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戦場スレpart2
714
:
リリー
◆Tg./UqnJ52
:2013/03/27(水) 22:52:22 ID:1FF01gMw
>>707
身体を抱いてうずくまるリリーの耳に、アンジェの装甲を何度も何度も蹴りつける音が飛び込んでくる。
特別な機構も無ければ勢いもないその蹴りで、アンジェの分厚い装甲がどうこうなることはなかったが、その必死さに、明確な拒絶を感じる。
どうやらリリーを襲ったあの感覚は、向こうにも影響しているようだ。
アイゼルネの必殺攻撃らしい吸血攻撃を、途中までやってから止めたのは、それが関係しているのだろう。もっとも、こちらも身体が震えて戦闘どころではないが……。
「……っく…………ぅ」
震える手でコクピットのコンソールに手を伸ばしたリリーは、アンジェのシステムを強制シャットダウンしにかかる。
「なる、ほど……っ……そういう、事情、でしたか……。あの人、こうなるの、わかってたんじゃないでしょう、か……。
だから、あんな…………」
リリーがアンジェを受け取る際に、尼子統久が言ったことがもう一つあった。
『もし仮に、レイナ・カーマインの一派がお前達を撃退するようなことがあれば、可能であれば彼女らに私の情報を渡せ。
それだけの力があるのなら、少し取引がしたい』
あくまでついで、といった体で話された言葉だったが……強力な念動力者である統久が何らかの予感を得ていたとしても不思議ではない。
事ここに至って、リリーは余計にそう感じた。
アンジェのシステムを落とす前に、リリーはアイゼルネとの間に接触回線を開き、
「カーマイン、さん……。我々を打ち破った、あなた方と……っぅ……取引、したいという人が、居ます……。
今は、詳しくは話せません、が……『桃饅頭』と、『蛇の牙』……この二つの、キーワードを覚えておいて、ください。
あと、出来ることなら、明日の夜、だけ……バルクレイスの通信機能を、開いておいてください」
それだけを伝えると、リリーはシステムの強制シャットダウンを行った。アンジェのコクピットが真っ暗になり、リリーとシステムとのリンクが絶たれる。
それに伴ってセルの共鳴現象も収まり、アンジェの機体から力が抜ける。今ならアイゼルネのパワーでもってすれば、簡単に鋏から逃れられるはずだ。
「ふぅ……」
コクピットシートにぐったりと身を預けたリリーは、いつの間にか額に浮かんでいた脂汗を拭うと、大きく息をついた。
レイナとの共鳴で感じた、彼女の身体の、あの歪な感じ。どう考えても、彼女が自分で望んだとは言い難い。
自分はマシンセル技術で命を救われたが……同時にあのようなケースもあることを思い知らされる。
「まったく……業が深いというか、なんというか……ですね」
強い疲労感をにじませたリリーの声が、暗闇に溶けていった。
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