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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その2

450小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/16(日) 14:39:42
>>447-449

他の参加者達の語る夢は、自分にとってはそれぞれ興味深いものだった。
その中でも特に注意を引かれたのは、アルキスの話だ。
彼にも、誰か愛する人がいるのだろうかと思える。
もちろん詳しくは知らない。
けれど、どこか共感を覚えたのは確かだった。

そういえば――ここに入る前に彼が私の名前に反応していたことを思い出した。
それに関しても、まだ不明のままだ。
できれば、この事件が片付くまでには知っておきたい。
しかし、正面から尋ねたとしても答えてくれる雰囲気でもなかった。
あるいは、何かきっかけがあれば訊けるかもしれない。

           スゥッ……

常原から返ってきた言葉に対し、静かに目礼する。
幸いにも合図の意図は伝わったものの、
首謀者の女性に悟られないように、という部分は伝わらなかったようだ。
きっと、自分の伝え方が悪かったのだろう。
けれど、自分の送ったメッセージは結果的に必要がなくなった。
ただ、小林が教えてくれた内容は、今一つ腑に落ちない部分を含んでいた。

  「……?」

彼が声に出さずに伝えてくれたのは、絵の分野の名前だろうか?
それとも専門用語か何かかもしれない。
誰かに意味を訊いてみたい気持ちはあった。
しかし、もしかすると素人が軽々しく口に出すべきではない言葉なのかもしれない。
それを考慮に入れて、あえて質問するのはやめておいた。

  「……???」

常原の表情の変化の理由が分からず、頭上に疑問符が浮かぶ。
ともかく――彼はジョアンヌに質問をするようだ。
それを見守ることにする。
先程、ジョアンヌは『能力の本領』と言いかけていた。
おそらく、それもこれから教えてくれるのだろう。

  「――シーザーサラダをお願いします」

その脇で、スタンドに料理を注文する。
今の自分にとって、常原の心境は理解の外側にあった。
当然ながら、彼の気高い覚悟を推し量ることもできるはずがなかった。
注文した料理が来るまで、切り離している『目』を動かし、改めて室内全体を見渡す。
新しい発見がある可能性は低いが、何か見落としがないとも限らない。


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