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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

640夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/08/22(火) 19:29:11
>>639

「……え……?」

告げられたベティの言葉を聞いて、徐々に表情が変わっていく。
憤りの色は消えていき、その代わりに呆気に取られたような顔が現れた。
そのまま呆然としつつ、しばし無言のまま立ち尽くしていたが――。

「――あッ!あッ、あッ!」

「聞こえない聞こえない!!血を流しすぎたせいかなァ〜。
 急に耳が聞こえにくくなっちゃった!!あっれ〜?おっかしいなァ〜?」

慌てたようにサングラスを掛け直し、わざとらしい言い訳を喋り始める。
もちろん、そんなことがあるわけがない。
これが照れ隠しだということは、耳まで真っ赤になった顔を見れば誰でも分かるだろう。

思えば、私は不安だったのかもしれない。
本当に勝てたのかどうか、心からの自信が持てなかった。
だからこそ、確認しないではいられなかったのだと思う。

もしかすると――という考えが頭の中にあった。
もしかすると、ただ単に運が良かっただけなんじゃないか。
もしかすると、手加減されていたんじゃないか。

そんなことを考えると、不安で仕方なかった。
その不安を打ち消すために、直接ベティの口から聞きたかったのだ。
『お前は私に勝った』――と。

ベティの言う通りだ。
私は、本当に性格が悪い。
まもなく、照れ隠しの言い訳を止め、ベティに向き直る。

「……ありがとう」

「――それから!私の名前は『明日美』だから!!次からはそう呼んでよねぇ〜!!」

先程までとは打って変わって、晴れやかな笑顔を浮かべながら、
小さく感謝の言葉を伝え、立ち去っていくベティの後姿を見送る。
アリーナを舞台にした闘いの終わりは、この冒険の終わりでもある。
身体に負った傷と引き換えに得たものは、心を満たす充足感。

でも、これで立ち止まるつもりなんてない。
この光あふれる『未知の世界』に対する好奇心は決して尽きることがない。
次の冒険が私を待っているんだから――。

「じゃ、チャチャッとやって。自分でやるっていっても、私やり方とか知らないし。
 あー、落ち着いたらまた痛くなってきた。いったい、いったいィィィ〜」

顔を顰めて泣き言を言いつつ、応急処置を受ける。
この後で病院に行くことを思うと、憂鬱な気分になる。
手当ての最中に首だけ動かして、近くにいるであろう金一の方を向く。

「ところでさ、金ちゃん。これからどうなるの?試合は終わったけど、まだ他にすることあんの?」

彼にも世話になった。
代理の選手を探していた金一との出会いが、この冒険の始まりだったのだから。

ちゃんと、その『お礼』をしておかないと……。


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