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【個】『烏兎ヶ池神社』【場】

126鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2019/07/09(火) 01:07:27
>>125

「うん! 偉いね、自分のおさいふまで持ってるんだ。
 ヨシエちゃんはすごく、しっかりしてるんだねえ」

百円玉に視線を向けて小さく頷き、笑みを作る。
その額については、特にコメントはない。
5円だと『ご縁』みたいな話もあったりはするが、
当人が理解しないまま『げん』を担ぐ事もあるまい。

「それじゃあその100円玉を御賽銭にしよっか。
 これ、この箱の中に入れてみてくれるかな?
 賽銭箱、って言うんだけどね。この隙間に入れてみてよ」

         スッ

「あっ、入れるときは投げたりしなくって良いからね!
 よくいるんだけどね、投げ入れる人もさ……
 本当のところをいうと、ソッ……と入れて欲しいかな」

賽銭箱が傷付くし、こぼれ落ちたりする可能性もある。
投げる意図も分からないではないが、勧めはしない。

「もし投げるにしても、なるべくこう、ていねいにね」

なお…………この『祈願』の手順には、諸説がある。

鈴を先に鳴らすべきとか、賽銭が先だとか、
紙幣と硬貨どっちかにもよるんじゃないかとか、
いや先に礼からだとか…………だが、ハッキリはしない。
神さまに答えを聞いたとして、返っては来るまい。

その上で、今回は『お賽銭』に乗り気なヨシエの気持ちを優先した。
『信仰』には『納得』が重要と考える鳥舟には、正しい判断と自信があった。


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