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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5

1名無しになりきれ:2009/09/27(日) 20:53:34
*「ここは 【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ の避難所です」
*「雑談や 連絡の場として どうぞ」

*「このURLの先が 現行の 本スレです」
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*「避難所の 過去スレです」
避難所1
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*「まとめサイトです」
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491ダーさん ◆zh66lkQmK2:2010/08/25(水) 20:17:10
「……!!」

>>164の後、目覚めた阿合の娘は自分のはだけた格好に気づくと、シーツで上半身を覆い隠した。
先程のような心のない殺人兵器ならありえない行動だろう。

「…思ったより早い目覚めだな…毒に愛された女(ポイズネス)。その回復力こそ化身の真の力か」
「……!?お父さん!!」

目覚めた阿合の娘は俺を訝しげに見た後、部屋の中を見回し、うつ伏せに倒れた父親のもとに駆けつけた。

「お父さん!お父さん!!」
「もう死んでるぜ…それより、あまり泣きつくような真似はよしたほうがいいな」
「…あなたに何が――」

そこまで言って阿合の娘は気づいたようだ。泣きついていた父親の身体が溶け出している事に。
ディートハルトに殺された事が原因でも、俺が何か細工をしたのでもない。阿合の娘の涙が溶解液となって、その父親を溶かしていたのだ。
毒に愛された女(ポイズネス)が心を失わず、化身の力を手に入れた代償だろうか?

「――あなたが」

ふと気が付くと娘はこちらをきっと睨んでいた。毒の涙で泣きはらした眼を充血させたその形相は、憎悪と憎しみに彩られていた。

「あなたが殺したんですか?」
「…違うな。俺はその男に火の粉1つ向けてない。この建物のモニタールームに行けば証拠も映っている」

その言葉を聞くと娘は顔を逸らした。
目の前の相手にぶつけられると思っていた憎悪と憎しみを抑えるのに必死な様子が見て取れた。
そして、それとは別に深い悲しみも…

「…そんな父親でもやはり大切か」

阿合昭に良い噂は聞かなかった。
カノッサの裏切り者となる前にも、生まれてくる娘を異能者とする為に母体となった妻を死に至らしめ、
あげくの果てに、異能者として生まれた娘を恐れて捨てた最低な父親という話だった。
そして捨てた娘との初めての再開の理由が、その娘を殺人兵器にする為だ。
もし俺の両親がそんな人間で、俺の目の前に現れたら俺はどうするだろう?
この娘のように、親をかけがえのない存在として受け入れるだろうか?


492ダーさん ◆zh66lkQmK2:2010/08/25(水) 20:17:48
俺は阿合昭の死体を燃やさんと視線とオーラを送った。そのオーラに阿合の娘は気づいたようだ。
阿合昭の死体がやがて燃え始めると、阿合の娘はその死体を抱き寄せて俺の方を睨む。

「なにを――」
「貴様の能力では死者を蘇らせる事はできない。むしろこのままでは跡形も無く溶けて消えるぜ。
 ならばせめて火葬にして、遺灰ぐらい残してやったほうが報われると思わないか?」

今使っている炎は特殊な炎ではない。俺は何も感じないようにしている。
俺のこの男に対する感情を露にすれば、骨も残さない業火で焼き尽くす結果になるだろうからな。
阿合の娘はしばらく燃えている阿合昭の死体を放さなかったが、やがて観念したかのようにその死体を手放す。
俺は火葬を続ける。そうしている間、阿合の娘は部屋の様子を伺っており、ゾンビに使われなかった五体不満足のカノッサ戦闘員の死体を目にする。

「他の人達は…カノッサの人?」
「そうだな」
「これはあなたが?」
「……」

やはり人格をのっとられていた間の記憶は無いようだな。

「……」
「やっぱりそうなんですね?」

俺がしばらく沈黙を保っていると、その態度を肯定と捉えたようだ。
阿合の娘は目覚めた時と違って、好意的な解釈をするようになった。勘違いだがな。

「アソナの人ですか?それとも」
「アソナの者ではない」
「じゃあ…」
「俺はカノッサの人間――」
「え?」
「――を憎む者だ」

ちょうど阿合昭の死体は燃え尽きた。肉が焼け落ち、そこには遺灰と遺骨が残されていた。

「これをどうするかは貴様の好きにし――」
「あの!!」

好きにしろと言い掛けたところで口を挿まれる。

「……」
「カノッサと敵対する人なら…一緒に戦ってくれませんか!?
 …私、感じるんです。自分の中に流れる血を…その圧倒的で強大なオーラを……でも」

阿合の娘は遺灰を見て俯く。その目にはまた、遺灰を溶かしかねない溶解液の涙が浮かんでいた。

「独りじゃ…ダメなんです…」

娘の涙が零れ落ち、遺骨の一本を溶かしつくす。

「今まで独りでいる事なんて当たり前だったのに…あの人に助けられて…お父さんに会って、もう独りじゃないって思ったら…
 もう孤独に耐えられなくて……それに、いつまた私が私でなくなるかと思うと…不安で…」

…どうやらこの娘はのっとられていた間の記憶もあったようだ。
記憶のないフリをしていたのは、夢とでも思いたかったのか?

「……」
「……」

――娘は本能的に感じていたのだろう。
化身の力を取り入れた自分自身の圧倒的な能力、そして訪れる絶望的な孤独。心を失わずに手に入れた力の代償を。
そして俺がその領域で共にいられる存在である事を。
俺は阿合の娘とそれ以上の言葉を交わす事なく無言で抱き寄せ、そのままベッドに押し倒した。
俺が使った性欲の炎の効力もあっただろう。だがもともと娘もそれを求めていたのだろう。抵抗は全く無かった。
吐息一つでも常人なら昏倒するような毒でできた身体を、愛せる者など今までいなかっただろう。
だが俺は違った。娘の毒の吐息は俺の生存本能を刺激し、この身を炎のオーラで熱くさせ、身体に回る毒を弱める。
炎と毒。俺達は互いのオーラに身体を火照らせ、熱く刺激的な、人間には到達し得ない領域に達しようとしていた…

>>166-168
ピピッ
そんな二人の世界を壊す電子音が部屋に響いた。
俺達以外の、すぐ近く、この部屋に向かってくる異能者にスキャナーが反応したのだった。

「……」
「……」

邪魔者を迎え撃とうと俺は無言のままベッドから降りるが、阿合の娘にコートの袖を掴まれた。
俺は部屋の外に向かおうとした足を止め、掴まれていたコートを阿合の娘に羽織らせ、その唇に炎のオーラを纏った熱い口付けをする。
外国では挨拶レベルのほんの軽い口付け、それでもお互いに蕩けそう…いや、溶けそうな口付けだ。
汗も涙も体液の全てが毒となる毒に愛された女(ポイズネス)、その唾液も当然、俺の口を溶かしにかかる溶解液である。

「俺はどこにも行かない。すぐに戻る」

俺は阿合の娘を部屋に残し、口にオーラを集中し、溶けかけた唇や歯茎を再生しながら部屋を出ていった。

【ダークフェニックス:阿合哀を部屋に残してアリス、不知哉川&海部ヶ崎のもとへ向かう】

493ダーさん ◆zh66lkQmK2:2010/08/25(水) 20:18:34
――3F廊下――
スキャナーの反応がどんどんこちらに近づいてくる。その存在はまだ記憶に新しいものだった。
銀髪碧眼の女、先程逃げ出した異能者、アリスと名乗った得体の知れない存在。その存在と再び対峙する。
そして俺はその存在に、何故魔水晶の無くなったこの場所に異能者達が集まってくるのかおおよそ察しがついた。
だがこの女が何者であっても俺の取る態度は変わらなかった。

「…もし先程簡単に逃げられたのが、自分の実力だと思っているのなら過信しない事だ」

先程目の前の相手と対峙した時、俺は特に戦いを強いられていたわけではない。だが…

「俺は任務として受けた事を、けしてしくじる事はない」

今は此処に来る異能者の"振るい落とし"の任務を受けている。

「そして、この場所に貴様らが集まる限り俺に与えられた任務が変わる事はない。
 魔水晶を手に入れてそれで終わりと思っている筆頭は、隠れている事しか頭に無いからな…
 だから"貴様ら"も実力で助かったなどと思わない事だ」

そしてアリスの後方、曲がり角の向こうにスキャナーが示す2つのオーラに語りかける。先程まで外で戦っていた2人。
そうだ…そもそもそこの2人組を仕留め損なった事も、急に別の任務を入れられた事が原因だ。
俺は弱くなっていない。此処でこいつらを仕留める事でそれを証明する。

「それに個人的にもいいところを邪魔されて、貴様らに対して強い怒りを感じている」

かつてないほど、自分の中で感情と直結したオーラが高ぶっているのを感じていた。
そのオーラは身体から漏れ出し、怒りの矛先となるアリスを囲んでいく。
先程逃げる際に見せたオーラの圧縮解放による爆発…氷室霞美のような強大なオーラを誇示する傲慢な技。
アリスがまたあのような逃げ方をしようとすれば、アリスのオーラに俺の怒りのオーラが点火し、爆発の威力を自身がそのまま受ける事になる。
強大なオーラを誇る事による過信がその身を滅ぼす。
さらに俺のオーラの分広がる爆発は、俺のオーラが直接届かない死角の2人も巻き込む事になるだろう。

【ダークフェニックス:アリス・フェルナンテを怒りのオーラで包み込む。曲がり角の向こうの不知哉川&海部ヶ崎にも気づいている】




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