[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
【他】『妄想スレッド』【妄】
170
:
『STAND UP TO 村田瑛壱の場合』
:2024/10/07(月) 03:28:06
人にはそれぞれの務めがあり、それを為すことが何よりも重要なのだ。
年端もいかねえ頃合いから、父親と母親はおれによくそういった。
だから我慢しろ、と言いたかったのか?お前もすべきことをせよ、という意味なのか?
その真意を、おれはついぞ聞けなかった。今更聞くつもりも無いが。
最初のうちは、その通りにしていた。何を隠そう『いい子ちゃん』だったからな。
ところがそのうちおれはグレにグレて、親のこの文句は訓示から説教に変わった。
喧嘩、万引き、器物破損、深夜徘徊・・・
たびたび警察の世話になるようになったおれに偉そうに、また心底めんどくさそうに言って聞かせた。
その大事な務めとやらに、父として、母としてのものは入っていねえのか、と。
高価そうなスーツの胸ぐらを掴んで、あるいは手入れの行き届いた髪を鷲掴みにして拳を振り上げようと何度思ったかわからない。
が、結局おれにはできなかった。決定的な何かを明らかにしてしまうような気がして、とてもじゃないが口にできなかった。
目をそらしていた。怖かったんだ。恐れていたんだ。
だからおれは『それ』を捨てた。彼らとの縁を所有することに耐えられなくなったからだ。
決して切れない『血縁』からにじみ出る恐怖に、当時のおれは耐えられなかったんだ。
無駄に長い家系図を引っ張り出し、掠れて読めないほど遠縁の親戚を頼り、その親類の祖母の友人のいとこ・・・というところまで姿をくらました。
独り暮らしのジジイで、誰にも死に水取ってもらえないのは悲しいと、おれを世話してくれたのはそんな理由だった。
悪くない暮らしだった。『家族』というのを意識できたのは、このときが初めてだった。
おれが年寄用のメシを作るのも板についてきたころ、ジジイは死んだ。急性心不全だった。
死に顔は笑っていた。医者もこの歳なら大往生だろうといった。
ジジイはおれに2つ遺して逝った。
一つは遺産。おれが成人するまでは困らねえ程度の額。
もう一つは『姓』だ。何をどうしたのかはさっぱりわからないが、書類の上ではジジイの血縁ということになっていた。
その日から、おれの名前は『村田瑛壱』になった。不思議なほどにしっくり来た。まるで『そうなるべき』だったような気がするほどだった。
そのあとすぐ、おれは『原因不明の高熱』で死にかけるんだが、そこからは知っての通り。
人間、いろいろいあるってわけだ。あんまズケズケ聞くのはよくねえぞ。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板