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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

93小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/06/11(土) 11:02:22
>>88
  「――『あれ』は……?」

一瞬にして現れ、瞬く間に走り去った『小人』を目撃した瞬間、思わず声が出てしまった。
新手の『スタンド』――奇妙な『小人』の存在から、その可能性が頭を掠める。
自分の『スーサイド・ライフ』は人型ではないが、『スタンド』という超自然的能力を持つ者ならば、
誰もが真っ先に思い至る直感的な発想だ。
工場側に属する存在なのか、もしくは自分達と同じ外部の者なのか――
その正体や目的は気にかかるが、今は放っておくしかない。
今から追いかけるのは無理だろうし、そもそも自分達は工場の調査に来ているのだ。
『小人』の存在を記憶に留めつつ、再び工場に視線を移し、本来の目的に意識を戻す。
用心して鉄柵の外から探ってみたものの、この場所からでは距離があり過ぎて、
大した情報は得られそうにない。
やはり、目の前にある鉄柵を開けて、工場の敷地内に踏み込む他なさそうだ。
しかし、いくら人の数がまばらだといっても、いきなり入口から堂々と中に入っていくのは無謀だろう。
工場を取り巻く茂みは、大人が姿を隠せる程の大きさはない。
あと利用できそうなものは入口付近に駐車されているトラックぐらいだろうか。
一通りの思案を終えると、有菜に言葉をかける。

  「入口の前に止まっている三台のトラック……。ひとまず、そこまで行ってみましょう。
   私の『道具』は10mくらい先の様子を見たり聞いたりできるわ。
   もっと近付けば、工場の中の様子も分かると思うから……。
   そうね……。入口に一番近いトラックの陰にしておきましょう……」

有菜に声をかけたら、彼女と共に敷地内に入り、移動を開始する。
念のために二手に分かれた方がいいかもしれないとも思ったが、そこまで警戒する必要もなさそうだ。
作業員達の視界から逃れるため、入口の正面に立つことを避け、回り込むようにして目的地まで移動したい。
待機させておいた『目』と『耳』は自分達の後ろからついてこさせる。
一応、それらが有菜の目には触れないようにしておこう。
無事にトラックの陰にたどり着けたら、小さな声で有菜に呼びかけて、調査を再開する旨を伝える。

  「――じゃあ、もっと詳しく様子を調べてみるわ……」

後ろから追ってきた『目』と『耳』を、トラックの下を経由して、
入口から中へ送り込み、先程と同じ要領で射程限界まで移動させる。
ただし、数は少ないとはいえ入口付近には人がいるし、中にも何人いるか分からない。
『目』と『耳』が彼らに見つからないように、時折物陰に潜ませるようにしながら、
できるだけ注意して進ませたい。
それができたら、『目』と『耳』を再び一回転させて、周囲を調査する。
内部の構造や配置されている物、人の数や位置、機械の音や話し声。
それらを把握することに集中する。


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