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从'ー'从ブーン系小説&イラスト練習総合案内所
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从'ー'从いらっしゃ〜い。ここはブーン系小説読み物イラスト練習&総合案内所だよ
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初めての方や馴染みのない方は以下のブーン系wiki、テンプレ等をよく読んで、
理解と協力をお願いね〜。
・総合スレにおける最低限のルール、マナー
・よくあるQ&A
・作者様及び読者の方々への注意事項
・AAテンプレ一覧
・荒らしについて
ブーン系wiki
http://boonkei.wiki.fc2.com/
http://www43.atwiki.jp/boonkei/
↑が見れない、AAがコピー出来ない方の為の予備サイト
http://boonkei.web.fc2.com/top.html
http://boonkei.m.web.fc2.com/top.html(携帯用)
兄弟スレ ( ^ω^)ブーン系小説シベリア図書館のようです★44
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1333728643/
( ^ω^)ブーン系小説板のようです(旧避難所、スレ立て上限に達した)
http://jbbs.livedoor.jp/sports/37256/
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あらチークラスなら固定読者は多いだろうし荒らしが気にならなくなる位の書き込み数も期待できる
荒らし対策なんてあってないようなもんだし、気にしてなんにも出来なくなったらそれこそおしまい
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いまの荒らし事情は知らんからなんとも言えないが、あらチーなら内容はどうであれとりあえず盛り上がるからいいんだ(俺は)
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小説板と創作板の違いって何?
小説板と創作板で投下するのってどう違うんだろう、作者の好み?
久々に帰ってきたら色んな板あってよくわからん……
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小説板…もともと避難所として作られたがスレ立て数の上限1000に到達したためもうスレが立てられない
おまけに管理人不在。いくらでも荒らし放題
創作板…小説板がそんな感じになっちゃったので新しくできた板
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>>430
詳しい説明ありがとう
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投下完了間際にスレが落ちてしもうた
三十レス以内だし、ここに投下する
改題して 島での出来事のようです
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クマゼミの耳障りな鳴き声も、海側にまで出ると静かになり、
そこそこ夏の風情を盛り上げるものとして聞けるようになる。
モララーが山の上にある家にいる時は、気が狂いそうなほどだった。
(;・∀・)「あっつー」
そんな状態だから、モララーは家を飛び出して海で遊ぶことにしたのだった。
漁師町であるこの美府町の子供たちに混じって遊ぶのも、これで3回目になろうとしている。
(*゚ー゚)「あっ!」
12、3歳。モララーと一緒くらいの女の子が、向こうから走ってくる。
モララーがここに帰省するといつも会う子だ。
しばらく考えてから、彼女の名前を思い出す。
( ・∀・)「お、しぃちゃん、久しぶり」
(*^ー^)「久しぶりっ!モララー君!」
(;・∀・)「っていうか、真っ黒だね」
(*゚ー゚)「えー、そう?」
よく日に焼け、ところどころ皮が剥けてまだらになっているが、少女は気にもしていない。
まるで、ちっちゃいキリンだな。とモララーは思った。
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( ・∀・)「確か正月ぶりだったね」
(*゚ー゚)「そうだねー、あたしの家のお餅食べてもらったっけね」
そんな事を話しながら、二人で堤防のところまで歩いて行く。
こんな事も、モララーの夏のお決まりの一つだった。
( ・∀・)「そうだ、デミタスくんとか今日来てないの?」
(*゚−゚)「うーん、最近中学受験だとかで忙しいみたいで、
全然顔を合わせてないんだよねえ」
(;・∀・)「受験かぁ」
モララーも翌年に受験を控えている身だった。
ぼんやりとした不安が、モララーを薄っすらと覆った。
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(*゚ー゚)「多分だけど、好き勝手遊んでるのって、
あたしぐらいかな?この島の中学校で通うから」
( ・∀・)「……本島の方に行かないの?」
(*゚ー゚)「ま、高校に行きたいとか言うのもないしね」
( ・∀・)「ふうん」
堤防の間の通路を通って、二人は砂浜に出る。
この島は特産のスルメイカと、この白く美しい砂を湛えた海水浴場が売りだった。
(*・∀・)「……」
モララーはこの浜が大好きだった。
父にはじめてこの島に連れてこられた時は、
感動と興奮で寝付けず、挙句に母にどやされてしまったほどだった
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(*゚ー゚)「あ、水着とか持ってる?」
(*・∀・)「……」
(*゚ー゚)「ねえ!」
(;・∀・)「あ、うん、持ってるっていうか。
もう下に着てるよ」
(*゚ー゚)「ああら、そんなに楽しみだったの」
しぃが少しお姉さんなところを見せたいのか、
そういう口調でモララーを挑発してみせる。
だが、垢抜けない格好でそれをしてみても、
仕方のない事なのは誰もが分かっていた。
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( ・∀・)「……ぶっちゃけ、泳ぐしか楽しみってないし。この島」
(;゚ー゚)「悔しいけど言い返せない……」
( ・∀・)「ま、それはそれとして……」
(*゚ー゚)「……そうね、それよりも……」
(*・∀・)「「泳ぐぞおおおおおおおおおおおおおお!」」(>д<*)
Σ(;‘_L’)「うわっ……てモララー!帰ってきたのか!?」
(゚、゚;トソン「うわ、ないわー。田舎の子でもそんなはしゃがないよ」
(*・∀・)「ひゃっほおおおおおい!都会っ子なめんなよぉおおおおお!」
子供たちは、おもいっきり砂浜に向かってかけ出した。
そしてそこにいた地元の子供たちのグループに混じって、遮二無二泳ぎまくった。
都会っ子だろうと、田舎の子であろうと、そこはそんなに変わらない。
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*――――――*
しばらく遊んだ後、モララーは一人で磯の方に足を向けた。
昨年の夏、父に連れられてここで布海苔をとったことを思い出したのだ。
そのときにモララーが見た、色とりどりの魚が磯の水溜りの中に取り残されている様子は、
未だに鮮烈に心に焼き付いている。
(*・∀・)「おー」
ちょうど干潮のころだったのか、モララーが去年見たままの光景がそこには広がっている。
……その光景に心を奪われたまま、モララーは裸足で岩場へと足を踏み入れていく。
( ・∀・)(どの辺にあったかな……)
なんとなく、布海苔が取れるポイントを探し始める。
シーズンは春だが、もしかするとあるかもしれないと思ったのだ。
拾って帰れば、おばあちゃんに褒められるだろう、とも。
-
その時だった。
(; ∀ )
声も出なかった。
焼け付くような痛みが、モララーの足の裏に走る。
当然だった。地元の子供達なら、
絶対に磯に裸足で足を踏み入れることなどしなかっただろう。
彼らは、そこが打ち寄せる波で鋭く研がれていることを知っているからだ。
モララーは、無言でその場でひっくり返った。
そして、今度は太ももを強かに岩にぶつけてしまった。
(; ∀ )「うわあああああああっ!」
甲高い悲鳴に、浜の方で遊んでいた子供たちは凍りついた。
-
(;゚−゚)「モララー君!?」
(;‘_L’)「なんだ今の!」
(゚、゚;トソン「あっちは……磯じゃない」
子供たちが互いに顔を見合わせる。
しばらくして、しぃがハッとして磯に向かって走っていく。
そこには、右足から大量に出血しているモララーがうずくまっていた。
( ;∀;)「うっ、いだい……」
(;゚−゚)「大丈夫!?あっ……」
(゚、゚;トソン「ひどいよこれ!すぐに誰か呼ばないと……」
-
その時、だれかがモララーの声を聞きつけたのか、
遠くから間延びした声が聞こえてくる。
<「おーい、だいじょうぶかおー?」
(;゚−゚)「あ……助けてください!友達が怪我して!」
(‘_L’)「……あれ、ブーンか」
(゚、゚トソン「えっ、ブーン?」
しぃは、浜の向こうの方からえっちらおっちらと誰かがやってくるのを見た。
まるまると太っていて、それがかなり遠くの磯からも分かるくらいだった。
(;^ω^)「誰が怪我したんだお!」
(;゚−゚)
(;^ω^)「あっちかお!?」
男は、しぃの視線を追ってその方向を見る。
そこには、うずくまったまま呻いているモララーがいる。
-
(;^ω^)「これはひどい」
(;゚−゚)「お願いします!診療所まで……」
(;^ω^)「う、うん分かったお!
君!もう大丈夫だお!すぐ診療所まで連れてってやるお!」
( ;∀;)「う……」
男はモララーをおぶって、砂浜を街に向かって走っていく。
診療所まではそう遠くはない。
(; ∀ )(なんか……気持ち悪いな……)
(;^ω^)「少しの我慢だお……だか……しっかり……」
(; ∀ )「あ……」
この時、ガクガクと揺さぶられたせいか、ショックなのかは分からないが、
モララーの意識はだんだんと薄れていってしまった。
悲しむべきことに、男がそれに気がついていなかった。
人のいい男は病院につくまでの間、
意識のないモララーを必死に励まし続けていたのだった。
-
*――――――*
モララーが目を覚ました時、
目の前には心配そうな父の顔があった。
だがモララーが「父さん」、と言った瞬間に怒鳴り声をあげた。
(#゚Д゚)「ゴルァ!お前何やってんだこのぉ!」
(;・∀・)「あ、その……」
(;^ω^)「まあまあ、落ち着いてよギコ君」
(#゚Д゚)「……おう」
( ^ω^)「気分はどうかお?」
( ・∀・)「とりあえず、足は痛いけど大丈夫です」
太った男はそれを聞くと、ほうとため息をついた。
(,,゚Д゚)「ブーン兄がいなかったらどうなってたことか……」
( ・∀・)「ブーンさん?」
( ^ω^)「ああうん、初めて会うおね」
そういえば、とモララーは思った。
このブーンとかいう男は、父によく似ている。
-
(,,゚Д゚)「何回か、話して聞かせただろ。
お前の伯父さんの」
( ・∀・)「あ」
(;^ω^)「……オジサンかぁ」
いままで、ほとんど会う機会はなかった。
なんでも海外で仕事をしているとかで、
モララーはその存在をぼんやりとしか知らなかった。
(;・∀・)「さっきは、ありがとうございました」
( ^ω^)「いやーびっくりしたお。
あんな血まみれで……大したことないって言うからいいけど」
(,,゚Д゚)「俺が焦って飛んできてるのに、アサピーのやつ
『あー傷は大したことないねー。日射病じゃない?』とか抜かしやがって。
ばっちり切れてるだろーが、あのヤブめ……」
( ^ω^)「昔から適当な奴だったおねー」
(;・∀・)「えっ切れてるって」
(,,゚Д゚)「心配すんな、もう縫ってもらってるだろ?」
(;・∀・)「あ、良かった……」
(,,゚Д゚)「あいつの腕だから、心配だがな……まったく」
-
そういう父は、しかしもう怒っていないようだった。
しかし、その時突然ブーンが素っ頓狂な声を出した。
(;^ω^)「いっけね、もう休憩時間も終わるお」
(,,゚Д゚)「スルメ工場の?でも事情を話せばもう少しゆっくり……」
(;^ω^)「ダメなんだお!今すぐ戻らないと叔父さんが」
(,,゚Д゚)「……そうか、分かった。
とにかく大事にならなくてよかったよ。
ありがとな、兄さん。よかったらあとでうちに来てくれ」
(;^ω^)「おっお……じゃあ、また後で!」
(,,゚Д゚)「おう」
ブーンはそのまま慌ただしく去っていった。
スルメ工場?とモララーは思う。
海外で働いてるんじゃないのか?
-
頭に疑問符を浮かべているモララーの様子を察したのか、
父がぼそっと教えてくれた。
(,,゚Д゚)「この前までブラジルの鉱山で働いてたんだ。
でも、体壊してこっちに帰ってきてるんだよ。
……だから、あまり気を使わせるなよ」
(;・∀・)「うんごめん、父さん」
(,,゚Д゚)「まあ、過ぎたことだ。
だが、今度きちんとブーン伯父さんにお礼しような」
( ・∀・)「……うん」
二人が黙ってしまうと診療所の中に、蝉の声がだんだん染みこんでくる。
モララーはなにか引っかかったが、それをなかなか言い出せずにいた。
蝉の声に、ヒグラシのものが混ざり始める頃だった。
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ここで乙だけでもしようかと思ってたら投下とな
ありがてぇ
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*――――――*
三日ほどすると、びっこを引きながらでも歩けるようになってきた。
それでもまだ、無理に歩くと相当な痛みがある。
そうなると家に引きこもりがちになるが、寂しくはなかった。
祖父と話していると楽しかったし、しぃ達も時折遊びに来てくれた。
「伯父に挨拶しにいこうか」と父が言ったのはこの頃だった。
(,,゚Д゚)「スルメ工場、行ったことあるか?」
( ・∀・)「うーん、そういえば一回もないね」
(,,゚Д゚)「まあ、結構遠いしな。
お前の大叔父さんがやってるんだ。
じいちゃんの弟の」
( ・∀・)「ふうん」
その大叔父にも、モララーは会ったことがなかった。
元漁師で、稼いだ金でスルメの加工工場を建て、
そこを島の中でまずまずの成功に導いているという話だった。
そういう話を聞かされていただけだ。
-
父の実家の中に、なにかギスギスしたものがあるのは、
モララーにも分かっていた。
祖父と大叔父の仲が悪いことが原因なのかと思ったこともある。
酒を飲んだ時、祖父が口汚く弟を罵るのを聞くのは珍しいことではない。
ゴウツクバリ、コガネモチ、などと。
(,,゚Д゚)「……ブーン伯父さんにあったらすぐ帰るからな」
( ・∀・)「……うん」
道中、父とした会話はそれだけだった。
父も工場が近づくにつれ、少しだが顔がこわばってきていた。
後部座席の上で、土産の酒瓶がカラカラと虚しく鳴る。
モララーはこういう雰囲気が大嫌いだった。
キラキラした島の明るい風景とは、正反対の空気が家族の中に漂っている。
その空気は、子供にとってあまりに酷なものだった。
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工場の前まで行くと、中の様子が簡単に見渡せた。
建物の中の大部分を、イカを干すためらしきラックのようなものが占めている。
海側のスペースでは、誰かがスルメイカを天日干しするために、
せっせとシートの上にイカを並べて敷いているところだった。
まるまる肥えているから、誰かはすぐに分かった。
(,,゚Д゚)「よお!」
( ^ω^)「おっ、ギコ君かお!」
(;・∀・)「あ、その節はお世話に……」
( ^ω^)「モララー君wwww緊張しなくてもいいんだおww
別に伯父さんと甥っ子なんだからさwww」
(;・∀・)「はい」
なんだか沈んだ気分で来た自分が、
モララーがバカバカしく思えるくらい伯父は明るかった。
-
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「……?」
だが、ブーン伯父は父の手に下げているものを見ると、一瞬表情を曇らせた。
それは一瞬のことだったから、モララーはあまり気にしなかったが。
(,,゚Д゚)「叔父さんは?」
( ^ω^)「ああ、今日はだいぶ悪いみたいで。
奥で横になってテレビ見てるおね」
(,,゚Д゚)「……最近そんなんばっかりだな」
( ^ω^)「うん、早く良くなればいいんだけど。
頻脈がひどいらしいんだおね」
(,,゚Д゚)「いや、そうじゃなくて……兄貴のことだよ」
( ^ω^)「お?」
(,,゚Д゚)「悔しくないのかよ、叔父さんに顎で使われて」
( ^ω^)「……僕はそんなつもりはないお。
僕がせっかく帰ってきたんだから」
(,,゚Д゚)「兄貴だってあんまり良くないんだろ?」
( ^ω^)「それは、でも体は元気なんだお。だから頑張らないと」
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(,,-Д-)「そこまで言うなら、分かった」
( ^ω^)「うん、ダイジョブだからあんまり心配すんなお?」
(,,゚Д゚)「兄貴こそ無理すんなよ。
まあ、たまにはそれでパーっとやりな」
( ^ω^)「……ありがとうお」
酒瓶の入った紙袋を受け取ると、ブーン伯父は笑ってみせた。
( ^ω^)「ああ、それとそうだ。
モララー君、このあと一緒に釣りでもどうだお?
今日は3時くらいにはあがれるから」
(*・∀・)「釣り!?」
(,,゚Д゚)「お、食いついたな」
モララーはこの島でする釣りは大好きだった。
なにしろ都市郊外の湖やら川やらと違い、
釣り糸をただ垂れているだけで、
ひょいひょいとフグとかがかかったりするので楽しくて仕方がないのだ。
-
( ^ω^)「道具はこちらで用意するから、手ぶらで来てくれていいおー」
(*・∀・)「ありがとうございます!」
(,,゚Д゚)「まったく、現金な奴だよなぁ。
……まあ、兄貴は『達人』だから色々教えてもらいな」
(*・∀・)「達人って?」
( ^ω^)「ふふ……この島のいいポイントは知り尽くしてるお。
だからまあ、達人といっても過言ではないおねぇ」
(*・∀・)「おお……」
( ^ω^)「じゃあ、ご飯食べてゆっくりしたら港の方に来てくれお。
のんびり待ってるから」
(*・∀・)「分かりました!」
釣りのことが、モララーの頭からごちゃごちゃしたことを追いやってしまった。
むしろ、モララー自身が無意識の内にそうしていたのかもしれない。
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それから、家に帰る足取りは軽かった。
帰りの時とは違い、親子の口数も多かった。
兄貴と一緒にクロダイのでかいのを釣った、とか。
フグを片っぱしから釣っては、防波堤の上で踏みつぶして、
パアンと破裂させてみたり……これは少し気持ちが悪かったが。
それから、家に着くと昼飯を食べて仏間の畳の上でごろりと横になった。
( -∀-)「ふいー」
うとうとと、そのまま眠ってしまいそうになる。
午前中少し神経を使ってしまっていたせいか、つかれていた。
その夢うつつの状態で、モララーは誰かの会話を聞いた。
「ブーンのところ……った……か?」
「ああ」
「なんであんな…チ…イ……のとこ……に!」
「……」
その声は、祖父のものだったような気がした。
でもそれは大叔父のものだったかもしれないし、
あるいはブーンの声も混じっているような気もした。
だが、その内容も話し手も、疲れているモララーには興味のないことだった。
-
*――――――*
( ^ω^)「おー、来たおね?」
( ・∀・)「よろしくお願いします」
( ^ω^)「うむ、弟子としては良い態度だお!」
父に送り出されて、モララーは美府港にやってきていた。
地元の釣り人もよく利用する場所ではあったが、
伯父はその中でも良質なポイントを知っているということだった。
だが、それはよくよく聞いてみるとただのジンクスに過ぎないものだった。
(;・∀・)「……えっ」
( ^ω^)「ん?聞こえなかったかお?
ここだお、このあっちから五番目のボラーのとこだお。
ここが一番よく釣れるんだお!」
(;・∀・)「……はぁ」
船を縄などで結わえておく、あのL字型の器具。
その、西から五番目の物の上に座って釣りをするとうまくいく。
子供だましにしても、もうすこし話を練るべきだろう。
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しかし、モララーの想像を超えてこの「五番目」効果は凄まじかった。
釣れるものこそ小ぶりだったものの、まさに入れ食い状態だった。
そんなモララーの横で、ブーン伯父はせっせと釣り針に釣り餌をつけてやっていた。
ブーン自身は、それだけで釣りをしようとはしなかった。
(*・∀・)「やべー!これはやばいよ伯父さん!」
( ^ω^)「おっお、このボラーには僕の魔力がこもってるんだお」
( ・∀・)「魔力?」
( ^ω^)「そうそう、ふた月くらい前に帰ってきて以来。
辛いことがあったらここに来て釣りをしてるんだお。
そのせいで、釣り名人パワーがここにたまってるんだお。たぶん」
(;・∀・)「多分?」
モララーがそう聞き返すと、ブーンはポリポリと頭を掻いた。
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( ^ω^)「いやー、僕なんて空っぽの人間だからさ。
ホントは魔力なんて無いんだろうけど、
釣りのパワーくらい残ってるかもしれないお?」
( ・∀・)「……」
空っぽ。という単語が引っかかったが何も聞けなかった。
その代わりに、しばらく伯父がしゃべり続けた。
( ^ω^)「この前まで海外にいたっていうのは話したおね?
あっちにいたんだけど、なんか疲れちゃって帰ってきたんだお」
( ^ω^)「それから、仕事もせずふらふらしてたんだけど、
この前トーチャンの家から出て、叔父さんのところで働き出したんだお」
( ^ω^)「……でも、なんというかすごく空っぽな感じなんだお」
( ・∀・)「そう、なの?」
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( ^ω^)「このまま叔父さんのところで働き続けたくないし。
かと言ってトーチャンのところにも戻れないお。叔父さんが一人になっちゃうから。
こんな事なら、我慢してあの馬鹿な男の下で働いてたほうが……」
( ^ω^)「でももう、僕はどこにも行けないお。
一生スルメイカをあのシートの上に敷き続ける人生だお。ずっとね。
病気をした時点でこうなることは決まってたのかもしれないけど……」
(;・∀・)「大変なんですね」
この間も、どんどん魚が釣れていたし、ブーンは釣り餌を針につけ続けていた。
だから、モララーはこの時のことをあまり鮮明に覚えていない
( ^ω^)「……僕はこのまま生きていても意味はあるのかおね」
( ・∀・)「伯父さん?」
( ^ω^)「なあ、モララー君」
( ^ω^)「叔父さんと……」
( ・∀・)「……?」
-
( ^ω^)「いや……やっぱりなんでもないお」
(;・∀・)「う、うん」
( ^ω^)「……ひいてるお」
(;・∀・)「あっ」
そう言われてモララーが竿を引くと、
小さいが黒光りする魚が水面から躍り出た。
クロダイか、その近縁の魚のようにモララーには見えた。
( ^ω^)「おっお、チヌかお!」
( ・∀・)「チヌ?」
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モララーはその外国語のような響きを、実際に口に出して味わってみる。
やはり不思議な響きだった。
( ^ω^)「そう、チヌだお。
クロダイは出世魚なんだけど、チヌはクロダイの前の名前なんだお」
( ・∀・)「じゃあ、子供なんだね?」
( ^ω^)「いや、そうだな……なんていうんだろうかお……?」
ブーンはしばらく首をひねっていたが、やがてこう答えた。
( ^ω^)「そうだおね、『中途半端』な魚だお。そいつは」
( ・∀・)「中途半端かぁ」
日は、島の影に隠れ始めていた。
島のこの側では、夕暮れが訪れるのが反対側よりも早い。
( ^ω^)「暗いし、帰るかお」
伯父は、ふらふらと島の方に向かって歩いて行く。
モララーはびっくりしてその後ろ姿に向かって叫んだ。
(;・∀・)「伯父さん!道具忘れてるよ!」
( ^ω^)「……おぉ?ああすまんお」
ブーン伯父は、癖になっているのかまた頭を恥ずかしそうに掻いた。
-
ブーンが大叔父を巻き込んで、
無理心中を図ったのは、その半年後のことだった。
ブーンは大叔父を絞め殺した後、その家に火を放った。
鍵を全て施錠した上で行われた計画的なものだった。
その燃え方は激しく、地元の消防団では手も足も出なかった。
そのせいでブーンも大叔父も綺麗に燃えてしまって、
本当は改めて火葬にする必要がなかったくらいだった。
( ・∀・)「伯父さん……」
(,,゚Д゚)「……なんで、こんな事になっちまったんだろうな」
モララーの祖父は、かたくなに葬式を出すのを拒んだ。
ブーンのだけでなく、大叔父の葬式もだ。
守銭奴と、キチガイの葬式など出さない。
墓にもいれてやるものか、と。
(,,゚Д゚)「ずっと前から精神的に疲れてたんだ。とりあえずの病名もついたりしてな。
外国勤務のとき、上司にいじめられたりしたせいで……ただでさえつらい環境なのに」
( ・∀・)「……」
父の言葉は、あまり耳に入らなかった。
ただ、モララーは目の前で焼かれているものの光をじっと見ていた。
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骨を拾ったあとで、父は悔しそうに何かつぶやいていた。
誰に言うでもなく、ただ悔しそうに。
(,,-Д-)「俺も親父も、兄貴を分かってやれなかった。
逆にそれが兄貴を追い詰めてたのかもしれん。
助けてやれたかもしれないのにな」
( ・∀・)「うん」
モララーは、言おうか言うまいかを迷った。
最後に伯父に会ったとき、伯父が何かを言いかけたことを。
彼は、自分と一緒に、何をするつもりだったのか。
( ・∀・)「じゃあ行こうか」
(,,゚Д゚)「……はやく連れて帰ってやらないとな」
だが、やめた。
口にすると伯父の何かと言うよりも、
自分の中の何かを致命的に壊してしまいそうだった。
( ∀ )「……」
帰りの車の中で、モララーは美しい島の朝の事や、
夕暮れに白く浮かび上がる砂浜のことを思い浮かべた。
だが車が自分たちの今の家、都市に近づいていくにつれてその幻想は薄まっていった。
( ∀ )(さよなら、おじさん)
……もう、自分も父もあの島に行くことはないだろう。
そう思ってモララーは、静かに瞑目した。
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終わり
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乙スルメイカ
-
乙!
もう見られないかと思ってたからよけいに嬉しい
身内がいがみ合うのを見るのは子どもには辛いやなぁ
ブーンは全部背負って逝っちゃったか
切ない話だ
-
同名のスレが無いと思ったらスルメのか
乙乙
-
スルメ、あと数レスで終わりだったんだな
-
書き出しだけ決まったけど何の話書くか決まんなくて辛い
こういう時どうしてる?
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お題募集とか
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意味深なお題いくつかくれ
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>>470
真っ赤
-
>>470
ノルウェー
-
>>470
資料
-
>>470
山羊の瞳
-
>>470
射干玉(ぬばたま)の夜
-
>>470
葉桜
-
>>470
増える鬼ごっこ
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>>470
涙雨
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>>470
冷えたコーヒー
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すいません
ホスト弾かれちゃいました。代理スレ立てお願いします
スレタイ:('A`)ドクオくんの家には変な人が来るようです
本文:適当に
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すいません
立てることができましたので、依頼は取り下げます
失礼しました
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誰かオラに文章力を分けてくれェーッ
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ないものは分けられんッ
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むしろ俺によこせェッ!
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文章力はきっと奪うでも与えるでもなくて気がつけばそこにあるもの
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無いから欲するッ! 単純なことだろうがッ!
ここに在れば欲しがりなどしないわッ!!
ぎぶみー文章力
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のーせんきゅー
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ジェロなんとかさんに超人パワーを分け与える感じですね!
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文章力が欲しい、画力も欲しい
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短編のイラストって少ないんだね
誰か短編の絵題募集してくれないかなぁ
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言い出しっぺの法則
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文章力といっても押し並べては言えないよなあ
語彙が足りないなら類義語辞典や慣用句辞典使うとか
描写が上手くいかないなら小説読んでるときに気になる言葉遣いを全てメモするとか
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ttp://www.raitonoveru.jp/
自分はわりと↑参考になったかも。
でも、あってもいいけどブーン系って文章力だけじゃ評価されないよね……
最近、気になった言葉とかはメモ帳に入れたり、書いてる最中同じ意味で他の言葉調べたりしてるなぁ
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>>490じゃないけど、流れに乗って絵題求む
短編〜中編でお願いします
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>>494
最低な王様
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>>494
12人の魔法使い
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>>494
ポケモン育成系のやつをどれか
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>>495->>497
ありがとう!
-
楽しみ!!
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なんか書きたくなった
二つか三つほどお題ちょうだい
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>>500
機関銃
-
>>500
ライター
-
>>500
不死身の男
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<<501-503
ありがとう、書いてくる
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青空さんの所みたいにブーン系の概略がわかるページって他にあります?
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玉兎の夢とか?
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金融機関を名乗り高齢女性からキャッシュカードをだまし取ったとして県警捜査2課などは同市元町1、
無職、小松雅弘容疑者(54)=本名・金性松=を詐欺容疑で逮捕した。小松雅弘容疑者は「他人の
カードで金を下ろしたが、だまし取ったカードとは知らなかった」と供述しているという。
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他にはブーン芸にある歴史合作かなあ
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>>506
たしかに。AAのことならここですね。
>>508
読み応えありますね。
当時の雰囲気を知るのにちょうど良い感じです。
ありがとうございました。
-
書きながら会話してたら間違ってハインって呼んでしまったでござる
-
眠ってる(#゚;;-゚)ってどうやって書けばいいんだろ
(#’;;-`)←これじゃちょっと不細工だよね
-
>>511
(#-;; -)は?
-
(# ;;- )
-
(#;#;;#)
-
( ) Zzz ←俯いている
-
(#●;;-●)←アイマスク
-
>>513だと死んだみたいだな
-
なるほど、いろいろあるもんだなー
>>512-516サンクス
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ゴールデンウィークだから何か読もうと思うんだけど
2012年に完結した名作とかあったら教えてほしい
ただしドラクエ除く
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アルファ
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>>520
完結してたのか!?
ありがとう今すぐ読んでくる
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おだ くれ
しりあ け で たの
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>>522
ガラス
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>>522
不眠症
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>>522
地下
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>>523-525
は く
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