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【個】『観覧席』【ミ】

529『赦されざる不抜の蝕み』:2022/09/16(金) 20:45:04
>>525(宗像)

「なーんだ、武器としての興味ですか!
 『らしい』っちゃらしいですけどね。
 それとも、賭けの中身に関係あったりとか?
 ま、そこは結果が出るまでネタバレナシですけど!」

    「鈴蘭の毒は確か結構強いですよ。
     その割にキレーな花なんで、
     子供が間違って食べたりとか、
     食べさせたり……なんて事故も聞きますね!」

それも調べればわかる情報ではある。
だが、点がつながれば線になるもの。
宗像だけが持つ情報と、いずれ繋ぐことも出来るかもしれない。

「一つの動作にいくつも意味を持たせる。
 結城もそれをやってはいましたけど、
 扇原は『意味を隠していた』わけですね。
 初試合とは思えないぐらい、まさにアッパレ」

        「あの破壊力は伊達じゃない。
         まあ、とはいえ、
         手負いの獣は……でしたよね!」

>>526 >>528(門倉派)

美作の張り上げた大声に振り向かれはしても、訝しみやざわめきなどはない。
むしろその声を呼水にして歓声が渦を巻く。波ではなく渦だ。中心に二人がいる故に。

――――それでも、今はまだ美作の『熱』は歓声に飲まれ、この場に響かない。

                  ・・・だが幾つかの視線には意味があった。
                     ここからの声が聞こえたかは分からない。
                      だが、天井。『実況席』に座る男の視線が、
                       確かに新たな『実況者』を、僅かに捉えたように思えた。
              
>>527(ソラ)

扇原の守りは攻めを兼ねていた。
熟練の戦士の定石ではなく、土壇場で見せた技の冴。
だが――――結城もまだ何かを残している。

「同感だ。結城は馬鹿じゃない」

冬川がつぶやく。
そして続ける。

「だが――――
 この場の『熱』がある。
 それは、観客だけが乗せられるものじゃあない」


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