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投下用SS一時置き場
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「……まずいな」
ベッドのシーツを拝借し、裂いて包帯代わりにキーファの身体に巻きつけて当面の治療を終えて、エイトは拳を握り締めた。
「何がまずいんだ?押してるじゃないか」
「一撃が軽いんです」
スピードも手数もアリーナの方が圧倒的に上回っている。が、いかんせん装備が悪い。
いくら数を当てたところで相手の防御を突き破れなければ意味がない。
いずれ疲れ、動きが鈍ったところで一撃をもらって終わりだろう。
勿論、むざむざその予想を現実にさせるつもりはないが。
「キーファさんは此処にいて下さい!」
「なんでだよ!?俺も」
「ですが武器がありません。……キーファさんは呪文は?」
聞かれて、俯き首を振る。
幼い頃から武芸には打ち込んできていたが、呪文の才はまるで無かった。
「……分かった。死ぬなよ」
一つ頷き、駆け出していくエイトの後姿を見送って、キーファは無力感を噛み締めていた。
武器が一つしかないなら、さっきまで半死人だった自分よりエイトが加勢に行った方がいいに決まっている。
理性ではそう分かっていても、感情が追いつかない。
(俺はまた何も出来ず、庇われるだけなのか)
脳裏にランドの死に顔がちらついて、きつく目を閉じ、
気付いた。
「そうか……そうだ!」
再び顔を上げたその時には、キーファの顔から綺麗に憂いが消え去っていた。
代わりに浮かぶのは一つの決意。
そしてキーファもまた駆け出していく。
戦いの繰り広げられている場所ではなく、友の亡骸のあるところへと。
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