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人間の証明をするようです
1
:
名も無きAAのようです
:2012/10/27(土) 19:51:46 ID:mmEe6jmg0
なんやかんやでさやえんどうスプラッシュ
94
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:10:47 ID:eu/PwRq.0
「ぐっ、えぁ、が、ぎぃ、いいいいいっ」
ネオンの光る街の元、そのきらびやかな光の届かない場所で男は苦しんでいた。
体中の細胞が残らず捻り潰されていくような苦痛。痛みに耐えきれずに吐き出した自らの吐寫物の上をのたうつ。
先ほどまで感覚を上塗りしていた酔いはとうに抜け落ち、痛みと苦しみだけが針のように体中に突き刺さっていた。
抉り込むような理不尽な痛みの根源を、息も絶え絶えな怒りを込めて睨み付ける。
その目を刺すのは、鮮やかな赤い髪。
「あ゛ぁ、げ、……て、めぇ」
「ははぁ、何だよ」
「んだ、じゃねぇよ……っ、てめ、何しやがっ」
「何て事ぁ無いよ。お前のお望み通りにしてやってるだけだ。ああ、お前の望んだ事だろ!」
そうして高らかに笑うのは、軽やかな女の声だった。
澄んだそれは薄暗い路地裏に不釣り合いな程明るく、威風堂々としている。
男はそれを酷く不快に感じた。
95
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:11:26 ID:UFkd0lZI0
しえーん
96
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:11:45 ID:rF/Piw3s0
支援?それくらい俺がしてやんよ!
97
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:13:11 ID:eu/PwRq.0
アスファルトを引っかくその手は、見慣れない形に変質していく。
胸に恐怖が駆け上った。痛み。喪失感。吐き気。喉をひっくり返していく悲鳴を意地だけで飲み下す。
作り変えられていく。生まれてこの方貼り付き続けていた自らの皮膚が、内臓が、肉が、血が、骨が、総じて取替えられていく。
その様子すらも女はけらけらと笑い、楽しそうに指を差した。
冗談じゃない、と声を張り上げようとするが、急速に視界が暗転していく。
糞、という呟きさえも乾いた息になって口から吐き出された。
最後の力を振り絞り、その声の主の履いたハイヒールを一睨みし、ぎりぎりと歯噛みしながら痙攣する瞼を閉じる。
「おぼえ、とけよ……ブチ殺してやる……!!」
恐怖も痛みも全てをねじ伏せ男がはいた言葉は、呪詛。
それを見て声の主は益々愉快そうに喉を晒して呵々大笑してみせた。
「私は猫より犬の方が好きなんだよ!」
後悔を痛みに塗り潰されながら、男の意識は、途切れる。
闇に引かれるまま、そうして彼は死んだ。
ああ、酔っぱらいの犬派か猫派かの論争になんて付き合わなきゃ良かったのに!
98
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:14:17 ID:eu/PwRq.0
しぃは大変驚いていた。
友人の隣の部屋の住人が殺人犯の手にかかったと噂を聞いて、野次馬根性を剥き出し、
何かはなしを聞いてやろうとそのマンションに向かったのが、運の尽き。
オートロックを開いてもらい、エントランスから曲がって右。一階の片隅から一つこちらの部屋。
その扉の前で、しぃは大変驚いていた。
大事なことなので二度言いました。
99
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:15:16 ID:O8/aZ8GU0
しえしえ
100
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:15:27 ID:eu/PwRq.0
( *゚ O゚)
それはもう、大変分かりやすい形の感情表現だった。
ぽかりと口を開いて一度開いた扉を閉め、また開いてから口を閉じる。その間、
驚かれた対象は不機嫌そうにゆらりゆらりと尻尾を振っていた。
尻尾である。
しぃは大きく深呼吸をしてから、真一文字に口を引き締め、デフォルトの笑みを浮かべた。
彼女の母は所謂悪女で、笑顔は女の武器だと幼いしぃに叩き込んでそして死んでいった。
あんのクソババアと居酒屋での人生語り(笑)に於いて母への恨み節を欠かさないしぃではあるが、
死の淵ですら笑顔とつくろった美しさを失わなかった母をそれなりに尊敬している。
そのため彼女の立ち絵は基本笑顔です。ノベルゲーム化の際はその辺宜しくお願いしますね。
そんな来る日の野望はともかく目の前の対象である。
(*゚ー゚)「ギコ?」
(,,゚Д゚)「うん」
101
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:16:16 ID:eu/PwRq.0
それはこっくりと頷いた。
ひくり、としぃの口の端がひきつる。しぃは確かにギコという友人を訪ねたつもりだったのだ。
実際、しぃが開いたマンションの部屋の表札にはきちんと彼の名字が書かれている。
前回訪ねた記憶も確かだ。道を間違って同じ苗字の別人をたずねたとかではない。
間違ってはいない。
しぃは、間違っていないのだ。
(*゚ー゚)「ペンキ食べたの?」
(,,゚Д゚)「食べてない」
(*゚ー゚)「あっそう」
だから間違っているのは友人なのだろうと思い、彼女はとりあえず渾身の力で目の前の友人(仮)にローキックを叩き込んだ。
(;,゚Д゚)「えっおがぁあ?!」
しぃは理不尽を感じると真っ先に足や手がでる性質であった。
理不尽なのはお前である。
102
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:17:02 ID:eu/PwRq.0
しかし友人がこんなんになったら理不尽にもなろうという気持ちもくんでくれとしぃは主張する。
主張はともかくジャージの生地でふぁふっとスニーカーの靴底がいい具合に滑った。
唐突な攻撃を受けたそれの目が白黒するのがしっかり見える。
(#*゚Д゚)「誰だ! お前は誰だ! なんだその青さ! 夏の空か!」
(;,゚Д゚)「顔面崩か、痛っ! いたぁあぁああ?!」
ローキック。ローキック。そのまま踏み込んでジャンピングニー。
掴んだ頭をそのまま引っ張りみぞおちめがけて大きく振りかぶって(膝を)。
良い子は真似をしないで下さいの喧嘩殺法が炸裂しているので、描写は省かせていただきます。
(#*゚Д゚)「お前なんて知らない! 知らない! 誰だ!
ギコを何処へやった、美味しかったかぁああ! どうやって食ったんだ! 寸胴鍋か!
じっくりコトコト煮込んで食ったのか! 味付けは醤油か! この化けものォオオ!」
(;,゚Д゚)「食われた一択?! うお死ヌッ?!」
鬼神のようなしぃから逃れようと、友人のようなそれ、人型猫もどきは比喩でなく真っ青になった手を揺らして玄関へと這い上がる。
それにしても友人のような人型猫もどきという言葉の曖昧さと言ったら画期的だった。
ところで同じようなAAが並んでいて非常に画面構成が鬱陶しい。
103
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:19:16 ID:PJymTJxw0
この淡々と地の文がボケる感じが好きだ
104
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:19:22 ID:UEVPYJ0Q0
支援しえーん!!
105
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:20:14 ID:eu/PwRq.0
(;*゚ー゚)「……ハァハァ」
(;,゚Д゚)「とても痛い」
一旦休憩。
幾らしぃが学生時代に美しき虎(自称)として名をはせていたとしても、今は人畜無害な図書館司書である。
体力の衰えは否めない。
休憩ついでに友人のような人型猫もどきを観察することにした。
前会った時の正常な人間の形は大して変化していない。
頭からラムダ型の耳が生え、全身が短く密な、真っ青の毛で覆われていた。
ジャージからこぼれ出た尻尾が逆立っている。ところで警戒している猫の尻尾とはなんであんなにもふさふさで可愛いのか、筆者は不思議でしょうがない。
分かりにくい説明に、八頭身AAという言葉をそっと残そう。
休憩おわり。息を吸って再度シャウト。
(#*゚Д゚)「ギコはそんな猫みたいな奴じゃ無かったもんねぇえ!
もっとふつうに人間だったもんねぇえだッ! だまそうったって無駄なんだからなぁぁあ! のどの下撫でても良いですか!」
(,,゚Д゚)「あ、止めてください」
(#*゚Д゚)「なんでだよぉおお!!!!」
ぐしゃりと地べたに崩れ落ちる。
とりあえず、しぃは無類の猫好きだった。
106
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:21:20 ID:eu/PwRq.0
(,,゚Д゚)「とりあえず、コーヒーで良いか?」
(*゚ー゚)「あ、うん」
(,,゚Д゚)「テレビのリモコン机の上だから」
(*゚ー゚)「はいはい」
(,,゚Д゚)「あ、昼だけど何か食う?」
(*゚ー゚)「んー、あ、モララ呼ぼうか」
(,,゚Д゚)「モララー? ……まぁ、良いけど、なんでだよ」
(*゚ー゚)「うん、ほら、尋問にはあれね、良く知る証人が居るから」
(,,゚Д゚)「じ、え、あ……はぁ……」
曖昧に頷き、白い湯気の立つカップを机に置く。
それを受け取り、しぃは携帯電話を取り出す。ぱたぱたと操作して、どうやら誰かを呼んでいるらしい。
その向かいに座りながら、友人のような人型猫もどきはテレビのリモコンを握った。
107
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:24:19 ID:eu/PwRq.0
テレビでは今最もセンセーショナルな話題、眉唾ものの「神様」についての特番が流れていた。
あちこちで「神」が起こした奇跡が残される中、その「神」を見た人は一人としていないのだそうだ。
曰く、治らないといわれていた難病が回復した。
曰く、逃げ遅れた者達の居た家屋の火災が一瞬にして鎮火、元通りになった。
曰く、痛んでいたはずのチーズ蒸しパンがすべてほっかほかのカレーまんになっていた。
眉唾物の話題の羅列に、しぃの友人のような人型猫もどきはもふもふの顔をちょっとゆがめる。
今現在彼に眉毛は無いですが、眉毛のようなぴょいんと出たあの毛につばでも塗りたい気分だった。
ぱたん、と携帯を閉じる音がする。
(*゚ー゚)「ん! じゃあ、行こう」
(,,゚Д゚)「は?」
(*゚ー゚)「何かモララー、近く居るらしいから、そっちに向かおう」
(,,゚Д゚)「え、え」
友人のような人猫型人もど、面倒くさいのでギコと呼ぼう。ギコの腕を引き、しぃは玄関へと向かう。
まだ残った自分の分のコーヒーを名残惜しげに振り返りながら、ギコは慌ててリモコンを放り投げた。
床に落ちてがっしゃんと盛大な音がするが二人は気にしない。
精密機器がどうたらというのに気をやらない人種のようだった。天の声ムカつき千万である。
108
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:25:24 ID:eu/PwRq.0
(,,゚Д゚)「なぁ俺こんなんなってからなんていうかひきこもりだったから出たくないんだけど」
(*゚ー゚)「え、何で?」
(,,゚Д゚)「な、いや何でって、ご近所の目とか、こんなんじゃ、なぁ」
ドアノブに手をかけたままで立ち止まったしぃが「あー」と頷く。
分かってくれたか、とギコが顔を綻ばせた。リモコンが壊れることは気にしないくせに、近隣住民との関係が壊れることは気にするらしい。
(*゚ー゚)「まぁいいじゃん、お隣さんも居ないんだし」
(,,゚Д゚)「えぇえ……マンションから出た後とかどうなんの……」
(*゚ー゚)「誰も彼もが自分を見てるなんてとんだ自意識過剰だよ」
(,,゚Д゚)「身も蓋もねぇな」
言い合いながら、エントランスを抜けて行く。
(*゚∀゚)「……」
109
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:26:29 ID:eu/PwRq.0
ふとギコの青い体毛を逆撫でるように、視線が刺さった。
ロビーに並んだ自販機の喫煙コーナーで立ちすくむ少女が此方を見ている。
それに気づいたギコは顔をひきつらせた。
(,,゚Д゚)そ「ああっ早速ひとに見られたっ」
(*゚ー゚)「自意識過剰自意識過剰」
どうでもいいが自意識過剰というのは二回続けるともの凄い字面だった。
(# ・∀・)「……ギコは美味しかったか、化け物めぇぇええ!」
(*゚ー゚)「あ、もうそういうのはやったから」
( ・∀・)「え? そうなの?」
110
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:27:42 ID:eu/PwRq.0
しぃが向かった先は、休日の午後とは思えないほど閑散とした公園。
いくつか並んだベンチの一つを占領し、缶コーヒーをすする男性がいた。
二人に気づくと手を振り、そして三秒後にギコに向かって走りより、飛び足刀蹴りを叩き込もうとした。
それをまた間一髪避けたギコを見て男性が叫び、
>>109
だった。
リアクションを奪われ、勢いを殺された男性は暫くうずうずとしていたが、そのうちにもう一度腰を落ち着けた。
所在なさげにベンチの前に立つギコを上から下まで、その向こうを透視したいように眺める。
( ・∀・)「……ギコ、ペンキって美味かった?」
(*゚ー゚)「いやそれもやったから」
( ・∀・)「えぇえ……僕の分もリアクション残しといてよ、きっついなぁ」
(*゚ー゚)「ごめん、気が回らなくて」
( ・∀・)「んんんー、まぁいいけど」
モララーは苦笑して、しぃとギコに自分の隣を薦める。
二人もそれに従い、真新しい金属のベンチに腰掛けた。
赤黒く錆びたような汚れがこびりついていたが気にもしない。
(,,゚Д゚)「お前呼び出そうとするといっつも近くにいるよな。結局どこに住んでんだよ」
( ・∀・)「いやーそればっかりは家族以外には教えられないなぁ」
(*゚ー゚)「胡散臭さマックスだね!」
111
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:27:44 ID:FO59Pw1c0
支援だ!
112
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:29:16 ID:eu/PwRq.0
( ・∀・)「……所で」
足を組み、その上に肘を着いてモララーは自分の右隣に座るギコをみた。
( ・∀・)「……とりあえずペンキは美味しかった?」
(,,゚Д゚)「待てそれ二回目だって」
(*゚ー゚)「むしろ三回目だって」
(# ・∀・)「うるせぇな久しぶりに友達に呼び出されたと思ったら何かこんな状況の俺の混乱を汲んでくれよ何この耳ーっ!
俺の知ってるギコはもっとふつうに人間だったろうがよぉおお!」
(,,゚Д゚)「おおおおおう」
がくんがくんと揺らされるままに首をふる。それにつられてしぃも首を振る。
襟首を捕まれ揺れに揺れる人型猫もどきと襟首を掴み揺らしに揺らす男とそれらを眺めて首を振る女という珍妙な光景が出来ていた。
気が狂っている。
(# ・∀・)「もっふもふですやん! もっふもふですやん!!」
(,,゚Д゚)「もももももっふもふですうううう」
(*゚ー゚)「もふもふー」
113
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:30:42 ID:FO59Pw1c0
もっふもふ支援
114
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:31:05 ID:eu/PwRq.0
揺さぶるモララー。揺さぶられるギコ。頭を振るしぃ。
シュールだった。
そんな超・現・実をしていた為、三人はすぐそこに近寄る陰に気づかなかった。
(*゚∀゚)「それ、まほうつかいにやられたんだろ?」
(,,゚Д゚)「……?」
言葉からしてにやにやと笑っているのが聞いてとれるような声に揺らす手を首を止め、三人は向かいのベンチを振り返る。
そこに居たのは、先ほどギコとしぃがマンションのエントランスでちらりと遭遇した少女。
しぃよりも幼く、小柄で、中性的な雰囲気をまとっている。その服装はやたらめったらとパンキッシュだ。
ニヤニヤと笑いながら三人を見つめている。
115
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:31:46 ID:eu/PwRq.0
風呂沸いたので一旦休憩
116
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 22:37:14 ID:AI9PKbZM0
ハインかと思ったがつーだったか
支援
117
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:02:38 ID:Y6VdpEXw0
なんか目に浮かぶなこの超・現・実www
118
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:10:18 ID:eu/PwRq.0
(*゚∀゚)「哀れダナぁ、『実験動物』は」
(,,゚Д゚)「……は?」
(*゚∀゚)「そんな風に変えられて、それでもまだ正気なんて、悲劇だぜ」
(,,゚Д゚)「……なぁしぃ、黄色い救急車って119で来てくれるのか?」
(*゚ー゚)「あれ、都市伝説だよ」
(,,゚Д゚)「まじかよ」
(*゚∀゚)「あはははハハハハっ! 可笑しいのはジブンじゃなくておれか! はは、やっぱ正気だ。変なの」
( ・∀・)「……何、これ。知り合い?」
(,,゚Д゚)「いんや? 知らない」
(*゚ー゚)「私も、知り合いでは無いねぇ」
からからと響く少女の笑いを、友人(仮)への侮辱と取ったのか、モララーとしぃの表情が渋いものとなる。
罵倒されたのかもしれない当の本人は、なにがなんだかとした様子で少女を伺っていた。
一頻り乾いた笑い声を上げ満足したらしい少女は、天を仰いでいた顔を戻し、にっこりと申し分無い笑顔を浮かべる。
端正な顔立ちは笑みに緩んでそれが正しい形のように愛らしい。
しかしその表情はどこか歪に歪んでいるような空気をかもし出していた。
119
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:11:17 ID:86h3o1to0
お帰り支援
120
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:11:29 ID:eu/PwRq.0
(*゚∀゚)「誰にやられたのか知らないけど、そんなのってあんまりにもカワイソーだからさ、優しいおれが処分してあげるよ」
右手を宙にかざすようにして、笑みを深めた。
びぎ、とどこからかプラスチックを無理矢理に歪めたような音がする。
(*゚∀゚)「――召還まほう、」
不愉快な音色があたりに響く。発光などの修飾は一切無い。
ただ少女の手を中心とした空間が屈折し、たわみ、ゆわむ。
ぎちぎちと鳴っていた音が止むと、ずるりと何かが抜け落ちた。
それは少女の細い足にからみつくようにして形成される。
(*゚∀゚)「――『ギルミルキル』」
ぎりぎりアウトラインだった。
121
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:13:11 ID:eu/PwRq.0
(,,゚Д゚)「……それは、やばくないか」
(*゚ー゚)「アウトだよね」
( ・∀・)「……アウアウ!」
(#*゚∀゚)「うっ、る、せーっ!」
空間を蹴る音、敷かれていたアスファルトのはぜる音が響く。
少女の姿は、音を置き去りにするようにして消えていた。
最初から居なかったかのように土ぼこりが舞い上がっている。
(;,゚Д゚)「――っな」
(*゚∀゚)「「それじゃあ、天国行けよ、被害者くん」
そして三人が少女が居なくなったという状況を認識するよりもっと早く、ギコの目の前、斜め四十五度上空に現れる。
大きく振り被った白い手に握られているのは、小振りなナイフ。
ギコが気づき、息を呑むよりなおも速い。
122
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:13:47 ID:UEVPYJ0Q0
三人のリアクションwwww
123
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:14:25 ID:eu/PwRq.0
白刃が青い毛並みに突き刺さる。
(,,゚Д゚)そ「うわーいてぇ!」
肉を裂く音。
骨の間を抜けるように巧い具合に果物ナイフの刃がギコの手から生えていた。
真っ青な毛に赤い血が滲んでいく。ふさふさとした毛の撥水は良いらしく、端からぼたぼたと流れていった。
(*゚∀゚)「へ、」
(,,;Д゚)「いてぇえっよ馬鹿やろぉおうぅっあいって!」
涙目になりながらも、ギコはそのまま小さな少女の手を握り込む。
それは意外な行動だったのか、少女は素っ頓狂な声をあげた。
何これ手取れるんじゃね、とギコは内心悲鳴をあげるが、耐えきったのは何も不思議な事ではない。
過去にそれ以上痛い思いをしていると、なんだかんだと耐えられるものなのだ。
そして何より今回の場合、
124
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:14:36 ID:O8/aZ8GU0
ちょww ウェポンwww
125
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:16:36 ID:eu/PwRq.0
(# ・∀・)「っの、不審者がっぁああああ!」
すぐ近くに助けてくれる友人がいるという、精神的な余裕もあった。
あのときとは違うのだ。
(# ・∀・)「よっくもギコに怪我させたなぁああ!」
(*゚∀゚)「うおお?!」
めこっというような、間抜けな音が閑静な公園に響く。
青筋を浮かべたモララーが振り上げているのは、ベンチ。
金属で出来た据え置きのそれを、素手にボルトをねじ切り、軋ませゆがませ持ち上げ振り上げ、――
126
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:17:56 ID:eu/PwRq.0
(# ・∀・)「うぎぎぎぎぎぎぎぎ」
(*゚ー゚)「頑張れ頑張れー。二人とも頑張れー応援してるよーすっごい応援してるよー」
(,,;Д゚)そ「他人事だ?!」
(# ・∀・)「そいつ押さえとけよおおおおおギコぉおお」
(,,;Д゚)「おっ、おおぉおお?」
(;*゚∀゚)「え?」
嘘だろ、と少女が口に笑みを浮かべたままつぶやく。
小さな手はギコの青い手のひらに握り込まれ、微動さえしない。ぼたぼたと真っ赤な血が滴り落ちる。
ざり、と少女の足が地面を踏みしめ、しかしそれもギコの足に押さえつけられ動きを止めた。
蹴るという動作を増幅させる赤い贋作は、それでもう封じられた。
ひくっと少女の口の端が引きつる。
(;*゚∀゚)「おれってそんな殴られたりするようなキャラじゃな――」
(# ・∀・)「うるせぇ!」
(;*゚∀(#「ィぎゃんっ!!」
ごいん、と鈍い音。
127
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:18:27 ID:HxMP0asE0
全体的に人間離れしてんなwww
128
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:19:24 ID:86h3o1to0
まともな人間がいない!
129
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:23:07 ID:eu/PwRq.0
ごいん、と鈍い音。
巨大な質量をぶつけられた少女の体が叩き飛ばされる。軽い体重は重力を振り切り、おもちゃのようにぽーんととんだ。
遮蔽物の少ない場が手伝っての人間ホームランを見送ったギコとしぃは「おお」と声をそろえる。
モララーはベンチを地面に落として額に浮かんだ脂汗を拭った。
( ・∀・)「フっ……また詰まらぬ物を切ってしまった」
(,,゚Д゚)「切ってない切ってない」
(*゚ー゚)「記録、約14メートル」
( ・∀・)「いやー俺も衰えたなぁ」
(,,゚Д゚)「で、あれどうすんだ」
(*゚ー゚)「放置?」
( ・∀・)「放置は不味くない?」
(,,゚Д゚)「不味いかなぁ……」
芝生にごろんごろんと転がったパンキッシュ人間野球ボールを眺めつつ途方にくれる三人(約一名人もどき)であった。
130
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:24:51 ID:eu/PwRq.0
少女は夢を見ていた。
まだ少女がふつうの、つまらないただの子供だったころ。
兄と呼び慕う青年にまとわりついて、日溜まりの中で目を細める。
(*゚∀゚)「なーアニキー」
( ゚∀゚ )「なんだー?」
(*゚∀゚)「私にも魔法おしえてくれよー」
( ゚∀゚ )「あー? おまえにはまだ早ぇっつってんだろォ?」
(*゚∀゚)「聞いたんだからな。スナオに魔法教えたんだって? なんで私には教えてくんないんだよ!」
( ;゚∀゚ )「あァあ? だ、誰に聞いたんだよ、そんな事……」
(*゚∀゚)「ねーちゃんにだよ! なぁ、何でスナオには教えたのに、ずるいだろー!」
( ;゚∀゚ )「あいつに教えたのは、魔法じゃなくてまほ、」
(#*゚∀゚)「魔法じゃねぇかよー!」
131
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:27:38 ID:eu/PwRq.0
( ;゚∀゚ )「……だからァ、おまえにはまだ早いんだって」
(#*゚∀゚)「なーんーでーだーよー!!」
ばしんばしんと青年の背中を叩きながら少女は眉を釣り上げる。相対して青年の眉は垂れていった。
それは青年と少女お決まりのやり取りのようなもので、少女もそこまで本気で言っている訳ではない。
ちぇ、と唇を尖らせ、青年の背中にもたれ掛かる。
( ゚∀゚ )「おまえがもっと大きくなったら、おれがとびっきりの魔法教えてやっからさァ」
(*゚∀゚)「……アニキずーっと前からそれ言ってんだろー」
(*゚∀゚)「もっともっとって、おれそのうち山にでもなっちまうぞ」
( ゚∀゚ )「はっ、山になる前には教えてやるよォ」
(*゚∀゚)「だーからそれいつだってー」
青年の衣服から舞う埃のようなものが光を反射して、きらりきらりと光る。
魔法の残骸だ、と少女は幸せな気分でそれを見ていた。瞼の裏でそれがきらきらとちかちかと瞬くのだ。
きらきらと、ちかちかと
ちかちかきらきらと、
ちきちきと、からからと
132
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:28:49 ID:eu/PwRq.0
(*-∀゚)「あれ?」
(;,゚Д゚)「手に風穴がぁああ!」
(;*゚ー゚)「グロい! グロい!」
(; ・∀・)「やべ、何コレ、どうなってんの?!」
(;*゚ー゚)「傷口に毛が! 何コレすごい訳わかんない状態!」
(; ・∀・)「消毒とかしてみる?」
(;*゚ー゚)「傷跡残るのかなぁ……」
(,,゚Д゚)「っていうか……毛並み? うん? 訳わかんねぇ!」
(*゚∀゚)「……ん、あ、あ……?」
( ・∀・)「あ、起きた」
133
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:29:33 ID:HxMP0asE0
猫だし舐めよう
134
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:32:06 ID:eu/PwRq.0
瞳をあけると、見たこともない青い青い空が少女の意識を迎えた。張り付くまつ毛を擦り、頭をもたげる。
途端、鈍い痛みが走った。
「うっ」と悲鳴を上げていると、三つの顔がこちらをのぞき込む。
自分がナイフを突き立てようとした顔と、自分をぶん殴った顔。
それから特に何もしなかった顔に、少女はひきつった笑みを浮かべる。
慌てて立ち上がり飛びのこうとするが、体の痛みがそれを許さない。否、どうやら誰かが自分の足を跨ぐように座り込んでいる。
(;*゚∀゚)「ぅあ、」
(*゚ー゚)「うわくすぐったい」
身じろぐと、足の上に座り込んでいる何もしなかった顔がくすぐったそうに笑った。
柔らかいはずの女性の笑みに、しかし何故か背筋が凍った。
(,,゚Д゚)「あ、やっと起きたかー」
( ・∀・)「よしギコちょっと家から、千枚通し持ってこい」
(,,゚Д゚)「えっ、良いけど何すんだ」
( ・∀・)「拷問」
(,,゚Д゚)「なにそれ怖い!!」
135
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:32:34 ID:8NP95IoI0
なんか3人楽しそうだなw
136
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:34:32 ID:eu/PwRq.0
( ・∀・)「ばっかオメェ何言ってんだ、殺傷沙汰だぞ殺傷沙汰。これで犯人捕まえて拷問せずに何をするってんだよ」
(*゚ー゚)「通報とかじゃない?」
(,,゚Д゚)「少なくとも拷問は選択肢にはいらねぇよ」
(# ・∀・)「警察で済んだら謝罪はいらねぇんだよ!!」
(,,゚Д゚)「謝罪で済んだら警察いらねぇだろ……」
(*゚ー゚)「で、」
くる、と改めて女の顔がこちらを見る。
そこに浮かんでいる表情はやはり柔らかい。整った顔立ちは、まるで慈母の如く温かに緩んでいる。
それなのにこの背筋を這う寒気は何だ。少女は息を呑んだ。
(*゚ー゚)「まぁ拷問はしないにせよ、いきなり襲い掛かってきたことの説明くらいはしてくれてもいいんじゃないかな?」
137
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:36:22 ID:.JJC/0o60
いやんモララーさんったら物騒
138
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:36:46 ID:eu/PwRq.0
これにてその2終わり
次の書き溜めは7KBしか出来ていないということだけ伝えておこうと思います。期待はドブにレッツゴー
あと支援有難うやっぱ支援あった方が何か心持穏やかだね
139
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:41:03 ID:zaR6qq7k0
乙乙
このつっこみが間に合わない感じ好きだよ
続き気長に待ってる
140
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:41:20 ID:UEVPYJ0Q0
乙乙
モララー物騒だなWWWWW
141
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:43:00 ID:5OzNAn620
乙
142
:
名も無きAAのようです
:2012/10/29(月) 23:44:50 ID:HxMP0asE0
おつー
143
:
名も無きAAのようです
:2012/10/30(火) 10:52:55 ID:7qRN3.W2C
乙
144
:
名も無きAAのようです
:2012/10/30(火) 12:23:09 ID:WocIjN3Q0
おつ
145
:
名も無きAAのようです
:2012/10/30(火) 12:32:28 ID:Yf9BET8s0
調子乗ったつーがちゃんと制裁受ける話少ないからこの展開すげー爽快だわ
乙乙
146
:
名も無きAAのようです
:2012/10/30(火) 20:38:57 ID:0.OC/mAw0
なんかみんなおかしいぞww
待ってる乙!
147
:
名も無きAAのようです
:2012/10/30(火) 20:53:55 ID:u03y3LBgO
おつおつです
もふりてーネコギコもふもふしてー
148
:
名も無きAAのようです
:2012/11/05(月) 00:20:42 ID:McyM5Bys0
たのしみー
149
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 20:43:08 ID:VlxC339M0
期待とか乙とか楽しみにしてるとかありがとう。積もり積もるほどテンションが上がってあれはキムですかいいえペンですみたいな心境
どうせなら二話分とかかけてから投下しようと思ってたけど面倒くさくなったからその5投下する
そんなわけで
『夕飯の焼き蕎麦食いすぎて胃が若干痛い』
『猫がモフモフ』
『ところで創作板ってdat落ちとかあんのかよく分からん』
他二本の心持でその5を投下していきたいと思います
150
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 20:44:51 ID:VlxC339M0
(-@∀@)「……」
( ФωФ)「朝日さん、お茶飲むであるか」
(-@∀@)「ああ、頼むよ」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
朝日はカーペットにうつ伏せになりながら、ゆらゆらと首を揺らした。がきんがきんと関節が鳴り響く。
丸で我が家というようにくつろぐ人を見ながら、あれぇ俺こいつの助手かなんかだったっけ、と真剣に悩む顔をしながら杉浦は腰を上げた。
硝子障子が丁寧に開かれて閉まる音を聞きながら、朝日はふぅとアンニュイなため息を吐く。
ブラウン管テレビは詰まらない教育番組を流している。一心に見つめているミセリも詰まらなそうだ。
差し込む光に照らされ、埃が光っている。
その五
『どかんと一発枯山水』
151
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 20:46:00 ID:VlxC339M0
( ФωФ)「お茶でありますよー」
(-@∀@)「うっへい、ありがとう」
暫くに帰ってきた杉浦からお茶を受け取り、啜る。
もそもそと炬燵から手を出し、持っていた携帯電話をなにやら操作し出す。
( ФωФ)「どうしました?」
(-@∀@)「あ、いや、ちょっと用事が出来たから、これ飲んだら俺ちょっと出てくるね」
( ФωФ)「そうすか」
(-@∀@)「帰りにスーパー寄るけど何か買って欲しいものとかあるかい?」
( ФωФ)「そうであるなぁ……、ああ、そろそろシャンプーが無いので、適当に安い詰め替えのを頼んでいいであるか?」
ミセ*゚ -゚)リ「ハッピーターン!」
( ФωФ)「こらミセリ」
(-@∀@)「はいはい、じゃあシャンプーとハッピーターンね」
( ФωФ)「あ、ハッピーターンも頼んでいいんですか。すみません」
(-@∀@)「いやいやいいよ、気にすんな」
そういって朝日は再度茶を呷る。その斜向いに腰を下ろした杉浦も湯のみを掴んで、ほうと息をついた。
平和な午後だった。
あれ俺この人の後妻かなんかだっけ、という杉浦の脳内の疑問は、暖かい緑茶に溶けて消えた気がする。それでいいのか。
152
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 20:47:20 ID:VlxC339M0
lw´‐ _‐ノv「杉浦くん杉浦くん」
( ФωФ)「うお」
ぬるっと炬燵から生えるシュールの顔に、びくっと杉浦は身を固める。
我が家のこたつは四次元か! とめくって確認するものの、遠赤外線な赤い光と朝日の足と微妙な饐えた香りが出迎えただけだった。
何時からもぐりこんでいたのか、シュールの顔はほこほこと上気している。
成人女性がこたつにもぐりこんで顔を赤くしている図というのはこれまた言いようもない「ああもうだめだ」感が漂っていた。
lw´‐ _‐ノv「で、その後どんな感じなんだい、神様探しは」
( ФωФ)「……今日の午前中は街の外れまで見に行ってみたであるよ。ミセリは?」
ミセ*゚ -゚)リ「庭」
( ФωФ)「庭を探したそうである」
lw´‐ _‐ノv「へー」
lw´‐ _‐ノv「……宝探しか!」
どぅっ、とシュールの人差し指が杉浦の眉間に突き刺さる。痛い。
シュールに突っ込みをされたという事実に杉浦の自尊心がガリリと削られた。
メンタルの弱い現代っこはしかしそれを顔に出さずに、そっとたおやかなシュールの腕を掴んで額から外す。
シュールは黙って外される。
153
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 20:48:21 ID:VlxC339M0
そっとお互いに正座をして向かい合った。かこん、とどこかでししおどしの鳴るのが聞こえた。テレビからだった。
「日本のジャポニズム」国民放送きってのどうでもいいプログラムとして名をはせ、あまりのどうでも良さに打ち切られることも無い長寿番組だ。
本日は日本庭園と枯山水の違いについてを放送している。ナレーションはどうやら身内起用らしくたどたどしい。
lw´‐ _‐ノv「それあれだろ杉浦くん、バイトだろ」
( ФωФ)「はい。今日は運送業をば従事してきました」
(-@∀@)「で、ミセリちゃんは遊んでたんだよね、僕と」
ミセ*゚ -゚)リ「うん」
昼間も暇をもてあましている朝日はミセリの良い遊び相手なのである。
仕事をしてくれと思わないでもないが、家賃を払ってくれるならまぁなんでもいい杉浦は口にはしない。
朝日はこれで中々売れっ子作家だったりするらしいが、杉浦は頭が悪いので読んだことがありません。
lw´‐ _‐ノv「……いいなー、私もミセリちゃんと遊びたいなー」
( ФωФ)「シュールさんは仕事であろー」
lw´‐ _‐ノv「うおおニートになりてぇええええええ」
ごろんごろんと畳の上を転がる駄目人間を虫けらでも見るような目で見るミセリ。
精神衛生に悪そうなのでこたつの上にあったみかんを渡して意識を逸らさせる汚い大人の杉浦だった。
(-@∀@)「前言ってたフサくんの大学の先生はどうなの? その後コンタクトとか取ってるの?」
( ФωФ)「……俺目はいいであるよ?」
(-@∀@)「あ、うんごめんね難しい言葉使ったね。何か連絡取り合ったりしてる? って聞きたかったんだけど」
( ФωФ)「ああ、せんせーさんであるな」
ミセ*゚ -゚)リ「せんせー」
154
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 20:50:58 ID:VlxC339M0
〃∩ ∧_∧
⊂⌒( ・ω・) ここから回想ですよ、というAAを勤める佐々木カラマロス大佐
`ヽ_っ⌒/⌒c (時給はオフレコ)
('A`)「この世界は神様によって作られた」
陰鬱な顔をしたドクオがぽつりと呟いた。
( ФωФ)「……」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
フサギコはちょっと色々あって地面に伏してます。
ゆとり大学略してゆ大、その講義室の一角にて、幼女と阿呆を生徒にしたミニ講義が行われていた。
歴史ある大講堂のどでかい黒板をチョークが叩くかくかくという音が高らかに響く。
杉浦は「何か俺ちょっと頭良い人みたい」とちょっぴりテンションが上がっていた。
彼は世にはばかる馬鹿なのだ。
155
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 20:53:16 ID:VlxC339M0
('A`)「お前らも聖書くらいは読んだことあるだろ?」
('A`)「世界の起源を記したあれだ。……ああ、兄ちゃんは良い。黙っといてくれ」
( ФωФ)えー
('A`)「まぁともかく、この世界は神によって作られた」
('A`)「普通に作っときゃよかったんだ。あの馬鹿、この世界に魔法なんてもんを残しやがった」
('A`)「お陰でこの世界の最初期は剣と魔法のファンタジーだ。ドラゴンをクエストしたりファイナルなファンタジーだったりテイルズがデスティニーだ」
ドラゴンはクエストしてない。
('A`)「それを見た神は、それがどうも気に入らなかったらしい。勝手なことで」
('A`)「世の中にあった魔法を掻き集めてより集めて、とある二人の魔法使いに全部押し付けた」
('A`)「その二人はこの世で最後の、最大の魔法使いに召し上げられた」
('A`)「その一人が、この俺だ」
かつん、と幾多も引かれた線が一つの丸に収束されていく図が出来上がる。
どうやらミセリはそれを一心に見つめているようだったが、杉浦にはなんのこっちゃ分からなかった。
因みにいつの間にか復活したフサギコが杉浦の隣に腰掛けて真面目にプチ講義を受けていたかと思いきや速攻で眠りの国に落ちるという
謎行動を行っていたので、三人はきれいに無視した。
ところでこのレス同じAAばかりが並んでいて非常に構成が悪い。
156
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 20:55:59 ID:VlxC339M0
ゆっくりとドクオの瞳が杉浦とミセリを見つめる。フサギコはスルーされていた。
窓の外ではさらさらと風で木の葉のこすれあう音がしている。射し込む光は緑色だ。
遠く、誰かの笑い声が聞こえた。
言葉を待たれているのだ、と杉浦は唇を舐めた。
ミセリか自分か、何か言わなければドクオはこのまま口を閉ざし、立ち去りさえするだろう。
正直彼にガン見されているのは物凄く嫌だった。彼はあまり直視したくないタイプの顔なのである。
( ФωФ)「そ、」
('A`)「そ?」
( ФωФ)「そんなことはどうでも宜しいです」
どうでも宜しいらしかった。
('A`)「宜しいですか」
杉浦の言葉を、首を傾けたドクオが繰り返す。
よろしいです、とミセリもそれに続く。三つ分の宜しいですがふんわりと空間に漂って消えた。
シュールだった。人名じゃないほうの。
157
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 20:57:35 ID:VlxC339M0
( ФωФ)「我輩たちは神様を探しておるのです」
('A`)「おるのですか」
( ФωФ)「ええと、せんせーさんは、神様、何処にいるか、知ってらっしゃるのですか?」
('A`)「いや、知らん」
さっきも言ったがな、とドクオが教卓に座る。
('A`)「俺らが今こうやってこんな凡百の大学の一講師をしてんのもあいつが俺らをここに落っことしやがったからだ。
('A`)「早急にとっちめて俺らは元の場所に帰りたい」
( ФωФ)「落っことされた?」
('A`)「ちょっと因縁があってな」
ニヒルな表情がむかつく、とミセリが思ったかどうかはともかく、子供には長い話は辛いものがあったらしい。
杉浦の隣でミセリがごそりと服の裾を引いた。
ミセ*゚ -゚)リ「ねむい」
( ФωФ)「寝て良いであるよ」
158
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 20:59:20 ID:.Tc/zqxs0
来てたか、支援
159
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:00:17 ID:VlxC339M0
こてんと小さな頭が杉浦の方に寄りかかる。そういうご趣味の方にはたまらん状態だが、杉浦は生憎年上が好きだった。
ふと見るとドクオがこの世のすべての悪を見るが如く杉浦を睨んでいる。
ぎしっとその手の下の教卓が大きく音を立てた。細身のように見えるが、フサギコを伸したのといいそれなりに力はあるらしい。
ところでそのフサギコは見事な鼻ちょうちんを製作している。
ミ,,-Д-彡ぐーぐー
('A`)「……」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
( ФωФ)「……どうぞ、お話しを続けてくださいである」
('A`)「……ともかく、俺たちもあの馬鹿野郎を探してる真っ最中だ。何か進展があったら知らせてやるよ」
( ФωФ)「え、でも、そんなに何人もお願い、叶えてくれるであるか神様」
('A`)「いや、俺らはお願いするわけじゃないからな。まぁそこまで心狭くもないだろ」
('A`)「一応あれでも神様なんだし」
( ФωФ)「はー、そうなんであるか」
しっかしこの人はまるで神様と知り合いかのように話すなぁ変な人だなぁと杉浦は思った。
ひとまず協力はしてくれる気らしいと馬鹿の頭でも理解できた。
座ったままの状態でぺこりと頭を下げる。
160
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:03:26 ID:VlxC339M0
( ФωФ)「ありがとうございます」
('A`)「いや、いいよ。あー、携帯持ってる?」
( ФωФ)「あ、一応」
('A`)「じゃあ赤外線でアドレス送るから、……いいか?」
( ФωФ)「ちょ、ちょっと待って、えーっと」
最後はぎこちない4月の中学生みたいになっていた。
〃∩ ∧_∧
⊂⌒( ・ω・) ここで回想は終わりですよ、というAAを勤める佐々木カラマロス大佐
`ヽ_っ⌒/⌒c (時給はオフレコだから前のは忘れてね!)
161
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:04:49 ID:P2y54YJ20
追い付いた、創作板はdat落ち無いよ支援
162
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:05:55 ID:VlxC339M0
(-@∀@)「で、アドレス交換しましたよと」
( ФωФ)「である」
携帯電話をポケットから取り出し、かこかこと操作して朝日に指し示すと、隣でミセリが「ててーん」と効果音を口に出した。
慣れてくると割合ノリの良い幼女である。
そこには「鬱田」とそっけなく登録されたアドレス。
登録番号が13なのが涙を誘う。
何度も言うが杉浦は馬鹿と柄の悪いのが手伝って非常に人受けが宜しくないのである。
学生時代から一応の連絡手段として持っている携帯電話であるが、友人のナンバーの登録など、皆無に等しい。
ちなみにシュールは回想の始め七行目くらいで仕事のために部屋を出て行きました。
お土産には辛子明太子を買ってくるそうです。
(-@∀@)「じゃあ進展の連絡はきてるわけだ」
( ФωФ)「そうですねー……」
言いつつ、かちかちと操作する。
携帯に記録されているやりとりを再現すると以下の感じである。
川 ゚ -゚)『今日の晩御飯♪ 上手に出来たぞ!』
( ФωФ)『おいしそうですね。我輩は今日はミセリに手伝ってもらっておでんでした』
163
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:06:35 ID:VlxC339M0
( ФωФ)「……」
( ФωФ)「主に今日食べたご飯のことなどが送られてくるので、俺もそれに返してるかんじですね」
(-@∀@)「彼氏彼女なのかい?」
( ФωФ)「ハートマークは頑なに送られてこないので違うと思いますよ」
(-@∀@)「いや知ってるよ!」
(-@∀@)「っていうか杉浦くんの中ではハートマークを送りあったら彼氏彼女の仲なの? ハードル低いなオイ!」
( ФωФ)「でもハートマークなんて来た事ないであるよ?」
(-@∀@)「うんそれはさっきも聞いたね」
( ФωФ)「主にせんせーさんが女のときにしかやりとりはせんのですが」
( ФωФ)「昨日はミートスパゲッティを食べたようである」
(-@∀@)「そ、そうなの」
( ФωФ)「おとついはカルボナーラであった」
(-@∀@)「スパゲッティ好きだなその人」
( ФωФ)「あとせんせーさんが男の時は絵文字がなくなるので分かり易いであるね」
(-@∀@)「ど、どうでもいい!!」
ぐだぐだの会話を切り裂く朝日の心のシャウト。
それとともに轟音が響き渡る。
164
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:08:33 ID:VlxC339M0
(;-@∀@)「俺のシャウトが天に届いた?!」
そんなわけは無いので一瞬にして我に返る朝日。
( ФωФ)「地震ですかね?」
(-@∀@)「最近多いよね」
地響きを伴い、電気の紐を揺らし、老朽化の進んだ離れをもみしりと揺るがせた。
む、と杉浦がミセリを炬燵の中に押しやり、出口を確保するために立ち上がって硝子戸を開ける。
(-@∀@)「こら杉浦くん、揺れてるときに硝子に近づくんじゃないよ」
と言いつつ朝日も重たい和箪笥が倒れないようにと立ち上がり手を添える。
ミセ*゚ -゚)リ「デコうった……」
( ФωФ)「すまんである」
165
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:09:32 ID:VlxC339M0
事態を把握するより早く炬燵に押し込まれたミセリがもそもそと顔を出した頃には、揺れはすっかり止んでいた。
硝子戸を開けたさき、縁側の窓の向こうの庭先がもうもうと土煙で煙っている。
ついでになにやらわーわーと喧騒も聞こえてきた。
(-@∀@)「地震じゃなかったみたいだね」
( ФωФ)「ですね。しかし騒がしいのが気になりますので、ちょっと外見てきます」
(-@∀@)「気をつけてね」
もしも大きな事故などがあったのならば人手も要るだろうし、それよりも大きな事故ならば避難も念頭に入れなければならない。
付いてこようとするミセリを部屋の中に押し留め、庭に出してあったサンダルを引っ掛ける。
通りの方を伺うと、どうやらいくらか向こうの方に轟音の原因があるらしい。
野次馬根性丸出しのご近所の方々に習い、杉浦もそちらの方へと足を運ぶ。
( ФωФ)「おお、これは」
杉浦が大家を務めるアパートの三軒隣。すこしばかり開けたところにとんと建つ小ぢんまりとした小さな家。
どうやらそこが煙と音の根源だったらしい。
ざわざわと集る人々をゆるりと掻き分けて杉浦はそれを見上げる。
166
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:10:16 ID:VlxC339M0
家屋に真っ青な――これは飛行機、だろうか。それにしては杉浦の知る物よりも小型で、どうやら座席は二つしかない。
しかしいくら小さいと言えどその辺りの家屋など簡単に押しつぶしてしまえる大きさの鉄の塊が、突き刺さっていた。
墜落の衝撃でも尚形を変えない機体はしかして黒い煙を上げ、潰された家屋からも不穏な音が立ち上っている。
何処か焦げつくような臭いも辺りに漂い始めていた。
とりあえず飛行機の出展は
http://vipmain.sakura.ne.jp/end/335-top.html
これです。
その辺大事なので宜しくお願いします。
墜落させちゃってすんません。
( ФωФ)「すっげー。でけー」
始めて間近で見る飛行機に男の子心をくすぐられつつ、杉浦は勝手に他人の家の庭に侵入する。
小学生と同程度につんつるてんのその頭はもう飛行機格好良いでいっぱいである。
ちなみに他の野次馬は上がり出した火の手を取り囲んでマイムマイムを踊るか否かの相談を始めていた。
避難したらしい家主がラジカセの無いことを嘆いている。今年のベストオブお前他に嘆くことがあるだろう賞だ。
( ФωФ)「いやー飛行機ってこんなでかいであるかー」
はみ出した翼を下から見上げ歓声を上げる。
でけぇでけぇと顔をほころばせていると、唐突に何かに蹴躓いた。
( ФωФ)「ってぇ……ん?」
あれなんかちょっと前にもこんなのやったな、と杉浦は思った。
167
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:10:38 ID:HjMKpPss0
何事だ
168
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:12:10 ID:VlxC339M0
(* ∀ )
( ФωФ)
( ФωФ)「あの、えっと、」
(* ∀ )
( ФωФ)「だ、大丈夫であるか?」
169
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:13:04 ID:Q9kFwW3.0
支援しえーん
170
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:13:41 ID:VlxC339M0
( ФωФ)「朝日さーん、ちょっといいであるかー」
( ФωФ)「ドア開けてくーだーさーいー」
(* ∀ )
肩に乗っかった少女が落ちないように身をよじりつつ離れの戸を叩く。
先日背負ったミセリより幾分重たい。幼女の称号を離れた人間の重量であった。
じわりじわりと背中の辺りの布地に生暖かい何かが染み込むのも不快でしょうがない。
( ФωФ)「あーさーひーさー」
( ФωФ)「ん?」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
がんがんがんががんと自分の家なのを良いことに連打しまくっていた杉浦を出迎えたのは、見慣れた無表情系幼女ミセリだった。
背負われた少女ごとゆっくりと杉浦を上から下まで眺めて、フライハイ飛行に挑戦しようと試みるピグミーボルジョアを見るような顔をする。
流れる沈黙。
杉浦の後ろの通りを消防車がサイレンとともに通り過ぎていった。
171
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:14:31 ID:lXiDAu/w0
つーちゃんどうした
172
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:14:51 ID:VlxC339M0
( ФωФ)「朝日さんはどうしたであるか?」
ミセ*゚ -゚)リ「たんとうさん? が、つれてった。……かんづめ?」
( ФωФ)「ああ、モナーさんであるか」
そういやあの人用事が出来たって言ってたな、と杉浦は空いた手で頭を掻く。
見ると玄関に朝日の靴は転がったままである。乱闘の痕が見て取れた。
未だに締め切りを悪の秘密結社だと信じ込んでいる杉浦は、言ってくれれば俺も手伝ったのにと朝日の笑顔を今は見えない青空に浮かべた。
とりあえず、と思考を切り替える。馬鹿が故の切り替えの早さだった。
尚もバックで綱渡りをしながら一輪車を漕ぎ砲丸投げをするムジナを見ているような顔をしているミセリに背中の少女を指し示す。
ショックか何なのか意識の無い彼女は、指し示され傾けられるままにぐてんと杉浦の背中から顔を出した。
( ФωФ)「手当てをしたいから、手伝ってくれるか?」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
杉浦は沈黙は肯定と取るタイプの人種だった。
一歩退いたミセリの横を通り、適当にサンダルを脱いで部屋に上がる。
絨毯が汚れると嫌なので少女は廊下に横たえることにした。ごろんとまだ幼い肢体が転がる。その服装はパンキッシュだ。
173
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:16:12 ID:VlxC339M0
ミセ*゚ -゚)リ「……どしたの、これ」
( ФωФ)「拾ったである」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
拾ったのです。
ぱたぱたと奥へ行ったミセリが速攻で舞い戻って持ってきたビニールシートを廊下に広げる。
( ФωФ)「おお、気が利くであるなミセリ」
ミセ*゚ -゚)リ「とーぜん」
ぴっと薄っぺらい胸を張る幼女。
よしよしと撫でる杉浦だが、その手は少女の血やらで汚れていたので物凄い勢いで拒否された。
ブロークンハートなギリギリ青少年杉浦である。
改めて見ると少女の体のあちらこちらはひしゃげ小さな火傷を幾つも作っていた。
切り傷もあるのか、だくだくとパンキッシュな服が血で汚れていく。廊下も汚れていく。板張りに塩っぽいそれはあまり宜しくない。
すまんが、と杉浦が言うより早くミセリはまたぱたぱたと走って、どうやら裏の洗濯場に雑巾を取りに行ったようだった。
一旦転がした少女を再度持ち上げビニールシート(大きめ)にごろんと転がし、ふうむと杉浦は一息を吐く。
とりあえず何となく拾ってみたはいいが、果たしてこの程度の怪我を我が家で処置できるのだろうか。
むき出しの白い腕は妙な方向へ捻じ曲がっているし、ルーズなボトムスに包まれていたはずであろう足には半ば炭化したような火傷がある。
見る人が見なくても家庭での処置は無理だろうから救急車を呼ぶだろうが、こと杉浦は何かいけんじゃねぇかなと思っていた。馬鹿なのである。
174
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:17:59 ID:VlxC339M0
( ФωФ)「オロナインとか塗ったら治るであろうか……」
治る訳が無い。
ミセ*゚ -゚)リ「ぞうきん」
( ФωФ)「お、ミセリ、ありがとうである」
ミセ*゚ -゚)リ「バケツ」
( ФωФ)「ああ、水拭きした方がいいもんな。重くなかったか?」
ミセ*゚ -゚)リ「へーき」
再度よしよしを敢行しようとする。ばしっと腕をつかまれ拒否の構え。懲りない杉浦はリターンザブロークンハート。
とりあえず雑巾を水につけ、絞る。ミセリもそれに習った。
パンキッシュ血まみれガールを尻目に廊下掃除を開始する二人。
( ФωФ)「むう、乾いてしまったのは中々落ちにくいであるな」
ミセ*゚ -゚)リ「せんざいいる?」
(* ∀ )「……」
( ФωФ)「うーん、余り木に良くないから洗剤は使いたくないであるが……」
ミセ*゚ -゚)リ「じゃ、がんばる」
(* ∀ )「……」
175
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:19:26 ID:Q9kFwW3.0
ピグミーボルジョアってなんだと思って調べたらトビネズミなのか
176
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:20:10 ID:VlxC339M0
(* ∀ )「……」
( ФωФ)「がんばるである」
(* ∀ )「……」
( ФωФ)「……落ちん」
ミセ*゚ -゚)リ「むう」
(* ∀ )「……」
ミセ*゚ -゚)リ「やっぱせんざい?」
( ФωФ)「んー、布とかだと大根でこう、やると結構きれいに落ちるであるが、あれ木っていけんのかな……」
ミセ*゚ -゚)リ「だいこん」
(* ∀ )
(#* ∀ )
( ФωФ)「……うーん」
ミセ*゚ -゚)リ「……うーん」
(#*゚∀゚)「……手当てするなら早くしろよォッ!!!!」
177
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:21:30 ID:CkW3vZeQ0
救急車呼ぶとかしろよww
178
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:21:50 ID:VlxC339M0
( ФωФ)びくーん
ミセ*゚ -゚)リびくーん
がばりと少女が起き上がり叫ぶ。
完全にお正月掃除をしている気分になっていた杉浦とミセリは、びくーんと肩を震わせた。
そこには元気に立ち上がるパンキッシュ少女(グロッキー)の姿が!!
(#*゚∀゚)「どうして怪我人ほっといて廊下掃除始めちゃってんだよお前ら!!」
( ФωФ)「え、いやだって廊下傷んだら大変であるし……」
(#*゚∀゚)「こちとら痛んだらッつーかそろそろ悼まれちゃう感じになってるッつーの!」
ミセ*゚ -゚)リ「だれうま」
( ФωФ)「馬?」
(#*゚∀゚)「頼むよこちとら色々考えて色々頑張って寝たフリしてたんだよ結構辛かったんだよ!! 廊下なんて普通後だろ!!」
実は杉浦に背負われ歩き出した十三秒後にはひっそり目ざめ、どうにか隙を突いて逃げようとしていた少女なのだが、杉浦はそんなこと知りません。
汚れた雑巾を一旦バケツに戻してすすいでから、ぎゅうと絞る。
すっかり濁ってしまった水を替えようとミセリが立ち上がった。
179
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:22:15 ID:9.uJEtVM0
あれつーちゃん起きてた
180
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:23:00 ID:VlxC339M0
( ФωФ)「でも、この離れとあのアパートは、父さんと母さんが遺してくれた唯一のものであるから……」
(*゚∀゚)「あっ、……」
沈痛な空気が流れる。
廊下に膝を着いたまま項垂れる杉浦に、空気を読んだミセリも持ち上げたバケツをそっと下ろした。
柱時計の秒針がしきしきと沈黙を刻む。
( ФωФ)「やはり、大切に使いたいなって、思うであるよ」
(*゚∀゚)「……そ、か……。ごめん、良く知らないのに、オレ……」
これまた空気を読んだ少女が振り上げていた腕(ねじくれなう)をゆっくりと降ろし、端の切れた唇を噛む。
杉浦は随分ときれいになった廊下を優しく撫でる。何よりも大切な家族をいたわるような手付きをミセリの視線が追った。
目を伏せていた少女を、形容しがたい燐光がふわふわと包む。それとともにアニメっぽいSEも無く、少女の満身創痍な体が癒されていった。
( ФωФ)「……まぁ、それはそれでいいとして、」
(*゚∀゚)「…」
( ФωФ)「……」
( ФωФ)「……えっなんで治ってるであるか。そういうのはやりなの? 我輩も出来る?」
出来ません。
やっぱり洗剤を取ってこよう、と一大決心を終えた杉浦は立ち上がり、少女を見やり、目を逸らし、もっかい見て首を傾けた。
その隣に寄ったミセリが少女の血で汚れた杉浦の服を引く。
181
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:23:11 ID:Q9kFwW3.0
どこまでもマイペースだなおいwww
182
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:24:03 ID:VlxC339M0
(*゚∀゚)「えっ」
( ФωФ)「えっ?」
(*゚∀゚)「……」
(*゚∀゚)「……イッツァイリュージョン」
( ФωФ)「すげぇ!」
両手を広げる少女に向かって感動のままに惜しみない拍手を贈る。
隣ではミセリが物凄くとても胡散臭いものを見る目で少女を見つめていた。
少女は「あっこいつばかだ!」という顔をしていた。「やっべばかに関わっちまった!」という顔だった。
常なら杉浦が大層悲しむ表情だが、今の彼は目の前で起きた奇跡のごときイシュージョンに胸一杯でそんなことには気づかない。
少女の表情が「やっべばかに関わっちまった!」から「いや、逆にこりゃ好都合だな」に変わった事にも気づかない。
おおブラボー、おおブラボーとスタンディングオーベーションである。ところでスタンディングオーベーションとマスターベーション、いや止めておこう。
(*゚∀゚)「オレは流れの手品師でね、ちょうど住まいを探してるところだったんだ」
( ФωФ)「へーそうなんであるか! すごいである!」
(*゚∀゚)「ああ、今お前アパートっつったろ?」
( ФωФ)「はい、我輩大家王になると心に決めた男でありますよ」
どうでもいいが大家王って「お」多すぎて非常に意味が取り辛い。
183
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:25:08 ID:.Tc/zqxs0
どうしようツッコミが圧倒的に足りない
184
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:25:32 ID:VlxC339M0
(*゚∀゚)「そりゃあいいや!」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
少女に注がれるミセリの視線は絶対零度の如きだったが、少女は目の前のばかを丸め込むことで一杯一杯だった。
(*゚∀゚)「なぁ、これも何かの縁だ、オレをそこに住まわしてもらえねぇかな?」
( ФωФ)「あ、ウチはちょっとそういう手品師とか、収入が安定してない方の入居はお断りしているので」
(*゚∀゚)「……えっ」
( ФωФ)「えっ?」
(*゚∀゚)「えっ?」
185
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:27:23 ID:VlxC339M0
これにてその5終わり
支援とかありがとうございました心穏やか。
風呂に入って出てくる間まで質問とか受け付けたりしますんで一旦ありがとうございました
186
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:27:53 ID:x0z9VzV20
小説家の朝日は……売れっ子だからいいのか…?
187
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:29:36 ID:Q9kFwW3.0
乙乙
この話が横にずれ続けていく感じ大好き
188
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 21:31:42 ID:APrl29N60
おつおー
189
:
名も無きAAのようです
:2012/11/08(木) 22:12:43 ID:VlxC339M0
乙とかありがとうございました。
正直質問とか無いならこのまま放置で行こうかとおもってたんだけどそういえば
>>161
にお礼言ってなかったからありがとうございます
dat落ち無いと聞いて心置きなくゆっくり書けるね!やったねたえちゃん!
そんなわけで次回の投下分の書き溜めは4kbです 期待は投げ捨てるもの
190
:
名も無きAAのようです
:2012/11/11(日) 21:19:13 ID:4IKrel2k0
( )人間の証明をするようです
http://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/evidence/evidence.htm
やっと思い出した
俺が前読んだのこれだよ
191
:
名も無きAAのようです
:2012/11/12(月) 21:25:46 ID:158tExrU0
来とった乙!
何か好きだこれ
192
:
名も無きAAのようです
:2012/11/18(日) 13:57:34 ID:lTi9GWMM0
ロマの馬鹿さが好きだ!
次も楽しみ!
193
:
名も無きAAのようです
:2012/12/13(木) 20:20:19 ID:f/WO2KG.0
期待をキャッチだ とう
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