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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

609夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/08/01(火) 20:34:15
>>608

「さっき言ってたね。『生まれつき力を持っていた』って。
 そして、それを使うための訓練をしたと。
 私も生まれつき持っていた。
 『力』ではなく『枷』を。
 そして、その『枷』を克服するために訓練を積んだ」

         『 L 』

「ベリルは命がけの闘いを続けてきたんだよね。
 言わなくても分かってると思うけど、私は命がけの闘いなんてしたことがない。
 でも、生まれてから今まで、私は常に命がけで生きてきた。
 私がいたのは、ここみたいな場所とは無縁の平和な世界。
 獰猛な動物が潜むジャングルなんかじゃないし、銃弾が飛び交う戦場でもない。 
 でも、その『平和な世界』でさえ、私には常に『死と隣り合わせの危険な世界』だった」

         『 I 』

「私は生まれつき、『死ぬ確立』が普通の人よりずっと高かったから。
 本当に、いつ死んでもおかしくなかった。
 『死ぬかも』と思った回数は、両手と両足全部の指を使っても数え切れない。
 実際に死にかけたことだって、一度や二度なんかじゃない。
 支えてくれる家族と、私自身の訓練と、
 ほんの少しの幸運に恵まれていたからこそ、私は今まで生きてこられた」

         『 G 』

「私はベリルの考えや生き方に対して意見する気はないよ。
 人間が違えば、その性格や過去も違っているのは当然のことだから。
 だけど――私とベリルには同じ部分も存在してる。
 決して動かすことのできない部分。
 それが何だか分かる?」

         『 H 』
 
「ベリルが背負っているのと同じように、私にも背負っているものがある。
 そして、その重さには少しの変わりもない。
 だから、痛いけど、『それだけ』――ってこと」

         『 T 』

次の瞬間、『ドクター・ブラインド』のヴィジョンが陽炎の如く揺らめき、霞のように消え去った。
同時に、ベリルに付与されていた能力も、その全てが解除される。
そして、明日美は口元に薄い笑みを浮かべ、肩を軽く竦めて見せた。

      ギブアップ
「でも――『降参』する。ベリルが言う通り、私はスタンド使いとしては未熟だった。
 まだ身体は動くし頭も働くけど、今のでやってやろうっていう気も失せちゃった。
 アリーナの存在を確かめる目的は達成してるから、欲張るのは止めて引き上げることにするよ。
 ここで無理に粘って病院送りになっても損するだけだし。
 私は人生を楽しみたいから、貴重な時間を無駄にしたくないの」



  「それから、褒めてくれるのは有り難いけど、それは私の聞きたい言葉とは違う」



「私を動かす意思の力は、『麻疹』なんかに例えられるようなものじゃない。
 私は、それを理解して欲しかった。
 だから、私に対する認識を、今この場で改めて欲しい。
 そうじゃなければ、私は『続行』しなればいけなくなる。
 あなたに私を理解してもらうためには、それ以外にないから」

              プライド        キャリア
「私には、選手としての『誇り』も、守るべき『戦歴』もない。
 でも、『安い好奇心だけで首を突っ込んだ愚かな小娘』と思われ続けるくらいなら、
 私は迷うことなく、観客の前で嬲られ甚振られる方を選ぶ」

「どっちを選ぶかは任せるよ。私は、それに対応する方を選ぶ」

  ツ ツ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ……

地面に叩き付けられた際に傷付いた額から、一筋の血液が流れ出す。
赤く細い糸は、眼球の上を通過して頬を伝い落ちていく。
その光景は、あたかも紅色の涙を流しているようにも見えた。



  「――あと、サングラス拾ってくれない?その辺に落ちてると思うから」



サングラスは、明日美の足元のすぐ近くに落ちている。
正常な視力を備えている人間なら、まず見落とない位置だ。
これを見落とす人間がいたとしたら、よほど目が悪いか――目が見えない人間だけだろう。


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