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FFDQかっこいい男コンテスト 〜ドラゴンクエスト5部門〜

1名無しの勇者:2002/10/18(金) 20:17
DQ5の小説専用スレです。
書き手も読み手もマターリと楽しくいきましょう。

*煽り荒らしは完全放置。レスするあなたも厨房です*

4517-20:2004/08/12(木) 13:26
最近父さんとお風呂に入るんだけど、それがすごい楽しみなんだ!
疲れた父さんが喜ぶから僕も嬉しいし。
でも父さんはお風呂に入ったときにした事は
絶対に母さんや他の人に言っちゃいけないって。
なんでかな?って思うけど、でも君には特別に教えてあげるね。

僕が父さんと最初にお風呂に入ったのは、父さんが石から元の姿に戻って
しばらくしてからだったんだけど・・・。

「わぁ!大きなお風呂だね」
僕は大きなお風呂でお父さんと初めて一緒にお風呂に入れて本当に嬉しかったんだよ。
僕が後ろを振り返ると、何も服も着てない父さんが立ってたんだ。
そりゃ風呂に入るから当たり前だろって?うん、そうなんだけど、何ていうか、
父さんの体を見てると、お城にある彫刻みたいに綺麗で立派な体で、じーっと見てると
なんだかドキドキするんだよね。

4617-20:2004/08/12(木) 13:26
それでまだ湯船に浸かってもないのに体が火照るっていうような
不思議な気分になっちゃって、僕は無性に恥ずかしくなって父さんから逃げるように
湯船に飛び込んでたんだ。
父さんはお風呂で体を洗ってたんだけど、その様子をじーっと湯船から見てると
また父さんの体が気になったんだ。すごく凛々しくてカッコいい顔立ち、
さっきも言ったような彫刻みたいな胸板だとか、僕も大きくなったら
あんな風になれるのかなって思った。
でね、僕が気づいたのは父さんのおちんちんだったんだ。
僕のと比べると大きさも色も形も全然違うし、すごく気になったんだよ。
僕は湯船からあがってちょうど立ち上がって体を洗っていた父さんの方に向っていったんだ。
僕はしゃがんで父さんのおちんちんに触れてみた。
そしたら父さんはうわって言って仰け反ったんだ。

4717-20:2004/08/12(木) 13:27
「父さんのおちんちんてすごい大きいね。僕のと全然違うし。」
そういうと父さんはニコって笑って触ってもいいよって言ってくれたんだ。
僕はお父さんのおちんちんを両手で包み込むようにおそるおそる触れてみた。
父さんのはすごく熱くてドクドクって脈打つようで、不思議な感じがした。
そうすると父さんのおちんちんがさらに熱を帯びて、大きく膨れ上がっていったんだ。
僕はどうしたらいいのかわからなくて、とっさに父さんのから手を離した。
父さんのおちんちんはさっきとはすっかり姿を変えていた。

「これ・・・は?」
すると父さんは優しい笑顔で、これは父さんのおちんちんが僕に触られて嬉しいっていう
サインなんだと教えてくれた。それを聞くと僕は無意識に父さんのおちんちんを擦っていた。
これから父さんのおちんちんがどうなるのか気になったし、なにより父さんが嬉しいって言うのが
僕にも嬉しかったんだ。ずっと大変な目に合ってきたって、父さんは自分では話さないけど
時々寂しそうな目をする父さんを僕は見てきたし、喜ぶ父さんの顔を見たかったんだ。

4817-20:2004/08/12(木) 13:27
しばらく擦っているとおちんちんの先から、白い液体が出てきた。
「これなに?」
って聞こうと上を見上げたら、見たことのない顔をした父さんの顔があった。
すごく顔を赤らめて気持ちよさそうにしている父さんをみてると、僕はどきどきした。
僕のおちんちんもなんだかむず痒くって、僕は父さんをもっと喜ばせてあげたいと思って、
父さんのおちんちんのいろんなところを擦ってみた。
おちんちんのうらスジをツ・ツ・ツってなぞると、父さんはそれに合わせてアッって
溜め息まじりの声を出した。それが気持ちいいんだなって思った僕は、そこを重点的に擦った。
「あ・・・んッ」って父さんは色っぽい声を出すと、僕のおちんちんはさらにむず痒くなった。
僕のおちんちんをふと見ると父さんのには遥か及ばないけど、大きくなって立ち上がっていた。

4917-20:2004/08/12(木) 13:28
僕のは触られてもいないのに嬉しいのかなって思って不思議だって言ったら、
父さんは、僕のおちんちんは父さんのおちんちんが僕に触られて嬉しがっているのをみて
一緒に喜んでいるんだって言ったんだ。
僕もなんだか嬉しくなって、さらに父さんのおちんちんを擦った。
すると白い液体がおちんちんの先からこぼれたんだけど、
僕はなぜかとっさにこれはいけないと思って舌でそれを拭い取った。
そうしたら父さんは「あぁ・・・あっ、あぁ」ってすごく色っぽく喘ぐから、僕は舐めて上げると
きっと父さんは喜ぶんだなと思ってペロペロと父さんのちんちんを舐めてあげた。
「んっ・・・ん・・・もっとっ・・・」っていう声に僕はもう我慢できなくなって、
舐めてあげるスピードをさらに加速させていったんだ。うらスジやおちんちんの先を重点的に
なめると父さんはすごく気持ちよさそうっていうのは感じたね。
しばらくしたら父さんのおちんちんからビュって大量の白い液体が僕の顔にかかったんだ。
びっくりして仰け反ったんだけど、父さんはすごく満足そうな顔をしていたから、僕も満足だった。

5017-20:2004/08/12(木) 13:28
でも僕のおちんちんはもうぎゅうぎゅうで、むず痒さはどうしようもなくなってた。
父さんはニコって笑って僕を台の上に座らせて、ご褒美だよって言って僕のおちんちんをいじくり始めた。
僕がするよりもずっと手際が良くって、舐めるのもホントに上手だったよ。

それ以来、僕はお父さんと度々お風呂に入るようになったんだ。
えぇ!?君のうちでもおんなじことしてるって?
へぇ、やっぱりそうなんだね、コリンズ君!

owari

5117-20:2004/08/12(木) 14:54
DQ3スレの17-20です。
賢×勇小説を1年間放置して5小説を書いてみました。
もっとこの板が活気付きますように

52名無しの勇者:2005/01/18(火) 15:18
主ヘン小説誰か書いてくれよ。
できればコリンズ×男の子か男の子×コリンズも。
自分は文才が無いので書けん。

53名無しの勇者:2005/01/31(月) 02:03:37
心意気は男の子×主人公です。
絡みはまったく無いですが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 トントン、と刃に白い粉を軽く叩いて、ティミーは剣の手入れをする。
 初めてこの剣を持った時の感触はきっといつまで経っても忘れられない。
 剣が自分を呼んでくれたんだと思った。
 自ら選び取ってくれたのだと。
 見た目、少し太めだった柄はティミーの小さな手のひらに吸い付くようにその形を変えた。
 持ちやすいように、振るいやすいように、殺しやすいように。
 だからこの剣の主は、自分だ。間違い無く。
「なあ、ティミー」
 パトリシアの少し前を歩いていた父がティミーを振り替える。
 ちょっとした休息の時間だった。
 パトリシアの白いたてがみを梳いていたティミーは父を見遣り、結果動かなくなった手に焦れた愛馬が鼻面をグイグイと押し付けた。
「はいはい。いい子だから大人しくしてな。で、何? 父さん」
 ほとんど父に意識を向けながら、それでも右手は愛馬の頬の下あたりをおざなりに撫でていた。
「父さんな、ティミーがその剣を抜いた時、少し哀しかったよ」
「……どうして」
 唐突に投げられた言葉は思い掛けないものだった。
 父は喜んでいてくれているのだと思っていた。
 祖父も勇者を探していたのだという。けれど志半ばに倒れ、その遺志を継いだ父にとって、自分という存在はさぞかし嬉しいものであろうと。今まで確認したことは一度たりと無いのだが、ティミーはそう確信していたのだ。
「ティミー。確かに父さんは勇者を探していたよ。必ず見つけられると思っていた。でも、それがお前であることが酷く辛いんだ。父さんの父さん……つまりお前のお祖父様の話を覚えているね」
 それは何度も何度も聞いた。
 幼少の頃、勇者を探す旅に同行していたこと。夜毎に洞穴の深くへ行く父の背中を見て、なぜ自分も連れて行ってくれないのかと不満に思っていたこと。遺跡での永遠の別れ。断末魔の声。
「確かに父さんはお前を見つけた。けれど、お前たちに辛い思いをさせたいんじゃ無い。お前とポピーが苦しむなら、世界なんてこのままでいいんだ。ずっと暗いままでいいとさえ思っているんだ。……父さんは弱いな」
 自虐的な父の言葉に息が詰まる。うまく呼吸が出来ない。
「父さ……、」
 これ以上父が自らを卑下するのを聞きたく無かった。けれど父の言葉は止まない。
「お前が天に選ばれたことが運命なら、なんと皮肉なことだろうな。苦しむのは父さんだけでよかったのに。……もう、終わりにしたかったのに。お前にもポピーにも、本当にすまないと思っている」
 消え入りそうな声と項垂れた父の紫のバンダナを見て、ティミーは呼吸を深くする。
 だいじょうぶ。父はここにいる。手を伸ばせば容易く触れるぐらいの距離にいる。
「僕は、いや、僕もポピーも。……僕たちは父さんの子供でよかったと思ってるよ。父さんの旅の役に立てて嬉しいんだ、本当に。僕たちは貴方の血を引いているからこそこんな運命を背負えたんだって思ってる」
 今さら、神様なんて信じちゃいない。けれどこの運命を与えてくれたのが神と呼ばれる存在であるのなら。
 ティミーはそれに祈りを捧げたいとすら思う。
 願わくば、この純粋な魂に救済を。
「………ありがとう」
 ふわりと笑った父の顔を、ティミーは死ぬまで忘れることは無いだろう。
 こんなにも自分たちを慈しんでくれてくれている父に、どうすれば思いを返すことができるのか。
 日が傾いた。少し離れた岩陰で涼んでいた妹たちもそろそろ帰ってくるだろう。合流すれば休息は終わりだ。
 魔物を殺して、大切な何かを捨てて、それでもティミーたちは前に進む。
 そうするしか無いのだと、背中の剣が告げていた。




                               了

5453:2005/01/31(月) 02:04:59
ぎゃ、投稿直後に誤字発見!
お目汚し失礼しました〜

55名無しの勇者:2005/02/19(土) 16:44:43
どうしても書きたかった王子→5主を投下します。
見方によっては逆になってしまうかもしれないくらい微妙ですが…
主人公の名前は「リュカ」、男の子は「テン」女の子は「ソラ」です。

56それは恋だ、と誰かが言う 1/5:2005/02/19(土) 16:46:05
「ねえお父さん」
「お父さん、聞いてる?」
「お父さんってばあ」

ここ最近、ソラはこの言葉を耳にタコができるほど聞いていた。
理由はひとつ、自分と自分の双子の兄であるテンの父親、リュカが戻ってきたからだ。戻ってきた、という表現はいささか誤解を招きそうだが事実そうなのである。正確に言えば戻ろうとしてもリュカは戻って来れない状況にあった。
なぜなら、リュカはこの8年間人間ではなく1つの石像だったのだから。
ソラ自身生まれ着いてから父親がいないのは不思議だった。周りの同年代の子供達を見ていると、皆父親がいて母親がいる。でも自分達にはそれがいない。2人がそれを口にするたび、『お父様とお母様は、悪い奴に石像にされてさらわれてしまったのですよ』とサンチョは寂しそうに言っていた。何に対しても純粋なテンはそれを頭から鵜呑みにしていたが、ソラはなかなかそれを信じることができなかった。外で遊ぶことが何よりも好きでいつも走り回っているテンとは対照的にソラは幼いながらも知識を追い求める子供だった。城の図書館にある本という本はほとんど読みつくしてしまい、真綿が水を吸うようにその全てを自分のものとしてしまう賢さも持ち合わせていた。
だから、サンチョの話も実はあまり信じていなかった。本当は父も母も死んでいて、あとは大人が子供を言い聞かせる理由を用意しているだけのものじゃないかと、半分そう思っていた。石像と化した父と出会うまでは。
トヘロスの杖をかざしたときのあの驚きはずっと忘れないだろう。端整で優しげな顔立ちの、しかし『物質』としての美しさしか持ち合わせていなかった石像が、『生きる者』として変貌していくその瞬間。いつか絵本でみた、悪い魔女に魔法をかけられていた王子さまさながらに、父は人間としての生を取り戻した。
そして父親は、リュカは、ソラやテンが思い描いていた父親の像とは全然違っていた。
あると思っていたひげは全くないし、優しくて穏やかな声は全然ひび割れてもいない。髪は黒く美しく豊かで、鍛え上げられたしなやかな身体はすらりと長かった。まるで『お父さん』というよりどこの国から来た『王子さま』だ。実際父は王様であったが、王様というより『王子さま』というほうがしっくり来る感じがしていた。その『王子さま』はどぎまぎするテンとソラを、ためらうことなく優しく抱きしめてくれた。ソラは初めて感じる「お父さん」の抱擁にどうすればいいかわからなくて固まってしまったし、テンはあれほどお父さんお父さんと騒いでいたのに、そのときには真っ赤になってうつむいてしまった。
そして、それからなのだ。
その『王子さま』に抱きしめられた、本来のほんとうの王子様・・・テンが、父にべったりとくっつくようになったのは。

57それは恋だ、と誰かが言う 2/5:2005/02/19(土) 16:46:41
まあ、べったりくっつくのはかまわないし、今まで会えなかった分くっつこうというのも十分わかる。事実、ソラだって初めて会った父とできるだけ一緒にいたくて暇さえあれば父のもとに行こうとしている。だけど、それを差し引いてもテンのくっつき具合は度を越えているような気がしていた。
とにかく着かず離れず、ずーーーーっとリュカと一緒にいようとしているのだ。お風呂もいっしょ、寝るのもいっしょ、食事もいっしょ、しまいにはリュカがトイレに行こうとするのも『どこ行くの』と手をひっぱる始末。まるで1つの細胞であろうとするかのように。最初はほほえましく見守っていたが、これが何ヶ月か続くとさすがに他の仲間達やソラもちょっとあきれてきた。が、それを受け止める立場であるリュカは嫌な顔1つせず、テンの行動に付き合っており、さらには『ソラも遠慮しなくたっていいんだよ』とにこにこと言う始末。その言葉はありがたかったが兄であるテンより大人びていて、ちょっと恥ずかしく思ったソラは遠慮することにした。
だけど、いつまでもあんな調子でいいものかしら?
確かにお父さんはなつかれるのも嬉しいみたいだけど、もう会ってから三ヶ月以上は経っているのよ。そろそろテンもちょっとはお父さんから離れようとか思わないのかしら?
今も、珍しい花を見つけたと逐一リュカに報告しようとする兄をみて、ソラは密かにため息をついた。
それからしばらくして空が赤みがかり夕焼けになって、歩き続けると太陽の代わりに月が姿を現し夜になった。さすがに疲れの色が見え初めた一行に、
「今夜はあの町で宿をとろうか」
とリュカが微塵も疲れを感じさせない笑顔で前方に見えはじめた町を指した。すると眠い目をこすりながらも、父の隣を歩き続けていたテンの顔がぱあっと明るくなった。
「ほんと?ねえお父さん、いっしょにお風呂入ろうねっ!」
これは宿をとると決定されたとき、いつも交わされるお約束のやりとり。リュカがそうだなと頷くと、さらにその場で一緒に寝る約束も追加される。この日もリュカが笑顔で頷いたので、テンはにっこりして
「それでね、そのあと一緒に」
寝ようね、と言いかけたところでソラが横から口をだした。
「だめよ、テン。お父さんだって疲れてるのよ。いい加減1人で寝なさいよ」

58それは恋だ、と誰かが言う 3/5:2005/02/19(土) 16:47:17
今日という今日は言おう、と思っていたことをソラは言った。本当にこのやりとりは父と出会ってからというもの一種の儀礼みたいに続いていて、いつかは止むだろうと思っていても今までテンは止めようとしたことがなかった。父だって疲れているのに、テンのわがままにいつまでも付き合うことない。そう思っての言葉だったが。
「なんだよソラ、ソラには関係ないだろ!」
きっ、と擬音がつきそうなほど鋭い目で睨まれて。今まで眠そうに目を擦っていたテンとは別人のような顔つきだった。これはわがままを咎められてムキになるような表情じゃなくて、明らかに敵意。いつもモンスターと闘っているときの目線と似たような目。
「な、なによ。その目・・・」
妹であるソラは兄にこんな表情をされるとは思っていなかったので、思わずのけぞった。なぜちょっと父と一緒に寝るのを注意しただけで、こんな目を向けられなければならないのだろう。不思議でしょうがない。
「まあまあテン、ソラ。僕は別にいいから・・・あ、そうだ、ソラも一緒に寝ようか?」
なだめようと間に割って入ったリュカは、ついでとばかりに提案した。その言葉に驚いたのはソラよりもテンで、「え?」と目を瞬いて父親を見上げた。父であるリュカは優しい笑顔をソラに笑顔を向ける。
「あんまり一緒に寝ることなんてなかったし。お父さんはソラとも一緒がいいな」
対してソラは急な提案に戸惑っていた。父と寝るのは今まであまりなかったが、そのぶんちょっと恥ずかしかった。しかしリュカはぽん、とソラの頭に手をやると
「よし、決まり。二人とも今日はお父さんと一緒に寝ような」
そう締めくくって2人の頭を撫ぜ、「さあ行こう」と再び歩き出し始めた。
そういうつもりじゃなかったんだけど・・・とソラは思いながらも、久しぶりに父と寝るということは悪くなかった。そういえばテンにいつも父をとられて、一緒に寝ることってあんまりなかったと気付いたのだ。
そこで視線を感じてちらり、とテンの方を見ると、先ほどの敵意のある目線とぶち当たった。いや、先ほどよりも敵意が増しているかもしれない。今や眉間に子供らしくない皺までよって、腕を組んで妹であるソラを睨んでいる。
「・・・どうしてそんなに睨むの」
「ソラが余計なこと言うからだよ!」
いらいらした口調でテンは返した。あまりといえばあまりなその言い草に、ソラもむっとして言い返す。
「だって、お父さんが一緒に寝ようって言ってくれたのよ」
「それが許せないんだよ!」

59それは恋だ、と誰かが言う 4/5:2005/02/19(土) 16:47:48
テンはそこでさらに語気を荒くする。ソラと同じ真っ青の瞳のなかに見えるのは、今や怒りの色しかない。しかし賢いソラはどうしてテンがここまで怒るのかなんとなく予測できてきた。
「テンはお父さんを独り占めしたいのね。わたしのこと嫌いになるほどに」
冷静に静かな声でそう言ってのけると、テンははっとしたように目を見開いた。怒りに歪んでいた表情が、さざ波がひくかのごとくすーっと戻っていく。ソラはそんな兄をじっと見つめていた。

ようやく宿にたどり着くと、一行は疲れた体を引きずりながらも宿で休めることを感謝しつつ、それぞれの部屋に入っていった。
「それでは坊ちゃん、私はお先に失礼します。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
ぺこりと一礼する律儀なサンチョを笑顔で見送ると、リュカは子供達に目線をあわすように脚を折り曲げ向き直った。
「さて、テン。一緒にお風呂入ろうか。約束だったもんな。ソラは・・・一緒には入らないか」
残念そうにソラのほうをみると、どこか浮かない顔をしているソラに気付いた。テンの方を見れば、こちらも何か気難しげな表情をしている。ソラはともかく、テンはこのときになると喜んでリュカに飛びついてくるはずなのだが。おまけに2人とも押し黙ったままだ。そこでリュカの頭にひとつひらめくものがあった。
「お前達・・・さては喧嘩でもしたな?」
その言葉にはっと2人が顔を上げる。実際的な喧嘩ではないにしろ、2人には気まずいところがあったのは確かだからだ。2人の様子を見たリュカは困ったような顔をすると、
「しょうがないなあ・・・何が原因だ?」
父に聞かれて、ソラは複雑な表情でテンをちらりと見た。テンはしばし目線を下にさまよわせていたが、喉の奥から搾り出すように言った。
「・・・言えない」
静かにため息をつく音がきこえた。それに対して2人がどうしようか迷っていると、ふいにすっとリュカが立ち上がる気配がした。
「何があったかしらないが二人とも仲直りしなさい。じゃないと一緒にお風呂も入らないし、一緒に寝たりもしないぞ」
「ええっ」
その言葉にテンは悲鳴にも近い声をあげたが、父は振りかえりもせずにドアを開けた。そしてそのままばたんと閉め、部屋から廊下へと脚を向ける靴音がする。2人が止める間もなく、その音は父本来の歩調でどんどんと遠ざかっていってしまった。あとに残された2人は、ちらりと顔を見合わせる。
先ほどのやりとりが後をひいているのか、目線は送るものの言葉を発そうとしないテンに向かいソラは口を開いた。

60それは恋だ、と誰かが言う 5/5:2005/02/19(土) 16:48:13
「ねえテン、そんなにお父さんが好き?」
お父さん、という単語にぴくりとテンの幼い肩が揺れた。
「わたしだってお父さんのこと、大好きよ。でも・・・こう言っちゃなんだけど、テンの『好き』とわたしの『好き』ってなんとなく違う気がするの」
テンがソラのことをまるで敵でも見るかのような目線を送ったときも薄々そう思っていたが、先ほどのやりとりで確信した。
テンは、リュカを自分のものにしたいと思っている。ただ自分の父親として甘えたいというそういう思いからではなく。自分の妹にすらリュカと親しくすることに敵意すら抱いてしまう。それはつまり。
「テン、お父さんはお父さんよ。わたし達の父親よ。この意味わかるでしょう?」
諭すように言うと、テンがゆっくりと重い口を開いた。
「・・・わかってるよ」
「わかっているなら・・・」
言いかけたところで、今度はテンがその言葉をさえぎった。
「ぼくだって、最初は『お父さん』として『お父さん』が好きなんだって思ってた。でも、でも」
そこでうつむきがちだった顔を上げ、真正面からソラを見据える。その表情は悲しみとやるせなさの入り混じった、今にも泣きそうな表情だった。
「どうしてもダメなんだ。あの人の声とか、ぼくに笑ってくれる顔を見ていると、ぼく、わからなくなっちゃうんだ。この人は『お父さん』なのか、『好きな人』なのかって」
だから気がついたら、あの人に・・・お父さんに、ずっとくっついて独り占めしたくなる。
テンはそう言った。
ソラ自身、したことがない恋愛とかそういうものに起こる気持ちはわからなかった。だけど今目の前のテンの気持ちは何故だかよくわかる。『好き』と『愛されたい』とかいう気持ちの境界線は本当に曖昧なのだろう。そしてテンはその『好き』の境界線をほんの少し、越えてしまった。純粋でまっすぐなその心は、どちらか一方を区別しようと思ってもできなかった。
「・・・ねえ、どうしよう。ソラ、どうしよう。ぼく、あの人を好きになっちゃった」
ほんとうは、それだけのこと。
だけど、それはしてはいけないこと。その気持ちに気付いてしまった以上、後にはひけなくなってしまう。
ソラはそんな思いを聞きながらも、かける言葉が見つからなかった。
遠くから、心配になったのか再び戻ってくる父親の足音を聞きながら。ソラは静かに夜の闇に黒く染まったテンの瞳を見ていた。


−終−

61名無しの勇者:2005/02/19(土) 22:17:23
も…も、も、も、萌えー!!
すごく萌えました!
テンもソラもリュカも可愛すぎます。
続きキボンヌ

6256-60書いた人:2005/02/20(日) 01:27:01
感想ありがとうございます!
不燃焼気味かなと思っていたので、すごく嬉しいです。
次はFF9でジタビビ書こうと思っていますので、続きはそのあとで書きたいと思っています。
ありがとうございました!

63幸せの代償(0/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:13:10
ヘンリー×主人公だったはずでした。
便宜上小説の主人公名「リュカ」を使っています。

64幸せの代償(1/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:13:41
 僕もヘンリーも、たった一人では生き延びることが出来なかっただろう。
 苦しいと感じる気力さえ失せる環境で、僕達は辛抱強く脱走の機会を窺っていた。

 お父さん。

 ヘンリーはとても頭が良いのです。彼は、自分が取り返しのつかないことをしてしまったと理解していて、僕にとても良くしてくれます。腫れ物を扱うようでなく、一人の友達として。(彼は僕を相変わらず子分と呼ぶのだけれど。)
 彼はとても強い心を持っている。共に時間を過ごす程、ヘンリーは王子であり、王様になる人なのだと感じるのです。

 お父さん、あなたを目の前で失った衝撃は忘れられない。

 けれどそれによってヘンリーという無二の友を得られた事は、僕にとって、また彼にとって、大きな幸せであったと思えるのです。

65幸せの代償(2/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:14:11
「リュカ」
 呼びかけられ、僕は物思いから引き戻された。うす暗い狭い樽の中。兄や他の奴隷を案じるマリアを慰めようと、ヘンリーは子供の頃の悪戯話を片っ端から披露していた。付き合いで微笑んでいたマリアも、今は話に引き込まれ自然に笑っている。
「俺ばかりじゃなくて、お前も話せよ。ほら、レヌールのオバケ退治の話とか」
「参ったな、ヘンリー。あれはオチは無いよ」
ちらりとマリアを見ると、怪談?とその目が言っていた。
「ああ、マリアさん。怖い話じゃないんだ」
ほらほら、とヘンリーが催促する。仕方なく、僕は懐かしい話をした。

 緊張と疲れにうとうとするマリアの頭を肩に乗せ、ヘンリーが満更でもない様子でいる。
「寝ておけよ」
何とは無く眺めていた僕に気付き、ヘンリーはそう声をかけた。
「そうだな」
ヘンリーは?と聞くと軽く首を振る。
「このまま寝ると、マリアさん落っこちそうだし」
「抱きかかえて眠っちゃえば?」
茶化して言うと、笑って小声で返す。
「ばっかお前、逆に眠れなくなるだろ」
「元気だなぁ」
いいから寝ろよ、と重ねて言われ、僕は頷いた。
「眠くなったら起こしていいよ」
「酷いな、リュカ。俺から役得を奪う気か?」
「はは」

 労働の隙をぬって、ヘンリーは字の読み書き等、色んな事を教えてくれた。ただ、ヘンリーが僕に教えなかった事で、僕がヘンリーに学んだ事がひとつある。ポーカーフェイスというやつだ。

 長い付き合いだ、彼がマリアに惹かれているのには気付いていた。彼女と話していると、その控えめな誠実さを感じる。もしマリアがヘンリーの連れ添いになるなら、彼を立派に立ててくれるだろう。

 だから僕は、胸の痛みが顔に出ないように、二人にずっと微笑みばかりを見せていた。


 お父さん、自由とは甘いばかりではないのですね。

66幸せの代償(3/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:14:33
 教会でマリアと別れ、僕達はオラクルベリーへ来た。大きな街の活気にあてられそうになりながら、慌てて道具や装備を買い込む。ヘンリーが奴隷の服から着替え、新しい服で深呼吸をした。やっと僕達は解放されたのだ。
 モンスターじいさんという人物と話し、必要となりそうな馬車は、夜にならないと手に入らないことがわかった。

 夜になるまでと、二人で街の外を歩いた。魔物が出なければ、まるで散歩でもしているような柔らかい陽気。時折出くわす大木槌やスライムと戦い、あの風変わりな老人の言った事を心に留めて様子を見る。中には、遠巻きに僕を気にしているものも居た。

 さあっと空が暗くなり、雷鳴が響いたと思うと重たい雨が降り出した。

 近場の木陰に急いで避難する。すぐには止みそうにない気配に、街で待ってれば良かったな、とヘンリーがぼやいた。
「街で何するんだよ」
「そりゃー、カジノとかカジノとか」
「僕もあそこのカジノは気になってたけど」
と言葉を切り、軽くヘンリーを睨む。
「マリアさん達が持たせてくれた金を、ギャンブルには使えないだろ?」
言ってみただけだと憎まれ口を叩くのを余所目に、巻いていたターバンを剥ぎ取り軽く絞る。と、視界の端に青いものが映った。
「おい、リュカ」
「うん」
スライム。大きさからすると、まだ子供のようだ。怯えた目でこちらを窺っている。
「倒すか?」
ナイフに手をかけるヘンリーを制し、僕は跪いた。スライムに視線を合わせ、じっと見つめる。
「仲間と、はぐれたの?」
そっと声をかけると、小さく震える。こちらに敵意がないのを見てとり、スライムはその場で前転した。どうやら「頷く」動作を真似ているらしい。
「近くに居る?」
これには左右を交互に向いた。なるほど、首を横に振っているみたいだ。
「遠くに居る?場所はわかる?」
うんうんと前に傾く。幾分かほっとする。近くに魔物は居ないということだ。
「じゃあこれで最後。このへんに、魔物が来なくて雨宿りできる場所はある?」
スライムは斜めに傾いた(首を傾げた?)後、ひとつ頷いて右手の方向を向いた。
「あっち?すぐ?」
指をさして訊ねると、2回頷く。
「ありがとう」
笑いかけるとまたぷるぷると震え、スライムはあっという間に姿を消した。
「あのじいさんが言ってたのは、こういうことか」
立ち上がると、呆れ半分感心半分の表情でヘンリーが声をかけてきた。
「かな?僕も正直半信半疑だった」
「え。信用して大丈夫なのか?」
「とにかく行こう」
雨は止むどころか、激しくなる一方だった。でもこれだけ降れば夜半にはあがるだろう。
ヘンリーの肩を叩き、先ほどスライムが示した方向へ向かった。

67幸せの代償(4/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:15:00
 大きな岩が前方に見え、近づいたところで立ち止まる。ぐるりと周ると一部に人が一人潜り抜けられる程度の隙間があり、ヘンリーを置いて先に潜り込んだ。中に何も隠れる場所が無いのを確認し、顔を出して手招きする。入ってきたヘンリーが感嘆の声をあげた。
「あのスライム、よくこんなとこ知ってたな」
まるで巨大な卵の中のような空間だった。同じようにここで時間を過ごした者が居たのだろう、丁度椅子かベッドのように明らかに人の手で削られた部分がある。荷物をそこに置き、暗い中で体を拭くための布をヘンリーに手渡した。
「サンキュ」
自分も手に取り、髪の紐を外してざっと水気を拭う。ひとまず雨を凌ぐことが出来そうだった。

 しばらく経っても雷は鳴り続け、酷い雨が続いていた。隙間から、時々閃光が入り込んでくる。僕達はひたすら、天気が落ち着くのを待った。

「雷を見ると」
 沈黙を破ったのは僕だった。ヘンリーがこちらに視線を向けるのを、暗闇で感じ取る。
「レヌールを思い出すよ」
真夜中の冒険。ちっとも威厳のない幽霊の王様。金色に光る球。
「……マリアさん、墓碑銘に涙ぐんでたな」
エリック王ここに眠る。ソフィア王妃へ永遠の愛を。ちくりと、心の隅が痛んだ。
ヘンリー王ここに眠る。マリア王妃へ、永遠の愛を。僕はいつか、ラインハットにそれを見るのだろうか。
「一緒に行った女の子は、あっさりしたものだったけどね」
「そんなもんか」
女ってわからない、とでも言いたげな相槌に軽く笑う。

 驚くほど大きな雷鳴が響いた。近くに落ちたのかもしれない。

68幸せの代償(5/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:15:24
「雷ってさ、わくわくしない?」
また口を開く。何かを話していたい気分だった。
「あるなあ。ちょっとでも鳴ると部屋に閉じ込められて、なかなか見せてもらえなかったけどな」
「岩を運んでいたときはとてもじゃなかったけど、今はまた、冒険したくなってくるよ」
お前もか、とヘンリーが笑う。腕白な王子はきっとあの手この手を使って、雷を見に屋上へ抜け出していたんだろう。
「って言ったって、今は雨を避けてここに立ち往生してるんだからな。外に出る気はしないなあ」
「僕も」
その通りだ。可笑しくなって、
「雨っていえば、猥談してたよね。元気の残ってたおじさんたちがさ」
可笑しくなって、口を滑らせた。よりによって、猥談って。
「してたなあ。雨だと作業効率落ちるから、早めに寝床に追い込まれてたんだよな」
「うん」
ヘンリーがどうも、にやにやしている。
「なんだよ、興味無い振りしてお前、ちゃんと聞いてたのか」
そりゃあ、興味が無いわけが無い。まぁ、最初の頃は大半の意味がわからなかったんだけど。
「そういうヘンリーだって、寝た振りして聞いてただろ」
「気付いてたのか。お前にバレてたんじゃ、おっちゃんたちも知ってて話してたんだろうな」
「だろうね」
立ち上がる影。僕に近付き、隣に腰を下ろす。
「なんだよ」
「いやあ、リュカもお年頃だな」
ヘンリーが僕の肩に手をまわす。
「二人きりなのに、わざわざ密着する必要ないだろ」
「お前、惚れたんだろ」
内緒話の要領で、耳打ちされる。
「違うよ」
「隠すなって」
ああ、やっぱりそうなるのか。
「違うよ」
どうして僕がこんなこと言わなくちゃならないんだ。
「ヘンリーがマリアさんに、だろ」

69幸せの代償(6/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:15:44
真っ暗で良かった。雷はいつの間にか止んでいた。今は雨の音が強い。
「……うん、わかるか、やっぱり」
ヘンリーの頭が肩にあたる。
「当然さ。子分は見ているものだよ」
「ごめんな」
ヘンリー。普段は聡いくせに。
「だから、違うって。お前に譲ったなんて思うんなら、僕もマリアさんも馬鹿にしてる」
「そうじゃない」
「そうじゃないって……」

お前は馬鹿だ。頭が良いのに。

「ヘンリー」
暗闇を探り、投げ出された手を握る。
「自分が幸せになっちゃいけないと、思っているなら大間違いだ」
彼は答えない。
「僕達は幸せにならなくちゃいけないんだ」
生きて、死者の世界を出られたのだから。
「……親分が弱気になっちゃ、だめだろ」
金輪際自分が泣きそうな時に、お前を励ますなんてさせないでくれ。

「子分のくせに」
ぼそぼそと、肩にあたる額から声が伝わる。
「親分に説教とは、生意気な奴だ」
僕はなるべくすまして答える。
「親分が情けないんじゃ、子分がしっかりしないとね」
ヘンリーがようやく笑った。
「ちぇっ。リュカっておとなしい振りして絶対譲らないよな」

70幸せの代償(7/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:16:07
「ところで、いつまでこうしてる気だよ」
「……うーん」
 恥ずかしくなってきている僕と違い、ヘンリーは離れがたいらしい。
「ヘンリー」
「悪い、リュカ。もうちょい」
人の気も知らずに。
「あのさ」
暗闇を見つめながら語りかける。
「顔が見えないから言える事ってあるよね」
「そうだな」
穏やかに。声をひそめて。
「僕はお前が好きだ、ヘンリー」
ヘンリーが驚いて、顔をあげた。肩にまわっていた手から逃れ、見えないけれど、僕はにっこりと笑う。
「やっと離れたな」
「む。そんなに気持ち悪かったんならそう言えよ」
まさか。
「くすぐったかったんだよ」
手を伸ばすと、指先が頬に触れた。
「……リュカ?」
頬を軽くつねる。抗議の唸り声を無視して、僕は囁く。
「お前ももう、わがままな王子様じゃないよね」
顔を近づけても、輪郭しかわからない。
「一人の男として、マリアさん口説いてみなよ」
こみ上げるものを誤魔化すように、ヘンリーに口付ける。ぱっと手を離し、身を引いた。
「今の……?」
戸惑う声に肩を竦めてみせる。
「そのうちわかるさ」
急に響いた雨の音に、出口から外を覗いた。一時静かになっていたのに、また強く降り出したようだ。
「夜のうちに街に戻れるのかなあ……」
息を吐いて、荷物の傍に戻って腰を下ろす。ヘンリーはまだ混乱しているみたいだった。

 僕らは気まずい沈黙の中で、ずっと雨の音を聴き続けた。

71幸せの代償(8/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:16:29
 気が付くと一人になっていた。うたた寝をしていたらしい。
体を起こし、膝を抱える。意識がはっきりしない。

 空気が動くのを感じて、振り向く。差し込む月明かりを人影が遮っていた。
「起きたか」
「うん。どこに行ってたんだ?」
手招きされて立ち上がり、入り口に近付く。
「街」
「え?」
ヘンリーの背後には、簡素な馬車があった。
「あ、これ」
「うん、夜しか開かない店にさ。間に合わなかったらもう一日無駄にしちまうし」
激安にしては丈夫そうだぜ、とヘンリーが笑った。
「そうだね」
馬に近付いてそっと触れてみる。
「良い馬だろ」
大きな優しい目が僕を見た。見つめ合うだけで、心が静かになっていく気がする。
「よろしく」
鬣を撫でると鼻面をすりつけてきた。
「おーい、二人の世界を作るなよ」
思わず笑ってしまう。
「リュカ、近くに湖があったんだ」
「へえ」
馬車を木にくくりつけ、ヘンリーが手を差し出した。
「お前も体洗えよ、気持ち良いぞ」
「うん」
戸惑っていると、僕の手を引いてさっさと歩き出す。引っ張られて僕も足を運ぶ。

 ヘンリーの手は切ないほどに暖かい。

72幸せの代償(9/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:16:50
 促され、湖に足を浸す。ほどほどに冷たくて気持ちいい。服を脱いで腰までを水に沈める。
「見張ってるから」
「ありがとう」
目の届く範囲でヘンリーが木にもたれて立った。

 布を取ってゆっくりと体の汚れを落とした。硬く絞って首にかけ、顔を洗う。空はすっかり晴れ、月明かりが湖面に反射して、ずいぶん明るく感じる。

 布を岸辺に投げ捨て、思いきって頭が隠れるまで水に浸かる。水が全身に沁み込む。気泡がまとわりつくうす暗い水中で、息を止めて物を思う。

 彼はごく自然に気遣いを見せた。

 開けていた目を閉じる。

 僕は誰かに詫びたかった。だけど誰の名も思い浮かばなかった。

 苦しくなって立ち上がり、呼吸をする。振り返ると、ヘンリーが手を振った。
「溺れたかと思ったぞ」
「まさか」
布を取って水気を拭き取る。服もついでに洗う。昨日の陽気なら、昼間歩いているうちに乾くだろう。しっかり水気を切って身に着け、ヘンリーの元に戻った。
「お待たせ」
「うん、じゃ行くか」
ヘンリーが馬車をつないだ場所へと向かう。その後姿を数瞬見送って、後を追った。

73幸せの代償(10/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:17:09
 解放されたラインハットの歓声が、ここまで届くようだった。波止場で、この地に別れを告げる為に振り返る。ヘンリーとその兄弟が、末永くこの国を盛り立てていけますように。

 既視感を覚え、視界の端に目をやった。小さなスライムがおずおずと進み出る。
「お前、あの大雨の時の子かい?」
しゃがんで目線を合わせる。頷く動作に微笑む。
「ありゃ、坊じゃん」
僕の肩に飛び乗ってきたスライムが、そう声をかけた。呼ばれたほうはびっくりして震えている。
「友達?」
「マスター、甥っ子なんだ」
今度はこっちが面食らう番だった。
「甥って…お前達、親戚って概念があるのかい」
「シツレイだなマスター。ニンゲンと増え方は違うけど、おいらたちもスライム一族っていうんだよ」
肩の上でふんぞり返る仲間に思わずくすりと笑う。
「そうか、それは悪かったよ」
「もっとも甥っ子だけで何十匹居るんだけどね。このへんのやつらはみんな親戚さ」
「へえ」
僕にはわからないが性別もあるのだろうか。興味はつきないけれど、ひとまず目の前のスライムに視線を戻す。
「お前も一緒に来る?」
ぷるぷると、左右を向く。
「おやおや、ふられちゃった」
がっかりしてみせると、一生懸命何かを訴えた。肩に乗っていたスライムが飛び降り、甥っ子の隣に並ぶ。
「しょうがないなあ、おいらが通訳してやるよ」
甥っ子がぷよんと叔父の頭に乗っかる。上と下を向いてごにょごにょ話し合い、揃って僕の方を向いた。
「このへんの仲間に聞いて、マスターを見送りに来たんだって」
「はは、ありがとう」
またごにょごにょ。その仕草が微笑ましくて、つい頬が緩む。

74幸せの代償(11/11) ◆6mX52.ZZco:2006/07/23(日) 23:17:30
「こいつ、修行するんだってさ。だから行かないって」
「一緒に来ても修行になると思うよ?」
伝説の装備と勇者を探す旅だ、生半可なものにはならない。
「わかってないなマスター。スライムにはスライムの修行があるのさ」
「ふうん?それじゃあしょうがないね」
小さい方が首を傾げる振りをして、大きいほうの上から転がり落ちた。逆さまの姿勢で何か、疑問系で喋る。
「うん?緑の頭のって……ヘンリーさんか?あの人なら自分の巣に帰ったよ」
叔父のほうが答えた。甥っ子が天地を正常に戻し、確認するように僕を見上げるので頷いてやる。
「そうなんだ」
そうなんだ。あれだけずっと一緒に生きてきたのに、一緒に旅をしたのはほんの僅かな間だった。僕達はもっと、別れを惜しむべきだったんだろうか。
「マスター?」
「ごめん、なんでもない」
首を振って立ち上がり、仲間のほうのスライムに呼びかける。
「そろそろ船に乗らなくちゃ。皆を連れて先に行ってくれないか」
「はーい。じゃあな坊、元気でな!」
ぷよんと甥っ子に軽く体当たりをして、片方が船へと跳ねていった。僕は残った方に笑いかける。
「頑張るんだよ」
スライムは武者震いをして、一生懸命きりっとした目を作った。前途有望な小さな生き物に見送られ、ゆっくり船へと向かう。

 桟橋で足を止め、目を伏せる。

 ヘンリー。僕がそう願うように、お前も僕の幸せを願っているんだろう。今は出来ないけれど、また笑って会おう。

 名残を惜しむ汽笛が、後にした波止場へ茫洋と響いていた。



End

75名無しの勇者:2006/08/19(土) 06:52:55
久しぶりに来たら素敵な作品が!
気づいてるのに気づかない振りをしているように感じました…
思いが一方通行で切ないです(つД`)゚。゚
乙でした!

76名無しの勇者:2007/04/16(月) 15:47:05
ヘンリー×主人公セツナス…
でもプラトニックに萌えました。
スライムのやり取りも萌えw
読みやすくてウマーでした。

775主人公×ヘンリー:2010/05/21(金) 07:15:32
主人公の名前は便宜上リュカとします。エロは未遂。話は暗め。

785主人公×ヘンリー:2010/05/21(金) 07:22:29
サンタローズの洞窟。最深部で目的と果たしたリュカとヘンリーは、
リレミトの呪文で一瞬にして地上に戻っていた。

 入り口が近いが、外から明かりが差し込むことはない。
昼前にこの洞窟に入ったが、おそらく、もう外は夜なのだろう。

 入り口から風が吹きつけ、外からの新鮮な空気が流れる。
ヘンリーはそれを胸いっぱい吸ってから、少しうなだれるようにして息を吐いた。

 洞窟の探索と絶え間なく続く魔物との戦いで全身クタクタだった。
一刻も早く宿屋に向かいたい。だが、その前にやるべきことがあった。

「リュカ」

 ヘンリーが隣にいる男・・・リュカを見る。リュカは全身血まみれだった。
鎧や衣服はもちろん、後ろで束ねた長い黒髪や、普段は優しげな笑みを見せる顔に至るまで全て。

 布に包まれた剣を抱え、虚ろな瞳はどこを見ているのかわからない。
とても会話できような状態には見えなかったが、ヘンリーは言葉を続けた。

「水浴びしていこう。その姿じゃ村に戻れない」

 汗とこびりついた血でひどい臭気を放っていたが、
それ以上に、今のリュカの姿を村の人間には見せたくなかった。

795主人公×ヘンリー:2010/05/21(金) 07:24:24
 リュカはああと短く返事をすると、抱えていた剣を地面に置く。
その様子を見ると、ヘンリーは洞窟を流れる川に近づき、手に持っていたカンテラで照らす。

 魔物はいないようだ。深くもなさそうだし、流れも速くない。
村の人々はここを飲み水として使ってはいないようだったので、魔物の血で汚れても大丈夫だろう。

 ヘンリーはカンテラを地面に置き、鉄の胸当ての止め具を外した。
そして、汗と砂でべトついた衣服を脱ぐと、リュカのほうへ視線を向けた。

 リュカは捨て鉢な手つきで鎧を外し、脱いだ衣服と共に地面に投げ捨てた。
全裸になると、ヘンリーのほうを振り返ることもなく、水の中へ歩みを進める。

 ヘンリーはその姿をしばらく見つめたあと、自分も川の中に足を入れた。
思っていたより水は冷たかったが、我慢できないほどではない。
 
 腰までつかると、思い切って頭まで水をかぶり、汚れた顔をこする。
爽快だったが、心の中で淀んだものまでは洗い流すことはできない。

 リュカを見る。

 彼の周辺の水が赤く濁り、徐々に広がりを見せる。
あの血のほどんどが魔物から浴びた返り血だった。

 道中で何度も魔物に襲われたが、ヘンリーは彼ほど血に汚れることはなかった。
リュカの戦い方がひどかったのだ。狂ったような有様で剣を振るい、魔物を切り裂いていた。

 仲間になってくれた魔物達を洞窟に連れてこなくて良かったと思う。
異質な存在であっても笑顔で受け入れたリュカはここにはいない。

 怒りに任せ、悪鬼のような顔で魔物達を殺すリュカを見れば、
彼らは困惑し怯え、リュカに対する信頼が揺らいでしまっていたかもしれない。

 ヘンリーからしても、あのリュカの姿は異常であった。
しかし、ああなってしまうのも、無理もない話なのだ。

 リュカの故郷サンタローズが滅んでいたのだから。
家や田畑は焼かれ、破壊され、人々は虐殺されていた。

805主人公×ヘンリー:2010/05/21(金) 07:25:20
 そんな有様を見て、正気でいろというのが無理な話だ。

 わずかな村人の生き残りが、リュカの姿を見て泣き崩れていたのを思い出す。
そして、彼らの姿を見て呆然と立ち尽くすリュカの姿も。

 10年にも及ぶ辛い奴隷生活の中、いつか故郷に戻ることを夢見ていたリュカ。
その願いは適ったが、これではあまりにも・・・。

 リュカの背中を見つめていたヘンリーは何かを言いかけてそれを飲み込んだ。
洞窟に入った時から二人はほとんど言葉を交わしていない。

 かけるべき言葉が思い浮かばないのだ。だが、何を言えというのだろう。

 生き残った村人の話では、サンタローズを滅ぼしたのはラインハットの兵士達であった。
自分の国だ。ヘンリーが王子として生まれ育った国が、リュカの故郷を蹂躙したのだ。

 ヘンリーが唇をきっと噛む。自分は無力だと思い知らされる。
リュカの力になりたいと思うが、肝心なところではいつも何もできない。

(あの時だってそうだ・・・)

 リュカの背中を改めて見る。明かりに照らされた広い背中には、無数の蛇のような傷痕がある。
あれは奴隷時代につけられたムチの痕だ。

 作業が遅れると監督者達にムチで叩かれる。逆らったり口ごたえすれば、さらに叩かれる。
普通はそれで奴隷達は言うことを聞くようになるのだが、リュカは違っていた。

 どれだけ痛めつけられようが監督者達に逆らっていたのだ。
とくに奴隷になったばかりの幼い時が一番ひどかった。

 不当な労働が嫌だったからではない。
怒りと悲しみをぶつける相手が欲しかったのだ。この洞窟で魔物達と戦ったように。

 あの時は、父親を目の前で殺された直後だった。

 そして、その出来事にもヘンリーは少なからず関係している。
誘拐されたヘンリーを助ける最中、リュカの父親は無残に殺されたのだ。

815主人公×ヘンリー:2010/05/21(金) 07:26:22
 だから、リュカを助けなければいけない。
そう思っても、非力で怯えることしかできなかった子供のヘンリーには何もできなかった。

「・・・リュカ・・・」

 つぶやいたあと、ヘンリーは足を進め、リュカに近づいていた。
リュカはヘンリーに背を向けたまま、こちらを見ようとはしない。

「ちゃんと洗えよ。まだ、汚れてるぞ」

 こんな言葉しかかけられない自分が憎い。情けなくなってくる。
相変わらず、リュカの反応はない。

 思わず出た言葉だったが、実際にまだ血の匂いがしている。
仕方がない。何か布きれでも取ってきて、自分が拭いてやろう。

 そう思い、遠くにある道具袋を見た時だった。

 ガッと肩をつかまれた。物凄い力で。
振り向くと、ヘンリーの肩を掴んだのはリュカだった。

 虚ろな目をこちらに向けていた。血の匂いが一気に強くなる。
ヘンリーが思わず息をのむ。 

 リュカは何も言わないまま、ヘンリーを突き飛ばした。
川の水が跳ね上がり、ヘンリーの身体が洞窟の壁に叩きつけられる。

 痛みでヘンリーの顔が歪み、うめき声が漏れる。
リュカはすぐこちらに近づくと、ヘンリーの両腕を掴み、壁に押し付けた。

「な、何しやがっ・・・!!」

 言い終わらないうちに、リュカが顔を近づけ、ヘンリーの唇が塞がれた。
明かりに照らされた二人の影が重なる。

 ヘンリーは抵抗するが、腕力も体力も向こうのが上だ。
どうやっても敵わない。乱暴に口を吸われ、舌を差し込まれる。

 しばらくそうしていたあと、ようやくリュカが唇をはなした。
二人の間で、唾液が糸を引くように伸びる。

825主人公×ヘンリー:2010/05/21(金) 07:27:25
 鼓動と呼吸が速くなる中、ヘンリーが言葉を押し出した。

「・・・いいよ、好きにしろよ」

 ヘンリーはもう抵抗する気も失せていた。
もともと、奴隷時代にリュカとは身体を重ねることが何度かあった。

 ただ、それは恋愛感情によるものでもなく、ましてや若い性の衝動によるものでもなかった。

 生きているという実感が欲しかった。それだけだった。

 いつ終わるともわからない奴隷としての苦役。理不尽な暴力。
周りには、全てに絶望し、うごめく死体のように日々を生きるだけの奴隷達。

 頭がおかしくなりそうな日々の中、
互いの温もりを感じる行為だけが、せめてもの救いだったのだ。

 だから、奴隷から解放されて自由になってからは、互いを求めることはしなくなった。
もう、そんなことをせずとも、生きているという充実感を得ることはできていた。

 そう、思っていたのだが・・・。

 ヘンリーは諦めたようにリュカから目を逸らし、うなだれる。
目をつぶって、リュカの次の行為を待つ。

 だが、それ以上は何もしてこなかった。

 それどころか、ヘンリーを押さえこんでいた手を緩めていた。
身体が自由になったことに驚き、あらためてリュカを見る。

 泣いていた。

 血に汚れた顔を涙で濡らし、わずかに嗚咽を漏らしている。
その目は怯えた子供のようであった。

 ヘンリーは自由になった腕で、衝動的にリュカを抱きしめていた。

 リュカは一瞬、驚いたように身体をこわばらせる。
が、すぐにヘンリーの身体を抱き返し、声をあげて泣き出す。

(そういえば、あの時も・・・)

 泣きじゃくるリュカの頭を支えながら、ヘンリーはふと思い出していた。

835主人公×ヘンリー:2010/05/21(金) 07:30:05
 子供の頃、監督者達に散々痛めつけられたリュカに、
ヘンリーは介抱しながら必死に懇願していた。

『もう、あんなことやめろよ。表向きだけでも従順なフリしようぜ』

 幼いリュカは何も答えない。

『だって、このままじゃお前いつか殺されちゃうよ! 俺、そんなの嫌だよ!』

 リュカがヘンリーを見る。

『お前までいなくなったら、俺・・・どうすりゃいいんだよ・・・。
 ・・・お前まで失ったら・・・俺・・・こんなところで一人ぼっちで・・・』

『ヘンリー』

 リュカがようやく口を開いた。

『僕・・・だめなんだ。あいつらを憎いって思ってないと、辛くて・・・泣きそうで・・・』

『泣くぐらいなんだよ!』

 ヘンリーは思わず声をあげていた。

『そしたら、俺が全部受け止めるから! 俺、お前からしたら全然頼りにならないだろうけど、
 そのくらいだったら、俺でも・・・できるから・・・』

 ヘンリーが手を伸ばす。リュカがまだ幼い手でそれを掴む。
すると、せきを切ったようにリュカの目から涙が溢れ出す。

 今この時と同じように、ヘンリーにすがりつき、泣きじゃくった。

 リュカが泣いたのを見たのはそれが初めてだった。

 彼の父パパスが目の前で殺された時も、リュカは歯を食いしばって耐えていた。
悲しみを胸の奥に無理矢理押し込め、怒りと憎しみだけを募らせていた。

 おそらく、リュカは偉大な父の生き様を見ていくうちに、
そうしなければいけないと思っていたのかもしれない。

 でも、たかだか6歳の子供に、そんな生き方ができるわけがない。
それは今も同じだ。身体は大きくなったが、何も知らない子供なのは一緒なのだ。

845主人公×ヘンリー:2010/05/21(金) 07:31:32
 幼子のように泣き続けるリュカを抱きしめながら、ヘンリーが遠くを見る。
その視線の先には、リュカが抱えていた布に包まれた剣がある。

 あれは、伝説の勇者が身につけるといわれる天空の剣。
パパスが見つけ、ここに隠していたもの。

 リュカには、あの剣を鞘から抜くことができなかった。もちろん自分にも。
あれを扱うことができるのは伝説の勇者だけなのだ。

(パパスさん、俺、今まではあんたに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった・・・。
 でも、今だけは・・・あんたを憎いと思うよ・・・)

 剣に添えられていたパパスの遺言には、伝説の勇者を探し、
魔界の者にさらわれたリュカの母を助け出して欲しいとあった。

 パパスにはなんの罪もないが、あまりにも話が無茶苦茶すぎる。

 この世界のどこにいるかもわからない、ましてや存在しているかも怪しい勇者を探せというのか。
さらには、今も生きているかどうかもわからない母を助けろと。

 リュカはようやく自由を手に入れ、一人立ちをはじめたばかりなのだ。
そんな人間に、これまで以上に過酷な道を歩めというのか。

 それでも、リュカはおそらくやろうとするだろう。あいつはそういう男だ。

 だが、もしも・・・もしもだ。リュカが旅をやめると言ったとしても、かまわないと思った。
そのことを攻められる人間が、この世界のどこにいるというのだ。

 これまで、あまりにも辛い日々と、過酷な現実を突きつけられるばかりだった。
もう楽になりたいと思っても無理はないだろう。

 ヘンリーはリュカに視線を戻す。泣きじゃくるリュカを抱く力を強める。

855主人公×ヘンリー:2010/05/21(金) 07:33:12
 いずれにしても、自分のやるべきことは決まった。

 リュカがどんな決断をしようとも、彼の側にいよう。
少なくとも、あいつが本当に強く生きていけるようになる、その日まで。

 洞窟の中にはリュカの泣き声だけが響いている。

(俺の前でなら、いくらでも泣いていいから)

 その代わり、必ず立ち直ってくれ。いつもお前はそうしてきた。
どんなに辛いことがあっても、泣いたとしても、リュカは明るい笑顔を取り戻すことができた。

(だから、今度もお前を信じるよ)

 こんなことしか自分にはできない。だが、これは自分にしかできないことだろう。
リュカを信じ、見守ることができる人間は今この世界で自分しかいないのだ。

 もちろん、自分ことだって考えなければいけない。ラインハットのことも気になる。
だが、今は・・・今だけは・・・。

 明かりに照らされた二人の影が揺れていた。いつまでも、いつまでも。


−おわり−

86名無しの勇者:2010/08/12(木) 01:32:48
久しぶりに覗いたら、新作来てた〜ヽ(≧▽≦)/
リュカもヘンリーも健気で萌えましたっ。

87名無しの勇者:2010/08/16(月) 22:22:21
ブラボー、おおブラボー
読んでて切なくなっちまったよ

88名無しの勇者:2010/10/22(金) 22:37:14
|∧∧
|・ω・)    ダレモイナイ...
|⊂     パルプンテ スルナラ イマノウチ...
|

データ整理をしていたら
行き場のない小ネタがメモ帳の片隅に埋もれていたので
ここで供養させて下さい

89しかし まわりこまれてしまった!(1/3):2010/10/22(金) 22:40:57
  息子「ボク、大きくなったらコリンズくんのおよめさんになるんだ!」
  ラインハット父子&ピピン「Ω ΩΩ<ナ ナンダッテー!!」
  5主「うーん……。お前がお嫁に行くのは難しいんじゃないかな」
  息子「どうして?」
  5主「お前はグランバニアの王子だろう?」
  息子「コリンズくんも王子だよ」
  5主「そうだな」
  息子「???」
  息子「あっ! わかった! ボクがおよめさんになるんじゃなくて、コリンズくんをもらえばいいってこと?」
コリンズ「なっ、何でオレがお前と結婚なんか亜qwせdftrgyふじこlp;@」
  息子「コリンズくん、ボクのこと、きらいなの……?」
コリンズ「べ、べつにきらいだなんて言ってないだろ」
  息子「じゃあ問題解決だね! お父さーん、ボクたち結婚してもいい?」
  5主「ははは。ヘンリーにも聞いてごらん」
ヘンリー「ちょwwおまwwオレに話を振るなwwwwww」

90しかし まわりこまれてしまった!(2/3):2010/10/22(金) 22:42:07
 ピピン「あのーレックスさま、男同士というのはそもそも結婚できな」
ピエール「そりゃっ!!」

 *ピエールのこうげき!
 *つうこんのいちげき!
 *ピピンは ゆかのうえで のたうちまわっている!

ラインハット父子「( ゚д゚)!?」
  息子「すごーい! お父さん、見た? スライムがぼよーんって!」
  5主「ははははは」
ヘンリー「お、おい……大丈夫なのか……? 今、体が宙に浮いたぞ?」
  5主「うちの兵士は頑丈なのが取り柄だから気にするな」
コリンズ「……」
  息子「あれ? コリンズくん、震えてるの? もしかして魔物がこわい?」
  5主「ピエール、ピピンを連れて外に出ていなさい。……さっきは見事だった(小声)」

 *ピエールは てれくさそうにしている!
 *ピエールは ピピンをひきずりながら でていった!

コリンズ「こわいよう」
  息子「コワクナイヨー(・∀・)」
  息子「そうだ! コリンズくん、うちに泊まりにおいでよ! 今から慣れておけば結婚してもへいきだよ」
コリンズ「オ、オレは行かないぞ!」
  息子「(聞いてない) お父さん、ボクたち先に帰ってるね!」
  5主「気を付けるんだぞ」
  息子「はーい」

91しかし まわりこまれてしまった!(3/3):2010/10/22(金) 22:43:19
ヘンリー「いやー、お前んとこの息子はすごいな。あのコリンズがタジタジだ」
  5主「……」
ヘンリー「どうした? 子どもたちがいなくなって寂しくなったか? お前って案外子煩悩……」
  5主「ヘンリー」
ヘンリー「な、なんだよ」
  5主「二人きりだな」
ヘンリー「!?」

 *ヘンリーは にげだした!
 *しかし まわりこまれてしまった!

92名無しの勇者:2010/10/22(金) 22:44:24

  ∧_∧
 ( ・∀・) ・・・・・・
 ( つ旦と  お粗末様でした。
 と__)__)

93名無しの勇者:2010/11/30(火) 16:43:18
ピエール×ピピンハァハァ
ごちです。

94名無しの勇者:2011/01/20(木) 22:46:11
5主息子×ヘン息子×5主息子風味ありがとう
10年近く萌えてるのにあまり見ないんだ
息子メインサイト増えますよーに


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