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アモン…ソロモン七十二柱の悪魔の一、四十の大軍を率いる地獄の侯爵。
過去、未来へ精通し、見通す。
また、詩の才能があり、そして人の仲を取り持つ能力に長けている。
ぱたん、と俺はオカルト研究部から借りてきた初心者向けの悪魔事典を閉じる。
オカ研の奴等は、そんな詳しくないの要らないからあげる。
とか言っていたが俺にはそんな趣味は無いので明日には返す事にする。
今日も一日頑張ろう、と、言う事で、俺はいつもの河原へ向かう。
「アモン、俺、レギュラーになれるかな?」
いつもの自主練を早めに済ませて俺と神楽は河原の芝生に腰掛けている。
(無理ですね、世界樹の枝にはそんな未来ありませんから)
「だから無駄なの、貴方は練習しても仕方ない」
うわぁ、アモンに否定されたら俺絶対になれないじゃないか。
(ですからね、私としては早くお嬢様と…アイタタタタ)
「アモン、しつこい」
しかしまあ、四十の大軍を率いる悪魔がみっともない物だ。
「ああ、そうだ神楽、映画でも見に行くか?」
あまりにも地獄の侯爵が可哀相なので話題を変えようと試みる。
「いい、ストーリーはアモンに聞く」
(教えませんよ、タカシさんとデートなんですから私としイタタ、絶対に教えませイタタタ)
「いいから行こうぜ、デートとか抜きで実際に見るのとストーリーだけ聞くのは絶対に違うからさ」
そう言うと、神楽は無表情のまま俺を見て、暫く固まった。
見詰め合う俺と無表情の神楽、何考えてんだか全然わかんねぇ…
「あはは…」
愛想笑いをしてみる、神楽の黒と金の瞳は変わらず…
「………っ、駄目!」
突然神楽が右目を押さえる、何があった?
「出てっちゃだめ! 怖いの! 分からなくなるのが怖いの!」
「か、神楽? 大丈夫か?」
流石に心配になった俺は神楽に手を伸ばそうとする。
が、その手は神楽自身の手で跳ね除けられた。
「やだっ、私に触らないで! もう放っておいて!」
いつもの神楽とは想像もつかない豹変振りに俺は驚く。
どうすればいい? 俺は……
「神楽…」
なるべく優しく、かつ抵抗されないように素早く、俺は神楽の肩を抱く。
「やめてよっ、あ、あ……ぁ…」
一瞬抵抗するが、すぐに神楽は大人しくなり、右目から手を離す。
「神楽、お前…」
「出てっちゃった……アモン……」
ボロボロと大粒の涙を流す神楽、その右目は漆黒に染まっていた。
「…分からない、怖い、自分がどうなるのか、タカシの事も、何も…」
膝を抱き寄せ嗚咽を漏らす、神楽の肩がいつもよりも小さく感じた。
「大丈夫」
そんな神楽を見た所為かもしれない。
「俺が、何でも教えてやる………できる範囲で…」
なんだか無意識にとんでもない事を口走ってしまう俺が居た。
「……本当に?」
未だに潤んだ目で俺を見上げる。
「ああ、できる限りは、な」
そうして安請け負いしてしまう俺だった。
>>889より、中二病オナニーなのでこっちに…
もう18なのに脳味噌は未だ中二病だぜフゥハハー
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