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おちんちんのアルカナ

1名無しのアルカナ使い:2006/12/23(土) 23:51:22 ID:Omz9Akc.0
稼動より早三日。
秋葉系産業の僕である私が
このヲタゲーに取り組んだのもまた三日。
多少の不満はあるものの現状では特に破綻した要素もなく、
このまま闘劇に選ばれれば何も文句は無いと思っていた。

しかし私は気付いてしまった
アルカナには致命的な欠点、
足りないものがある。

・・・そう、ちんちんである

587名無しのアルカナ使い:2007/06/14(木) 00:38:24 ID:LLrUIVew0
「ごめんね、みんな。私、これ以上は一緒に行けないよ。」
「な……何言ってるの凸……? せっかく会えたのに!」
「うん……。みんなに会えて、私、すごく嬉しいよ。
 でもね、あのね、こっちの世界にはね、天使とか精霊とかにとってのおちんちんが少ないの。
 だから……このスレと一緒に、おちんちんランドに戻るよ。」
「駄目……凸……行かないで……。」

588名無しのアルカナ使い:2007/06/14(木) 01:22:43 ID:zPmcWOY6O
>>587
泣いた

589名無しのアルカナ使い:2007/06/14(木) 13:15:55 ID:LNQYua/oO
信じたくない

590名無しのアルカナ使い:2007/06/14(木) 13:37:32 ID:oNKujn1A0
いや、このEDだと最後にはきっと戻ってきてくれる。

591名無しのアルカナ使い:2007/06/15(金) 09:52:15 ID:h/LFdNpk0
目から汗が…

592名無しのアルカナ使い:2007/06/15(金) 17:03:31 ID:010PlPcIO
このスレと…て事は、俺もおちんちんランドへ…?

593名無しのアルカナ使い:2007/06/15(金) 21:53:15 ID:ZLxDftz20
ここはおてぃんてぃんぱらだいす!

594名無しのアルカナ使い:2007/06/16(土) 07:58:31 ID:aht5saDo0
定期保守。

595名無しのアルカナ使い:2007/06/16(土) 22:30:43 ID:.I2a.Qc.O
突然の差し込み失礼致します。
梅雨も終わりへと近付き夏の暑さを徐々に感じさせる昨今、おちんちん紳士たる皆様に置かれましては如何お過ごしでしょうか。

さて、>>1様の再来をお待ちしている間、私達が出来る事とは一体何でしょう………果たして、本当にお預けを命じられた子犬の如くに、ただじっと耳を垂れ餌を待つだけで良いのでしょうか?
いえ、このままこのスレッドをお預けに苦しむ書き込みだけで埋めてしまうのは、剰りにも無情と思われます。
>>1様の意を汲み取り、おちんちん紳士たる思想と立ち振る舞いを磨いて行く事こそが肝要なのではないかと、座して待っていただけの私が辿り着いた結論でした。
そこで、二番煎じな感は拭えませんが、私なりの考察をこの場を拝借して述べようと思います。
必然、拙い文章やお見苦しい点などは多々見受けられる事とは思われますが、どうぞ私の夢想に少しばかりの時をお付き合いくださいませ……ちんっ(-人-)

596名無しのアルカナ使い:2007/06/16(土) 22:36:59 ID:.I2a.Qc.O
時に、このスレを何度も読み返している皆様は当然ご存知でしょうが、>>1様はキャラ対策と銘してのシチュエーション描写を為されました。
赤裸々に語られたリリカの、日々の生活……もとい、性活はとても内容が濃く、尚且つ分かり易い物でした……この偉業は皆様の記憶に鮮明に焼き付いている事でしょう。
当然の事ながら、私も深い感銘を受けたものです……なので、ここは>>1様が築かれたこの良形式に則って、私もキャラ考察に耽る事と致します。

ここで問題に上がるのは、

『誰について語るか』

この一点でしょう。
どのキャラにおちんちんを組み合わせても特有の持ち味が有る事は既に>>1様の考察により明らかではあります。
しかしお恥ずかしい事に、私はおちんちん紳士としての経験も感性も文才もまだまだ未熟な若輩者。
下手に扱い方を損なえばキャラの持ち味を壊してしまい兼ねません。
私は誰に的を絞るか、数時間頭を悩ませました……そして導き出した結論と致しまして、比較的にネタが豊富そうな春日舞織嬢を扱わせて頂く事とします。
それでは皆様…グラス一杯に注がれた純度の高い白色ミルクを片手に、どうぞ姿勢を楽にしてお聞き下さいませ。

597名無しのアルカナ使い:2007/06/16(土) 22:45:43 ID:.I2a.Qc.O
『春日舞織』

おちんちんを考察するには、何よりも先ずナニを舞織が得る事が肝心な訳で。
きっかけは、普段と何ら変わらぬ筈だった朝の目覚めと共に……

「―――これ、は……っっ」

彼女が驚くのも当然でしょう、目覚めた其処におちんちん。
そう、おちんちんのアルカナに選定された舞織の股関には、平凡と言えば平凡、しかしながら均整美を究極にまで追求したかの様な見事なおちんちんが付いていたのです!!

ですが、此処へ来て早くも壁が立ち塞がりました。
舞織の言動などからもお解りでしょう、彼女は大和撫子を絵に描いた様な、奥ゆかしく慎ましやかな心の持ち主。
ましてや、まだあどけなさの残る中学二年生の少女、股関に鎮座している異形の物体を素直に受け入れる事が出来ませんでした。
羞恥心が枷となって誰かに相談する事さえ出来ずに、ただ悶々と悩み続けて過ぎる日々………この話は、このまま何も語らず終わってしまうのでしょうか―――?

598名無しのアルカナ使い:2007/06/16(土) 22:55:49 ID:.I2a.Qc.O


……いいえ。
曇り空の隙間から斜光が差し込む様に、さる一人の人物が苦悩する舞織へとその救い手を差し伸べたのです。

「貴女の持っているそれは、決して貴女を不幸にする為に在るのではありません……貴女を遥かな高みへ、そして幸せへと導く為に有るのです」

見る者を心和ませる、暖かい微笑みと共にそう諭したその御方こそが、後の>>1様なのでした……ですが、それはまた別のおはなし。


かくして、彼女の心に立ち込めていた朝霧は取り払われました。
しかし、見えた先行きに現れたのはまたしても壁。
性とは疎遠な生活を過ごして来た彼女は、己が持ち得たおちんちんを愛でる術を知らなかったのです。
しかし、そんな中でも彼女は頂戴した言葉を信じ、手探りで歩み始めます……文字通り『手探り』が重要なのだと知らないままに。

599名無しのアルカナ使い:2007/06/16(土) 23:05:27 ID:.I2a.Qc.O

先ず始めに彼女は、人差し指でそぉっとつついてみました。
恐る恐る……

つんっ

「ふぁ――っっ!?」

触れた瞬間が、彼女が快楽の扉を初めてノックした瞬間でした。
手足などとは違い、自分の意志とは無関係に跳ねたそれを、今度はそっと握ります……

きゅっ

「ん…………っ///」

すると、どうでしょう。
みるみる内におちんちんへと血脈が注がれ始め……やがて。

「っ!?……大神様―――」

ほろり……、と舞織の瞳から涙が一筋零れ落ちました。
雄々しく勃起したそれは開地門の様に太く逞しく、またアルカナブレイズの如く天へと向かってそそり立ち………そう、今まさに彼女の股関にオホツチ様が降臨召されたのでございます。
ありがたや、ありがたや……彼女は自身のオホツチ様へと、懸命に奉仕を始めました。

しゅっ、しゅっ

時に片手で、時に両手で……時に穏やかに、時に速やか。

むに、むに

硝子細工を扱う様に丹念に、撫で、さすり、扱き―――――そうした思考錯誤が実に三時間に及んだ頃、ようやく。


「……ん、くぅ……っ、だめですっ、何…か来……ふあぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜っっ!!!!!!(ビュクビュクッ」

600名無しのアルカナ使い:2007/06/16(土) 23:14:13 ID:.I2a.Qc.O

……え〜、大変失礼致ししました。
興奮の余りにsageミスという失態を……平にご容赦願います。
取り敢えずナプキンで散ったミルクを処理しなくては……ばっぱっぱっ、と。


ともあれ……無事に舞織は記念すべき第一射を解き放つに至りました。

いやはや、しかし流石はオホツチ様……私の初射の時でさえ一時間程で終わったというのに、今回三時間もの時を費やすとは何という耐久性能でしょうか、正に感服の一言に尽きます。
因みにこの時飛び散った乳白液は、彼女の部屋の障子へセピア色の染みを作ったそうです……皆様も春日神社へ訪れた際は、是非ともこの思い出の染みを拝見させて頂いては如何でしょうか?

601名無しのアルカナ使い:2007/06/16(土) 23:16:06 ID:.I2a.Qc.O


……さてさて、まだまだ考察に耽りたい所では有るのですが、一夜で全て語り尽くしてしまうのも味気ない物。
そして、やはり修行中の私といたしましては、気になるのは皆様の賛否。
続けるべきか自重するべきかを見極める為にも、また更なる考察への間取りの為にも……この辺りで一度、右手の筆と左手の竿を置かせて頂く事にします。
このスレの空気が私にとって追い風になったその時は、次の考察でまたお会い致しましょう。

それでは長文連打にて失礼致しました、御拝読に深く感謝しつつ―――――、幕。 m(_ _)m

602名無しのアルカナ使い:2007/06/16(土) 23:53:51 ID:RdWom1es0
そう言えば脇スレでも無職ちんちん設定だったなあ
無職ってばふたなり扱いしやすのかもね

603名無しのアルカナ使い:2007/06/17(日) 00:22:42 ID:gXnyPf1A0
舞織の血縁は皆…

604名無しのアルカナ使い:2007/06/17(日) 13:29:19 ID:pe6lq.V2O
なんか凄いのがきたなw
GJだぜ

605名無しのアルカナ使い:2007/06/18(月) 17:55:43 ID:krplNgHAO
感動しました

606名無しのアルカナ使い:2007/06/21(木) 22:46:38 ID:eoSbVHh2O
てす

607名無しのアルカナ使い:2007/06/21(木) 22:47:22 ID:eoSbVHh2O
てす

608名無しのアルカナ使い:2007/06/22(金) 21:52:50 ID:oNDGbW/o0
てすとっ

609名無しのアルカナ使い:2007/06/23(土) 03:23:40 ID:fKNIyYRgO
期待あげ

610名無しのアルカナ使い:2007/06/23(土) 10:28:36 ID:W8usmBIYO
GJ

611名無しのアルカナ使い:2007/06/25(月) 00:41:51 ID:4xCuH6hgO
感動のあまり勃起した
GJ

612名無しのアルカナ使い:2007/06/25(月) 07:26:06 ID:FJPtCkcoO
ちょwwやめれww
電車のなかで見たから笑いが堪えられなかったわw

613名無しのアルカナ使い:2007/07/05(木) 12:22:57 ID:8pQz1oboO
期待age

614名無しのアルカナ使い:2007/07/21(土) 14:30:15 ID:sqKgVpMA0
二代目現る

615名無しのアルカナ使い:2007/07/26(木) 12:18:52 ID:Vde.fqCQ0
 □□□□  □□□□□
 □□□□  □□□□□
 □□□□  □□□□□ 「先輩、あのあのっ!ぼ、僕ウンコ細いんです!
 □□□□  □□□□□  それにそれに、あのあのっ!」



        ■■
        ■■
        ■■
        ■■
        ■■
        ■■ 「大丈夫だ。優しくするからな」
        ■■
        ■■

 □□□□  □□□□□
 □□□□  □□□□□
 □□□□  □□□□□ 「ああっ!そんな太いの」!
 □□□□  □□□□□



         ■■
         ■■
         ■■
         ■■
         ■■ 「大丈夫だ・・・俺にまかせろ」
         ■■
         ■■ギチギチ
 □□□□■■□□□□□
 □□□□   □□□□□
 □□□□  □□□□□ 「ああ・・・怖い!」
 □□□□  □□□□□



         ■■
         ■■ 「ほぉら入っただろ」
         ■■
         ■■ズズズッ
 □□□□■■□□□□□
 □□□□■■□□□□□
 □□□□■■□□□□□ 「あうっ!先輩がいっぱい!」
 □□□□■■□□□□□



+ 激しく歓喜 +
 
         ■■
         ■■ 「うう……っ!!」
         ■■
         ■■
☆−★*@=☆◎★☆★*
☆. キタ━(゚∀゚)━!!。☆★☆★
☆。★.イク━(>∀<)━!!☆★*
☆−◎★=☆*★@☆*= 「ダメ、ダメ、あああああーーーーっ」

616名無しのアルカナ使い:2007/07/29(日) 00:19:24 ID:Fm4CC.8M0
つまんね

617:2007/09/20(木) 23:22:42 ID:aXcKu7Cw0
おちんちんを片手に可能な事は、
しこしこぴゅーや、コメディ、スラップスティックの類だけじゃない。
シリアスな、おちんちんを介したヒューマンドラマ。
感動、ところによりおちんちん。

なんというかそういうものが、ふと書きたくなってしまった。
まるで催す様にね・・・


以降sage推奨
『劇場版』おちんちんのアルカナ
血・汗・精液飛び散るおちんちん巨編!!

厨房度+設定無視度100㌫でお送りします。

これから下に置いとくのは体験版って感じで。
そのものが実験作につき
評判を見て最終的な公開場所を選びたいと思っています。ちんっ

618:2007/09/20(木) 23:24:04 ID:aXcKu7Cw0
◆ 第一話 『おちんちんのアルカナ』

愛!この世には愛がいっぱいッ!!

 ───通学路を元気一杯で走る少女。
 朝の日差しで色濃く落ちる影には、特徴的なシルエット、はぁと型に歪曲したアンテナが一本・・・

 スーパー聖女・愛乃はぁとは永遠の15歳っ!
 好きな言葉は愛!
 好きな行動は求愛!!
 好きな飲み物は愛液で、座右の銘もまた───『愛』!!!

 人類誰もが持っている愛の権化はおちんちん。愛乃はぁとは骨の髄まで愛マニアで、勃起角度は上向き45度近辺を常にキープする。自他共に認める高火力キャラクター。聖水のカラーは力強いWhite、その勢いはと言うと成層圏を越えてしまいそうなほど。まともに顔射されればムチウチになりかねない。

「今日も元気ね、はぁと」

「やっほーさーたん!やっほー!」
 
 通学路にて合流したツンデレおちんちん、もとい廿楽冴姫にはぁとは手を挙げて挨拶した。
 元気一杯、その言葉が最も似合う挨拶だ。
 手と同じくして、おちんちんもぴょこんと跳ねた。
 言葉と同じく、二度挨拶した計算になる・・・
 
「今日も元気みたいね・・・下も」

「私はいつだってずばばばーんと勃っちゃうよぉ!
ね、後で勃欠(ぼっけつ)取って屋上にいこ!」

「ま、また勃欠?」

 勃欠───勃起欠席とは、ここ数年で導入された新制度である。
 おちんちんによる愛の表現が最優先されるこの世界においては、股間から自然と催される自然の誘いを断ることは、最も避けねばならぬ事だとされる。それもそうであろう。教養とは、学ぶ者や、或いは人類自身の生活をより便利にしていく為のものだ。所詮その程度でしかない。然し一方、おちんちんを通じて行われる営みは、人類たる種の存続に貢献する聖なる行為である。行為としての格が違う、そう申し上げざるを得ないことだろう。
 ゆえに・・・かの偉人もこう語っている。


 世界は勉学によって支えられているのではない。
 愛によって支えられているのだ・・・!
                       ───おちんちん暦初代世界大統領・ミルドレッド・アヴァロン

619:2007/09/20(木) 23:24:49 ID:aXcKu7Cw0
「し、仕方ないわね・・・はぁと。さ、三回戦までよ?」

「えー、もう二回ぐらいしようよぉ。
さーたんのもぎゅーっとしてぴゅーっとしてあげるよ!」

「ば、ばか!!・・・そ、そんなこと・・・道端で・・・!」

 はぁとよりマトモな脳の持ち主という事で定評があるサキも、この時ばかりは間違っていた。
 ことこの世界に限って、そのような話題をしても恥かしき事は一切ない。
 胸およびおちんちんを張って歩けばいいのだ・・・。

「さーたんちゅ───っ!」

「ん、ふは、ばか、はぁほ、むっ、くちゅ・・・れろっ・・・ふあぁ・・・」

 離して繋がるは、桜色の唇同士を結ぶ透明の、愛の橋・・・。
 その端の向こうからちょうどやって来るようにして、二つの影。

「今日も微笑ましき事ですね」

「あ、まおりんおはよーん」

「おはようございます、はぁとさん」

「ちょっと、微笑ましいってこれは・・・」

「いえいえ、周りは気になさらず様。
愛の営みに遠慮は寧ろ無粋ですわ───ごゆるりと」

「ちょっとー!」

 現れたるは名門・春日の巫女。 
 胸も局部もヘビー級、慎ましやかな大和撫子を攻撃的に崩す挑戦的肉体の持ち主・・・春日舞織。
 そして後に続くは、

「よりこォォォ───ッ!うおおおよりこォォォォ───ッ!」

「や、やめてミケ!
寝室でやるならともかく道端でやると胸に躍らされた一人の犠牲者になっちゃうよ!」

「我が分身『魔王』をパイズリするのだ!今すぐ!」

「は、犯罪!」

「よりぷーおはよー」

「あ、おはようございますはぁとさん・・・じゃなくて!」

 これもまた日常。
 安栖頼子は常に魔界出身の性欲とファイトしている。

 明るい登校風景。
 目に差し込んでくる眩しいぐらいの光といっしょに、今日起こる『これから』に期待する朝。
 気を遣る前の数十秒の様な、マーブル色の心地よい幸福の時間。

 皆の笑顔が並んでいる・・・そう、ここにはありったけの愛がある。
 間違いなく───私達は幸せだった。この上ないぐらいに。

 今となっては誰が口を開いたのか、無機質なベッドの上に力なく寝転がった愛乃はぁとは覚えていない。その言葉の何かが悪いという訳ではないのに、今となっては言ってしまった者を憎んでしまう様な、それは小さな、しかし決定的な崩壊のシグナル。


「あれ、そういえば今日リリカ居ないね。休み?」

620:2007/09/20(木) 23:26:01 ID:aXcKu7Cw0
◆ 2

 硬質の床を叩く靴裏。
 まるで打楽器がリズムを奏でるかの如く、カツ、カツ───と小気味良い音が虚空に響く。

 終わりの知れぬ様な、長い長い廊下。
 そこを歩むは、白衣を纏い、紫色の髪を流す華麗な女性が一人。
 更に───その女性からは一回り小さい少女。
 ロングとセミロングの中間ほどのブロンドに、横を歩く女性とはまるで対極を成すかの如く、黒いコートを羽織っている。

 黒い少女はまるで若い。
 容姿を見れば、大人しさよりも活発さが目立つとはいえ、
 整った顔立ち、絶妙なバランスで保たれた体躯は、まるで人形の如し美しさである。
 然し、その可憐な美少女の顔は、どこか意地悪に・・・否、意地悪さを超えた、どこか邪悪な雰囲気に覆われていた。
 そして彼女の放つ言葉も、また外見からはかけ離れたものだった。


「───善悪、賛否諸々あるだろうが。
 いずれにせよ世の摂理は捻じ曲げられ、素晴らしいこの世界に至った。
 全ての婦女子の股間には立派な男根が生え、男子はすべからく美しい少年か、
 あるいは性別そのものが変換され、少女・あるいは幼女になり、
 その身体の成長は、少なくとも外見の上でぴたりと停止した。
 ここまでは合っているかね、華明芳博士」

「違えておりませんわ」

「俄かには信じ難い御伽噺だ───しかし、面白い。
人は・・・法や正否によって行動を起さぬ。
我が行動は、いつだって未知を求むる心のしもべだ」

「多弁ですのね。
流石は歴史に名を残した異端の作家、といったところなのかしら」

「これはこれは、失礼。つまりは信じるということだ・・・
さ、続けてくれたまえ」

 慇懃無礼。
 人形の麗しさを持つ少女の内面は、まるで底の見えぬ闇の様だった。
 明芳はため息を一つ、言葉を続ける。

「ではお言葉に甘えて。
女性におちんちんが生え、男性が須らく中性的な少年や、麗しき少女となりました。
これがプロローグ、大体7年ほど前のお話です。
関東で起きた『おちんちん☆レボリューション』・・・
世を構成する方程式が前大統領・ミルドレッド=アヴァロンの手により捻じ曲げられたその日から」

「名前・行為、共に素晴らしき変革。
まるでフランス革命の意趣返しのようだ」

「・・・・・・かくして、陰陽は混濁した。
しかし、旧体制を焼き尽くす変革の炎は、それだけでは収まらなかったのです。
それから数年の時間を経て、事象はランダムに反転を繰り返し続けた。
例えばそれは、そこにあるはずの無い性器が生えてくるシュールレアリズム。
さらに例えるならば、死んでいるはずの人間が生き返ったり、ですわ」

「実に、実に転生して悪くはない───そう思える世界だよ、博士。
否、ストレートに言おう。
暗く、湿った愉しみの炎が、この小さな体躯中を駆け巡っているよ。
この混沌、実に卑猥に捻じ曲がっていて興味深い。
全知全能の神は淘汰され、色欲のアスモデウスが世界創造の代打となったのかな?」

「随分と博識ですのね・・・公爵?」

621:2007/09/20(木) 23:26:48 ID:aXcKu7Cw0
 朕美的な物言いに華明芳がそっけなく返すと、『公爵』と呼ばれた眼前の少女は声を上げて笑った。
 『転生』───素面で言えば検温されるその言葉も、
 公爵の余りに芝居がかった所作の所為か、不自然には見えなかった。
 ウェーブがかったブロンドの美しい長髪からは変わらず、幼さを残しつつも美しく、色気を孕んだ表情が覗いている。

「この身体───博士の説明によると転生の過程で色々組み変わったか。
我ながら随分可愛らしい」

「私もその外見で本名を聞かされた時は驚きましたわ。
・・・貴方にお願いがあります」

「言ってみたまえ」

 暗い笑みで少女が言うと、明芳は一息付いてから、
 やがてとんでもない願い事を口にした。

「公爵・・・貴方にこの世界を救っていただきたいのです」

「ははははははははは」

 笑った。
 まるで眼に花畑が浮ぶかのように綺麗で、しかし闇夜の井戸の底の如く禍々しい笑い声。

「・・・世界を、救う?・・・この私が!?
面白い、この冗談の様な世界に相応しい台詞だ!」

「周り全てが冗談で出来ていれば、冗談も冗談にはならぬということです。
詳細なお話はこの・・・部屋で」

 明芳が視線を投げる。
 視線の先には、大きな扉があった。
 その扉の傍らに立つ、二人のメイドによって、大きすぎる扉はやけに荘厳に、ゆっくりと開いた。

 扉の先には、光が漏れるほど煌びやかな装飾の大きな部屋。
 無駄と言っていいほど広いその部屋の中央にある大きなソファーに、一人の小さな少女・・・否、幼女が居た。

 思わず部屋の名を公爵は仰ぎ見る───大統領室。

「御紹介致します。こちらが・・・」

「よい、明芳」

 凛とした幼女の声。
 腕を組み、外見にそぐわぬ攻撃的な笑み。
 髪の両端がまるで猫の耳の如くぴんと立ち、
 そして何よりも特徴的なのは、スクール水着にランドセルというカオスな風貌!

「川向こうから遥々御苦労だったな、公爵。
私の名前は大道寺きら・・・」

 一呼吸。
 笑みはその数瞬に攻撃的な色を更に増し。

「この世界を、統べる者だ」

622:2007/09/20(木) 23:27:35 ID:aXcKu7Cw0
◆ 3
 ───じっとしててねー、まおりん。

 リリカさんの中で取り決められていたルールかどうかは定かではありませんが、私達の快楽の追及は、いつも必ずその言葉から始められていました。
 私に生えたおちんちんの大きさは、巨大である、と言って差し支えないサイズでした。アメリカナイズな大きさに、熱くて硬い日本人的性質までも併せ持つ、反則的おちんちんだって、恥ずかしそうに頼子さんが解説していたのを覚えています。

「ちゅぷ、ちゅぱっ───じゅっ、じゅっ、じゅーっ・・・」

 リリカさんのフェ・・・こ、口淫は、その挑発的なまでに長い舌の絡みに、喉まで使って私のおちんちんを包み込む、暖かく、とても巧みなものでした。
 これだけでも私は頬を真っ赤に染め、だらしなく口を開いて喘いでしまうのですが、なんといっても、私が春日の巫女という神聖な役目を負っておりながら、リリカさんとこうして淫らな関係を続けているのかといいますと、それは単衣にリリカさんが悪魔であるからでした。
 今日も『普通に』喘ぐ私に、意地悪な色をした瞳でおちんちんを見つめながら言います。

「そろそろいくよ・・・まおりん?」

「ふぁ・・・は、はい、おねがいしまふ、」

「まおりん・・・かーわい。
それっ・・・・かぷっ、じゅるるっるるるるる・・・・!」

「は、リ、リリカさ、あはぁ、はああああああああ!」
 
 おちんちんに少しの痛み───その後、私の身体に走る強烈な性の熱。
 
 吸血。
 
 リリカさんには吸血鬼の血も若干混じっているらしく、
 私のおちんちんをいつも甘く噛んで、血と精液を一緒に吸いだしていきます。
 吸血には吸血中、血を摂られている側が大人しくなる様、強烈な媚薬効果があるそうです。

 つまり私は、媚薬の毒牙を直におちんちんに食い込まされているのです。
 身体中の神経が、すべておちんちんに集中したかの様な衝撃的な感覚。

 ずぞぞぞぞぞぞっ───

 「ふえっ、あひゃ、あひゃああああvvv」

 リリカさんの口に吸い上げられると、おちんちんだけでなく私の腰まで持ち上がってしまいます。
 視界がぱちん、ぱちんと白く弾け、同時におちんちんが、リリカさんの口の中で何度もティウンティウンティウンします。
 吐き出される膨大な量のマイ・カルーア・ミルク。

 私は顔を自身の涙と涎だらけにして、声にならない声をあげ続けます。
 この子悪魔な友人に、身体中の水分を捧げているような感覚・・・いえ、心もすべて。
 やがてリリカさんがふやけきった私の女性器まで擦り始めると、
 私の視界はやがて白だか黒だかにフェードアウトし、
 例えるならテレビの電源が切れるかのように、最後に強烈な快感と共に意識が途切れるのです───



 ───目を開けば、そこは暗闇。



 暗い部屋には、舞織一人しか居ない。
 ここに居るのは私だけで、ここにはリリカさんは居ない。

 いや、そうじゃない・・・『この世界に、リリカさんは居ない』。


 最後の登校の前日。
 運命のあの日の前日のこの行為が、彼女を感じた温もりの最期になっている。


 「また・・・やってしまいました・・・」


 見れば、布団の中が凄い事になっていた。
 まるでおねしょをしたかの様に濡れた布団は、しかしおしっこによってではなく、舞織ミルクによって濡れていた。
 リリカさんが居なくなってから・・・早一年。
 あれから失ったものを渇望する様に連続して見るこの夢は、
 一年の間ずっと、かなりの頻度でまおりおちんちん(略してまおりん)を暴走させていた。
 困ったように洗濯をする私の姿を見る鼓音姉さんの笑みも、だんだんと薄く、苦いものになってきている・・・

 ───おちんちん暦7年。
 即ち関東崩壊<<おちんちん☆レヴォリューション>>より七年。
 おちんちんは、滅亡の危機に瀕している。

623:2007/09/20(木) 23:28:26 ID:aXcKu7Cw0
◆ 4

「いやあああああああ!」

 一人の女性が襲われていた。
 逃げるのは、ひ弱な体格をした、スカウターで計ればいかにも戦闘力5な女性だった。
 追うのは、炎に身を包まれた、人外の存在だった。

 女性の足は遅い、まるで走法も知らぬ素人の走り。
 対する炎の存在はまるで風の如く素早く疾る。
 女性が捕まるのに、長い時は必要としなかった。

「いやぁっ・・・やめて、やめてぇ!」

 女性の足は地に浮き、炎の中に囚われる。
 しかし女性の身体は焼け焦げることなく、そのまま炎の中のどこからかより伸びる触手に捕らえられていた。それらは女性の四肢を固く縛り、身動きを不可能にしている。
 
「やめ・・・や・・・やめ・・・」

 次第に女性の動きは鈍く、強く光っていた瞳の色も淡いものとなっていった。
 そればかりでなく、女性の息は段々と荒くなっていき、全身に妖しい汗が吹き出ていた。
 着用していたスカートはすっかり捲り上がり、おちんちんが顔を出す。
 愛液はぱんつを越えて、まるで漏らしたかの様に股から糸を引いて滴り落ちていた。

 そして・・・

「ひあっは、はぁう!」

 達した。

 女性の身体はひとりでに震え、辺りに男女両方の愛液を撒き散らした。
 それが好機と見た様に、炎の存在の触手が、女性の穴という穴に侵入した。

「ごぼっ・・・がぼっ!・・・がぶっ!」

 荒々しい数本の触手に荒らされる、女性の咥内。
 だが女性には抵抗する様子も、苦しげな様子もなく、
 ただ恋人とキスいているかのような、紅潮とした表情を虚空に捧げている。

 触手の蹂躙は続き、女性の男と女がそれぞれ数十回と噴いたその時。
 先端に穴が開いた、一風変わった触手がぬう、と現れた。
 その触手は女性の股間に真っ直ぐに伸びていき・・・・・・

「ふっ、ふあああああああああああ!!」

 女性の身体を電流の様な衝撃が貫いた。

 じゅぽっ!じゅぱっ!じゅぽんっ!

 触手はおちんちんを包み込み、まるで女性器の様な役割を果たしている。
 まるでペットボトルの中に棒を突っ込んでいるかの様な液が、接合部から垂れ流される。

「ほひっ・・・ほひゃあああああああああ!ふはっ!ふひゃあああvvv」

 女性の顔は、既に恍惚に歪み切っている。
 何度となく絶頂を向かえ、既に理性は崩壊してしまっていた。
 そしてこれまで以上の震えを見せて、女性は『最期の』絶頂を迎えた。

「ふ・・・ふえええええっ・・・!ああああああああっ・・・・!」

 女性の身体は大きく跳ね、それを最期にぐったりとする。
 炎の存在は、その様子をどこか満足気に見守っていた───・・・





「お楽しみ中、悪いのですけれど」

624:2007/09/20(木) 23:29:12 ID:aXcKu7Cw0
 炎が、振り返る。
 そこに現れたのは、メイド服の少女。
 栗色の髪、可愛らしいと分類されるであろう顔つき。
 だがその目つきは鋭く───その風貌からはまるで『ありえない』、大剣を掲げていた。

 あれほど速かった炎の怪物は、その姿を観察することが精一杯だった。
 ゆえに判ったことは一つだけ。
 突如現れたその少女の持つ大剣で、いつの間にか一閃されていた、ということだった。


 分断された炎は消沈し、捉えられていた女性は空に投げ出される。
 しかし精霊を殺した少女はそんな事に構い無く、女性の身体はそのまま草むらへと落ちた。
 落下時にした少し大きな音に、初めて少女は振り返る。
 ああ、いたの・・・という感じで。

 落ちた女性の股を見れば───そこにはただ、女性器があるのみである。
 そこに絶対あるべきものが、消滅していた。


「・・・私と同じになっちゃったね」


 程なく、女性は光の粒となって消えた。
 死ではなく、「どこかに行った」と囁かれる現象。

 ───この世界はおちんちんがあって当然の世界。
 それを失くせば彼女にはもう、ここに存在する意義が無いのだ。
 これはこの世界の絶対なる、根源のルールだった。

 『なのに何故、私はここに居るのか』。

 この問いを、私は自身に幾度問うたか知れない。
 私はおちんちんを持っていないにも関わらず、ここに立っている。

「・・・どうでもいいや」

 そう、最近ではどうでもよくなっていた。そんなこと大した問題じゃなかった。
 目的さえ果たせれば、彼女はいつ消えても構わなかったのだ。


「愛乃・・・はぁと」


 少女の顔が負に歪む。
 いくら恨んでも足りない、そんな想いを抱えた瞳。
 だがその歪みも一瞬の事で、すぐに表情はカラに戻る。
 この手で成すは虚しい事・・・それは判りきっていた。
 
「お姉さま、聞こえますか」

 風が吹く。
 青空は一年前のままだ。憎たらしいほど快く広がっている。

 あれから暑さは過ぎ、厳しい寒さが来て、そしてまた寒さが抜けた丁度、今───

「五月・・・お姉さまはこれぐらいの時期が好きだった」

 気の早い蝉はもう鳴くだろうか?
 少女の心情を決定的に変えたあの別れより、一年が経過していた。


 涼しく心地よい風が、フィオナ=メイフィールドの涙を少しだけ早く流す。


 大剣を手にした少女の到来。
 おちんちん暦七年、五月。
 時代はその風よりも素早く、動かんとしている───。

625:2007/09/20(木) 23:29:58 ID:aXcKu7Cw0
◆ 5

「貴様がかの高名な公爵か。
どこかで見た事のある顔で聊か頼りないが、なに、人は中身だ。
私の為、私の右腕となり働くがいい」
 
「御目に預かり光栄です、大道寺きら大統領」

 畏まる公爵の動作を、きら様は鼻で笑い飛ばす。

「きら様で良いぞ。その呼び名は長くて好かん」

「では失礼ながら、きら様。
無知なわたくしめに状況の説明をしていただけますかな」

「いいだろう、座れ」

「は」

 公爵が座るのと同時に、明芳が車輪付きの大きなモニターをソファーの横に運んでくる。
 数日前に再誕した古き時代を生きてきた公爵は、
 その様子を学び舎にある黒板の如しと感じた。

 物思いに耽る間に、黒板・・・否、ディスプレイに精密な世界地図が様々な情報と共に表示される。
 そしてやがて、公爵達が居る地区にいくつもの赤い点が明滅した。
 まるで夜空の星の様に幾つもの点が輝く中、その中の一つが他の点に比べ大きく、その点は他よりも目立っている事に公爵は気付いた。
 その大きな点の上には「Case:α」、とあった。


「まず大前提を明らかにしておかねばなるまいな。
我々の敵───それは精霊と呼ばれしものだ」

「おやおや、精霊。
また随分とファンタジックなものが・・・」

「精霊は、かつてヒトと共に歩んできた存在だ。
純粋な『聖女』に力を貸し、ヒトを導いてきた。
ヒトはその代わりに、彼等のシンボルである自然を守ることを心掛けた」

「いわば共存していたと」

「その通り。
だが関東崩壊以後、精霊は突如として力を貸さなくなり、そして遂には人を裏切った」

 そこでマップ上の大きな点が、一際強く光る。
 丁度一年前───ケース・アルファ。

「精霊どものやり口はこうだ。
まずおちんちんを備えた我が国民・・・否、我が聖女達を食らう。
食らうと言っても『噛み砕き、養分にする』のではなく、正確に言えば『内部に取り込む』のだ」

 ディスプレイには精霊の断面図が移る。
 右上にはその固体名と思しき表記───タイプ・テンペスタス。

「精霊の体内に取り込まれた聖女は触手によってまず拘束され、
精霊の体内に液体及び気体となって充満する媚薬漬けにされながら、
口、及び女性器にそのサイズギリギリの触手を突き入れられる・・・内側から、聖女の遺伝子情報を探る為だ。
その調査と平行して、聖女は女性器及び胸・・・女性的な性感帯を常に刺激され、快楽に従わされる。
聖女の精神が女の喜びに蕩けきった時、
聖女のおちんちんを穴付きの触手が包み込み、全ての精液、おちんちんパワーを吸い取りつつ
内側から遺伝子操作で体を操作し、おちんちんを除去されてしまうのだ」

「む、むごい・・・
では精霊にやられた者は・・・死ぬのではなく、おちんちんを除去されただけで・・・」

「いや。開放はされぬのだ。
何処かは判らぬが、『転送』される。
この世界から除去されてしまうのだ。
転送先は精霊界だと思われているが・・・未だ真相は掴めていない」

「ふむ・・・。」


ここで生じる、僅かな疑問。

「しかしどうやら、精霊というのは人間よりも、単体として見て、強大な力を持つ様子。
戦況も思わしく無い様だが・・・この点できら様は、どの様な対策を講じておいでで?」

「良い質問だ」


 パチン、ときらが指を鳴らす。
 『黒板』の画面が移り代わり・・・そこには奇怪なものが映った。

 形はまるで精霊。
 だがその形状、いや、間接部分からちらりと見える『内部機構』が、それが人工物の機械であることを証明していた。
 人間も同じ写真に写っているが、何十倍あるのだろうか、
 その巨大な精霊型のマシンは膨大な質量を抱えていた。

626:2007/09/20(木) 23:30:43 ID:aXcKu7Cw0
「これは・・・」

「対精霊用兵器。
かつて精霊が聖女に与えていた『力』を独自解析し、機械に内蔵した兵器だ」


 続いて画面がチェンジ、どうやら内部のコクピットの写真が映し出される。
 見るからに高度なテクノロジーを余すところなく搭載した機構。
 だが公爵の目には・・・いや、誰の目にも明らかな違和感がそこにはあった。
 座席部分の、丁度足を左右に分かつ股の部分に向かって、内部の機構が突出していた。
 そればかりでなく、そこには一つの穴が穿たれている。


「あの穴は・・・」

「良い所に気がついたな、公爵。
そこはちんこを入れる穴だ」

「ッ!?」

「この巨大なマシンは、勃起エネルギーにより動く」


 説明しよう!
 ───勃起エネルギーとはッ!

 聖女のおちんちんは、関東崩壊により造られた、謂わば魔力の結晶体である。
 おちんちんは無限の可能性を秘めており、
 その欲望の度合いが深いほどに、その魔力の密度を高めていく!!

 マシンに穿たれた穴に挿入(プラグイン)された勃起おちんちんは、
 穴の内部に張り巡らされた軟らかなゲル状の機構を通ずる事により、
 その内部に宿る生命の力、最も原始的なパワーを開放することが出来る。
 科学と欲望の力が合わさったおちんちんは∞の力・・・勃起エネルギーと名付けられた、
 爆発的な魔力を発揮。
 それを動力に変換し、巨大な機構を動かすまでに至る。


「オナホールを活用した動力装置だとッ!?
な、なんという・・・画期的、爆発的、前衛的、そして・・・芸術的な、兵器」

「これこそ人類の培ってきた愛の希望。
本来既に精液を搾取され尽くしている筈だった我々を守った、最後の守護者!
その名をッ・・・」

 きらを背に大きな窓。
 その窓の向こう、雄大な空をバックに、一枚の大きな旗が翻った。

「その、名を・・・ッ!?」

 その旗には一つの記号。
 聖女達の誇り、力の源を表す、他でもない記号───凸・・・!!!


「 そ の 名 を ッ ! !
  お ち ん ち ん の ア ル カ ナ と 呼 ぶ ッ ッ ! ! ! 」

627:2007/09/20(木) 23:33:47 ID:aXcKu7Cw0
つづく


久々におちんちん発揮したら疲れました。
玉を枕とし、皮に包まって睡眠を取ろうと思います

628名無しのアルカナ使い:2007/09/21(金) 00:12:27 ID:Ovvq/5SkO
神後輪

629名無しのアルカナ使い:2007/09/21(金) 00:29:27 ID:zqoTAwZA0
ごめん、いろいろ吹いたw
スカウター5とか

630名無しのアルカナ使い:2007/09/21(金) 00:38:09 ID:dHYLloLoO
待 っ て た www



圧倒的なスケールに翻弄されたwww

631名無しのアルカナ使い:2007/09/22(土) 06:20:40 ID:xAEb6hKUO
俺のおちんちんが帰って来たwww

632:2007/09/24(月) 22:04:46 ID:npIY4R6A0
次の更新は28日(金)を予定しております
多忙の身ゆえ予定に添えない可能性も多大にありますが
一応それぐらいが目安ということで

633名無しのアルカナ使い:2007/09/25(火) 01:35:40 ID:flR/iymI0
俺はアンタが生きてた事だけで大満足だよ

634名無しのアルカナ使い:2007/09/25(火) 05:44:02 ID:pnNTNRP6O
ちょwww俺達の希望が帰ってきたwwwwwwwwww




つーかおちんちんものとしては勿論、普通のSSとしても読みごたえがあるな。改めて>>1のおちんポテンシャルに感動したぜ。
続きを激しく期待させてもらおうか。性的な意味でも。

635名無しのアルカナ使い:2007/09/26(水) 11:12:51 ID:TpYGZgcc0
こういうことかwww乙wwww

636:2007/09/28(金) 00:10:11 ID:U8NDNRjc0
本当はね
もっとリーゼのちんこシーンみたいな
そういうイチャイチャしたものだけを書いていきたいんだ
SSばっか書いてただけにストーリー物って難しいね!

それでは第一話より厨房度3割増
薀蓄ゾーンは読み飛ばし推奨の第二話です

637:2007/09/28(金) 00:11:00 ID:U8NDNRjc0
◆ 6

 一年前───おちんちん暦6年、5月1日。
 避暑地である離島より大量の聖霊が発生。
 人間を捕獲、性的暴行を加えた後、消滅させるという事件が続発する。
 
 僅か3日にして、イギリスより人間が───おちんちんが消滅。
 聖霊達はそのまま勢力の拡大を続け、世界各国への侵略を開始。
 イギリス陥落と共に、『聖霊戦争』の開戦宣言をミルドレッド大統領が行った。
 
 月が終る頃には、聖霊は全世界に分布。
 ヒトは極めて危機的な状況に陥る。

 日本はイギリスに次いで深く侵略される。
 そしてついに来る5月25日。
 日本・・・関東に砦を構えていたミルドレッド・アヴァロン初代大統領が、聖霊の魔の手に消え去る。

 同日、大道寺きらが二代目大統領に就任。
 就任時のスピーチより、幼いながら高い能力と、カリスマ性を見せ付ける。


「聖霊とはかつて、民衆が畏怖と尊敬の念を込めて付けた呼び名だろう!
だが、現在の我等にとって、聖霊とはまことに『聖なる』存在だろうか!?
否!!奴らは既に、我々の同胞を数多く奪った、侵略者に過ぎない!!

私は誓おう! この世界を統べる責任を全うすることを!
私は誓おう! 人類の新たな地平を切り開かん事を!
私は誓おう! 人類の敵・・・浅ましくもヒトを裏切りし『精霊』を、完膚なきまでに打ち倒さん事を!!

危機に迷いしこの世の民よ・・・・・・この私に、ついてこいッ!」


 世界の危機にどこの馬鹿が仕入れた情報か。
 大道寺きらの支持率は98%である。
 かくして少女がかつて望んだ宗教を造る夢は、少々異なる形とは言え達成される運びとなった。

 『精霊戦争』へ名を改めてから、人類の逆襲が始まる。

 それから23回の戦闘が、全て『大勝』の報告と共にきらの指揮の下、展開される。
 そして4月1日、24回目の戦闘。
 舞台は日本の中で最も深く敵戦力・・・精霊が根付いたのはとある学園。

 
 作戦名『都立御苑女学園攻勢』。


 結果は勝利。
 戦闘後、大道寺きら大統領の世界演説。
 しかし、いつもどの様に偉大な勝利を飾ったかを長々と演説する彼女が、
 この場に限って、『当然の結果だ』の一言のみに限っている。

 結果は『大勝』ではなく『勝利』。

 ここで失ったなにか掛け替えのないものが、今も誰かの涙を奪い続けている。

638:2007/09/28(金) 00:11:56 ID:U8NDNRjc0
第二話  「雄々しきバオム」

◆ 7

 酷い雪。

 暴力的な白という色彩が視界を総て埋め尽くしている。
 厚手のコートに手袋、ゴーグルまで着けて赴いて来るも、
 ゴーグルに付着する雪が、払っても払っても視界を塞ぎ続けていく。

 ───まるではぁとに顔射されているみたいだ・・・。

 ・・・電波な事を考え付くのはやはりその趣味故か。
 とんでもない山道を登るは、髑髏の杖を持つ赤い髪の少女。

 慣れぬ冒険を引き受けて、過酷な道を歩むは一重に世界の為か、責任感か。
 目的は山中に居るであろう彼女・・・千年守の助力を頼むこと。

 しかしそれにしても・・・この大雪はキツい。
 春日一門には童も違えぬ一本道、と紹介されたもののそれでも油断すると遭難しそうである。


『さて・・・こんな男の話を知っているか、頼子』

「・・・・・・」


 しかも横からは髑髏の杖───ミケランジェロのワンマントークが続いている。
 肉体的にも精神的にも来るものがあった。


『聞け・・・かつて魔界にとてつもなくカッコいい男が居た』

「・・・」

 オチが見える。
 きっと小学生でも予想できる事を今言おうとしている。

『其の男、巨大な逞しい体躯ッ!
大地を割る力を持ち、世界を操る魔力を持つ!
最高の恐怖と威厳を併せ持つ魔界一の貴族!!
ぴょっこり生えたネコ耳がチャームポイント!その名はッ・・・・・・!』

「・・・ミケランジェロでしょ」

『ほう・・・ッ、わかってきたなッ頼子!!』

 わかってきたなじゃねーよ。
 何度も聞きすぎていじられ系で通ってきた私もやさぐれちゃいそうです><





「・・・ごめんね。
協力してあげたいのは山々なんだけど。今この神社も忙しいんだ」
 

 姉貴という呼び名が相応しそうな、青髪の長女、鼓音は申し訳なさそうに頼子へ詫びた。
 政府から派遣されてきた頼子を、何も神社が邪険にしているわけではない。
 精霊戦争が始まってこの方、世界ではあらゆる『異変』が起き続けている。
 そんな異変を事前に抑える、縁の下の力持ちこそ春日一門の役割。
 今この時期とあらば、猫の手も借りたいぐらいだろう。

 なので頼子は、いいえいいんです、許可さえいただければ。
 と、いつも通りの調子で答えた。


「ああ、千年守様はそこの山道を登ったところに居られるよ。
だが・・・まぁ、咎める訳でも、責任逃れしてる訳でもないんだがな、聞いてくれ。

千年守様は、いつだって自ら起きて、下界に降りて来られた。
人間の方から助力を願ったことは・・・未だかつて、無い。

私は頭を使うより身体を動かしたい方だからよくわからないけど。
頼子ちゃん、あんたのこれからやる行為は、
千年守様にとっては、ひょっとすると無礼な事なのかもしれない。
そんなだから、春日としては、ほんとは止めなきゃならないことなんだ。

でもこの世界に迫った危機は確かなことだ。
私も───人間だからな。
このおちんちん世界を守りたいっていうその気持ち、わかるよ」

『わかるもクソもあるまい。
そも、無礼と言うなら逆であろう。千年守如きが。
この魔王を待たせる道義がカケラも見えぬとはどういうことだ』

「こっ、こらミケ!お願いだから空気読んで!」

「はは・・・相変わらずだな、その杖は。
ま、神様は迷いし人間を救う為に在るんじゃないか・・・ってのは勝手なヒトの言葉だとも思うね。
難しいよ。まったく。
だからって訳じゃないが・・・助力はできない。
・・・邪魔もできない。だから、ただ行ってくれ」

「わかりました。有難う御座います」

『最初からそう言えばいいのだ』

「・・・ホントはな、舞織なら迷わず着いていったと思うんだ。
でも今は舞織もまだ・・・無理しているから」

 そこまで言ったところで、鳥居の方から二つの声が聞こえてきた。
 小糸、小唄。
 どうやら、また異変が発生したようだ。

「───すまないね。どうやら勤めの時間らしい・・・」

639:2007/09/28(金) 00:13:19 ID:U8NDNRjc0
 吹雪がその荒さを一層増してゆく。
 
 白一面の世界は、まるで異界。

 千年守の眠る土地は、結界で守られており、
 深い深い吹雪が吹き荒れている。
 それらはまるで全てを凍らせて、時すら止めてしまうかの様に。
 この冬が晴れるのは千年守が通るとき、それだけだ。

 ただの人は誰もその坂を上りきることは、できない。
 
 しかし頼子の髪に巻かれた白の───予備のリボン。
 春日一門が必ず身につけているこのリボンこそが、この異界を通行する鍵となっている。
 もっとも、その身を攻める寒さに変わりはない。

 白一色、境界の無い世界に侵されるように。
 ・・・段々、意識が朦朧としてくる。


「はあッ・・・はあッ・・・」

『おい・・・大丈夫か、頼子』

「う、うん。なんとか。
でもこれ以上続いちゃうと、マズいかも・・・」

『そうか・・・安心しろ。ちょうど、着いたようだ』

「え・・・」


 瞬間、白い光が爆ぜた様な感覚。
 数秒の間、目の前が全く白くなり、どこに自分が立っているのかわからなくなる。

 次第に五感が戻り・・・まず知覚したのは鳥の囀り。
 天気は嘘の様に晴天。海の如く広がる青空。
 
 陽光に照らされた景色の中に、大きくも小さくもない、古びた木造の屋敷があった。
 古びたといっても汚い、という様子はない。
 まるで古くから聳え立つ大樹を見た時のような感覚。


「あれが・・・千年守様の」

『全く忌々しい。今日と言う今日は封印を解いてもらわねばならんな』

「封印・・・。
自業自得って聞いたけど」

『そんなわけあるか馬鹿者。
む・・・・・・頼子ッ!』

「へっ」


 ミケランジェロが、頼子を強引に引っ張り、転倒させた。
 ミケが頼子をレイプする時に使用するムーブだ。

「ちょっ・・・み、ミケ!こんなときにっ・・・」

 突然の任務中レイプかに頼子は超警戒、ところにより湿度増加。
 頼子赤面、のちに涙目という展開が予想された。
 しかし・・・

『違う、よく見ろ』

「あ・・・」
 
 さっきまで頼子の立っていた場所に、手裏剣が刺さっていた。
 どかなければ、ちょっと痛い目に会っていたかもしれない。

「ミ、ミケ・・・」

『ウォラアアアアアアッ!』

 頼子が感謝の言葉を告げようとした矢先、咆哮。

『笑止、笑止───千年守のお守りだけでも煮えくり返る想いと謂うに、
世紀の愚行をよくもワシの眼前で犯してくれたものよ!
我輩の下僕を傷付けようなどと考える、命知らずな輩がまだ地球上に居たとは新発見である!!
さあ・・・楽しませてくれた礼は業火の瀑布でたっぷりとしてくれる!! でてこい曲者ッ!!』

「ちょ、おま、下僕って・・・」


 頼子が感謝の言葉を飲み込んだ矢先・・・強い、一陣の風が吹いた。
 それは落ち葉か、風にて木より放たれし緑葉か。
 多くの葉が風に乗り、円を舞い、螺旋を踊っていた。

 その先に・・・いつの間にか小さな人影が姿を現していた。


「・・・にんにん!
なにやらよくない気を感じて見れば、やっぱりよくない感じにございまするー」

「あ、あなたは・・・」


 体操服姿の犬耳忍者。
 多くの記号がちょっぴりカオスにブレンドされたその姿は、
 7年前、関東崩壊の際に見たことがある・・・確か、千年守の・・・・・!


「神依様が居られぬ今、寝所を護るは従者の役目にございまする。
小犬丸一族の名にかけて、侵入者は討ち払いまするー!」


 言っている事は格好良くても、なんとなく気の抜けてしまうその雰囲気!
 間違いない、その名を・・・


『討ち払う?こっちの台詞だ犬っころめ。
来い、我輩が直々に相手をしてやる』

「神依様の寝所を脅かすあやかしめー!
では小犬丸流忍術・・・このはがお相手致しまするー!!」


 そう、このは!・・・って!


「い、いや、ちょっと!
私達は春日の案内で来た訳で、戦う必要って・・・!」

『行くぞ頼子!』

「い、いや、行くぞじゃなくてね、ミケぇ!」


 頼子涙目。
 そうしている間にも、小さな忍者と自身を引き摺る杖の距離は迫っていく!


「覚悟にござるー!」

『世界を統べる魔王の威光、貴様の心に刻み込んでくれるヴぁああぁAAAaa!!』

「もっ・・・もう何がなんだかー!」

640:2007/09/28(金) 00:14:53 ID:U8NDNRjc0
◆ 8
 
 精霊型巨大兵器『おちんちんのアルカナ』が駆る訓練所は、第一から第五まで存在する。
 大道寺きら様軍には数多くの小隊が存在するが、どの小隊がどの訓練所を利用するのかという法則性は、緊急時においてのある程度柔軟な措置を除けば、極めて単純である。
 要は第一訓練所を一番功績の高い小隊が利用し、第五訓練所を利用するのは雑魚だ。

 『公爵』は第一訓練所の視察をきらに要請した。
 第一訓練所は、市街地のビル群を見立てた頑丈なオブジェクトが数多く並べられた、
 つまり市街における戦闘シミュレートを主とした訓練場だ。
 複雑なオブジェクトにより入り組んだ訓練所はどの角度からでも全貌を捉えることは出来ないが、オブジェクト内に仕掛けられた多くのカメラにより、戦闘の内容を把握する事に難は無かった。

 モニタールームでしばらく映像で戦闘の様子を眺めた後、訓練場の外周に防護壁と共に張り巡らされた、肉眼での観覧用の通路を公爵はきら様と共に一巡していた。
 どこでもスク水ランドセルで闊歩する隣の少女に、公爵はそろそろ尊敬の念すら抱きつつある。
 他人の評判を一切意に介さず、自身の精錬のみに才能を注ぐカリスマ。
 なるほど、確かにこの少女は天才だろう。


「・・・きら様。先程より疑問だったのですが」

「何だ、言え」

「あの訓練場に転々と設置されている、透明の柱は何ですか?」

「ああ・・・あれは精霊晶の見立てだ」

「・・・精霊晶(せいれいしょう)?」

「精霊共が繁殖する為の装置・・・の様なものだ。
正確には繁殖ではなく『コピー』だがな」


 ───精霊晶。
 精霊は魔力の豊富な土地・・・例えば『メイフィールド事件』の舞台となった避暑地などをゲートとして精霊世界より攻め入って来るが、その母体は常に精霊界にある。
 精霊は自身の力を『分身』という形にして飛ばし、それで群をなして侵略するのだ。
 元より精霊は魔力の結晶体なので、その様に分裂する事は容易であるらしい。

 その様にして攻めてくる理由は、精霊の母体は人間界で長く活動する事が出来ないからだ。
 精霊界と人間界では、世界そのものが保有する魔力の絶対数が異なる。
 魔力の結晶体である精霊が人間界に来た場合、人間界の大気は精霊界に比べ魔力量が過疎状態であるため、非常に濃い魔力の塊と、周りの薄い密度の大気とを、平均化させようとする力が働く。

641:2007/09/28(金) 00:15:50 ID:U8NDNRjc0
「お前ならわかるだろう。
すなわち水に塩や砂糖を落とした時と同じだ」

「平均化───魔力の飽和・・・ですか」

「そうだ。
精霊が何の備えも持たずに来た場合、数日を待たず四散し、消滅する」

「なるほど。それが母体が攻めて来ず、分身という回りくどい手段を用いる理由ですか。
 いかに強力な魔力を所有しているとはいえ、限られた母体そのもので短期決戦を挑むのは精霊側にとって明らかにリスクの方が目立つ話になる」

「結構。なかなか頭が回るようじゃないか」


 だが、分身たる一個体の活動限界は母体にも増してごく短く、限られる。精霊界より出でた分身は、個体で活動した場合の寿命は二十四時間あるか無いかだ。
 それではいくら安全に攻めるといっても、相手にひたすら篭城され、消耗を余儀なくされてしまう。
 そこで登場するのが「精霊晶」だ。

 精霊の分身達は自身の体の魔力を一部凝固させたものをそれぞれ結集させ、魔力の結晶体を作る。
 これが精霊晶と呼ばれるものであり、精霊晶はその周囲の空間に様々な影響を及ぼす。
 精霊晶は周囲の魔力密度を高め、設置点から数十mの球状の空間を精霊界とほぼ同じ状態にする。これにより精霊達の分身はその一部区域においてのみ、精霊は飽和の制約より開放される。
 それだけではない。
 精霊晶は肥大化すればするほどに、その効果範囲と魔力の密度を高め、更には溜まった魔力を利用して、分身体をコピーし、兵力の増強さえも行うようになる。

642:2007/09/28(金) 00:16:38 ID:U8NDNRjc0
「だから我々は精霊を打倒しようとする場合、まず精霊晶の破壊が第一目標となる」

「主となる精霊晶を壊さずして分身を殺し続けても、精霊晶から沸き続けるのですね」

「幸い、母体クラスの精霊は、その巨大な魔力含有量から自身の体躯も大きく、この精霊晶の範囲内に納まりきらない為、水晶を作らせたからといって総力戦を仕掛けられることはないがな。
何にせよ、精霊晶を破壊しなければ話にならないのは確かだ」
 
「なるほど」

「これがこの世界での戦闘のセオリーだ。何か質問は」 
 
「・・・・・・」


 公爵は利き手を顎に添え、一瞬考える。


「精霊晶の破壊については、如何様な手段を?」

「武器を用いた近距離破壊が最もシンプルだ。
あまりにも敵分身体の数が多いと判断された場合は、戦力を白兵戦に割かず、長射程を持つ武器を使用した弾幕や、爆撃による中〜遠距離破壊も行う。
だが後者は兵の足並みを出来るだけ揃えた高度な連携行動が必要となるため、

① 精霊晶の位置が判明している
② かつ作戦序盤である

この二つの条件が要求される。
ファーストアタックとしての効果は抜群だが、中〜後半の乱戦・・・白兵戦多めの展開になってくると、
やはりいかに前者の破壊方法を効率良くこなせるかが重要となってくる。理解できるか」

「御丁寧な説明に感謝致します」

「うむ」


 二人の会話の一瞬の隙間に入り込む様に、訓練による轟音が響き渡る。
 次々と精霊晶を破壊するのは・・・炎の様に紅い機体。
 瞬きの間に散る火花の如く、その姿は捉えようが無い。
 ようやく一連の訓練動作を終え停止したその機体の肩に大きく描かれていた文字は───麒麟。
 小隊の隊長機だ。
 モニタールームで受けた主戦力の説明を公爵は思い出す・・・、搭乗者名、美凰。


「ときにきら様。
次の『攻勢』は、いつに予定されておりますか」

「近いぞ」


 ここで公爵が『攻勢』という言葉を使ったのは、この僅かな時間できらの性格を把握した上での気遣いに他ならない。
 きらにとっての戦闘は、あらゆる意味で守備の意味を含まない。
 仮に一時的な守備行動を取ったとしても、それは結果的に逆転、攻勢を狙ったものである。
 守備の為の攻勢。
 あらゆる行動を攻勢に繋げる、極めて攻撃的な指揮。
 曰く『打って撃って討ちまくる』・・・それが大道寺きらのセオリーだった。
 ゆえにきらにとっての戦闘とは攻めのターンしかない。そこを察しての表現であると言えた。

 そしてきらも、その気遣いを察した。
 ───無論、きらは何も言わず、ただその笑みの鋭さを増すばかりである。


「日本に残る最後の悪根、北海道の精霊晶を叩き壊しに征く。
日程は5月1日・・・・・・はじまりの月の、はじまりの日だ」

「了解しました」

「・・・貴様程の奴が何の褒章も無しに仕えるとはな」

「見返りなら多く求めたつもりですよ・・・きら様との夜伽。
私は何分、女性の快楽というものに縁が無い存在でしたので」

「その点においては心配するな。
おちんちんの力は、その人物の精神に比例するものだ」
 

 大道寺政権に秘かに語られる一つの噂───スクール水着の奥には、魔物が棲む。
 常軌を逸した超巨大な一物。
 伝説級過ぎてかえってオカルトとされるソレは、屋久島の大杉か、大陸間弾道ミサイルか。
 スク水を力強くズラし、そこから跳ね出てきたものはまさに・・・規格外のモンスター。
 

「・・・おお・・・・・・」
 
「名付けて『スタンディング・アルマゲドン』・・・本来ならもっと複雑で格調高いものにしたいところだが、
私の偉大さをわかりやすく知らしめるためにはこれぐらいで丁度良かろう。
───さあ、堕ちろ、請え、跪け、期待しろ。
コイツの与える悦楽は、他とは別次元のものだ、光栄に思え」

「至上の悦楽、今直ぐ味わいたく存じます」

「そう焦るな。
・・・たっぷりと、上質な牛乳を飲ませてやる」


 牛乳については摂取量が多いので、排出量も多そうだった。
 質量保存の法則である。

643:2007/09/28(金) 00:18:07 ID:U8NDNRjc0
◆ 9

「あ・・・はぁ・・・」

 暗い部屋・・・湿ったようじょの声が、極めて退廃的に響く。

「んっ・・・おねえ、ちゃん・・・・・・は、はぁ、あ!・・・あぁ・・・」

 あの感情の起伏が無いリーゼロッテにあられもない声を次々とあげさせるほどに、
 エルフリーデの愛撫は、彼女の性感帯を極めて的確に熟知し、刺激していた。
 それも当然。『2人』が肌を重ねたのは数十、あるいは数百という単位ではないのだ。
 
 『仕事』からホテルへ戻ってすぐ。
 まだ服を脱いでいないリーゼのスカートの中で、エルフリーデは暴れまわる。
 突然はじまった行為に、まだリーゼは座れてもいない。
 右手がリーゼの女性を抜き差し、擦り立て。
 左手が控えめな大きさのリーゼのおちんちんを掴み、変則的なリズムで上下した。

「お・・・おねえ・・・ちゃっ・・・!せめてベッド・・・で・・・・・・」

 言いながらリーゼはスカートを押さえようとするが、
 姉の愛撫は逆に激しさを増すばかりである。
 すぐにリーゼロッテは頬は赤く染まり、宝石の如し緋色の瞳は美しく潤んだ。

 いつも閉じた、人形の様な唇はいつの間にか開き、
 透明な唾液を、まだ幼さの残る丸く柔らかな、小さな顎へと垂らしている。

「・・・・・・ッ・・・」

 やがて全身を駆け巡る快楽に耐えられなくなり、
 リーゼは背を壁に付けてしまい、そのままずるずると壁を沿って倒れた。
 スカートを押さえる掌の意味も、いつしか姉の愛撫する手をもっと強く押さえつける、
 逆の意味へと変わってしまっている。

 倒れた床は綺麗な模様で彩られた清潔な絨毯で、
 ホテルを取るときにスイートルームにしたことを心の底から良かったと感じた。

「・・・・・・んむっ!?」

 倒れた瞬時、そんなリーゼの思考すら奪い取る様に、
 姉の左手の指がリーゼの咥内に差し込まれた。
 指はリーゼの舌をやさしく撫で、
 そして親指と人差し指でまるで局部を愛でる様にしごかれた。

 急速に、頭がぼうっとなるのを感じる。
 一度、まだ一度しごかれる度に唾液が頬を伝い、床を染めた。
 おちんちんを愛でる右手はジェット加速するばかり。

「んふ、ぷ、ちゅる・・・お、おねえ、ふあ、あ───ッ!」

 口を愛でられて理性を弱らせた身体は、すぐに快楽の虜となる。
 リーゼロッテの小さな体躯はがくがくと震え、
 すぐにおちんちんから果汁100%、リーゼジュースが勢い良く飛び散った。
 
「あ・・・・・・
はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」

 頭から下半身まで、すっかり汗だか愛液だかで汁まみれになって、
 ふにゃふにゃに溶けたリーゼを、しかし姉は休ませなかった。

 取り出されしは姉に装備されし小さくはないおちんちん器官・・・名付けて『雄々しきバオム』。

 さて・・・ここでおちんちん読者の質問に一つ答えておかねばなるまい。
 実にシンプルな一つのクエスチョン。
 『足の無い人形はおちんちんを出し入れすることが出来るのか?』

 出来る───出来るのだ。

 戦闘用にチューンされているエルフリーデの関節部分はまさしく強靭の一言に尽きる。
 強靭な可動部分と、エルフリーデをコーティングする濃密なエーテル体が、
 そこいらの人間や機械よりも自由自在でパワフルな動きを可能にするのだ。

644:2007/09/28(金) 00:18:53 ID:U8NDNRjc0
 よってエルフリーデに障害や躊躇があるわけなく。
 軟体の如く溶けたリーゼに骨を与えてやるかのように、
 ある種の威厳を持って、素早く、深くリーゼの女性を貫いた。
  
「ん─────ッ!」

 もう何がなんだかわからなかった。
 リーゼのおちんちんは馬鹿になってしまったかの様に、絨毯の綺麗な文様をミルクコーティングし続けている。
 涎や涙をたらし続け、ただ快楽に身を任せるしかない間も、
 姉のおちんちんは容赦なくリーゼの奥をコンコンし続ける!


「あ、ふああ!おねえちゃん!
おねえちゃんのおちんちんが・・・コンコンしてて、気持ち、いい・・・っ・・・・・・!」


 ───お姉ちゃんのコンコンループは留まる所を知らない!!!!!

 コンコンッ!コンコン!コンコンコンッ!コンコンッ!
 10HIT!30HIT!50HIT!70HITS!!

 
 壮絶なコンコンループがリーゼの子宮口を襲い続ける。
 思わず腰を浮かせるリーゼロッテ、これっていわゆる空中コンボ!

 勢い衰えぬピストン運動の連続。
 むしろ激しさを増してきていて・・・もう何度快楽の波が迫ってきたか知れない。
 どんなはしたない言葉を漏らしてしまったかもわからなかった。

 そして終に、一際大きな姉の差し込みが、リーゼの本能を貫いて───
 絶頂の際、何故か浮かんだのは・・・・・
 ・・・・・・あのどうしようもなくお人よしの馬鹿の顔だった。


「は、はぁ、ふああ、ふあああああ───ッ!!」


 視界がホワイトアウトしたかと想うと、そのまま周囲の風景が暗くなっていき、意識を失った。

 



 目を覚ますと、いつから鳴っていたのか、携帯が震えていた。
 未だ絶頂の余韻冷めぬ火照った身体を何とか動かして、携帯を取る。



 送信者:政府
 宛先:リーゼロッテ・アッヒェンバッハ 
 政府へ助力して欲しいとの文章を先日送らせて戴きましたが、
 返事は考えて戴けましたでしょうか。
 人類の戦況は、大統領の尽力により少しは巻き返したとはいえ、
 未だ芳しいものではありません。
 一人でも多くの優秀な聖女が必要なのです。
 助力の暁にはこれまでの貴方の罪を全て無かった事といたしますので、
 是非とも色良い返事をお待ちしております。

 P.S. 
 愛乃はぁとが大変だ。
 気になるならさっさと私に力を貸せ。貴様の力が必要だ。



 「めんどくさい・・・」
 ただその一言だけを返すつもりだった。
 罪の清算。そんなものはどうでも良かった。
 これまでやったことを一つたりとも後悔したことはないし、
 そもそも人の命を奪う事を罪だと感じた事もない。
 リーゼロッテは自分の終焉にさえ、大した興味を持てずにいる。

 だが本文とまるきり文体の違う、
 まるで別人が書いたかのようなたった二行が、リーゼの心を揺さぶっていた。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・愛乃はぁとが大変だ。


 

 
 新人らしきホテルの従業員が部屋に入ったのは、
 リーゼが風呂で身体を洗ったのち、スペアの服を身につけ、
 姉の居場所たるトランクを両手で持ち上げたところだった。

「ルームサービスにお伺いし・・・まし・・・?」

 部屋の床にはリーゼのおちんちん液が散乱している。
 もの凄い特徴的なにおいが部屋に充満していた。


「あ、あの・・・リーゼロッテ様。これは」

「掃除しといてね」

「え・・・あ、これを?」

「仕事でしょ?」

 まさに外道。
 
 
 崩れ落ちる従業員を尻目に、少しだけ濁った空を眺めながら、
 リーゼロッテは空港へと足を速めた。

「・・・久々に長いお出かけになりそうだね、お姉ちゃん」

 トランクは当然言葉を発しない。
 ただリズム良く、楽しそうな音を、カラカラと立てた。

645:2007/09/28(金) 00:19:59 ID:U8NDNRjc0
◆ 10

 「そうでございましたかー・・・」

 ミケランジェロとこのはの激闘は5ラウンドに渡った。
 どうやら三本先取であったらしい今回のカードは、
 序盤このはが持ち前の素早さで圧倒して2度ダウンを奪うも、
 ブチ切れて巨大化したミケが大人気ない力を振り回して「力こそ正義」と叫んで逆転。
 ・・・勝負の面白み自体は何ひとつない結果に終っている。

 ともあれ「きゅー、不甲斐無いでござるー」となったこのはを宥め諭す形で、
 ようやく誤解は解けた次第となる。

 ・・・千年守の寝所に辿り付いてからこの流れまで実に30分経過した。
 上手くいかぬものである。
 これまでも、そして『これから聞く答え』も。


「神依さまは未だ目覚めておりませぬー」

「ああ・・・やっぱり」


 なんとなく、このはの雰囲気から読み取れていた答えだった。
 無駄足・・・そんなつもりはなくとも、ため息と共に、途方に暮れる。
 円滑な話し合いの為に庭の土に刺してきたミケが、呆とした視界に何となく入った。


「でも起きてないなんて妙───どうしてだろう・・・千年守様は、今の世界を危機だと感じていない?」

「・・・申し訳ありませぬー。
ちょっとこのはにはわからないでござるー」

「そ、そうよね・・・」

「世界の危機とあらば、政府の方には是非とも協力したいのでござるがー・・・」

「お気持ちだけ戴いておきます・・・」


 辛い道のりであったが故に、落ちゆく肩は流石に止められない。
 こうなってしまっては、帰る他なかった。

 礼と共に、もし起きたら連絡して欲しいと電話番号を書き添え、このはに渡す。
 少し不安になって電話があるかどうかを尋ねたが、
 このはの話によると、流石に電話はある、ということらしい。一安心だ。

 しかし、ふと・・・
 ミケを引き抜き、帰る段になって、頼子は一つの疑問に行き着いた。


「そういえばこのはさんって、ここに住んでる訳じゃなかったよね」

「そうでするなー。
小犬丸の里か、公園にござるー」

「じゃあなんで今日はここに居たの?
まさかこの雪道を、毎日通ってるわけじゃないわよね?」

「いや、最近はここに住んでおりまするー」

「へ?なんで?」

「出られないからにござるよー」

「・・・・・・出られ、ない?」


 頼子は慌てて背後の境界を見た。
 入るときは見えなかったが、晴天と積もった雪・・・
 きっちり分かれた境界が、こちらからだと肉眼で捉えることが出来る。

 頼子はそれを踏み越えようとして───カツン。

 壁の様なものに当たった。

「え・・・」

 もう少し強めに踏み越えようとしてみる・・・・・・ガツン。
 今度は蹴り飛ばそうとしてみる───ガンッ!

 寒気が、背中に走る。

「・・・ミケ!!」

『おう、アレだな頼子!』

 頼子はミケに飛び乗り、境界に向かって突進する。
 猫呼んで───襲い来る地獄の制裁!

 ・・・放り出された頼子と顔が平らになったミケが地面に転がった。


「このはも頑張ったのでござるがー。
何故か出られないのでござるー」

「え?いや、ちょっと待って」


 出られないってどういうこと?


『・・・かなり強力な結界だ。閉じ込められたな』

「・・・・・・」

「例えるならごきぶりほいほい、にござるー」

「・・・そんな例えしなくていいよぉ!」


 あまりの上手くいかなさに、目の前がふっと暗くなる───もう何がなんだか。

646:2007/09/28(金) 00:21:55 ID:U8NDNRjc0
◆ 11

 薄暗い部屋、行為の後。

 『公爵』にはどういう訳だか、おちんちんが無い。
 だから今の行為も、全て受け側だった。

 おちんちんが無いのに何故この世界に留まれるのか、正確にはきらにもさっぱりわからないそうだが、
 それでもたった一つ、明らかな事実がある。
 公爵はおちんちんのアルカナに搭乗することは、出来ない。
 
 さて、根本的な疑問は、初期にぶつけるべきである。

 バケツをひっくり返したかのような牛乳がお腹をたぷたぷしていて気だるいが、
 今は自分に時間を割いてくれているだけで、本来きらは多忙の身である。
 次にいつ時間は取れるかわからない。
 なので率直に聞くことにした。


「きら様。私は直接の戦力にはなりませんね」

「ああ、そうだな」 

「・・・では私は、何の為にこの時代に呼ばれたので?」

「エロい文章を書いて欲しいのだ。あと軍師」


 凄く簡単に答えられた。
 流石きら様としかいいようがない。
 

「聖女に付いたおちんちんは、平たく言えば欲望を具現化したエーテル体だ。
本人の心のコンディションにより、おちんちんから発揮される力は遥かに異なる。
良い女に巡り合えた時はいつだって熱くてカタい。そう思わんか」

「仰る通りでございます」

「良い欲望に出会えたとき、性器の可能性って奴は半端じゃあないのだ。
単発式のリボルバーちんちんの持ち主さえ、
深い興奮の下では二度だって、三度だって射精できることもある。
つまりお前には、皆の欲情を煽って欲しいのだ」

「・・・それは真に、楽しい御仕事で・・・!」

「うってつけだろう」

「寧ろ私以外に適任が?」 
 
「───お前ほどの者はあるまいな」


 ベッドの上で馬鹿笑い。
 根は悪人同士、『しっくりと来る』のだ。

 かつて───猥褻な文章とは、それだけで悪であり、読む価値すらないものとされた。
 そんな世を、否定しようと筆を走らせてきた時代があった。
 だが今はどうだろう。
 同じような猥褻な文章を、今度は必要とされて綴るのだ。

 こんな愉快なこと、公爵にとってこれまでに無かった。


「・・・さて、」

 
 きらがベッドから立ち上がり、タオルとスク水をテーブルから引っ手繰る。


「御仕事ですか、きら様」

「民衆が私のカリスマを必要としているのでな。
お前はなかなか具合が良いからまた楽しんでやるよ」

「光栄の極みにございます」

 
 この会話の間にきらはスク水を装着、ランドセルまで装備し切った。
 超素早い。電光石火の行動力である。


「エロいのは追々進めていくとして、
とりあえずお前に期待してるのは一週間後だ、公爵。
北海道攻勢にて、お前に軍の一部を任せる」

「は・・・?私にですか」

「そうだ。うちは戦える奴は多いが、考える奴はどうも少数派でな。
今からその賢しい頭を使ってよくシミュレートしておけ。
───じゃあな」


 公爵が言葉を返す間もなく、薄暗い部屋に一瞬強い光が走り、すぐに扉が閉まった。
 数分、呆気に取られたままベッドで呆、としていたが、
 続いて笑いが出てきたことに、公爵自身、今の自分が想像より幸福な自分であることに気が付いた。


「一週間後・・・か」


 私は果たして、軍師か、作家か・・・道化師か?
 そもそも、私が元々どんな存在であったのかということさえ、実は曖昧な部分は数多くある。
 しかし私が何者であろうと、一週間は総ての生き物に対し均等に過ぎるのだ。

 つまり、私が何者であろうがそれはどうでもいい。
 ただ・・・今の楽しみを噛み締めるばかりである。



 日本のおちんちん魂を完全に取り返せるかどうかの節目まであと一週間。
 一年も前より絶え間なく続く闘争が、再び大きな節目を迎えようとしていた───。

647:2007/09/28(金) 00:24:19 ID:U8NDNRjc0
つづく


長すぎ、大体何文字あるんだよバーカって感じですが
その答えは12677文字になります。
一話から計算すると既に2万字に達しているので
このスレッドは卒業論文に出来そうですね。

それではまた次週の金曜にまた勝手に載せに来ます。おつ

648名無しのアルカナ使い:2007/09/28(金) 01:43:18 ID:zYcHtpWw0
ウザいんでいちいちageないでもらえる?

649名無しのアルカナ使い:2007/09/28(金) 05:31:30 ID:DaMuMi1MO
ふざけんな、楽しみにしてる人のが圧倒的に多いっつの

650名無しのアルカナ使い:2007/09/28(金) 11:49:28 ID:DT516JPgO
どっから受信した電波か知らないけど
そんな脳内ソースを基に正当性を主張されても困るんで
お前がどうしようもない馬鹿だってのはよく分かったから一生黙ってろよ

651名無しのアルカナ使い:2007/09/28(金) 11:52:14 ID:Jg6AaIOIO
まぁまぁ、ここはおちんちん紳士らしく落ち着いて観賞しようじゃないか

652名無しのアルカナ使い:2007/09/28(金) 12:22:43 ID:ixh/XHagO
しかしスレ主の文章に気合入りすぎてて
自らの読書速度がまだ追い付いてないwww
他の紳士達はもう読破されたかな

653名無しのアルカナ使い:2007/09/28(金) 17:11:43 ID:NvDKyUUAO
読んだ〜
>>1よ乙!

まことに愛が溢れるコンコンループを堪能させていただきました。次回も白濁濃縮された文章を期待しております。

654名無しのアルカナ使い:2007/09/29(土) 00:32:18 ID:uB/QkK8EO
エロかったりシリアスだったりギャグがあったり
>>1は天才だ

655名無しのアルカナ使い:2007/10/05(金) 02:13:13 ID:jrQQ2NDUO
次週の金曜日…金曜日になったぞぉおおおおお


期待あげ

656名無しのアルカナ使い:2007/10/05(金) 12:32:31 ID:N5Bc.yW2O
勝手に書いてろよ













勝手に読んでるからよ//////

657名無しのアルカナ使い:2007/10/09(火) 00:21:23 ID:E8G0riFc0
何でスレ主はこの天才的な発想をここだけでのさばらせておくのだろうか。
これほどの知恵と神と呼ばれ氏ほどの天才的な発想があれば
どんなジャンルでもやっていけるだろう。

そう、今まさに、スレ主は同人活動を始めるべきだ!
元の設定などどうでもいい。オリジナルの設定要素で18禁小説サークルを立ち上げよ!
主がやるというならば我も協力しよう。売り子という立場でな!!

658名無しのアルカナ使い:2007/10/09(火) 15:03:11 ID:fPKBHR4kO
まぁプロのエロゲライターだし

659名無しのアルカナ使い:2007/10/09(火) 16:24:41 ID:gnIKUOY60
ところでアルカナ2参戦の発表はまだですか?

660:2007/10/09(火) 23:27:51 ID:DAf7qMKU0
新キャラのペトラ、武器は二挺拳銃とのことですね。
しかもドリル。
おちんちんを意識したキャラメイクに全おちんちん紳士が感動した!
超頑張れ、システム改善とかそんなのはどうでもいいからおちんちん超頑張れ


>>655-658
読んでいただきありがとうございます

長文に関しては
なんか一部の人から思ったより支持されてる様で何より
設定だけは多いんですが逆にくどい感じが強くて、
直感的に楽しめる短文より致命的に不人気になると思ってたのですが
まあ嬉しい誤算ということです。

>同人活動
やるなら一見上品に見える名前でやりたいですね
『素股聖女』とかそういうの

次の更新は19日(金)頃になりそうです。
12日に更新できれば良いのですけどね!

661名無しのアルカナ使い:2007/10/10(水) 00:00:51 ID:iuVIxv4Q0
>>660
おちんちん握り締めて待ってるぜ

662名無しのアルカナ使い:2007/10/13(土) 03:05:36 ID:LUmwd7uQO
>>660
しかしこのままではおちんちんパワーが枯渇しそうなので
お早いおかえりをお待ちしております!

663名無しのアルカナ使い:2007/10/15(月) 04:26:33 ID:0naSTrwM0
<<659
プロのエロゲライター?
ライターってのが良くわからんとか別にして
俺はエロゲ買わないからわからん!

>>660
素股聖女ってPNというより何かの同人本のタイトルに思える…。
いっその事名前っぽくして『股割聖士(またさきせいし)』でどうだ?
 やるなら俺真面目に売り子くらいは手伝うわ。

664名無しのアルカナ使い:2007/10/17(水) 04:15:07 ID:mUSZ/zvc0
素股聖女の微妙な上辺だけの上品さがわからんのかっ

遅ればせながら1さんおかえり。待ってたぜ…!

665名無しのアルカナ使い:2007/10/18(木) 22:04:49 ID:2HEHIVsMO
明日こそ
明日こそは!

666名無しのアルカナ使い:2007/10/19(金) 20:10:40 ID:8b9VXdH2O
金曜日の期待上げ

667:2007/10/19(金) 21:16:09 ID:gHe2.6To0
第三話、射精するよぉ!

668:2007/10/19(金) 21:17:20 ID:gHe2.6To0
◆ 12

 ───ぐにゅっ、ぐじゅっ、ぐしゅっ。

「あ、ひゃん、ふぁ───」

 ───ぐしゅっ、ぐにゅっ、ぐしゅっ。

「駄目、すごすぎるよぉ・・・!」



 ・・・暗い部屋。

 この部屋という容器には闇が充填されている。
 闇の中には聖女がふたり。
 二人は内緒の蜜を共有し、味わっている。

 闇の中に有る事象は、容易に観測することは出来ない。
 逆に光の有る領域に存在する事象は、人間に備え付けられた粗末な感覚器官でも容易に観測することができる。
 その性質から、人間同士の秘密の共有は何時の時代も闇の中で行われてきた。
 誰のアンテナにも捉えられない闇の中では、そこに居る人間の尺度という範囲内で、あらゆる異常な事が許容される。

 常日頃、太陽の光の当たる所では人は限りなく正常であろうとする。
 『正常』を『擬態』する。

 ・・・しかし闇の中では正反対。
 人は皆、普段正常であるぶん、出来る限り異常であろうとする・・・!


 ───じゅっ、ぎちゅっ、ぐにゅうっ。


 ゆえに此の闇に響く蜜の音は限りなく変態的に、禁忌的に静かな闇に轟く。

 おちんちんの生えた同姓の聖女の片割れは拘束されている。
 拘束服により、両手両足首を後ろで金具に固定され、
 あらゆる性感帯をもう一人の目前に曝している。
 それだけではない。
 ただ一つ自由に動く突起物、おちんちんを、
 もう一人は手で愛す事も、口で愛す事もしていない。
 
 ・・・足・・・!

 聖女の屹立したおちんちんを足でしごくという、異常な、変態的な、しかし普通で無いがゆえに『一種の贅沢』たりえる行為───

 ───人呼んで『あしこき』と謂う、おちんちん愛撫術の一つが闇の中に展開されていた。


「はぁ・・・もうこんなに大きくして。
ねえ、恥じらいってものは何処に置き忘れてきたの?
ああ気持ち悪い、ソックスがもうべとべとだわ」

「だ、だってさーたんの足技がすごすぎて・・・!」

「・・・何それ、口答え?」


 はぁとのおちんちんが勢いよく蹴飛ばされる(立ちB)。
 急所への一撃。
 本来ならばそれは、痛恨の一撃以外の何物でもない責め苦。
 だがはぁとはそれに目を細め、全身を震わせながら放出した。

 痛みを感じていない訳ではない。
 それ以上に快楽を覚えているのだ・・・。

669:2007/10/19(金) 21:18:30 ID:gHe2.6To0
「真性の変態ね」

「・・・す、すみませぇん・・・
何度もどっかーんして、ニーソックス汚してごめんなさぁい・・・」

「───恥じらいは人間に必要なものよ、はぁと」

「・・・ふゃぁん!?」


 ハーフタイムも許されず、愛撫再開。やはり足。


「人は禁忌の林檎を食し、恥を知り、楽園から追放されたからこそ人間なの。
それなのに、私の足に何度もごしごしされて、
はしたなく何度も愛液を噴出しているはぁとって、一体何なのかしら?」

「許してさーたん・・・はぁとは、はぁとは・・・」

「・・・愛乃はぁとは、何?」

「愛乃はぁとはどうしようもないおちんちん動物ですッ!
さーたんに足で擦られて精液撒き散らす最低のマゾサピエンスですぅぅぅぅぅ!」

「無様ね。ヒトとしての軽蔑を通り越して、かえって動物に対する情のようなものが沸いてきたほどよ」

「ああっ・・・すごい!さーたんのクラウ・ソラスしゅごいっ!!」

「くす・・・いいわ───口で本格的にイカせてあげる、はしたなく撒き散らしなさい」


 最後の締めとばかりにおちんちんをブリューナクされ、
 はぁとはまたも大きな叫び声を上げてしまう。
 が、冴姫は叫びすらも意に介さぬ様子で、はぁとのおちんちんに顔を寄せ───思いっきり吸った。


「───じゅるるっ・・・、ちゅ、ちゅううううう・・・!」

「ふあ、は、ひ、は、は、ふぁ、は!」 

「じゅる・・・ちゅ、ちゅ───ひもちひい?はぁと?」
 
「はい・・・!最高・・・最高だよぉ・・・!ふぁ!はああぁ!」


 冴姫の責めは全てを知っていた。
 ストロークは大振りに、舌は裏筋をチロチロと刺激し続ける。
 はぁとの弱点そのものであるその愛撫に、電撃の様な悦楽が走る。
 冴姫ははぁとの腰を両腕で強く抱きこみ、口全体ではぁとのおちんちんを咥え込んでいた。
 無論ただ抱きしめるだけでなく、片方の腕はお尻を、もう片方は女性器を刺激し続けている。
 下半身全体から津波の如く押し寄せる快楽に、はぁとは反射的に身をよじるが、
 冴姫の抱擁によりその動作も叶わず、強い快楽は与えられ続ける。

 そして最初は大きかったはぁとの震えが、やがて小さく、小刻みなものとなっていった。


「やっ、冴姫ちゃん、出るっ、もう出る出ちゃうっ!」

「・・・いいわ、出すのよ!・・・このキノコ!
はしたないヨーグルトきのこから、大量の乳酸菌を排出しなさいッ」

「ふあぁぁぁっ!キノコおっ!キノコしますっ!
愛乃きのこいきまふうぅぅうううぅぅぅっ!!」


 はぁとの瞳が大きく見開かれ、口からは涎が垂れる。
 全身をまた大きく震わせてどっかーん!
はぁとは冴姫の口の中に大量のヨーグルトを生産した。


「はぁ・・・もう勢いだけは凄いったら・・・」

「ふぁ・・・は・・・さーたん・・・?」

「んむっ・・・ちゅ、ぴちゅる・・・」


 冴姫は無意識のうち、口では納まりきらなかった───
 身体中に付着したはぁと液を、『自らの役割』を忘れて夢中で舐め取っていた。
 愛のエーテルをその身に溜め込んだはぁとのミルクは、
 それだけで強烈な媚薬の役割を果たす。
 例え苦くとも二口目からは甘露、舐め続ける冴姫の行為も仕方なきこととは言え、
 ・・・その姿はなんと愛らしかった事だろう。
 恥ずかしそうに頬を染め、しかし積極的にミルクを舐め続ける。
 愛らしい以外の言葉が見つからない。
 
 ───だから、愛乃はぁとが臨界突破したことも、全くもって仕方のない事だった。

670:2007/10/19(金) 21:19:15 ID:gHe2.6To0
「うわああああああああああ───ッ!!!11!!1
さああああたああああああああんんんんんん!!!!!!111!」

「・・・へっ?」


 恐怖、恋慕、勇気、愛情、萌え・・・。
 どんな感情であろうと、それは人を動かすパワーとなる。
 愛乃はぁとは目前の愛らしい聖女を食べたいという『欲望』・・・!
 その一心で、ついに拘束具を力ずくで脱出!
 彼女の自由を奪っていた金具は哀れに四散した!!


「ちょっと、今日は責められる側がいいんじゃなかったの!?はぁと!」

「愛だよ!愛!!」

「・・・!?・・・??・・・?」


 言葉が通じない。
 使用言語が違うようだ。
 この状態のはぁとの言語を冴姫は密かに「愛語」と呼んでいる。


「さああたあああああああああああっ!!」

「ひゃあっ!ちょ、まっ、はぁと、」

「待たないよぉ!
さーたんのここも、もうジョークルホープスだよぉ!」

「・・・ジョ、ジョークル何?」 (意訳:さーたんのここ、もうびしょ濡れだよ)

「ぱわーぜんか───い!!!」

「きゃああああっ!!」


 結局、稀代のおちんちんを持つ事で有名な愛乃はぁとのこの日の射精はなんと10回に及んだ。
 足に4回、口に1回、膣に5回注いだ計算になる。
 はぁとの精力にも驚くべきだが、冴姫の努力も無論評価するべきだろう・・・。


 
 ───全てのおちんちんに告ぐ! ・・・敵襲!! 出撃準備せよ!



 ・・・泡沫とした、幸福の時間は打ち破られた。
 遠慮を知らぬ不躾なサイレン。

 寝ぼけ眼。髪もぼさぼさ。
 寝ていた。そして、夢を見ていた。
 恐らくこの意識の中で最も幸福な類の時間を再生していた。

 ベッドに乗った重量は、当然人ひとり分だ。
 悪夢を見るよりはマシなのか、それともこれこそが悪夢なのか?

 ───天国と地獄だ。

 
「・・・・・・・・・。」


 無言。
顔を洗い、瞳を覆う程に伸びた長い前髪をカチューシャで纏め。
 気高い少女はただ外に出た。


「わ」 「きゃ」


 ぶつかった。
 敵襲で慌てていたのか、自分の姿を捉え切れなかったらしい。
 私は倒れなかったが、ぶつかってきた方は盛大に尻餅をついていた。


「・・・大丈夫?」

「はい。あ、あ───いえ、冴姫隊長?
ひょっとしてこれから・・・」

「ええ・・・ちょっと機嫌が悪くて・・・」

「・・・・・・。」

「こういう気分になっちゃうと、もうどうしようもないの。
きっともう、奴等を切り裂くまで治らない身体になってしまってるんだわ・・・」

671:2007/10/19(金) 21:20:03 ID:gHe2.6To0

 第三話 「東京基地防衛戦:1」

672:2007/10/19(金) 21:21:17 ID:gHe2.6To0
◆ 13

 ───全てのおちんちんに告ぐ! 敵襲!! 出撃準備せよ!


 廻っている、基地中を、狂ったように紅い光が走り廻っている。
 平常の光景と紅い光に染まった光景、それが繰り返し網膜に焼き付けられる。
 まるで闘牛の興奮を煽るかの如き演出だ。

 基地内に響き渡る足音の群れ。
 その中でも一際堂々と歩く、二人の少女の姿があった。
 
 一人は全身を黒いフードで覆い、瞳が見えず、表情すらも上手く見ることができない。
 かろうじて垂れた長く美しい金髪で、それが少女であることがわかる───『公爵』。

 もう片方は説明するまでも無い。
 基地にいるもの全てが知る、いやこの世界に居る人間なら知っている少女。
 小さな体躯にスクール水着、愛おしいパーツとはまるでアンマッチな強気の笑顔───大道寺きら。


「・・・屑どもめ。
北海道攻勢を控えた前日に奇襲を仕掛けてくるとは、良い度胸じゃないか」

「こちらとしては攻勢前で軍備が整っておりましたので、
いい時に攻めてきてくれた、とは思いますが」

「黙れ公爵。
私は先手を取られるのが大ッ嫌いなんだ」

「・・・これはこれは、差し出がましい言の葉を紡いだ口をお許し下さい」

「糞生意気な口め───後で突っ込んでやる。

・・・おい、このきら様に喧嘩売ってきた馬鹿の数はどのぐらいだ!!」


 オペレーター室のドアを蹴破るなり響いたきらの怒声に、
 オペレーターは驚きに一瞬の間を空けるも、すぐに報告を口にした。


『敵精霊個体数・・・300以上!

 ・飛行型精霊:タイプ、テンペスタス
 ・突撃型精霊:タイプ、ランゴン
・遠隔射撃型精霊:タイプ、ヴァンリーの三種が多いようです。

 海を経由した奇襲部隊に若干ディレイして精霊晶を空輸している模様。
 水晶数は10!』


「チッ・・・」


 精霊晶は強烈なエーテルの結晶体であるため、比較的遠距離からでも探知に引っかかり易い。
 水晶の位置から敵の分布を推測するのが対精霊戦のセオリーである。

 だが今回はそれを逆手に取られ、敵精霊部隊のみが海洋より浮上、先行突撃。
 不意打ちのアドバンテージで奪った領地に後出しで精霊晶を設置、
 突撃部隊のエーテルを補充しつつ、初期のアドバンテージをじわじわと拡大するように進撃する。


「してやられたというわけか・・・最も近くに設置された精霊晶の距離は」

『近いです・・・防壁より5km地点!』

「よし・・・まずそれをどうにかせんと話にならんな・・・ふむ・・・
美凰はもう出ているか」

『近─中距離用機体「聖火」を始めとした美凰部隊が防御陣を展開済みです!』

「把握した。
美凰に伝えろ───『四聖王道』。
他部隊はこれのカバーに回れ」

『はっ』

「後は現場から出す」

673:2007/10/19(金) 21:22:34 ID:gHe2.6To0
「現場とは・・・ひょっとして」

「想像通りだ。私達も出るぞ」

「きら様も出るのですか?いささかリスキーでは」

「将は兵の前に立ってこその将よ。
流石に前線には出れんがな、体を張らんと士気に関わるということだ。
公爵、貴様もあの機体の練習はしておいたのだろうな」

「勿論。
・・・今から戦場が楽しみで仕方ありませんよ」


 ・・・楽しみなのは戦う事ばかりではないが。

 身体の影響か。公爵には前世以上の身体能力が備わっている。
 その瞳は、部屋に並んだ幾十のモニターのうちの一つから点の様な女性の姿を見つけていた。
 近くにアルカナがある事を見ると、それはどうやらアルカナ乗りの女性の様だ。
 
 女性は特徴的だった。
 腰まで届く長い黒髪、豊満な胸───惚けた表情。
 そして何よりも特徴的なのは、その身に纏いし巫女服だ。
 
 公爵は、きらから更に受けた『もう一つの任務』を思い起こす。
 非常に愉快で、公爵好みな任務。


(神を見失いし巫女、か───面白過ぎるな)


 公爵の顔が、愉しみに歪んだ。
 その表情さえ、非常時には誰も気づかない。
 オペレーターの更なる質問が飛んで、企みの気配は完全にかき消された。


『大統領、愛乃はぁとの出撃が要請されていますが───
どうなされますか』

「却下だ。先の地獄から帰ってきたのは一人だ。
・・・それは愛乃はぁとでも、廿楽冴姫でもなかった」

『了解。現状の戦力で防衛するよう通達しておきます』

「そうしろ」

「・・・?」

 
 公爵にとっては若干意味不明なやり取りが飛び交う。
 しかし質問する間も無く、その会話は終了してしまった。


「おい、何を呆けている。行くぞ、公爵!」

「・・・申し訳ない。
この失態は倍の功績でお返しします。
───蹴散らしてご覧に入れましょう」

「ふん、新兵がよく言う。
怖気づく愚か者よりは数百倍マシだがな・・・っと、忘れていた」

 
 きらは向き直り、モニタールーム内にあったマイクを瞬く間に一つ占拠。


「あー、あー・・・よし。聞け、兵士諸君!」
 

 ・・・演説を開始した。


「奇襲である。我等は不覚にも、基地への接近を許してしまった。
だが、これは一つの事実を証明している。
それは精霊は臆病者で、どうしようもなく我々の力を恐れているということだ。

正々堂々当たって勝てぬから、卑怯者どもは奇襲という手段に講じているのだ。

ゆえに戦士諸君、これは恐れる事では、全く無い!
そんな屑共に我々が打倒される道理が無い!
戦士諸君、だから今回はこう考える事にしよう。
近寄られたお陰で、かえって奴等を殴り、蹴倒し、蹂躙しやすくなったと」


 基地内でぽつぽつと笑いが飛び出した。
 笑わぬ者も居るが、基地に充満していた恐怖や緊張の度合いが薄まっている。
 カリスマ───この小さな少女は、その身に巨人のカリスマを背負っている。


「采は投げられた。
さあ、勇敢なる戦士諸君、狩りのはじまりだ!」


 5月3日、午後五時半───東京基地防衛戦。
 奇しくも一年前のCase:α、全ての始まりもまた、同日であった。

674:2007/10/19(金) 21:23:50 ID:gHe2.6To0
◆ 14

 それは奇妙な光景だった。

 夕焼けに染まった空よりも更に紅い髪を流す、巨大な人形が浮遊していた。
 この時代、空を飛ぶものと言えば鋼鉄か生物のどちらかである。
 だがその人形の体躯は奇妙な事に木製以外のものには見えない。
 そしてその関節は、黒く、あやふやなもの───『闇』で繋がれていた。
 

「・・・なんか大変な事になってるね、お姉ちゃん」 

 
 コクピットで僅かに頬を紅潮させたリーゼロッテが言う。
 緩やかに腰を動かし、機体におちんちん力を送り込んでいるのだ。 
 リーゼの身体を心地よい痺れが満たすが、それが射精に繋がったり、
 他の行為の支障になることはまずない。
 おちんちんを生殖や快楽の道具としてしか使えないようでは二流。
 生命を造る聖なる器官であるおちんちんを正しく認識し、制御する。
 それこそが一流のおちんちんのアルカナ使いなのだ。
 リーゼの様な一流のアルカナ使いのおちんちんは、既にそのおちんちん自体が『高次の存在』であると言えよう。
 

「愛乃・・・はぁと」


 リーゼロッテは揺らぎにくい。
 裏の世界を生きてきたリーゼにとって、表情を露わにする事はリスクだからだ。
 安寧よりも闘争こそが隣人。
 信頼よりも駆け引きが、予想通りに運ぶ事よりも予想外(アクシデント)の方がリーゼの生に近しい。
 生死を分かつ瞬間において、揺らぎとは命取り以外の何物でもない。
 何が起きても表情を変えず、躊躇なく目の前の事を処理していかなければ、死ぬ。
 それがリーゼの仕事の哲学だった。
 だがその確固たるリーゼの思考すら押しのけて、その名前はリーゼの心を揺らがせる。
 理由はわからない。
 自分の思考を構築するどの方程式からも、この戸惑いを見つけることはできない。
 焦りがある・・・だが、不思議と気持ち悪くはなかった。

 目的地は目の前に迫っていた───東京基地。
 日本の拠点。
 今それに迫る波がこちらから伺えた。
 空を覆う、精霊の大群だ。

 ・・・まずい、そう思った時にはもう遅かった。
 精霊は探知能力に優れている。

 宙に浮かんだ巨大な人形を、大小あれど同じ形の精霊が取り囲んだ。
 数は7。
 7:1───それは袋叩きにも等しい絶望的な戦力比だ。
 戦術の教本でこのケースを参照出来たならば、
 『生き残る方法』が載っておらず、ましてや『勝つ方法』なぞ一文字もないだろう。
 『一人でも多く道連れに出来る方法』、
 或いは人生に見切りを付ける為の精神論が展開されているかもしれない。

675:2007/10/19(金) 21:24:35 ID:gHe2.6To0
「キョオオオオオオオオオオオオ・・・!」


 ・・・不気味な音が周囲360度から響く。
 周囲を囲うタイプ・テンペスタスが、自身の体内に風を溜め込んでいる音だ。
 数秒に渡り溜め込まれた大気は、やがて一瞬で放出され、鋭いエーテルの刃と化す。
 刃は機体にエーテル体を循環させる動力部と、
 パイロット自身のおちんちんを構成するエーテルを器用に引き裂く。
 千年守の愛刀『珠依姫・三門守宗』に性質的には近いとされている、
 命を奪わずおちんちんを奪うこの悪夢の兵装を、
 この世界の聖女は忌々しさを込めて『去勢・鎌鼬(きょせい・かまいたち)』と呼んでいる。

 ・・・刃はあまりに鋭く、この一迅の風を受けておちんちんを保てる人間は居ない。

 
「フシャアッ!!」


 今、7つの刃がほぼ放たれた。
 おちんちんを除去する為の刃は、味方には当たっても問題ない。
 ゆえに相打ちを気にせぬ弾道を選択でき、
 ターゲットにとって『どの可能性を選択しても当たる』様に、
 7つの刃は球状の包囲を狭める様に迫っていく! 

 そして・・・風が到達するまでの絶望的な数瞬の間。
 リーゼロッテ・アッヒェンバッハは一言呟いた。


「・・・来るんじゃなかった」


 そう、来るのではなかった。
 法的な罪の清算。そんなものが何になる?
 良い事をすれば悪い事は消えるのか?
 人を一人殺した罪は、他で人を一人救えば清算されるのか?
・・・馬鹿馬鹿しい問いだ。
そもそも罪という意識そのものが、人間の妄想の産物ではないのか。

 くだらない。考えるだけ面倒。そんなことよりお金だ。明日を生きていくお金。
 明日の寝床を確保でき、ゆったりとお姉ちゃんを綺麗にできる、
 そんな可能性を可能にするお金なのだ。

 まったく、仕事選びを間違っているにも程がある。

 だから一言、悪態を付いた。
 来るんじゃなかったと。自分は本来そう思っているんだと。
 本来の自分、『緋目の人形使い』は、この胸のわだかまりを疑問に思っているのだと。
 
───リーゼロッテは不器用だね。

 姉がそう言った気がした。
 今は無視して、少しだけ、指を強く噛む。

いつもより多くの血が小さな指から溢れ出す。
赤い宝石の様にぷっくりと膨れ上がった血液は、
やがて重力に従い流れ出し、コクピットの床へぽたぽたと落ちた───


「我が血に宿る盟約よ、形を為せ」

676:2007/10/19(金) 21:25:28 ID:gHe2.6To0
 爆発。
 そう言って差し支えない光景が、精霊の群れの眼前に広がっていた。
 攻撃が当たったのではない。
 か細い少女の声と共に、巨大な人形の、稼動部分の一部が爆ぜていた。

 元より、彼女と精霊の契りは利害が一致したゆえのものである。
 精霊達の人間への決起とギーァの利益は、全く無縁のものだった。
 少女と闇の契約は、未だ健在である。

 ───爆発的に、

 関節部分から強く溢れ出した『闇』はやがて大きな口と化す。
 例えるならば一言、それはそれは『暴力的』な。
 全てを飲み込む闇の権化は、宿主を屠る可能性の刃を数本喰らい、消し去った。
 ギーァの動きに合わせ、リーゼは機体の位置を横へ僅かにシフト。
 最小限の回避───残りの鎌鼬は、何物にも当たる事なく通過した。


 ターゲット、リーゼロッテの生還。
 予想外の事態・・・そう思考する間すら、串刺しになった一体目のテンペスタスは与えられていただろうか。


「・・・壊れちゃえ」


 言葉と共に、殺害と共に。
 リーゼの瞳の緋い色が更に濃くなる。

 次弾装填、そんな暇を与える道理は無い。
 包囲するテンペスタスの群れを、数瞬の間に3体、4体と次々と突き刺し、切り裂いていく。 

 ───緋色の一撃は一瞬にして的確。

 ターゲットは何かを思って殺すのではない。
 即ち殺害とは日常的な習慣である。
 生きる為の雑務、呼吸の為の処理。
 殺害は食事に等しい。
 ゆえに喰われる側は、まるで人形使いの瞳に自らの血・・・生命を飲まれている様に見える。

 『緋目の人形使い』。

 結果、包囲した7体が原型を留めなくなるまでに、十秒の時を必要としなかった。

 だが勿論、これで終わりではない。
 敵は大群なのだ。
 リーゼロッテは、一瞬の命を繋いだに過ぎない。


「・・・後から後からゴミが湧く」


 だが、リーゼロッテの瞳に恐怖はない。
 どちらかと言うならば、面倒そうな表情をそこから読み取ることができるほどだった。
 死線を潜り、一瞬の命を繋ぎ続ける戦いの幕開け。
 だが元より、人殺しの生とはそんなものなのだ。


「───ん」


 リーゼロッテの視界に違和感が飛び込んできた。
 何か火球の様なものが、東京基地から敵の大群に向かい飛んでいっている。
 いや、火球じゃない。あれは・・・おちんちんのアルカナ?
 だとすると、敵の大群に単騎突撃している。


「・・・馬鹿だ。馬鹿がいる」


 そこでぴんと来た。
 とんでもない馬鹿に、一人心当たりがあった。
 リーゼは進路を、基地から火球へと変える。

 ───その進路を阻む様に、また数体のテンペスタスが姿を現した。


「・・・キリがない」


 面倒そうな態度とは裏腹に、リーゼの動きはいつにも増して攻撃的に切り込んでゆく。
 リーゼの心を満たすのは珍しい感情───期待。


「・・・・・・」


 激しい戦いの中でもリーゼロッテは声一つ上げず。
 しかし心の中には、一人の少女の姿を激しく、強く描き続けている。
 おそらく無意識に、しかし強烈に、鮮烈に。

677:2007/10/19(金) 21:26:14 ID:gHe2.6To0
◆ 15

 吹き荒ぶ風。
 迫る炎の波。
 響き轟く雷。


 災害───と呼ぶに相応しいと判断。
 マスターである博士、おちんちんを脅かす敵は災害。
 『災害』の規模は特大。

 目的:災害からおちんちんを守護

 ───可能?


「否。尋ねることではありません」


 美凰は『一人呟く』。

 機械としてはありえない、無駄な行為であると判断。
 排除(Y/N)?

 N。

 ───博士は私に優秀たる機械を望んだに非ず。
 私は機械の前に、人である事を優先付けられている。

 私は、博士の無事を願っている。
 Y/Nではなく。0か1かではなく。
 私は博士の前からあらゆる障害を取り除き、その笑顔を観賞する事を欲している。


「目標捕捉」


 本当は捕捉も糞もない。目標は眼前全てに立ち塞がっている。
 だからこれは、自らの槍に力を入れる為の言葉だ。
 おちんちんを奮い立たせる一言だ。

 股間に炎が滾る様な感覚と同時に、美凰が乗る機体が炎を纏った。


「フェニックス・ワンより各機。
作戦名『四聖王道』。道を斬り開きます。みなさんには後に続き、サポートを要請します」


 チームメイトのウィンドウが美凰の指示に呼応し、
 次々と了解の意を告げては閉じてゆく。
 流星群の様に一瞬で開き、また閉じたウィンドウの数は6。

・・・美凰の目が、険しく細められた。


この世界における戦死とは即ち、おちんちんを失うことが殆どである。
 失った者は身体を保てなくなり、光の泡となって世界から消滅する。
 きらはこれを死では無くリタイア、資格の消滅と呼んだ。
 それは例えば人間界と精霊界の様な、この世界とは別の世界に飛ばされている可能性が高いのだという。
 しかし愛を伴う触れ合いを知った聖女達にとって、そんな推測は既に慰めにもならない。
 『目の前から居なくなる』という確固たる事実は、既に死と同類のものなのだ。


 ───たったひとりも、失えない。


 誓いと共に、美凰のおちんちんが急勾配になる。
 躊躇いはない、戦場の昂揚。

 コンソール上の3区切りのゲージを惜しみ無く使い、フルブースト。
 美凰の機体が炎に包まれ、爆進する。
 対する敵の先鋭もまた炎、タイプ・ランゴンの群が織り成す炎の壁。

678:2007/10/19(金) 21:27:01 ID:gHe2.6To0
 『四聖王道』。
 それは特筆すべき作戦ではない。
 美凰の優れた技能と、また美凰の搭乗するハイスペック・マシン、『聖火』。
 この性能に任せたゴリ押しだ。
 単騎突撃、精霊晶を破壊。残る者は美凰をフォロー。それだけである。

 こんなもの、作戦ですらない。
 だが、美凰はそれを可能にする。


 美凰はライトに持つ銃口を定め、手当たり次第に発砲、発砲、発砲。
 次々と吐き出される銃弾は高密度のエーテル体に着弾すると炸裂。
エーテル体を分解する働きのある放射線を撒き散らす。
 エーテルで構成された精霊にとってはまさに天敵で、まともに食らえば精霊一体が四散する威力を持つ。

 必殺の銃弾を秒間17発でバラ撒く化物の銘は『精霊流し(しょうろうながし)』。
 開発者は勿論、大道寺きら。
 作者の性格を察するに相応しい、攻撃的なユーモアが篭められた一品だと言える。

 アンチ・エーテルの幕を張りつつ、ランゴンの列が薄くなった所に突撃。

 美凰の纏う炎の圧がランゴンに勝り、一瞬の相殺の後、次々と周囲の敵を弾き飛ばしてゆく。
 もし彼女の戦闘光景を遠くで見る事が叶ったならば、火球が壁を突き破った様に見えたことだろう。
 
 凄まじい連射速度の当然の代償として、精霊流しの残弾は驚くほど早く無くなっていく。
 残弾は0になればフルオートでリロードされるが、その為には180フレーム、秒にして約三秒の隙を敵前に晒さねばならない。
 1フレを活かすかどうかがデッドオアアライブを判ずる戦場において、180は決して少ないとは言えない隙である。

 先刻使い切ったブースターが既に二目盛を満たすところまで回復していた。
 
 とりあえずは計画通り。
 これを使ってホーミングしつつ、180の隙をレフトの近接武器、アンチエーテルコーティングのナイフを使って凌ぐ。凌ぎ切り、再度乱射。精霊晶を一気に破壊する計画だ。
 美凰は一瞬でも早く行動に移そうとして───


 ───ARERT。
 前方より高エーテル反応、属性:雷。

 
・・・顔を顰める暇もない。

 自分の立つ周囲10メーター以内に居るブツを吹き飛ばしますよという神のお告げ。
 ヴァンリーの放つ高圧エーテル砲、通称『スカルトエルム』は、
 落雷した周囲のおちんちん、及び周囲にある電子機器を絶対的に、無慈悲に焼き切る。
 救い様がある事には、どこぞの鎌鼬と違いその攻撃の余りのエーテル密度から、
 同士討ちを許してしまうということだ。

 ・・・気づけば精霊達は距離を取っている。
 気付いていれば、もっと早めに反応できたかもしれない。
 だがそんな思考は今更、無駄な事に過ぎない。

 コンソールに表示された脅威到達まではジャスト3秒。
 思考時間は10フレームも用意されていない。

 即座に美凰の思考ルーチンに数百通りの未来が浮かんだ。
 約半数以上が即破滅へのパターン。

 美凰は周囲の状況、及び自らに蓄積された過去の経験というデータから、
 最速でひとつの可能性を掴み取った。
 破棄されていった可能性により良い正解はあったか、確認する猶予はない。

 1目盛丸々使い切ってフルブースト。
 不自然な程に素早く、火球は宙を駆ける。

 しかし即座に射程範囲を逃れる軌道を選択した機体の着地点には、
 数十のランゴンが、機体を数で燃やし尽くそうと待ち構えている。
 事実、着地予想点の密度は、機体の装甲を遥かに上回っていた。
 
 だがミスが一つ。美凰は微笑する。
 美凰の軌道がそこに着地するには高すぎる事に気が付いていなくてはならなかった。

 美凰は落雷の攻撃範囲ギリギリ外れに居座る、『ランゴンに着地』した。

679:2007/10/19(金) 21:28:00 ID:gHe2.6To0
「はあああああああああっ!!」


 ときの声と共に、壁を蹴る様にランゴンを蹴り、反対側に跳躍する!
 まるで生身で行うのも常人には不可能なアスレチック。
 美凰の能力は個体の格闘能力のみならず、操縦技術も標準以上に達している。
 事実、この一見不可能な軌道はその場のどの個体も予想し得ないものだった。
 
 油断していたランゴンは、予想通り着地点に戦力を集中、円形包囲をまばらにしていた。
 ランゴンの少ない所にそのままの超慣性を利用した跳び蹴りで包囲網に穴を開けて着地。

 一瞬遅れて、轟音。世界はホワイトアウトする。

 背面を激しいエーテルの奔流。
 だが、これは逆に背面から誰も攻めてこない保険へと転じている。

 ようやく一息───落ち着いて前方のランゴンを掃討する。
 すると倒れたランゴンの向こうに、禍々しい光を放つ好機が見えた。
 数十の精霊に固め守られた、虹色の光がそのまま形を成したかのような物体。
 
 最優先標的───精霊晶。

 確認。
 精霊流し残弾に不安無し。
 ホーミング・ブースター、既に全快。 

 背後のエーテル奔流も、そろそろ収まる。
 ゴールは目前。迷う要素は無かった。


「はああああああああああっ!!」


 単騎突撃。一対数十。
 立ち止まれば負け。躊躇えば負け。振り返えれば負け。
 立ち止まれば炎と雷に焼かれて肉まんの出来上がりだ。
 前に進み続ける事こそが唯一にして最高の逃避行。
 精霊流しで異形の軍隊に穴を開け続ける。

 精霊流しの威力を前に、喜劇の如く敵は吹き飛ぶ。
 だが時間は無情にも、悲劇の如く残弾を喰らい尽くしてゆく。
 悪夢の様な数秒。ブーストも有限。
 残量を示すグリーンが黒に侵食され、無情なEMPTY表示に近付いてゆく。
 

(・・・僅かに足りない!)


 データが絶望的な未来を指し示す。
 足りない。
 目前の精霊晶を確実に破壊するのに必要な場所へ、
 勝利へと到達する為のゲージが僅かに足りないのだ。


 ───立ち止まれば・・・。

 
 そこで美凰は停止。
 体に纏う激しい炎のエーテルも消える。


「・・・・・・」


 精霊はあっという間に美凰を囲む。
 その股に生えたおちんちんを刈り取ろうと、その刃を研ぎ始めている。
 近距離、中距離、遠距離、あらゆるレンジから牙が覗き見えている。

 迫りくる絶望、絶望、絶望の群れ・・・!

 覚悟を決めたか。
 諦めたか。この世から消え去る運命を受け入れたのか。


「・・・否、私は人の手により紡がれた文明の結晶」


 全身を纏っていた分の炎のエーテルを拳に集めていた。


「はあッ!」


 一瞬でそれを大地へと叩き付けた。 
 天地を揺るがそうかという大爆発。

 反動により、美凰の機体が激しく吹き飛ばされる。
 暴力的な慣性に支配された美凰機は、しかし確信的に精霊晶の方向へ近付いてゆく!

680:2007/10/19(金) 21:28:48 ID:gHe2.6To0
「・・・絶望を背負うのは私の役目ではありません。
この身を作るは冷たき歯車。然しこの身に宿すは燃え滾る心。

───我が身が背負うは人類の、否、博士の希望!」


 着地、激しい衝撃。
 音、衝撃、あらゆるものが暴れている。
 機体が荒らした大地から、巻き上げられた岩石が雨の様に周囲に散らばり行く。
 大地を割り、ただ一人王道を突き進むその姿は、まさに四聖、猛々しき現世の守り神───!

 衝撃で大地を荒らしながらスライド、美凰はついに目的地に辿り着く!


「・・・兵装転送ッ!」


 瞬間的に、美凰の機体の周囲にいくつものパーツが転送される。
 非常識な速度で前方に移動しながらもパーツは確実に装着されていく。
 やがて美凰の機体───『聖火』は数倍に膨れ上がり、精霊晶の前に立ち上がる!

 そして美凰の取る構えは、一見不可思議な構え。
 対象へ背を向ける、攻撃には一見有り得ぬ型。
 そう、それは必殺の構え。
 いくつもの敵を粉砕してきた、必殺の一撃。

 名は───


「 麒  麟  靠  撃  ! 」


 攻撃の直ぐ後、雪が降り始めた。
 戦場にはまるで不釣合いな、美しく幻想的な雪。

 雪は精霊晶を砕いた時に大気へと噴出されるエーテル体だった。
 太陽光を反射し、キラキラと発光する。
 それはまるでこの世の価値を知らしめるように。
 この世界本来の美しさを取り戻す通過儀礼の様に───


 ・・・私は人ではないが、私はこの光景をいつも美しいと思うことができる。


『・・・無事でしたか、隊長!!』


 美凰の兵装が解かれるのに数瞬遅れ。
 精霊晶という供給源を絶たれ、弱体化した精霊を掃討し、
 美凰の部隊が数機、聖火を守る様に取り囲んだ。


「・・・目標撃破。
これでかなりの敵の勢いをかなり殺ぐ事が出来ました。
一旦下がりますが、部隊に損傷は?」 


 コンソールに再び、『異常なし』のウィンドウが浮かんでは消える。
 その数は───ちゃんと、6。
 安堵が心を包む。

 しかし。


『た、隊長!』

「・・・どうしました」

『アルカナが───おちんちんのアルカナが、
精霊を凄い勢いで蹴散らしながらこちらに来ています!
所属は・・・不明?』

「・・・所属不明?」


 一瞬遅れて、精霊の一団が両断され、得体の知れぬ闇に喰らい尽くされる。
 謎のアルカナは不気味な容貌を持ち、
 一種の威厳を持って、美凰部隊の目の前に着地した。

 その機体を、美凰は一度見たことがあった。
 こんなに大きくは無かったが、確かにアレに似ている・・・。


「もしや、緋目の?
・・・いや、そんなことよりもその闇は・・・」

「そこの馬鹿に聞く」


 巨大な傀儡は、まるで廃熱するかの様に間接から闇を噴出してから、


「貴方は、愛乃はぁと?」

681:2007/10/19(金) 21:29:51 ID:gHe2.6To0
 ・・・たった一言だけ、そう尋ねてきた。

 美凰はただ当惑してしまう。
 何もかも謎過ぎたのだ。
 見たことも無い機体、緋目の人形遣いが何故ここに居るのか、
 そして何故まだ闇のアルカナと契約出来ているのか。
 更に出てきた『愛乃はぁと』の名前。
 リーゼロッテは素面で美凰の思考回路を攻撃していた。
 本人にその自覚は全く無いが、その攻撃は誠に激しいものだった。

 ゆえに緋目の意図すら読めず、質問に答えるのが精一杯である。


「・・・わ、私は愛乃はぁとでは、」


 辛い顔で美凰が答えようとしたその時。


『───隊長!
後方より超々高密度の勃起反応!
・・・味方、ですが、この機体は・・・!!』

「・・・何?」
 
 
 ───緋目が、見開かれる。

 緋目ばかりではない。きっとその場の誰もが目を見開き、呆気に取られた。
 突拍子も無く現れたソレは、まるで冗談そのものだったからだ。
 
 まず速度がコミカルだった。
 現実かどうか疑ってしまうような速度。
 身体を纏うエーテルの属性もおかしかった。
 明らかに多くの属性が混じっていた。
 最も強いのは雷だが、それに続き火、水、土、魔、闇───
 あらゆる力を満載して、光の様に美凰とリーゼの目前を通り過ぎたその機体は、
 まさに冗談以外の何物でもなかった。


「・・・あなたじゃ、ないね。
行こ、お姉ちゃん」


 爆音と共に通り抜けた後の、一瞬の静寂を付いたようにリーゼの声。
 聖火を視界から外し、通り過ぎた怪物の一瞬の姿を強く思い描いた。
 人形は闇を爆発させ、フルブースト。
 リーゼは美凰の視界から一瞬で失せた。
 

「・・・な、なんだったのですか、あれは」


 美凰は呆気に取られていた。
 美凰の心が、『呆然とする』という心情を深く体感していた。
 身体が全く動かなかった。
 心があるのも良い事ばかりでは無いのかも。つい罰当たりな事を考えた。

 美凰が正気を取り戻したのはその一瞬後、
 大道寺きらからの通信による、高いコール音のお陰だった。

682:2007/10/19(金) 21:30:36 ID:gHe2.6To0
◆ 16

「むんっ!」

 殴る。

「おーりゃあっ!」

 蹴る。

「愚か者めっ!」

 投げる。

「落ちろッ!」

 叩き付ける。


 ・・・規格外である。
 こんな暴力的なスタイルを取る機体は存在していいものなのか。

 標準的なおちんちんのアルカナの10倍はあろうかという、
 要塞級の容積をその身に有した、ゼリー状の巨大な物体が、疎らに基地に迫るアルカナ達を粉砕し続けている。
 射撃する訳でも斬るわけでもなく、ただ打撃で圧倒する。

 純粋な暴力だ。
 しかしシンプルであるがゆえに、格の差を見せ付けるのに容易い。
 大道寺きらの、その戦い方には他に変えられぬ『魅せ』があった。


「───ふん!」


 前衛の手を逃れて突撃してきた精霊を一通り地面に叩き付けて四散させてから、
 きらはつまらなそうに息をついた。


「つまらん、この程度か。
美凰も首尾よく働けたようだし、相手の攻め手もこの程度では基地まで届かぬな」

『きら様が恐ろしくて、精霊達も中々攻めに踏み切れぬのでしょう』

「その見え透いた世辞は公爵か。
口はいいようだが、身体は働いているのか?」

『御安心を。
やはり少々ハンディキャップを感じはしますがね、上々ですよ』


 確かに悪くない動きをしている。

 巨大なきらのおちんちんから少し離れた所で、
 スライムに取り付こうとする精霊を精霊流しで掃討している小さな機体があった。

 それはおちんちんのアルカナの構造を模倣した形ではあるが、違うものだ。
 おちんちんを持たない公爵の専用機体は、
 パイロットのエーテル体をその機体に直接伝導することが出来ないため、
 全て自分で動かしきらねばならない繊細な性能である上に、
 機体全体をエーテル体で纏えていない為に、精霊の攻撃に対し致命的に貧弱である。

 言うなれば、雑魚。
 美凰の「聖火」に比べればその性能は、3分の1あるかも怪しいところなのである。


「どうせお互い心底悪人だ。
気遣わん。生き残れば良いなどとは言わん。
死ぬ気で働いて来い。どうせ一度は終わった命だ、惜しくは無かろう」

『まぁ、後衛ですしね。今のところ命の危険すら余り感じませんが。
ということで・・・例の任務を遂行しようと思うのですがね』

「───なんだ、もうやれそうなのか?」

『見縊って貰っては困りますよ。
・・・ま、というよりやりたくて仕様が無い、それが本音ですが』

「馬鹿が。心底救えない、清々しい馬鹿め。
早速行って来い、コンマ1秒でも早くだ」

『・・・喜んで』


 小さな機体が巨大なゼリーから離れ、数秒と立たぬ内に姿が見えなくなった。
 公爵の受けた、その任務は・・・・・・


『───大統領、少しお伝えしたいことが』


 スライムに浮かぶ通信機が突然音を発し、震えた。
 東京基地、本部からだ。


「なんだ、言ってみろ」

『大変申し上げにくいのですが・・・』

「早く言え」


 歯切れが悪い。バッドニュースらしい。
 ・・・増援でも来たか。


『戦乙女(ヴァルキリー)が、出撃しました』

「・・・なんだと?」


 その報告に一瞬遅れて、きらの傍らを異常な高速で、何かが通り過ぎる。
 
 ───戦乙女。
 あの愛乃はぁとと共に数々の功績を挙げた歴戦の機体。
 廿楽冴姫のおちんちんのアルカナ───。

 反射的に、きらはその余りに巨大なアルカナの手を伸ばし、
 飛び去るアルカナを捕らえようとするが、
 その巨大さというアドバンテージを戦乙女はいとも軽く、『速さ』という力で抜き去っていった。

 ・・・通信機を力任せに蹴り飛ばす。


「・・・クソ!
出撃停止命令は出しといただろうが!!」

『申し訳ありません』

「・・・仕方あるまい。どうせ前線に出る気だろう、
こちらから美凰に援護要請しておく。他に報告は」

『ありません』

「減棒だ役立たずが」


 捨て台詞。通信オフ。

 まさか落とされはしないだろうが、内から予想外の出来事から起きるのは、
 指導者として気持ちの悪い事では決して無い。

・・・苛立ちを小さな足に込めて、スライムを思いっきり蹴飛ばした。
きらを包むゼリー状がの温度、硬度が上昇!
 スライムは興奮して出力が上昇した!!

 ・・・ため息。


「病人が、大人しくしていればいいものを・・・!」

683:2007/10/19(金) 21:31:29 ID:gHe2.6To0
◆ 17

 祭っていた土の精霊は何処かに消え。
 私たちがまともに勤めを果せぬ体になって早一年。

 ・・・春日の家は、今まさに落ち目で御座いました。

 四人の姉妹である私たちは、
 私以外の三人は未だ、その身に少しばかりは残された力で退魔を続けてはいるけども、
 そればかりでは、奉る神の消滅、神社の死───は、隠し切れぬ事でした。

 それでも今はなんとか、私がアルカナ乗りになるという条件で、
 神社への援護金を貰えてはいるけども、それも時間の問題で御座いましょう。
 遠くない未来・・・私たちの代で、この神社の歴史は終わりを迎えてしまうのかも、しれません。


「・・・・・・はぁ」


 部隊の皆には聞こえぬ様、溜息。

 何よりも隠せない、この心を沈める要因は、そればかりではありません。
 やはり、友が居なくなってしまったこと、
 それはどうしようもない楔となって、私の心を重く、暗い冷たい所に縛り続けるのです。


『春日隊長!』

「・・・なんですか?」


 出来るだけにこやかに答えました。


『公爵、と名乗る方が、春日隊長に通信を要請しているのですが』

「・・・公爵」


 公爵。その奇妙なあだ名を、小耳に挟んだことは御座います。
 近頃、大道寺大統領に付き添う、正体不明の女性。
 

「わかりました。繋いで戴けますか?」

『了解しました』


 すぐにコンソールに表示された隊員のウィンドウは消え、
 代わりにもう一つの黒いウィンドウが立ち上がります。
 そこに浮かんだ顔は───ありませんでした。
 SOUND ONLYという文字だけが、ただ無機質に表示されるばかりです。


『───突然の通信、失礼します。
わたくし、公爵と名乗るものでして、大統領の命をお伝えにあがりました』


 何故でしょうか。
 よくわかりませんが、その声を聴いた瞬間、私の体は、
 得体も知れぬ感覚に震え上がりました。
 その未知の感覚によって、しばらく返事をすることも出来ず、無言になったほどで御座います。

684:2007/10/19(金) 21:32:21 ID:gHe2.6To0
『・・・舞織隊長?』

「っは、はい・・・!
大統領の命、とは・・・?」

『いえ、そう構えずとも、簡単な話でございますよ。
私を貴方の部隊に、今回の戦闘に限り付き添わせて戴きたいのです。
平たく申し上げまして、見学、といったところですか』

「・・・見学?」

『そうです。
百聞は一見に如かず。
生で見て学ばれて来いと』


 不自然な話、でした。
 いや、不気味と言っても良いでしょう。
 意図のわからなすぎる大統領の命令。
 額面通りに受け取るならば、失礼ではありますが、大統領はただの新兵一人にどれだけの期待を背負っているというのでしょう。ありえないことです。

 けれども上からの指令とあれば逆らえる筈もありません。
 私は胸に大きな蟠りを残しつつも・・・承諾の意を伝えました。


『ありがとうございます。
噂に名高い舞織隊長の戦い、一瞬たりとも見逃さずこの瞳に焼き付けておきます』

「私なんかの動きが参考になるのならば、
それ以上の喜びは御座いません・・・では、そろそろ参りますので」

『了解。あと、』

「はい?」

『そう緊張なされずとも、舞織隊長ならばうまくやれますよ』

「・・・ッ!」

『失礼。余りに声が固かったもので。
・・・それでは』

「・・・・・・はい」


 通信が切れる。

 どうやってこちらの動揺を悟ったかわからない。
 ここまで来ると思い切りの良い嫌味。

 言葉遣いが妙に丁寧なのが、逆に・・・
 
 ・・・とはいえ、もう出撃の時刻。
 これ以上公爵に関して考えることは許されません。


 美凰様が首尾よく、最も近くの精霊晶に切り込み、破壊。
 私の部隊の役目は、破壊した水晶の周りに点々とする残存勢力の掃討、
 及び索敵中に未発見精霊晶があった場合、それを破壊すること。


 ───もはや生来の務めもままならぬ身分。
 せめて、この戦道だけでも太く繋がなければ。


「春日より各機。
───進軍、開始します!」





 ・・・舞織部隊、アルカナ機数、隊長機を含め7。
 そこに影の様に付き添う機体が一機、合計8機の進軍。

 先陣を切る聖女の顔は、使命感に強く、しかし暗く引き締められている。
 影に付き添う機体の主は、期待に、喜びに、その口元を歪めていた。
 向かう先にあるのは死地、ところがこれから起きる事が楽しみで仕方無いとでも言うように。


 既に多くの死線を見た様に見えるこの戦闘、
 0503東京基地防衛戦は、然し未だ半ばである。

685:2007/10/19(金) 21:38:36 ID:gHe2.6To0
つづく!


次の話ぐらいまでおちんちん分が少なめの展開になってしまいそうです。
畜生畜生!
・・・この戦闘の後は是非おちんちんパレードを書き綴りたいですね。

まぁこの話そのものを読んでくれている方も
おちんシーンだけ読んでる方も、次もお付き合い戴ければ幸いです。

ではまた次の金曜日に会えるといいんですけど
間に合うかどうかは神のみぞ知るって感じです

686名無しのアルカナ使い:2007/10/19(金) 22:22:38 ID:SHUjJgoE0
生きてて良かった


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