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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

690小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/10/12(木) 23:22:11
>>688

     スゥゥゥ……

茶碗を置いて、軽く深呼吸する。
S県産だと聞いたけれど、飲んだことのない味だった。
味も香りも自分の嗜好に合うものであり、素直に美味しいと感じられた。

  「そう――ですか……」

クォ・ペイの話を聞いて、少し不思議に思った。
店の人が急に辞めたというのは、事情があったのだろうと考えれば納得できる。
だけど、同時に来客の数も減ってしまうというのは奇妙な偶然だ。
そういえば、ついさっき土地代が安かったという話を聞いた。
この時期、この辺りで、何かあるのかもしれない……。

  「クォ・ペイさん――」

顔を上げ、そっと呼びかける。
けれど、その表情に不安の色はない。
そこにあるのは柔らかい微笑みだった。

  「私も寂しがり屋なんです」

  「お揃いですね」

寂しそうなクォ・ペイの様子を見たことで、頭に浮かんだ疑問も薄れてしまった。
彼女の姿に共感を覚えたから。
私も一人で過ごしている時に、ふと寂しさに襲われることがある。
そんな時は人通りの多い賑やかな場所に出かけることもあるし、
相席を選んだのも同じような理由だった。
だから、彼女が寂しさを感じているなら、今だけでもそれを紛らわせてあげたいと思った。

  「注文させてもらっても構いませんか?」

  「……おまかせと――」

  「これをお願いします」

そう言って、メニューの一ヶ所を指差す。
そこには(カエルのまる焼き)の文字があった。
カエル料理は、故郷では何かの行事などの折に出される料理だった。
自分も、子供の頃から何度か口にしたことがある。
この町では初めて目にしたので、懐かしさを感じたというのが、注文した理由だった。


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