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リョナゲームブックを作ろう!

301名無しさん:2009/10/27(火) 01:55:12 ID:???
  <湧き上がる憎悪の衝動が抑えきれない。死んだロゼッタの顔に"スピリットエッジ"を突き立てる>

 「……ッ!」

 ロゼッタを刺し殺した魔力の刃を逆手に持ち替える。
倒れた死体の腹を踏みつけながら、ルネスは己の憤怒を突き下ろした。
血に汚れた顔目掛けて切っ先をめり込ませ、接触と同時に魔力を炸裂四散させる。
ロゼッタの頭部は果実のように砕け潰れた。血飛沫。肉片。脳。頭蓋骨の破片。眼球。粉々と爆ぜて散らばる。

 「…………」

 既に死した肉体を更に損壊させたところで、得られるものも取り戻せるものもない。
だが、思考がそれを理解していても感情はそれを受け止められなかった。
 ルネスは、己がいかに弱く、いかに小さく、いかに脆い存在であるかを突きつけられたのだ。

 「……」
 「あら、あら、あら」
 「っ!?」

 唐突に、ルネスの背後から声がした。女の声で、呑気な調子だった。
ルネスが振り向くと、そこには何時の間に現れたのかメイド装束に身を包んだ少女が立っていた。
ルネスよりも背は低く、顔立ちから判断しても童女と呼んで差し支えない年齢と見える。
艶やかな黒髪を長く伸ばし、大きく愛らしい眼は赤い色を湛えていた。
だが、その瞳をよく観察すれば彼女が人ならざるものであることがわかるだろう。
瞳孔が獣か蛇のように縦長の形状を持っているのだから。

 「この損傷度だと、まともな蘇生はちょっと無理ですねえ……」

 ルネスを無視するように黒髪の少女はつぶやく。変わらず、緊張感の欠けた声。

 「……」
 「ふむ」

 少女はロゼッタの死体に向けていた視線をルネスに据え直した。
ルネスの方は軽い混乱状態にあり、その顔には動揺と困惑の色が表れている。

 「はじめまして。わたくし、そこのロゼッタお嬢様と契約していた悪魔が一柱で、名はヤルダバオトと申します」

 そう名乗ると、少女は優雅に会釈した。

 「さて、単刀直入に申します。ルネスさん、わたくしと契約する気はありませんか?」
 「……ぇ?」
 「我々、悪魔というものは人間に代表される地上の知的生命体と契約しなければなりません。
  より正確に言えば、契約者の存在を介してのみ地獄、あるいは魔界と呼ばれる領域を離れ地上へと顕現できるのです。
  ロゼッタ様はあなたが殺してしまわれたので、今のわたくしには至急、新しい契約者が必要なのですよ。
  古き魔王が定めし掟により、新規の契約を結ばなければ私は地上から強制送還されてしまうのです。
  勿論、これはルネスさんにとっても悪いお話ではございません。
  あなたの姉君と御友人を蘇生してさしあげる程度の対価は保証いたします。
  おふたりとも、頭部といいますか脳には大きな損傷を負っておられませんので記憶の復元や修正も容易ですわ。
  全てを生前そのままに蘇らせてご覧に入れます。いかがですか?」

 名乗る時間も勿体無いとばかりにヤルダバオトはまくし立てた。

 「わたしは……なにを、支払えばいいの? 魂……?」

 ルネスがそう問い返したのは、悪魔の囁きに心が揺らいだからというよりもただ呆然となっていたからだった。
短い時間の中で、あまりにも多くのことが起き、大きなものを失ったのだから無理もない。
 ヤルダバオトが嬉しげに微笑む。

 「悪魔が契約者に求めるものはひとつだけでございます。それは生贄でも魂でもありません。あなたの欲望です。
  ただ己が欲し望むままに生きてくださればよろしいのです。ただそれだけでいいのです。
  契約で得た力をどう使おうが、全てはあなた次第。好きなようになさってください。
  人の世に悪徳と退廃をばらまこうが、弱く貧しい人々へ施しを与えようが、完全に自由ですわ。
  人間として、その心の思うがままに在り続けてくださればよろしいのです。
  人がなにかを願い、それを手に入れんとする想いこそが我々悪魔の求める唯一無二の報酬にございます」

 ヤルダバオトの言は真実なのだろうか? 悪魔の持ちかける取引は信ずるに足るのだろうか?
救済を求める弱さと、理性の司る疑念が、ルネスの内でせめぎ合っていた。

 「さあ、どうなさいますか?」


  <契約する>
  <契約しない>


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