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【個】『観覧席』【ミ】

1名無しは星を見ていたい:2021/04/30(金) 19:56:44

     ┌───────────────────
     │・『アリーナ』の観戦
     │・『イベント』の見物
     │その他、あらゆる『観客』を歓迎します。
     └───────────────────

★当スレッドの使い方について★
・GMを問わない『共用スレ』になります。
・メインとなるミッションやイベントの『応援』や『観戦』を行うスレッドです。
・メインミッションのGMが許可した時のみ、使用できます。

103鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:11:18
>>99

「時間稼がれてまた変なモン出されたらかなんわ。」

「ただ、接近してるんやったらさっきの鐘は出されへん思うけど。」

鐘の大きさを考えると、相手と一定の距離を離す必要があるだろう。
でなければ自分も鐘の中だ。
いや、勝負を度外視すれば自分ごと鐘に入れられるかもしれないが。

「ただ、いつまでもこうっちゅんは親切やないね。」

別に他人に闘いを見せるために闘っていないなら
見えないことを闘士が気にする必要は無いだろう。

104『六道辻』:2021/04/30(金) 21:11:32
>ALL
『煙幕』はじょじょに薄まっていく。
人影が二つ、その距離を詰めていく――――

105鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:11:49
>>104

現したその姿。
距離を詰めたいであろう太田垣。
距離を離したいであろう坊主。
いや、詰めているのなら二人とも近づきたいのか?
どちらでもいい。どうあろうと勝負は、決着は一瞬だ。

「太田垣さん。」

太田垣がここまでいくと他の者は思っていたのだろうか。
何も知らない鈴元はともかくとして、このアリーナの事情をあの坊主の事情を知るものは
あの坊主に声援を送っていたのではなかったか?

「太田垣良さん。」

自分と同じ響きの名前を持つあの少年。
そこから親近感は沸かなかった。
しかし、それと彼を応援したいと言う気持ちは変わらない。
一時はどうなるかとも思ったが、彼は今闘っている。
その姿は鈴元の目に勇ましく見えた。

「頑張って。」

106久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:12:06
>>104

 「………………お、早いですね、
  もう晴れてき………」


             「おおッ!?」


 白煙内で繰り広げられていたのは、
 これまでの試合運びから考えれば
 少々意外な光景だった。


 「『接近』!

  だが挑戦者のほうはともかく、
  まさか住職まで―――」


   おいおいおいおい、
   何がブレイクタイムだって?
   とんでもない―――


  ステージ上から濃厚に立ちのぼっているのは
  一刹那後の『激突』の予感!


   何かとんでもないことが起こりそうな
   予感しかないッ!



 椅子に深く預けていた姿勢が
 ガバッっと一瞬で持ちなおり、
 ステージに向かって身を乗り出す。


    「――――――」


  声援を送ることも束の間忘れて息を呑む。
  次の一瞬を見逃さないよう、
  ステージの二つの人影を食い入るように見つめる――

107『六道辻』:2021/04/30(金) 21:12:24
>ALL

                シュゥゥゥ . . .


『煙幕』は次第に散り、一人と一体の姿が露わになっていく。
二つの『錫杖』を双手に掴んだ『慧観』、一つは解除され、
――――その巨躯が、じょじょに持ち上がっていく。

 ≪ああッ!  今ッ!
   会場の様子が見えましたッ!
   ――――ど、どうした『慧観』選手ッ!?≫

                            _/
                           /
                      グゥゥ・
           グッ

          ≪あれが、『ザ・サードマン』の能力ッ!
            『どんでん返し』、床が一瞬にして『ベタ踏み坂』になりましたァッ!≫

『煙幕』は散って消え、――――『顎門』は開かれる。
跳ね橋のように持ち上げられた『床板』はその舌先に『慧観』を載せ、天へと掲げる。
一本の「『錫杖』を支えに立つ『慧観』だが、足元はふらついている。
このまま転がり落ちれば、その先には『ザ・サードマン』が構えている。


          「ぬ、ぉぉ!」


>鈴元
>東雲

     「いいぞッ! 『本体』は自由には動けんのだッ!」


         「無理矢理『接近』させれば、後は関係ねェ!」

握り拳を振り回し、『尾藤』は熱声を送る。


>トミー
>スミシー
「この高さじゃあ、『落下』させても致命傷は敵わねェ。
 動きは止められるが、……出てこねェ『本体』が気がかりだ」

劣勢の中からの逆転、しかし『ニコン』の双眸は鈍く光る。


>穂村
>久染

           「しゃあああああああ!!!!!」


                「キトンジュヤッ!」

                    「チュギョジュダ! ジャンマハルムニダッ!」


思わず母国語で絶叫し、立ち上がる『クァンガン』。
『シュニッケンズ』を透過してその席に座り、両側に腰掛ける『久染』と『穂村』の両肩を抱く。

108スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:13:14
>>104

「…………!」

    (気配か? 音か? 勘ってやつか?
     分からねえが……お互い位置に気づいてやがる!)

単純な差し合いなら『慧観』が勝る。
『ニコン』が言ったように、リーチの差だ。
いくら速くても、リーチの差には勝てない。

「……どう出るッ! 良……!」

接近するならば、策がいる。
単に殴るだけでは……おそらくは。

      「手があんのか!?
        野郎より長い手がッ!」

               「鋭い手が……!」

リーチの差を埋め、突き抜ける手。
『ザ・サードマン』には、太田垣には、それがあるのか?

109スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:13:29
>>107

      ――どうやら、手はあったらしい。

「……どんでん返し!
 ああいう使い方もできるのかッ!」

     「幅広ェ能力だぜ……!
      足止めで隙を作れば、次の手も打てるかもだ!」

体勢を崩した慧観。
振るえなければリーチも無意味!

「……本体?
 そういや、良のやつ……」

「だが、迂闊に出てくるわけにも行かねえんじゃあねえか?」

スミシーの知性は高くはない。
見ているだけでは、二酸化炭素の事実には気づけない。

110久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:13:45
>>107

    「おッ」



        「しゃあああああああ!!!!!」



 飛び出した雄叫びは無意識!
 しかしキムとぴったりハモる。


  言葉の意味はわからんが、
  あらわす感情は同じだろう。
  すなわち『興奮』&『熱狂』!

 そりゃ叫ばずにはいられないし、
 突然ガッシと組まれた肩だって、
 抱き返さずにはいられないッ。


     「やったッ!
      ついにッ!

     『今度は挑戦者が
      住職を捉えた』ッ!」



 『どんでん返し』!
 なんちゅ―― ド派手な能力!
 『舞台映え』しまくりだ、これはッ。



  「住職は『立ってるのもやっと』って感じに見えますッ!
   対して挑戦者の次の一撃は『ほとんど予約確定状態』!
   凌ぐ策がなければ決着もありうるのではッ!」


 横並びになった二人と一体に
 興奮顔で訊ねる墨彦。

 強引に上乗りされたスタンドさんが気になるが――
 (どういう気分なんだろう)
 いや、今はステージに集中だッ。

111鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:13:59
>>107

「あ。」

「太田垣さん……!」

そうだ。ひっくり返せ。
全てを返してやればいいんだ。
不利を有利に、返してやればいいんだ。

「尾藤さん。」

尾藤の熱気に当てられたのだろうか。
鈴元は両手でメガホンを作っていた。

「太田垣さん、お気張りやすぅ!
 はよう勝って座布団舞わしたりぃ!」

「そしたらお客さん皆ひっくり返りはるわ!それがどんでん返しやろ!」

この声が届くことを祈ろう。

112東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/04/30(金) 21:14:14
>>107

「ようやく本領発揮ってぇところかのぉ」

なるほど、『どんでん返し』を動かすパワーも中々のものか。
そして万が一落ちてしまえば、その先には『ザ・サードマン』。
ただ地上で立ち会っているのとはわけが違う、殴り合った拍子に吹き飛ばされることもない。
さながら蟻地獄のように、逃げ場はないということだ。
慧観としては、絶対に落ちてはならないところだろう。
まだ『エンプティ・エステート』に隠し球があれば、変わってくるかもしれないが。

「さぁあんたはどう出るんじゃ、慧観」

今度は坊主の方へと視線を向け、その動向に注目する。

113トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2021/04/30(金) 21:14:27
>>107
「ほう」

じっと見つめるだけだったが、小さく呟く。
自分だったら、あの『どんでん返し』。どう攻略するだろう?
不可能ではないだろう。だが簡単とも思えない。そして、そう、

『本体はどこだ』?

『鐘』と『火』、それに過敏に反応して、隠れてしまっているのだろうか。
そういう人間の戦い方でも、無いようには見える。ならば、出てこない理由は・・・

「案外、『互角』。いや」

選択し、落ちていく先が純然たる肉弾戦であれば、武器の分だけ、『慧観』が勝る。
何せ、その武装は未だ、全容を見せてはいない―――

114『六道辻』:2021/04/30(金) 21:14:46
>ALL

                ド  バンッ!

                    ――――ギャルンッ


『ザ・サードマン』は全速力で駆け、その勢いのまま『冷蔵庫』を蹴り飛ばした。
『どんでん返し』がひっくり返り、玉手箱のように沸いた白煙と共に『太田垣』が現れる。


        ≪『太田垣』選手、『白煙』と共にド派手な登場ですッ!
          『慧観』選手の動きを留めた今、
          彼にとっては『モズのはやにえ』といったところなのでしょうか!?≫


鮮やかな脱出劇のはずが、『太田垣』の顔色は真っ青だ。
先ほどの『梵鐘』の中で体力を消耗したのだろうか。


                ガッ

                          ギュ

                          オ/
                           ・

『どんでん返し』から飛び降りた『慧観』は、
錫杖の石突を這いつくばった『太田垣』目掛けて振り下ろす。

>>109(スミシー)
>>113(トミー)
「――――『白煙』だ。
 『慧観』を持ち上げた『どんでん返し』、そこから『白煙』が昇った。

 ありゃあ『埃』じゃあねェ、『スモーク』の煙だろう。
 見ろよ、あの表情。『高山病』にも似ている、『酸素不足』だぜありゃあ」

>>111(鈴元)
>>112(東雲)
「野郎ッ!
 『どんでん返し』から脱し、
 尚且つ、『攻撃』に転じられるッ!」

         「『ザ・サードマン』と唯一拮抗出来る、
          『破壊力』に凶器と重力を上乗せしているぞッ!」

>>110(久染)
>穂村
「いいねェ、ペースは『太田垣』選手にあるぞッ!
 あの能力は『環境』を支配出来るッ! 『地の利』を得られるぞッ」

     「生身で闘う『慧観』住職にとっちゃあ、
      不意の『落とし穴』や『足払い』も当然だッ!」

>ALL
試合は『太田垣』が優勢の中、あちこちで囁き声が聞こえる。


   「おい、なんかさ」

                 「――――ああ、気付いた?」


      「『慧観』って、実は大したことないんじゃあねェか?」


   「大物ぶってみりゃあ何事かと思ったけどよ、
    倒したのは障害者の『反町』と、『尾藤』だろ?」

         「腑抜けた『太田垣』相手にボロボロじゃあねぇか」

   「思えば『実況』のゴリ押しも酷かったよな。
    『太田垣』をかませに、『慧観』の格を上げる気満々だったろ」

   「そもそも、スタンドパワーが不足してるんだろ。
    今までは小細工でなんとか頑張ってきたんだろうが――――」

115スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:15:12
>>114

「い、言われてみりゃあ……
 そうか! スモークは空気じゃねー……!」

       「『呼吸』しても酸素が補給できねえのか!」

スミシーには知識がない。
だが、状況のヤバさは分かる。

    決して――太田垣の絶対的有利ではない!

「跳び下りながらの一撃!
 ありゃあ、食らっちまうと相当痛ェーぞ……!」

重さは強力な武器だ。
太田垣にはパワーはそれほどない。

受けきれるのか――?

    「……」

囁きはスミシーにも聞こえるが、それこそ野球観戦。
いちいち反応もしてられない。

          (スタンドパワーを補うってのは……
           小細工じゃねえ。『技術』じゃあねえのか?)

     (それに……まだわからねーだろが。
      俺だって、良がこのままぶっ倒してほしくはあるが。)

思うところはあれど、だ。
そして、スミシーとて慧観を侮りたい気持ちはある。

116久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:15:32
>>114

 「挑戦者が選んだのは、
  『追撃』じゃなくて『登場』ォ〜〜〜〜〜っ!?

  この好機に……… 能力の限界時間かァ!?」



      「!  いや、違う―― 挑戦者、立てないッ!
       今ふらついてるのは『太田垣』のほうだッ!
       『逆』だ! また逆転だッ!」



  「『水面下』で何かがあったんだ!
   僕たちには見えない戦いが―――」



 と座席から腰を浮かせたところで、
 耳に入ってくる無粋な文句に眉根を寄せる。


   む……


       「( ムカッ! )」


  この人たち………
  そーいう水を差すようなこと言う?


  足元フラフラになりながらも
  戦いつづける彼らの姿を見て、
  なにも思うところはないんだろーか?



    住職は―――
    動的なヴィジョンのないスタンド使いは、
    自分の『身体ひとつ』で敵の攻撃を避けたり
    防御したりしないといけない。

    だから像あるスタンド相手に真正面から対峙するのは、
    すごく勇気がいることなんだぞ……

    つい最近、僕はそれを身をもって知った。


  治ったばかりの右手にググ…と力が篭もるけど、
  だからって、いちいち野次馬に
  声を上げて言い返したりはしない。

 (それこそ楽しんでいるフツーのお客さんに
  水を差す行為だし)



     「いいぞ――――――――ッ
      慧観―――――――――― ッ!」



  代わりにステージに向かって声を上げるのだ。
  その声が彼らへの反論だ。
  そしてこの試合に対する一つの姿勢、僕なりの『態度』の表明だ。


      「太田垣も!
       このままで終わるなァ―――――――ッ!」

117東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/04/30(金) 21:15:48
>>114

「敵を追い詰めておきながら、わざわざ『スタンド』を自分の方へ動かした…それほど急を要する事態っちゅうことじゃ」
「炎が地下へと回っていたのか、はたまたスモークが流れ込んだのか…」

確かに試合は『太田垣』が優勢だが、この行動で流れは僅かに『慧観』へと向いた。
その流れを断ち切るには、ここで太田垣が上手くヤツの攻撃をいなす必要がある。
真の『どんでん返し』、果たして太田垣は起こせるのか。

「・・・・・あん?」


>      「『慧観』って、実は大したことないんじゃあねェか?」


>   「大物ぶってみりゃあ何事かと思ったけどよ、
>    倒したのは障害者の『反町』と、『尾藤』だろ?」

>         「腑抜けた『太田垣』相手にボロボロじゃあねぇか」


「・・・・・口だけは達者なヤツらがおるのぉ」

『ジロリ』

無責任な囁きを、鋭く睨みつける。今の発言は『慧観』、そしてその対戦者を侮辱している。

「あたかも、自分があのスタンドを使っとったらその『三人』に勝てるかのような物言いじゃ」

もっとも、彼らに実際それだけの気概があるならば構わないが。

118鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:16:04
>>114

「あ、出てきはった。」

「けど、なんや青い顔してはるで。」

流れが太田垣に向いていたように感じたが、再びあの坊主へと流れていこうとしているのか?
太田垣になにがあったのか、鈴元には分からなかった。
しかし今この状況がマズいという危険を感じていた。

「後もうちょっとで王手にいけそうやったのに……」

そう呟くと、周りの観客の言葉に気付いた。
聞くに堪えない言葉だ。
鈴元は太田垣を応援した。しかしそこに、あの坊主をけなす心はなかった。
なかったはずだ。

「……あれもココの特色なんかな。」

119『六道辻』:2021/04/30(金) 21:18:36
>ALL

         「ぬおおおおッッ!!」

                              ゴガッ!!


         ≪決まったァァァ――――ッッ!!
           まさしく『鬼手』、攻防を両取った一撃ィィ――――ッッ!!≫

地べたに伏せたままの『太田垣』目掛け、『慧観』が襲い掛かる。
石突の先端が迫る中、『ザ・サードマン』は瓦割りのように、地面へ拳打を加える。

大質量の『冷蔵庫』が倒れ込み、さながら力士の『ぶちかまし』に等しい。
中空でマトモに喰らった『慧観』は『太田垣』と『ザ・サードマン』の頭上を越え、
コンクリートの地面を転がると南西側の冷蔵庫へとぶつかる。

     「うおおおおお、『太田垣』ィィ―――!!」


            「早くぶっ潰せェェ――――ッッ」


     「ナメてんじゃねェぞ『慧観』!!」

              「いいぞ――――――――ッ
               慧観―――――――――― ッ!」

      「太田垣も!
       このままで終わるなァ―――――――ッ!」

『太田垣』への声援、『慧観』への罵倒。
ここまでの『慧観』の所業が裏返る。泥を塗られた『期待』は『反感』へ変わる。
『慧観』は『冷蔵庫』を背にして立ち上がろうとするも、剃髪した頭部は濃紫に鬱血している。

>>115(スミシー)
「『慧観』はハードルを上げ過ぎた。
 『ヒール』の挑発は、それだけで観客に『期待』を与える。

 無論、この空気が『慧観』を鈍らせるものにはならんだろうが、
 ――――傾いたぞ。形勢は、『太田垣』のものだ」

        「ここからはもう、『慧観』に逆転の手はない。
         背後に壁。『錫杖』のカウンターはもう通用しない」

『ニコン』の冷徹な言葉が、『慧観』の終焉を語る。

>>116(久染)

       「そうだァ―――ッッ!!」

          「まだ試合は終わっちゃあないぞォォ―――!!」


『久染』の懸命な声援を受け、隣に座る『クァンガン』はニッと笑った。
『久染』に続かんと声を張り上げ、両者にエールを送る。

>>117(東雲)
>>118(鈴元)

  「む、ぐゥ……」

                  ――――ヒュゥ♪

『東雲』のひと睨みによって、ガヤは途端に口を噤んだ。
その様子を両目を細め、口笛を吹き付けては面白そうに眺める男がいた。
上質なスーツを纏ったその襟元には、『向日葵』のバッヂが付けられている。


       「ハッ、口では何とでも言えるものよ。
        ――――だが、『慧観』に隙があったのは事実だ。
        俺ならば『コンタクト』にしていた。その点は間違いなく『失策』よ」

           「……だが、あの男がここまで追い詰められたのは、
            きっとこの闘いが初めてのこと。――――油断するなよ、『太田垣』ィ」


『鈴元』の呟きを受けた『尾藤』は真剣な眼差しを崩さず、
……ギリリ、と奥歯を噛む音が微かに聞こえる。
今の『野次』は痛いところを突かれたのだろう。


>ALL

       「見やがれ『慧観』、
        これがアリーナの底力だっつうの!」

         「いいぞォ、『太田垣』ィィ―――!!
          どんどん攻めろォォ!!  踏み潰せェェ――!!」

『太田垣』が優勢の中、会場の様子は不穏さを孕み始める。
送られる『声援』、『喝采』、そこに『攻撃』の意図が篭もるのは明らかだ。

120トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2021/04/30(金) 21:19:10
>>119
果たしてそうか? これで終わり。逆転の手は無いーー本当に?
そもそもここのこの連中は、揃いも揃って全員が、『慧観和尚のスタンド能力』、その全容を理解しているのか・・・?

「(もちろん僕は理解していない)」
「(そして僕も隠す。『LoG』で、ここで戦う、としても。能力は可能な限り隠す)」

和尚がやったことだ。観察し、対策すること。あるのと無いのとでは天地の差が開く思考。
だから阿南トミーは『錫杖のカウンター』とやらしか見せていないらしい『慧観』の、この現状こそが危険だと思う。
彼は窮鼠だ。
その鼠は、鉄と炎で武装している。しかもその武装の全貌は把握出来ていない。今ので意識を奪えていれば、なるほど確かに和尚の負けだが。

「(どうかな。まだ意識があって体が・・・『スタンド』が使えるのなら・・・)」

「既に知られている手を、慧観和尚は使う人ですか?」

純粋な疑問だ。とはいえそれが分かるほど、和尚自身が他人に見せてはいまい。独り言だ。

「んっふふふふふ」

言うのは『自由』。
野次るのも『自由』。たとえそれが唾棄すべき他力本願であったとしても、それは自分の物差しの話でしかない。
飲まず食わず叫ばず語らず、阿南トミーは観戦する。

121鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:19:23
>>119

「うわぁ……」

痛そうとかいう言葉では現しきれない痛々しさである。
それはあの坊主の頭が証明してくれている。

「?」

向日葵バッヂは何者だろうか。
あのひと睨みにひるまなかったのだから、自分の腕や他のことに自信があるのか。
それとも単にそういう態度であるだけなのか。
少なくとも、その服装からは低俗な感じはあまり感じない。

「なにごとも追い詰められてからが恐いわ。」

「さっきの太田垣さんもそうやしね。」

見守ろう、この一戦を。

122『六道辻』:2021/04/30(金) 21:19:55
>ALL
『慧観』は背後の『冷蔵庫』を支えにヨロヨロと立ち上がり、
『太田垣』は攻めの手を止めて、一連の行動を静観する。

          ツゥゥ――――

転がった時に傷口が開いたか、『慧観』の瞼下から血が滲む。
赤黒い液体は傷口に溜まり、やがて一筋の滴道を描いて、垂れ落ちる。

   ≪――――とォ、ここで互いに見合っているゥゥ!!
     呼吸を整え、確実な『トドメ』を刺す気でしょうかァァ!?≫

          ≪やっちまえェェ、『太田垣』ィィ!!≫

   ≪ファイターをナメた『生臭坊主』に『説法パンチ』だっつうの!≫

会場は大盛り上がりだ。熱狂の渦が産まれ、歓喜の声を上げる。
そこに『不純物』が混じっているのは確かだが、誰もこの勢いを『絶つ』ことは敵わないだろう。

>>121(鈴元)

    「ああ、俺も『追い詰めた』時に手痛い反撃を喰らった。
     『勝利』を確信した時、人は最も脆くなる――――」

『尾藤』は自省の意味も込め、低く呟いた。


>>120(トミー)

    「さて、な。
     だが、隠し玉ってのは『撃って』こそ、真価を発揮する」

        「『死蔵』して湿気った『銃弾』に、意味はねぇ」

久々に口を挟んだ『トミー』の言葉を、『ニコン』はにべもなく切り捨てた。

123スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:20:14
>>122

「……大人しく決まりゃいいが……
 どうも、こう、『確信』できねえぜ。」

慧観はこのままやられるのか?
敵に同情(敵でもないが)していられるのか――

      「俺にゃァ慧観の能力が未だに読めねーッ。
       錫杖のカウンターは無くても……」

               「いやしかし、あのダメージ……」

慧観は既にノックアウトか?
あの傷はどれほどのものだ?

「……早いトコ、決めたほうがいいってのは事実だろうな。
 今は手は無くても、ホってたら出てくるかもしれねー……」

        「何やら見合っちまってるが――」

スタンドは、心の力。気力があれば逆転の目はあり得る。
観客の罵倒を全肯定はしない。

       ・・・・だが、トドメをさせ!と言うのは納得だ。

124鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:20:26
>>122

(一呼吸。)

お互い万全ではないだろう。
しかし万全であることが全てではない。
窮鼠猫をかむ。窮さなければ強さは見えない。
土壇場の強さは見えない。

「尾藤さんでもそういうことあるんやねぇ。」

尾藤の言葉にそんな言葉を返す。

(揺らすまでもなく脆くなるんやね。)

いや、心が揺らげば脆くなる。
気は強くまっすぐだ。

「さぁ、ひっくり返されるか、念仏か。どっちにるんやろか。」

125久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:20:42
>>119 >>122

 喝采と同時に吹き上がる、
 想像以上の怒声と悪罵。
 期待と悪意まで『表裏一体』か。


 イヤな気分が心の中に広がりかけるが、
 隣のキムが続けて上げた声援を聴いて我に返る。
 そこにあったのは『裏表』のない笑顔だ。


    「……!」


 キムにうなづき、こちらもニカッと笑みを返す。
 僕も僕なりの態度を貫こう。

 どんなに流れが激しくとも、
 その流れに飲み込まれずにいることが大事なんだ。
 たぶん。


 両手のひらをメガホンがわりにして、
 ふたたび舞台上に声援を送る。
 挑戦者と住職、その両方の健闘を祈る声だ。


 とはいえ、今はなにやら
 見合っているみたいだが……


  「――――?
   一体なにを話しているんでしょうか……?」

126東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/04/30(金) 21:21:00
>>119>>122

「あぁん?」

この向日葵バッジの男、あまり『アリーナ』に似つかわしくない格好だ。
公的権力を持ってそうな雰囲気の、あのバッジは確かテレビで見たような記憶がある。
しかし確かに尾藤の言う通り、この近接戦闘が基本となるアリーナにおいて眼鏡は確実にハンデとなる。

「…しかし『どんでん返し』、見事に決まったのぉ」
「流石じゃな、『太田垣』」

皮肉なものだ。『アリーナ』を恨んでいるはずの住職が、ここまで『アリーナ』を盛り上げることになるとは。

127『六道辻』:2021/04/30(金) 21:21:29
>>294
歩み寄る『太田垣』はその足を止めた。


           ボ

                      ォッ!!


            「――――『無明』が過ぎるぞ、『太田垣』ィ!」


       ゴ

          ゴ
                   ≪『窮地』と見えました、見えたはずでした……!≫
   ゴ                                                ゴ
                   ≪し、しかし、あ、あれは――――≫       
                                                       ゴ
                                               ゴ


      「最早、微塵の『情け』も無用。
       『熱』、『煙』、そんな『枝葉』で止まらぬようなら」


                 「――――『業火』で貴様を滅ぼしてくれるわッ!」

轟音が響き渡り、『慧観』の『足場』が抉るように破壊される。
陥没によって生まれた『大穴』、『慧観』はそこに『浮遊』している。

『慧観』の身体から現れたのは、三面六腕の『阿修羅像』だ。
左右に『歓喜』と『悲哀』、――――その中央に『憤怒』の激情を宿した姿。           ズ
身の丈は『4m』、天井から下がる『実況席』とは頭が付きそうなほどだ。              ラ
                                                          ァ
                                                          ァ
       「この『怒り』が、『火生三昧』となりてお前達を滅ぼす。                /
        一欠片の慈悲もあらずッ!  積んだ屍と骸の山どもがッ」              ̄|_
                                                              /
                    ヴィジョン
                「この『 奇 形 』は、衆目に晒したくはなかった。
                    己の至らなさの顕現、我が『恥』の象徴、それに過ぎぬからよッ!」


『阿修羅像』は三対の『掌』を合わせ、それらも交わりて一対の『腕』だけを残す。
左右の『貌』は砕け散り、中央に位置する『憤怒』の貌だけが『太田垣』を見下ろす。

その表情は『慧観』と瓜二つだ。血の涙を流す『仏面』に『修羅』が宿る。


>ALL

         「な、なんだあれは――――」


                「おい、ありゃあ――――」


         「おい、まさか――――」


野次を飛ばし、声援を送っていたはずの『観客』達は絶句する。
それは闘いを愉しむように観戦する『クァンガン』も、
冷静な視線でファイターを検分していた『ニコン』も、
『太田垣』の勝利を見届けようと身を乗り出した『尾藤』も同じだ。

128久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:21:48
>>127


  「二人ともがん……」


             「ば」



 両手を拡声器にして、
 舞台上の勇士ふたりに声援を送るためと口を開けた――
 その姿のまま、しばらく固まる。



       「あ、……あ」


 『像』を追って、視線が天井までノロノロと伸びていく。
 その憤怒の相貌、そして住職の咆哮に直面した瞬間、
 急激に現実感が戻ってきた。



   「なっ…………
    なんだこれはアアア―――――――ッ!」



             「で……………『デカすぎる』ッ!」



 しかし単純なサイズ以上に恐ろしいのは、
 これほどの巨躯剛体を生み出す住職の精神性!
 その深部にて内燃する炎!


   「ぼ、僕は…………
    見誤っていました……!

    住職の内側で煮えたぎる『激憤』が、
    まさかこれほどのものとは……!」


     「しかしこんなもの、
      一体どうやって相手にすれば―――!?」

129穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2021/04/30(金) 21:22:04
>>127
「あァ?」


陥没によって生まれた大穴、
浮遊する住職から剥離するように現れる阿修羅の像。

「おいおいッ、
 いよいよドラゴンボールじみてきたじゃねえか。
 もしかして『スタンド像』あるのに、
 ずっと隠し持ってたのかよ。やべーよやべーよ。

 こっちの兄ちゃん(久染)も、
 フリーザ見つけた時のクリリンみたいに、
 あわわわ…ってヒいちまってンじゃねえか。なァ?」

          『阿修羅像…
           住職ノ精神ヲ顕在化シタスタンド像…
           凄マジイ熱量ヲ感ジマス…!』

「いや、それは知ったこっちゃねーけど、
 完全にプッツンしてんじゃねーか。
 おー、おー、太田垣頑張れよー」

130鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:22:21
>>127

「え?」

てっきり坊主は像を持たぬスタンド使いだと思っていた。
自分の友人のように人型の像を持たぬスタンド使いだと思っていた。
それは思い違いだった。

「おっきぃ……」

阿修羅象はあまりにも大きく、威圧的だ。
スタンドは精神。しかしこれは……
どうにも規格外に感じる。
鈴元の知識の範疇の外。こんなスタンドが存在するなど思いもしなかった。

「これ、倒せるん?」

スタンドである以上、人間である以上、倒せぬことはないだろう。
しかし、どうやって?

131東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/04/30(金) 21:22:39
>>127



 >    ゴ

>          ゴ
                   ≪『窮地』と見えました、見えたはずでした……!≫
 >  ゴ                                                ゴ
                   ≪し、しかし、あ、あれは――――≫       
                                                       ゴ
                                               ゴ


「ッ!!」

これには流石に驚いた。『慧観』にこのような隠し玉があったとは。
いや、むしろこの形状が基本で、あるいは今までが武器の顕現に抑えていたのかもしれない。
しかし本当に己の意思だけで、この能力を出し惜しみしていたのだとしたら、やはり『ファイター』としては理解できない。
何らかの制限があったのかもしれないが、だがそんな事を考えていても仕方がないか。
今までの技とは違う、『エンプティ・エステート』の、シンプルで圧倒的な、巨大さという暴力。
さて、『太田垣』はどこに弱点を見つけ、どうやって突くのだろうか。

「・・・・・笑みが止まらんのう」

132スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:22:58
>>127

「なッ――」

     「なんだありゃあ……」

            「『阿修羅』……!?
             ど、どうなってやがる……」

スタンドは、一人一つ。
複数めいた能力でも、大本は一つ。

          ・・・・つまり!

「あれが――慧観の、坊主野郎の真の力でッ!」

          「今までのは……ナンだ?
           発現した道具を使ってやがっただけなのか……!?」

無茶苦茶なことだ。
だが、何も矛盾していない。

錫杖や弓矢、鐘。
それ自体は普通の道具だった。炎はともかく――

「と、とんでもねー坊主だぜ……」

このスケール――激憤の化身には、驚くばかりだ。

133トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2021/04/30(金) 21:23:18
>>127
「『湿気る』どころか」「『鉄火、いや文字通り『修羅場』」

これを『予想』はできない。そんなことをしていたわけがない。
ただ阿南トミーは『錫杖』だの『弓』、『火』や『鐘』ではないだろう――もっともっと大きな何かだ、とは考えていた。

「こう直球だと言葉に詰まるが」
「しかし『お前達』の中に、ぼく『達』が入っていないことを願いたいですね」

なんだかんだで理性はありそうだし、何が起こるか分からないリスクを背負うようにも見えないが
サイズがサイズだ。軽口を叩きつつ観戦は続けるが・・・

134『六道辻』:2021/04/30(金) 21:23:47
>ALL
「……それッスよ」

 「…そうそれだ、それですよ!」
 「怒れ!悲しめ!そして曝け出してくださいよ!」


  「『垣間見たぞ』、慧観ンンゥ―――――ッ!!!」


   ≪遂に、遂にその姿を現しました――――ッッ!!

     『エンプティ・エステート』、その真骨頂が明らかになりましたッ!!≫


        「RUAAAAAAAAA!!!!!」


    ボ         ステージ中央へ逃げるように、『太田垣』は『東』へと駆ける。
                 それに遅れるように、『エンプティ・エステート』は巨躯を乗り出し、
       ボ      『太田垣』の元居た場所へ、組んだ正拳を振り落とす。

    ボ         元々、亀裂が刻まれていたのも災いした。
               その拳は『太田垣』の影を叩くように『床板』を粉砕し、
      ボ       産まれた衝撃は『冷蔵庫』を横倒しにし、周囲の足場さえ砕く。
       ォ/       まさに『天災』、神仏の怒りとさえ形容出来る一撃だ。
        ・


      「『太田垣』ィィ...

       舞台の裏側は、人の『生き死に』の賭かった『鉄火場』よッ!
       その覆いを捲る『覚悟』と『強さ』を以って、拙僧を倒してみせろッ!」

絞り出すような『怒号』が場を震わせ、その眼力は『太田垣』を真っ直ぐに射抜く。
『憤怒』を擬人化したような『巨人』、大樽ほどもある『側頭部』に深い亀裂が産まれている。
あれは『慧観』の負った傷、『鬱血』のフィードバックだ。

>>128(久染)
>>129(穂村)
「その巨大さ、『雄々しさ』にも驚嘆の一言だ……!

 だ、だがね、君達! これは『太田垣』君には絶体絶命のピンチだ。
 『大きさ』じゃあない。彼は今、『床』を思いっきり破壊されている。

 『力』ならば『技』で対抗し得る。
 ――――だが、その『土俵』が崩されては、最早『勝負』にならないぞッ!」

『クァンガン』も両目を見開き、素っ頓狂な声色で地面を指差す。
クレーターの空いた『会場』、『穂村』は思い出すかも知れない。
これではまるで、かの『月』が落ちてきた時のようだ、と。

>>130(鈴元)
>>131(東雲)
「な、なんだ―――――」

                       . . .
      「――――俺にさえ見える。
       それほどまでに『強大』なスタンドパワーかッ!」

規格外の『エネルギー』に観衆はどよめきを隠せない。
先程までの野次は完全に消し飛んだ。誰も歓声一つ叫ばない。
唯、事態の成り行きを見守っている。


                ニィィ...


ファイターでさえ『恐怖』に表情筋を引き攣らせる中、
――――『東雲』は笑んだ。


>>132(スミシー)
>>133(トミー)
「『錫杖』、『弓矢』、『梵鐘』、『送り火』。
 いずれも『仏教』の儀式で利用される『道具』、か。

 ――――『仏具』。
 いずれも信仰の『顕現』、『具象化』だとするならば、
 その実態が『仏像』だってのも、頷ける話だぜ」


       ドクン
                    ドクン


裸体となった『ニコン』は、肉体の上からでも解るほどに『心臓』を高鳴らせている。
驚愕する『スミシー』、得心する『トミー』、三者三様の反応だ。

135久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:24:27
>>129 (穂村)
>>134 (GM)


  「だ、誰が……うっ!?」


       「うォォォおおお―――――――
        ―――――――――ッ!?」


 穂村の軽口に言い返そうと振り返りかける、
 その瞬間に全身をつらぬく轟音と衝撃!


 前の座席の背もたれをひっつかみ、
 ガバッと懸命に身を乗り出して、
 舞台の状況を必死に見届けんとする。


   「ひ、一振りで……

    ステージの『1/4』ほどを
    抉り抜いていますよッ!
    これじゃあキムさんの言うとおり……!」


   冷や汗がツーっと頬を流れる。


   観客席から罵声が飛んでいた瞬間、
   身ひとつで闘いぬく住職の姿に、
   僕はひととき自分を重ねていたが――


     「――とんでもない思い上がりだった!
      この人の覚悟と怒りの『凄絶さ』、
      僕の身には想像さえ及ぶまいッ!」



   それでもこの状況、希望があるとすれば……
   あの損傷、あの亀裂。

   そして何より、
   挑戦者の闘志が決して『退いてはいない』ということ!

   住職が問いかける『覚悟と強さ』、
   舞台上に立つ彼ならば、ひょっとして……


             「みッ」


       「見せてくれ――――――――ッ!
        太田垣――――――――――――ッ!」

136スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:25:01
>>134

「り、理屈は……通ってるってわけか。
 それにしたってバカでけえスケールだぜ……!」


       ドクン
                    ドクン

(こ、この野郎……
 見るからに高鳴ってやがる!)

         (今さらだが、マジにファイターそのものだぜ……)

明らかにスミシーとは違う価値観。
そして――

「良のヤロー……!
 アレに、勝つ気満々じゃねえかッ!」

       「オイオイ」

             「半端ねェーーぞッ!
              この展開ってやつは!」

――『太田垣』もまた、ファイターだ!

137『六道辻』:2021/04/30(金) 21:25:39
>ALL


        ギュンッ! 

          ギュンギュンギュンギュン―――――


  ≪こ、ここでッ!! 回転しています、『ザ・サードマン』の大回転ですッ!
    し、しかしッ! 『巨漢』を、否ッ! 『巨人』を前に、あまりにも『微力』ッ!≫


        ーz、l/         『回転』を始める『ザ・サードマン』に対し、
          ノ              『エンプティ・エステート』の無情なる『張り手』が襲う。
             ワ         その一撃は『遠心力』を溜めるよりも早く、
              ァ/     .床板ごと『ザ・サードマン』を叩き潰すッ!
              ・

                   ガッ  ボォォォ―――――ンンンッ!!!


     「己の『無謀』を、『無力』を、『無明』を知れッ!

      お前の能力はあまりにも、『薄っぺら』過ぎるッ!」


『ザ・サードマン』は『太田垣』と共に上空へと放り出される。
――――アクリル板にて作られた『実況席』、その床へと『激突』するッッ!!

>>135(久染)
>穂村

    「ま、マジかよあれ……!」

       「信じらんねぇ……本当にスタンドかよッッ!!」

    「勝てるわけねェ、太田垣だってあのザマじゃねぇか――――」


先程まで『慧観』を腐していた観客達だが、
その規格外の『パワー』を間近にして一変、顔面蒼白となって泡を吐く。

>>136(スミシー)
>トミー

     「ああ、あの側頭部に一撃入れれば、勝ち目は有るぜ……!」

        「だがな、ノックアウトまでの一撃、それが困難だッ
         逆を言えば、あそこ以外にはほとんど打撃が通用しねェ」

     「身体が二倍になれば、体積は『八倍』になる。
      つまり、フィードバックも『八分の一』だ!」

138久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:26:10
>>137



   「――――― !!」



           「あああっ!?」



 声援を絶ち切る破壊音。
 次の瞬間、宙を舞う挑戦者とスタンドの姿に目を見開く。
 が……『鎧袖一触』とはこのことか!



  『回転』 対 『不動』!
  『能力』 対 『暴力』!  

  住職の武器は今のトコ単純なパワーでしかない……
  けど、それがこんなにも手を付けられないなんてッ!



 「〜〜〜〜〜〜〜」


 周囲の沈痛な雰囲気が絡みつく……
 今は声援も送り出せない。

 迫る激突の瞬間から目を背けぬよう、
 両手を握りしめ次の一瞬を息を呑んで見守る。

139鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:26:27
>>137

「やっぱりちゅうか、なんちゅうか。」

強い。
大きくその一撃は驚くほどに重たい。
人をまるで紙切れのように扱うその力は圧巻の一言であった。

「一寸法師てあないな気分やったんやろか。」

場にそぐわないような言葉が口から出る。

「腕振り回されるだけでも恐ろしいわ。」

140東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/04/30(金) 21:26:52
>ALL

                 ド
                       グシャッ!!


         ≪い、今、『太田垣』選手が到着しましたッ!
           もう誰もがこの試合を予想出来ないでいますッ!≫

            ≪おっ、『太田垣』選手!?
              ここまで来たから、ついでに応えて下さい!≫

         ≪――――『勝算』はあるのですか!?
           あの『巨人』は、私が見たどのスタンドよりも『強い』ッッッ!!!≫


空席になっていた『パイプ椅子』の上、『太田垣』はそれを押し潰しながら『着地』する。
『森田』はここぞとばかりに『太田垣』にマイクを向け、冷や汗を掻きながらインタビューを行う。


        「『森田』ァァァ―――――ッッッ!!!

         『十秒』、差し上げましょう。さっさとそこから失せなさいッ!
         もうそこは『安全圏』じゃあない、『戦場』に入ったぞ!」


巨木の如き『豪腕』を振りかざし、『エンプティ・エステート』を背にした『慧観』が吠える。

>>138(久染)
>穂村
「も、もうあれは、『試合』じゃあない。
 我々は『暴力』に対し、最も『礼儀』を尽くす生物だ。

 『食欲』を露わにせぬように『テーブルマナー』を、
 『勝利』に得る為の闘いには『スポーツマンシップ』を、
 人によっては『性欲』を満たす為に『恋愛』を愉しむと豪語するのだろう」


        「――――あれは、『慧観』は違う。
         『心』や『技』ではない、純粋な『暴力』だけで闘っている……!」


>>139(東雲)
>>140(鈴元)

    「あれが、『スタンド』――――」

    「あれで良いのか?
     唯、力に任せて暴れるだけの『獣』が勝つ。

     ――――それでは結局、『力』でしか勝敗は決しないではないか。
     生まれ持った『力』だけで、全てが決まるというのか?」

この場にて唯一の『持たざる者』。
『尾藤』の独白は目の前の趨勢を見守るしかない、『切歯扼腕』の現れであった。

141東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/04/30(金) 21:28:05
>>137

「敵とて悠長に待っちゃあくれん」
「むしろ、その巨体の『パワー』。なんの準備もなく、最短で相手の小細工を打ち破れるっちゅうことじゃ」

大型の分、鈍重であればまだ救いはあったろう。しかし、そのヴィジョンの速度は遠心力を貯める時間を作らせない。
勢い良く吹き飛ばされた太田垣。まだ立ち上がれるか?
身体だけではない、心の方もだ。

142<削除>:<削除>
<削除>

143鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:30:55
>>140

「ちゃう。獣は人間に負ける。」

「力を振り回せば人間は負ける。」

「でも、それを乗り越える為に人間は武器を持ったんはずなんや。」

力があるものが勝つ。
それはそうだろう。
獣の爪で人は切り裂かれる。
しかし、それを倒すのが人類だ。

「知恵のある人間が獣に簡単にやられへんはずやねん。」

獣の力、獣の速さ、獣の精密さ、人では勝てない。
それは人並みの『ギャザリング』も同じだ。

「生まれ持った力で優劣決まるんやったら、僕はココにこんかった。」

人は勝つ。強くなる。
そのはずだ。
だから

「太田垣さん!お気張りやす!」

「おおきぃんをひっくり返したりぃ!」

144東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/04/30(金) 21:31:13
>>140

「・・・・・・・・・・」

「わしは見ての通り、身体がデカい。『スタンド』を使わんでも、一般人相手ならタイマンで負けたことはねぇ」

尾藤の言葉は、何よりも胸に響く。何故なら、彼はこの『アリーナ』のファイターで、
誰よりも『持たざる』ものであるから。それでいながら、この戦場に立ち続けているから。

「・・・じゃが、『スタンド』での戦闘はそうはいかんはずじゃ。確かに、
 相手よりも膂力や速度が優れとるなら、戦いを有利に運べるのは事実じゃろ」
「じゃけぇそんなモンよりも、上手く使える『能力』ん方がよっぽど怖いのぉ。
 ケンカも同じじゃ。体格で劣るヤツは、そん場で武器を持ったり、策を練ったりする」
「己の『力』だけに胡座かいとるヤツよりも、そういう勝つための努力を怠らんヤツの方が、わしゃあ『強い』と思っちょるけん」

少なくとも自分は、この戦いのどちらかに肩入れをするつもりはなかった。
お互いがベストを尽くして戦えたなら、最高の勝負にできたなら何よりだとだけ思っていた。
だがここに来て、『太田垣』に勝利してほしいと願う気持ちが芽生える。

深く息を吸い込み、腹から大きく声を出す。

「勝てぇ!!太田垣ィッ!!!」
「あんたの『長所』でアイツの『短所』を突くんじゃあッ!!」

145久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:33:02
>>140

 「今の彼の闘いは……間違ってる」


 うわ言のような呟きで隣席の声に応じる。


 「かつての住職の闘いには、
  たぶん『物語』があったはずなんだ」


   「『死別』を背負って孤高に闘うその姿に、
    なにかしらの『想い』を託して、
    彼を応援していた人もいたはずなんだ……(>>15)」



 僕たちが見たかったのはそういう『闘い』だ。
 互いの『信念』をブツけあう『決闘』だ。

 ――相手を屈服させるためだけの、
 『礼儀なき暴力』なんかじゃあ決してないッ!



   「今の住職の姿は、
    彼自身が憎悪していた
    『闘争』の化身そのものだッ!」
 


 首をブンブン振るって、
 周囲の重苦しい空気を跳ね飛ばす。
 そして叫ぶ。
 精一杯の祈りを挑戦者へ伝える。



   「負けるな――――――――ッ!
     太田垣――――――――――――ッ!」



  「アンタの『闘い』を見せてくれ――――――――ッ!」

146スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:33:24
>>137 >>141

「8分の1の……フィードバック!
 ナルホド、巨体の強みはパワーだけじゃあねえ……」

        ゴクリ

吠える慧観。
スミシーは実況席を見上げる。

       「だが……」

            「さっきまでより……
             慧観の攻めが『シンプル』だぜ!」

シンプルさとは強さだ。
だが……ただ力で押すだけなら対応策はあるはず。

「力だけでぶつかってくるなら……
 良の能力ならッ! イケるんじゃあねえか――」

          「さっきまでよりッ!
           武器で戦う慧観より!」

「イケるんじゃねえェーかって気持ちは強ェッ!
 良ォーーッ、見せてくれ……見せてやれ! 

         ・・・・オメーの、『大どんでん返し』ってやつを!!」

147『六道辻』:2021/04/30(金) 21:33:44
>ALL

  「観客のみんなァ〜〜〜〜ッ!
   白岡住職ゥ〜〜〜〜〜っ!
   
   スタンドどうしで『対決』って!  ―――どうッスかねェ!」


  ≪おッ……≫


          「おおおおおおおお―――――ッッ!!!」


差し出されたマイク目掛け、『太田垣』は高らかに宣言する。
何処か『軽薄さ』の抜け切れない声色と態度だが、それでも歓声が木霊する。
それほどまでに、観客の誰もが、この『試合』への正当なる『決着』を求めているのだ。


                         「太田垣さん!お気張りやす!」

   「勝てぇ!!太田垣ィッ!!!」

                         「負けるな――――――――ッ!
                             太田垣――――――――――――ッ!」

      「良ォ――ッ、見せてくれ……見せてやれ! 

         ・・・・オメーの、『大どんでん返し』ってやつを!!」


      「太・田・垣!」
                    「太・田・垣ッ!」

『太田垣』は『パイプ椅子』を掴み、『ザ・サードマン』は前傾姿勢となって『鉄骨』を駆ける。
対する『慧観』と『エンプティ・エステート』は共に両掌を合わせる。
――――『合掌』。指同士を挟み合わせ、自然に両掌を膨らませた『蓮華合掌』。

         ≪さぁ、残り五秒。
           四、三、二、一ィ―――――≫

『森田』はワイヤレスマイクを持ち、腹ばいになって鉄骨を渡る。

>>142(鈴元)
>>143(東雲)
「―――― チッ、年下に説教される筋合いはないわ」

『尾藤』は舌打ちと共にビールを煽る。
気分を害したのか、……それとも『衒い』を見せたのか。


      「―――― チィ、負けんじゃあねェぞ『太田垣』ィィ!!

       もう、この試合は『遺恨試合』でも『復讐劇』でもねェ!
       負けたままだったお前の、『復活祭』だろうがァァ!!!」

>>145(スミシー)
>トミー

     「ヤツは、『力』で挑む気だ。
      一撃で潰すからこそ、あの『切り札』を張ってきた」

     「次の一撃で、互いの『最大級(マキシマム)』が決まるッ!
      だがな、ありゃあもう破れかぶれだぜ……何故ならッ」

     「アリーナの闘いは、『技』のぶつかり合いだからだッ!」


>>144(久染)
>穂村

     「そうだとも、アリーナとは『心』の闘いッ!
      剥き出しの『闘志』こそが、何においても尊ばれるッ!」

『クァンガン』も同調し、澄み切った声で叫ぶ。

     「勝てェェ――――!!!」


             「そうだァ――― 勝ってくれェェ!!」

     「『太田垣』ィィ―――、終わらせてくれェェ――――!!」

祈るような、『切望』の声が観客席から響き渡る。

148スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:34:09
>>147

「『技』の……ぶつかり合い!」

        「そうだってんなら……
         ナルホド、負ける道理はねェーッ!」

                  「慧観が力のカードを切った時点で!」

自分の感情の理由が分かった。
破壊そのもののような『修羅』の慧観より――

武器で立ち回る慧観が恐ろしい理由!
それが……『技』というものなのだろう。
 
「……良ォォーーッ!」

       「良ォォ――――ッ!!」

カウントがゼロになり――決着がつく瞬間を見守る。

149鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:34:27
>>147

「おや、すんません。」

「別にお説教するつもりやなかったんやけどぉ。」

自分の言葉が尾藤の気分を害させたのだと思い、謝ってしまう。
たとえ事実が違っていたとしても。

「うふふ。」

尾藤の声援に少し頬が緩む。

「お気張りやすぅ。」

はてさてどうなるか。
結果を見守ろう。

150久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:34:52
>>147

 「お……
  おおおおおおおおお―――――ッ!」


 太田垣の軽妙な『煽り』を受け、
 他の観客と一緒になって歓声!


   多少軽薄だろーがなんだろーが、さっきまで
   うつむき諦めムードだった周囲のシミッタレ観客たちの
   『心』をふたたび舞台上へと取り戻した――

   まず一つ、『ひっくり返した』ッ!



 「あとはシンプルなたった一つの勝負だッ。
  すなわち『彼は持っているかどうか』――」


  『到達の秘策』、『対抗の妙技』!

  住職の一撃を飛び超える『必殺の一手』!



 周囲の声に埋もれじと、
 挑戦者の名前を叫び呼びながら―――
 その寸毫の時を熱狂の中で待ち構える。

151『六道辻』:2021/04/30(金) 21:37:00
>ALL

   「さぁん」                               「美しい」

    「にぃ〜〜ぃ」                        「故に、」

        「イチ」                     「その華は――――」

                「READYッ (どん)!」


                                ――――グシャッ


             「『握り潰し』、散らしてくれるッ!」


『エンプティ・エステート』は『蓮華合掌』を握り潰し、組んだ両拳を天へ掲げる。
『ザ・サードマン』は背後へ落下し、巨体と痩躯は互い違いに交差する――――


         ヒュォォ―――――


       ≪両者、地からの離脱ゥ!≫

         ≪果たして、打つ手はあるのか『太田垣』ィィ――――!!≫


>>148(スミシー)
>トミー
「――――ああ、『力』のカードを切った。
 だがな、それは単純な『強弱』の話じゃあねェ」


           「『太田垣』ィ!  よりにもよって、『空中戦』を選びやがったッ!
            アイツの能力は『平面』を活かす力だっていうのに、

            こともあろうに『飛び降りた』ッ! 空中じゃあ勝ち目はねェぞッ!!」


            ドガンッ!


悔し紛れか、『ニコン』は前の席の背もたれを思いっきり殴りつける。
背もたれはまるで『お辞儀』をするように前方へ倒れ込む。


>>149(鈴元)

  「アイツ、『落下』したのか!?」


鉄骨から滑り落ちる『ザ・サードマン』に『尾藤』は驚愕の声を上げる。

>>150(久染)

  「彼が一度でも、『策』で上回ればッ!」

      「『巨人』の喉笛を喰らう『猟犬』になりうるッ!」

『クァンガン』は趨勢を見守る構えだ。
何処かで椅子を蹴りつける音が聞こえるも、観客達は二人を見守っている。

152鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:44:39
>>151

「なんちゅう冒険……」

一瞬顔を覆いたくなる。
恐ろしすぎる。
肝が据わっているのか、よっぽどの阿呆か。

「でも策があるっちゅうことやんね?」

さすがに無策という事はあるまい。
これほどまでに危険な行動に出たのだ。
危険と引き換えに成果を得られるような策があるのだろう。

「にしてもこれはぁ……」

見ているこっちが肝を冷やす。

153久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:44:58
>>151

 カウントゼロ、呼吸も忘れて見入る。
 初動の交錯は――


  「!
   避けたッ!
   巨人の両拳、その『打ち上げ』を――」


   しかし次の光景は予想外だ。
   まさかの『跳躍』、あの巨躯までもッ!
 


  「これは……!
   単なる『打ち上げ』―――じゃあないッ!?」


  「この状況!
   この足場の悪さッ!

   牙を届かせる『一手』は――」


    間に合うか?
    ――――間に合ってくれッ!

154スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:45:29
>>151

「いや――10秒ッ!
 あの10秒が無意味とは思えねー……」

      「良が考えなしのバカだとも思えねー!」

つまり、つまり何か――
空中戦での『手立て』があるから、出たのでは?

              ・・・・でなければ。

(慧観が力押しなのは事実!
 だが、依然ヤベーのも、事実だぜ。)

        (技がねえと……)

            ドガンッ!

「うォっ……!?」

(こ、この野郎、どーいうパワーしてやがんだ……)

倒れた椅子に気を取られそうになる。
が……今は、最後まで見届けよう。

太田垣の、おそらく――どちらにせよ、最後の一撃を!

155『六道辻』:2021/04/30(金) 21:46:10
>ALL
               グゥンッ!

『ザ・サードマン』は両腕で身体を起こし、鉄骨の上へと復帰する。
『エンプティ・エステート』の両腕が天井に触れ、


        ガ             『
                       激
              ボ         
                       突
         ボ
                        ッ/ 
            ォ           ・
                         』


破壊された天井の『瓦礫』が『太田垣』に降り注ぐ。
そして、今の一撃で『電気系統』、『音響配線』は完全に破壊された。
ポッカリと大口を開けた天井から『月明かり』が降り注ぐも、焼け石に水だ。
二人の勝敗を見届けられる者は、誰もいないのだ――――

156スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:46:29
>>155

「こっ……ここまで来てッ!
 ここまで来て……最後は祈るだけかッ!」

        「見えねえ以上ッ……」

天井の崩落。
決着はもう着いたのか? まだか? すぐに?

          ・・・・見届けることは叶わない。

「祈るしか……」

             「クソッ、どうなった……!?」

祈るしかないが……
やはり我慢できない。

「どうなりやがった……ッ!」

だが、祈るしか、待つしか……ない。

157『六道辻』:2021/04/30(金) 21:46:47
>ALL

              ーz l /
              _/
                  オ 
                        ォ ___
                              /
                               ̄ ̄ ̄ ̄


さながら『落雷』にも似た強烈な『爆音』がアリーナに木霊する。
何か大きな『影』が色濃くも暗闇に現れるも――――


         バ       「な、なんだおい、どうなってやがる!?」
                 
            ガ          「何をしている、非常灯を付けろォォ――――」

         ガ       「クッソォ、おい、やられちまったのか!?」
                 
            ガ          「なんなんだよこれェ、運営なんとかしろよッ!」

         ア       「おい、押すんじゃねェ畜生!」
                 
            ァ           「クッソ、勝ってくれよ!」
         /       
        ・          .


          ボ ォ ォ...


観客席がざわめく中、壁面に設置された『LED』が青い光を灯していく。
主電源に代わり、演出用に設置された第二電源が作動したのだ。
青白い幻想的な光に灯され、戦場の光景が少しずつ明らかになっていく。


        「――――良い、闘いでした」


              「要らぬ重荷を背負い、無責任な喝采に押され、
                  よく、ここまで……立派に闘われた、だから、だから……」


        「もう、ヤメて下さい。……ヤメなさい、『太田垣良』。
         無為な苦しみを捨てなさい。楽になりなさい。
         ――――もう、闘わなくて良いのです。本当に、貴方はガンバった……」


アリーナの中央、粉砕された『アクリル粉』が光を反射し、蛍のように宙を舞う。
その最中に位置取るのはダルマのような巨躯を屈折させ、崩れ落ちる『太田垣』を抱き締める『慧観』。
手足があらぬ方向に折り曲げ、血の気を失った『太田垣』は誰が見ても『戦闘不能』だ。
討つべき敵を厭わずに抱きしめるその姿は、息子の亡骸を抱えるようだった。

158鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:47:12
>>157

そうか。
そうなってしまったのか。残るのは結果のみだ。

「太田垣さん……」

人は獣に勝つのだ。
知恵で暴力に勝つのだ。
考えて考えて策を練って講じて
殴って蹴っての敵に勝つのだ。
勝つはずなのだ。

「嘘やないんやね。」

「そう……」

終わったのだ。
なにもかも。もう幕は引かれるのだろう。
一度は脱した窮地。しかし窮鼠は窮鼠のままに。
窮鼠は猫に噛み付く。だが猫と鼠の関係性が変わるわけではない。

「お疲れさん。」

今はただ、それだけだ。

159東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/04/30(金) 21:47:35
>>157

    闘技場につかの間差しこんだ無音の時間。
    そして静寂を裂く雷音。


  「え…………
   ……………」


    ふたたび静まりかえるアリーナ。


   『何が起こったんだ?』

    いや……


       「『届かなかった』………
        終わった…………、のか。

        けど、それにしても、あの姿は……」


   間違いなく『直撃』したのだろう。
   衝撃的な光景に、ヘナヘナと力なく座席にへたりこむ。

   闘いの終わり………夢の終わり。
   だが現実にはすぐに戻れそうにない。


   舞台中央の景色は幽遠で、
   生と死の淡い境界を描いたような、
   この世ならざる画にも見える。


     「―――――」


   ある種の神聖さを受け取れば、
   動くことも声を送ることもできない。
   去来する想いを呑みこみ、静かにその画を見つめる。

160『六道辻』:2021/04/30(金) 21:48:06
>ALL
『ゴング』は鳴らなかった。
鉄骨にしがみつき、『マイク』も『打鐘』も失くした『森田』には、
戦闘の終了を告げる手段は存在しなかった。

……だが、その勝敗は誰の目にも明らかだった。
朧気に照らされた『慧観』は立ち上がり、深々と一礼をした。
そのまま破れた袈裟を引きずりながら退場し、――――やがてアリーナは幕を下ろす。

>>158(鈴元)
>東雲

     「俺は、『慧観』との試合に『太田垣』を推薦した。
      『慧観』のスタンスを見過ごせなかったのもある、

      だが、一度負けたまま『アリーナ』を離れたファイターに、
      もう一度、闘って欲しかった。……今となっては、俺のワガママ、だったがな」


LEDの青冷めた光は観客席にまでは届かない。
その暗闇の中、『尾藤』は自失の独白を漏らし、席を立つ。
この男は、いつだって『裏目』に出るのだ。

>>159(久染)
>穂村

     「『白岡慧観』、苦悩を抱えて闘うファイター。
      これでまた、彼の人気は高まることだろう」

          「そして、このアリーナは再び静まることになる。
           ――――彼の闘いの相手は、アリーナの『原罪』。

           『闘争』という行為、そしてそれを『傍観』することへの『引け目』
           多かれ少なかれ、彼を観る者はそれを『直視』することになる」

眼前の光景に心を打たれた『久染』同様、観客達は声を失っている。
ボロボロに崩れ去った『太田垣』、彼を労る心からの涙を流す『慧観』、
その聖別された『幻想』は刹那的な『暴力』に浸る『快楽』に水を注す行為だ。

          「己の『罪』を自覚させる。
           僕が言えば『皮肉』になってしまうけれど、
           ――――随分と強烈な一撃だよ。『鬼手仏心〈アチャラ・ナータ〉』は」


>トミー
>スミシー


     「『白岡慧観』、三人の『C級ファイター』を倒した男。
      アリーナ全てを敵に回しても決して引かぬ『心』、攻防を自在取る『技』、
      そして、誰もが認める圧倒的な『力』、――――『太田垣』も相手が悪かった」


           「ありゃあ、『俺達』が相手取るべき『大物』だった。
            仏面を見せながら、鬼みてぇに無慈悲な暴力を振るう。

            『鬼手仏心〈アチャラ・ナータ〉』、これから呼ばれる『二つ名』になる」


『アチャラ・ナータ』、日本語に訳せば『不動明王』。
『火生三昧』と呼ばれる憤怒の炎はあらゆる『煩悩』を焼き尽くし、
時には目を背ける手段を用いてまで衆愚を『仏道』へと引き戻す。

161鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2021/04/30(金) 21:48:27
>>160
「尾藤さん。」

「や、エエわ。もうエエよ。」

尾藤の言葉を打ち消す力は残っていない。
疲労感が体を包む。
見ているだけなのに不思議な話だ。

「……」

ただ静かに上を見つめる。
世の中には様々な闘いがある。
様々な人間がいる。
……自分は闘えるだろうか。自分は勝てるだろうか。
なにか学べただろうか。

「人生ままならんねぇ。」

一言漏れた。
心の整理が出来たら帰ろう。
なに、すぐに済むだろう。
なにせ自分は無責任な傍観者なのだから。

162東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/04/30(金) 21:49:01
>>160
届かなかった、か。だが、戦いとはそういうものだ。
番狂わせは簡単に起きるものではない。
様々なものを含めて、太田垣よりも慧観の方が強かった。それだけのことだ。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

結果を見届け、頷く。後は坊主の行動次第だ。
本当に言葉通りに連戦を望むのであれば受諾しよう。
どちらにせよ、近い内には戦うことになるだろうが。

163久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2021/04/30(金) 21:49:21
>>160

    「『鬼手仏心』…………」


 うわ言のように反復する。
 視線はまだ舞台上に囚われ、最後の光景の残像を見ている。


  それまで自分が抱いていた、
  『舞台上で公正に闘うこと』への少年じみた『憧憬』や『夢』。
  その無邪気な憧憬の裏側にある『業』を突きつけられた感覚だ。


  「『高潔な闘争』と『凄惨な暴力』は、『夢と現実』のように『表裏一体』。
   ………………
   僕も、『直視してしまった』のかもしれません……」


        「『闘争』とは、『闘う』とはどういうことなのか。
         その答えを持たない人間には……」


  住職は倒せない、そんな気さえしてくる。


  首を振り、自分の感傷を追い出す。

  住職の選んだ道は、自分とは違う道だ……
  僕は僕なりの答えを見つけるしかない。


      「今日は……ありがとうございましたッ」


                    ペコォ―――ッ


 隣席の『二人と一体』に頭を下げ、席を立つ。

164スミシー『ザ・ウィズ』:2021/04/30(金) 21:49:42
>>160

「……良。オメー、よくやったぜ……」

「あんなとんでもねー坊主……
 いや、ファイター相手によォ〜ッ。」

太田垣は負けた。
慧観は強かった。

残ったものは何だろうか。
正負とも、何もないことは、ないだろう。

「負けてもよォ〜……最後まで……
 ……クソ、こんな慰め、欲しくもねーだろうな。」

……なんにせよ勝負は終わった。
他の観客が帰るタイミングで、帰ろう。

         (これが……アリーナか。)

165『六道辻』:2021/04/30(金) 21:50:19
>ALL

――――こうして、今宵の試合は幕を下ろす。
一礼の後に退場した『慧観』が再びアリーナに立つことはなかった。
複数人の黒服が残された『太田垣』を『担架』に乗せて場外へ運び出し、
やがて、非常照明が点灯すると、一人、また一人と席を立っていく。


     「やっぱヤベーよ、あの住職」


            「つーかさ、あんなの出されたら『太田垣』勝てねぇだろ」


     「でもよ、……なんかシラケちまったな」


            「まぁなー、つーかあんなマジレスされたら、
             俺らも恥ずかしい、つうか冷める、つうか――――」


            「まあ、そりゃあ和尚はああ言うって。
             『被害者』だしよ、……俺らが無邪気だっただけだろ」


試合への『感動』や『興奮』、それを打ち消す程の『現実味』が観客席を支配する。
『暴力』を目撃したからだ。全てを『奪い』、全てを『壊す』、心技を打ち砕く『嵐』を見た。
臭みを取った『ステーキ』を味わっていた美食家気取りの観客達は、
肉牛の首を切り落とされ、何も知らぬ子牛が屍の乳を吸う様を見せつけられたのだ。


            「『松前総合病院』、か。
             緊急搬送ならば、あの病院が一番近い」


ふと、席を立つそれぞれの耳に届く声。
それが誰のものか、声の主を認める前にアリーナの照明が落ちる。



『観客達』→土産品の『どんでん返しシューマイ』を貰う。
        八個入りの『豚シューマイ』を食べ終わっても、
        中敷きをひっくり返すと『海鮮シューマイ』が出て来るぞ!
        空き箱は『お弁当箱』にしよう。具材の配置には注意!

166『最悪の相性』:2021/04/30(金) 22:20:52

┌────────────────────────
│明智『???』……『一勝ゼロ敗』


│              V S


│氷山『エド・サンズ』……『ゼロ勝一敗』
└────────────────────────
       【形式】:Cランクマッチ
       【会場】:常設アリーナ@倉庫街
       【日時】:X月X日  23時より
       【販売】:チケットの申込は『ラクアクア』まで
       【金額】:五万円。内、三万円を参加者への支給とする。(PCマネー)


【ミ】『撃的』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453729532/440-

>東雲
久しぶりに足を運んだ『ラクアクア』に行くと、
カウンター越しの『吉田』は朗らかな様子で、『東雲』を出迎えた。

    「『東雲』さん! すっかりご無沙汰してまして」

    「私も入院が長引きましたが、少し前に退院したのですよ。
     いやあ、連絡の一つもよこさずに、申し訳ありません」

真新しい作業着を着た『吉田』はにこやかな笑みを浮かべている。
あの事件に巻き込まれた『東雲』が、元気そうにしているのが嬉しいようだ。

    「――――もしや、『チケット』をご所望ですか?
     『東雲』さんと同い年くらいの少年少女の試合があるんです」

>円谷

「ヘッヘッヘッ、『闘い』をお求めの御方に是非、
 ぜぇひとも、お見受け頂きたい『チケット』がございまして――――」

『夢』の中で『円谷』が出会ったのは、卑屈そうな小男だった。
背筋の曲がった汚い外見、自らを『曳舟』と名乗った男は、
ボロボロの巾着袋から『チケット』を取り出し、爪の伸びた両手に挟んで、『円谷』に見せる。

>ジョン
『ジョン』はラーメン屋で知り合った『ピエール』と共に、
『倉庫街』の一角にある『アリーナ』へと足を踏み入れていた。

    「今日、君を誘ったのは他でもない。
     実は、ある『試合』を一緒に応援して欲しくてね」

真紅のジャケットに白磁色のスラックス。
派手な出で立ちに『ケツアゴ』の目立つ逞しい顔立ち、
『ピエール』は一枚のチケットを『ジョン』に渡す。

    「私の知り合いが『スタンド』同士の闘いをする、と小耳に挟んでね。
     そして、噂を聞くに『対戦相手』はどうにも評判がよろしくないわけだ」

    「やはり、『応援』で勇気付けたくなるじゃあないか。
     是非、君にも同席して欲しいんだ。構わないだろう?」

167東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/04/30(金) 22:39:06
>>166

「おお!『吉田』サンもお元気で、何よりです」
「いやいや、こちらこそ顔も出さずにすんません。『入院』でなまっちょる身体鍛え直してから
 また『アリーナ』に邪魔させてもらおう、思いまして」

『吉田』サンの元気な姿を見て安心して、肩を叩く。互いに無事、一連の事件を生き残れたのだ。
あの時に血塗れで倒れていた姿は、今からはとても想像できない。見た所、後遺症などもなさそうだ。

「ええ。いきなり闘るんもえぇんですが、今の『アリーナ』がどう盛り上がっとるんかも興味あるんで」
「同い年の…少年『少女』、ですか?」

若干だが、眉を顰める。
『少女』と聞いて、以前闘うことになってしまった『百足山エミカ』を思い出してしまったからだ。
とはいえ、吉田サンがいる以上、その少女とやらが望んでここに来たのは間違いないだろう。
ニカッと笑みを浮かべ、財布を取り出した。

「ありがとうございます。そんじゃあ『一枚』、買わせてもらいます」

168円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/04/30(金) 23:05:35
>>166(GM)

「えー!? あたしの夢に知らない人がいる!!
 うそーっ、怪しー!
 これ、絶対覚えて夢占いしてもらわなきゃですよ!」

「あーでもでも、変な結果だったらやだなー!
 ネットで調べるだけにしとこうかな?
 ねえねえ、おじさんってそーゆーのわかりますー?」

夢に出てきた人物が夢占いの結果を知るはずもないし、
夢に出てくる人間が知らない人でも普通だが、
夢の中の言動とは得てして不条理だ。
単に、性格かもしれないが……

「あ! あはーっ、ごめんごめーん!
 先におじさんの話のほう聞きまーす。
 あたし、闘いってあんまり知りませんけどー、
 チケットってプロレスの試合とかですかー?」

「パパがそーゆーの結構好きなんですよねー。
 今までよく知らなかったけど、見てみよーかな」

          「お金今たくさんありますしー」

たくさんあるお金――
遊園地で交わした戦いが過ぎらなかったわけではない。
もっとも戦いに深い興味があるわけではないのだが、
父親から『格闘技試合の熱さ』は聞いたことがある。
それに、夢の中で話が出たというのも、なんか面白い。

――セララの浅い感心が向くには、十分な理由があった。

169ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/04/30(金) 23:14:00
>>166
(何度見ても濃い外見だなコイツ、、、、)

「まあタダなら全然構わないぜ。
 このスタンド、、、ってのをどう使うものなのか、知っておきたいしな」

実のところ、『グラム・スラム』を扱えるようになってからまだ日が浅いジョンにとって、この申し出は渡りに船だった。

(こいつ、、、、『グラム・スラム』がどんなことができるのか、色々試してみて大体わかったが、他のスタンドはどうなのか?
 『グラム・スラム』ができることは他のスタンドも大体できることなのか、そうでないのか、実物を見ないとわからないことは多そうだ)

170『最悪の相性』:2021/04/30(金) 23:45:02
>>167(東雲)

    バンッ!

    「いやー、相変わらず逞しい腕ですねぇ!
     この豪腕が振るわれるのを、是非『アリーナ』で見てみたいです!」

『東雲』の挨拶にも痛がる様子はなく、むしろ『吉田』は嬉しそうに頬を緩めた。
その流れで『試合』に誘う『セールストーク』も忘れない。

>「同い年の…少年『少女』、ですか?」

    「ええ、彼女は『二戦目』ですよ。
     何でも、『タダヒト』さんもイチオシだとか」

    「おっと、これ以上は『野暮』ですよね。
     これ以上は、『観覧席』で見て来て下さい」

『吉田』は『五万円』を受け取り、一枚のチケットを差し出した。
『氷山VS明智』と書かれた『チケット』。それを『東雲』は財布にしまった。

>>168(セララ)
> ねえねえ、おじさんってそーゆーのわかりますー?」

     「ヘッヘッヘッ、私めも『夢』の世界は『素人』でごぜぇます。
      お嬢様のご期待には、とてもとても応えられませんわぁ……」

『曳舟』は恐縮そうに狭い肩背を窄め、ペコペコと頭を下げる。
本来、『夢占い』とは見た夢を伝えて占わせるものなので、
『夢』の中で占うと言うのは、また違った話なのだろう。

>          「お金今たくさんありますしー」

     「ほほう。それはなんとも、素晴らしいことでごぜぇます。
      私めのように、金はなくともその日その日は過ごせますが、
      『先立つもの』がなければ、日は唯々過ぎていくだけですわなぁ」

『曳舟』が差し出した『チケット』が吸い寄せられるように『セララ』のポケットに入った。
そして、何の前触れもなく、『セララ』の意識は覚醒した。
枕元にはポケットに入ったはずの『チケット』が置かれている。

>>169(ジョン)
>(何度見ても濃い外見だなコイツ、、、、)

    「……?  中で食事も出来るぞ」

ジロジロと見られるのには慣れてるのは、
『ピエール』は『ジョン』の感想に気付かない。

>「まあタダなら全然構わないぜ。
 このスタンド、、、ってのをどう使うものなのか、知っておきたいしな」

    「あ、ああ。『タダ』だ」

『ピエール』の返事もあり、このチケットが『タダ』だと確認できた。
スタンド使い同士の『試合』を間近で見られるのであれば、
不思議な『夢』の副産物である『スタンド』のことも理解できるだろう。

171『最悪の相性』:2021/04/30(金) 23:45:40


     ざわ  ざわ  ざわ

     「あの『明智』がついにお出ましかよ」

     「前の試合は『10秒』で終わったんだろ?」

     「『尾藤』か……。アイツも『五連敗』してから見てねェな」

     「んで、『氷山』ってのは、お前知ってる?」

     「知らねぇーな。前の試合も負けてるんだろ?」

     「こりゃあ、ビール飲みに来ただけになるかもなー」

>東雲

『アリーナ』の『観覧席』に腰掛けた『東雲』は、
『売り子』の女性が近づいて来るのが見えた。

     「『プルコギバーガー』、買って」

声を掛けられた男は、ギョッとした様子で売り子を見るが、
すぐに財布から千円を取り出すと、おっかなびっくりで差し出した。

     「毎度あり。

      ――――『プルコギバーガー』、買って」

近付いて来た売り子は『東雲』にも声を掛けてきた。

>>168(セララ)
チケットに書かれた住所に従い、
『セララ』はアリーナの『観覧席』へとやって来た。

     「虚実入り混じる電妄の世界に降り立ちし『天使』が一人。

      拳風舞い栄える『アリーナ』にて尚、異彩を輝かせる。
      『セカイ』。『タブレット』は万全だ。――――その姿を明かしてくれ」

隣に座る、線の細そうな『青年』は『タブレット』にプログラムを走らせながら、
何やらぶつくさと呟いている。

>>169(ジョン)
『ピエール』と一緒に『観覧席』に腰掛けた『ジョン』は、
『ピエール』の頼んだジュースを渡され、試合会場を眺めた。
試合はもうすぐ始まるようだ。

    「さて、あの子は大丈夫かな……。

     『ジョン』も聞いただろ? 前の試合は『10秒』で終わってる。
     よっぽど『相性』が悪くない限り、考えられない事態だ」

『ピエール』はソワソワしている。

172円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/05/01(土) 00:11:47
>>170(GM)

「そっかそっか、ぜんぜんいーですよ!
 あたしの友達に、夢占い詳しい子いるから!
 起きたらその子にラインして聞くことにしまーす」

笑って許す。
セララは本当に、全然気にしない。

「うんうん、あたしお金持っててよかったです!
 『チケット代』全部もらえるのか分かんないけど、
 おじさんもそれでお肉とか食べてさー、元気出してくださいね!」

パン、とパーカーのポケットを叩いて――――

「…………………えー!? うそーー! すごーーーい!!」

気付いたら起きていた。
驚きの声は、一階でニュースを見る両親にまで聞こえた。

       ――なお、夢占いを聞くのは忘れた。

>>171(GM)

「すごいすごーい、町にこんなとこあったんだー!
 町の『裏名所』のってる雑誌あったけど、
 アレよりずっとずっと『裏』っぽーい!」

しきりに周囲を見渡していたが、
やがてその視線は『隣の男』に向く。

「わ! すごーい! プログラミングでしょこれ!
 頭良さそー。あたしも情報の授業でやったけど、
 ぜーんぜん分かんなくて、途中で飽きちゃったもん!」

満面の笑みで、無遠慮にタブレットを覗き込む。
何を言ってるのかは分からないが――

「おにーさんおにーさん、ここ詳しそーですねー!
 ねえねえ、あたし初めてなんですけど、
 ここってー、スマホで撮ったりしていいんですかー?」

――アリーナに詳しいのはなんとなく分かる。
セララに打算はない。なんとなく思ったから、聞いた。

173東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/01(土) 00:12:08
>>170-171

「勿論そのつもりですけぇ、期待して待っとって下さい」

あの事件から幾つ試合が行われているのかは分からないが、
観客もそろそろ自分の闘いを忘れている頃だろう。それで良い。その方が盛り上がる。
『強さ』というものを再確認し、そして観客に見せつけてやろう。

「はァン…あの『タダヒト』サンが」

自分もその人物について詳しくは知らない。
ただ知るのは、この『アリーナ』において最強の『一角』だということだけだ。
それほどの男が目をかけているのが、この『氷山』という少女なのか。
成る程、これは見応えがありそうだ。吉田サンに礼を言い、そのまま『観客席』へと向かう。


>     「毎度あり。

>      ――――『プルコギバーガー』、買って」

「…あぁ。ちょうど小腹も空いてきたとこじゃけぇ、ちょうどエエか」
「あんがとさん」

千円札を出し、代わりにバーガーを受け取り大きく齧り付く。
周囲には色々と聞き捨てならない言葉も飛び交っているが、その点に関してここで喚いても話にならない。
ましてや、自分が直接『尾藤』サンに会いにいくなどもってのほかだ。
試合を見て、そしてまた自分も闘うだけだ。『闘士』とは、それだけしかできない。
そうあるべきだ。…願わくば、また尾藤の闘う姿を見られると信じて。

174『最悪の相性』:2021/05/01(土) 00:39:23
>>172(セララ)

全国に何台とない『マイナー筐体』が保存されたゲーセンなど比べても、
この『アリーナ』は雑誌に載るような『裏情報』とは、一線を画している。

その空気にも怖気ず、『セララ』は隣の男に話しかける。

>「おにーさんおにーさん、ここ詳しそーですねー!
> ねえねえ、あたし初めてなんですけど、
> ここってー、スマホで撮ったりしていいんですかー?」

     「『アリーナ』において『撮影』は厳禁だ。
      情報漏洩が懸念される。スマホの電源は切るように」

     「最も、私の『オフィサー・キックス』は、
      この『アリーナ』の運営に必要だから、
      特別に許可されているのだ」

『タブレット』を指先でコンコン、と叩きながら、
線の細い『青年』は神経質そうな視線を向ける。

>>173(東雲)
あの闘いの後、風の噂によれば『尾藤』が修行の旅に出たらしい。
今は何処で何をしているか知らないが、再び『アリーナ』で相まみえる日を願い、
『東雲』は目の前の試合に集中し、次なる『試合』に望むことを決めた。

>「…あぁ。ちょうど小腹も空いてきたとこじゃけぇ、ちょうどエエか」
>「あんがとさん」

     「……まいど」

『東雲』は『プルコギバーガー』の包みを受け取る。
ずっしりとした質感とぬくもり。だが、包装はどうだろう。
紙越しにも『ソース』が伝わる。これはちょっと開けづらい。

     「うおっ」

さっきハンバーガーを買った男も、手の甲にソースを跳ねさせている。
売り子の女性はハンバーガーを売り切ったのか、突っ立って『東雲』を眺めている。

>ALL

試合会場の大部分を占めるのは『金網』で出来た『網籠』だ。
左右には『鉄扉』が設置されており、ファイターがここから入場するのだろう。
『総合格闘技』で使用される『オクタゴン』に酷似しているが、
此方は『天井』まで『金網』が配備されている。

一方、『金網』の固定は『アンカー止め』のみであり、
『グラム・スラム』や『ザイオン・トレイン』であれば、
突き飛ばして『倒す』ことも可能だろう。

【アリーナ俯瞰図】             【横から見た図。Xが金網、■が壁とする】
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴ .....|
∴∴∴■□__扉__□■∴∴∴  | XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX       〇
∴∴■□/□□□□□\□■∴∴  | XX.  .XX              XX   XX       ̄/ .
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .| XX.  .XX              XX   XX   〇 /椅
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .| XX.  .XX              XX   XX  ̄/ .■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .| XX.  .XX              XX   XX /椅■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|■■  扉   〇   〇     扉  ■■■■■■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|■■  扉    ト   ノ|    .扉  ■■■■■■■■
∴■□ |□□□□□□□| □■∴   .|■■  扉  />  <\  ..扉  ■■■■■■■■
∴∴■□\□□□□□/□■∴∴  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∴∴∴■□ ̄ ̄扉 ̄ ̄□■∴∴∴  |         氷山  明智        観客席
∴∴∴∴■■    ■■∴∴∴∴ .....|        (※氷山、明智はまだ『入場』していないが、
                                   仮に入場した場合のイメージとして……)

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは『1x1m』。
■:『2m』の高さの壁。その上は『金網』が張られ、会場と観客席を隔てる。
|:『4m』の高さの『金網』。固定されてはいるが、『破壊力:B』の数発で倒せる。
扉:『鉄格子扉』。
∴:観客席。会場を見下ろす形となる。

175円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/05/01(土) 00:55:18
>>174(GM)

「そーなんだ! 映画館みたーい!
 はーい分かりましたー、切っときますネ」

        スッ
            ピ

「ほらほら、切ったよ! 確かめてくれてもいーですよ」

『青年』に見えるように、
パンダの顔を模したケース入りの、
スマホの電源を切って見せた。
真似をするように画面を叩くが、
指に反応して画面が灯る事もない。

「え! てことはてことはー、
 きみってすっごい偉い人ってことー!?
 とゆうかとゆうか、ここって『アリーナ』なのー!?」

と、タブレットと『青年』の顔を見比べる。

「やばーい、あたしラッキーかも!?
 やっぱ日頃の行いがいいもんなーあたし。
 始まるまで、アリーナの事いろいろ聴きたいでーす!
 他の人に聞いたことはありますけど、
 こーゆー試合やってるって初耳だし!」

以前遊園地で遭遇した――――
そして耳にしたのは『治安組織』という『見方』だった。
 
「あのあの、今から出てくる人のって、『格闘家』の人なんですかー?」

176ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/05/01(土) 01:03:19
>>171
「お、悪いな」
渡されたジュースを早速飲む。

「しかし、大層な心配の仕方だなアンタ。
 その子ってのはアンタの子供か何かか?」

濃い外見の男が隣で落ち着かない様子だとこちらも落ち着かなくなる。

>考えられない事態だ
「そういうものなのか?」

自分のスタンド、、、『グラム・スラム』のことを思い浮かべる。
その力は人間のそれよりも遥かに強く、(まだ試したことは無いが)全力で人を殴りつければ、容易く相手を昏倒させることもできるように思えた。
そういうことができるスタンドは案外少ないということなのだろうか?

「それとも、岩を砕くような一撃でも容易くしのげるような連中ばっかりなのか?スタンド使いというのは?」


>>174
「これはまた、、、本格的だな」

アリーナを見て唖然とする。

「28年生きててこんなものが世の中にあるって知らなかったんだな、俺は、、、」

突如自分の目の前現れた非常識な異界。拒否感が無いと言えばウソになる。
とはいえ、これが自分がこの先生きていく世界の一端なのだ。
学ばなければ。

「やれやれ、勉強なんて大学受験で終わりにしておきたかったぜ」

177東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/01(土) 01:22:01
>>174

「ほおぉ…なかなか量はあるようじゃのぉ」

適当に包装を剥いて食べる。手がソース塗れになったとしても気にしない。
包装紙に濡れてない部分があればそこで拭くが、なければ舐めとって、後はズボンで拭けばいいだろう。
本能のままに貪ろう。

「…ん?なんじゃあ嬢ちゃん」「ボケっと突っ立っちょるより、座って観戦すりゃあええじゃろ」

視線に気付き、声をかける。黙って見られているのは、流石に居心地が悪い。
男ならケンカを売ってきてるのかと思うところだが、女相手ではそうもいかない。

178『最悪の相性』:2021/05/01(土) 01:46:36
>>175(円谷)
>「え! てことはてことはー、
> きみってすっごい偉い人ってことー!?
> とゆうかとゆうか、ここって『アリーナ』なのー!?」

    「何も知らないで来たのか……?
     いや、チケットはあるよな……?」

『セララ』に対し、青年は訝し気な反応を見せるが、
ややあって『売り子』の男性を呼び止め、『ジュース』と『ポップコーン』を買う。

    「ほら、これ食べな。
     俺は『山本ユキト』。別にエラくも何ともないよ。
     この『アリーナ』の『電子機器』を担当しているのさ」

『山本』が指で示した先には、巨大な『LEDパネル』が設営されている。
先程のプログラムも、そのパネルを遠隔操作するためのものだろう。

『セララ』が一見さんと解ってか、『山本』は肩肘を張るのを止め、
素の口調で『セララ』に接する。

>>176(ジョン)
>「しかし、大層な心配の仕方だなアンタ。
> その子ってのはアンタの子供か何かか?」

    「ある切欠で知り合ってね。
     元々、『観戦』自体に興味はあったから、
     彼女の『試合』を見てみたい、という思いもあったよ」

その関係性は不明だが、とりあえず『血縁』ではなさそうだ。
『ジョン』は試合の様子を聞き、『ピエール』に問い質す。

>「それとも、岩を砕くような一撃でも容易くしのげるような連中ばっかりなのか?スタンド使いというのは?」

    「スタンドは千差万別だが、
     このような『試合』に出て来る以上は、
     誰もが腕に自信のある者ばかりだろう」

    「そうした猛者を『10秒』で倒すというのは、考えにくいものだよ」

『ピエール』が訳知り顔で話をする。
格闘技の世界でも『10秒』でのノックダウンとなれば、滅多に見られない。

>>177(東雲)

     ベチャッ   グイッ

       はぐ  はぐっ

細かいマナーは一切気にせず、『東雲』はハンバーガーをワイルドに貪る。
濃い味付けがガツンと来る、年頃の少年にはピッタリのジャンキーな味わいだ。

>「…ん?なんじゃあ嬢ちゃん」
>「ボケっと突っ立っちょるより、座って観戦すりゃあええじゃろ」

     「…………」

売り子の女性は無言のまま『東雲』に近付き、
隣に座っていた男性の肩を叩いた。

     「チェンジ」

     「あ、はい」

空いてる席は所々にあるはずだが、男性はスゴスゴと席を譲った。
そのまま隣に腰掛け、『東雲』にポケットティッシュを出す。

179『最悪の相性』:2021/05/01(土) 01:47:09
>ALL

     ≪『アリーナ』のみなさーん! ハローボンボン!
       キャー、何この金網ぃー! すっごい本格的ぃー!≫

     ≪逃げ場なしの『鳥籠』で繰り広げられるタイマンバトル!
       果たして勝つのは、『10秒ノックアウト』を決めた『キルタイムボーイ』か!?≫

     ≪それとも、『初勝利』を狙って再び現れた『ドリームガール』か!?
       見逃せない『試合』になるぞぉ! みんなぁ、しっかり応援してねぇ!≫

会場に設営された『LEDパネル』が点滅し、映し出されたのは『アニメCG』のキャラクターだ。
手先まで隠すほど伸びたラッパ袖を振りながら、『実況』を始めている。

     ≪さぁ、まずは選手入場!
       氷山選手、お願いします!≫

     ワァァァァァァ〜〜〜〜〜〜ッッ!!

    「一勝もぎとってくれや!」     「期待してるぜ、お嬢ちゃん!」

『スモーク』が出迎えるままに『氷山』が入場する。
制服姿の小柄な少女。何の変哲もない外見だ。

    ≪身長153cm! 小柄な体に秘めたる『闘志』!
      前の試合は見られなかったけど、きっと惜しかったはず!≫

    ≪さあ、続きましての入場は、『明智』選手!≫

一方、『明智』もまた県内の進学校の制服を纏って現れた。
鼻筋の整った顔立ちだが、何処か『陰険』そうな面構えにも見える。

    「おい、森田どーしたんだよ?
     こんなキンキン声のフザけた実況で闘えってのか?」

    ≪身長181cm! 聞いての通り、悪態がモノを言う!
      その口に見合う実力を、今回も発揮できるのかぁ!?≫

    「『明智』ィ!  テメェーも年貢の納め時だぞ!」

    「『尾藤』倒したくらいでイキってんじゃあねぇーぞ!」

    「天にツバ吐いても、テメェに掛かるだけだっつうの!」

    ―――――ガシャンッ

二人が入場し、『格子扉』が閉ざされる。

180円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/05/01(土) 02:40:39
>>178(GM)

「なんかねー、夢に変なおじさんが出てきてさー。
 それで『面白いものあげる』って言うから、
 くださーいって言って起きたらー、
 ほんとにチケットがあったんですよー!
 だから面白そうなんで、来ちゃいました!」

「……って、あはーっ!
 あたし不思議ちゃんみたーい!?
 ほんとですよー、ほんとほんとー!」

チケットは間違いなくあった。

「うそーユキトさんやさしー! うれしー!
 じゃあじゃあじゃあー遠慮なく、いただきまーす!」

ポップコーンとジュースを躊躇いなく受け取り、

             ツブラヤ セララ
「あ! あたしセララ。『円谷 世良楽』でーす。
 セララちゃんって呼んでいいよ」

自己紹介に生来の軽い口調で返しつつ、
指の先にある巨大な『LED』と、そこに映る光景を見る――――

>>179(試合)

「わー、かわいー! あれって『Vtuber』さんですよね!
 うちのクラスにすっごいすきだーって子いるー。
 さっき言ってた『天使』って、あの子の事なんですねー」

クラスメイトに熱心なファンがいる。
このキャラクターの、ではないが、
セララも布教された。実らなかったが。

「てゆーか! 見て見てユキトさん!
 あの『氷山ちゃん』って子、うちの学校の子だ!
 あっちのほら! すっごーい嫌われてるっぽい明智くんも、
 えーと……頭いい学校の制服ですよ!」

そしてセララの導き出すのは――――

「てゆーことは、ここって……
 『学生同士が戦う格闘技』ってコト!? なにそれー! やばーい!」

                         ――――短絡的な答えだ!

181ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/05/01(土) 08:30:55
>>178
>ある切欠で知り合ってね。

「ふうん?」

ぼかした言い方に一瞬下世話な想像をしてしまったが、本当にそうであれば自分を誘ったはしないだろう。
とはいえそれ以上の追及はしないでおく。今説き明かすべきなのは人間関係の神秘ではない。

>そうした猛者を『10秒』で倒すというのは、考えにくいものだよ

「なるほど、確かにこんなところで戦って見世物になろうって手合いはスタンド使いの中でも上澄みの連中だろうしな」

>>179
「おいおい、両方とも子供じゃないか、、、」

ピエールの口ぶりから氷山はそうなのだろうと踏んでいたが、対戦相手もそうだとは思わなかった。

「子供同士に血を流させて熱狂する、、、、いや、そういうのではないのか?」

第一印象で感じた嫌悪をそのまま口にしようとして、思いとどまる。
観客が二人に向ける熱狂は、お世辞にも上品とは言えないが、自分が最初に連想した類の娯楽にありがちな「卑しさ」は感じられない。
この空間で駆動する常識は、自分の知るものではないと考えるべきか。

182東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/01(土) 18:36:53
>>178

「うまいのぉ。外で指をねぶるんはちぃと行儀が悪いが…あン?」

『アリーナ』の外でも売っていたら、また買いたいものだ、などと思っていると。
『バーガー売り』の女が隣の男を押し退けて座ってきた。知り合いだったか?
怪訝な顔をして、そいつを見ていると。『ポケットティッシュ』を渡してきた。
手の中に半分ほど残っていたバーガーを、二口で一気に喰らい尽くす。

「なんじゃ、アフターサービスっちゅうヤツか?ぶち気が効いちょるわ」

ありがたく受け取って、手を拭く。
接客のことはよく分からないが、こういう気遣いをできるヤツはのし上がれるんじゃないか?

「悪いのう、嬢ちゃん。あんた、名前は?」

>>179

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はぁァ…最近の流行りなんかのう、この電子女」
「まぁ、『アリーナ』を続けていくにゃあ興行も大事じゃけ、実況してくれんなら誰でもええか」

アレが『氷山』か。見た目は普通だ。当然『スタンド使い』の実力は外見では測れないが。
戦い方次第では、小学生が大の大人を倒すことも容易に有り得る。それが『スタンドバトル』だ。

一方、『明智』とやらはタッパはあるようだ。
殴り合いなら基本有利になる部分だが、この闘いではそれが結果を変える状況にはならないだろう。
しかし、こいつは相当嫌われているらしい。かく言う自分も、そのツラは。

「気に食わん」

だが、流石にそれだけで一方を応援することはない。楽しめる闘いが見られるならそれでいい。
まずは成り行きを見守ろう。

183『最悪の相性』:2021/05/01(土) 22:51:17
>>180(円谷)
『円谷』は『チケット』を入手した経緯を『山本』に伝える。
『山本』は思案顔になったが、何かに思い当たると息を零した。

    「恐らく、くれたというより、『買った』ことになってるな」

続いて何かを告げようとするが、
『LEDパネル』に『Vtuber』が映ると、パっとその顔を上げる。

>「わー、かわいー! あれって『Vtuber』さんですよね!

         ムツラ
    「ああ、『六連セカイ』。
     格闘ゲームというVのニッチジャンルに突如として現れ、
     強者こそが正義という格ゲー界隈の神話に真っ向から挑む
     主に格ゲー実況や攻略動画の配信を主とする令和のジャンヌダルク」

>「てゆーか! 見て見てユキトさん!

    「前任の実況者が再起不能となった時、
     次なる実況者を任せられるのは彼女しかいなかった。
     『オフィサー・キックス』を通せばカメラ越しでもスタンドを見られるし
     殺伐としたアリーナのイメージを和らげるには彼女なくして考えられない」

>「てゆーことは、ここって……
>『学生同士が戦う格闘技』ってコト!? なにそれー! やばーい!」

    「『学生』だけではない。ホームレスも住職も鎬を削り合う。
     今回はたまたまだ。今遠くから電子女なんて野暮な呼び方が聞こえたが
     LINEのスタンプによる応対もキャラクターの印象を借りた挨拶に変わりはない。
     いずれは誰もがキャラクターに扮してコミュニケーションを取る時代がやってくる」

遠く離れた声も逃さない地獄耳。恐らくは何らかの能力によるものか。
試合が始まる前とはいえ、『山本』の関心は今のところ『セカイ』に向きっぱなしのようだ。

>>181(ジョン)
>「子供同士に血を流させて熱狂する、、、、いや、そういうのではないのか?」

    「スタンド使いで闘う意思があるなら、選手は老若男女を選ばない。
     たまたま、今回が学生同士の闘いになっただけだろうな」

物騒な『網籠』から連想される『デスゲーム』の類とは反し、
観客達の熱狂は、やや低層向けのスポーツ娯楽のものに似ている。
口の悪い彼等も『本気』の闘いを望んでいるのだろう。

>>182(東雲)
ポケットティッシュを取り、指先を拭いた。
サンバイザーを深く被り、スポーツユニフォームを模した売り子服は、
『球場』の売り子と何ら遜色のない服装だ。

>「悪いのう、嬢ちゃん。あんた、名前は?」

     「『キューコ』。
      アンタは『トウグモ』」

読み方は間違っているが、『東雲』の名前は知っているようだ。
選手二人が入場すると、『キューコ』はその視線を『鳥籠』へと向ける。

>「気に食わん」

     「この手の顔は長続きしない」

ぶっきらぼうな言葉だが、『東雲』に同調している。

184『最悪の相性』:2021/05/01(土) 22:53:46
>ALL
二人が入場し、格子扉が閉ざされる。
何やら会話をしているが、それを聞いた『氷山』がムッとしている。
『氷山』の傍にはスタンドが立ち、彼もまた己の意思を持つように話している。

    ≪両者弁舌が白熱ぅ! 最早ファイトは待ったなしです!
      貴方の心にイン・ストール! 『実況』は『六連セカイ』!
      『解説』は『A級ファイター』の『タダヒト』でお送りしまぁーす≫

会場の上空に『鉄梁』で固定された『解説席』に座る『タダヒト』は、
自身のマイクのスイッチを入れ、一呼吸置いた後に話し始める。
スーツ姿に襟には弁護士バッヂ。年の程は40を越えた辺りだろうか。

    「試合が始まる前に、この場の全員に伝えておくことがある」

    「『最悪のアダージョ』は生きていた」

        ヽ ノ i |      「ウソだろ……」
        /   ワ  
              ッ   「アンタが殺したはずじゃあ……」

その名を知る『観客』達がどよめきを隠さない。
その名を聞いた者の中で、何人かが顔を蒼褪めさせた。

    「『悪霊』となり、『夢』の中で復活を画策していた」

    「だが、『氷山』選手の手により、『成仏』した」

       どよ…       「倒したってことか――――」

          どよ…    「あの『アダージョ』だぞ……」

       クルセイダーズ
    「『 討 伐 隊 』の一人、『氷山あきは』の実力は私が保証する」

『観客』の言葉が止み、全員が息を飲み込んだ。
その様子を見る『明智』は苛立ったように眉を顰めた。

    ≪さあ、金網に囲まれた『オクタゴンマッチ』!
      間もなく、試合開始になります!≫

『セカイ』の電子ボイスが鳴り響く。間もなく、試合が始まる――――

185東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/01(土) 23:18:43
>>183

「わしは『シノノメ』っちゅうんじゃが…まぁあんたが呼びやすい方で構わん」
「ほんで、とーからわしの名前を知っとるっちゅうことは、『キューコ』…あんたはわしの試合を見とったんか?」

別に、ただの『売り子』が選手を知っていてもおかしいところはない。
野球ドームでビールを売っている女が、野球選手に詳しくても不自然じゃあないからだ。
だからこいつが自分の名前を知っているなら、自分が闘っている時の様子を
観客席から見ていたか、あるいは。いずれ闘うかもしれないから、前もって調べていたか、か。

>>184

氷山のスタンドは『近距離型』か?などとその姿を見て推測する。
しかし試合前にも関わらず、明智は氷山に対して口撃を止めないようだ。

「『明智』とやらは口が達者なようじゃのう。それと拳が釣り合うんならエエが」

そのまま『タダヒト』の話に耳を傾ける。
自分がアリーナの影で暗躍する輩と闘っていたように、あの『氷山』もまた
人知れず、強大な敵と闘っていたらしい。成る程、そらなら『タダヒト』が評価をするのも頷ける。
どうやらこの試合、少なくとも『10秒』で終わることはないだろう。

186『最悪の相性』:2021/05/01(土) 23:36:05
>>185(東雲)
>「ほんで、とーからわしの名前を知っとるっちゅうことは、
>『キューコ』…あんたはわしの試合を見とったんか?」

    「見てない」

『キューコ』はにべもなく返す。
見ていたのなら、『実況』が『東雲』の名前を呼ぶ以上、
名前の呼び方が解らない、ということはないだろう。

>「『明智』とやらは口が達者なようじゃのう。それと拳が釣り合うんならエエが」

    「言動と実力は大体一致してる。
     伴わなければ相手にされないから」

『長堀』や『太田垣』と比べるに、
人型のスタンドであれば『近距離パワー型』が主とされる。
アリーナのルール上、この系統でなければ戦闘は難しいだろう。

>ALL

     ≪いざ、尋常にィィ―――――    『勝負』はじめぇ!≫

     ズギャッ!

『明智』は腰元に手を翳し、『革袋』を発現する。
そこに指先を突っ込み、まるで『ガンマン』のように腕を弾かせ、

      ギャゥ!

『革袋』の中身を『指弾』の如く弾き飛ばした。
きらめく物体は『銃弾』にも匹敵するスピードで『氷山』へ放たれる。

     ≪『アンチクライスト・スーパースター』ぁぁ!!≫
             . . . . .
     ≪その名前の通り、『銀貨』のスタンド!
       悪魔の銃弾が『氷山』選手に襲い掛かるぅぅ!!≫

     ≪果たして、『氷山』選手は防げるのかぁ!?≫

187東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/01(土) 23:53:38
>>186

「あァ…そういや二人が解説してくれとったけぇ、そんな間違いは起こらんか」

つまり何らかの理由があって、直接己の試合を見たわけではないが、
『東雲』という文字をどこかで見たということだ。だがまぁ、その点に関して、今はどうでもいいだろう。
この『キューコ』がただの観戦好きであろうと、あるいはあの氷山の如く、見た目によらぬ『闘士』であろうと。
己のやるべきことは変わらない。

「相手にされるだけの実力はあるっちゅうことか」
「まぁプロレスにも『ヒール』は求められちょるけ、良い闘いを見せてくれりゃあわしの評価は変わるが」

もっともプロレスにはある程度の『シナリオ』があるが、この『アリーナ』にはそれがない。
故に、あの明智の実力次第では『ヒール』が勝ち続ける事もあるだろう。
それならそれで、自分が乗り込むだけだが。

「『銀貨』を弾いたんか。速いのぉ、わしの『ザイオン・トレイン』並か」
「しかし…なんで『銀貨』がスタンドの名前通りなんじゃ?」

自分はキリストやら何やらに詳しくない。英語にもあまり強くはない。

188円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/05/01(土) 23:55:17
>>183(GM)

「あ! そーいえばお金がどうこう言ってたかも!
 でも面白そうですし、まーいーですよ!
 あのおじさんもお金欲しかったと思うしねー」

呑気な事を言っているが、
セララは自分が何円払ったか知らない。

「なーんだ、たまたまですかー。
 よかったよかった! あたし安心でーす!
 ……って、えー! 実況者さんも再起不能になるの!
 アリーナってやっぱ激しいんだーっ」
 
「でもでも! 確かにあの子が実況だとー、
 激しくってもこわーい感じはしないですネ」

山本も激推しの『六連セカイ』――
セララも対戦者の立ぶるまいや、
戦いに対する姿勢のような難しい点より、
その『わかりやすい魅力』に視線を引かれていた。

>>184(試合)

が、『タダヒト』なる人物の声を聴いて視線をそちらに。

「最悪を倒すって最高ってコトですよ! 氷山ちゃんすごいすごーい」

などと、ジュースを啜りつつ無知を全開にしていたが――――

>>186(試合)

「あ!! みてみて、始まりましたよー!
 『アンチクライスト・スーパースター』だって! かっこいー!
 それに速いし、早ーい! あたしだったら防げるかなー!?」

戦いが始まると、身を乗り出すように『速攻』に食い入って見る。

189『最悪の相性』:2021/05/02(日) 00:23:31
>>187(東雲)
>「『銀貨』を弾いたんか。速いのぉ、わしの『ザイオン・トレイン』並か」
>「しかし…なんで『銀貨』がスタンドの名前通りなんじゃ?」

    「『アンチクライスト』、キリストの敵。
     キリストを裏切って『磔刑』に処した『ユダ』は、
     その報酬として、エルサレムの祭司長から『銀貨30枚』を受け取った」

    「タロットによっては、『吊られた男』は『ユダ』の絵柄とされ、
     その手に『銀貨』の入った革袋を持たされている」

『キューコ』はぶっきらぼうな声調のまま、『東雲』に伝える。

>>188(セララ)
あの風体を考えると、『曳舟』が金に困ってるのは容易に想像できる。
のんぼりとした様子で『セララ』が喋る様子を、『山本』はぶつくさとした
独り言を呟きながら聞いている。

>「でもでも! 確かにあの子が実況だとー、
> 激しくってもこわーい感じはしないですネ」

    「ああ、各方面に頭を下げた甲斐があったよ」

『アダージョ』の言葉が出るや否や、『山本』は顔を蒼褪めさせたが、
『セカイ』の実況する様子に祈りを捧げ、平静を保ったようだ。
彼の様子を見るに、とりあえずヤバそうな人物のようだ。
(※当然、それを倒した氷山はすごい、という話だ)

> それに速いし、早ーい! あたしだったら防げるかなー!?」

    「どうだろうな……。
     だが、あのスタンドは防いだ後がマズい」

>ALL

       ―――――ガギィンッ!

    ≪防いだぁぁ〜〜〜〜〜〜ッッ!!≫

    ≪あれは、傘ッ!?
      『時代劇』で見る『被り傘』ですが、
      これは硬いぞ! 『アンチクライスト・スーパースター』を防ぎきってる!≫

『エド・サンズ』が発現した『陣傘』に『銀貨』が命中する。

    「あれなら『銀貨』も利かなんじゃねぇの!?」

    「こりゃあ早くも勝負あったかぁ!?」

『銀貨』の一撃を防ぎきり、『観客達』も気色ばんだ歓声を上げる。
そして、『エド・サンズ』の殴打により、『陣傘』を吹っ飛ばした。

       ズルルルルルルルルル . . .

    ≪ふ、吹っ飛ばして攻撃した『傘』がぁ――――≫

まるで『毛糸球』を紐解くように、『陣傘』は一本の『茨』へと変じていく。
それはドライアイスのように昇華していき、『明智』に届くよりも前に、
完全に『消失』してしまった。

         ザザッ!

『氷山』も前方へと駆け、『明智』もまた接近する。

190円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/05/02(日) 00:45:17
>>189(GM)

「へー! ユキトさんがあの子連れて来たんだ!
 じゃあじゃあ『ファン』なだけじゃなくって、
 プロデュースもしてるってことですねー! えらーい!
 それはバカにされたら怒りますよー、わかるわかる」

「どーしよー、試合もだけどあの子も気になるー」

『アダージョ』について深く追及はしない。
最悪というのはよくないことだし、
よくないことを話してもしょうがない。
まして自分の知らないやつだ。

「ってー、防いだ後? どゆこと――――」

視線を山本と戦場の間で行き来させる。
そして――――答えは必要無かった。

「――――あはーっ!! 今の! すごいすごい!
 防いだのもすごいけどー、ほんとに防いだ後だ!
 あの丸い帽子が、イバラになっちゃいました! 面白ーい!」

     「あれー? でもでも、何で明智君も近付くんだろ!
      あんな凄いワザあるなら、
      離れてずっとやってた方が強いような気がしまーす」

「どうどうー? あたしの考えてる事、当たってますかー?」

問いつつも、今度は山本だけに答えを求めてはいない。
セララの輝く双眸は『試合風景』を見るべく、そして期待に見開かれる。

191東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/02(日) 01:04:59
>>189(GM)

「ほおォ…博識じゃのぉ」

西洋の信仰については、正直なところ全然分からない。
だがこうして『スタンド』の理解に繋がる時もあるのだから、捨てたものではない。
『キューコ』の知識に素直に感嘆しつつ、試合の経過を見ていこう。

「『防御力』は中々のモンじゃ。飛び道具への備えも万全か」

防具を発現する能力か、あるいは日本の道具を発現する能力か。
何にせよ、手堅い。だが『明智』のスタンドはそれを更に上回るようだ。
触れたものを『茨』にする能力か?それだと消えた事までの説明はつかないが。
もしアレと同じことが人体に起きたなら、即座に敗北だが。

「…しかも、接近戦も上等かッ!」

自ら近付く明智に、驚く。銀貨を飛ばすだけではないということか。

192『最悪の相性』:2021/05/02(日) 01:26:19
>>190(セララ)
>「あれー? でもでも、何で明智君も近付くんだろ!
>あんな凄いワザあるなら、
>離れてずっとやってた方が強いような気がしまーす」

     「その通りだ。だが、いずれは『近付かれる』。
      『銀貨』が尽きる前に、別の攻撃を仕掛ける気だろう」

『試合』を注視する『セララ』に対し、『山本』は相槌を返す。
試合が始まったとなれば、『山本』も会場に目を凝らしている。

>>191(東雲)
>「ほおォ…博識じゃのぉ」

    「エヴァで知った」

『キューコ』は謙遜なく答える。
『エド・サンズ』の手堅さに舌を巻きながら、
『東雲』は眼前で起こった現象について思考を巡らせる。

>「…しかも、接近戦も上等かッ!」

    「考えられるのは三つ。
     『弾数』に制限があるか。
     『銃弾』よりも優れた武器があるか」

>ALL
『エド・サンズ』は発現した『鍵縄』を『明智』に投げるが、
距離の近さが災いし、勢いも付かぬまま弾かれる。
そう、弾かれたのだ。

      ズギャッ!

     ≪あ、あれはまさか――――≫

       ギュゥゥ――――ンン!!

『明智』の手中から現れたのは『陣傘』だ。
真正面から突っ込む『明智』は、『エド・サンズ』のコメカミに『傘』を振るう。
そのパワー、スピードは『グラム・スラム』や『ザイオン・トレイン』と同等だ。(パス精BBB)

    「さあ、もう一度言ってみろよ!」

    「お前もか、ってなぁ!」

『明智』の勝ち誇った声が『アリーナ』に響き渡る。

193円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/05/02(日) 01:56:28
>>192(GM)

「そっかー! 弾切れってあるもんネ。
 それに氷山ちゃんもいちおー防いでますし!
 確かに確かにー。ユキトさんさっすがー。
 でもさー、別ってどんな攻撃――――」

    『陣傘』。

      
   「――――うそーーーっ!?」

予想外の光景に声を上げ、
思わず席から腰を浮かせた。

「ユキトさん見たー!? なにあれなにあれー!
 『あれ』ってほら! 氷山ちゃんの能力でしょー!?
 同じスタンドの人って、二人いないですよねー!?」

        ストン

「あはーっ、あたしすっごいテンション上がってる!」

再び腰を下ろして、ポップコーンを手に取る。
 
「てゆーか明智君、動きもすっごい速ーい!?
 どーしよどーしよ! 氷山ちゃーん、頑張って反撃しちゃえー!」

194ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/05/02(日) 07:35:39
>>184
「『アダージョ』?あんた知ってるか?」

ピエールに尋ねる。
周囲の反応からすると知っていて当然、といった様子だが、もちろん自分は例外である。

>>186
>>189
>>192

>『明智』は腰元に手を翳し、『革袋』を発現する。
「あれが奴のスタンド!?、、、なるほど、本当に人によって全然違うんだな」

>まるで『毛糸球』を紐解くように、『陣傘』は一本の『茨』へと変じていく。
「あれが、あの銀貨の能力、なのか?」

氷山の能力という線も無いではないが、有利になっているのが明智の方である以上、明智の能力による現象と考える方が自然だろう。

「まともに受けるのは危険みたいだが、かといってあのスピード、、、自分だったらどうやって切り抜ける?」

考えるもののいい案は浮かんでこない。
それはつまり、自分があの場にいたなら早くも敗北は決定しているということ。
そして自分がこの先そういった状況に立たされる可能性はあり得る。

「ああいう状況を切り抜ける工夫を予めいくつも持っていないといけない、ってことか。
 早くも宿題が一つできちまったな、くそ、気が重いぜ」

>『明智』の手中から現れたのは『陣傘』だ。
「あれは、、、偶然同じものを?いや、違うのか?」

スタンドの『見た目』というのは自分が思ってた以上に千差万別のようだ。
それを考えると対戦相手二人が偶然同じような見た目のスタンドを持っていたと考えるよりは、
先ほど起きた陣笠の不可解な消失現象と地続きの能力によって明智の手に陣笠が現れたと考えるべきだろうか。

195東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/02(日) 21:08:19
>>192

自分はあまりアニメは見ないが、そうして知識を得られるのなら捨てたものではないか。
それはともかく、接近する理由としては確かに『キューコ』の言う通りだろう。
硬貨には弾数制限があるか、硬貨飛ばしは牽制で本命がある。

「もしくは、接近する事で発動する能力…か」

対して氷山のスタンドは鉤縄を発現。それを投擲するも、その前に明智が接近。
攻撃を弾いたのは、先程茨になって消えていった『陣笠』か。

「はン、氷山のヤツからパクッたんか?」
「じゃが、『明智』の動きが分からん。あの動きは『銀貨』と関係がない」
「あがぁに膂力と速さを兼ね備えた一撃を叩き込めるっちゅーんは不思議じゃのぉ」

『器具型』なら、それを扱う際にスタンドが何らかの補助をする能力もある。
しかし、『陣笠』で殴りかかっているこの状況では『皮袋』は一切関係がない。
そこに能力の謎が隠されているのか?

196『最悪の相性』:2021/05/02(日) 23:06:17
>>193(セララ)
>「ユキトさん見たー!? なにあれなにあれー!
> 『あれ』ってほら! 氷山ちゃんの能力でしょー!?
> 同じスタンドの人って、二人いないですよねー!?」

    「ああ、『アンチクライスト・スーパースター』。
     その能力によって、『陣傘』をコピーしている」

間近で行われる『熱戦』を前に、『セララ』は興奮を覚えている。
『不利』な現状の中、闘いを続ける『氷山』に『セララ』はエールを送る。

>氷山ちゃーん、頑張って反撃しちゃえー!」

    「俺は『アリーナ』の人間。中立だから『応援』は出来ないが、
     その声はきっと、あの二人に届くはずだ」

>>194(ジョン)
>「『アダージョ』?あんた知ってるか?」

    「ああ、知ってるよ。
     彼女が『アダージョ』を倒した瞬間も、目の当たりにした」

『ピエール』も当事者のようだ。
その『氷山』を以ても尚、現状は『不利』な状況だ。

>「ああいう状況を切り抜ける工夫を予めいくつも持っていないといけない、ってことか。
> 早くも宿題が一つできちまったな、くそ、気が重いぜ」

    「ああ。あの状況、私の『ジュリエット』も闘えば同じ目に会うだろう。
     クッ、何とかしのいでくれよ……!」

『ピエール』も劣勢に立つ『氷山』に念を送っている。

>>195(東雲)
>「もしくは、接近する事で発動する能力…か」

    「それ、思い付かなかった。
     私は唯、『してやったり』がしたかっただけ、そう思う」

『キューコ』は視線を『明智』に向けたまま、言葉を紡ぐ。
『明智』の不可解な身体能力、それに『東雲』は違和感を覚える。

>「じゃが、『明智』の動きが分からん。あの動きは『銀貨』と関係がない」

    「銀貨で裏切られ、茨の冠と共に処刑された『キリスト』は、
     復活を遂げて『神』になった。――――ザックリだけど、そう言われてる」

>ALL
『コレハ!? 俺ノ「陣笠」ヲ・・・・』
            『奪イ取ッタノカ!?』

『「コソ泥」ハお前の方ジャアネェェカァァァ!
 俺ノ「陣笠」ヲパクリヤガッテヨォォォ!』

    「お前よりも、上手く使えるぜ」

『明智』が振り翳す『陣傘』を『エド・サンズ』は姿勢を仰け反らせて回避する。
その額は浅く切り裂かれ、『氷山』の額から鮮血が滲み始める。

    ≪『明智』選手のファーストヒット、『氷山』選手の額を裂いたぁ!
      『陣傘』を扱う速度、精度、どちらも『エド・サンズ』を凌駕しています!≫

    「『銀貨』によって破壊された『陣傘』を振るう限り、
     彼の力も速度も、『人』を超える。――――まるで『神話』のように」

『セカイ』の実況と『タダヒト』の解説が挟まれる。
この状況、『氷山』の不利は明らかだ。

    「あ、ありゃあ『尾藤』の時と同じだッ!」

    「アイツも『刀』を奪われて、呆気なくヤラれちまった!」

    「このままじゃあ、前の闘いの再現だっつうの!」

『観覧席』からもどよめきの声が響き始める。
以前の『試合』の再現となれば、『氷山』の敗色は濃厚だ。
――――だが、

    「氷山ちゃーん、頑張って反撃しちゃえー!」

『セララ』の朗らかなエールが『アリーナ』に響き渡った。
まだ試合は始まったばかりだ。――――これからが勝負。

197ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/05/02(日) 23:35:03
>>196
「なるほど、ピンとは来ないがあの嬢ちゃんも結構な実力者ってわけだ。
 で、相手はその上を行くと、、、、これは厳しいな」

遠距離は危険、だが懐に飛び込んでも状況は好転していない。
劣勢は素人目にも明らかだ。

「ここからどうやって巻き返すのか、俺には想像もつかないが、、、是非見せてほしいな」

198東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/05/02(日) 23:45:45
>>196

「『してやったり』。その為だけに有利を捨てて接近するんは、流石に博打うちじゃろう」
「…と言いたいところじゃが、『明智』のどこまでが『演技』なんか分からんのぉ」

そう言われると、勝つことを最優先するのではなく相手に対して心理的有利に立つ為だけに、
あえて接近するような行動をしてもおかしくない。今のところ、明智に対してはそういう印象だ。
そこへ二人の実況と解説が飛ぶ。『キューコ』と『タダヒト』の言葉で、何となく線が結ばれてきた。

「成る程のぉ。神話を再現するような能力っちゅうことか」

しかしまぁ、ネタが割れても厄介なスタンドに変わりはない。
他に更なる技がある可能性も秘めている。もっとも、探れば弱点もあるだろうが。
氷山に必要なのは後者だろう。単純な殴り合いでは、そのスペック差で分が悪い。

「『キューコ』、あんた『明智』と尾藤サンとの試合は見とったか?」

199円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/05/02(日) 23:53:47
>>196(GM)

「へーっ、そんな能力もあるんですね!
 あはーっ。アリーナの人ってやっぱり詳しいんだー!
 あたし知らないから、勉強になりまーす」

そう言ってから、のどを潤す。 
勉強熱心…………なのか?
ポップコーンを一粒食べた。

「うそー!? 明智君の方が、叩くのもはやいですよー!?」

が、それを十分咀嚼するヒマはない。
すぐに呑み込んで、口を開いた。
『奪う』どころか、『昇華』する能力。

「あのすごそーな人の言ってるのって、
 『能力』はコピーされちゃうし、
 しかも明智君の方が強くなっちゃうってコト!?」

『タダヒト』の解説で理解をする。
この相性――――
 
「えーずるーい! そんなのありー!?
 でも、ずるくてもそういう能力だもんネ、どうしよどうしよ!
 氷山ちゃーん! もっとすっごい攻撃しちゃいましょー!」

『正攻法』で氷山が破るのは、難しいだろう。
セララにもそれはなんとなくわかるので、無茶な注文をする。

200『最悪の相性』:2021/05/04(火) 22:26:35
>>197(ジョン)
>「なるほど、ピンとは来ないがあの嬢ちゃんも結構な実力者ってわけだ。
> で、相手はその上を行くと、、、、これは厳しいな」

    「ああ、――――しかし、妙だと思わないか?」

『ピエール』は不思議そうな面持ちで『ジョン』を見る。

    「一戦目の相手は『刀』を持っていた、と観客が言っていた。
     そして、二度目の『エド・サンズ』は『武器』を産み出すスタンドだ」

    「どちらも『明智』にとって都合が良すぎる。
     ……そんな偶然、在り得ると思うか?」

>>198(東雲)
>「成る程のぉ。神話を再現するような能力っちゅうことか」

    「そこまで大げさじゃない。
     ……人を超えた力が振るえる、だけ」

まるで見て来たかのように『キューコ』が補足する。
『東雲』の見立て通り、単純な『真っ向勝負』では分の悪さは明らかだ。
『氷山』のスタンドを見るに、絡め手が得意なスタンドにも見えない。

>「『キューコ』、あんた『明智』と尾藤サンとの試合は見とったか?」

    「見てない」

>>199(セララ)
>「えーずるーい! そんなのありー!?
> でも、ずるくてもそういう能力だもんネ、どうしよどうしよ!

    「『相性差』はどんなスタンドにもある。
     だから、今回のケースも……珍しいわけではない」

    「……わけではないんだが、『露骨』にも感じるな。
     アリーナのマッチングで、しかも双方が『二戦目』なら、
     もう少し、分の良い相手と戦わせるはずなんだが……」

『山本』は己の瓜実顔を撫でながら、不可解そうに顔を顰めている。

>ALL

      バッ!

『明智』は一歩踏み込み、『陣傘』を再び振り翳す。
その瞬間、『氷山』は『背後』へと下がり、

    「ここは攻撃しないで・・・・引きます!」

         ダダッ!

『明智』は『陣傘』を片手に真正面へと突っ込んでいく。

    ≪再び、『陣傘』による猛攻ッ!  二度目は防げるかぁ!?≫

    「『氷山』選手が武器を作り出し、『明智』選手はそれを奪う。
     そして、『アンチクライスト・スーパースター』は、
     奪った武器を『エド・サンズ』を上回る扱いを見せる」

    「――――ここまで明白に『相性』の差が現れるのは、珍しいな」

『実況』、『解説』共に二度目の攻撃に注目している。
そして、『観覧席』からは『氷山』への期待が籠った声援が響いた。

    「氷山ちゃーん! もっとすっごい攻撃しちゃいましょー!」

    「そうだそうだ!  『陣傘』よりスゲェのを出せばいいだけだろ!」

一方、『明智』は冷ややかな目を浮かべ、ニヤリと笑う。

    「『タダヒト』の歯に衣着せた解説がうっとおしいから、
     俺自ら、『アンチクライスト・スーパースター』を教えてやる」

    「『銀貨』で破壊した物体を『蘇らせる』。
     その武器は振るう度に『超常』の力を発揮する」

    「当たり前の話だけど、アリーナには『武器』は持ち込めないからな。
     本来ならここじゃあ闘えないスタンドなんだよ。――――『幸運』なことに、
     お前みてぇな『かませ犬』でもいない限りはなぁ!」

      ――――ビャウウウ!!

『明智』の声は『会場』に聞こえるように放たれた。
そして再び、『明智』は『陣傘』を『エド・サンズ』のコメカミに振るう。

201ジョン・ロブ『グラム・スラム』:2021/05/04(火) 23:00:29
>>200
……そんな偶然、在り得ると思うか?
「、、、、、、、この試合のマッチメイクは誰が?」

ピエールに尋ねる。

「少なくとも、その『誰か』は、こういう展開になることをわかっていたはずだよな?」

202円谷 世良楽『リトル・スウィング』:2021/05/04(火) 23:03:43
>>200(GM)

「あーっ、そっかそっかー! そですよね。
 どっちも一回戦ってるんだったらー、
 どっちの能力がどんなのかとかって、
 試合決めるえらい人達は知ってるんですもんねー?」

明智と『氷山』の攻防を見つつ、
ポップコーンを一つ摘む。
 
「氷山ちゃんがんばっててエラいから、
 あたしも見てて楽しいですけどー。
 明智君がまた『10秒』で勝ったりしたら、
 見に来てるみんなはつまんないもんネ。
 そうなってたらあたしもつまんなかったでーす」

一瞬投げて食べるやつをやろうと思ったが、
人から貰ったものだと思い出した後ので、やめた。

「てことはてことは……今明智君が言ってたけど、
 だれかが明智君のことかっこいーからって贔屓してて、
 氷山ちゃんを『かませ』にしよーとしてるってコト!?」

     「……ちょっとー! そんなのはズルいですよー!
      ユキトさんユキトさん、そーゆーのありえるのー!?」

氷山贔屓になりつつあるセララは、短絡的に『黒幕』を作り出す。
アリーナの仕組みは知らない。『対戦の決定』に、そんな『余地』はあるのか。


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