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スタンド小説スレッド3ページ

1新手のスタンド使い:2004/04/10(土) 04:29
●このスレッドは『 2CHのキャラにスタンドを発現させるスレ 』の為の小説スレッドです。●

このスレでは本スレの本編に絡む物、本スレ内の独立した外伝・番外編に絡む物、
本スレには絡まないオリジナルのストーリーを問わずに
自由に小説を投稿する事が出来ます。

◆このスレでのお約束。

 ○本編及び外伝・番外編に絡ませるのは可。
   但し、本編の流れを変えてしまわない様に気を付けるのが望ましい。
   番外編に絡ませる場合は出来る限り作者に許可を取る事。
   特別な場合を除き、勝手に続き及び関連を作るのはトラブルの元になりかねない。

 ○AAを挿絵代わりに使うのは可(コピペ・オリジナルは問わない)。
   但し、AAと小説の割合が『 5 : 5 (目安として)』を超えてしまう
   場合は『 練習帳スレ 』に投稿するのが望ましい。

 ○原則的に『 2CHキャラクターにスタンドを発動させる 』事。
   オリジナルキャラクターの作成は自由だが、それのみで話を作るのは
   望ましくない。

 ○登場させるスタンドは本編の物・オリジナルの物一切を問わない。
   例えばギコなら本編では『 アンチ・クライスト・スーパースター 』を使用するが、
   小説中のギコにこのスタンドを発動させるのも、ギコにオリジナルのスタンドを
   発動させるのも自由。

 ★AA描きがこのスレの小説をAA化する際には、『 小説の作者に許可を取る事 』。
   そして、『 許可を取った後もなるべく二者間で話し合いをする 』のが望ましい。
   その際の話し合いは『 雑談所スレ 』で行う事。

570丸耳達のビート:2004/06/12(土) 01:37

  くるっぽー。くるっぽー。くるぽっぽー。くるくるー。くるぽー。

 茂名王町西公園の一角に、数十羽の鳩が集まっていた。

  くーくるくるっ。くるるるっ。ぽぽー。ぽっくるー。

「ほーらお食べーおいしーよー」

 その中心で、車椅子に乗ったしぃが盛大にパンくずを撒いている。
「マルミミ君もどうー?」
「いや、いい…」
 鳩でみっしり覆われた車椅子。
誘惑に負けて血を吸ってしまってから今日で二日が経つ。
吸血鬼化も免れ、身体の麻痺も治まりかけてはきたものの、まだしぃの下肢には麻痺が残っていた。

 『マルミミが投薬を間違えた』と、ある意味本当のことよりもマズイ言い訳でとりあえず口裏は合わせてある。
あんまり閉じこもっていても体に悪いので、今日は買い物ついでの散歩だった。

(今頃は、もう退院できてる筈なのに…僕がもっと)「えいっ」

 やけに可愛らしいかけ声とともに、こっちに向かってパン屑袋が投げられてきた。
「え」
 反射的に受け取ってしまい、そこに向かって飛んでくる鳩鳩鳩鳩鳩鳩鳩鳩鳩鳩―――――
「うおぉぉわーっ!」
 平和の象徴だろうが何だろうが、徒党を組んで向かってくるモノは例外なく怖い。
遠慮も容赦も躊躇もなく飛んでくる鳩が、マルミミの身体をつつくつつくつつく。
「痛痛痛痛ッ!」
 慌てて逃げまどうが、鳩たちはパン屑袋に向かってくるっぽくるっぽと追いすがってくる。

こっちの葛藤も知らず面白そうに笑うしぃを視界の端にとどめながら、それなりに必死で走り回った。





「…あ」
「マルモラしゃん?どうしたんれすかぁ?」
 ベンチから少し離れた茂みの向こう。
マルモラと呼ばれた少年の呟きに、隣の女の子が舌っ足らずな声で答えた。
「ほら、アレ」
 す、と少年が、向こうの鳩の群れに追い回される丸耳の少年を指さす。
「おや、マルミミしゃんですねぇ。おぉ〜い」

571丸耳達のビート:2004/06/12(土) 01:38



「おぉ〜い」
 ―――どこからか聞こえて来た声で、ふと我に返った。
しぃに向けてパン屑袋を投げ返し、足を止める。

「マールミーミしゃぁーん」
 声のした方を見ると、髪を両側で束ねた幼い感じの少女と、丸耳のモララーが軽く手を振っていた。
「丸茂と…ののちゃん」
「よ、久しぶり。マルミミは今日学校いいの?」
「丸茂こそサボりでしょ。僕は休み…あ、紹介するね」
 二人の視線に気がついて、鳩と戯れるしぃを指し、
「シュシュ・ヒューポクライテ…ウチの患者さん。んで、」
 くるり、としぃに向き直って二人を指し、
      マルモ リョウイチ        ジン ノゾミ
「コイツが『丸茂 良一』で、こっちが『辻希美』ちゃん」
「初めまして」「よろしくなのれす〜」
 長身を折りたたんで丸茂が、舌っ足らずな声でののが頭を下げる。
「あ、こちらこそ」
 体中に鳩を止まらせたまま、しぃが恐縮したようにお辞儀を返した。


 マルミミ以外に同世代の人間と付き合っていなかった反動か、他愛もない雑談が始まった。
趣味は何だの、好きなタレントは誰だの、どのくらいで退院できるだの―――

「―――ちょっとマルミミ借りてっていい?」

 そんな下らない話を続けて数分程経った頃、急に丸茂がそう言った。
きょとんとした二人の視線に、笑って手を振る。
「ホラ、男同士女同士でしか喋れないこともあるし、十分くらいしたらまた戻ってくるから」

「…わかりました。行ってらっしゃいなのれす」
「うん、それじゃ」
そう言うと、マルミミの手を強引に引っ張って公園の奥へと消えていった。

「…どうしたんだろ?」
「ンフフン。男同士で秘密の会話なのれすよ〜」
どこかわかっていない様子のしぃに、ののが楽しそうに笑った。

572丸耳達のビート:2004/06/12(土) 01:40





 公園の奥で、丸茂がベンチに座る。
ここならしぃからは死角になっているから、込み入った話もできるだろう。
 長い脚をきざったらしく組み上げて、背もたれにふんぞり返りながら聞いてきた。

「…で、マルミミ。なんか相談したいって思ってただろ」

 顔を合わせて十分もしないのに見破られてしまった。…全くコイツは、人の心を読むのが上手い。
内心どきりとしながらも、冗談めかした口調で誤魔化す。
「相談というか聞きたいことは…ある、かな。ののちゃんの服にあった怪しげなシミとかシワとか掛け違えたボタンとか…」
「マ・ル・ミ・ミ」

 …笑いが消えた真剣な顔。話すべきか隠すべきか。
数秒ほど躊躇したが、結局真面目に相談することにした。

「…全部は言えない」
「それでもいいよ。マルミミの話を話せる分だけ聞いて、それで言えることだけ答える」

 ありがと、と小さく呟いて、どこから話すべきか考える。

―――いやぁ僕ホントは吸血鬼でさ、ケガした勢いで魔眼使って血ぃ吸っちゃったんだよねー。
     で、もしかしたらまた吸っちゃうかもしれないんだよ。すっごく美味しくて。

 …いやいや、口が裂けてもこんな事は言えない。
とりあえず当たり障りのないところをまとめて、口を開いた。

「…一昨日…しぃに、さ。酷いことしちゃったんだよ。本人は覚えてないんだけどね」
「覚えてないんだろ?普通にやってればいい」
 不思議そうに答える丸茂に、弱く笑いかける。
「簡単そうに言うけどね…怖いのは、僕がまた酷いことしちゃうんじゃないか…って事なんだよ。
 僕は、しぃの事を大事に思ってるんだと…思う。けど、それが純粋な想いなのか単なる欲望なのか解らないんだ」

 うつむいて話すマルミミに、呆れたように丸茂が言った。
「…馬鹿」
「なぁっ…!人が折角真面目に話してるのにっ!」
「そんなこと真面目に話してるから馬鹿って言ったんだよこの恋愛初心者の潔癖性」

 立て板に水の口調でさらさらさらさらと畳み掛けられる。
一言くらい言い返してやりたかったが、あいにく馬鹿も恋愛初心者も本当の事。

573丸耳達のビート:2004/06/12(土) 01:42

「ぅぅううるさいっ!学校サボって公園で青○やってる奴に言われたくないっ!」
 どうにか絞り出した反論に、丸茂はぴっと指を立てて頷いた。
「そ。僕だってそうだよ。ののを見てる目に欲望が無いか、って言えば…やっぱり、ある。
 けど、好きな娘を自分の物にしたいとか…そういうのは誰にでもある事だろ?
 そんなありふれた事で目一杯悩んでるんだから、恋愛初心者なんだよ。
 酷いことするんじゃないか…つまり、傷つけたくないって思ってるんだろ?なら、酷い事なんてする筈ない。
 保証してもいいけど、お前さんは善人なんだから。もっと胸張って接してやれ。
 さもないと…只でさえ小さい背が更に小さく見えるぞ」

 ばん、と強めに背中を叩かれる。慰めではない、本心からの言葉。

「―――ありがと。楽になった」
 そう言って、マルミミがにっこりと笑う。
「ならよかった。…じゃ、そろそろ戻ろ。ののが寂しがってる」
 とん、とベンチから立ち上がり、鳩の群れを散らしながら女二人の元へと戻る。
そのまま雑談会はお開きとなり、マルミミとしぃが公園から出て行った。


「…マルモラしゃん、何のお話してたんれすか?」
 自分たち以外は誰もいなくなった公園の真ん中、舌っ足らずな声でののが問う。
「青臭い恋の悩み…かな。けど…大して役には立たなかったみたい」
 溜息一つ、呆れ混じりの声。

…全くアイツは、自分の心を隠すのがヘタだ。
あそこまで悩んでた奴が、そんな簡単に『ありがと。楽になった』なんて言えるはずが無い。
顔色も声色も変えないのに…いや、変えないからこそ、嘘と見抜きやすい。

「まあ…最後の最後は、僕等の問題じゃ無いからね…」
 そう言うと、どこか呆れの混じった溜息を吐いた。

574丸耳達のビート:2004/06/12(土) 01:43



「今日のご飯…シチューでいいね?」
「うん」
 車椅子を押しながら、畑を耕しているおじさんに手を振った。
おじさんもでっかい声で、手を振り替えしてくる。
「おーぅ!マルミミ君、お使ぇか?」
「そうですー」
「偉ぇなぁ!」
「どうもー」
 しぃも散歩がてらに何度か挨拶したことがあるので、彼とは面識がある。
「…そういや、お嬢ちゃんどうした?この前は車椅子なんか乗ってなかったに」
「えーと…ちょっと医療ミス」
「あっはっは、そりゃ大ぇ変だ!」
 冗談と思ったのか、大声で笑い飛ばしてくれた。
実際は更に酷いことしたとは、口が裂けても言えない。

「ま、病気も怪我もうめぇモン食や治るわ!待ってろ、じゃがいも分けたるけ、早く治しゃあ」
「ありがとう。助かります」
 隣でも、しぃがぺこりと頭を下げる。
「何ぁーに、気にすんなや」

 もう一度深々と頭を下げ、畑を後にした。

更に近くの港や農場でも、
「おーう、マルミミ君!ブリのアラ持ってけ!」
「看病も大変だろ。タマゴどうだー?」
「お嬢ちゃん、怪我にいいよ!逝きのいいギコの干物やる!」

 畑や漁船のそばを歩くと沢山の人がマルミミに野菜や作物を放ってきた。

「…人気者だねぇ、マルミミ君」

 みんな、彼の身の上に起きたことを知っているのだ。
それはけして同情とか哀れみではなく…上手くは言えないが、人の繋がりとでも言うのだろうか。
虐待だの何だので物騒な世の中でも、ここの優しさだけは平和だと思う。
「…そうだねぇ」



 そして、茂名王町の商店街に着く頃には。
「…結局、どこにも寄らないで材料殆ど揃っちゃったな」
 商店街まで歩いて、何も買わずに帰るというのも無駄な気がして辺りを見回す。
と、『伊予書房』と看板が掛かった小さな本屋が目にとまった。
店の規模の割に品揃えも良く、隠れた穴場となっている。
もっとも、店主が茂名の茶飲み友達なのでエロ本を買えないのが難点と言えば難点か。
「本屋、寄ってこうか」
「はーい」
 きぃ、と音を立てて、階段横のスロープに車椅子を押した。

575丸耳達のビート:2004/06/12(土) 01:44


「こんにちわー」                        イヨ
 からこん、とドアベルが鳴り、本を読んでいた店主の伊予さんが愛想良く眼鏡を外した。
「ぃょぅ、マルミミ君。女の子連れで何をお探しかね?」
「スタンドに関する文献を…じゃなくて、適当に面白そうなもの買っていこうかと」
「そうかょぅ。ゆっくりしてけばいぃょ〜ぅ」
 軽く伊予さんに手を振って、車椅子を押したまま奥の棚へと進む。
と、絵本コーナーの前で車椅子のブレーキが引かれた。
「…しぃ?」
どうしたのかと前に回ると、しぃが一冊の絵本をじっと見つめていた。
「…『はなをなくしたぞうさん』…?」
「あ、ゴメン…懐かしくて、つい」
 ふっと我に返ったように、小さくマルミミへと笑みを返す。
「思い出の本?」
「…小さい頃ね。母さんに、よく読んでもらったんだ。一日に何回もねだって困らせちゃったのを覚えてる。
 懐かしいな…まだ、出版されてたんだ。―――むかし あるところに いっとうの としおいた ぞうが おりました―――」

 そう言うと、すらすらと本の中身を暗唱し始めた。
マルミミも絵本を手にとって、しぃの言葉に合わせて絵を追っていく。

 鼻をなくした一匹のぞう。
その一生を描いた、ほんのりと悲しい物語。

「凄いね…中身、全部覚えてるんだ。一字一句漏らさずに」
「記憶力には自信あるからね。…案外、これが始まりかも。…けど、ホントに懐かしいな」

 そっと本を裏返し、さりげなく値段を確認する。

…絵本って、高いんだなぁ。
(しかも、内容全部を暗記してるなら…あんまり意味無い…よねぇ…)

 『また今度ね』と言いかけた瞬間、B・T・Bの思考が割り込んできた。
(ナニ シミッタレタ 事言ッテルン デスカ。買ッテ アゲナサイ、御主人様。ケチケチ シナイノ)
(だってねぇ、B・T・B…僕の小遣い少ないんだよ…?)

(後デ茂名様ト 交渉シテ アゲマス カラ。ホラ、プレゼント シナキャ)
「そうなの…?うーん…じゃ、伊予さーん?コレ、買いますー」
 まいどありーぃ、と手を振る伊予さんを横目に、しぃが弾んだ口調で聞いてきた。
「え、いいの?」
「いいよ、別に。僕も欲しいって思ったし」
「…わぁ…ありがと!大事に読むから!」

―――ああ、そう言えば。しぃは診療所に来てから一度も何かをねだった事が無かった。
     そんなしぃが初めて物を欲しがったんだ。よっぽど、大事な思い出があったんだろう。

(そう考えると…この本も、まんざら高い買い物でも無かったかな)
 鼻歌交じりで大切そうに袋を抱きしめるしぃを後ろから見下ろして、ぽつり、とそう思った。



  /└────────┬┐
. <   To Be Continued... | |
  \┌────────┴┘

576丸耳達のビート:2004/06/12(土) 01:45

  ∩_∩
 (・∀・ ) ∋oノハヽo∈
と(    つ  (´酈` ) 
   Y 人   ⊂   ⊃
  (_)_)  (__ (___)

マルモリョウイチ
丸茂 良一

長身痩躯を持つ、マルミミのクラスメート。
勉強・運動・恋愛を人並み以上にこなし、ルックスもイケメン。
初登場で○姦疑惑の羨ましい奴。

…なんか書いててイラつくことこの上ないので近いうちに死にます。
そして頭蓋骨を削られただけで助かります。


ジンノゾミ
辻 希美

童顔巨乳を持つ、丸茂の恋人。
おバカだけどいつもニコニコ。鬼畜な事をされてるけど純愛。
アイドルとは一切何の関係もありません。

…口調書いててイラつくことこの上ないので近いうちに死にます。
そしてSPMの科学力によって復活します。


はなをなくしたぞうさん

絵本。しぃが親元にいるとき、何回も読んで貰ったお気に入りの作品。
本作における重要なキーアイテム。嘘かも。
デッドマンズQの『鼻をなくしたゾウさん』とは一切関係とかありません。


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