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( ^ω^)ブーンがアルファベットを武器に戦うようです

1 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 09:21:59 ID:/OgetcPg0
とりあえずスレ立てです。

885名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:42:56 ID:1f9FjasI0
ショボンは生きていると信じる

886名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:43:27 ID:JjwgmLQQ0
今は>>661の3年前でおk?

887名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:43:32 ID:MqE.oFeA0
それでこそブーンさんや!

888名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:43:41 ID:MGmYqfEE0
大事なとこで忘れるなwww

889名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:43:43 ID:gloPSijU0
荒巻皇帝・・・・(´;ω;`)

890名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:43:52 ID:gWteJxc60
(´;ω;`)ウッ…

891第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:44:21 ID:/OgetcPg0
( ^ω^)「まだまだ、成すべきことは多いですお。歩みを止めるわけにはいきませんお」
 
( ^ω^)「自分たちは、これからも国を前進させるべく努力していく所存ですお」
 
( ^ω^)「それだけは間違いなく、今この場でお約束できますお」
 
( ^ω^)「――――誰よりも、この国を愛する者として」
 
 冬の寒さを忘れさせてくれるような温風が、身を撫でた。
 思わず、鼻腔から取り込んで肺を満たしたくなるような、風が。
 
( ^ω^)「自分からは、以上ですお」
 
 惜しみない拍手に手を振って応えるブーン。
 民からの信頼は、今も絶大。恐らく、今後も変わらないだろう。
 
 ただ――――
 
( ’ t ’ )(……はっきりとは、分からないけど)
 
 引っかかっていることは、ある。
 
 ブーンの後に登壇したのはロマネスクだった。
 今は財政を担当しており、国家運営になくてはならない存在だ。
 生真面目で妥協を許さないロマネスクの性格は、財務管理に適当と言えた。
 
 その人事の決断もブーンは早かった。
 ヴィップが天下を統一したあと、一年ほどは全ての決定権をブーンが持っていた。
 しかし、それから徐々に権利を委譲しはじめたのだ。

892名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:44:24 ID:MqE.oFeA0
アラマキ皇帝…!

893名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:44:42 ID:5mh8yNic0
ううう…

894名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:44:45 ID:8ekxxyT2O
ふぅ・・・

895名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:44:58 ID:gWteJxc60
え?

896名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:45:08 ID:e2gH8BrE0
ロマの夢も叶いそうだ

897名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:45:13 ID:IiwxOmcg0
えっ

898名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:45:46 ID:wwadrX96O
ブーン死ぬのか

899名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:45:51 ID:YSjnRIko0
ブーン生きてたかよかった

900名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:45:54 ID:3WZhaEkI0
嫌なフラグ立てるな
もういいじゃないか・・・ここまで生き残った人くらい幸せになっていいじゃないか

901名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:46:17 ID:8haAhiJgO
涙の支援

902第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:46:34 ID:/OgetcPg0
( ^ω^)「まだまだ、成すべきことは多いですお。歩みを止めるわけにはいきませんお」
 
( ^ω^)「自分たちは、これからも国を前進させるべく努力していく所存ですお」
 
( ^ω^)「それだけは間違いなく、今この場でお約束できますお」
 
( ^ω^)「――――誰よりも、この国を愛する者として」
 
 冬の寒さを忘れさせてくれるような温風が、身を撫でた。
 思わず、鼻腔から取り込んで肺を満たしたくなるような、風が。
 
( ^ω^)「自分からは、以上ですお」
 
 惜しみない拍手に手を振って応えるブーン。
 民からの信頼は、今も絶大。恐らく、今後も変わらないだろう。
 
 ただ――――
 
( ’ t ’ )(……はっきりとは、分からないけど)
 
 引っかかっていることは、ある。
 
 ブーンの後に登壇したのはロマネスクだった。
 今は財政を担当しており、国家運営になくてはならない存在だ。
 生真面目で妥協を許さないロマネスクの性格は、財務管理に適当と言えた。
 
 その人事の決断もブーンは早かった。
 ヴィップが天下を統一したあと、一年ほどは全ての決定権をブーンが持っていた。
 しかし、それから徐々に権利を委譲しはじめたのだ。

903名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:46:34 ID:07N.H0fUO
>>894
どこでだwww

904名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:46:46 ID:8ekxxyT2O
支援!!

905名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:46:56 ID:1f9FjasI0
みんなでハッピーエンドじゃ……あれ?

906名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:46:59 ID:3WZhaEkI0
大事な事なので?w

907名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:47:01 ID:gWteJxc60
あれ

908名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:47:24 ID:l3KOR0/A0
確かに大事だw

909 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:47:28 ID:/OgetcPg0
あ、間違えて同じレスしちゃった……すみません

>>886
おkです

910名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:47:28 ID:bJWdFwUw0
ハンナバル思い出しちまう流れ

911名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:47:29 ID:jbunSmdEO
もうなんて言っていいのかわかんね
もちろん良い意味で

912名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:47:56 ID:WZqI2xvE0
そら地方分権の先にあるものつったら独立運動しかねえだろ

913名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:47:59 ID:MGmYqfEE0
なんかレスが被るのはよくあるみたいだけど
誤爆なのか、それとも訂正?

914名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:48:15 ID:gWteJxc60
そうか。なるほど

915第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:48:19 ID:/OgetcPg0
 全てブーンの判断を仰ぐのでは拙速だ。
 そう考えれば、財務や法務などをモララー、ロマネスクといった男たちに任せたことは最善の判断だっただろう。
 しかし、ブーンは更に権力の分割を進めようとしている。
 
( ’ t ’ )(そこが引っかかっているんだけど……)
 
 適材適所という言葉もある。
 あらゆる仕事をこなせる男がいつも居るとは限らないのだ。
 ある分野に特化させた人材を発掘し、登用したほうが国の発展にも繋がるだろう。
 
 だが、このままではブーンは何の権力も持たなくなってしまう。
 
 それは、過去のヴィップへの回帰だ。
 アラマキは権威しかなかった。権力は持っていなかった。
 ブーンもそういう存在になろうとしているのか。
 
 そうだという気もする。
 違うという気もする。
 
 自分が考えたところで詮無い話だ。
 分かっていても考えたくなるのは、かつて国に携わっていた男の性分か。
 それとも、ヴィップの民として将来を憂えているのか。
 
( ’ t ’ )(……自分のことさえ分からないんじゃ、皇帝の考えてることが分かるわけないな)
 
 苦笑して、式典の場から離れた。
 
 街は相変わらず活気に満ちている。
 戦が終わって平和になったことは大きいのだろうが、やはり、ヴィップの善政が奏功しているのだと思えた。

916名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:48:26 ID:3WZhaEkI0
>>910
ハンナバルは天国で喜んでるだろうな

917名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:48:25 ID:APMGw0RsO
釣り竿もって世界をぶらぶらしようぜ

918名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:48:36 ID:OCAGYCvE0







ごめん今北産業

919名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:49:02 ID:Pp6xKnRU0
嫌なフラグや

920名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:49:33 ID:J0GuiLFI0
>>918
よん

こい

921第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:49:46 ID:/OgetcPg0
 かつてラウンジの将として戦った自分でもそう感じているのだ。
 民は尚更だろう。
 
( ’ t ’ )(もし……ラウンジが、天下を……)
 
 考えようとして、やめた。
 どうなっていたかなど、今更考えたところでどうにもならない。
 
 クラウンはもういない。
 ショボンも、もういない。
 自分もただの流浪人でしかないのだ。
 
 街から離れ、馬に跨る。
 風に身を任せて駆けたいような気分だった。
 いや、むしろ、風に溶け込んでしまいたかったのか。
 
 ただ、行き先ははっきりしていた。
 郊外にある、広大な墓地だ。
 
( ’ t ’ )(……誰も居ないか?)
 
 馬から降りて、細い野道を歩く。
 刈られたばかりなのか、草は一定の長さになっており、道を塞ぐことはない。
 ところ狭しと並べられた墓は形が不均一で、豪華なものもあれば、質素なものもある。
 
 造形が凝っていたり、やたら巨大だったりする墓は、かつてオオカミに関わっていた者が多いようだ。
 暗愚な王として知られ、不摂生が起因の病で没したフィラッド=ウルフの墓もある。
 ただ、本人がオオカミ時代に作らせていた、無駄に絢爛な墓は何度も墓荒らしに遭い、最後には墓ごと盗まれたという。
 
 今は平民と比べても質素な墓に変わったというが、無論、そんなフィラッドの墓参りに訪れたわけではない。
 かつてオオカミの将だった男に会いに来たわけでもない。

922名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:49:49 ID:MGmYqfEE0
>>918
最初から
読んで
こい

923名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:50:11 ID:OCAGYCvE0
>>920
仕方ない読んでくる

924名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:50:19 ID:1f9FjasI0
ショボン死んだか

925名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:50:46 ID:gWteJxc60
どういうことだ

926名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:51:12 ID:klyKeAvIO
ついに最終話か。涙出てきた…

927名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:51:15 ID:MGmYqfEE0
フィラッドメシウマ

928第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:51:24 ID:/OgetcPg0
 広大な墓地の端にある、真四角で飾り気のない墓。
 これが、アルタイムの墓だった。
 
( ’ t ’ )(お久しぶりです)
 
 花を供えて手を合わせる。
 生年が書かれているだけの墓で、名がないため、他の誰かがアルタイムの墓と気付くことはない。
 自分が勝手に、この地に建てた墓だからだ。
 
 アルタイムの正式な墓は、かつてラウンジ城と呼ばれていたフラクタル城の近くにある。
 わざわざここにも建てたのは、アルタイムが討たれた場所はかつてオオカミ領だった何処かではないか、と思ったからだ。
 
 何故そう思ったのか自分でも分からない。
 アルタイムは、あるときを境に突然姿を消しており、そもそも討たれたのかどうかさえ不明だ。
 現在、戦史を編纂する作業が歴史家によって進められているが、アルタイムの最後は明確に記述できないという。
 
 病死したのだろうか。
 あるいは、戦に嫌気が差し、下野してどこかで長閑に暮らしているのだろうか。
 
 そんな議論もあるようだが、自分には分かる。
 アルタイムは、戦いのなかで最後を迎えたのだと。
 
 どこまでも軍人だった。
 しかし、武に生きる一面もあった。
 
 自分とは違う。下野は決してありえない。
 病没は、可能性としてはあるが、誰にも知られていないとなると謎が残る。
 
 ひっそりと、誰かと戦って、討たれたのだ。
 推測だが、確信に近かった。

929名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:51:28 ID:D1Ed4TioO
初遭遇だ!楽しみに待ってた!

930名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:51:59 ID:e2gH8BrE0
ショボン……

931名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:52:16 ID:5glAIN7E0
ラウンジ城が・・・

932名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:52:34 ID:APMGw0RsO
ショボンいないのか……

933名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:52:42 ID:8ekxxyT2O
アルタイム懐かしい

934名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:52:45 ID:07N.H0fUO
しかし平日の昼間から創作板がこんなに賑わうとは

支援支援

935第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:52:57 ID:/OgetcPg0
 誰と戦ったのかも察しはついている。
 ただ、相手は誰でも良かった。
 アルタイムが、戦いのなかで果てられたことにだけ、素直に感謝したい。
 
 討たれた場所がオオカミ領だったどこか、というのはただの勘だ。
 詳細な場所は自分も全く見当がつかない。
 自分が察しているとおりならば、一騎打ちの相手も既にこの世にいないため、永遠に分からないままだろう。
 
 それでも良かった。
 そもそも、アルタイムの墓を建てたのも自己満足に近いのだ。
 身勝手であることは自覚していたが、自分だけが知る墓がここにあるという事実は、落ち着きを与えてくれた。
 
( ’ t ’ )(……ラウンジが滅んで、七年が過ぎました)
 
( ’ t ’ )(早いものですね)
 
 語りかけるも、当然、言葉は返ってこない。
 ベルの墓に参るときも、そうだ。勝手に言葉を投げかけている。
 しかし、耳に響くのは精々、風声くらいのものだった。
 
( ’ t ’ )(横暴な支配国ニューソクに対抗する形で建国されたラウンジ……)
 
( ’ t ’ )(ベル大将が地盤を固め、形を作り、大国となりました)
 
( ’ t ’ )(……死去してからは、自分と、そしてアルタイム大将で国を発展させていきましたが……)
 
( ’ t ’ )(いや……お互い、反省ばかりの日々でしたね)
 
 今でも、ラウンジに属していた頃のことを、ありありと思い出せる。
 ベルがショボンとの戦いに敗れ、アルタイムが大将となってからは、ずっと二人で戦ってきた。
 あらゆる決断を、二人で下してきた。

936名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:53:11 ID:3WZhaEkI0
筋違いなお礼だけど
アルタイムを出してくれてありがとう
一番好きなキャラだった

937名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:53:12 ID:1f9FjasI0
ショボンはある意味救われたのかもな

938名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:53:52 ID:MGmYqfEE0
今度はフラクタルか

そういえばジョルジュがそのまま天国まで持ってっちゃったな

939第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:54:18 ID:/OgetcPg0
 しかし、ベルの穴は埋めがたく、領土は漸減する一方。
 ジョルジュを打ち破ってギフト城を奪取した戦もあったが、ほとんどは負け戦だった。
 特に、病を押して出陣したミルナに完膚なきまでに打ちのめされ、フェイト城を奪われた戦は今でも思い出す度に心がざわめく。
 
 無論、二人だけで戦ったわけではなかった。
 ベルから伝えられた知恵と経験は武器となり、その息子ファルロも主戦として活躍してくれた。
 諸将の名を挙げれば切りがない。しかし、国の中心は常に自分とアルタイムだった。
 
 苦しいことのほうが多かった。
 敗北の悔しさから体調を崩したこともあった。
 
 それでも、今にして思えば、自分の人生で最も満ち足りた日々だった。
 
 葛藤する毎日の中で確かに成長していた。
 人として、男として、戦を通じなければ得られないものを得た。
 アルファベットを握り締めることで、強くなれたのだ。
 
( ’ t ’ )(入軍する前の自分なら、こんな風に放浪することもきっとできなかったでしょう)
 
( ’ t ’ )(国軍のなかで、苦しみながらも戦うことで……成長できたのだと思います)
 
 ベル、ファルロ、そしてアルタイム。
 それぞれと生きる日々のなかで、生き抜く力を得ることができた。
 
 感謝してもしきれない。
 伝えきる言葉がない。
 
 それでも、伝えようとして何度も墓の前に立っていた。
 アルタイムはもしかしたら、呆れているかもしれないな、とは思っていた。
 時には優しく見守り、時には厳しく叱咤してくれたアルタイムだった。

940名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:54:38 ID:7CkEf/WgO
追い付いちゃったよ

941名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:54:40 ID:E6IspQHk0
そうかアルタイムはミルナに討たれたが知っているのは
ミルナとヒッキーだけでその二人もすでに死んでいるからな・・・
歴史の闇の一つか アルタイムについては

942名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:55:18 ID:3WZhaEkI0
>>941
ジョルジュな

943名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:55:22 ID:JjwgmLQQ0
リアルタイム=フェイクファーとか言えるのもこれが最後だ

944名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:55:37 ID:YSjnRIko0
アルタイム死んだのか・・・

945名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:55:41 ID:E6IspQHk0
941 訂正ミルナ⇒ジョルジュでした 
間違えてすまん・・・

946第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:55:51 ID:/OgetcPg0
( ’ t ’ )(また来ます)
 
 軽く頭を下げて、爪先の方向を変えた。
 穏やかな風が肌を撫で、髪を弄ぶ。
 その風を吸い込んで肺を満たすと、自分までもが穏やかな心持ちになれた気がした。
 
( ’ t ’ )(……ん?)
 
 自分がこの墓場に入ってきたとき、人影は見えなかった。
 しかし、いつの間にか誰かが墓の前で手を合わせている。
 
 黒い髪が風に靡いていた。
 女性だった。
 
( ’ t ’ )(……あの墓は、確か……)
 
 瞼が開かれる。
 自分のほうへと、女性の視線が向く。
 
 言葉が投げかけられることはない。
 頭を下げ、踵を返して出口へと向かっていった。
 
 自分のことを知っていて、頭を下げたのだろうか。
 分からない。ただ、誰の墓の前で合掌していたのかは分かる。
 あれは確か、オオカミでいずれ国王になるはずだった、ディアッド=ウルフの墓だ。
 
( ’ t ’ )「…………」
 
 聞いた話によれば、オオカミ滅亡の際、最後まで国を守ろうとして抗ったという。
 祖父リアッドに似て英明であり、君主としての資質は充分。
 アルファベットの才にも優れていたとのことだ。
 
 彼を討ち取ったのは、現ヴィップ皇帝である、ブーン=トロッソだった。

947名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:56:38 ID:8ekxxyT2O
ペニサスか

948名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:56:51 ID:1f9FjasI0
アルタイムとジョルジュの一騎討ちはヒッキーしか知らないんだっけか
そのヒッキーもいないしな

949名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:57:07 ID:5mh8yNic0
なんか涙腺ゆるむ

950名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:57:32 ID:MqE.oFeA0
鼻水出てきたわ

951名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:57:32 ID:yJDtnBXk0
ああ、あのメイドか

952名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:57:57 ID:Etm4VpfgO
( ^ω^)ブーンがアルファベットを武器に強くてニューゲームするそうです を書いてくれ

953第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:58:04 ID:/OgetcPg0
( ’ t ’ )(……そうだよな、自分だけじゃないよな)
 
 戦の傷が癒えきっていないのは、自分だけではない。
 目に見える形で、あるいは見えない形で、存在しているのだ。
 戦いようもない相手と戦っているのだ。
 
 それでも、生きてゆかなければならない。
 人生とは、そういうものなのだろう。
 
 遠ざかる彼女の背中に向けて、頭を下げる。
 やがて姿が見えなくなってから、自分も墓地の出口へと向かった。
 
 
 
――ギフト城――
 
 戦火に晒され、痛んでいた城壁もようやく補修が終わった。
 幾度となくヴィップとラウンジの間で支配権が移り変わり、酷使されてきたが、これからは美しい状態を保てるだろう。
 
(=“ω“)「フサギコ長官、第三応接室に報告書などを集めてあります」
 
ミ,,゚Д゚彡「あぁ、分かった」
 
 促されて、城内へと足を踏み入れる。
 ギフト城は全土のほぼ中心に位置しており、流通の要となっている城だ。
 人の出入りは激しく、誰しもが慌しそうに駆け回っている。

954名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:59:09 ID:2jPmM8Kk0
読み始めた当時は高校生だった。それから大学に行って
就職失敗して無職の今。これでようやくあの世にいける。

955名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:59:16 ID:MGmYqfEE0
次スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1326689827/

956名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:59:56 ID:EX7tgdWQ0
>>954
ハロワに逝け

957名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 13:59:58 ID:3WZhaEkI0
>>954
生きてこそこういう名作に出会えるんじゃないか!

958第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 13:59:58 ID:/OgetcPg0
ミ,,゚Д゚彡「相変わらず賑わってんなぁ」
 
(=“ω“)「ギフト城の周辺の開発が進んでいます。出店許可を貰いに来る商人が多いのです」
 
ミ,,゚Д゚彡「流通の中心で、こんだけ人が多けりゃ儲けも期待できるってわけか」
 
(=“ω“)「はい。ここはピエロ川もトーエー川も近いですし」
 
ミ,,゚Д゚彡「川の近くが栄えるのは、まぁいつでも一緒だな」
 
 ギフト城で政務を束ねる立場にあるビヨウの案内で、第三応接室へと足を踏み入れた。
 かつては軍議室だったため、自分も何度か入ったことのある部屋だ。
 中央の円卓には書類が積まれていた。
 
ミ,,゚Д゚彡「まずこれは……計画書か」
 
(=“ω“)「はい。ここから北東へ五十里ほどのところに、町を作ろうという計画が上がっています」
 
ミ,,゚Д゚彡「かなりピエロ川に近いな」
 
(=“ω“)「ピエロ川で獲れた魚を、新鮮な内に出す店が多く集まる予定です」
 
ミ,,゚Д゚彡「地盤は大丈夫か?」
 
(=“ω“)「調査済みです。それに関する報告書はこちらに」
 
ミ,,゚Д゚彡「ふむ……」
 
 町を新たに作るという動きは全土で広まっている。
 候補として上がる地は、主に戦場として使われていたところだ。
 今までは軍が圧力を掛けていたため、人が住める状態にはなっていなかった。

959名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:00:13 ID:gloPSijU0
>>954
逝ってらっしゃい^^

960名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:00:17 ID:gWteJxc60
>>954
何アルファベット持つ前に諦めてんだよ

961名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:00:23 ID:jCNHgk.U0
>>954
全く同じ境遇だ

962名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:01:07 ID:MGmYqfEE0
なんかイヨウに似てると思ったらビヨウだった
親戚?

963名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:01:27 ID:E6IspQHk0
>>955 生きろ馬鹿野郎・・・東日本大震災で生きたくても
生きれなかった人は沢山いるんだ その人達の分で生きて貢献しろ

964名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:01:34 ID:QZk6an4.0
ビヨウ・・・

965第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 14:01:44 ID:/OgetcPg0
ミ,,゚Д゚彡「住みたがる民は……まぁ、けっこういるだろうな」
 
(=“ω“)「はい。元々、嘆願書を受けての計画ですから」
 
ミ,,゚Д゚彡「開発にかかる時間は、三年か」
 
(=“ω“)「そうですね、それくらいで町として成り立つと思います」
 
ミ,,゚Д゚彡「まぁ、一度ヴィップ城に持ち帰る必要があるな。認可は下せると思うが」
 
(=“ω“)「よろしくお願いします」
 
ミ,,゚Д゚彡「そのうち地方政府でこういうのも認可できるようになると思うが……」
 
(=“ω“)「そうすれば町の開発も早く進みますね」
 
ミ,,゚Д゚彡「ただ、正しい判断を下せる能力を持った人間が、今よりもっと必要になる」
 
(=“ω“)「はい。登用する側の目も大事ですね」
 
ミ,,゚Д゚彡「育てるほうの能力も、だな」
 
(=“ω“)「まだまだ休まるときはありませんね、フサギコ長官」
 
ミ,,゚Д゚彡「全くだ。ヴィップが天下を統一してからの七年、ずっと全力で環境整備に当たってきたが、さすがに疲れちまった」

966名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:01:51 ID:MqE.oFeA0
ビヨウ
子供だっけか

967名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:02:14 ID:nfqTro5g0
ペニサスか?!

968名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:02:30 ID:07N.H0fUO
支援えん

969名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:03:13 ID:vD/YE/V2O
イヨウの息子とか?

970第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 14:03:32 ID:/OgetcPg0
(=“ω“)「これからは後継者を育てるほうに注力していかなければなりませんね」
 
ミ,,゚Д゚彡「あぁ。そういった意味じゃ、お前みたいなやつが出てきてくれたのは助かる」
 
(=“ω“)「いえ、私などは未熟で」
 
ミ,,゚Д゚彡「いや、さすがにあのイヨウ=クライスラーの息子なだけあるよ、お前は」
 
 特徴的な二本の髭が揺れる。
 目は母親に似たようだが、他は父親の特徴を受け継いでいるように思えた。
 特に、穏やかな性格と全く釣り合わない巨躯は、まるで父親を見ているようだ。
 
ミ,,゚Д゚彡「民政に関しちゃ親父さんより上かもな」
 
(=“ω“)「しかし、父の武勇には遠く及びません」
 
ミ,,゚Д゚彡「あぁ、確かに親父さんのアルファベットは凄かったよ。ちょっと酒癖悪くて、失敗とかしてたけどな」
 
(;“ω“)「実はそこが遺伝しているようなのですが……」
 
ミ,,;゚Д゚彡「おいおい、そうなのかよ。取り返しのつかない失敗は勘弁してくれよ」
 
(=“ω“)「寝る前に少し飲む程度にしています。仕事には差し支えない範囲で……」
 
ミ,,゚Д゚彡「酒が強いっつったらフィレンクト少尉だったな、一緒に飲んだことねーけど」

971名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:03:33 ID:ABFmFp.20
追いついた支援

972名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:03:58 ID:gWteJxc60
やっぱり息子かあああああああああああ

973名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:04:28 ID:5mh8yNic0
戦争終わったんだなーっていう落ち着いた雰囲気だな

974名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:04:37 ID:MGmYqfEE0
酒癖遺伝

975名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:04:55 ID:8ekxxyT2O
支援だ

976名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:04:59 ID:3WZhaEkI0
あのイヨウの息子が政務官として有能ってのは面白いなw

977名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:05:00 ID:MqE.oFeA0
フィレンクトと聞くだけで
涙腺が弛む

978第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 14:05:07 ID:/OgetcPg0
(=“ω“)「今、ダカーポ城で息子のリレンクトが働いていますね」
 
ミ,,゚Д゚彡「本当か!? 初耳だぞ、それ」
 
(=“ω“)「私も最近まで存じませんでした。最初は小さな役場で働いていて、そこから城に入ったようです」
 
ミ,,゚Д゚彡「何にせよ面白い報せだ。こりゃブーンに教えてやらねぇと」
 
(=“ω“)「親友だったそうですね、ブーン皇帝とフィレンクト氏は」
 
ミ,,゚Д゚彡「あぁ。きっとブーンが大喜びするぞ、この報せは」
 
 フィレンクト=ミッドガルドは、決して武に優れる男ではなかった。
 ただ、常に冷静さを失わずに適切な行動が取れたため、知能面での活躍が光る男だったという。
 
 所属する塔が違っていたため、一緒に戦ったことはない。
 しかし、あのジョルジュが唯一、ショボンが裏切る前に全ての考えを打ち明けた相手だ。
 腕を失って軍を去るところだった、という特殊な事情はあるものの、その知性をジョルジュも評価していたということだろう。
 
ミ,,゚Д゚彡「フィレンクト少尉のおかげで、今のブーンがある。感謝してもしきれねぇよ」
 
(=“ω“)「ショボン=ルージアルが裏切った際のことですね」
 
ミ,,゚Д゚彡「あぁ。あの人が身を挺してブーンを守ってくれたんだ」
 
(=“ω“)「フィレンクト氏とショボンの一騎打ちも、好戦だったと言われていますね」
 
ミ,,゚Д゚彡「実際に見た人は少ないんだけどな。ずっと超えられなかったJの壁も、最後の最後で超えたらしいし」
 
(=“ω“)「アルファベットJでZに立ち向かった、その一騎打ちがあったからこそ、今のヴィップもあるのですね」
 
ミ,,゚Д゚彡「あぁ、きっとそうだ」

979名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:05:22 ID:gWteJxc60
フィレンクトの息子もかああああああああああああああ

980名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:05:47 ID:YSjnRIko0
イヨウもフィレンクトも死んだもんな

981名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:05:59 ID:MqE.oFeA0
ヴィップ将校たちの
ネーミングセンスェ…

982名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:06:23 ID:JjwgmLQQ0
リレンクトwwwwwwwww

983名も無きAAのようです:2012/01/16(月) 14:06:32 ID:hTsfJL3U0
めっちゃ懐かしい...

984第120話 ◆azwd/t2EpE:2012/01/16(月) 14:06:33 ID:/OgetcPg0
 無論、フィレンクトだけではない。
 かつて、ブーンがイヨウと共に戦い、敵城を奪った戦もあった。
 将校になった直後、イヨウを助けるために奮戦したブーンの戦い様は、武将としての在り方を形成する一部となっただろう。
 
 誰しもが国のために戦った。
 ひとつひとつの積み重ねで、今のヴィップという国があるのだ。
 
(=“ω“)「ブーン皇帝は、主要な城を回っているところですか?」
 
ミ,,゚Д゚彡「そうだな。今はマドマギ城だろう」
 
(=“ω“)「フラクタル城に向かう途中で、ギフト城にも寄ってくださると嬉しいのですが」
 
ミ,,゚Д゚彡「なんか仰ぎたい意思でもあんのか?」
 
(=“ω“)「いえ、単純にお会いしたいだけです」
 
 ブーンは主にヴィップ城で仕事に忙殺されている。
 地方を巡る機会は年に一回あるかないかだ。
 皇帝を一目見たい、と思う者は多い。
 
 皇帝になっても、昔と変わらない、親しみやすい人柄だ。
 だからこそ民にも役人にも好かれる。
 ブーンが皇帝ならば、きっと明るい未来が待っていると、誰もが期待しているのだ。
 
 急速に進む改革が、比較的無理なく受け入れられているのも、ブーンが全て自分の言葉で説明するからだろう。
 ブーンの存在は、今も昔も大きい。




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