、生きてる物や水気のあるものに伝達しやすい特性を持ってるんだ
     痛み和らげたり、くっついたり離れたり。応用効きすぎて、一言じゃ説明は無理かな」

214 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 17:56:24 ID:e8RsuaEE0
  _
( ゚∀゚)「じゃなくて、なんでそんなものが?」

ノパ⊿゚)「あんた達のスタンドだってそうでしょ。
     『なんであるのか』なんて聞かれて、すぐ答えられる人なんている?」
  _
( ゚∀゚)「確かに」

ノパ⊿゚)「この波紋は、大昔にだけど吸血鬼と戦うために編み出された技法らしいけどね」
  _
(;゚∀゚)「き、吸血鬼ィ!? なんスかそのオカルト!」

ノパ⊿゚)「もちろん、今はもうそんなの居ないよ。けど、文献とかには残ってる。
     過去には現実として、あったことみたい。吸血鬼を超えた究極生物の話とか……
     まるで作り物みたいなお話がそりゃもうたくさんだよ」
  _
( ゚∀゚)「すげぇんスね……」

  _
( ゚∀゚)「……」


  _
( ゚∀゚)「!」


  _
( ゚∀゚)「そうだ」

ノパ⊿゚)「ん?」
  _
( ゚∀゚)「その波紋の呼吸って、もしかしてオレにも出来るんスかね?」

215 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 17:59:48 ID:e8RsuaEE0
.


――――。





次の日のことだった。

フィット気味の半袖パーカーと両腕にリストバンド。
薄い生地の短いプリーツスカートとスパッツ。に動きやすいカラフルな運動靴。

艶やかな髪を縛り、一本に結いあげている年ごろの女の子が、涼しげな顔でランニングをしていた。

コンクリートの地面を蹴り、河川敷の見晴らしの良い道路を駆けていく。
それなりのスピードを保っているのに、彼女の額には汗一つ流れていない。
手を抜いている様子もないのが、なんとも不思議な光景だ。

とある地点に差し掛かると、その娘は片足を踏ん張ってから軌道変更を行う。
緩やかに長い坂を下り、一般道へ。

信号を抜け、住宅街を越え、時計を見て昼前ということを確認し、前を見据えて更に進んでいく。

少し人気のなくなった通りへ出ると、彼女は足を止めた。

ノパ⊿゚)「ふー……」

216 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:04:18 ID:e8RsuaEE0
軽く息を吐き、温かくなった筋肉の動きを確かめる。
そして、腰に手を当てて徐に振り向きつつ、声を発した。

ノパ⊿゚)「どーしたの、もうヘバった?」

涼やかな声をかけられた相手は、それはそれは疲弊していた。

運動用のぴっちりしたウェアは、色を濃くし皮膚のように張り付いている。
通気性の良いハーフパンツから伸びる両足にすら、玉のような汗が流れていた。
  _
(; ∀ )「……ぜぇ……ぜぇ……」

ノパ⊿゚)「言い返す余裕もないの?」
  _
(; ∀ )(ほとんどトップスピードで、マラソンコース並の距離をなんで走れるんだこの人……)

波紋の呼吸によるものらしいが、幽波紋使い(スタンドつかい)でしかないジョルジュには余りにも酷なメニューだった。


そもそも、何故彼らはこんなことをしているかというと。




――――前日のこと。

ノパ⊿゚)「んじゃ、いくよ」
  _
( ゚∀゚)「おう!」

217 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:09:12 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「ほいっと!」 ズブォッ!
 _
(;゚Д゚)「!!!???!?」

ヒートは合図と共に、小指のみを立たせた拳でジョルジュの胸元を突いた。
比喩などではなく、それはまさに『突き』で、手が見えなくなるほどまで身体にめり込んでいる。

  _
(; Д )「……ァ……」

ノパ⊿゚)「あれ? ミスった? 滑っちゃった……わけじゃないんだけど」

ヒート曰く、波紋法を会得するもっとも簡単な手順らしい。
ツボを刺激することで、強制的に呼吸を波紋を生み出す特殊型に変化させる……はずだった。

しかし、当のジョルジュは苦しそうに悶えるだけ。
普通なら、そのまま絞り出した空気を再度吸い込む際に、波紋が生み出されるらしい。

とはいえ、現代においてヒートの家系にしか伝わっていない波紋法。
真実なのかどうか、それは文献の中でしかわからないことだった。

ノパ⊿゚)「……まー、波紋と幽波紋は似て非なるものだし。
     もしかしたら出来るかも、って思っただけなんだよね。
     大丈夫? 水飲む? グミあげようか? あ、ごめん持ってないや」
  _
(; Д )(無責任にもほどがあんだろ……)
 _
(;゚Д゚)「ん?」 コヒュ……

218 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:13:19 ID:e8RsuaEE0
 _
(;゚∀゚)「あれ、でもなんかちょっとだけ楽になってきたかも」コヒュウゥ

ノパ⊿゚)「お、本当? やっぱ素養自体はあるのかもね」
  _
( ゚∀゚)「続ければ、ちゃんと身に着いたりするんスか?」

ノパ⊿゚)「んー、どこまでいくかはわかんないけど。
     多分、多少なりとも使えるようにはなるかもね」
  _
( ゚∀゚)「おっしゃ! じゃあ、まずは特訓スね! どうすりゃいいッスか!?」

ノパ⊿゚) =3「調子の良い奴だね。まー、とにもかくにも呼吸だからね。
       じゃ、まずは……」




――――――――。




……と言うわけで、ランニングをしていたのだった。

いくら波紋の片鱗を身に着けたとはいえ、長岡ジョルジュは一般的な高校生。
スタンド能力なんて奇妙な特徴を持ってはいるが、それでも身体能力は平均的。
ここぞという時にしか出せない、瞬発型の疾駆速度を平常的に続けるパワーなんて……ない!

料理人が片手で卵を割るかのように、簡単そうな顔をして遂行しているヒートの方こそが『異常』なのだ。

219 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:18:32 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「まーいきなりはキツかったか。じゃあ、最後に階段ダッシュして今日はアガリにしようか」

ヒートは簡単そうに指をさした。
住宅街の中にある、人通りの少ない道。
そこの途中から、伸びているのは石造りの長い長い……いや、高い高い階段。
一歩を上るのに、しっかりと太ももを意識しないと難しいほどの段差。

先にあるのは、小さなお寺だ。地元の人でも、余り寄りつかない質素で簡素なものがあるだけ。
ゆえに、トレーニングには最適ともいえる。
  _
(; ∀ )(殺す気か……)

とはいえ、教えてくださいと頼み込んだのはジョルジュ。
自分から飛び込んだ以上、抗議をするのは間違っている。

難しいこと、ほとんど他へは広げてない技術を善意で教えてくれている。

そのことに、感謝をすべき当然の立場。

口が裂けても『ふざけんな、こんなのやんねーぞこのアマ!』と言える条件は揃っていない。

ノパ⊿゚)「飲み物ぐらい奢るからさ。ほんじゃ、いくよーん」
 _
(;゚∀゚)「……あー、わかりましたよ! いってやりますよッ!!」

これで最後だ。(今日のところは)
そう思うと、不思議と絞り出せる活力が湧いてくる。

ふらふらの足腰をグッと踏み込んでジョルジュはヒートの数段後を、死にかけのバッタのようについていった。

220 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:22:39 ID:e8RsuaEE0
  _
(; ∀ )(暑い……しんどい……)

呼吸のリズムがある。
吸って吐いての律動。

平静でのそれと、動揺のそれとでは全く異なる。
筋肉を動かすために使用されたエネルギーを補給するため、一生懸命呼吸をする。

波紋の呼吸は、常に一定の間隔がある。
それを乱さなければ、筋肉疲労もしない。エネルギーも消費されても生み出される。
だから、『呼吸を乱すな』とヒートはジョルジュに教えていた。

未熟であっても、多少なりとも楽になるはずだから。

 _
(;゚∀゚)(無理無理無理無理ィ……こんな死にそうな状態で、難儀な呼吸なんて出来るかっての!)


体が熱い。
振っていた腕が脱力する。
膝が抜けそうだ。

くそう。
もう少し冷えさえすれば多少は……


 _
(;゚∀゚)「!」

221 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:25:50 ID:e8RsuaEE0
ひんやりとした空気だった。
ほんのりと感じる、至高の冷気。

高さが増えたことによる風か。
まるで、クーラーの良く効いた部屋の扉を開けた直後のように。
スニーカーの上から伸びている足首に、心地よい冷たさが纏ってきた。

 _
(;゚∀゚)「おほー! これならもうちょっとだけ頑張れるぜ!」

声が出るぐらいには気持ち良かった。
だから、階段を二歩、三歩とガンガン進んでいく。

進むにつれて冷たさは増していく。だからイケる。

 _
(;゚∀゚)「おっしゃ、スパートかけるぜ!」

ノハ;゚⊿゚)「ジョルジュ!!!」


思い切り踏み込んだ瞬間だった。

何故か、ヒートの叫び声が聞こえた。

理由はわかってる。頭で判断するよりも、もっと早く本能が、脊髄が知っていた。

身体が宙に浮いていたのだ。
飛んだわけではない。物理的に当然の結果による浮遊。

222 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:28:19 ID:e8RsuaEE0
階段を踏んだ時に、体重がかかりきる前に『滑った』から。
高低差の激しいこの場で、そんなまま滑ると、重心の関係上後ろに倒れる。

だから、浮く。当たり前だ。

それをヒートは心配……いや『知っていた』?

 _
(;゚∀゚)「うぉおおお!?」

下を見る。余りにも高い。高すぎる。
このまま落ちれば最低怪我、それ以上もありうる!

 _
(;゚∀゚)・∀・)「キャッチ・ザ・ハンド!!」
   ズキュン!

けれど彼は一般的な高校生ではない。
持ちうる幸運を手にしている。

スタンド能力。
彼の持つ精神的肉体的特徴は、この窮地を救ってくれるのだ。

 _
(;゚∀゚)・∀・)つ「吸いつけ!!」

223 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:32:38 ID:e8RsuaEE0
左手をかざし、解離した階段へ再び着地する。
視界内であれば、彼はその左手にある『吸引』の力を使って移動できるのだ。

 _
(;゚∀゚)・∀・)「……なんだこれ……?」

足を付けた瞬間に気付いた。



…………『凍っている』。



石造りの、もう冬はとうに過ぎ去った、かんかん日和のこの日本で!

『階段が凍っている』のだ! だから転ぶ!

 _
(;゚∀゚)・∀・)「どういう……」

ノハ;゚⊿゚)「ジョルジュ! こっちにこい!」
 _
(;゚∀゚)・∀・)「え?」


声をかけられ、前を見た。

……その時には、彼も知った。

224 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:38:18 ID:e8RsuaEE0
足をつけていた、凍っている箇所。


『浸食している』! 接地しているスニーカーごと!


増しているのだ、『凍る現状』が!

だからヒートは焦って声を出した。手を差し伸べて、近くへ来るよう促した。

 _
(;゚∀゚)・∀・)「くっ!」


ジョルジュはそれに応える。
前に進もうにも、これでは無理だ。

なので、一度あえて今度は自分から、中空へ飛ぶ。
微妙に距離を作り、そこから吸引能力を発動させた。

石階段に触れず、真っ直ぐヒートの場所へ飛んでいく。

ノパ⊿゚)「うおっと!」
 _
(*゚∀゚)・∀・)「うほぅっ!?」

眼前で止まるつもりだったが、少し目測を誤った。
身体ごと、ヒートの柔らかな胸に突っ込んでしまったのだ。
沈むように弾むような反動を感じながら、汗をかいていないので洗剤の匂いがジョルジュの鼻を刺激する。

225 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:42:17 ID:e8RsuaEE0
 _
(*゚∀゚)・∀・)「す、すんマセン」

ノパ?゚)「大丈夫か?」
 _
(*゚∀゚)・∀・)「え、ええ。とりあえずは」


ヒートの近くに来て初めてわかった。
彼女は凍ることへの浸食影響を受けていない。

足元から連続的に波紋を流しているのだ。
自らの身体には、その凍結している箇所が実質触れていない。だから無事なのである。

ノパ?゚)「一帯には波紋流してるから、あんたも足付けて大丈夫だよ」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「了解ッス」

ノパ?゚)「……さて」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「ええ」

ノパ?゚)「この『異常事態』だけど、あんた心当たりは?」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「経験や知識に関しての話でしたら、この凍結状態は知りません」
  _
( -∀゚)・∀・)9m「ただ、こんな奇妙なことをされる『謂れ』ならよぉ〜〜〜っく知ってますよ」

226 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:44:29 ID:e8RsuaEE0
ノパ⊿゚)「……呟影団か」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「前に倒した七天柱の一人が言ってました。
        『部下がやられた報復をしにきた』って。
        つまりはそーいうことなんじゃあないッスかね」

ノパ⊿゚)=3「つまりなんだ、やっぱ当たり前だけど、とーぜんこれは」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「『スタンド攻撃』ッスね」

ノパ⊿゚)「やれやれ。わかっちゃいたけど、いきなり来るもんなのね」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「そういうもんッス」

ノパ⊿゚)「りょーかい。わかったよ。じゃー、ジョルジュ。
     このなんだかわからん、スタンド使い。とっととやっちゃいますか」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「オッケーっす。やっちゃりましょう」

二人は拳を突き合わせ、階段の先に居るであろう敵を見据え駆け上がっていった。

息を切らさずに息を合わせ、それは気持ち良いくらいの速度であった。




――――。


そして、その二人が目指す『目的地』


街の全景が見えるほどの高さである、頂上のお寺。
階段の最上段で、見下ろしている一つの影があった。

227 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:46:27 ID:e8RsuaEE0
決して大きくはない。
休日にも関わらず、学生服姿の女性。

風になびく長い長い髪の毛が特徴的だった。




川 ゚ -゚)「……」




川 ゚ -゚)「長岡……ジョルジュ……」





  /└────────┬┐
. <   To Be Continued... | |
  \┌────────┴┘

228 ◆N91v81g8eE:2014/08/31(日) 18:47:07 ID:e8RsuaEE0
予定だと9月はまだしも、10月が少し心配です。
めげずに頑張ります。

229名も無きAAのようです:2014/08/31(日) 19:35:09 ID:.cYaEtuY0
おつおつ

230名も無きAAのようです:2014/08/31(日) 21:22:35 ID:.bKy7Ny.0
乙!いつも楽しみにしてますよ!

231名も無きAAのようです:2014/10/11(土) 17:46:37 ID:CRMlx8nE0
10月ェ・・・

232名も無きAAのようです:2014/11/21(金) 02:05:51 ID:ORlkvE8Q0


234名も無きAAのようです:2014/12/18(木) 20:47:39 ID:Ou2yIlCo0


235 ◆N91v81g8eE:2016/07/24(日) 22:10:26 ID:tmMWZ58E0
八話「スターホワイト ②」



  _
( ゚∀゚)・∀・)「……! 先輩ッ!」

ノパ⊿゚)「おっと!」

ヒートは横へ飛んだ。
後方へ飛ぶと、急勾配ゆえに落下する。
前方に飛ぶには立地が悪い。

結果、波紋を帯びた足は氷地を横向きに蹴り飛ばし、回避運動を可能とさせた。

何故、こんなことをしたのか。理由は簡単だ。『攻撃された』から。

上方に見える階段ではなく、まるで空間から出現するように無数の氷柱が真っ直ぐ飛んできた。
だから、ヒートは回避した。

群をなす氷柱は円柱の様にして射出されたから、大きく動かざるを得ない。
階段のような、狭い空間でヒートは如何に動いたか!

ノパ⊿゚)「ほっ! よっ!」

それは飛んだと同時に、片手で着地。
波紋を帯びることによって接地面と吸着するという、常人にはできない曲芸技だ。

236 ◆N91v81g8eE:2016/07/24(日) 22:11:13 ID:tmMWZ58E0
しかし、それではそのまま転がってしまう。
階段わきにある草地では、ろくに踏ん張ることも出来ないだろう。

だから、ヒートは使った。『弾く波紋』を!
流れる首に巻いたストールが、突如伸びるように固まったかと思うと、光を帯びて反発!
地面を拒否するかのようなエネルギーが迸り、彼女は元の位置へと戻れたのだ!
  _
( ゚∀゚)・∀・)つ「まるで雑技団ッスね」

吸い付く能力のあるジョルジュは、問題なく安全圏に跳躍した後、階段へ戻った。
空間移動に関しては長けている彼だからこそ、余裕な台詞が吐ける。

ノパ⊿゚)「まーね。それよか、あんま離れるなよ。波紋の力が抜けると、すぐ凍るみてーだぜ」

言いながら、手を見せた。
さきほど、回避する時に着いた手だ。

凍っている。ほんの少しだが、霜が降りていたのだ。

ノパ⊿゚)「弾く波紋なら良いけど、くっつく波紋じゃ防御は出来ないからね……。
      困ったもんだ。迂闊に触れやしない」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「一気にぶっ飛びてェとこッスけど、あの氷柱を全部防ぐ自信はねーし……
         やれやれ。困ったもんスね」

ノパ⊿゚)「だったら、もうちょっと困った顔をしろっての」

237 ◆N91v81g8eE:2016/07/24(日) 22:11:57 ID:tmMWZ58E0
  _
( ゚∀゚)・∀・)「ふぃ〜ッ! 手厳しい。これでも悩んでんスよ。これでも」

ノパ⊿゚)「あんたがバカとは思えないけど、その底知れない余裕は気になるね。どうしてだい?」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「ま、慣れってヤツっすよ。オレも伊達に『スタンド使い』じゃあねえ、ってことッス」

ノパ⊿゚)「ふーん……。そーゆうことなら、頼りにしとくよ」
  _
( ゚∀゚) -=三 ・∀・)「頼りにしてくださいよ。これでもオレのスタンドは!」
      ギャンッ!



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
    
   =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
    =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
( ・∀・) =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
    =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ
   =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ

『モラモラモラモラモラモラァッ!!!』


  _
( ゚∀゚)m9・∀・)「スピードだけなら、一級品なんスからね」
    ビッ!

息をつくように、ジョルジュはスタンド……『キャッチ・ザ・ハンド』にラッシュをさせた。
話しながらも飛んできていた、無数の『氷の刃』を一瞬にしてたたき折る。
固くなっている手の甲で、ひとつ残らず塵へと化す……言うように、速度はまさに目にも留まらぬものだった。

238 ◆N91v81g8eE:2016/07/24(日) 22:13:03 ID:tmMWZ58E0
ノハ-⊿゚)「……最初からそーしろよ」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「はっはっは。何か小細工があるかと思ったんスよ。
         でも、どーってこたぁねえ。ただの『氷』じゃあないッスか。
         だから、今回は触ったんスよ」

言いつつ、ジョルジュは両手を脇に挟んだ。
触れた所が微妙に凍ったから。凍傷や霜焼けになる直前程度のものだから、それでいい。

ノパ⊿゚)「他に攻撃もないみたいだし……どうやら、不利ってわけでもなさそうだね」
  _
( ゚∀゚)・∀・)「みてーッスね。このまま根競べするより、さっさと『ケリ』をつけましょうや!」

ノパ⊿゚)「言われなくても!」


他に手はない。
対策も出来ている。
ならば、突き進むのみ!

止まらない攻撃の驟雨を、お互いがお互いの『能力』を活かすことで切り抜けていく。


その状況に対し、ただ一人だけ……顔に出さない程度に苛立ちを覚える人間がいた。


川 ゚ -゚)(……なるほど。これが『波紋』とやらか……やれやれ。厄介だな)

239 ◆N91v81g8eE:2016/07/24(日) 22:14:27 ID:tmMWZ58E0
登頂部にある、小さな無人のお寺の前。
賽銭箱前の石段に腰をかけ、『スタンド』に意識を集中している女生徒は、無表情で爪を噛んでいた。

川 ゚ -゚)(一筋縄じゃいかないのはわかっていたが。なまじ多様性がある分、スタンドよりも面倒だな。
     全容も見えないから、猶更だ)

川 ゚ -゚)(さて、どう対処したものか……)


女生徒はゆっくりと立ち上がった。
構えは取らず、ただ立ち尽くす。力を入れない楽な状態で。

耳を澄まさなくても、それはもう聞こえた。

一人は男、一人は女。
汗を流し、息を切らせて男は登り切り、対する女は気温のように涼しげな顔をして対峙した。


  _
(; ∀ )・∀・)「ぜー……ぜー……」

ノパ⊿゚)「あんたが、この氷のスタンド使い……だね?」



  ゴ
    ゴ

   川 ゚ -゚)「……」

      ゴ
        ゴ
         ゴ
           ・
            ・
             ・

240 ◆N91v81g8eE:2016/07/24(日) 22:15:08 ID:tmMWZ58E0
ノパ⊿゚)「……」

  _
(; ∀ )・∀・) =3 =3


川 ゚ -゚)「……もし」

ノパ⊿゚)「!」

川 ゚ -゚)「もしも、だが。ここで……私が『そうじゃない』と答えたとしたら……どうする?」

ノハ;゚⊿゚)「は? なにを言って……」

川 ゚ -゚)「もしかしたら、今喋っている私はただの囮で……キミたちを陽動させるためだけにいるブラフだとしたら?」

ノパ⊿゚)「……」

川 ゚ -゚)「随分と殺気立っているが、先述のような状況だとするなら、キミたちは善良な一般市民を無条件で殴り伏せる輩となるが……」

ノパ⊿゚)「なにが言いたい……?」

川 ゚ -゚)「言いたいのではない。聞きたいんだ。質問をしているんだよ、私は。
     質問を質問で返すのは、人間としてコミュニケーションが取れていないぞ」

ノパ⊿゚)「……調子狂うな。まあいい。答えてやる」

ノパ⊿゚)「言うように、もしあんたが一般市民だとしたら困りものだ。
      あたしだって、無関係な人を殴る趣味はない。巻き込まれた……としたとしても、出来るならしたくない」


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