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投下用SS一時置き場
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規制にあって代理投下を依頼したい場合や
問題ありそうな作品を試験的に投下する場所です。
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乙!
なるほど。展開どうするのかと思いましたが、フローラの内面の話ですね。
矛盾はしてないし、良いと思います。
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勘違いだったら、ごめん。
赤毛の少女って誰?
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ゼシカじゃね?
内面描写だし、別に問題無いと思うよ。乙!
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ぱっと見だけど、誤用っぽいかな〜と。多分ね。
>フローラの心を惹きつけて「病まない」愛しい男性。(2/6)
>そして図々しくも自分も花嫁に立候補「し始めた。」(4/6)
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赤毛の少女=ゼシカです。
いや、何かフローラ単体の話で、今までの話と絡ませつつ、放送とリンクさせる方法が
夢って形しか思いつかなかったもので。
「夕方まで寝てました」っつーのも不自然かと思ったんですけど
本スレでは問題なしと言われたのでホッとしました。
誤字脱字はありませんかね?
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>>346
すみません。訂正しておきます。
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あ、更に細かいことだけど、()や「」の文末に。は要らないかと。
あとは346で指摘された以外に無いと思うよ。
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>>345>>347
ああ、そっか。
マリベルも喉を貫かれていたので、勘違いしました。
すいません。
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心臓の鼓動も呼吸も吐き気を(催す)ほどに乱れていた.(5/6)
細かくてごめんよ^^;
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あ。ごめん、>>351無し。
それであってるみたいだ。ごめんなさい。
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皆さん訂正ありがとうございます
・()内の。消去
・愛して「病まない」→止まない
・立候補「し始めた」→立候補した
・吐き気を催す→吐き気を覚えるほど
に訂正しておきました。
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>>353
吐き気に関しては用法はあってる
直す必要はないよ
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ごめんなさいー・・・。
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>>354
また訂正しなおすのもアレだし、どっちの表現でも問題ないので、
「吐き気を覚える〜」で行きます。
あと、彼女の悪夢3のシーンを
「そこにいたのは喉から血を流し、顔が醜く崩れた赤毛の少女。先ほど彼女が始末したはずの少女だった。」
↓
「そこにいたのは喉から血を流し、顔が醜く崩れた赤毛の少女。先ほど彼女が始末したはずの、
ゼシカ=アルバートであった。」
に加筆しました。
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「」の文末の。消すも忘れずにお願いします
しつこくてごめんよ
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>>357
サー!イエス サー!
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一旦、訂正版を投下させていただきます。
まだミスがあったらその時はよろしくお願いします。
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自分の前に立ち塞がる障害―赤毛の女魔法使いゼシカ―を始末し、その姿を借りたフローラは思った。
(早く他の二人も始末しなければなりませんわ)
早速立ち上がり、アレフたちが向かった方向に走り出そうと力を込めるが、力が入らない。
代わりに猛烈な睡魔が襲ってきた。一瞬どこかに身を潜めた何者かに眠りの魔法をかけられたのかと
思ったが、睡魔は彼女自身から来るものであった。
厳しい修行に励んでいたとはいえ、彼女は大商人ルドマン家の令嬢。
訓練を受けた兵士でも、ましてや打倒魔王のために厳しい旅を越えてきた勇者達でもない。
命を賭けた激しい闘いに彼女の体は疲れ果て、休息を求めていた。
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リュカは幸せそうな微笑を湛えビアンカを迎え入れ、そして抱きしめる。
身を焦がすような激しい屈辱感と嫉妬に駆られ、フローラも走り出す…が足が動かない。
冷たい何かが足元に纏わり付いて動きを封じている。
(一体何が…?)
足元に目をやる。そこには見覚えのある赤いもの。それが顔を上げる。
「ひっ…!」
フローラは小さく悲鳴を上げた。
そこにいたのは喉から血を流し、顔が醜く崩れた赤毛の少女。先ほど彼女が始末したはずの
ゼシカ=アルバートであった。
喉に開いた穴から血と、ひゅうひゅうと空しい音を出しながらも少女は言う。
「あなたは醜いわ。あなたの愛とやらは成就しない」
足首から伝わる冷たさと、そのおぞましさに全身が凍りつく 。
「た…助けて…リュカ様!」
精一杯の力を込めて愛しいリュカに助けを求める。
しかし、彼の目は冷たく、悲しみに暮れている。
(リュカ様…そんな哀れむような目で私を見ないでくださいませ…!)
気が付けば、リュカの腕の中で同じ瞳でビアンカも見つめている。
「…そんな目で…私を見るなあああぁぁああぁぁ!!!!」
フローラは絶叫した。
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ゴメン…順番ミスったorz
>>361=彼女の悪夢3/6
「ここは一体…?」
フローラは不思議な空間にいた。辺り一面、白、白、白。冬の清らかな雪の様な、夏の青い空を彩る雲の様な
一点の混じりも無いも無い純白。―そう、それはまるで花嫁が纏うウェディングドレスの様に―
天井も壁も無い、唯々白い空間に自分が消えてしまいそうな感覚に襲われた。
ふと、懐かしい気配を感じ、顔を上げた。
紫と白に彩られた人影。夜空を思わせる黒く輝く髪、そして底なしの優しさと、どこか物悲しさを秘めた不思議な眼差し。
(リュカ様…!?)
そう、見間違えるはずもない。サラボナの街で一目見たとき以来、フローラの心を惹きつけて止まない愛しい男性。
リュカは、にっこりと微笑んで両腕を広げた。
フローラの胸は少女のように高鳴った。その名を叫び、そのの胸に飛び込もうとする。
「リュカさ「リュカ!」」
誰かの声が重なった。それと同時に太陽のように輝く金の髪が横顔をなでる。
純白の結婚衣裳に身を包みリュカに向かっていくその後姿…見覚えがある!
(あの女だ!私からリュカ様を奪ったあの忌々しい女…!)
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―私がこんな事になったのは一体誰のせい?貴女のせいじゃない!
あの時はいなかったはずなのに水のリングを持ってきた彼の隣に貴女が現われた。
そして図々しくも自分も花嫁に立候補した。そして…彼はあの女を選んだ…!
貴女さえいなければ私はリュカ様と幸せになれた!幸せな家庭を築く事が出来た!
貴女さえ…貴女さえいなければ!!―
そう思った瞬間、顔が焼けるような熱さに襲われた―否、炎も無いのに彼女の顔は焼けていた。
「うああああああぁぁぁぁああああぁぁぁぁあぁぁぁっ!!!!」
その苦しみに淑女らしからぬ叫び声を上げ、フローラはのた打ち回った。
ようやく激しい熱さと痛みから解放された時には、リュカもビアンカも、あの赤毛の少女の姿も消えていた。
フローラは床が鏡のように透き通っている事に気が付いた。
そして、見てしまった。自分の顔を。
醜く焼け爛れた顔であったならどれだけ良かったであろうか?
そこに映し出された彼女のそれは、この殺戮ゲームが始まる時に祭壇に祭られていた
邪神の像のそれであった。
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フローラは目を覚ました。冷や汗で体は冷え、服は纏わりつき、
心臓の鼓動も呼吸も吐き気を覚えるほどに乱れていた。
(しっかりなさい、フローラ。あんなの唯の夢じゃないの)
そう自分に言い聞かせ、何度も深呼吸をしてようやく彼女は平静を取り戻した。
(そうよ、フローラ。このゲームを生き残るにはもっと冷静にならなくてはいけないのよ)
このゲームには様々な参加者がいる。戦士、魔法使い、王族、魔族、冒険者、魔物…誰も彼も一筋縄ではいかない
猛者ばかりであろう。
そう、世界を闇から救った天空の勇者でさえも。
天空の勇者レックス―リュカ様とあの女との子供―
そう思うと沸々と嫉妬と憎しみが湧き上がって来る。
(ほら、私もまだまだ修行が足りませんわね。ねぇ?リュカ様…)
フローラは愛する男性を思い、空を見上げた。夕日が燃えるように美しく空を赤く染め上げていた。
大分後れを取ってしまった…。
さぁ急がなければ。自分以外の参加者を血の海へ沈めていかなければ。
私の人生をやり直す為に、私と…私だけのリュカ様との幸せを手にする為に…!
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【C-5/山岳地帯/放送直前】
【フローラ@DQ5】
[状態]:HP、MP:睡眠をとり回復。ゼシカに変化 顔から右半身にかけて火傷の跡
[装備]:山彦の帽子 毒針 ベレッタM92(残弾15)
[道具]:変化の杖 マガジン(装弾数15)×1 神鳥の杖 エッチな下着 未確認(一つ)
[思考]:アレフとルーシアを追い、殺す ゲームに乗る 永遠の若さとリュカの蘇生を願う
※フローラの火傷には定期的な回復治療が必要です。 治療しないと半日後くらいからじわじわと痛みだし、悪化します。
完治にはメガザル、超万能薬、世界樹の雫級の方法が必要です
余談:そういえばそろそろフローラの火傷が痛み出す頃ですか?
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うん、ざっと見た感じ大丈夫だと思う。修正乙!
火傷負ったのが朝だからそろそろ痛み出す頃だと思うけど、
そういやフローラってべホイミ使えるよね?
その程度じゃ僅かな時間痛みを和らげるだけとか、そういうことなんだろうか?
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定期的な回復治療が必要だから、痛みなら、ベホイミとかで良いと思う
完治にはメガザル、超万能薬、世界樹の雫級の方法。
でも、超万能薬もってるやつってアトラスぐらいだっけ?
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フィオがフローラの回復治療を終えたのが昼〜真昼間
だから次に痛み出すのは真夜中〜深夜あたり
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>>367
持ってそうなのはベリアル&アトラスでしょうね。
バズズはアリス襲撃の時に使っていたから。
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ベリアルの手持ちの超万能薬は燃え尽きたかどうだか不明だったっけ?
一般参加者の誰かが持ってたらそれを巡っての攻防も面白そうだが
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「彼女の悪夢」ですが、何も問題が無さそうならば、22:30に本スレに投下します。
それまでに訂正点があったらよろしくお願いします。
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>>370
錬金釜をめぐる攻防とも繋がりそうでwktk!
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面白そう・・・<錬金材料あるかなw
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結局ゼシカはエッチな下着は装備しなかったんだな。
フローラが着るのだろうか?
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・・・絵師で描かれている感じになるのかな?>フローラでしたぎ。
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トルネコの色んな草詰め合わせで超万能薬つくれないかな?
ちょっと無理があるか。
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しかしフローラは所詮三十路だ。
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>>377
あれ?後ろにゼシカがいるよ?
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違う、ラーの鏡は真実を映し出しているッ!
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【懺悔】
ぐはぁ!本スレageてしまったぁ!
ゼシカの毒針に当たって逝って来ますノシ
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気にしな〜い。
じきに下がるし、ここにいる皆さんがsageてくれますよw
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>>377
三十路からが食べ頃なのよ坊や。
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>>382
20前後のピチピチギャル以外に興味などないッ!
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>>383
おっさんいつのまに!?
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PS2版DQ5から試算してみる。
幼年期:主人公6才 奴隷生活10年
青年期前半:主人公16歳 石像生活8年
フローラは主人公と同じか、年下だろうから青年期前半・後半にそれぞれ2年かかったとして現在28歳。
……意外と若いじゃないか。
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ビアンカだと三十路になるんだよな。
それが可哀想でビアンカ選んだ俺。
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アレフ&ルーシアの書き手さん、時間がかかりそうでしたら、本スレで言って下さいね〜待ちますから〜。
お休みなさい ノノ
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投稿来たね。じゃあ、もう放送か?
さらに一人死んで残り25名。ものすごいハイペースだ…。
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◆inu/rT8YOUです。本スレで言ってた没と通しの境目のもの、
書き上がったので置いていきます。例によって長いです。意見等お願いします。
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ごーん、ごーんと遠くで鐘の音。
旅の途中泊めてもらった修道院で聞いたそれとよく似ていた。
妹と二人、一度でいいから自分たちも鐘を鳴らしてみたいと駄々をこねて
力一杯撞いた釣鐘を凹ませてしまって、お父さんにひどく叱られたっけ。
……いもうとは、おとうさんは、なんてなまえだったっけ?
なんだか全てが靄に掛かったように曖昧で。
――『Ryuka』――
知らない声が読み上げる。
りゅか。そう、確かお父さんはそんな名前だった。
……でも、なんでお父さんの名前が呼ばれたんだろう?
「覚えてないの?」
横合いから声。振り向けば緑の頭巾の少年が立っていた。
その首から下には無数の傷が刻まれていて、元は頭巾と同じ色をしていただろう上着も何もかもが真っ赤に染まっていて、
とても痛そうなのに彼はその苦痛も感じていないかのように平然としていた。
何処かで見た覚えのある顔。でも何処でだろう?
「此処ではね、死んだ人は名前を呼ばれるんだよ」
(うそだよ)
即座に首を横に振る。
(お父さんはとっても強いんだ。死んだりなんてするもんか)
「嘘じゃないよ」
聞き慣れた声に顔を上げる。
いつの間にやら、すぐ目の前に子供が一人立っていた。
癖の強い金色の髪に、天空をそのまま切り抜いたような色の瞳。
その身に纏った胴着や群青色のマントまで、その子は髪の先からつま先まで、何処をとってもレックスに瓜二つだった。
――その手が血に塗れていることを除けば、だが。
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「なんでそんな必死に否定するの?死んで良かったじゃないか、あんな奴」
鏡映しの子供が笑う。
にいと開いた口元から覗く赤い舌、その禍々しさにレックスは思わず後退る。
「国も産まれたばかりの僕らも放り出して、お母さんを助けに行って、
挙句石化して8年間も行方不明になったりしてさ!
結局お父さんはお母さんが一番なんだ。死んで清々するよ、あんなやつ!」
(そんなの嫌だよ!やっと見つけて――これからはずっと一緒にいられると思ってたのに!)
同じ顔、同じ声がこれ以上父に対する呪詛を吐くのを見たくはない。
己の影に背を向け走り出し、どんど何かにぶつかって慌てて顔を上げる。
「そんなのって、ないよ」
呟いたのは、炎のような赤毛を高い位置で結い上げた小柄な少女。
胸にぽっかりと穴を空け、まだあどけなさを残すなめらかな頬は溢れる涙に濡れていて、
可哀想に思って手を伸ばすと、少女は引き攣った悲鳴を上げてレックスの手を振り払った。
駆け出そうとして足が縺れて尻餅をつき、それでも少しでもレックスから距離を置こうとでもいうようにじりじりと後退る。
「あたしのこと騙して、殺して、これ以上何をするっていうの?
あたしだってもっと皆と一緒にいたかった。もっと生きていたかった。
死にたくなんてなかったのに。……ねえ」
涙に濡れた瞳が、狂おしくこちらを見上げる。
「なんであたしを殺したの?」
(……知らない。知らないよ!僕じゃない)
「君が僕を殺した」
少年の虚ろな瞳がこちらを見つめる。――この顔をレックスは知っている。
「あんたがあたしを殺した」
少女の潤んだ瞳がこちらを見上げる。――見覚えが、ある。
でも思い出せない。思い出したくない。
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けらけらともう一人のレックスが嘲笑を上げた。
「そう、僕が殺した。君が殺した。僕らが殺した!
ほーら、君の両手を見てごらん?」
言われてのろのろと視線を落とす。視界の両手は真っ赤に染まっていた。
ぬるぬるとした生暖かい感触。鉄錆の臭い。
脳天に雷が落ちたような感覚が身体中を駆け巡り。
己の胸に吸い込まれた刃を信じられないといった様子で見つめる頭巾の少年。
二度、三度、刃を振り下ろすたびぱっと赤い華が咲き、少年の身体はまるでダンスを踊るように揺れ、赤い海に倒れ込む。
恐怖に震える手を武器へと伸ばす赤毛の少女。その胸を雷光が射抜く。
ぴくぴくと痙攣するその胸に刃を突き立てると、少女の身体が一際大きく跳ねて、
恐怖か、痛みか、はたまたただの生理的な現象なのか、どんよりと曇った瞳から零れた涙が頬を伝う。
僕はこの人たちを知っている。この人たちの死に顔を知っている。
だって、僕が殺したんだから。
僕が殺したボクガコロシタぼくがころしたぼくがコロしたぼくガころしタボクがころした
僕がぼくがボくがぼくがボクがボクガぼくがぼくガ僕ガぼくガぼくガボくがぼくガぼくが
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「やっと思い出した?馬鹿な僕!
たとえ忘れたところで君の罪は消えないんだよ!」
(誰か、助けて。助けて、誰か)
思い浮かぶのは家族のことだ。もうこの世にはいない父、いつもレックスを慕って後ろをついてきた妹、それに。
(たすけて、おかあさん――お母さん!)
「無駄だよ、お母さんは来やしないさ」
(なんで?)
「だって、君にはあれが見えないの?」
芝居がかった仕草で指差すその先に、血溜まりの中倒れ伏すのは一人の女。
その着衣はところどころが焦げついて、だが背を覆う長い髪はいささかもその美しさを損なってはいなかった。
眩く、清廉な輝きを放つ黄金の滝。
『――ほら、こっちよ、レックス!』
霞みのかかった記憶の中で、母が笑う。
彼と妹の色彩は母譲りだった。天空を切り取った青の瞳に、長い長い金髪の――
「そう、僕らが殺したんだよ」
同じ顔をした子供が醜悪な笑みを浮かべ、
――『Bianca』
追い討ちを掛けるように、無情にも声が告げた。
(――ああああああああああああああああああああああ――)
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時は夕刻。闇の中なら空飛ぶベッドも昼間ほどには目立たないかもしれないが、
見通しの効かぬ闇の中を飛び回るのは危険に過ぎる。
どうやってこれをザックに仕舞ったものかと首を捻る男二人と、難しい顔で地図とにらめっこを続けるトロデを尻目に、
マリアは眠る子供を膝に乗せ、手持ち無沙汰にその髪を梳いていた。
緑の彼方に陽が沈み、残滓が世界を茜色に染め上げる。
その瞬間を素直に美しいと思い、柳眉を顰めた。
見事な夕焼けも、響き渡る鐘の音も、殺し合いにはまるで似つかわしくない。
美しくも不吉な調べは、幼い頃の母の葬儀を思い出させる。
もともと沈んだ気分が更に落ち込んで、マリアは目を伏せた。
と、その視線の先、子供の睫毛がぴくと震える。
まさかまた目を覚ましたのだろうか。思わず身体を硬くするが、鐘の音は子供を覚醒させるには至らなかった。
唇が何やら音にならない言葉を刻み、子供らしい丸みを帯びた頬を一筋、透明な雫が伝う。
途端、憐憫が溢れてマリアは胸を押さえた。
一度となくマリア自身や、トロデを襲い、命を脅かした子供。
しかしそれも呪いに侵され、強制されてのことと知ればその事実さえもまた憐れだった。
膝の上の軽い身体。
自分たちに襲い掛かって来たとは――もしかしたら、もう人を殺めているとは思えない、稚い無垢な寝顔。
呪いが解け、己を取り戻した時、この子はその罪の重さに耐えられるだろうか。
(もっとも、その呪いを解く方法さえ見当がつかないのですけど)
嘆息する。これでは取らぬ狸の何とやら、だ。
マリアは呪い破りの呪文を知らない。
かつて彼女自身に掛けられていた呪いを打ち破った、邪を払い真実を映し出す鏡があれば。
トロデの錬金釜か、あるいはハッサンとククールが見つけてきた書物にでも何か手がかりがあればいいが、彼女に今出来ることは何も無い。
せめて涙を拭ってやろうと子供の頬へと手を伸ばし、
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(――え?)
紡がれた名に思考が止まる。
放送は二度とは繰り返されない。震える手をザックに伸ばし、奥底から名簿を引っ張り出す。
どうか聞き間違いであってくれと祈るように頁をめくり、ようやく辿り着いた目当ての頁。
こちらを見つめる見慣れた二人の姿絵と、
その身体を切り裂くように斜めに引かれた、血のように赤い線。
『――マリア!』
『ほら、早く来いって!』
こちらを振り返り、笑う二人の声。
家族も民も故国も失くし、復讐に凍りついた心を溶かしてくれた遠縁の少年達。
全てを失ったマリアがようやく見つけた、大切なもの。それを。
(私はまた、失くしてしまった)
いつだってそうだ。
大切なものは指の間を擦り抜けていく。
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(……冗談きついぜ、おい)
淡々と、事務的に続けられる死者の列。
その一端に知った名を聞いて、ククールは瞠目する。
瞼の裏に浮かぶのは勝気に微笑む、赤毛の少女の姿だった。
(ゼシカ)
口説く小道具に渡した指輪は突っ返され、真面目に口説けばそっぽを向かれ、茶化せばするりとかわされ。
共に旅するうちに自分と彼女の関係はすっかり兄妹のような関係に落ち着いてしまったけれど、行きずりの恋人なんかよりずっと大切な仲間だった。
真っ直ぐで、はっきりと物を言う、だけれど心根の優しい少女。
言葉で「死んだ」と言われただけではとても信じられない。例え遺体を突きつけられたとて信じたくもない。
それはただの気持ちの問題だけではない。
ゼシカは七賢者の血をひく賢者の卵だった。
呪文の腕は言うまでもなく、魔法剣士であった兄の手ほどきもあってか武術の才もある。
その彼女が殺されたということは、それ以上の使い手がこのゲームに乗っているという証明でもある。
「――畜生っ!」
突然の大声、次いでどん、という音に目を開く。
ハッサンがこちらに背を向け、地面に拳を打ちつけていた。その肩は小さく震えている。
ああ、では彼の仲間も死んだのだ。
何か慰めの言葉でも掛けようかと口を開き、やめる。
自分がそう感じているように、今はどんな言葉も届かない気がした。
(ま、男を慰めるなんて俺の流儀じゃないしな)
『もう、またそんな馬鹿なこと言って!』
もうどんな軽口を叩いても、いつものように唇を尖らせた彼女が怒るのを見ることはないのだ。
それが無性に寂しかった。
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ククールの知るもう二つの名前が呼ばれることはついに無かった。
一つは間違いなく喜ぶべきことであったが、もう一つの名が呼ばれなかったことが良かったのか、悪かったのかは彼自身にも分からなかった。
聖地ゴルドで一応の決着を見たとはいえ、彼が異母兄に抱く感情は未だ複雑に過ぎる。
嘆き悲しむ大男の背中を見遣り、ふいに今朝の少年のことが思い出された。
直接少年の命を奪ったのは魔物の刃だったろうが、責任の一端は間違いなくククールにある。
彼の仲間も、彼の死をこうして悲しんでいるのだろうか。
――俺を、憎んでいるのだろうか。
胸に刺さった棘がちくりと痛んで、空を仰ぐ。と、
「どうしたんじゃ!?マリア王女!」
ふらりと揺らめくマリアの上体をトロデが支える。
頭痛を堪えるようにこめかみに当てた手は絶え間なく震え、雪白の肌はますます色をなくして死人のように白い。
貧血だろうか。慌てて駆け寄り、何気なく目を遣ったマリアの手元の開かれた名簿。
見知った姿に、今度色をなくしたのはククールの方だった。
「おじさま、私、また大切なものを失くしてしまいました」
泣きそうに歪んだ顔でマリアは笑い、震える指が愛しげに名簿をなぞる。
言わなければいい。
今朝のことを知っているのは自分と、あの魔物だけなのだから、このまま何食わぬ顔をして、トロデと一緒に彼女を慰めればいい。
けれど。
許してくれと、ククールは少年の遺体に言った。
死者に赦しを求めるのは容易い。死者は弾劾することはないのだから。
でも、彼がゼシカの死に痛みを覚えるように、マリアがあの少年の死に痛みを覚えるなら、
謝るべきは死者にではなく。
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「……の、せいなんだ」
「ん、どうしたんじゃ?ククール」
「俺のせいなんだ」
ぴくとマリアの肩が動く。
ゆっくりと持ち上げられた視線がククールを捉え――次の瞬間、彼女の手に納まった杖の先端がククールの喉に突きつけられる。
立ち上がった拍子、膝から転がり落ちた子供を慌ててトロデが抱え起こした。
「どういう、ことですか?」
問う言葉は凍てつき、赤葡萄酒色をした瞳は今や怒りに爛爛と輝き、炎のようで。
美人は怒っても綺麗ってのは本当なんだ、とどうでもいい考えばかりが脳裏にちらつく。
勿論、彼女に言うべきはそんなことではない。
「アレン、っていうんだな、あいつ」
名簿を見れば簡単に分かったはずの名前。
今の今までそれを調べなかったのは、自分の罪と向き合うのが怖かったからだ。
どうしても異母兄と真正面から向き合うことが出来なくて、逃げるように修道院を出た時と何も変わらない。
いつも楽な方へ、傷付かない方へと逃げてばかりだった彼の横っ面を引っ叩き、激を飛ばしてくれたのは今は亡き赤毛の少女で、
彼女はもういない。だから自分で向き合わなければいけない。
「魔物と戦ってたんだ。援護してやろうと思って矢を射って、丁度そいつが踏み込んだところに当たって、そのせいで魔物に斬られた。
――俺が殺したも同然だ」
「……嘘をついていないと、誓えますか?」
「女神と、騎士の名誉と、育ての親に誓って」
海青石の瞳と赤葡萄酒の瞳が見つめあう。先に視線を外したのはマリアの方だった。
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「出会ったのはつい先程ですけれど、あなたがたの話はおじさまから聞いていましたから。
おじさまの知り合いですもの、きっと良い方たちなのだと、そう思っていました」
喉元に突きつけられた杖がすいと下ろされる。
目を瞑り、次に開いたマリアの目は相変わらず爛爛と輝いてはいたが、瞳に宿るのは怒りではなく強い決意。
「だから、貴方が嘘をついていないと言うのなら、私は貴方を信じましょう」
「……済まない」
「謝らないで下さい。悪いのはハーゴンと、アレンを襲ったその魔物なのですから。
一つだけ、教えて下さい。その魔物の名は」
問いと同時に手渡された名簿。頁をめくり、見つけた絵姿をマリアに示す。
「――竜王」
その名を見とめて、マリアは我知らず皮肉な笑みを浮かべた。
かつて彼女の祖先が討伐したはずの魔物。それがアレンを殺し、今自分はまた彼を殺そうとしている。
それはロトの血族に刻まれた宿命か。
「マリア王女……憎しみからは何も、生まれぬよ」
「……分かっています。それでも」
心配そうに自分を覗き込むトロデの顔。
大丈夫だと笑みを返して、ますますトロデの顔が曇り上手く笑えなかったのだと知る。
「大丈夫ですから」
父を失い、民を失い、故国を失い、それでも彼女を歩ませたのは憎悪だった。
だから、今度もこの憎しみを抱えている限り前を向いていける。
いつかきっと普通に笑えるようになるから、それまではこの憎しみに囚われさせて欲しい。
(アレン、ランド。きっと私がハーゴンを討ってみせます。必ず)
それは、いつか父に交わしたのと同じ誓い。
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「大丈夫だって!タバサは此処にいないんだから。何をしたってバレっこないよ」
場違いなくらいに明るい声。
同じ顔に狂った笑みを浮かべて、子供は笑う。
「みんな殺して帰ろうよ、グランバニアへ!
それで、お父さんやお母さんが見つかる前みたいに妹と二人で暮らそう。
だって――」
差し伸べる手は、べったりと朱に染まって。
「――もう引き返せないんだから」
たすけて、と。
眠る子供の声なき言葉は、届かず潰えた。
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【E-4/アリアハン城北の平原/夜】
【トロデ@DQ8】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(不明の品が1?) 大錬金釜 聖者の灰 空飛ぶベッド ミレーユの通常支給品
[思考]:レックスの呪いを解く方法を探す 打倒ハーゴン
【マリア@DQ2ムーンブルク王女】
[状態]:健康
[装備]:いかづちの杖
[道具]:支給品一式(不明の品が1〜2?) ※小さなメダル トゲの鞭 毒薬瓶
[思考]:レックスの呪いを解く方法を探す 打倒ハーゴン 竜王(アレン)を倒す
【レックス@DQ5王子】
[状態]:呪われている(呪いの効果弱) 気絶(睡眠) 打撲
[装備]:折れた皆殺しの剣 王者のマント
[道具]:祈りの指輪×1(一回でも使えば限界)
[基本行動方針]:不明
【ハッサン@DQ6】
[状態]:健康
[装備]:聖なるナイフ
[所持]:まだらくも糸 魔物のエサ
[思考]:レックスの呪いを解く方法を探す 打倒ハーゴン
【ククール@DQ8】
[状態]:右腕に火傷(半分回復
[装備]:ビッグボウガン(矢 18)
[道具]:天馬の手綱 インテリめがね アリアハン城の呪文書×6(何か書いてある)
[思考]:レックスの呪いを解く方法を探す マルチェロを止める
-
投下完了です。ご意見よろしくお願いします。
ところで没スレにレックスネタ投下した貴方。
貴方は私の生き別れの双子か何かですか?
-
乙!
かなり泣けた(つД`).:∵
見事な精神描写で、読みふけってしまった。
バーサーカーも迫ってるってことで、投下していいと俺は思う
-
放送後の流れとしては十分だと思う
バーサーカーも仮に追いつけるとしてもこの短時間では無理だろうし
投下してもいいんじゃないかな
-
>>402
驚いた。
自分の考えてたネタと大体一緒。
レックスの夢のところまで書いて(ネタを詰めただけ)、貴方に先を越されたわけですけど。
没ネタにしろ、タイミングをはかるべきでしたね。
スイマセン。
-
それ友の作者さんだけあって、相変わらず上手いっすね。
今回も引き込まれました。
内容のほうは心理描写中心で時間はあんまり進んでないと思うんで
バーサーカー降臨前のひと時ということで投下は全然問題ないと自分は考えます。
どうしても気になるようでしたら、最後にバーサーカー接近を軽くでも触れればよいのでは。
もっとも最後のレックスの悲痛の余韻がなくなってしまうので、お勧めはしませんが。
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>>402
投下乙です。何だか読んでいるこっちも色んな話を思い出して
雨も降っていないのに頬が濡れました。
特にアレンと竜王の下りで目頭が熱くなりました。
うーん…何とか竜アレンと出会って誤解を解いて欲しいものです。
レックステラセツナス(つдT)
今までレックスはこのままま無邪気なブッちぎりで突っ走って欲しい派だったのですが
この話を読んで気が変わりました。
レックスの呪いを解く手っ取り早い方法が、聖者の灰をうまく使うか
天然シャナクなエイトに剣を引っぺがしてもらう事くらいしか思いつかない。
レックスの没ネタ書いたの貴方じゃなかったんですか!?
読んでる時に「あ〜この人レックス書いた人だな」と信じて疑いませんでした。
いやぁ、不思議な事もあるものですねw
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やっぱり平日深夜は人いませんね……感想&意見有難うございます。
とりあえずもう少し意見出揃うまで待ちますね。
もう深夜なので寝なければならないので投下は明日(今日だけど)の夜になってしまいますが。
>>405
いえいえ、純粋に驚いた&ちょっと嬉しかっただけですので。
他にもネタ被ってたりしたら面白いですね。
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うわ、人いないって言った瞬間沢山意見が。有難うございます。
あまり待たせてもいけないと思うので頑張って投下行ってきますノシ
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乙彼様です。
それぞれの悲しみが伝わってきて・・・いいですね。
ちょい気になったのはトロデがゼシカの死をスルーしてることだけかな。
でも投下しても何も問題ないと思いますよ。GJです!
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すみません、何故か5/12が何度書き込んでも反映されないので
どなたか助けてはいただけませんかorz
>>410
ゼシカの名前が呼ばれたのはマリアが必死に名簿めくってる&視点ククールに切り替わった辺りなので
立ち位置の関係上トロデの描写が出来ませんでした。二人とも自分で手一杯なので。
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一応支援カキコしておきました。原因はわかりませんががんばって下さい!
トロデに関してはまた次の時に書けば(・∀・)イイ!!
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規制されましたorzだからCATVは嫌なんだとあれほど(ry
どなたか続きを代わりに投下していただけないでしょうか?
7と11に改行気に入らないところがあるので、そこの修正版投下しておきます
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7と11と言いましたが、6と11の間違いでしたorzマジすいません
(――え?)
紡がれた名に思考が止まる。
放送は二度とは繰り返されない。震える手をザックに伸ばし、奥底から名簿を引っ張り出す。
どうか聞き間違いであってくれと祈るように頁をめくり、ようやく辿り着いた目当ての頁。
こちらを見つめる見慣れた二人の姿絵と、
その身体を切り裂くように斜めに引かれた、血のように赤い線。
『――マリア!』
『ほら、早く来いって!』
こちらを振り返り、笑う二人の声。
家族も民も故国も失くし、復讐に凍りついた心を溶かしてくれた遠縁の少年達。
全てを失ったマリアがようやく見つけた、大切なもの。それを。
(私はまた、失くしてしまった)
いつだってそうだ。
大切なものは指の間を擦り抜けていく。
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「大丈夫だって!タバサは此処にいないんだから。何をしたってバレっこないよ」
場違いなくらいに明るい声。
同じ顔に狂った笑みを浮かべて、子供は笑う。
「みんな殺して帰ろうよ、グランバニアへ!
それで、お父さんやお母さんが見つかる前みたいに妹と二人で暮らそう。
だって――」
差し伸べる手は、べったりと朱に染まって。
「――もう引き返せないんだから」
たすけて、と。
眠る子供の声なき言葉は、届かず潰えた。
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>>413
代行やってみます
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書きたかったことは
・レックス再マーダーフラグ
・マリア(&ククール)VSアレンの対主催同士討ちフラグ
そして迫り来るバーサーカー、全部ひっくるめて悪夢の種子、と。
説明しなきゃいけないタイトルって駄目ですねorz
>>407
でも実は私レックスマーダー推進派だったりする不思議。
>>416
お願い致します。ホント重ね重ねすみませんorz
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今代行投下終わりました。
ちゃんと投下されているか確認をお願いいたします。
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余談ですけど、大分初期の頃没ネタスレに
レックス改心→しかし罪に耐え切れず自害ってネタ書きますたw
俺も本音はレックスマーダー爆走推進派ですYO!
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>>418
ちゃんと投下されてます、有難うございました!
あのエイト&ビアンカのやつですか?読んでます。
私は救われてもいいかな→両親死んで救いないし狂ってもいいかな派ですw
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そう、それw
エイトがレックスの剣ひっぺがしネタが真っ先に思い浮かんだので。
皆殺しの剣蛾物壊れたのにまだ影響力があるとは考えていなかったので
ヤケっぱちで書きましたw
でもどっちみちビアンカ死んだのでお蔵入りです。
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私もビアンカにレックス救済させる話考えてましたが死んだのでお蔵入りです。
ではそろそろ寝ますね。代行本当に有難うございました。
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よく考えたらハッサンって身内はミレーユ、バーバラ、ドランゴ死んでて
うちミレーユ、バーバラがすぐ側のレックスに殺されてるんだな。
ハッサンはウオオーンだけで心理描写カットされてしまったが
実はククールとマリアで確執起こしてる場合じゃなかったんじゃないか?w
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視界が暗く、体が重い。
どうも自分は寝ているようだ。
『なんだい。まだ、ねてるのかい?アンタらしくないね』
『・・・つかれているんですよ。もう少し・・・眠らせてください』
目を閉じたままサマンサは言った。
『ほら。教会で、朝の鐘がなってる』『睡眠不足は美容の敵・・・』
寝ぼけながら寝返りを打つ。
『バカな事やってないで、さっさと起きな!』
顔に数滴の水をかけられる。飽れてならがら非難を込めて名を呼ぶ。
『・・・フィオ』
いつもの、旅の光景。
面倒になって目を開けてみると、頬が濡れている感触。
「良かった!!」
視界に飛び込んできたのは、泣きはらした美しい可憐な少女。
「ゴンさん、気づきましたよ。」
「まったく面倒な。おい、おまえ立てるか?」
「ええ。 ・・・!」
声をかけたほうを見て、構えをとろうした途端、足元の地面が揺れる。
「きゃ、危ない!!」「よっ、と」
よろけたところを、ドラゴンが支えてくれた。
魔物だが、どうやら害意は無いらしい。
「よかった。私達では回復方法が無くて。
失礼かと思いましたが、ゴンさんと一緒に貴女のザックも見させて頂いたのですけど・・・、
あ、品物は、ちゃんと元に戻しておきましたから」
「いえ、助かりました。ありがとうございます」
言いながら、ドラゴンから離れる。
会話をかわしている間にも、鐘の音が響いている。
「この鐘は、なんでしょう?」「さあ?」「知るか」
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疑問はすぐに解消された。
ハーゴンの独特の癇に障る低い声が聞こえ、次いで甲高い音が。
ゲームに参加している人間には声色がどのようなものであっても、2つとも最悪な声に違いない。
「禁止エリアですか、気をつけないといけませんね」
「ええ。」
会話を普通にできたのもここまでだった。
『さて、死んだ『可哀想な』もの達の名を読み上げる』
三人とも口を閉じる。
・・・・・「フィオ」
(ああ!・・・アリス!どうか無事でいて!!!)
仲間の名前が読み上げられた瞬間、真っ先に祈った。
ただ、ひとりの少女の無事を祈る。
この時ばかりは、理性よりも感情が心を占領した。
だが、それも束の間のこと、彼女の冷静すぎる理性が感情を押さえ込む。
(それは希望の名。彼女さえいれば、全ては無駄ではなく、未来は開かれるのだ・・・)
「大丈夫ですか?」
少女が頬を手でぬぐってくれている。
「だいじょうぶですよ。」
少女の細い手をどかした。
「ひょっとして、誰か知合いが・・?」
「・・・ええ」
「そうですか・・・」
黙り込む少女。声をかけるのを遠慮しているのだろう。
-
だが、私は泣くことはできない。
泣く前に、考えろ、考えろ。
このゲームに勝つ為にはどうすればいいのかを。
まず、目の前の一人と一匹を殺す方法を。
手に握り締めた石があたたかくなり、効果を発揮して、サマンサの体を癒す。
「まあ、だいぶ顔色も良くなりましたわ。」「ええ。おかげさまで。」
ひとりは簡単だろう。
この少女に人を殺す能力があるとは思えない。
もう一方に、目をやると、ドラゴンがこちらを注意深く睨んでいる。
駄目だ。この体では、多少回復しただけでは勝てない。
ゲームに乗っているのを、一人と一匹に知られてしまっている。これ以上、増えるのは流石にまずい。
ここは引くか。
「ありがとうございます。ここで休んでいれば大丈夫ですから。」にっこり笑う。
「でも・・・」
「俺らは俺らで、やることがあるだろう?先を急ぐぜ。」
可憐な少女は考えた後、思いついたらしく、手を叩く。
「そうですわ!一緒に参りません?」
「はぁ?」「えっ」
「ゴンさんーああ、自己紹介が未だでしたわね。わたくしローラです。こちらはゴンさん。あなたのお名前は?」
「は、はぁ。ご丁寧にどうもアリガトウゴザイマス。サマンサです。」
「あ、それでですね、ゴンさんも私も人をそれぞれ探しているんです。
サマンサさんも、治療できる人か傷が回復するまで、ご一緒しませんか?」
「あの、」「ね?」「ええっと」「ね?」
首をかしげている少女、大変風情のあるかわいらしい姿なのだが。
隣にいたドラゴンが溜息を1つ。
「諦めろ。
馬鹿女は言い出したら、止まらねぇ」
ドラゴンの背中にどこか哀愁があるような・・・魔物だろう、お前。
「はぁ」
「他に何かご一緒できない、わけでもありますの?」
-
これには咄嗟に返答できないサマンサ。
(まさか、殺せないからとは・・・)
「では、ご一緒させていただきます」
「まあ。良かった。よろしくお願いしますわね」「ふん」
(確かに、この体を回復させるのが最優先です。
それに先ほどの戦いで1人の限界を知ったばかり。
一緒にいれば二人を殺せるチャンスが来るかも知れません。その時が来るまで利用されてくれればいいのですが
「そうと決まれば。ほらっよ」
ゴンが背中にサマンサを、背中あわせで抱える。
「うわっ」
「この方が歩きが速いだろう」「良かったですわね、サマンサさん」
「は、ははははは。ありがとうございます」
「礼を言われることじゃねぇよ。遅いと、いらつくだけだ。
おい、馬鹿女、地図を見て先導してくれ」
「分かりましたわ〜」
サマンサは小声で言った。
「何か違う・・・」
ゴンは歩きながら注意深く様子をうかがう。
(先ほどの石、ザックの説明書では戦闘中しか使えない筈。
効果を発揮したのは、戦闘中だとコノ女が思ったからだろう。
つまり、この女には敵意がある。
背中あわせにして、ローラを視界に、できるだけ入れないのもその為だ。
用心しなければ、ならねぇな。チッ・・・面倒な)
ドラゴンは無意識に、閉じた口の舌で、腕輪を触っていた。
-
【B-4/森林地帯/夜(放送直後)】
【サマンサ@DQ3女魔法使い】
[状態]:HP3/8 MP1/5 全身に裂傷 貧血
[装備]:バシルーラの杖(5) 奇跡の石
[道具]:支給品一式 鉄兜
[思考]:勇者の血を守る
【ローラ@DQ1】
[状態]:健康
[装備]:光のドレス
[道具]:ロトの剣 支給品一式
[思考]:アレフを探す/ゲームを脱出する
【ゴン@DQ1ドラゴン】
[状態]:左肩に銃創(浅い)
[装備]:メガンテの腕輪
[道具]:支給品一式(不明アイテム一つ所持)
[思考]:ローラを竜王の所に連れて行く/それまでは護る
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訂正ありましたら、よろしくです。
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本スレは明日書きこみます。流石に眠い・・。
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う〜ん、ゴンさんになんか違和感。
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展開は大筋問題はないとおもいます。
疑心暗鬼してるのにどこか全体的に軽いのは、きっとローラの持つ雰囲気が原因でしょうw
ただ会話部分にところどころある改行の出鱈目さは解決して欲しいかも。
あとフィオの口調にもちょっと違和感あったかなあ。
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フィオの口調に違和感感じました。
フィオだときっと
『ん、まだ寝てんの?珍しい。あんたらしくないさね』
『ん、ほら、教会の鐘も元気になってるさね』ってとこかなぁ?
水ぶっ掛けて起こしそうなのは熱血突貫なアリスっぽい。
『ほらぁ〜サマンサ!寝ぼけてないで起きましょう!爽やかな朝日!
正義が私達をまっています!』って感じにw
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今更気づいたが、ローラ無限ループなのなw
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新作乙です。同じくフィオの口調がひっかかるかな、と。
「ん、〜かね」「ん、〜さね」とすればそれっぽくなるのでは。
あと「」を横に並べるのはちょっと読みにくいと思います。
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戦闘中うんぬんはいらないのではないでしょうか?
道具の効果がややこしくなりすぎないですかね。
なんか前話とも矛盾がでそうだし。
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奇跡の石は何時でも使えるという事で。
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エイト(&キーファ)&ベリアル話投下します。
訂正、誤字、脱字あったらお願いします。
「――この女、名前、アリーナ、言うのか?」
重傷を負い倒れていた紅の一つ目巨人から発せられた意外な言葉だった。
「そうです。この方は――アリーナ姫と言います」
大切な仲間を、守るべき姫を失い悲しみに沈む近衛兵から発せられた、これもまた
意外な言葉だった。
「…おまえ、この女の仲間か?」
「はい」
その返事はお互いが敵同士、仇同士であると確信させる言葉であった。
―こいつがベリアルを殺した―
―こいつがアリーナさんを殺した―
今ここで倒さなければならない相手…。しかし槍を握り締める手に、握り締める拳に、力が入らない。
それよりも…ただ、今は真実を知りたい…!
「おしえてくれ。この女…どんなやつだった?」
構えかけた拳を下ろし、赤鬼は尋ねた。最も慕っていた兄の仇に。
「…わかりました。僕の知る限りでよければ。そのかわり、僕にも教えてください。
この方が、どんな風に闘って……逝ったのかを…」
-
エイトは語った。
この大陸での事を。アリーナとの出会い、共闘、そして最期の別れを。
どうしてあの時、自分はアリーナの変化を、悲しい決意を見抜けなかったのだろうか。
もしかしたら、彼女が時折見せた無邪気な笑顔に、愛しい姫君―流星の姫君ミーティア姫―を
重ねていたのかもしれない。
「そうか。この女、お姫さまだったのか。おまえを守るために闘ってたのか」
エイトは民家で眠っているキーファの事は話さなかった。
今はお互いに語り合っているが、この語り合いが終われば恐らく、再び死闘の幕が上がるであろう。
今の自分が守るべき最後の仲間、最後の王族であるキーファを何としてでも守りたかった。
だから、黄金のアークデーモン、ベリアルは自分とアリーナで倒した、と話した。
「世の中には、すごいお姫さまが、まだいたんだな」
アトラスは独り言のように言った。
アトラスもまた、思い出していた。自分が出会ったもう一人の勇ましき姫君を。
あの日、ロンダルキアに攻めてきた勇者の血を引く三人の王族達。
その中の一人。偉大なる大神官ハーゴンによって滅ぼされた王国の生き残り。
―ムーンブルクの王女、マリア―
強大な魔力に満ち溢れ、数々の呪文を操り、仲間たちを次々と倒していったマリア。
戦い方は違えど、その瞳に宿る意志の輝きはどの姫君も同じ強さだった。
「…ベリアルが死んだって聞いたとき、アトラスすごく悲しかった。
この村でベリアルが死んでいるのを見たとき、すごく悲しくって、悔しくって、憎たらしくなって…
何が何だかわからなくなった。
でも、この女…アリーナが現われて、いっしょうけんめい闘っているのを見ているうちに
悲しいとか、悔しいとか、憎たらしいこととかが、いつの間にか消えて…
…アトラス…確かに楽しかった…」
-
アリーナの遺体に向き合い、アトラスは言った。
「ごめんな。アトラス、おまえを殺してしまった。お前に止めをさしきれなかった」
エイトはこの言葉に矛盾を感じつつも戦慄した。
―そうだ。この赤い巨人はキーファさんが言っていたハーゴンの刺客だ。
草原であったバトルレックスの様な、わかり合える魔物ではないんだ!―
悲しみをこらえ、全身の力を振り絞り、エイトはメタルキングの槍を構える。
「あなたは…人を殺すんですね?」
「あぁ。それが、もう一度よみがえったアトラスの仕事」
「…そんなことはさせない!もうこれ以上誰も死なせない!」
こいつを止めなければならない。今ここで。
この殺し合いの地には、かつて自分と共に暗黒新と戦った掛け替えの無い仲間たちがいる。
記憶喪失だった幼い自分を拾い、養い、近衛隊長という輝かしい地位まで与えてくださった
トロデ陛下までいる。
それだけではない。きっとここにはアリーナさんやキーファさんの仲間もいるはずだ。
他にも、理不尽な戦いを強制されている人々…。
今度こそ…今度こそ必ず守ってみせる!
エイトは長い旅の中で極めた槍技の一つ『さみだれ突き』を繰り出さんと構えた。
それを見たアトラスは悲しそうに笑った。
―本当に…本当にわかり合う事は出来ないのだろうか?―
一瞬でもそんな事を考えてしまった。油断だった。
次の瞬間には巨大な赤い拳がエイトの胴を直撃していた。その衝撃にエイトの体は民家の壁まで吹き飛ばされた。
「…がはっ!」
口中に生暖かい鉄の味が広がり、吐血した。それと同時に激しい眩暈が襲う。それでも懸命に顔を上げる。
目の前には、今まさにもう一撃を繰り出さんとする巨人の姿があった。
(こいつ…速い!)
あの巨体から一体何故これほどのスピードが出せるのか?―一瞬、巨人の胸に淡く輝く何かを見たような気がした―
早く避けるなり防ぐなりしなければ。しかし、全身に激痛が走り体が動かない。
(殺られる!)
そう思い、エイトはぎゅっと目を閉じた。
-
しかし、その一撃はいつまでたっても繰り出される事は無い。
「…やめた。やっぱりアトラス、今はお前を殺せない。ごめんよベリアル。
ごめんなさい、ハーゴン様、シドー様…。」
そう呟いてアトラスは改めてアリーナを見る。
自分が倒れた時に生じたであろう、激しい衝撃にも耐え、二本の足で大地を踏みしめ
迷いの無い真っ直ぐな拳を突き出したままのその姿。
血で汚れ、瞳はかつての輝きを失ってはいるが、一人の格闘かとしての誇りに満ち溢れた死に顔。
その誇り高き戦士が守ろうとした仲間の命を奪わないでいる事を、アトラスはこの戦士に対する餞に、
そして自分への戒めにした。
「でも、次にあったら、その時はアトラス、全力でお前を殺す。ベリアルの仇討つ!」
そうエイトに言い放ち、超万能薬で傷を癒し、アトラスはレーベの村を後にした。
新たなる生贄を破壊神に捧げるために…。
-
体が動かない。動けない。
白銀の中で、赤々と燃える炎と無数の狼達。それを束ねる黒き犬レオパルド。
それが咥える杖に串刺しにされる、命の恩人であるメディおばあさん…。
突然、何も言わず無表情で自分の首に手を回してきたアリーナ姫。
たった一人で戦いに挑み…そして…
あの時と一緒じゃないか!動きたくても動けない。アリーナさんも守れなかったじゃないか…。
あいつを止めないと…誰かがまた殺されるというのに…
あいつを…止め…ない…と…―
(ゼシカ…。ククール…。国王陛下…。)
薄れゆく意識の中でエイトが見たものは、獲物を求めで歩き出す、血のように紅い死の執行者の背中だった。
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