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二つ名を持つ異能者になって戦うスレ避難所5
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俺は阿合昭の死体を燃やさんと視線とオーラを送った。そのオーラに阿合の娘は気づいたようだ。
阿合昭の死体がやがて燃え始めると、阿合の娘はその死体を抱き寄せて俺の方を睨む。
「なにを――」
「貴様の能力では死者を蘇らせる事はできない。むしろこのままでは跡形も無く溶けて消えるぜ。
ならばせめて火葬にして、遺灰ぐらい残してやったほうが報われると思わないか?」
今使っている炎は特殊な炎ではない。俺は何も感じないようにしている。
俺のこの男に対する感情を露にすれば、骨も残さない業火で焼き尽くす結果になるだろうからな。
阿合の娘はしばらく燃えている阿合昭の死体を放さなかったが、やがて観念したかのようにその死体を手放す。
俺は火葬を続ける。そうしている間、阿合の娘は部屋の様子を伺っており、ゾンビに使われなかった五体不満足のカノッサ戦闘員の死体を目にする。
「他の人達は…カノッサの人?」
「そうだな」
「これはあなたが?」
「……」
やはり人格をのっとられていた間の記憶は無いようだな。
「……」
「やっぱりそうなんですね?」
俺がしばらく沈黙を保っていると、その態度を肯定と捉えたようだ。
阿合の娘は目覚めた時と違って、好意的な解釈をするようになった。勘違いだがな。
「アソナの人ですか?それとも」
「アソナの者ではない」
「じゃあ…」
「俺はカノッサの人間――」
「え?」
「――を憎む者だ」
ちょうど阿合昭の死体は燃え尽きた。肉が焼け落ち、そこには遺灰と遺骨が残されていた。
「これをどうするかは貴様の好きにし――」
「あの!!」
好きにしろと言い掛けたところで口を挿まれる。
「……」
「カノッサと敵対する人なら…一緒に戦ってくれませんか!?
…私、感じるんです。自分の中に流れる血を…その圧倒的で強大なオーラを……でも」
阿合の娘は遺灰を見て俯く。その目にはまた、遺灰を溶かしかねない溶解液の涙が浮かんでいた。
「独りじゃ…ダメなんです…」
娘の涙が零れ落ち、遺骨の一本を溶かしつくす。
「今まで独りでいる事なんて当たり前だったのに…あの人に助けられて…お父さんに会って、もう独りじゃないって思ったら…
もう孤独に耐えられなくて……それに、いつまた私が私でなくなるかと思うと…不安で…」
…どうやらこの娘はのっとられていた間の記憶もあったようだ。
記憶のないフリをしていたのは、夢とでも思いたかったのか?
「……」
「……」
――娘は本能的に感じていたのだろう。
化身の力を取り入れた自分自身の圧倒的な能力、そして訪れる絶望的な孤独。心を失わずに手に入れた力の代償を。
そして俺がその領域で共にいられる存在である事を。
俺は阿合の娘とそれ以上の言葉を交わす事なく無言で抱き寄せ、そのままベッドに押し倒した。
俺が使った性欲の炎の効力もあっただろう。だがもともと娘もそれを求めていたのだろう。抵抗は全く無かった。
吐息一つでも常人なら昏倒するような毒でできた身体を、愛せる者など今までいなかっただろう。
だが俺は違った。娘の毒の吐息は俺の生存本能を刺激し、この身を炎のオーラで熱くさせ、身体に回る毒を弱める。
炎と毒。俺達は互いのオーラに身体を火照らせ、熱く刺激的な、人間には到達し得ない領域に達しようとしていた…
>>166-168
ピピッ
そんな二人の世界を壊す電子音が部屋に響いた。
俺達以外の、すぐ近く、この部屋に向かってくる異能者にスキャナーが反応したのだった。
「……」
「……」
邪魔者を迎え撃とうと俺は無言のままベッドから降りるが、阿合の娘にコートの袖を掴まれた。
俺は部屋の外に向かおうとした足を止め、掴まれていたコートを阿合の娘に羽織らせ、その唇に炎のオーラを纏った熱い口付けをする。
外国では挨拶レベルのほんの軽い口付け、それでもお互いに蕩けそう…いや、溶けそうな口付けだ。
汗も涙も体液の全てが毒となる毒に愛された女(ポイズネス)、その唾液も当然、俺の口を溶かしにかかる溶解液である。
「俺はどこにも行かない。すぐに戻る」
俺は阿合の娘を部屋に残し、口にオーラを集中し、溶けかけた唇や歯茎を再生しながら部屋を出ていった。
【ダークフェニックス:阿合哀を部屋に残してアリス、不知哉川&海部ヶ崎のもとへ向かう】
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