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【場】『 大通り ―星見街道― 』 その3

868縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2026/01/02(金) 17:33:09
>>867

           タッ タッ タッ タッ

日課のジョギング、いくつかあるコースの一つ。
その終着点がこの公園であり、ベンチで休憩するのが習慣だった。

「ふぅー…………」

スピードを緩めつつ公園に入っていき、
左手の腕時計で時間を確認しながら、右手で水筒を取り出す……と。
ここで顔を上げ、初めてアリアドネの存在に気付いた。

「…………ども」 ペコリ

軽く会釈を送り、その隣のベンチに腰を下ろす。
いつも通り10分ほど休憩していく予定だ。
ちなみにこちらは黒いジャージ姿の、高校生の青年である。

869アリアドネ『アリアドネ』:2026/01/03(土) 10:42:31
>>868

特に意識することもなく、
ぼんやりと目の前の景色を眺めていた時、青年の姿が視界に入ってくる。

    「こんにちはぁ」

              ペコッ

あちらに会釈されたので、こちらも同じように頭を下げる。
同時に返した挨拶の言葉は日本語だった。
瞼を下ろし気味の気だるげな表情で、刺々しさは感じさせない。

「――――運動部の個人練習?」

「あんな風に走ってる人を見ると、
 こっちも『たまには運動しないと』って思う。
 でも、結局は大抵しないんだけどねぇ」

縁藤の格好を眺めながら、柔らかい声色で軽く笑う。
アリアドネのモットーは『無難に生きること』であり、
そのためには適度に世の中と付き合わなければならない。
だから挨拶だけではなく、ほどほどに世間話もする。

870縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2026/01/03(土) 19:20:02
>>869

「……ああ、いや」

こちらから会話を始めるつもりはなかったが、
『話しかけられるかも』とは思っていたし、別に嫌でもなかった。

「『帰宅部』っス。
 最初は『陸上部』やってたんスけど、半年も経たずに辞めちまって」

「だから、これはただの趣味」

水筒に口を付ける。これまでにも何度か交わしてきた覚えのある会話だ。

「健康のためなら、水泳とかの方が良いらしいっスよ」

「走りすぎると逆に体に悪いとかなんとか」

小耳に挟んだレベルの話なので、信憑性は定かでない。
だが、雑談ってそういうものだろう、とも思う。

871アリアドネ『アリアドネ』:2026/01/04(日) 11:02:45
>>870

縁藤が水筒に口を付けると同時に、こちらもロブスターロールを齧った。

「ふぅん、趣味ねぇ。
 でも、長く続けようと思ったら、それくらい緩い方が良いのかも。
 何事も『ほどほど』が一番よ」

世間話の範疇から外れないために、『辞めた理由』については触れない。

「水泳やってみようかな?ま、多分やらないわ」

                 スゥッ

相槌を打つように笑うと、億劫そうに脚を組み替え、ズレたコートを直す。

「こっちも『お得意様』と縁が切れちゃって、最初どうしようかと思ったけど。
 振り返ってみると、なんというか『潮時』だったから」

今の時間は夕方であり、露出の多い服装は『夜の仕事』を思わせる。

872縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2026/01/04(日) 16:54:19
>>869

「はは。まあ、そうっスね」

苦笑を浮かべつつ、相槌を打つ。
自分のランニングは到底『ほどほど』の範疇には収まらないだろう。
話の腰を折るほどのことでもないので、黙っているが。

「ダイエットとかでもなければ、
 歩くだけでも充分なんじゃないっスかね。若いうちは」

もちろん、縁藤もアリアドネの本当の年齢など知る由もない。
見た目からして二十代だろう、と素直に考えていた。

「『お得意様』っスか。仕事は何を?」

そして同じく、『水商売』か何かだろう──とは思っていたが、
失礼だし、違っていたら大変なので、口には出さない。
露出の多い服装にも、なるべく視線は移さない。

873アリアドネ『アリアドネ』:2026/01/05(月) 11:58:41
>>872

当たり前ではあるものの、縁藤の『心臓』のことは何も知らないので、
それに纏わる『心境』についても理解の範囲外だった。

     ──────ピキッ

              「あは…………まあ、そうね」

ちょっと他所見していたら見落としそうな一瞬、不意に気だるい笑みが固まった。
アリアドネにとって『年齢に関わる話題』はタブーだ。
そういった反応のせいで、『実年齢は見た目の倍以上』という噂も流れている。
無論、あくまでも彼女の周りが知っている程度の話であり、
初対面の縁藤が把握していないのは当然だろう。
だからこそ、アリアドネ自身も『爆発』には至らない。

「ふふ、お仕事はねぇ――『男と女』に関係する内容とだけ言っとくわ。
 詳しくはプライバシーってことで、ね」

すぐに気持ちを切り替え、先程と同じような緊張感の薄い表情を取り戻す。

874縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2026/01/05(月) 22:47:11
>>873

「────?」

アリアドネの様子の変化には気付いたものの、その真意、
そしてトリガーが『年齢』であることには、なおさら辿り着けない。
怪訝そうに眉をピクリと動かしたが、それだけだ。

「……俺にはまだ早そうな世界っスね」

同じく、思考はすぐに次の話題のことに移った。
婉曲的な表現とはいえ、『男と女』と言われれば察するものがある。
わざとそれっぽい言い方をして煙に巻いている可能性もなくはないが、
仮にそうだったとしても、今は素直に騙されておこう。

「ま、縁ってものはあるっスよね。
 それに逆らっても、あんまり良い結果にはならないっつーか」

「来る者は拒まず、去る者は追わず……ってやつ?」

例の『お得意様』のことだ。
縁藤自身、人間関係にはそこまで頓着しないタイプである。
結果として、友人の数は多くもなく少なくもなく、といった感じだ。

875アリアドネ『アリアドネ』:2026/01/06(火) 11:50:57
>>874

『男と女に関係する仕事』――実のところ、その言葉は嘘ではなかった。

「あっはぁ、良いこと言うじゃない。
 ま、なかなか大口のツテだったんだけど、不安定なのが玉に瑕だったからさ。
 今は儲けが減った代わりに安定を得たって感じねぇ」

アリアドネが『無難な生き方』を心掛けようとしている理由は、
過去に付き合いのあった『お得意様』と無関係ではない。
当時は危ない橋を渡る機会も少なくなかったが、
生来の『女の勘』を駆使して切り抜けてきた。
しかし、現在そういった方面からは距離を置くことに決めたのだ。

「縁って聞くと、『袖振り合うも多生の縁』なんて言い回しを思い出すわ。
 こんな風に世間話してるのが『何かの縁』だったりすることもあるかしらぁ?」

もちろん『一期一会』という場合もあるだろうが。

876縁藤『クロス・ザ・ルビコン』:2026/01/06(火) 22:27:30
>>875

「やっぱ大変なんスね、働くって。今から憂鬱っスよ」

エスカレーター式である『清月学園』において、
高校二年生に相当する縁藤にはまだ先の出来事──就職、そして労働。
未来のこととはいえ、将来への不安に駆られることも当然ある。
進路は、アリアドネのそれとはずいぶん異なるものになるだろうが。

「んなこと言いだしたら、
 アンタみたいな職種の人は縁だらけになっちゃうんじゃないスか?」

「『男と女』……なんだろ?」

コミュニケーションを金銭に変えるタイプの仕事だろう、とは推測していた。
そんなに深掘りするつもりはないが……気になるものは気になる。


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