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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

636夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/08/20(日) 14:59:12
>>633-634

     ――スゥゥ
           ゥゥゥ
              ゥゥゥ……


やがて――深く息を吐き出し、静かに吸い込む。
自分の周囲を取り巻く大音響も、どこか遠くに聞こえる。


   今、私の心に勝利の喜びはない。


存在しているのは『終わった』という感覚だけ。
それ以外のものは何一つ在りはしない。


 ――私が勝った?  それは間違ってる。

         私は勝ってない。

      ……負けてもないけど。


まるで生理前みたいにムシャクシャした気分になった私は、無意識の内に首を横に振った。
同時に、『ドクター・ブラインド』が、もう用がなくなった武器を乱雑に放り捨てる。
それは地面に軽くぶつかり、乾いた音を立てて転がった。
お陰で少し落ち着いた。
あくまで『少し』だけ。

(――お気に入りだったスカーフとネックレス。これ、もう使えないな)

スカーフは血まみれだし、ネックレスは千切れかけてる。
そして、私もそれに負けないくらい酷い格好。
こうして自分の足で立ってる分、目の前で倒れてるベティよりはマシだけど。

体育座りをするように屈み込み、ベティの姿を見下ろす。
不意に、両方の目が細められる。


                   『気に食わない』

                だけど――

        『生きていて良かった』  

   ――そう思った。


ベティの生存を確認した後、無傷な片手を伸ばし、おもむろにサングラスを外す。
そのままベティの姿を数秒の間見つめ、またサングラスを掛け直し、再び立ち上がった。

気付けば、ジャングルが崩壊していく。
この舞台にも幕が下りる。
『闇の中で生きていた頃の私』は、また心の奥底に沈み込んでいく。
『光の中で生きる今の私』に戻る時だ。
大体、血に染まりながら啖呵切って闘うなんて私らしくない。
『何事も明るく楽しく』が私の主義。
もう、こんな闘いをすることもないだろう。

少なくとも、しばらくは――。


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