したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

戦場スレpart1

828アカリ ◆Tg./UqnJ52:2012/06/03(日) 11:47:29 ID:pcQxrfZ6
【戦闘母艦「甲斐」・機動兵器ハンガー】

作戦空域へと向かう甲斐の内部、多数のPTやAM、特機が格納された機動兵器ハンガー。
赤色のパイロットスーツに着替えたアカリは、乗機である量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのコクピットで調整作業を行っていた。

「……水上戦闘なら、いつも通りのシステム構成で大丈夫だとは思うけど、問題は敵の質よね。
 普通の敵なら九州方面軍の部隊がペリカンでひとっ飛びして、ちゃちゃっと片付けるんだろうけど、
 こんな仰々しい戦闘母艦と、試作機や新鋭機やらで急造された部隊をわざわざ派遣するくらいだから、
 きっと普通の敵じゃないんでしょうね」

ハッチを閉じたコクピットの中、各パネルを叩いたりスイッチを切り替えたりしながら、アカリはそんなふうに独り言ちた。
ちなみに「ペリカン」とは、タウゼントフェスラー輸送機の、下士官グループ内でのあだ名である。
誰が言い出したかは知らないが、PTを積んでえっちらおっちら飛ぶこの機体を指して、ペリカンとはよく言ったものだ、とアカリは感心した記憶がある。

「ペリカンじゃ頼りないことこの上ないけど、この戦闘母艦があるなら補給も楽だろうし、
 いつもより運動重視のスラスター・コントロールにしましょうか」

姿勢制御やホバリングの時に使うスラスターの制御システムを呼び出し、パネルに付いているツマミを回して出力を通常よりやや高めに設定する。
出力の強化を終えたアカリは、少しの喉の渇きを覚え、シート横のグローブボックスからドリンクチューブを取り出した。
シートの背もたれに身を預け、チューブからスポーツドリンクを飲みながら、モニターに映し出されているハンガー内の映像を眺める。
左右にある機体はケージの関係で見えないが、前方のケージに固定されている機体は何機か見える。

(右からバルクレイス、ASストライクストーム、YFA−01……と、あの羽付きの白い機体は? 明智大尉のものかしら?
 …………資料はちらっと読んだけど、どれもこれも量産型ゲシュペンストなんか相手にもならない、新鋭機ばかり。
 高性能機の博覧会、突出した性能を持つ機体の寄せ集め部隊……冷静になればなるほど、どうして私がここに居るのかわからなくなってくるわね。
 アスト研究所じゃ、超速度反射能力を持ってるってわかって、ちょっと浮かれ気分だったけど……。
 よくよく考えたら、それだけ危険度の高い作戦に従事させられるってことじゃない。持ち上げて、ガクッと落とす。まるでアンコウの罠ね。
 ……まあ、私が気張るような場面が訪れる前に、あの高性能機たちが面倒を片付けてくれるとは思うけど、さ)

すっかり気持ちの冷えてしまったアカリは、思ったより乗せられやすい自身の性格に、内心で大きなため息をついた。
どうしてあのときの自分は、あんなに鼻息を荒くしていたのだろうか。
実戦経験があるとはいえ、まだまだ尻の青い新兵の自分が、特異な能力を持っていたというだけで半ば英雄気取りだったのだから笑えてくる。
特別な存在になどならず、平均的に生きられればそれで良かった。だから、軍の事務関係の部署に応募したのではなかったのか。

「はあ……」

つのる自己嫌悪と後悔の念が、アカリの口からため息という形で吐き出されて、狭いコクピットに漂った。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板