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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

494小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/05/10(水) 19:52:14
>>492

  「――……」

渡された紙に記されている内容に目を通す。
星二つ分ということは、それなりの話をしなければならないようだ。
過去の記憶を手繰り寄せ、幼少期の思い出を探し出した。

  「私が七歳の時――両親に連れられて、夏に母方の祖父母の家に行ったことがあります。
   その日は、私達の他にも親戚の家族が来ていました」

  「私は一人で外に遊びに出て、しばらくして泥だらけになって帰ってきました。
   それを見た三つ年上で綺麗好きの従姉妹が、
   私をお風呂場へ連れて行って洗ってくれました」

  「もちろん泥は簡単に落ちました。
   でも、いくら洗っても、その下に付いた汚れが取れなかったのです」

  「最初は柔らかいタオルで洗っていた従姉妹も、諦めてスポンジに切り替えました。
   それでも取れないので、最後には持ち手付きのボディブラシを使い始めたのです」

  「でもいくらやっても一向に取れないので、従姉妹は力を込めてゴシゴシと強くこすりました。
   あんまり力を入れてやるので肌が痛くて、私はそのことを訴えました」

  「けれど、従姉妹は聞いてくれません。
   『我慢しなさい。あんたがこんなに汚れて帰ってくるのが悪いんでしょ。
    ちゃんとキレイにしなきゃいけないんだから』――彼女は、そう言いました」

  「とうとう私は泣き出してしまい、従姉妹もようやく手を止めてくれました。
   そして、その汚れが落ちない理由に気付いたのです」

  「実は、それは汚れではなくて、外で遊んだせいで日に焼けていただけだったんです。
   従姉妹は潔癖症な所がありましたから、汚れだと思い込んでいたのです」

  「……これで私の話は終わりです。お粗末さまでした」

そう言って軽く頭を下げる。
星二つ分の価値があるかどうかは自分では分からないが……。
その従姉妹に会った時には、今でも話題の一つになる話ではある。

それに、少なくとも時間稼ぎにはなるはず。
小林達には何か策があるようだが、直接言葉を交わした上での協力はできない。
今の時点で自分にできることは、彼らのために時間を作ることくらいだ。

事態が動いた時にすぐ連携に移れるように、『目』は小林を注視しておく。
常原にも何か考えがあるらしい。
できれば彼とも話をしたいが、今はそれも難しい。


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