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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

1名無しさん:2004/11/27(土) 03:12
コソーリ書いてはみたものの、様々な理由により途中放棄された小説を投下するスレ。

ストーリーなどが矛盾してしまった・話が途切れ途切れで繋がらない・
気づけば文が危ない方向へ・もうとにかく続きが書けない…等。
捨ててしまうのはもったいない気がする。しかし本スレに投下するのはチョト気が引ける。
そんな人のためのスレッドです。

・もしかしたら続きを書くかも、修正してうpするかもという人はその旨を
・使いたい!または使えそう!なネタが捨ててあったら交渉してみよう。
・人によって嫌悪感を起こさせるようなものは前もって警告すること。

16519 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>:2005/03/24(木) 11:21:53
128−131の続き


澄み渡るような青空が茜色へと侵食される頃、小沢はメモが告げた倉庫の前に来ていた。
さきほど居たテレビ局からはそう遠くはないのだが、わき腹の痣から来る激痛に邪魔されてなかなか前に進むことが出来なかった。おまけに小沢は東京の地理に明るくない。のろのろと歩いているうちに日が暮れれば、その分方向感覚も狂ってしまう。
そうしてこのまま倉庫の中で待ち構えているであろう相手と長時間戦えば、その分帰り道でも迷う確率が上がってしまう。
(だからね…)
小沢は開け放たれている扉の前に立ち、倉庫の中へ足を踏み入れる。
「早く終わらせて帰んなきゃなんだよ」

倉庫の中は、開け放たれている扉と、一定の間隔で存在する窓から差し込む光でそこそこ明るかった。
その中、ちょうど倉庫の中央に小沢より背の高い男が立っていた。
(どっかで見たことあるっけな…?)
小沢は自分の記憶を探るように目を細めたが、思い出したからといって大して状況は変わらないことに気付き、思い出すのをやめた。代わりにその男に声を掛ける。
「ADにメモを渡すように頼んだの君?」
「はい。他に渡す良い方法がなくて」
小沢の質問に、気安さを交えて応えると男は言う。
「すみません、こんなところまで呼び出して」
「まったくだよ。おかげで仕事さぼっちゃったよ」
小沢も気安さを込めて、相手に応えた。
互いにワザとらしく軽口を叩く。しかし心の中では、いつ動くかどう動くか、いつでも相手との距離を図っている。
「ごめんね、来るの遅くなって」
「いいえ、大して待ってませんし、こちらこそ突然呼び出しちゃって。地図、分かりました?」
「まぁ、そこそこ」
本当は地理に疎いため地図を読むのにも苦心したのだが、そこは隠しておく。
「でもよくこんな倉庫見つけたね〜」
辺りを見渡しながら、小沢は男に話し掛けた。
倉庫はどうやら今は使われていないのか、倉庫内は物も少なく閑散としている。窓がいくつかあるが、高いところにあるのでなにか踏み台でもなければ開けることすら出来ないだろう。床に釘などの危ない物が落ちている様子もない。

16619 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>:2005/03/24(木) 11:22:59
(どっか隠れる場所あるかな…)考えながら、また小沢は男と距離を測るためになにげなく右にずれる。
小沢と一緒に視線を廻らせながら、男は応える。
「僕、探し物とか得意なんですよ」
「そう」
小沢は興味のない顔をつくり、ポケットの中のアパタイトを握り締めた。
戦闘準備は出来た。後は相手次第だ。
しかし肝心のその相手は、小沢の様子を気にする様子もなく淡々と話し続ける。
「昨日も路地裏でぶっ倒れてた相方、探し出しましたし」
「…昨日の!」
なんでもないことのように告げる男とは対照的に、突然の告白に小沢は驚きを隠しきれなく思わず声を大きくした。昨日のことが一気に頭の中に浮かんでくる。
昨日小沢は、一人の男に街中で襲われた。奇襲だったためわき腹にダメージを食らったが、頭に血の上っていた相手では冷静さを失わなかった小沢が負けるはずはなかった。
小沢はその男をどこかの路地裏で倒して石を封印すると、そのまま放って帰ってしまったのだ。

(あー、コンビなのに一人しか居なかったから、昨日は誰だか分かんなかったんだ)
妙に納得すると、昨日放って帰ってしまった男の様子が気になった。
確か顔面に衝撃波を食らっていた。血は出てなかったし命に別状はないとは思うが、今頃は自分のように痣に悩まされているだろう。
「怪我とか、大丈夫だった?あの人」
「大丈夫です。医者に連れてったら骨が折れてるわけでもなし、1週間ほどで消える痣って言われましたから。
まぁ固形食が食べれなくて本人は辛そうでしたけど」
「記憶は?」
「見事に吹っ飛んでました。医者は衝撃による記憶喪失、どっかの壁に誤って激突した事故ってことで片付けてくれました。」
その言葉に小沢は胸を撫で下ろした。想像したよりも大した事にはなっていないようだ。
男は少し息を吸うと、
「ありがとうございました」
と小沢に深く頭を下げた。
「なに?俺、なんかした?」
「相方を殺さないで居てくれた。おまけに黒から一番いい方法で抜けさせてくれた」
そう言うと男は顔を上げた。姿勢を正すと、小沢と真正面から向き合う。
「…君たちはなんで黒にいるの?」
「それを言うなら、小沢さんだってなんで白に?」
小沢は応えない。
男はそんな小沢に対して軽く肩を竦めると、言うことは言いました、と呟いた。
「手加減はしませんよ?」
「俺もしないよ?」

16719 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>:2005/03/24(木) 11:23:37


二人の間に心地の悪い緊張感が走る。その緊張感に悪酔いした小沢は相手との距離を測り損ねそうになるが、辛うじて踏みとどまる。
計ったように二人そろって息を吐き出すと、同時に声を張り上げた。
「もういいよ!」
男が怒鳴ると空気が収縮され、それは一気に小沢へと向かって放たれる。
「君って俺にも地球にも優しいんだね!」
男の放った衝撃波は小沢が指を鳴らすと共に、やわらかい風へと変わった。
小沢は男が自分で放った衝撃波に気を捕らえているうちに、右に向くとすみやかにさきほどから目をつけていた沢山と積んであるドラム缶の後ろに隠れる。
相変わらずわき腹の痣が存在を主張してくるが、あいにくとそれ構っている余裕は小沢にはない。痣のせいで少しの運動でも揚がってしまった息を整えると、小沢は状況の整理に取り掛かる。
(ここまでで分かったこと。あの男は突っ込みだ…じゃなくて、声量の分だけ衝撃波になる)
自分でボケと突っ込みを入れると、(今度はこっちから仕掛けないとね)とドラム缶から顔を出し、「そんなことより踊らない!?」 指を鳴らす。
と、小沢の能力により作られた小沢の虚像が、男に向かって走り出す。
それに虚を突かれた男は、「困る!」ともつれた声で叫んだ。
男の放った衝撃波は小沢の虚像をすり抜けて壁に激突した。
激突された壁は力をコントロール出来なかったのか、広範囲にへこんでいる。首を伸ばしてそれを確認すると、
(突っ込みさんの力は、ボケと似てんだな。ボケは集めた光を、突っ込みは声量の分だけを衝撃波に変える。コンビで似てんだろうなぁ…どっちにしても厄介だよ)
今の攻撃で分かったことをまとめると、小沢は困った。
「これが噂の八方塞りってわけね…」

16819 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>:2005/03/24(木) 11:24:13



男はため息を吐いた。標的である小沢が出てこなければ、一定の方向へしか衝撃波を飛ばせない自分の能力も空回りするだけだ。
「小沢さーん、聞こえます?」
声を掛けると、ドラム缶の向こうから「聞こえるよ〜」という小沢のくぐもった声が返ってきた。
「僕だって体力のこととかありますし、小沢さんだって時間ないんでしょ?このまま長期戦じゃ困ります。
僕の力は、ただただ声のでかさだけが衝撃の大きさにかわるだけです。
そんな単調な能力、恐れる理由になりますか?」
しかし男による説得を、小沢は強い調子で否定する。
「なるよ!当たったら痛いじゃん」
「…そりゃそうだ」
小沢の言葉に納得させられると、男は小沢の隠れているドラム缶とはかなりの距離を置いて置かれている木箱の後ろに隠れるように腰を下ろした。
「こりゃ長期戦になるなぁ」
疲れるの嫌だなぁ、と先ほどと同じようにもう一度ため息を吐くと、諦めたように石を握り締めた。



男は長期戦に持ち込む気になったようだ。
男の気配が小沢から離れるのを確認すると、小沢は詰めていた息を吐き出した。
暑くもないのに額からひきりなしに流れる汗を服の袖で拭うと、小沢はドラム缶に寄りかかった。
なんとなく、井戸田の顔が浮かぶ。
訳の分からない内に石と力を手に入れ、本人の望まないうちに非日常に放り出された小沢にとって、仕事とはいえいつも傍にいる井戸田に会うことは自分がまだ日常に居ることを確認することが出来る手段の一つだった。
井戸田に怪我のことも石のことも何もかもを黙ってきたのもそれが理由の一つであるし、芸人の間で密かに広まりつつある石の噂も出来る範囲内で自分たちの日常の中から排除するように、耳に入れないようにしてきたのだ。

井戸田は今、自分を探しているかもしれないしスタッフに謝って回っているかもしれない。
しかし井戸田という日常は、あの控え室で自分を待っている。

「早く帰りたいよ…」


呟いた言葉は空気中に溶け、開け放たれている扉から吹くかすかな風に攫われていった。

16919 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>:2005/03/24(木) 11:26:21
今日はここまでです。



石:シリマナイト(効能:危機回避)
能力:声量が衝撃波に変わる。
条件:マイクや拡声器、反響音は衝撃波には変わらない。あくまでも自分の出した分の声量にしか能力は発動しない。
衝撃波の方向を自分でコントロールすることが出来るが、一定の方向へしか向かわせることが出来ない。方向を拡散させることが出来ない。
力を使った分だけ喉を傷つけるため、使いすぎると声が枯れる=能力が使えなくなる。


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