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スタンド小説スレッド3ページ

570丸耳達のビート:2004/06/12(土) 01:37

  くるっぽー。くるっぽー。くるぽっぽー。くるくるー。くるぽー。

 茂名王町西公園の一角に、数十羽の鳩が集まっていた。

  くーくるくるっ。くるるるっ。ぽぽー。ぽっくるー。

「ほーらお食べーおいしーよー」

 その中心で、車椅子に乗ったしぃが盛大にパンくずを撒いている。
「マルミミ君もどうー?」
「いや、いい…」
 鳩でみっしり覆われた車椅子。
誘惑に負けて血を吸ってしまってから今日で二日が経つ。
吸血鬼化も免れ、身体の麻痺も治まりかけてはきたものの、まだしぃの下肢には麻痺が残っていた。

 『マルミミが投薬を間違えた』と、ある意味本当のことよりもマズイ言い訳でとりあえず口裏は合わせてある。
あんまり閉じこもっていても体に悪いので、今日は買い物ついでの散歩だった。

(今頃は、もう退院できてる筈なのに…僕がもっと)「えいっ」

 やけに可愛らしいかけ声とともに、こっちに向かってパン屑袋が投げられてきた。
「え」
 反射的に受け取ってしまい、そこに向かって飛んでくる鳩鳩鳩鳩鳩鳩鳩鳩鳩鳩―――――
「うおぉぉわーっ!」
 平和の象徴だろうが何だろうが、徒党を組んで向かってくるモノは例外なく怖い。
遠慮も容赦も躊躇もなく飛んでくる鳩が、マルミミの身体をつつくつつくつつく。
「痛痛痛痛ッ!」
 慌てて逃げまどうが、鳩たちはパン屑袋に向かってくるっぽくるっぽと追いすがってくる。

こっちの葛藤も知らず面白そうに笑うしぃを視界の端にとどめながら、それなりに必死で走り回った。





「…あ」
「マルモラしゃん?どうしたんれすかぁ?」
 ベンチから少し離れた茂みの向こう。
マルモラと呼ばれた少年の呟きに、隣の女の子が舌っ足らずな声で答えた。
「ほら、アレ」
 す、と少年が、向こうの鳩の群れに追い回される丸耳の少年を指さす。
「おや、マルミミしゃんですねぇ。おぉ〜い」


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